JP2002166218A - 両面同時塗工方法 - Google Patents
両面同時塗工方法Info
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Abstract
化合物を含有せしめかつ膜両面に均一な厚みの高分子化
合物層を同時に形成することができる、両面同時塗工方
法を提供する。 【解決手段】 高分子化合物を含む塗液を保持せしめた
表裏に連通した孔を有する多孔質薄膜を、該薄膜の搬送
路を介し所定のクリアランスを有して対峙し、且つ該薄
膜の搬送方向と逆方向に所定の回転周速で回転する二つ
のロールの間を通過させ、該薄膜の孔中に該塗液を含浸
せしめ且つ該薄膜の表裏に均一な厚みの塗膜を形成する
両面同時塗工方法など。
Description
不織布などの表裏に連通した孔を有する多孔質薄膜の表
裏両面に高分子化合物を含む塗液を含浸・塗布し均一な
厚みの塗膜を形成する塗工方法に関する。さらに本発明
は、かかる塗工方法を用いた、例えばリチウムイオン二
次電池用セパレータの製造に利用することのできる、表
裏に連通した孔を有する多孔質薄膜の孔中に高分子化合
物が充填され且つ該薄膜の表裏に該高分子化合物を含む
均一な厚みの膜を有する複合膜の製造方法に関する。
とし、その基材の両面に高分子化合物を含む塗膜を形成
する両面塗工方法としては、たとえば基材を塗液の中に
浸漬した後に引き上げて計量するディップ塗工方法(例
えば特開平7−289964号公報)、基材に片面塗工
した後に連続してその反対面に同様に片面塗工する片面
逐次塗工方法(例えば特開昭55−500893号公
報)、ダイやコーティングロールにより計量した塗工液
を基材に転写する転写式塗工方法(例えば特開昭62−
42764号公報)が知られている。
化合物を含む塗液を塗布した後にその基材を固定バーや
ドクターブレードもしくはロールによりニップし計量す
る。固定式の計量方法である固定バーやドクターブレー
ドでは基材送り出し方向の反対面(計量部)が汚れるた
め、塗工筋や塗工斑が頻繁に発生し、連続運転に適用で
きないという問題がある。またロールによりニップし塗
布する方法では塗液の乱れ等により塗膜の表面が荒れて
しまうという問題がある。
は、基材が表裏に連通した孔を有する多孔質薄膜の場
合、塗液の含浸が不十分であり、また転写後の塗膜が固
化するまでの間に薄膜中に浸透してしまうため塗膜の厚
みを一定に保持できない。一方、従来、例えばリチウム
イオン二次電池などの電池用セパレータ(多孔性基材と
電解質とからなる複合膜)の製造方法として、ディップ
塗工方法を利用した方法(例えば特開昭53−3664
3号公報)、片面逐次塗工方法を利用した方法(例えば
特開平10−162802号公報)などがある。
工方法で説明したのと同様な、塗工斑が発生するなどの
問題や、含浸が不十分である、あるいはまた、塗膜の厚
みを一定に保持できないなどの問題があり、多孔性基材
の孔中に電解質が含浸せしめられ且つ基材の両面に均一
な厚みの電解質膜を形成せしめるには不十分であった。
さらに、従来法には、連続生産の安定性やコストなど工
業生産上の問題もあった。
間の連続運転が可能であるなどの工業生産性に優れた、
表裏に連通した孔を有する多孔質薄膜の孔中に高分子化
合物を含む塗液を十分に含有せしめ且つ該薄膜の表裏面
に該塗液からなる均一な厚みの塗膜を同時に形成するこ
とができる、両面同時塗工方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、上記塗工方法をその工程中に含
む、表裏に連通した孔を有する多孔質薄膜の孔中に高分
子化合物が充填され且つ該薄膜の表裏に該高分子化合物
を含む均一な厚みの膜を有する複合膜の製造方法を提供
することにある。また本発明の目的は、電池用セパレー
