JP4020636B2 - 透明な耐衝撃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、食品包装容器、電子部品包装容器、ブリスターパック等に使用される透明性に優れた耐衝撃性樹脂組成物に関するものであり、詳しくはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体と特定のゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体とからなる、透明性に優れた耐衝撃性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リビングアニオン重合により有機溶媒中でアルキルリチウムを開始剤としてビニル芳香族炭化水素と共役ジエンをブロック共重合させると、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの組成割合及びブロック共重合体構造の違いにより種々の物性を有するブロック共重合体が得られることが知られており、また該ブロック共重合体は押出成形、射出成形、中空成形、真空成形等の成形が容易に実施できることから食品包装容器、電子部品包装容器、ブリスターパック等の素材として幅広く使用されている。
【0003】
一般的にこれらブロック共重合体は透明性に優れるものの耐衝撃性と剛性が不足しており、これらの改良を目的に種々の方法が試みられている。特開昭51−103956号公報、特開昭55−1157642号公報、特開昭57−195139ではスチレン−ブタジエンブロック共重合体とポリスチレンとからなる組成物が開示されている。しかしながら、この方法によって得られた組成物は、剛性は改良されるものの十分な耐衝撃性を得ることができないといった問題があった。
特開昭53−250号公報ではスチレン−ブタジエンブロック共重合体にポリスチレンやゴム変性スチレン系重合体やスチレン含量の少ないエラストマーを配合する方法が開示されている。特開昭57−21442号公報、特開昭57−21443号公報ではブロック共重合体樹脂とスチレン含量の少ないエラストマーとの組成物が耐衝撃性に優れることが開示されている。しかし、これら方法によって得られた組成物の耐衝撃性は改良されるものの剛性が低下し、又、スチレン含量の少ないエラストマーは熱安定性が悪く、熱履歴によってエラストマーが架橋し、いわゆるゲル状物質が生成し、成形品外観を悪化させるという問題を有している。
また、特開昭61−133254号公報では、スチレン系樹脂とスチレン−ブタジエン共重合体にポリスチレンと無色透明なミネラルオイルを配合してなる組成物が耐衝撃性、透明性に優れることが開示されている。しかしながら、この方法で得られた組成物は耐熱性が低下し十分な耐衝撃性が得ることができないという問題があった。
また、特許第2844173号公報では、スチレン−ブタジエン共重合体に特定のゴム変性ポリスチレンを配合してなる組成物が耐衝撃性、透明性に優れることが開示されている。しかしながら、この方法で使用されるゴム変性ポリスチレンを通常の製造プロセスで製造することは困難であり、特殊な製造方法を行うためコストアップするといった問題がある。また分散粒子のポリスチレン含有量が大きくなるにつれ耐面衝撃性が著しく低下するといった問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した課題を解決し、熱安定性や耐熱性、成形性を損なうことなく、安価で低温時の耐衝撃性、耐ブロッキング性に優れた透明なスチレン系シート等に好適な耐衝撃性樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ブロック共重合体樹脂と特定のゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体との組成物が透明性と耐衝撃性及び低温時の耐衝撃性及び剛性及び耐ブロッキング性に優れ、上記問題を解決する事を見いだし、本発明を開発するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は(a)ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体60〜99質量%と(b)ブタジエン系ゴム状重合体にビニル芳香族炭化水素をグラフト重合して得られるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体1〜40質量%からなり、上記ブロック共重合体(a)はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比が60/40〜90/10であり、上記ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体(b)のゴム状分散粒子の中位径が1.5〜20μmであり、かつゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中のブタジエン系ゴム状重合体の含量が2〜20質量%であり、かつゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中のブタジエン系ゴム状重合体のシス結合量が90〜100質量%であり、かつゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のグラフト率gが1.60〜2.50であることを特徴とする透明な耐衝撃性樹脂組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるブロック共重合体(a)は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体で、例えば有機溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合することにより製造される。
本発明で用いるブロック共重合体(a)の構造は例えば、一般式
