JP2003104811A - 殺菌剤組成物及び作物の病害防除方法 - Google Patents

殺菌剤組成物及び作物の病害防除方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】農園芸用作物の各種病害に対し、予防及び治療
の両面において、相乗的に作用する殺菌剤組成物を提供
すること。 【解決手段】本発明は、テトラコナゾールとイミノクタ
ジンまたは、その塩の殺菌剤有効成分を含有することを
特徴とする殺菌剤組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は殺菌剤組成物及び作
物の病害防除方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 (±)−2−(2,4−ジクロロフェ
ニル)−3−(1−1,2,4−トリアゾール−1−
イル)プロピル=1,1,2,2−テトラフルオロエチ
ル=エーテル(以下テトラコナゾールと記す。)は各種
作物のうどんこ病、トマトの葉かび病、茶の炭疽病、り
んご及びなし等の黒星病及び赤星病に卓効を示す農園芸
用殺菌剤の有効成分として知られている化合物であり、
農薬時報(臨時増刊、平成11年9月10日(株)化学
工業日報社発行)に記載されている。また1,1’−イ
ミノジ(オクタメチレン)ジグアニジン=トリス(アル
キルベンゼンスルホナート)(以下イミノクタジンアル
ベシル酸塩と記す。)および1,1’−イミノジ(オク
タメチレン)ジグアニジニウム=トリアセテート(以下
イミノクタジン三酢酸塩と記す。)も幅広い殺菌スペク
トラムを有し、果樹、各種作物の病害に対して優れた防
除効果を示す既知の殺菌剤化合物であり、例えば「農薬
ハンドブック」1998年版、327,328頁(平成
10年12月15日社団法人日本植物防疫協会発行)に
記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】農園芸作物の栽培にあ
たり、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されて
いる。しかしながら同時に複数の病害が発生し、一種類
の有効成分だけではその効果が不十分であったり、薬剤
耐性菌の出現により、その薬剤の使用が制限されること
がしばしば見受けられる。そこで、従来の殺菌剤の欠点
を補完し、安定した防除効果をもたらす混合剤の出現が
望まれている。本発明は、農園芸用に適した殺菌剤組成
物及び作物の病害防除方法を提供することを課題とする
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、テトラコナゾ
ールとイミノクタジンまたは、その塩とを有効成分とし
て含有する本発明の殺菌剤組成物が、幅広い殺菌スペク
トラムを有し、かつ低薬量でも安定した殺菌効果を示
し、しかも両薬剤の単独施用では実用的な効果を示さな
い低薬量の施用においても、作物の病害に対する高い防
除効果を挙げることを見出し、本発明を完成した。
【発明の実施の形態】
【0005】本発明において用いられるテトラコナゾー
ルとイミノクタジンまたは、その塩とは共に市販されて
おり、市販品をそのまま本発明に用いることができる。
本発明の殺菌剤組成物中に含まれるテトラコナゾールと
イミノクタジンまたは、その塩との割合は通常重量比に
して20:1〜1:50、好ましくは10:1〜1:1
0であり、また、本発明の殺菌剤組成物中には、テトラ
コナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とが一般
に、合計量にして、0.01〜99重量%、好ましくは
2〜80重量%含有される。
【0006】本発明の殺菌剤組成物は、両有効成分の混
合物そのものであってもよいが、通常は担体、界面活性
剤、分散剤及びその他の補助剤等の配合された水和剤、
顆粒水和剤、粉剤、水中懸濁剤等の製剤形態を有する。
【0007】担体としては、例えばクレー、タルク、ベ
ントナイト、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、炭
酸カルシウム、ジークライト、尿素、硫酸アンモニウ
ム、澱粉等の固体担体、トルエン、キシレン、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ソルベントナフサ
(エクソン化学(株)製溶剤)、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド等の液体担体が挙げられる。
界面活性剤及び分散剤としては、例えばアルキルスルホ
ン酸金属塩(以下金属塩とはナトリウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金
