JPH0680855A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0680855A
JPH0680855A JP23356892A JP23356892A JPH0680855A JP H0680855 A JPH0680855 A JP H0680855A JP 23356892 A JP23356892 A JP 23356892A JP 23356892 A JP23356892 A JP 23356892A JP H0680855 A JPH0680855 A JP H0680855A
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JP
Japan
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rubber
styrene
aromatic vinyl
copolymer resin
vinyl compound
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JP23356892A
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Mamoru Fukuoka
守 福岡
Takeshi Morita
毅 森田
Ryoichi Yoneda
量一 米田
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 スチレン−ブタジエン共重合ゴム(a−1)
の存在下に、スチレン(a−2)と、メチルメタクリレ
ート(a−3)とを必須成分としてグラフト共重合させ
てなるゴム変性共重合樹脂(A)と、スチレンの重合体
ブロックとブタジエンの重合体ブロックを必須成分と
し、かつスチレンの重合体ブロックの含有量が20〜5
0重量%であるブロック共重合樹脂(B)とを混合す
る。 【効果】 成形品の透明性、引張り伸びおよび耐衝撃強
度に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴム変性共重合樹脂とブ
ロック共重合樹脂とを必須の成分として含有してなる熱
可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳細には芳香族ビニル
化合物と共役ジエン化合物との共重合ゴムの存在下で、
芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルとを必須成分としてグラフト共重合させて得られる
ゴム変性共重合樹脂と、芳香族ビニル化合物の重合体ブ
ロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとを必須成
分としてなるブロック共重合樹脂とを含有してなる、引
張伸び等の実用強度、とりわけシ−ト成形品にした場合
の引張破断伸びに優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム変性スチレン系樹脂は、耐衝撃強度
に優れた熱可塑性樹脂として現在広く用いられている
が、ゴム質が含まれる為にそのポリスチレンの有する透
明性は全く失われ、その用途が制限されるものであっ
た。そのため従来より耐衝撃強度と透明性とを合わせ持
つ熱可塑性樹脂として、例えば特開平4−180907
号公報には、ブタジエンに基づく不飽和結合のうちの
1,2−ビニル結合の割合が14〜25%であるスチレ
ン−ブタジエン共重合ゴムの存在下にスチレン系モノマ
ーとメタクリル酸メチルとをグラフト共重合させた共重
合樹脂が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平4
−180907号公報に開示された共重合樹脂は、成形
品とした場合の透明性と耐衝撃強度とに優れたものでは
あるが、その伸びが悪いという課題があり、特にシート
成形品とした場合に、引張破断伸びが著しく低下すると
いう深刻な問題を抱えていた。また、該共重合樹脂をシ
ート成形品とした場合には、引張破断伸びの低さに加
え、更にシート成形品の耐衝撃強度も低下するという課
題をも有していた。
【0004】本発明が解決しようとする課題は、成形品
の引張伸びを著しく改善し、とりわけシート成形品とし
た場合の引張破断伸びを著しく改善した熱可塑性樹脂組
成物、更にはシート成形品の引張破断伸びを著しく改善
した上で、透明性、耐衝撃強度にも優れる熱可塑性樹脂
組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この様な
状況に鑑み鋭意研究した結果、芳香族ビニル化合物と共
役ジエン化合物との共重合ゴムの存在下で、芳香族ビニ
ル化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを必
須成分としてグラフト共重合させて得られるゴム変性共
重合樹脂と、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共
役ジエン化合物の重合体ブロックとを必須成分としてな
り、かつ芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの含有量