S−(D−S)n
(但し、Sはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック、Dは共役ジエンを主体とする重合体ブロック、nは整数で一般的には1〜5)で表される線状ブロック共重合体、或いは一般式
〔(S−D)nm−X
〔S−(D−S)nm−X
(但し、Sはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック、Dは共役ジエンを主体とする重合体ブロック、Xは例えば四塩化ケイ素、エポキシ化大豆油などの多官能カップリング剤の残基、nは整数で一般的には1〜5、mは整数で一般的には3〜7)で表される放射状ブロック共重合体である。
ここでビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックとはビニル芳香族炭化水素含有量が50質量%を越え100質量%以下の共重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合体ブロックとは共役ジエン含有量が50質量%を越え100質量%以下の共重合体ブロックを示す。また、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを主体とする重合体ブロックとの境界は必ずしも明確に区別される必要はない。
【0008】
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック或いは共役ジエンを主体とするブロック中にビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体部分が存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素は重合体ブロック中に均一に分布していてもテーパー状に分布していてもよい。また、該共重合体部分はビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個存在していてもよい。
【0009】
本発明で用いるブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等があるが、特に好ましくはスチレンが挙げられる。
【0010】
本発明で用いるブロック共重合体の共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等であるが、特に好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
【0011】
ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比は60/40〜90/10である。ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比が60/40未満ではブロック共重合体の剛性と透明性が低下し、90/10を超えると耐衝撃性が低下するため好ましくない。
【0012】
本発明で用いるブロック共重合体の分子量は、重合時に使用する触媒添加量により任意に調整することができるが、成型加工性の点から、メルトマスフローレート(JIS K−7210により測定、試験温度200℃、試験荷重40.03N)が0.5〜50g/10分の範囲であることが好ましい。
【0013】
ビニル芳香族炭化水素を主体とするブロックは、上記のビニル芳香族炭化水素の1種又は2種以上を重合することによって得られるが、単一のビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックでも複数のビニル芳香族炭化水素からなる共重合体ブロックであってもよく、また、上記の共役ジエンの1種又は2種以上を共重合してもよい。
【0014】
本発明で用いるブロック共重合体に含有されるビニル芳香族炭化水素のブロック率は25〜100質量%であることが好ましい。ブロック率が25質量%未満では透明性と剛性が低下し好ましくない場合がある。なお、ブロック共重合体に含有されるビニル芳香族炭化水素のブロック率は次のようにして求められる。
ブロック率(質量%)=(W/W0)×100
(但し、W=ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素ブロックの質量、W0=ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全質量を示す)。ここでブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全質量は重合に供した全ビニル芳香族炭化水素の質量であり、ビニル芳香族炭化水素ブロックの質量は、ブロック共重合体をオゾン分解して〔Y.TANAKA,et al.,RUBBER CHEMISTRY AND TECHNOLOGY,58,16(1985)に記載の方法〕得たビニル芳香族炭化水素重合体成分のGPC測定(検出器として波長を254nmに設定した紫外分光検出器を使用)において、各ピークに対応する分子量を標準ポリスチレン及びスチレンオリゴマーを用いて作成した検量線から求め、数平均分子量3000を超えるものをそのピーク面積より定量して求めた。
【0015】
本発明で用いるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体はブタジエン系ゴム状重合体の存在下、ビニル芳香族炭化水素系単量体をグラフト重合して得られるものであり、重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。ビニル芳香族炭化水素系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の単独または混合物をいい、特に好ましくはスチレンである。また、これらのビニル芳香族炭化水素系単量体を共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等の単量体も本発明の効果を損なわない程度であれば共重合することができる。