タとして用いることができる上記複合膜の製造方法を提
供することにある。
通した孔を有する多孔質薄膜に対して高分子化合物を含
む塗液を過剰量保持せしめ、次いでこの薄膜を、この薄
膜の搬送路を介し所定のクリアランス部を有して対峙
し、且つ該薄膜の搬送方向と逆方向に回転する二つのロ
ールの間を通過させることで、この二つのロールのクリ
アランス部でこの薄膜に付着した塗液にせん断力をか
け、塗液の圧力を上昇させ、且つ二つのロールで過剰な
塗液を掻き取ると同時に塗膜表面を整えることによりか
かる問題が解決されることを知見して本発明に到達した
ものである。
合物を含む塗液を過剰量保持せしめた表裏に連通した孔
を有する多孔質薄膜を、該薄膜の搬送路を介し所定のク
リアランスを有して対峙し、且つ該薄膜の搬送方向と逆
方向に回転する二つのロールの間を通過させ、該薄膜の
孔中に該塗液を含浸せしめ且つ該薄膜の表裏面に均一な
厚みの塗膜を形成する両面同時塗工方法である。
%〜70%である上記発明記載の塗工方法。 3. 該薄膜が、不織布で透気度(ガーレー値;JIS
P8117)が10秒以下である上記発明または2に記
載の塗工方法。 4. 該薄膜が、微多孔膜で透気度(ガーレー値;JI
SP8117)が50秒〜500秒である上記発明また
は2に記載の塗工方法。 5. 該高分子化合物が、ポリ弗化ビニリデンの共重合
体である上記発明〜4のいずれかに記載の塗工方法。 6. 該塗液が、該高分子化合物と水溶性溶媒とからな
る粘度が0.01Pa・s〜50Pa・sの塗液である
上記発明〜5のいずれかに記載の塗工方法。 7. 該ロールが、その表面の表面粗さが6.3Sであ
る上記発明〜6いずれかに記載の塗工方法。 8. 該ロールが、巻き線式ワイヤーバーもしくは溝切
りロールである上記発明〜6いずれかに記載の塗工方
法。 が含まれる。
8のいずれかに記載の塗工方法により表裏に連通した孔
を有する多孔質薄膜に高分子化合物を含む塗液を塗工
し、次いで塗工された該薄膜を水系の凝固浴に浸漬して
該高分子化合物を固化させる、該薄膜の孔中に該高分子
化合物が充填され且つ該薄膜の表裏に均一な厚みの該高
分子化合物を含む膜を有する複合膜の製造方法である。
かかる第二の発明には、該複合膜がリチウムイオン二次
電池用セパレータである複合膜の製造方法、が含まれ
る。
において使用される表裏に連通した孔を有する多孔質薄
膜としては、例えば不織布、織物、紙様シート、または
微多孔膜などの薄膜状のものが挙げられる。これらは、
2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、こ
れらの多孔質薄膜の材料としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、半芳香族または全芳香族ポリエス
テル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))、ポ
リオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、
ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、
ポリスルフォン)などを挙げられる。これらのなかで
も、本発明の多孔質薄膜の形状としては不織布状シート
および微多孔膜が好ましい。
はないが、膜厚5〜100μm、多孔度20%〜75
%、より好ましくは膜厚7〜60μm、多孔度30%〜
70%である。これらのうちでも膜厚7〜50μm、多
孔度40〜60%、透気度(ガーレー値;JISP81
17)10秒以下以下なかでも0.001秒以上5秒以
下の不織布または、膜厚7〜50μm、多孔度40〜6
0%、透気度(ガーレー値;JISP8117)50秒
〜500秒なかでも100〜400秒の微多孔膜がより