が特定割合にあるブロック共重合樹脂とを含有せしめれ
ば、特にシ−ト成形品とした場合の引張伸びに優れる熱
可塑性樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明を
完成させるに至った。
【0006】即ち、本発明は、芳香族ビニル化合物と共
役ジエン化合物との共重合ゴム(a−1)の存在下に、
芳香族ビニル化合物(a−2)と、(メタ)アクリル酸
アルキルエステル(a−3)とを必須成分としてグラフ
ト共重合させて得られるゴム変性共重合樹脂(A)と、
芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合
物の重合体ブロックとを必須成分としてなり、かつ芳香
族ビニル化合物の重合体ブロックの含有率が20〜50
重量%であるブロック共重合樹脂(B)とを含有してな
ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0007】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物につい
て詳しく説明する。
【0008】まず、本発明に用いられるゴム変性共重合
樹脂(A)について説明する。本発明に用いるゴム変性
共重合樹脂(A)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン
化合物との共重合ゴム(a−1)の存在下に、芳香族ビ
ニル化合物(a−2)と、(メタ)アクリル酸アルキル
エステル(a−3)とを必須成分としてグラフト共重合
して得られるものであるが、共重合ゴム(a−1)の含
有率が1〜20重量%となるものが、得られる成形品、
特にシート成形品の透明性を著しく向上させた上、耐衝
撃強度も優れる点から好ましい。また、この含有率は大
きく成るほど耐衝撃強度が向上し、また、少なくなるほ
ど透明性が向上する傾向にあるが、両者のバランスが良
好である点から中でも3〜15重量%が好ましい。
【0009】また、ゴム変性共重合樹脂(A)は、共重
合ゴム(a−1)に芳香族ビニル化合物(a−2)と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)とが必
須成分としてグラフト共重合しており、(a−2)及び
(a−3)を含むモノマー成分の内、グラフト重合に関
与しなかった部分は、それらの共重合体として、グラフ
ト共重合体のマトリックス相を形成する。
【0010】ここで、共重合ゴム(a−1)は、芳香族
ビニル化合物と共役ジエン化合物とを共重合して得られ
るものであるが、その平均粒子径は、特に透明性と耐衝
撃強度に優れる点から0.10〜0.5μmのものが好
ましい。
【0011】また、共重合ゴム(a−1)を構成する芳
香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチ
ルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチル
スチレン、タ−シャリ−ブチルスチレン、o−ブロムス
チレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムスチレン、o
−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロス
チレン等が挙げられる。
【0012】一方、上記芳香族ビニル化合物と反応させ
る共役ジエン化合物としては、ブタジエン、クロロプレ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ
る。この芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の組み
合わせとしては、特に限定されるものではないが、本発
明の効果が顕著であるものとして芳香族ビニル化合物と
してスチレン、共役ジエン化合物としてブタジエンが好
ましく挙げられる。
【0013】上記共重合ゴム(a−1)は、上記した芳
香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを共重合して得
られるが、共役ジエン化合物に基ずく不飽和結合のうち
の1,2−ビニル結合の割合が14〜35%のもの、な
かでも16〜25%のものが好ましい。この場合、1,
2−ビニル結合の残りはシスおよびトランス結合を形成
している。
【0014】該1,2−ビニル結合の割合が14%以上
の共重合ゴムを用いた場合は、ゴム変性共重合樹脂
(A)中のトルエン不溶分含有率が上昇し、耐衝撃強度
が向上する。一方、該1,2−ビニル結合の割合が35
%以下の場合には、製造時の高温下での架橋の進行が抑
制できグラフト化率と架橋の程度とのバランスが良好と
なりゴム弾性が向上し、やはり耐衝撃強度が向上する。
さらに、16〜25%の範囲に入る場合は、ゴム変性共
重合樹脂(A)中のグラフト化率と架橋とのバランスが
著しく良好であることから、ゴム弾性が著しく向上する
ものである。
【0015】また、共重合ゴム(a−1)中のスチレン
骨格含有率は、5〜55重量%であることが好ましい。
スチレン骨格含有率が5重量%以上の場合には、ゴム変
