JP7123619B2 - 多層シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層シートの製造方法に関する。
例えば燃料電池用の電解質膜として、多孔質層の両面にイオン交換樹脂を主成分とする被覆層が積層された多層シートが用いられている。この多層シートの製造方法としては、(1)ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる支持シート上に多孔質層を重ね合わせ、多孔質層の表面に被覆層を積層した後、上記多孔質層を支持シートから剥離し、上記多孔質層を反転させてこの支持シート上に被覆層を重ね合わせ、多孔質層の被覆層が積層されていない側の面に他の被覆層を積層する方法、(2)合成樹脂からなる支持シート上に被覆層を積層し、この被覆層をウェットラミネーションにより多孔質層の一方の面に積層した後、上記多孔質層を被覆層と共に支持シートから剥離し、多孔質層の被覆層が積層されていない側の面に他の被覆層を積層する方法等が採用されている。
しかしながら、支持シートを用いた上述の方法によると、一方の面に被覆層が積層された多孔質層の他方の面に他の被覆層を積層する際に、他の被覆層を形成するための被覆層形成用組成物に含まれる溶媒によって多孔質層が膨潤し、全体の膜厚が不安定になる場合がある。また、上述の方法によると、支持シートを多孔質層又は被覆層との界面で剥離できず、得られる多層シートに皺やボイドが生じるおそれがある。
このような観点から、今日ではフッ素樹脂繊維からなる不織布層をイオン交換樹脂が溶解した溶液に浸漬することで、不織布層の両面にイオン交換樹脂材料を積層する方法が提案されている(国際公開第2015/83546号参照)。
国際公開第2015/83546号
上記公報に記載の方法によると、所定の繊維径のフッ素樹脂繊維からなる不織布層の細孔内にイオン交換樹脂を含浸しつつこの不織布層の両面にイオン交換材料層を積層することで、膜の安定性を高めることができるとされている。
しかしながら、上記公報に記載の方法によると、イオン交換樹脂が溶解した溶液を不織布層を浸漬するための容器に満たしておく必要がある。そのため、上記公報に記載の方法によって電解質膜を製造すると、イオン交換樹脂の使用量が多くなり、製造コストが高くなる。また、上記公報に記載の方法によると、不織布層内に残存する空気がボイドを形成して電気抵抗が大きくなるおそれや、所望の膜厚に調整することが困難となるおそれがある。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、膜厚調整が容易であると共に、低コストで、かつボイドの形成を抑えることができる多層シートの製造方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る多層シートの製造方法は、厚さ方向に貫通する複数の空孔を有する長尺状の多孔質層と、この多孔質層の両面に積層される一対の被覆層とを備える多層シートの製造方法であって、上記多孔質層を長手方向に搬送しつつ、この多孔質層の一方の面に熱可塑性樹脂を含む被覆層形成用組成物を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層の他方の面に上記被覆層形成用組成物を塗布する第2塗布工程とを備え、上記第1塗布工程で、上記多孔質層の複数の空孔に上記被覆層形成用組成物を充填する。
本発明の一態様に係る多層シートの製造方法は、膜厚調整が容易であると共に、低コストで、かつボイドの形成が抑えられた多層シートを製造することができる。
本発明の一実施形態に係る多層シートの製造方法を示すフロー図である。 図1の多層シートの製造方法を実施するための製造装置を示す模式図である。 図1の多層シートの製造方法の第1塗布工程及び第2塗布工程を示す模式図である。 図1の多層シートの製造方法の第2塗布工程後のシート体を示す模式図である。 図1の多層シートの製造方法の乾燥工程の詳細を示すフロー図である。 図1の多層シートの製造方法によって製造された多層シートの厚さ方向の模式的断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る多層シートの製造方法は、厚さ方向に貫通する複数の空孔を有する長尺状の多孔質層と、この多孔質層の両面に積層される一対の被覆層とを備える多層シートの製造方法であって、上記多孔質層を長手方向に搬送しつつ、この多孔質層の一方の面に熱可塑性樹脂を含む被覆層形成用組成物を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層の他方の面に上記被覆層形成用組成物を塗布する第2塗布工程とを備え、上記第1塗布工程で、上記多孔質層の複数の空孔に上記被覆層形成用組成物を充填する。