好ましい。膜厚5μm未満では例えばリチウムイオン二
次電池用セパレータ用途では強度不足となりがちのため
好ましくなく、膜厚100μmを超えると例えばリチウ
ムイオン二次電池用セパレータ用途ではインピーダンス
が高くなるため好ましくない。
えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポ
リエチレンなどの不織布で目付量が3g〜30g/m2
で膜厚が7〜50μmのもの、およびポリプロピレンや
ポリエチレンなどの微多孔膜で膜厚が7〜50μmのも
のを例示することができる。本発明において使用される
高分子化合物としては特に限定されるものではなく、得
られる複合膜の使用目的に応じて適宜選択すればよく特
に制限されない。
サー用のセパレータとして利用する場合は、高分子化合
物としてポリ弗化ビニリデン、ポリアクリルニトリル、
ポリアルキレンオキシド、ポリメチルメタクリレートま
たはこれらの共重合体などを挙げることができる。これ
らの高分子化合物は単独で、或いは2種以上を組み合わ
せて用いることができる。また必要に応じて、これら高
分子化合物に安定化剤などを適量添加して用いることも
できる。この中でも特に電気化学的に安定なポリ弗化ビ
ニリデンの共重合体が好適に用いられる。
含む塗液としては、高分子化合物を溶媒に溶解したも
の、該化合物の微粒子を水系溶媒に分散させたもの(ラ
テックス溶媒)、該化合物単独もしくはそれと可塑化剤
との混合物を加熱し、溶融状態としたものなどが挙げら
れる。これらの内でも特に塗液の粘度の調整が容易なこ
とから該化合物を溶媒に溶解したものが好適に用いられ
る。この際用いる溶媒としては多孔質薄膜基材とのぬれ
性が良好で、しかも該基材を膨潤、溶解せしめないもの
が好適に用いられる。例えば、高分子化合物がポリ弗化
ビニリデン、ポリアクリルニトリル、ポリアルキレンオ
キシド、ポリメチルメタクリレート、またはこれらの共
重合体などである場合には、溶媒としては、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、アセトニトリルなどの水溶性溶媒やアセトンなどの
揮発性溶媒が好ましいものとして挙げられる。なかで
も、上記の水溶性溶媒が好ましい。
的から界面活性剤等の第3成分を添加および/または多
孔質薄膜基材に親水化処理をほどこしても構わない。ま
た塗液には複合膜の強度を向上する等の目的から無機粒
子等の第3成分を添加しても構わない。本発明の塗液の
粘度、乾燥性などの物性は、適宜調整することができる
が、塗液が高分子化合物と水溶性溶媒とからなる場合に
は、かかる塗液の粘度は0.01Pa・s〜50Pa・
sであるのが好ましい。0.01Pa・s未満では、塗
布後の塗液の表面性が悪くなりがちであり、50Pa・
sを超えると流動性が悪化し塗布そのものが困難となり
がちである。粘度がこの範囲内であると塗布を安定して
行うことが可能となり好ましい。
ては、例えば含浸法、スプレー法など特に限定されない
が、浸漬浴に薄膜を浸漬・通過させる方法のほかに、後
記の図2に示すように2つのダイ7、8を用いて多孔質
薄膜の両面に塗液を塗布することも可能である。保持せ
しめる塗液の量は、多孔質薄膜の孔中に充填せしめる高
分子化合物の量と該薄膜の表裏に均一に形成しようとす
る高分子化合物を含む膜の厚み、高分子化合物を含む塗
液の物性や該多孔質薄膜への塗液の保持性などに応じて
適宜調整することができる。また塗液は、多孔質薄膜の
表裏両面に保持させるのが、この薄膜の孔中に塗液を含
浸させ且つ表裏に同時に均一な塗膜を形成させる上で好
ましい。
中に所望量を充填せしめ表裏に均一な膜を形成せしめる
のに必要な量に対して過剰量の塗液を保持する多孔質薄
膜を、該薄膜の搬送路を介し所定のクリアランスを有し
