JP3086746B2 - 農園芸用殺菌剤組成物 - Google Patents

農園芸用殺菌剤組成物

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JP3086746B2
JP3086746B2 JP04091576A JP9157692A JP3086746B2 JP 3086746 B2 JP3086746 B2 JP 3086746B2 JP 04091576 A JP04091576 A JP 04091576A JP 9157692 A JP9157692 A JP 9157692A JP 3086746 B2 JP3086746 B2 JP 3086746B2
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真一郎 前野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は2−アニリノ−4−メチ
ル−ピリミジン誘導体と2,6−ジクロロ−4−ニトロ
アニリン、3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イ
ソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−カ
ルボキシミド、N−(3,5−ジクロロフェニル)−1,
2−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシミ
ド、アルミニウムトリスエチルホスホネートまたはポリ
オキシンから選ばれる1種以上を有効成分として含有す
ることを特徴とする農園芸用殺菌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の農園芸用殺菌剤組成物の一方の
有効成分である2−アニリノ−4−メチル−ピリミジン
誘導体はイネいもち病、キュウリうどんこ病、各種作物
の灰色かび病、リンゴ黒星病、斑点落葉病などに卓効を
示す農園芸用殺菌剤として知られる公知化合物である
(特開昭62−106084号公報、特開昭63−20
8581号公報及び東独特許第151404号)。他方
の有効成分である2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリ
ン(一般名CNA)、3−(3,5−ジクロロフェニ
ル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリ
ジン−1−カルボキシミド(一般名イプロジオン)、N
−(3,5−ジクロロフェニル)−1,2−ジメチルシク
ロプロパン−1,2−ジカルボキシミド(一般名プロシ
ミドン)、アルミニウムトリスエチルホスホネート(一
般名ホセチル)及びポリオキシンも作物病害防除剤とし
て広く使用されている公知の殺菌剤である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】農園芸作物の栽培に当
たり、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されて
いる。しかしながら同時期に複数の病害が発生し、1種
の有効成分だけではその防除効果が不十分であったり、
薬剤耐性菌の出現によりその薬剤の使用が制限されるこ
とがしばしばある。本発明の農園芸用殺菌剤組成物の一
方の有効成分である2−アニリノ−4−メチル−ピリミ
ジン誘導体は灰色かび病を有効に防除するものの、同時
期に発生する菌核病には効果が不十分である。また、他
の病害に関しても低薬量の施用では効果が不安定になる
ことがある。他の有効成分であるCNAは菌核病には有
効であるが、低濃度においては防除効果が低く、同時に
発生する灰色かび病には無効でありイプロジオン、プロ
シミドンは低濃度において菌核病に対する防除効果が低
く、灰色かび病には薬剤耐性菌の出現によりその防除効
果が不安定になってきている。また、ホセチル、ポリオ
キシンはリンゴ斑点落葉病には有効であるが、同時防除
が必要な黒星病には有効でない。そのため、両剤とも幅
広い殺菌スペクトラムと安定した効果を具備する共力剤
の出現が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる課題
を解決するために鋭意検討した結果、2−アニリノ−4
−メチル−ピリミジン誘導体にCNA、イプロジオン、
プロシミドン、ホセチルまたはポリオキシンから選ばれ
る1種以上を有効成分として配合してなる本発明の農園
芸用殺菌剤組成物が、幅広い殺菌スペクトラムを有しか
つ、低薬量の施用においても安定した効果を示し、しか
も、単独施用では実用効果の得られない低薬量の施用に
おいても、共力作用を発揮して極めて高い防除効果を示
すことを見いだし本発明を完成したものである。即ち、
本発明は一般式
【0005】
【化2】
【0006】(式中、Rはメチル基、エトキシ基、ハロ
ゲン原子または1−プロピニル基を示す)にて示される
2−アニリノ−4−メチル−ピリミジン誘導体から選ば
れる化合物と2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン、
3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−イソプロピル
−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−カルボキシミ
ド、N−(3,5−ジクロロフェニル)−1,2−ジメチ
ルシクロプロパン−1,2−ジカルボキシミド、アルミ
ニウムトリスエチルホスホネートまたはポリオキシンか
ら選ばれる1種以上を有効成分として含有することを特
徴とする農園芸用殺菌剤組成物を提供するものである。
【0007】本発明の農園芸用殺菌剤組成物の有効成分
であるポリオキシンは、ストレプトミセス・カカオイ・
バリアント・アソエンシス(Streptomyces cacaoi var.