当該多層シートの製造方法は、第1塗布工程によって多孔質層の一方の面に被覆層形成用組成物を塗布し、この被覆層形成用組成物を多孔質層の複数の空孔に充填した後に、第2塗布工程によって上記多孔質層の他方の面に被覆層形成用組成物を塗布する。そのため、当該多層シートの製造方法によると、上記第2塗布工程で被覆層形成用組成物を塗布した際に、この被覆層形成用組成物と上記第1塗布工程で塗布された被覆層形成用組成物との間に空気が残存し難い。従って、当該多層シートの製造方法は、ボイドの形成が抑えられた多層シートを製造することができる。また、当該多層シートの製造方法は、上記多孔質層の両側から被覆層形成用組成物を塗布することで一対の被覆層を形成するので、これらの被覆層の膜厚、ひいては得られる多層シートの膜厚を調整しやすい。さらに、当該多層シートの製造方法は、上記被覆層形成用組成物の塗布によって被覆層を形成するので、上記被覆層形成用組成物の使用量を少なくして、製造コストを抑えることができる。
当該多層シートの製造方法は、上記第2塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層を乾燥する工程をさらに備え、上記乾燥工程で、上記多孔質層の両側縁を一定間隔に保持するとよい。このように、上記第2塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層を乾燥する工程をさらに備え、上記乾燥工程で、上記多孔質層の両側縁を一定間隔に保持することによって、膜厚の均一化を促進することができる。
上記多孔質層の幅に対する上記第1塗布工程及び第2塗布工程の塗布幅の比としては0.7以上が好ましい。このように、上記多孔質層の幅に対する上記第1塗布工程及び第2塗布工程の塗布幅の比が上記下限以上であることによって、膜厚の均一化をさらに高めることができる。
上記第1塗布工程の固形分換算での塗布量をC1[g/m]、上記第2塗布工程の固形分換算での塗布量をC2[g/m]、上記多孔質層の単位面積当たりの空孔体積をS[cm/m]、固形分の比重をd[g/cm]とした場合、0.8×C2+S×d≦C1≦1.2×C2+S×dを満たすことが好ましい。上記式を満たすことにより、上記第1塗布工程で多孔質層の複数の空孔を被覆層形成用組成物によって十分に閉塞することができる。そのため、得られる多層シートにボイドが形成されることをより確実に抑えることができる。
上記多孔質層の主成分がポリテトラフルオロエチレンであるとよい。このように、上記多孔質層の主成分がポリテトラフルオロエチレンであることによって、強度が高く、かつボイドの形成が抑えられた多層シートを容易に形成することができる。
上記熱可塑性樹脂がイオン交換樹脂であるとよい。このように、上記熱可塑性樹脂がイオン交換樹脂であることによって、電気抵抗が小さくイオン電導性に優れる電解質膜を容易に形成することができる。
なお、本発明において、「主成分」とは、質量換算で最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る多層シートの製造方法について図面を参照しつつ詳説する。
<多層シートの製造方法>
当該多層シートの製造方法は、厚さ方向に貫通する複数の空孔を有する長尺状の多孔質層と、この多孔質層の両面に積層される一対の被覆層とを備える多層シートの製造方法である。当該多層シートの製造方法は、図1に示すように、上記多孔質層を長手方向に搬送しつつ、この多孔質層の一方の面に熱可塑性樹脂を含む被覆層形成用組成物を塗布する第1塗布工程と、上記第1塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層の他方の面に上記被覆層形成用組成物を塗布する第2塗布工程とを備える。当該多層シートの製造方法は、上記第1塗布工程で、上記多孔質層の複数の空孔に上記被覆層形成用組成物を充填する。また、当該多層シートの製造方法は、上記第2塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層を乾燥する工程(乾燥工程)を備える。なお、当該多層シートの製造方法は、上記被覆層形成用組成物と上記多孔質層との親和性が高められるよう、上記第1塗布工程前に、上記多孔質層を親水処理する工程(親水処理工程)を備えていてもよい。
当該多層シートの製造方法は、上記第1塗布工程によって上記多孔質層の一方の面に被覆層形成用組成物を塗布し、この被覆層形成用組成物を多孔質層の複数の空孔に充填した後に、上記第2塗布工程によって上記多孔質層の他方の面に被覆層形成用組成物を塗布する。つまり、当該多層シートの製造方法では、上記第2塗布工程で被覆層形成用組成物を塗布する際に、上記多孔質層の複数の空孔が上記第1塗布工程で塗布された被覆層形成用組成物によって埋められている。そのため、当該多層シートの製造方法によると、上記第2塗布工程で塗布された被覆層形成用組成物と上記第1塗布工程で塗布された被覆層形成用組成物との間に空気が残存し難い。従って、当該多層シートの製造方法は、ボイドの形成が抑えられた多層シートを製造することができる。また、当該多層シートの製造方法は、上記多孔質層の両側から時間差をおいて上記被覆層形成用組成物を塗布することで被覆層を形成するので、上記被覆層の膜厚、ひいては得られる多層シートの膜厚を調整しやすい。さらに、当該多層シートの製造方法は、上記被覆層形成用組成物の塗布によって上記被覆層を形成するため、必要量以上の被覆層形成用組成物を用いなくてもよい。従って、当該多層シートの製造方法は、上記被覆層形成用組成物の使用量を少なくして、製造コストを抑えることができる。