て対峙し、且つ該薄膜の搬送方向と逆方向に回転する二
つのロールの間を通過させる。薄膜の搬送方向として
は、後記の図1などに示したような下向き、あるいはそ
の逆に上向き、または横向きなど特に限定されず、多孔
質薄膜への塗液の保持性に応じて、あるいは粘度、乾燥
性など塗液の物性に応じて、工程の全体から適宜選択す
ることができる。一般的には、本発明の目的や工程の効
率性から、下向きないし上向き、なかでも下向きに搬送
するのが好ましい。
逆方向に回転する。これにより、二つのロールのクリア
ランスで薄膜に塗布した塗液にせん断力をかけ、塗液の
圧力を高めることにより薄膜の孔中に塗液を十分含浸せ
しめることができる。なおこの場合、多孔質薄膜の形状
が不織布状シートである場合には、その孔中に十分量の
塗液を充填せしめることができる。一方、多孔質薄膜の
形状が微多孔膜の場合には、孔の口径にもよるが一般的
にはその表面孔中において塗液を充填せしめることがで
きる。それと同時に二つのロールにより過剰な塗液を両
面同時に掻き取り、その掻き取った過剰な塗液をロール
上で順次搬送し、たとえば接触式のブレードを用いた掻
き落とし装置を使用して任意の位置でロール上から塗液
を掻き落とすことによりロール表面を清浄にすることが
できる。
である場合には、図5に示すように浸漬浴4およびロー
ル1、ロール2を一体化し二つのロール上部で浸漬浴の
下面をシールすることによりたとえば接触式のブレード
を用いた掻き落とし装置を省略することが可能である。
これにより薄膜に保持せしめた塗液のうち過剰な塗液を
掻き落とす直前のロールは常にロール表面に塗液の付着
がなく清浄に保たれるようにすることができる。この結
果、ニップ式で発生した筋の発生もなく、連続運転時に
固定式の計量方法のような計量部の汚れが発生せず長時
間均一厚みの塗膜を得ることが可能となる。
ランスおよびロールの回転周速や回転周速比を制御する
ことにより、二つのロールのクリアランスで多孔質薄膜
に付着した塗液にかかるせん断力を変化させ発生する塗
液の圧力を調整することが可能となり、多孔質薄膜の孔
中への塗液の含浸度合いを制御するとともに、ロールに
よって掻き落とす過剰な塗液の量を変化させてこの薄膜
の表裏の塗膜の厚みを同時に目標厚みに制御することが
可能となる。
6.3S以下、なかでも0.1S以上6.3S以下であ
ることが好ましく、さらに円筒度および真円度が高いこ
とが好ましいが、その表面粗さ、円筒度および真円度は
塗膜の要求平滑度による。またロール表面の材質として
は特に限定されるものではないが、使用する塗液の種類
に応じて塗液とのぬれ性の良い材質を選択することが好
ましい。
ーまたは溝切りロールを使用することも可能である。ロ
ールとして巻き線式ワイヤーバーを使用する場合にはワ
イヤーバーの巻き線の径を変えることで塗膜の厚みの制
御が容易となるので好ましい。溝切りロールを使用する
場合には溝切りロールの溝の深さおよび/または溝の幅
および/または溝のピッチを変えることでも塗膜の厚み
の制御が可能である。
置を特に限定するものではないが、更に具体的に、例え
ば図1、2、および5の装置を用いた場合を代表例とし
て説明する。図1、2は本発明に係る一つの実施例の両
面同時塗工方法の概略を示す図面である。これらの両面
同時塗工方法では高分子化合物を含む塗液の入った浸漬
浴4または2つの対向させて配置したダイ7,8を用
い、さらに回転するロール1とロール2を薄膜の搬送路
を介して対峙するよう平行に、相互間のクリアランスL
を設けて配置している。
は任意に調整可能である。またロール1およびロール2
はそれぞれ独立して駆動されておりロールの回転周速は
無段階で変化させることが可能である。その回転周速は
エンコーダーやタコメータ等を用いてロールの回転数を