属塩を示す。)リグニンスルホン酸金属塩、ジアリール
アルキルジスルホン酸金属塩、アルコール硫酸エステル
類、アルキルアリールスルホン酸金属塩、ポリオキシエ
チレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエ
チレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノアルキレート等が挙げられる。その他の補助剤として
は、カルボキシメチルセルロース塩類、ポリビニルアル
コール類、キタンサンガム、ポリアクリル酸塩類等の接
合剤、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール等、凍結防止剤等が挙げられ
る。
【0008】上記の担体及び補助剤は製剤される剤型、
使用場面等を考慮して、目的に応じてそれぞれ単独で、
或いは組み合わせて適宜使用される。
【0009】本発明の病害防除方法においては、通常、
上述した本発明の殺菌剤組成物が用いられるが、テトラ
コナゾールとイミノクタジンまたは、その塩とを予め混
合することなく、各々の化合物又は製剤を順次使用して
もよい。
【0010】本発明の病害防除方法においては、通常、
殺菌剤有効成分のテトラコナゾールとイミノクタジンま
たは、その塩とを重量比にして20:1〜1:50、好
ましくは10:1〜1:10の割合で、有害病原菌に感
染している、或いはその恐れのある作物に施用する。施
用濃度及び施用量は、製剤の剤型、対象病害、発生傾
向、被害の程度、環境条件等によって変わるが、粉剤の
ようにそのまま使用する場合は有効成分量として10ア
ール当たりテトラコナゾール0.01g〜2.5Kg、
好ましくは1g〜500g、イミノクタジンまたは、そ
の塩0.05g〜2.5Kg、好ましくは5g〜500
gの範囲で適宜選ぶ。水和剤、顆粒水和剤又は水中懸濁
剤のように水で希釈して使用する場合は、テトラコナゾ
ール0.1〜5000ppm、好ましくは1〜1000
ppm、イミノクタジンまたは、その塩0.5ppm〜
5000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppm
の範囲から散布濃度を適宜選ぶ。施用量は一般に、10
アール当たりテトラコナゾールは0.01g〜2.5K
g、好ましくは1g〜500gで、イミノクタジンまた
は、その塩は0.05g〜2.5Kg、好ましくは5g
〜500gである。
【0011】本発明の病害防除方法において、本発明の
殺菌剤組成物を施用する際に、必要により動力噴霧器、
肩掛け噴霧器、ハンドスプレーヤー等の噴霧器を用い、
有害病原菌に感染している、或いはその恐れのある作物
に散布することができる。また、施用に際して、他の殺
虫剤、殺菌剤、植物生長調節剤及び肥料等と混合して施
用することもできる。
【0012】本発明の殺菌剤組成物は、有害病原菌に感
染している、或いはその恐れのある作物、例えばきゅう
り、トマト、いちご、なす、たまねぎ、ねぎ、にんじん
及びすいか等の野菜類、りんご、なし、もも、みかん及
びかき等の果樹類、茶、大豆等に適用することにより、
優れた殺菌作用を呈し、例えばうどんこ病、葉かび病、
灰色かび病、黒星病、赤星病、さび病、斑点落葉病、黒
斑病、輪紋病、炭疽病、紫斑病、斑点病、菌核病等に好
適であるが、なかでもうどんこ病、葉かび病、炭疽病、
黒星病、赤星病、さび病、灰色かび病の防除には最適で
ある。また、本発明の病害防除方法は、これらの病害を
防除するのに適している。
【0013】
【実施例】以下、実施例にて本発明をより詳細に説明す
る。まず本発明の殺菌剤組成物の製剤例を挙げて、具体
的に説明する。有効成分量及び補助成分の種類及び配合
量は、これらのみに限定されることなく、本発明の主旨
を損なわない範囲で任意に変更が可能である。以下の説
明において「部」は重量部を意味する。
【0014】実施例1水和剤 テトラコナゾール6部をホワイトカーボン40部に吸着
させ、次にイミノクタジンアルベシル酸塩20部、ポリ
オキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニ
ウム塩4部、アルキル硫酸塩2部及びクレー28部をジ
ュースミキサーを用いて均一に粉砕混合して水和剤を得
た。
【0015】実施例2顆粒水和剤 テトラコナゾール6部をホワイトカーボン40部に吸着
させ、次にイミノクタジンアルベシル酸塩20部、ポリ
オキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニ
ウム塩4部、アルキル硫酸塩2部、ホリビニルアルコー
ル2部及びクレー26部を加え、ジュースミキサーを用
いて均一に粉砕混合する。この混合物を乳鉢に移し、水
