JP2002173402A - ストロビルリン系殺菌剤の効力増強剤及びその方法。 - Google Patents
ストロビルリン系殺菌剤の効力増強剤及びその方法。Info
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Abstract
菌効力を増強させる有用植物に安全性の高いストロビル
リン系殺菌剤の効力増強剤及びその方法を提供する。 【解決手段】一般式1 (Rは水素、低級アルキル基、アルキルチオアルキル
基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、R1は低級
アルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基、置換ベン
ジル基、フェネチル基、フェノキシメチル基、2−チエ
ニルメチル基、アルコキシメチル基又はアルキルチオメ
チル基。)のシクロヘキサン誘導体又はその塩を含有す
るストロビルリン系殺菌剤の効力増強剤。及びストロビ
ルリン系殺菌剤に効力増強剤を、効力増強剤:ストロビ
ルリン系殺菌剤重量比1:0.001〜1:2の範囲で
加える効力増強方法。
Description
殺菌剤の効力増強剤及びその方法に関する。
野菜類及び果樹類等多くの病害に防除効果を有するが、
同時に薬害も出やすい化合物である。又、野菜類の灰色
かび病、菌核病及びムギふ枯病等の一部の病害では、そ
の防除効果が必ずしも十分ではない事例が報告されてい
る。
が取り上げられるようになり、可能な限り投下薬量を減
少させ、環境に及ぼす影響を少なくして、確実に病害を
防除する薬剤の出現が望まれている。
ン系殺菌剤の効果の増強、特に野菜類の灰色かび病、菌
核病及びコムギふ枯病の効果を増強させ、ストロビルリ
ン系殺菌剤の使用量を減少させることにより、有用植物
に対して高い安全性を有するストロビルリン系殺菌剤の
効力増強剤及びその増強方法を提供することを目的とす
る。
問題を解決する目的でストロビルリン系殺菌剤の殺菌効
力増強につき、多くの化合物を合成し或いは化合物を入
手して鋭意研究した結果、殺菌作用を有さないシクロヘ
キサン誘導体又はその塩をストロビルリン系殺菌剤の効
力増強剤として加えることにより、ストロビルリン系殺
菌剤単独では十分な効果が得られない低薬量で、多くの
病害に対して極めて高い殺菌効果が得られることを見出
し、本発明を完成した。
基、アルキルチオアルキル基、フェニル基又は置換フェ
ニル基を示し、R1は低級アルキル基、シクロアルキル
基、ベンジル基、置換ベンジル基、フェネチル基、フェ
ノキシメチル基、2‐チエニルメチル基、アルコキシメ
チル基又はアルキルチオメチル基を示す。)にて示され
るシクロヘキサン誘導体又はその塩を含有するストロビ
ルリン系殺菌剤の効力増強剤及びその増強方法に関する
ものである。
腐敗した木材に生育しているオーデマンシェラ ムシタ
菌(Oudemansiella mucida)の培養液中から殺菌活性を
有する化合物ムシジン(Mucidin)が発見されたことに
遡る。1978年にはストロビルラス テナセラス(Str
obilurus tenacellus)から殺菌活性を有するムシジン
と同一の化合物ストロビルリン(Strobilurin)が発見
され、その後、この命名が一般名となった。作用機構
は、菌のエネルギー生産を阻害するが従来の呼吸阻害剤
とは異なり、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体III
のサブユニットであるチトクロームbを標的とする特異
作用点阻害剤であり、構造的特徴としては例えば3−メ
トキシアクリル酸メチルエステル基を部分構造として有
する化合物群、メトキシイミノ酢酸メチルエステル基を
部分構造として有する化合物群、又は2−メトキシイミ
ノ−N−メチルアセトアミド基を部分構造として有する
化合物群等の総称である。
キシストロビン:新規抗菌性広スペクトラム殺菌剤」に
ついて、有機合成化学協会誌、第57巻、第4号、第9
4〜98頁、1999年に記載され、又、「ストロビル
リン系殺菌剤の作用機構」について、日本農薬学会誌、
第24巻、第189〜196頁、1999年に記載され
ている。
して、例えばアゾキシストロビン(化合物[2])、ク
レソキシムメチル(化合物[3])、メトミノストロビ
ン(化合物[4])、トリフロキシストロビン(化合物
[5])、ピコキシストロビン(化合物[6])等を挙
げることができる。
として知られた化合物であり、化合物[2]はEP特許
第382,375号公報に、化合物[3]はEP特許第
493,711号公報、化合物[4]はEP特許第39
8,692号公報、化合物[5]はEP特許第472,
300号公報、化合物[6]はEP特許第278,59
5号公報に記載された化合物である。
はその塩の具体的な化合物を表1から表4に例示する。