性共重合樹脂(A)の透明性が向上する。また、55重
量%以下の場合は、該樹脂のゴム弾性が顕著になり、耐
衝撃強度が向上する。さらに、スチレン骨格含有率が3
0〜45重量%であることが、透明性と耐衝撃強度とが
共に著しく向上する点から好ましい。
【0016】この様な条件を満足する共重合ゴム(A)
は、例えば次のようにして製造して得られる。即ち、ヘ
キサン、シクロヘキサン等の非極性溶媒中で芳香族ビニ
ル化合物と共役ジエン化合物とをn−ブチルリチウム等
の金属触媒及びテトラヒドロフラン等の存在下で溶液重
合することにより製造できる。この時テトラヒドロフラ
ン等の使用量が多くなるほど共役ジエン化合物に基づく
不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合が多くな
るため、その使用量を調節することによって当該割合を
調節できる。
【0017】次に、ゴム変性共重合樹脂(A)に用いる
芳香族ビニル化合物(a−2)としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、
イソブチルスチレン、タ−シャリ−ブチルスチレン、o
−ブロムスチレン、m−ブロムスチレン、p−ブロムス
チレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p
−クロロスチレン等が挙げられ、なかでも透明性に優れ
る点からスチレンが好ましい。
【0018】ゴム変性共重合樹脂(A)に用いる(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)としては、
例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−iso−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げ
られ、これらは単独でまたは混合して使用できるが、な
かでも透明性と耐衝撃強度に優れる点から、メタクリル
酸メチルの単独並びにメタクリル酸メチルと炭素原子数
4以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステ
ルとの混合が好ましいが、更に引張破断伸びが著しく優
れる点からメタクリル酸メチルと炭素原子数4以上のア
ルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルとの混合
が中でも好ましい。
【0019】また、上記芳香族ビニル化合物(a−2)
と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)との
重量比(a−2)/(a−3)は、通常15/85〜6
0/40となる範囲で用いるが、なかでも透明性と耐衝
撃強度とに優れる点で30/70〜60/40となる範
囲で用いるのが好ましい。
【0020】本発明のゴム変性共重合樹脂(A)を製造
するには、上述した共重合ゴム(a−1)の存在下に、
芳香族ビニル化合物(a−2)と(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル(a−3)とを必須成分として用い、必
要に応じてその他の共重合可能なモノマ−、重合開始
剤、連鎖移動剤などを適宜添加し、塊状−懸濁重合、溶
液重合または塊状重合によりグラフト共重合させればよ
いが、なかでも塊状重合が生産性とコスト面から好まし
い。
【0021】ここで用いるその他の共重合可能なモノマ
−としては、例えば(メタ)アクリロニトリル等のビニ
ル・シアン化合物類;(メタ)アクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸等の重合性不飽和脂
肪酸;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−
イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N
−p−ブロモフェニルマレイミド、N−o−クロルフェ
ニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマ
レイミド類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シ
トラコン酸等に代表される不飽和カルボン酸無水物類;
アリルアミン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メ
タ)アクリル酸アミノプロピル等のアミノ基含有不飽和
化合物類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド
等のアクリルアミド系化合物が挙げられる。
【0022】本発明のゴム変性共重合樹脂(A)には、
必要に応じて重合工程中あるいは重合工程後に、ミネラ
ルオイル、エステル、ポリエステル等の可塑剤;酸化防
止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤;高級脂肪
酸、高級脂肪酸のエステルもしくはその金属塩等の離型
剤;シリコンオイル等の如き公知の添加剤を添加しても
よい。
【0023】この様にして得られるゴム変性共重合樹脂