測定し、ロールの径を用いて演算することにより算出す
る。ロール1および/またはロール2の回転周速を変化
させることにより塗膜の厚みを両面同時に正確に制御す
ることが可能である。
に搬送される薄膜3を図1に示す高分子化合物を含む塗
液5の入った浸漬浴4に浸漬・通過させるか、または図
2に示す高分子化合物を含む塗液5を供給する2つのダ
イ7,8を用いて、薄膜の孔中に所望量の塗液を含浸せ
しめかつ高分子化合物層の所望量の膜厚を与えるよう
に、薄膜両面にこれらの所望量に対し過剰量の塗液5を
保持せしめる。
る、表面が平滑な、好ましくは表面粗さが6.3S以下
である、ロール1とロール2とで挟み込んだ状態で、薄
膜3に付着した塗液5のうち過剰な塗液5´を薄膜上か
ら表裏両面同時に掻き落とす。本発明の方法では、好ま
しくは掻き落とした過剰な塗液5´はロールで搬送され
任意の位置で接触式のブレードを用いた掻き落とし装置
6を使用してロール上から掻き落とすことができる。こ
れにより、ロール表面を、薄膜から掻き落とした過剰な
塗液5´が付着する前の清浄な状態でき、そのため連続
した塗膜の形成を行えるので好ましい。
(塗工法)を用いて、多孔質薄膜と高分子化合物からな
る複合膜の製造方法)について説明する。本発明の複合
膜の製造方法は、上記塗工方法を用いて表裏に連通した
孔を有する多孔質薄膜に高分子化合物を含む塗液を塗工
し、次いで該高分子化合物を固化させ、該薄膜の孔中に
該高分子化合物が充填され且つ該薄膜の表裏に均一な厚
みの該高分子化合物を含む膜を有する複合膜を製造す
る。
多孔質薄膜、高分子化合物、塗液などは前述の本発明の
第一の発明に関して説明したものと同様であり、その好
適例も同様である。また、該塗膜を固化させる方法は、
用いた塗液の性質により適宜選択することが出来る。例
えば揮発性溶媒を用いた塗液の場合は塗工後溶媒の乾燥
除去を実施すること(乾燥法)で、水溶性の溶媒を用い
た塗液の場合は塗工後その塗膜を水系の凝固液に浸漬す
ること(湿式法)で、また溶融塗液を用いた場合は塗工
後その塗膜を冷却することで多孔質薄膜/高分子化合物
から複合膜を作成できる。これらのうちで塗布面の均一
性、平滑性を保持したまま高分子化合物の固化が容易な
ため湿式法が好適に用いられる。
質薄膜の孔中に高分子化合物が充填され且つ該薄膜の表
裏に均一な厚みの該高分子化合物を含む膜を有する複合
膜を得ることができる。高分子化合物として前述のポリ
弗化ビニリデンの共重合体などを用い、多孔質薄膜とし
て不織布または微多孔膜を用いた場合には、本発明の製
造方法で得られた複合膜を、例えばリチウムイオン二次
電池用のセパレータとして好適に用いることができる。
工斑がなく、長時間の連続運転が可能な、多孔質薄膜の
孔中に塗液を十分に含浸せしめ且つ薄膜の両面に均一な
厚みの塗膜を同時に形成せしめる塗工方法が提供され
る。さらに本発明の複合膜の製造方法によれば、例えば
電池用セパレータとして用いることのできる、塗工筋や
塗工斑がなく、長時間の連続運転が可能な、表裏に連通
した孔を有する多孔質薄膜の孔中に高分子化合物が充填
され且つ該薄膜の表裏に該高分子化合物を含む均一な厚
みの膜を有する複合膜の製造方法が提供される。
において用いた測定方法は下記のとおりである。 (1)膜厚の測定方法 接触式マイクロメーター(ミツトヨ社製)で任意の点を
多点計測して測定値とする。 (2)多孔度(薄膜の厚みと質量から算出される薄膜の
見かけ密度と薄膜構成体の実密度の比率)の測定方法 面積Aの薄膜を(1)の膜厚の測定方法にて任意の点を
多点測定し、その平均値を膜厚t、その膜の質量をm、
その膜を構成する物質の実密度をρとすると多孔度は以
下の式で算出される 多孔度=( m / (A × t) )/ ρ ×
100(%)