asoensis)が生産する抗生物質(特公昭42−1094
1号公報)で、ポリオキシンBを意味するが、ポリオキ
シンB以外のフラクション、例えばA、D、L、M等と
の混合物を使用することもできる。
【0008】2−アニリノ−4−メチル−ピリミジン誘
導体の代表化合物としては2−アニリノ−4、6−ジメ
チル−ピリミジン(化合物1)、2−アニリノ−4−エ
トキシ−6−メチル−ピリミジン(化合物2)、2−ア
ニリノ−4−ヨード−6−メチル−ピリミジン(化合物
3)、2−アニリノ−4−ブロム−6−メチル−ピリミ
ジン(化合物4)および2−アニリノ−4−メチル−6
−(1−プロピニル)−ピリミジン(化合物5)が挙げ
られる。なお、化合物番号は以下の記載において参照さ
れる。
【0009】本発明の殺菌剤組成物は各種蔬菜類、マメ
類の灰色かび病はもちろん、菌核病、うどんこ病に有効
である。また、リンゴ斑点落葉病、うどんこ病および黒
星病のほか、ナシ黒斑病および黒星病にも高い効果を示
す。
【0010】本発明の農園芸用殺菌剤組成物を施用する
場合、有効成分に他の成分を加えずにそのまま使用して
もよいが、通常は農薬製剤上汎用される担体、界面活性
剤、分散剤または補助剤などを配合して常法により水和
剤、粉剤、水性懸濁液剤等に製剤する。これらの製剤に
は有効成分として0.5%〜90.0%、好ましくは
2.0%〜80.0%を含有する。また、2−アニリノ
−4−メチル−ピリミジン誘導体とCNA、イプロジオ
ン、プロシミドン、ホセチルまたはポリオキシンから選
ばれる化合物の重量比は1:0.05〜1:100、好
ましくは1:0.1〜1:20である。
【0011】好適な担体としては、例えばクレー、タル
ク、ベントナイト、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボ
ン、炭酸カルシウム、消石灰、珪砂、硫安、尿素、バー
ミキュライトなどの固体担体があげられる。界面活性剤
及び分散剤としては、例えばジアリールアルキルジスル
ホン酸塩、アルコール硫酸エステル類、アルキルアリー
ルスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエ
チレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエ
チレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノアルキレートなどがあげられる。その他補助剤とし
て、カルボキシメチルセルロース、エチレングリコール
などがあげられる。これらの製剤を適宜な濃度に希釈し
て散布するかまたは直接施用する。
【0012】本発明の農園芸用殺菌剤の施用量は、使用
される化合物の種類、対象病害、発生傾向、被害の程
度、環境条件、使用する剤型などによって変動するが、
粉剤のようにそのまま使用する場合は有効成分として1
0アール当り0.1g〜5kg、好ましくは1g〜1k
gの範囲で適宜に選択する。また、水和剤あるいは懸濁
製剤のように最終的に液状で使用する場合は、0.1〜
10000ppm、好ましくは10〜3000ppmの
範囲から散布濃度を適宜に選択する。
【0013】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、有効成分及びその他成分の配合割合は本発明の
主旨を損なわない範囲で任意に変更しうるものである。
また、実施例中の%は重量を意味する。
【0014】実施例1 化合物1 2%、ポリオキシン1%、珪藻土5%及びク
レー92%を均一に粉砕混合して粉剤を得る。
【0015】実施例2 化合物2 10%、プロシミドン20%、ポリオキシエ
チレンスチリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩4
%、ナフタレンスルホン酸ナトリウム1%及びクレー6
5%を均一に粉砕混合して水和剤を得る。
【0016】実施例3 化合物1 5%、CNA50%、ポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル5%及びクレー40%を均一に
粉砕混合して水和剤を得る。
【0017】実施例4 化合物3 20%、イプロジオン8%、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル3%、リグニンスルホン酸
ナトリウム2%及びクレー67%を均一に粉砕混合して
水和剤を得る。
【0018】実施例5 化合物5 5%、ホセチル25%、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル3%、リグニンスルホン酸ナト
リウム2%及びクレー65%を均一に粉砕混合して水和
剤を得る。
【0019】実施例6 化合物6 10%、CNA40%、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル3%、リグニンスルホン酸ナト
リウム2%及びクレー45%を均一に粉砕混合して水和
剤を得る。
【0020】実施例7 化合物5 20%、ポリオキシン20%、ポリオキシエ
チレンアルキルアリールエーテル硫酸塩4%、エチレン
グリコール10%及び水46%を湿式粉砕して懸濁剤を
得る。
【0021】実施例8 化合物1 5%、イプロジオン35%、エチレングリコ
ール10%及び水50%を湿式粉砕して懸濁剤を得る。
【0022】実施例9 化合物2 5%、イプロジオン20%、ラウリルアルコ
ール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホ
ン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%
及びクレー66%を均一に混合粉砕する。この混合物に
水20%を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜
32メッシュの粒状に加工したのち、乾燥して粒剤とし