(A)は、25℃でのトルエン不溶分含有率が4〜22
重量%、25℃でのトルエンによる膨潤指数が11〜1
9で、かつトルエン不溶分含有率/膨潤指数が0.15
〜1.20重量%であることが透明性と耐衝撃強度の点
で好ましい。
【0024】ゴム変性共重合樹脂(A)のマトリックス
相である(a−2)と(a−3)とを必須成分とする共
重合体は、その重量平均分子量(Mw)が10〜18万
で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(M
n)の比Mw/Mnが1.8〜2.5のものが好まし
く、なかでも重量平均分子量(Mw)が12〜15万の
ものが耐衝撃強度および樹脂の流動性が向上し、透明性
に優れる点から特に好ましい。
【0025】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成
するもう一方の成分であるブロック共重合樹脂(B)に
ついて説明する。
【0026】このブロック共重合樹脂(B)としては、
芳香族ビニル化合物の重合体ブロックの1個以上と共役
ジエン化合物の重合体ブロックの1個以上とを必須成分
としてなる熱可塑性エラストマ−であり、芳香族ビニル
化合物の重合体ブロックの含有率が20〜50重量%で
あるものを用いる。
【0027】ブロック共重合樹脂(B)中の芳香族ビニ
ル化合物の重合体ブロックの含有率は20〜50重量%
であるが、20重量%に満たない場合は、透明性の著し
い低下を招き、一方、50重量%を越えたものは透明性
と耐衝撃強度との著しい低下を招く。
【0028】この分子構造としては、直線状、分岐状、
放射状あるいはこれらの組み合わせのものでも良く、ブ
ロックの構造としては、完全ブロック構造あるいは特開
昭48−48546号公報に記載の芳香族ビニル化合物
の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロック
との遷移部にランダム共重合体部分を含有したテ−パ−
ブロック構造のものでも良い。
【0029】ブロック共重合樹脂(B)の製造に用いら
れる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α
−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、ジメチルスチレン、p−タ−シャリ−ブチルス
チレン等の中から1種または2種以上が選択でき、なか
でも透明性に優れる点からスチレンが好ましい。また、
共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプ
レン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,
3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の中から1種
または2種以上が選択でき、なかでも耐衝撃強度向上効
果に優れる点からブタジエンが好ましい。
【0030】また、本発明で用いるブロック共重合樹脂
(B)は、上記芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合
物を必須成分とするブロック共重合体に更に、本発明の
効果を妨げない範囲で不飽和カルボン酸を付加させて、
酸変性ブロック共重合樹脂として用いても良い。
【0031】このような不飽和カルボン酸としては、例
えばマレイン酸、ハロゲン化マレイン酸、イタコン酸、
フマル酸、シトラコン酸、シス−4−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸等を代表とする不飽和ジカルボン
酸およびこれらの無水物;アクリル酸、メタクリル酸、
クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸等を代表とす
る不飽和モノカルボン酸等が挙げられ、これらは1種ま
たは2種以上併用して使用することができる。
【0032】これらのブロック共重合樹脂(B)を製造
する方法としては、例えば炭化水素溶剤中で有機リチウ
ム化合物等のアニオン重合開始剤を用い、芳香族ビニル
化合物と共役ジエン化合物とをブロック共重合させる方
法等が挙げられ、酸変性ブロック共重合樹脂を製造する
方法としては、例えば溶融状態または溶液状態におい
て、上記ブロック共重合樹脂に不飽和カルボン酸をグラ
フト反応させる方法等が挙げられ、いずれも公知の種々
の方法が適用できるが、この種の市販の樹脂をそのまま
用いることができるのは無論である。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必須成分
としてゴム変性共重合樹脂(A)とブロック共重合樹脂
(B)とを含有してなることを特徴とし、その配合比率
は得られる組成物の使用目的に応じて調製することがで
き、特に限定されるものではないが、ゴム変性共重合樹
脂(A)97〜80重量%とブロック共重合樹脂(B)
3〜20重量%となるように配合したものが好ましい。
ブロック共重合樹脂(B)を3重量%以上用いた場合
は、シート成形品にした場合の耐衝撃強度及び引張破断
伸びに著しく優れ、また、20重量%以下で用いた場合