17)の測定方法 JIS P 8117に規定された測定方法に準じる (4)粘度の測定方法 B形粘度計(トキメック社製)を使用して測定する。 (5)表面粗さの測定方法 電気的な触針式粗さ測定器(サーフテスト、ミツトヨ社
製)を使用して任意に選んだ10箇所の長さ8mmの部
分について表面粗さ(最大高さ)Rmaxを測定、その
最大値で表す。
度が50%、透気度が0.5秒、幅150mmの(PE
T)不織布を速度2m/分で、表面材質がステンレスで、
表面粗さが1.6Sであるロール1とロール2との間の
クリアランスLを120μm、ロール1およびロール2
の不織布の速度に対する回転周速比を0.3として、高
分子化合物(ポリ弗化ビニリデン共重合体、エルフ・ア
トケム社製KYNAR2801)を溶媒(N,N−ジメ
チルアセトアミド)に溶解した粘度5Pa・sの塗液を
目標膜厚(目標付着量)40μmとなるように含浸・塗
工した。
水系の凝固浴に浸漬し塗膜を固化させた。得られた複合
膜の膜厚計測を行った結果、該不織布中に該高分子化合
物が十分含浸され且つ表裏の該高分子化合物の層の厚み
がほぼ同一で多孔質薄膜全体の厚みが40μm±2μm
という均一な複合膜が得られた。
アランスLを5水準変化させて、上記と同様の方法で複
合膜を製造した。結果を図3に示した。図3から、クリ
アランスLを大きくすると塗液の膜厚は厚くなり、多孔
質薄膜の厚みをクリアランスを調節することで均一に制
御できることが分かる。
ロールの回転周速を4水準変化させた。結果を図4に示
す。図4から、多孔質薄膜の搬送速度に対するロールの
回転周速比を大きくすると塗液の膜厚は薄くなり、多孔
質薄膜の厚みをロールの回転周速を調節することで均一
に制御できることが分かる。
として微多孔膜を用いる以外は、同様にして、塗液を含
浸・塗工し、複合膜を製造した。
%、透気度が350秒、幅150mmの(PP)微多孔膜
(セルガード2400番)を速度2m/分で、表面材質
がステンレスで、表面粗さが1.6Sであるロール1と
ロール2との間のクリアランスLを100μm、ロール
1およびロール2の微多孔膜の速度に対する回転周速比
を0.3として、高分子化合物(ポリ弗化ビニリデン共
重合体、エルフ・アトケム社製KYNAR2801)を
溶媒(N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した粘度
5Pa・sの塗液を目標膜厚(目標付着量)35μmと
なるように含浸・塗工した。
を水系の凝固浴に浸漬し塗膜を固化させた。得られた複
合膜の膜厚計測を行った結果、該微多孔膜中に該高分子
化合物が十分含浸され且つ表裏の該高分子化合物の層の
厚みがほぼ同一で多孔質薄膜全体の厚みが35μm±2
μmという均一な複合膜が得られた。
としてアセトンを用いる以外は、同様にして、塗液を含
浸・塗工し、複合膜を製造した。
%、透気度が0.5秒、幅150mmの(PET)不織布
を速度2m/分で、表面材質がステンレスで、表面粗さ
が1.6Sであるロール1とロール2との間のクリアラ
ンスLを100μm、ロール1およびロール2の不織布
の速度に対する回転周速比を0.3として、高分子化合
物(ポリ弗化ビニリデン共重合体、エルフ・アトケム社
製KYNAR2801)を溶媒(アセトン)と可塑剤
(ジブチルフタレート)の混合溶液に溶解した粘度10
Pa・sの塗液を目標膜厚(目標付着量)35μmとな
るように含浸・塗工した。
60℃で乾燥し塗膜を固化させた後、エーテルで可塑剤
を抽出した。得られた複合膜の膜厚計測を行った結果、
該不織布中に該高分子化合物が十分含浸され且つ表裏の
該高分子化合物の層の厚みがほぼ同一で多孔質薄膜全体
の厚みが35μm±3μmという均一な複合膜が得られ
た。
のロールとして巻き線式ワイヤーバーまたは溝切りロー
ルを用いる以外は、同様にして、塗液を含浸・塗工し、
複合膜を製造した。