尚、シクロヘキサン誘導体の塩は下記一般式[7]から
一般式[9]の構造をとり得る。
般式[9]において、R及びR1は前記と同じ意味を表
し、Mは有機カチオン又は無機カチオンを表し、Meは
メチル基、Etはエチル基、n−Prはノルマルプロピ
ル基、c−Prはシクロプロピル基、c−Penはシク
ロペンチル基、c−Hexはシクロヘキシル基、Phは
フェニル基を表す。
8‐164543号公報、同59‐196840号公
報、同59‐231045号公報等に開示されている。
誘導体又はその塩は単独で用いた場合には殺菌効果を示
さないが、シクロヘキサン誘導体又はその塩をストロビ
ルリン系殺菌剤の殺菌増強剤として使用することによ
り、ストロビルリン系殺菌剤が優れた殺菌効果を発揮す
る。
効力増強剤は、本発明のシクロヘキサン誘導体又はその
塩をストロビルリン系殺菌剤の製剤製造過程において加
え、製剤化して使用するのが好ましいが、シクロヘキサ
ン誘導体又はその塩を製剤化したものをストロビルリン
系殺菌製剤と混合して使用することも可能である。この
場合、農薬製剤工場で混合するか、或いは薬剤の使用時
に混合しても良いが,粒剤の場合には、ストロビルリン
系殺菌剤の製剤製造時にシクロヘキサン誘導体又はその
塩を加えることが好ましい。
ビルリン系殺菌剤と混合する場合には、農薬製剤で汎用
されている担体、界面活性剤、分散剤又は補助剤等を配
合して、粉剤、水和剤、顆粒水和剤、乳剤、粒剤、微粒
剤、懸濁製剤等の製剤にして使用する。ストロビルリン
系殺菌剤と本発明の効力増強剤を混合する場合には、同
じ剤型の製剤或いは異なる製剤で良く、殺菌効果が増強
する組み合わせであれば良い。
誘導体又はその塩の配合割合はストロビルリン系殺菌剤
の効果が増強される量であれば使用することができる
が、通常、効力増強剤:ストロビルリン系殺菌剤の重量
比が1:0.001〜1:2の範囲であり、特に1:
0.01〜1:2の範囲が好ましい。製剤中におけるス
トロビルリン系殺菌剤とシクロヘキサン誘導体又はその
塩の量は、一般的に粉剤、微粒剤及び粒剤とする場合は
0.1〜20%(重量)であり、乳剤、水和剤及び顆粒
水和剤とする場合は5〜80%(重量)である。又、懸
濁製剤の場合には0.1〜30%(重量)である。もち
ろん、これ以外の量であっても製剤化可能であり、効果
を発揮させる量であれば使用することができる。
く説明するが、製剤中の混合割合及び補助剤は広い範囲
で変更することができる。尚、以下の部は重量部を示
す。
化アンモニウム5部、ナフタレンスルホン酸ナトリウム
の縮合物(花王製、商品名:デモールN)5部、エチレ
ングリコール10部、キサンタンガム0.1部及び水6
4.9 部を均一に混合した後粉砕し懸濁製剤を得た。
土5部及びクレー85部を均一に混合粉剤して粉剤とし
た。
ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2部、リグニ
ンスルホン酸ナトリウム3部及び珪藻土89.9部を均
一に混合粉剤して水和剤とした。
シクロヘキサノン20部、ポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル11部、アルキルベンゼンスルホン酸
カルシウム4部及びメチルナフタレン45部を均一に溶
解して乳剤とした。
ウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2部、リ
グニンスルホン酸ナトリウム5部、カルボキシメチルセ
ルロース2部及びクレー81部を均一に混合粉砕する。
この混合物に水20%を加えて練合し、押出式造粒機を
用いて14〜32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥
して粒剤とした。
フチルメタンジスルホン酸ナトリウム2部、リグニンス
ルホン酸ナトリウム3部及び珪藻土89部を均一に混合
粉剤して水和剤とした。
部、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2部、リ
グニンスルホン酸ナトリウム3部及び珪藻土85部を均
一に混合粉剤して水和剤とした。
部、ジナフチルメタンジスルホン酸ナトリウム2部、リ
グニンスルホン酸ナトリウム3部及び珪藻土85部を均
一に混合粉剤して水和剤とした。
タレンスルホン酸ナトリウムの縮合物(花王製、商品
名:デモールN)5部、エチレングリコール10部、キ
サンタンガム0.1部、水69.9部を均一に混合した
後粉砕し、懸濁製剤を得た。ストロビルリン系殺菌剤と
混合して使用する。
酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム3部
及び珪藻土85部を均一に混合粉剤して水和剤とした。
ストロビルリン系殺菌剤と混合して使用する。
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル11部、ア