は成形品の表面光沢に優れる。
【0034】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に
応じてポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、
AS樹脂、ABS樹脂、(メタ)アクリル酸−スチレン
共重合樹脂、ゴム変性(メタ)アクリル酸−スチレン共
重合樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合樹脂、ゴム
変性無水マレイン酸−スチレン共重合樹脂、(メタ)ア
クリル酸エステル−スチレン共重合樹脂、塩化ビニル樹
脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂等の公知の樹脂を適宜配合す
ることもできる。
【0035】ここで、例えば、上記従来の特開平4−1
80907号公報に記載された共重合樹脂を、ゴム変性
ポリスチレン樹脂等とを配合した場合には実用強度、と
りわけシ−ト成形品にした場合の耐衝撃強度が著しく低
下するものであり、実用上使用はできないものであっ
た。ところが、本発明の熱可塑性樹脂組成物とゴム変性
ポリスチレン樹脂等とを配合せしめた場合には、透明性
は低下するものの、ブロック共重合樹脂(B)の効果に
より、耐衝撃強度が著しく向上する。このため、本発明
の熱可塑性樹脂組成物を加工してシ−ト成形品等とした
場合に発生する切断部分等の残品を汎用のゴム変性ポリ
スチレン樹脂等に回収してシ−ト成形品等に供すること
ができるという利点があり、残品の有効利用を図ること
ができるものである。
【0036】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに
通常用いられる酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光
安定剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、補強剤等
を配合することができる。
【0037】これらの中でも好ましいものとしては、例
えばミネラルオイル、エステル系可塑剤、ポリエステル
系可塑剤、有機ポリシロキサン、高級脂肪酸およびその
金属塩、ヒンダ−トフェノ−ル系酸化防止剤、ガラス繊
維等が挙げられ、それぞれ単独または併用して用いるこ
とができる。特にエステル系可塑剤およびポリエステル
系可塑剤は、本発明の熱可塑性樹脂の溶融時の流動性改
良剤として有効であり、しかも透明性を低下させないと
いう利点がある。
【0038】本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るには、
所定量のゴム変性共重合樹脂(A)とブロック共重合樹
脂(B)と、さらに必要により各種添加剤とをタンブラ
−等の混合機により単に混合しても良いが、通常用いら
れる混合方法、例えばロ−ル、バンバリ−ミキサ−、ヘ
ンシェルミキサ−、単軸押出機、二軸押出機等を用いて
混合する方法等により調製しても良い。
【0039】このようにして得られた本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、シ−ト成形品に限定されるものでは無
く、さらに、射出成形、単軸押出成形、二軸延伸押出成
形、インフレ−ション押出成形、異形押出成形、真空成
形、圧空成形、吹込成形等の成形方法により各種成形品
にして使用することができる。その用途は広範なものに
及び、例えばラジオカセット、テレビ、オ−ディオプレ
イヤ−、ビデオテ−プレコ−ダ−、冷蔵庫、洗濯機等の
家庭電気・器具類の部品;複写機、プリンタ−、ファク
シミリ、パソコン等のOA機器の各種部品;ICキャリ
ア−マガジン、;食品容器;医療器具類の部品;ブリス
タ−パッケ−ジ、食品の包装容器等として用いられる。
【0040】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例
によりさらに具体的に説明する。ただし、例中の部はす
べて重量部を、また%は全光線透過率と1,2−ビニル
結合の割合を除きすべて重量%を示す。
【0041】尚、例中の物性値は以下のように測定し
た。 1)ゴム変性共重合樹脂(A)中の共重合ゴム(a−
1)の平均粒子径 樹脂の超薄切片による透過型電子顕微鏡写真をとり、写
真中の粒子1000個の粒子径を測定して次式により平
均粒子径を求めた。 (ただし、niは粒径Diを有するゴム粒子の個数であ
る。)
【0042】2)トルエン不溶分含有率およびトルエン
による膨潤指数 ゴム変性共重合樹脂(A)1gを精秤し、トルエン10
0mlに25℃で24時間かけて溶解させた後、溶解液
を遠心管に移し、10℃以下、12000rpmで15
分間遠心分離を行い、上澄液をデカンテ−ションにより
除いた後、トルエンで膨潤した不溶分の重さを測定す
る。次に、60℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、得
られたトルエン不溶分の重さを測定し、以下の式により
トルエン不溶分含有率を算出する。 また、膨潤指数は次式により算出する。 3)共重合ゴム(a−1)中の1,2−不飽和結合の割