(製造装置)
当該多層シートの製造方法は、例えば図2~図4に示す製造装置1を用いて実施することができる。製造装置1は、長尺状の多孔質層2を長手方向に搬送する搬送機構11と、多孔質層2に被覆層形成用組成物3を塗布する塗布部12と、塗布部12よりも搬送方向Xの下流側に配設され、多孔質層2に被覆層形成用組成物3が塗布されたシート体(本明細書では、多孔質層2に被覆層形成用組成物3が塗布された状態の積層体(半製品)を「シート体」という)を乾燥する乾燥部13とを備える。
〈搬送機構〉
搬送機構11は、多孔質層2がロール状に巻回された送出ロール11aと、送出ロール11aから送り出される多孔質層2を案内するガイドロール11bとを有する。また、搬送機構11は、図4に示すように、多孔質層2の両側縁を一定間隔に保持する治具11cを有する。治具11cは、上記乾燥工程、より詳しくは後述の焼成工程において多孔質層2の両側縁を保持可能に構成されている。治具11cは、この焼成工程で多孔質層2の両側縁を保持可能である限り、上記第1塗布工程前から多孔質層2の両側縁を保持するよう構成されてもよく、上記第1塗布工程後又は上記第2塗布工程後に多孔質層2の両側縁を保持するよう構成されてもよく、後述の第1乾燥工程後に多孔質層2の両側縁を保持するよう構成されてもよい。
〈塗布部〉
塗布部12は、搬送機構11によって搬送される多孔質層2の一方の面に被覆層形成用組成物3aを塗布する第1ダイ12aと、第1ダイ12aよりも搬送方向Xの下流側に配設され、多孔質層2の他方の面に被覆層形成用組成物3bを塗布する第2ダイ12bとを有する(なお、第1ダイ12aによって塗布される被覆層形成用組成物3a及び第2ダイ12bによって塗布される被覆層形成用組成物3bを合せて、単に「被覆層形成用組成物3」ともいう)。第1ダイ12a及び第2ダイ12bは、例えば公知のダイコータによって構成される。第1ダイ12a及び第2ダイ12bのスリットは、多孔質層2の幅方向に延在しており、これにより被覆層形成用組成物3を多孔質層2の幅方向に均一に塗布できるよう構成されている。
〈乾燥部〉
乾燥部13は、多孔質層2に塗布された被覆層形成用組成物3に含まれる溶媒を乾燥する第1乾燥炉と、上記第1乾燥炉よりも搬送方向Xの下流側に配設され、上記溶媒の除去後のシート体を焼成する第2乾燥炉(焼成炉)とを有する。
〈多孔質層〉
多孔質層2は可撓性を有する。多孔質層2は例えば合成樹脂を主成分とする。上記合成樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。これらの中でも機械的強度、耐薬品性、耐熱性、耐候性、不燃性等に優れるPTFEが好ましく、1軸又は2軸延伸したPTFEがより好ましい。当該多層シートの製造方法は、多孔質層2の主成分がPTFEであることによって、強度が高く、かつボイドの形成が抑えられた多層シートを容易に形成することができる。また、当該多層シートの製造方法は、多孔質層2の主成分がPTFEであることによって、多孔質層2の薄膜化を促進することができ、電気抵抗をより低く抑えることができる。
多孔質層2の平均厚さの下限としては、0.5μmが好ましく、1.0μmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、多孔質層2の強度が不十分となるおそれがある。一方、上記平均厚さの上限は、得られる多層シートの用途等によって適宜設定可能である。例えば上記多層シートが燃料電池用の電解質膜である場合、上記平均厚さの上限としては、7.0μmが好ましく、5.0μmがより好ましい。上記平均厚さが上記上限を超えると、電気抵抗が大きくなるおそれがある。
多孔質層2の空孔率の下限としては、45体積%が好ましく、55体積%がより好ましい。一方、上記空孔率の上限としては、85体積%が好ましく、75体積%がより好ましい。上記空孔率が上記下限に満たないと、多孔質層2の電気抵抗が大きくなるおそれがある。逆に、上記空孔率が上記上限を超えると、多孔質層2の強度が不十分となるおそれがある。なお、「空孔率」とは、多孔質層の容積に対する多孔質層に含まれる全ての空孔の合計体積の比率をいい、百分率で表される。
多孔質層2の平均幅の下限としては、20cmが好ましく、30cmがより好ましい。一方、上記平均幅の上限としては、80cmが好ましく、70cmがより好ましい。上記平均幅が上記下限に満たないと、多層シートの製造効率を十分に高められないおそれがある。逆に、上記平均幅が上記上限を超えると、被覆層の膜厚を均一に制御し難くなるおそれがある。