本発明のゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中のブタジエン系ゴム重合体からなる分散粒子は、ポリビニル芳香族炭化水素を内部に包含している構造のものであり、サラミ構造であってもコアシェルタイプ或いはオニオンタイプ等の構造であってもよい。
【0016】
ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中のブタジエン系ゴム重合体からなる分散粒子の粒子径は公知の方法、例えば用いるブタジエン系重合体の組成や溶液粘度、ゴム変性ビニル芳香族炭化水素の重合反応時の攪拌速度、温度、溶媒の種類及び量、重合開始剤の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び量等を変更することにより調整される。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシベンゾネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。
また、連鎖移動剤としてはt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0017】
ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体の分散粒子量(質量%)および膨潤度も、ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体の重合方法、重合時の連鎖移動剤及び或いは重合開始剤の使用法、未反応単量体除去工程の温度条件、重合開始剤の種類及び添加量等により調整される。
【0018】
本発明で用いるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のゴム状分散粒子の中位径は1.5〜20μmである。中位径が1.5μm未満であると得られる樹脂組成物の耐衝撃性が著しく低下する。また、中位径が20μmを超えると光沢が低下し、外観が著しく低下する。なお、分散粒子の中位径(μm)は、ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体をジメチルホルムアミドに溶解させ、レーザー回折方式粒度分布測定装置(コールター製レーザー回折方式粒子アナライザーLS−230型)により測定して求めた体積基準の粒径分布曲線の50体積%粒子径をもって本発明の中位径とする。
【0019】
本発明で用いるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のブタジエン系ゴム状重合体の含量は、2〜20質量%である。ブタジエン系ゴム状重合体の含量が2質量%未満であると得られる樹脂組成物の耐衝撃性を十分に改質することができない。また、ブタジエン系ゴム状重合体の含量が20質量%を超えるとゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体製造時にブタジエン系ゴム状重合体のゲルが発生しやすく得られる樹脂組成物の外観を著しく損なう可能性がある。なお、ブタジエン系ゴム状重合体の含量は、ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、ヨウ化カリウム溶液を加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から求めることができる。
【0020】
本発明で用いるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中のブタジエン系ゴム状重合体のシス結合量は90〜100質量%である。シス結合量が90質量%未満であると得られる樹脂組成物の低温時の耐衝撃性が低下し、透明性も劣る。ブタジエン系ゴム状重合体のシス結合量は、例えばブタジエン重合体の場合、ブタジエン重合体を二硫化炭素に溶解した溶液の赤外分光スペクトルと、二硫化炭素のみの赤外分光スペクトルを測定し、967(cm-1)のブタジエン重合体溶液と二硫化炭素の吸光度の差DT、912(cm-1)のブタジエン重合体溶液と二硫化炭素の吸光度の差DV、737(cm-1)のブタジエン重合体溶液と二硫化炭素の吸光度の差DCを読み取る。次いで、式(1)、式(2)、式(3)式の連立方程式を解いてBT、BV、BCを求め、式(4)により求めることができる。
DT=2.185×BT+0.0561×BV+0.07705×BC (1)
DV=0.0324×BT+2.65×BV+0.0243×BC (2)
DC=0.008125×BT+0.0794×BV+0.5519×BC (3)
シス結合量(質量%)=BC/(BT+BV+BC)×100 (4)
【0021】
本発明で用いるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のグラフト率は1.60〜2.50の範囲である。グラフト率が1.60未満であると得られる樹脂組成物の透明性と耐衝撃性を同時に満足する事はできず、2.50を越えると樹脂組成物の耐衝撃性が劣る。ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のグラフト率は、ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中の分散粒子量G(質量%)とブタジエン系ゴム状重合体の含量RC(質量%)から次のように求めることができる。
グラフト率=(G−RC)/RC
尚、ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中の分散粒子量G(質量%)は、