17部を加え十分混練し、0.6mm径のスクリーンを
装着した横型造粒機で押出造粒し、湿式整粒後流動層乾
燥機で50〜60℃の熱風を吹き込んで乾燥し、顆粒水
和剤を得た。
【0016】実施例3粉剤 テトラコナゾール0.4部、イミノクタジンアルベシル
酸塩1.5部、ホワイトカーボン5部、及びクレー9
3.1部をジュースミキサーを用いて均一に粉砕混合し
て粉剤を得た。
【0017】次に本発明の病害防除方法を試験例を挙げ
て詳細に説明する。
【0018】試験例1 本葉2葉期のキュウリ(ポット植)を用いうどんこ病菌
(Sphaerotheca cucurbitae)
に対する効果を検討した。ここで用いた菌は2000年
に新潟より採集したものをテトラコナゾール10ppm
水溶液を散布したキュウリに接種して発生したテトラコ
ナゾール低感受性菌である。薬剤希釈液をハンドスプレ
ーを用いキュウリに十分量散布した。1区3ポット反
復。薬液乾燥後うどんこ病菌の胞子懸濁液を噴霧接種し
た。接種後は気温25℃のガラスハウスに静置し葉に水
がかからないように管理した。接種13日後に本葉の発
病程度を調査した。 調査基準 発病指数 発病程度 0 : 発病なし 0.5 : 病斑面積率 5%以下 1 : 病斑面積率 5%〜10% 2 : 病斑面積率10%〜25% 3 : 病斑面積率25%〜50% 4 : 病斑面積率50%以上 発病度=100×発病指数合計÷(4×調査葉数) テトラコナゾールとイミノクタジンアルベシル酸塩の混
用によるキュウリうどんこ病に対する効果は上表から明
らかなように高い相乗効果を示す。
【0019】試験例2 なし(品種:二十世紀)を用い混用および各単用で10
日間隔で3回散布し3回目散布の10日後に1樹あたり
50葉の黒斑病(Alternaria kikuch
iana)の発病程度を調査し発病度を算出した。 調査基準 発病指数 発病基準 0 : 病斑なし 1 : 病斑数1〜3個 3 : 病斑数4〜7個 5 : 病斑数8個以上 発病度=100×発病指数合計÷(5×調査葉数) 上表から明らかなように、テトラコナゾールとイミノク
タジンアルベシル酸塩133ppmの混用の結果、なし
黒斑病に対して優れた相乗効果が認められた。
【0020】
【発明の効果】本発明の殺菌剤組成物は、幅広い殺菌ス
ペクトラムと作物に対する高い安全性を有し、それぞれ
の殺菌剤有効成分の単独施用では実用的な効果の得られ
ない低薬量の施用において、両殺菌剤有効成分を混合す
ることにより、協力的に作用し、高い相乗効果が得ら
れ、実用的に高い防除効果を示すものであり、さらに薬
剤不効の原因となる耐性菌や低感受性菌にも有効である
ことを示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H011 AA01 BA01 BA06 BB09 BB11 BC07 BC18 BC19 BC20 DA02 DA15 DC01 DC05 DC06 DC08 DF06 DH02 DH03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (±)−2−(2,4−ジクロロフェニ
    ル)−3−(1−1,2,4−トリアゾール−1−イ
    ル)プロピル=1,1,2,2−テトラフルオロエチル
    =エーテル(以下テトラコナゾールと記す。)と1,
    1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジン(以下
    イミノクタジンと記す。)または、その塩を有効成分と
    して含有することを特徴とする殺菌剤組成物。
  2. 【請求項2】テトラコナゾールとイミノクタジンまた
    は、その塩との含有量が重量比にして20:1〜1:5
    0の範囲内にある請求項1記載の殺菌剤組成物。
  3. 【請求項3】テトラコナゾールとイミノクタジンまた
    は、その塩とを作物に施用することを特徴とする作物の
    病害防除方法。
  4. 【請求項4】テトラコナゾールとイミノクタジンまた
    は、その塩との各々の施用量が重量比にして、20:1
    〜1:50の範囲内にある請求項3記載の作物の病害防
    除方法。
  5. 【請求項5】請求項1のイミノクタジンまたは、その塩
    が1,1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジン
    =トリス(アルキルベンゼンスルホナート)(以下イミ
    ノクタジンアルベシル酸塩と記す。)である請求項1,
    2記載の殺菌剤組成物。
  6. 【請求項6】請求項5記載の殺菌剤組成物の請求項3,
    4記載の作物の病害防除方法。
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