た。
【0023】次に本発明の農園芸用殺菌組成物の奏する
効果を試験例を挙げて具体的に説明する。 試験例1 インゲン菌核病予防効果試験 9cm×9cmの塩化ビニール製鉢にインゲン種子(品
種:江戸川)を6粒づつ播種し、温室内で7日間育成さ
せた。初生葉が展開したインゲン幼苗に実施例4、6お
よび7に準じて調製した水和剤またはゾル剤を所定濃度
になるように水で希釈し、1鉢当たり10ml散布し
た。風乾後、インゲン菌核病菌(Sclerotinia scleroti
orum)の菌糸磨砕液を噴霧接種し、20〜23℃の湿室
内に入れた。接種5日後に初生葉の発病程度を下記基準
により指数調査し、得られた数値をもとに数1により被
害度を求め、さらに数2により防除価を求めた。結果を
表1に示した。尚、無処理区の被害度は70%であっ
た。
【0024】発病指数0:発病を認めず 〃 1:1/3未満の発病面積 〃 2:1/3〜2/3未満の発病面積 〃 3:2/3以上の発病面積
【0025】
【数1】
【0026】
【数2】
【0027】
【表1】
【0028】試験例2 キュウリうどんこ病予防効果試
験 9cm×9cmの塩化ビニール製鉢にキュウリ種子(品
種:相模半白)を12粒づつ播種し、温室内で7日間育
成させた。子葉が展開したキュウリ幼苗に実施例2、3
および7に準じて調製した水和剤またはゾル剤を所定濃
度になるように水で希釈し、1鉢当たり10ml散布し
た。風乾後、キュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca ful
iginea)の胞子を接種し、25〜30℃の温室内に入れ
た。接種10日後に子葉の発病程度を下記基準により指
数調査し、得られた数値をもとに数3により被害度を求
め、さらに数2により防除価を求めた。結果を表2に示
した。尚、無処理区の被害度は98〜100%であっ
た。
【0029】発病指数0:発病を認めず 〃 1:病斑がわずか(数個)認められる。 〃 2:病斑が葉面積の1/4を占める。 〃 3:病斑が葉面積の1/4〜1/2を占める。 〃 4:病斑が葉面積の1/2以上をを占める。 〃 5:枯死
【0030】
【数3】
【0031】
【表2】
【0032】試験例3 キュウリ灰色かび病予防効果試
験 9cm×9cmの塩化ビニール製鉢各々にキュウリ種子
(品種:相模半白)を12粒づつ播種し、温室内で7日
間育成させた。子葉が展開したキュウリ幼苗に実施例3
および8に準じて調製した水和剤またはゾル剤を所定濃
度になるように水で希釈し、1鉢当たり10ml散布し
た。風乾後、キュウリ灰色かび病菌(Botrytis cinere
a)の菌糸磨砕液を噴霧接種し、20〜23℃の湿室内
に入れた。接種3日後下記の基準により鉢全体の発病程
度を調査し、得られた数値をもとに数4により被害度を
求め、さらに数2により防除価を求めた。結果を表3に
示した。尚、無処理区の被害度は98〜100%であっ
た。
【0033】発病指数 0: 発病を認めず 〃 1: 25%未満の発病面積 〃 2: 26〜50%の発病面積 〃 3: 51〜75%の発病面積 〃 4: 76%以上の発病面積
【0034】
【数4】
【0035】
【表3】
【0036】試験例4 ナシ黒斑病防除効果試験 圃場に植えたナシ苗木(品種:二十世紀)を強剪定し供
試した。実施例5に準じて調製した水和剤を所定濃度に
なるように水で希釈し、1樹当り700ml散布した。
7日間隔で4回散布し、最終散布16日後に下記基準に
より1樹当り10徒長枝の葉の発病程度を指数で調査
し、得られた数値をもとに数5により被害度を求め、数
2により防除価を求めた。結果を表4に示した。尚、無
処理区の被害度は21%であった。
【0037】発病指数0:病斑を認めず 〃 1:病斑数3個以下 〃 2:病斑数4〜10個 〃 3:病斑数11個〜病斑面積25%未満 〃 4:病斑面積25%〜50%未満 〃 5:病斑面積50%以上 〃 6:落葉
【0038】
【数5】
【0039】
【表4】
【0040】
【発明の効果】本発明の殺菌剤組成物は、それぞれの有
効成分の単独施用では実用効果の得られない低薬量施用
において、両者を混合することにより共力的に作用し相
乗効果が得られ、実用的な高い防除効果を示すものであ
る。その結果、各種蔬菜類、マメ類に発生する灰色かび
病および菌核病に対して同時防除を可能にするものであ
る。さらに、本発明の殺菌剤組成物は各種蔬菜類のうど
んこ病、リンゴ斑点落葉病、うどんこ病および黒星病の
ほか、ナシ黒斑病および黒星病にも高い効果を示すもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A01N 63/02 A01N 63/02 G (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 43/54 A01N 33/18 A01N 47/12 102 A01N 47/38 A01N 57/12 A01N 63/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、Rはメチル基、エトキシ基、ハロゲン原子また
    は1−プロピニル基を示す)にて示される2−アニリノ
    −4−メチル−ピリミジン誘導体と2,6−ジクロロ−
    4−ニトロアニリン、3−(3,5−ジクロロフェニ
    ル)−N−イソプロピル−2,4−ジオキソイミダゾリ
    ジン−1−カルボキシミド、N−(3,5−ジクロロフ
    ェニル)−1,2−ジメチルシクロプロパン−1,2−ジ
    カルボキシミド、アルミニウムトリスエチルホスホネー
    トまたはポリオキシンから選ばれる1種以上を有効成分
    として含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤組成
    物。
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