%、透気度が0.5秒、幅150mmの(PET)不織布
を速度2m/分で、巻き線式ワイヤーバーにおいては巻
き線の径を0.2mm、溝切りロールにおいては溝の幅
を0.2mm、深さを0.1mm、ピッチを0.2mm
として、ロール1とロール2との間のクリアランスLを
60μm、ロール1およびロール2の不織布の速度に対
する回転周速比を0.01として、高分子化合物(ポリ
弗化ビニリデン共重合体、エルフ・アトケム社製KYN
AR2801)を溶媒(N,N−ジメチルアセトアミ
ド)に溶解した粘度5Pa・sの塗液を目標膜厚(目標
付着量)40μmとなるように塗布し湿式法により溶媒
抽出を行い、塗膜を固化させた後に膜厚計測を行った結
果、該不織布中に該高分子化合物が十分含浸され且つ表
裏の該高分子化合物層の厚みがほぼ同一で多孔質薄膜全
体の厚みが巻き線式ワイヤーバーにおいては40μm±
2μm、溝切りロールにおいては40μm±3μmとい
う均一な膜が得られた。
れた複合膜をセパレータとして用いてリチウムイオン二
次電池を作成したところ電池としての機能を発現するこ
とを確認した。
方式で、実施例1と同様に塗布実験を行った。ニップ方
式では筋状の欠陥が多発し膜厚の均一な塗膜を得ること
が出来なかった。ダイによる転写方式では塗布後に不織
布中の空隙への塗液の染み込みが発生し塗液塗布後に不
織布の地合い(風合い)が塗膜表面に浮き出てしまい厚
み斑となった。
アランスL)と塗液の膜厚(膜厚)の関係を示す。
るロール回転周速比(薄膜/ロール周速比)と塗液の膜
厚(膜厚)の関係を示す。
Claims (10)
- 【請求項1】 高分子化合物を含む塗液を保持せしめた
表裏に連通した孔を有する多孔質薄膜を、該薄膜の搬送
路を介し所定のクリアランスを有して対峙し、且つ該薄
膜の搬送方向と逆方向に所定の回転周速で回転する二つ
のロールの間を通過させ、該薄膜の孔中に該塗液を含浸
せしめ且つ該薄膜の表裏に均一な厚みの塗膜を形成する
両面同時塗工方法。 - 【請求項2】 該薄膜の厚みが、7μm〜60μm、多
孔度(薄膜の厚みと質量から算出される薄膜の見かけ密
度と薄膜構成体の実密度の比率)が30%〜70%であ
る請求項1記載の塗工方法。 - 【請求項3】 該薄膜が、不織布で透気度(ガーレー
値;JISP8117)が10秒以下である請求項1ま
たは2に記載の塗工方法。 - 【請求項4】 該薄膜が、微多孔膜で透気度(ガーレー
値;JISP8117)が50秒〜500秒である請求
項1または2に記載の塗工方法。 - 【請求項5】 該高分子化合物が、ポリ弗化ビニリデン
の共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の塗工
方法。 - 【請求項6】 該塗液が、該高分子化合物と水溶性溶媒
とからなる粘度が0.01Pa・s〜50Pa・sの塗
液である請求項1〜5のいずれかに記載の塗工方法。 - 【請求項7】 該ロールが、その表面の表面粗さが6.
3S以下である請求項1〜6いずれかに記載の塗工方
法。 - 【請求項8】 該ロールが、巻き線式ワイヤーバーもし
くは溝切りロールである請求項1〜6いずれかに記載の
塗工方法。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の塗工方
法により表裏に連通した孔を有する多孔質薄膜に高分子
化合物を含む塗液を塗工し、次いで該高分子化合物を固
化させる、該薄膜の孔中に該高分子化合物が充填され且
つ該薄膜の表裏に均一な厚みの該高分子化合物を含む膜
を有する複合膜の製造方法。 - 【請求項10】 該複合膜が、リチウムイオン二次電池
用セパレータである請求項9記載の複合膜の製造方法。
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