〈被覆層形成用組成物〉
被覆層形成用組成物3は、多孔質層2の複数の空孔を埋めると共に多孔質層2の両面に積層される一対の被覆層を形成する被覆層形成材料としての熱可塑性樹脂と、この熱可塑性樹脂を溶解する溶媒とを含む。
上記熱可塑性樹脂としてはイオン交換樹脂が好ましい。上記熱可塑性樹脂がイオン交換樹脂であることによって、電気抵抗が小さくイオン電導性に優れる電解質膜を容易に形成することができる。つまり、当該多層シートの製造方法は、上記熱可塑性樹脂としてイオン交換樹脂を用いることで、燃料電池用の電解質膜の製造方法として好適に用いられる。
上記イオン交換樹脂としては、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン-g-スチレンスルホン酸系ポリマー、ポリビニリデンフルオリド-パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー等のフッ素系イオン交換樹脂や、スルホン化ポリエーテルスルホン(S-PES)、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンゾイミダゾールアルキル、ホスホン化ポリベンゾイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(S-PEEK)、スルホン化ポリフェニレン(S-PPP)などが挙げられる。
上記溶媒としては、水溶性である種々の有機溶媒が使用可能であり、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールやその他のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。
(第1塗布工程)
上記第1塗布工程では、搬送機構11により多孔質層2を長手方向に搬送しつつ、第1ダイ12aにより多孔質層2の一方の面に熱可塑性樹脂を含む被覆層形成用組成物3aを塗布する。上記第1塗布工程では、多孔質層2の幅方向における一定の範囲に亘って被覆層形成用組成物3aを均一な塗布量で連続的に塗布する。
多孔質層2の幅に対する上記第1塗布工程における塗布幅の比の下限としては、0.7が好ましく、0.8がより好ましい。上記比が上記下限に満たないと、多孔質層2の被覆層形成用組成物3aの非積層領域が後述の乾燥工程で伸長しやすくなり、得られる多層シートの膜厚が不均一になるおそれがある。一方、上記比の上限としては、特に限定されるものではなく、1.0であってもよいが、例えば多孔質層2の幅方向の両側に治具11cによる保持部分を確保する観点から、0.95とすることができる。
多孔質層2の単位面積当たりの空孔体積S[cm/m]に対する上記第1塗布工程の固形分換算での塗布量C1[g/m]の比(C1/S)の下限としては、2.2が好ましく、2.5がより好ましい。一方、上記比の上限としては、得られる多層シートの用途に応じて適宜設定可能であるが、例えば8.0が好ましく、5.0がより好ましい。上記比が上記下限に満たないと、多孔質層2の複数の空孔を十分に閉塞しつつ、多孔質層2の一方の面に十分な厚さで被覆層を形成することができないおそれがある。逆に、上記比が上記上限を超えると、得られる多層シートの膜厚が不必要に厚くなり、電気抵抗が大きくなるおそれや、膜厚の均一化を図り難くなるおそれがある。
(第2塗布工程)
上記第2塗布工程では、上記第1塗布工程による被覆層形成用組成物3aの塗布後に、多孔質層2の他方の面(上記第1塗布工程で被覆層形成用組成物3aが塗布された面と反対側の面)に被覆層形成用組成物3bを塗布する。上記第2塗布工程では、搬送機構11により多孔質層2を長手方向に搬送しつつ、第2ダイ12bにより多孔質層2の上記他方の面に被覆層形成用組成物3bを連続的に塗布する。
上記第2塗布工程で塗布する被覆層形成用組成物3bは、上記第1塗布工程で塗布する被覆層形成用組成物3aと同一の成分を含むことが好ましい。また、上記第2塗布工程で塗布する被覆層形成用組成物3bの各種成分の含有割合は、上記第1塗布工程で塗布する被覆層形成用組成物3aの含有割合と同じであることが好ましい。
多孔質層2の幅に対する上記第2塗布工程における塗布幅の比の下限としては、0.7が好ましく、0.8がより好ましい。上記比が上記下限に満たないと、多孔質層2の被覆層形成用組成物3bの非積層領域が後述の乾燥工程で伸長しやすくなり、得られる多層シートの膜厚が不均一になるおそれがある。一方、上記比の上限としては、特に限定されるものではなく、1.0であってもよいが、例えば多孔質層2の幅方向の両側に治具11cによる保持部分を確保する観点から、0.95とすることができる。