質量Sのゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体をメチルエチルケトンに5%の割合で溶解し、その溶液を遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して不溶分を得、70℃で15時間真空乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、乾燥した不溶分の質量Wを測定して次のように求めることができる。
分散粒子量G(質量%)=(W/S)×100
【0022】
本研究で用いるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のゴム状分散粒子の膨潤度は、好ましくは5〜20の範囲である。ゴム状分散粒子の膨潤度が5より小さくなると耐衝撃性が低下し、20を超えると表面外観に劣る。
なお、本研究で用いるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のゴム状分散粒子の膨潤度は、樹脂組成物をトルエンに溶解し、その溶液を遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去してトルエンで膨潤した不溶分の質量Bを測定する。次にトルエンで膨潤した不溶分を70℃で15時間真空乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、不溶分の乾燥質量Cを測定して次のように求めることができる。
膨潤度=B/C
【0023】
本発明のゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体の量は1〜40質量%の範囲である。ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体の量が1質量%未満であると耐衝撃性が低下し、40質量%を超えると透明性が低下するため好ましくない。
【0024】
本研究の透明性に優れる耐衝撃性樹脂組成物は該組成物100質量部にゴム未変性ビニル芳香族炭化水素系重合体を1〜100質量部配合することができる。ゴム未変性ビニル芳香族炭化水素系重合体の配合量が100質量部を超えると耐衝撃性が低下するため好ましくない。ゴム未変性ビニル芳香族炭化水素系重合体は、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられるが、特に好ましいものはポリスチレンである。
【0025】
本発明の樹脂組成物には必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。添加剤の種類はプラスチックに一般的に用いられるものであれば特に制限はないが、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐光性向上剤、軟化剤、可塑剤、無機補強剤、架橋剤、顔料、染料、その他或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、公知の混合方法で製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー及びVブレンダー等でドライブレンドしてもよく、更に押出機で溶融してペレット化してもよい。また、重合体溶液同士を混合した後、溶剤を除去する方法も用いることができる。
【0027】
得られた樹脂組成物は、射出成形、中空成形、押出成形等によって、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、真空成形品等に用意に成形加工することができる。特に本発明の樹脂組成物は、シート、フィルム用素材として特に有効であり、透明性、耐衝撃性を生かした食品包装容器、電子部品包装容器、ブリスターパック等の素材として好適に活用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0029】
(a)成分のブロック共重合体
ブロック共重合体として電気化学工業社製クリアレン730L(商品名、メルトフローレート:7.2g/10分、スチレン含有量76質量%)を使用した。
【0030】
(b)成分のゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体(HIPS−1〜8)
表1に実施例、比較例で用いる(b)成分のゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体を示す。ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体はポリブタジエンゴムを溶解させたスチレンを塊状重合し、表1に示すような構造上の特徴を持つゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体を製造した。なお、ゴム状重合体の含量RCはポリブタジエンの添加量で、ゴム状重合体のシス結合量は使用するポリブタジエンの種類で、グラフト率や分散粒子の中位径は重合開始剤の添加量や重合温度や重合時の攪拌数で各々調製した。例えばゴム変性スチレン系重合体HIPS−1は次のようにして製造した。
(1)ゴム状重合体として宇部興産社製BR−15HB(商品名、ゴム状重合体中のシス結合量:97質量%)4%質量%を82質量%のスチレンモノマーと14質量%のエチルベンゼンの混合溶液に溶解し、原料溶液とした。
(2)この原料溶液を容積18Lの攪拌機付きのオートクレーブ及びオートクレーブの後段に直列に接続された容積42Lの管型反応器に7.0kg/hで連続的に供給した。
(3)オートクレーブの攪拌数は90rpm、反応温度128℃に調製し、オートクレーブ出口におけるスチレンモノマーの転化率を26質量%とした。
(4)オートクレーブ出口の反応溶液に重合開始剤のエチルベンゼン10質量%溶液を50g/hで連続的に供給し、管型反応器の反応温度は反応溶液の流れ方向に128〜160℃の温度勾配がつくように調整した。管型反応器出口におけるモノマー転化率は85質量%であった。