ルキルベンゼンスルホン酸カルシウム4部及びメチルナ
フタレン45部を均一に溶解して乳剤とした。ストロビ
ルリン系殺菌剤と混合して使用する。
テルのナトリウム塩2部、リグニンスルホン酸ナトリウ
ム5部、カルボキシメチルセルロース2部及びクレー8
1部を均一に混合粉砕する。この混合物に水20部を加
えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュ
の粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とした。ストロビ
ルリン系殺菌剤と混合して使用する。
験 一辺9cmのプラスチックポット各々に、キュウリ種子
(品種:相模半白)を5粒づつ播種し、温室内で育成し
た。子葉が展開したキュウリ幼苗に、製剤例3及び6に
準じて調製した水和剤を水で希釈し、1ポット当たり1
0mlを散布した。風乾後、イーストグルコース液体培
地(酵母エキス0.25%、グルコース1%)で調製し
た灰色かび病菌の胞子懸濁液にペーパーディスクを浸
し、キュウリ子葉表面に置床接種後、直ちに20℃湿室
内に入れた。接種3日後に、ポット全体の子葉の発病面
積割合を表5に基づき指数調査し、数1によって防除価
を算出し、その結果を表6に示した。
ロビルリン系殺菌剤)とプロヘキサジオンカルシウム塩
とを混合することにより、アゾキシストロビンの殺菌効
果を著しく増強させ、対照剤であるイプロジオンに明ら
かに優る高いキュウリ灰色かび病防除効果を示した。
で具体的に示したシクロヘキサン誘導体又はその塩は、
アゾキシストロビンの効力増強効果を示し、高いキュウ
リ灰色かび病防除効果を示した。
(品種:農林61号)を10粒づつ播種し、温室内で育
成した。2葉が展開したコムギ苗に、製剤例7及び8に
準じて調製した水和剤を水で希釈し、1ポット当たり1
0ml散布した。風乾後、コムギふ枯病菌の柄胞子を接
種し、温室内で管理した。接種10日後にポット全体の
第1葉の発病面積割合を表7に基づき指数調査し、試験
例1と同様の方法により防除価を算出し、その結果を表
8に示した。
ロビルリン系殺菌剤)とプロヘキサジオンカルシウム塩
とを混合することにより、アゾキシストロビンの殺菌効
果を著しく増強させ、対照剤であるテブコナゾールに明
らかに優る高いムギふ枯病防除効果を示した。
4で具体的に示したシクロヘキサン誘導体又はその塩は
アゾキシストロビンに加えることにより、アゾキシスト
ロビンの効力増強効果を示し、高いムギふ枯病防除効果
を示した。
(品種:紅玉)を2粒づつ播種し、温室内で育成した。
本葉が4枚展開した実生苗に、製剤例3及び7に準じて
調製した水和剤を水で希釈し、1ポット当たり10ml
散布した。風乾後、リンゴ黒星病菌の胞子懸濁液を噴霧
接種し、直ちに20℃の湿室内で48時間管理した。その
後、リンゴ苗を温室内に移し発病させ、接種10日後に
接種時の上位2葉の発病面積割合を表7に基づき指数調
査し、式1により防除価を算出し、その結果を表9に示
した。
ロビルリン系殺菌剤)とプロヘキサジオンカルシウム塩
とを混合することにより、クレソキシムメチルの殺菌効
果を著しく増強させ、対照剤であるビテルタノールに明
らかに優る高いリンゴ黒星病防除効果を示した。
4で具体的に示したシクロヘキサン誘導体又はその塩を
クレソキシムメチルに加えることにより、クレソキシム
メチルの効力増強効果を示し、高いリンゴ黒星病防除効
果を示した。
ストロビルリン系殺菌剤にシクロヘキサン誘導体又はそ
の塩を加えることにより、優れた殺菌効果を発揮し、ス
トロビルリン系殺菌剤単独では十分な効果が得られない
低薬量で、多くの病害に対して極めて高い殺菌効果を有
する。
Claims (4)
- 【請求項1】一般式[1] 【化1】 (但し、式中Rは水素原子、低級アルキル基、アルキル
チオアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示
し、R1は低級アルキル基、シクロアルキル基、ベンジ
ル基、置換ベンジル基、フェネチル基、フェノキシメチ
ル基、2‐チエニルメチル基、アルコキシメチル基又は
アルキルチオメチル基を示す。)にて示されるシクロヘ
キサン誘導体又はその塩を含有することを特徴とするス
トロビルリン系殺菌剤の効力増強剤。 - 【請求項2】シクロヘキサン誘導体の塩である請求項1
記載の効力増強剤。 - 【請求項3】シクロヘキサン誘導体のカルシウム塩であ
る請求項1又は請求項2記載の効力増強剤。 - 【請求項4】ストロビルリン系殺菌剤に効力増強剤を、
効力増強剤:ストロビルリン系殺菌剤の重量比が1:
0.001〜1:2の範囲で加えることを特徴とする請
求項1〜請求項3記載の効力増強方法。
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