合 赤外分光分析(モレロ法)によって測定した。 4)全光線透過率および曇価 JIS K−7105に準拠してその値を求めた。 5)引張破断伸び JIS K−7113に準拠し試験速度を毎分50mm
としてその値を求めた。ただし、試験片はJIS K−
6732記載の引張試験片を用いた。 6)耐衝撃強度 デュポン衝撃試験機(東洋精機製作所製)を用い、試験
片の50%破壊エネルギ−を求めた。(重錘200g、
撃芯先端半径6.3mm、受台半径6.3mm)
【0043】参考例1[ゴム変性共重合樹脂(A)の調
製法] スチレン−ブタジエン共重合ゴム(1,2−ビニル結合
の割合:17%、スチレン/ブタジエン重量比:37/
63)8部、スチレン48部、メタクリル酸メチル52
部およびエチルベンゼン10部からなる混合溶液を調製
し、さらに、連鎖移動剤として単量体混合物100部に
対して0.1部のn−ドデシルメルカプタンおよび有機
過酸化物として単量体混合物100部に対して0.02
部のt−ブチルパ−オキシベンゾエ−トを加え、攪拌式
反応器とそれに続き可動部分のない複数のミキシングエ
レメントが内部に固定されている管状反応器を組み込ん
でなる連続塊状重合ラインに連続的に供給し、120℃
〜160℃なる温度で塊状重合させた。
【0044】重合させて得られた混合溶液を熱交換器で
225℃まで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成
分を除去した後、ペレット化して、第1表に示した如き
ゴム変性共重合樹脂(A−1)を得た。
【0045】参考例2(同上) スチレン−ブタジエン共重合ゴム(1,2−ビニル結合
の割合:20%、スチレン/ブタジエン重量比:42/
58)9部、スチレン53部、メタクリル酸メチル37
部、アクリル酸−n−ブチル10部およびエチルベンゼ
ン10部からなる混合溶液を用いた以外は参考例1と同
様にして、第1表に示した如きゴム変性共重合樹脂(A
−2)を得た。
【0046】実施例1 参考例1で得られたゴム変性共重合樹脂(A−1)の9
0%と日本合成ゴム(株)製のスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合樹脂TR2000(スチレン含有率40
%)の10%とをタンブラ−で混合して、口径が30m
mφなる単軸押出機で押出成形し、厚さ0.3mmのシ
−トを作製し、各種物性を測定した。
【0047】尚、シ−ト成形条件は次の通りである。 シリンダ−設定温度:210℃ Tダイ設定温度 :210℃ タッチロ−ル設定温度:65℃ 引取速度 :1.4m/分 リップ開度 :0.45mm 物性の測定結果を第2表に示す。
【0048】実施例2 スチレン−ブタジエン共重合樹脂TR2000を旭化成
工業(株)製の酸変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂
タフプレン912(スチレン含有率40%)に変更した
以外は実施例1と同様にしてシ−トを作製し、各種物性
を測定した。物性の測定結果を第2表に示す。
【0049】実施例3 ゴム変性共重合樹脂(A−1)の90%の代わりに参考
例2で得られたゴム変性共重合樹脂(A−2)の95%
に、スチレン−ブタジエン共重合樹脂TR2000の1
0%の代わりにスチレン−ブタジエン共重合樹脂TR2
000の5%に変更した以外は、実施例1と同様にして
シ−トを作製し、各種物性を測定した。物性の測定結果
を第2表に示す。
【0050】実施例4 ゴム変性共重合樹脂(A−2)の95%を85%に、ス
チレン−ブタジエン共重合樹脂TR2000の5%を1
5%に変更した以外は、実施例2と同様にしてシ−トを
作製し、各種物性を測定した。物性の測定結果を第2表
に示す。
【0051】実施例5 ゴム変性共重合樹脂(A−1)の代わりにゴム変性共重
合樹脂(A−2)を、スチレン−ブタジエンブロック共
重合樹脂TR2000の代わりに日本合成ゴム(株)製
のスチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂TR282
5(スチレン含有率23%)を使用した以外は、実施例
1と同様にしてシ−トを作製し、各種物性を測定した。
物性の測定結果を第2表に示す。
【0052】比較例1 スチレン−ブタジエン共重合ゴム(1,2−ビニル結合
の割合:13%、スチレン/ブタジエン重量比:25/
75)7部、スチレン32部、メタクリル酸メチル62
部およびエチルベンゼン10部からなる混合溶液を用い
た以外は参考例1と同様にしてゴム変性共重合樹脂を得
た。かかる樹脂のゴム含有率は9.5%で平均ゴム粒子
径は0.65μmであった。次いで、口径が30mmφ
なる単軸押出機を用いて、実施例1と同様のシ−ト化条
件で厚さ0.3mmのシ−トを作製し、各種物性を測定
した。物性の測定結果を第2表に示す。
【0053】比較例2 ゴム変性共重合樹脂(A−1)と、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合樹脂TR2000とをタンブラーで混
合して用いる代わりに、ゴム変性共重合樹脂(A−1)
を単独で用いる様に変更した以外は実施例1と同様にし
て厚さ0.3mmのシートを作製し、各種物性を測定し