(5)管型反応器を出た反応液は熱交換器によって220℃まで加熱されたあと、真空度2.0kPaに調製された脱溶媒槽に導かれ、未反応モノマー及び溶剤等揮発分を除去した後、ギアポンプで脱溶媒層からポリマーを抜き出しダイプレートを通してストランドとし水冷後ペレット化してゴム変性ビニル芳香族系重合体HIPS−1を得た。
同様にゴム状重合体として宇部興産社製BR−15HBを使用し、ポリブタジエンの添加量や重合開始剤の添加量や重合温度や重合時の攪拌数を調節しHIPS−2〜5を得た。また、ゴム状重合体として旭化成社製ジエン55AEを使用し、ポリブタジエンの添加量や重合開始剤の添加量や重合温度や重合時の攪拌数を調節しHIPS−6、7を得た。また、ゴム状重合体として旭化成社製ジエン35AEを使用し、ポリブタジエンの添加量や重合開始剤の添加量や重合温度や重合時の攪拌数を調節しHIPS−8を得た。
【0031】
【表1】
Figure 0004020636
【0032】
(実施例1、比較例1〜3)
表2の割合で(a)成分のブロック共重合体と(b)成分のゴム変性ビニル芳香族系重合体とを押出機を用いてブレンドしペレット化した後、射出成形機を用いて試験片を作成し物性測定を行った。その結果を表2に示す。透明性を表す全光線透過率(%)、Haze(%)、平行光線透過率(%)は、厚さ1mmの試験片を使用しJIS K−7105により、耐衝撃性を表すシャルピー衝撃強さはJIS K−7111により求めた。本発明で規定する範囲のブロック共重合体、ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体及び配合量であるものは、透明性と耐衝撃性のバランスに優れることがわかる。
【0033】
【表2】
Figure 0004020636
【0034】
(実施例2〜5、比較例4〜12)
表3の割合で(a)成分のブロック共重合体と(b)成分のゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体及びポリスチレン〔東洋スチレン(株)製 トーヨースチロールHRM26〕を押出機によりブレンドしペレット化した後、射出成形機を用いて試験片を作成し、シート押出機で厚さ約0.5mmのシートを作成した。透明性を表す全光線透過率(%)、Haze(%)、平行光線透過率(%)は、厚さ1mmの試験片を使用し、JIS K−7105により求めた。耐衝撃性は、シートを用い、測定温度23℃と−20℃の2条件で、インパクトテスター〔テスター産業株式会社製、錘先端10R〕によって測定した。耐ブロッキング性は成形したシートを5枚重ねて2kgの荷重をかけながら80℃で30時間放置し、その後、手でシートの剥がれ易さを評価した。
〔○:良好(容易に剥がれる)、△:普通(若干剥がれにくい)、×:不可(ブロッキング激しく剥がれにくい)〕
本発明で規定する範囲のブロック共重合体、ゴム変性ビニル芳香族系重合体及び配合量であるものは、透明性と耐衝撃性のバランスに優れ、低温時の耐衝撃性や耐ブロッキング性にも優れていることがわかる。
【0035】
【表3】
Figure 0004020636
【0036】
【発明の効果】
本発明の特定のブロック共重合体と特定のゴム変性ビニル芳香族系重合体とからなる樹脂組成物は透明性と耐衝撃性に優れているので、食品包装容器、電子部品包装容器、ブリスターパック等の包装容器素材を始めとして種々の用途に適用できる。また、低温時の耐衝撃性にも優れているので冷菓等の低温下で使用される食品容器等に最適である。

Claims (6)

  1. (a)ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックと共役ジエンを主体とする重合体ブロックを有するブロック共重合体60〜99質量%と(b)ブタジエン系ゴム状重合体にビニル芳香族炭化水素をグラフト重合して得られるゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体1〜40質量%からなり、上記ブロック共重合体(a)はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比が60/40〜90/10であり、上記ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体(b)のゴム状分散粒子の中位径が1.5〜20μmであり、かつゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中のブタジエン系ゴム状重合体の含量が2〜20質量%であり、かつゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体中のブタジエン系ゴム状重合体のシス結合量が90〜100質量%であり、かつゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のグラフト率gが1.60〜2.50であることを特徴とする透明な耐衝撃性樹脂組成物。
  2. ブロック共重合体に含有されるビニル芳香族炭化水素のブロック率が25〜100質量%、ブロック共重合体のメルトマスフローレートが0.5〜50g/10分であるである請求項1記載の透明な耐衝撃性樹脂組成物。
  3. ゴム変性ビニル芳香族炭化水素系重合体のゴム状分散粒子の膨潤度が5〜20である請求項1〜2記載の透明な耐衝撃性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3記載の樹脂組成物100質量部とゴム未変性ビニル芳香族炭化水素系重合体1〜100質量部とからなることを特徴とする透明な耐衝撃性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4記載の透明な耐衝撃性樹脂組成物よりなることを特徴とする食品包装容器。
  6. 請求項1〜4記載の透明な耐衝撃性樹脂組成物よりなることを特徴とする電子部品包装容器。
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