た。物性の測定結果を第2表に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】 (第2表中、1)縦はシ−ト押出方向、2)横はシ−ト幅方
向を表したものである。)
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、成形品の引張伸びを著
しく改善し、とりわけシート成形品とした場合の引張破
断伸びを著しく改善した熱可塑性樹脂組成物、更にはシ
ート成形品の引張破断伸びを著しく改善した上で、透明
性、耐衝撃強度にも優れる熱可塑性樹脂組成物を提供で
きる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物
    との共重合ゴム(a−1)の存在下に、芳香族ビニル化
    合物(a−2)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
    ル(a−3)とを必須成分としてグラフト共重合させて
    得られるゴム変性共重合樹脂(A)と、芳香族ビニル化
    合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロ
    ックとを必須成分としてなり、かつ芳香族ビニル化合物
    の重合体ブロックの含有率が20〜50重量%であるブ
    ロック共重合樹脂(B)とを含有してなることを特徴と
    する熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ゴム変性共重合樹脂(A)が、該樹脂
    (A)中の共重合ゴム(a−1)の含有率が1〜20重
    量%である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム変性共重合樹脂(A)中の共重合ゴ
    ム(a−1)の平均粒子径が0.1〜0.5μmである
    請求項2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 共重合ゴム(a−1)がスチレン−ブタ
    ジエン共重合ゴムであり、芳香族ビニル化合物(a−
    2)がスチレンであり、かつ(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステル(a−3)がメタクリル酸メチルである請求
    項1、2または3に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 共重合ゴム(a−1)がスチレン−ブタ
    ジエン共重合ゴムであり、芳香族ビニル化合物(a−
    2)がスチレンであり、かつ(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステル(a−3)がメタクリル酸メチルと炭素原子
    数4以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエス
    テルとの混合物である請求項1、2または3に記載の組
    成物。
  6. 【請求項6】 共重合ゴム(a−1)が、ブタジエンに
    基ずく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合が
    14〜35%であり、かつスチレン骨格含有率が30〜
    45重量%のスチレン−ブタジエン共重合ゴムである請
    求項4または5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 芳香族ビニル化合物(a−2)と(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステル(a−3)との重量比
    (a−2)/(a−3)が15/85〜60/40とな
    る範囲で用いる請求項1〜6のいずれか1つに記載の組
    成物。
  8. 【請求項8】 ゴム変性共重合樹脂(A)が、25℃で
    のトルエン不溶分含有率が4〜22重量%、25℃での
    トルエンによる膨潤指数が11〜19で、かつトルエン
    不溶分含有率/膨潤指数が0.15〜1.20重量%で
    ある請求項1〜7のいずれか1つに記載の組成物。
  9. 【請求項9】 ブロック共重合樹脂(B)が、スチレン
    −ブタジエンブロック共重合樹脂である請求項4〜8の
    いずれか1つに記載の組成物。
  10. 【請求項10】 ブロック共重合樹脂(B)が、カルボ
    ン酸基を含有する酸変性スチレン−ブタジエンブロック
    共重合樹脂である請求項4〜8のいずれか1つに記載の
    組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002193378A (ja) * 2000-10-19 2002-07-10 Denki Kagaku Kogyo Kk 透明な電子部品包装用成形体
JP2019073645A (ja) * 2017-10-17 2019-05-16 テクノUmg株式会社 熱可塑性樹脂成形品及び組成物

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