上記第2塗布工程における塗布幅は、上記第1塗布工程における塗布幅と同じであることが好ましい。また、上記第2塗布工程では、上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aと重なり合うよう被覆層形成用組成物3bを塗布することが好ましい。このように、上記第2塗布工程で、上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3a重なり合うよう被覆層形成用組成物3bを塗布することによって、後述する乾燥工程でのカールの発生を防止し、膜厚の均一化を図りやすい。
図3に示すように、上記第2塗布工程では、上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aが多孔質層2の上記他方の面側まで浸透した状態で被覆層形成用組成物3bを塗布することが好ましい。上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aが多孔質層2の上記他方の面側まで浸透した状態では、多孔質層2の複数の空孔に空気が残存し難い。そのため、この状態で多孔質層2の他方の面に被覆層形成用組成物3bを塗布することで、多孔質層2の複数の空孔に残存する空気が抜けきらないことに起因してボイドの発生することを容易かつ確実に防止することができる。
上記第1塗布工程及び第2塗布工程の塗布間隔(時間差)の下限としては、1秒が好ましく、2秒がより好ましい。一方、上記塗布間隔の上限としては、7秒が好ましく、5秒がより好ましい。上記塗布間隔が上記下限に満たないと、上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aが多孔質層2の上記他方の面側まで浸透しない状態で上記第2塗布工程を行うことになるおそれがあり、ボイドの発生を十分に抑制することができないおそれがある。逆に、上記塗布間隔が上記上限を超えると、製造ラインが不必要に長くなるおそれや、上記第2塗布工程前に上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aに含まれる溶媒の一部が乾燥して不都合を生じるおそれがある。
上記第1塗布工程によって塗布した被覆層形成用組成物3aの多孔質層2の浸透時間(上記他方の面まで浸透する時間)をT[秒]とした場合、上記第1塗布工程及び上記第2塗布工程の塗布間隔(時間差)の下限としては、Tが好ましい。一方、上記塗布間隔の上限としては、T+3秒が好ましく、T+1秒がより好ましい。上記塗布間隔が上記下限に満たないと、上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aが多孔質層2の上記他方の面側まで浸透しない状態で上記第2塗布工程を行うことになり、ボイドの発生を十分に抑制することができないおそれがある。逆に、上記塗布間隔が上記上限を超えると、製造ラインが不必要に長くなるおそれや、上記第2塗布工程前に上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aに含まれる溶媒の一部が乾燥して不都合を生じるおそれがある。
上述のように、当該多層シートの製造方法は、上記第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物3aが多孔質層2の上記他方の面側まで浸透した状態で上記第2塗布工程を行うことが好ましい。そのため、上記第1塗布工程の固形分換算での塗布量をC1[g/m]、上記第2塗布工程の固形分換算での塗布量をC2[g/m]、多孔質層2の単位面積当たりの空孔体積をS[cm/m]、固形分の比重をd[g/cm]とした場合、下記式(1)を満たすことが好ましく、下記式(2)を満たすことがより好ましい。
0.8×C2+S×d≦C1≦1.2×C2+S×d・・・(1)
0.9×C2+S×d≦C1≦1.1×C2+S×d・・・(2)
上記式を満たすことにより、上記第1塗布工程で多孔質層2の複数の空孔を被覆層形成用組成物3aによって十分に閉塞することができる。そのため、得られる多層シートにボイドが形成されることをより確実に抑制することができる。
(乾燥工程)
上記乾燥工程は、図5に示すように、多孔質層2に塗布された被覆層形成用組成物3に含まれる溶媒を乾燥する第1乾燥工程と、上記第1乾燥工程後に、上記溶媒が除去されたシート体を焼成する第2乾燥工程とを有する。
〈第1乾燥工程〉
上記第1乾燥工程では、上記第2塗布工程によって被覆層形成用組成物3bが塗布されたシート体を搬送方向Xに搬送しつつ、このシート体に含まれる溶媒を乾燥する。上記第1乾燥工程では、乾燥部13の上述の第1乾燥炉によって上記溶媒を乾燥する。
上記第1乾燥工程における乾燥温度の下限としては、20℃が好ましく、30℃がより好ましい。一方、上記乾燥温度の上限としては、90℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記乾燥温度が上記下限に満たないと、上記溶媒を比較的短時間で十分に乾燥させることができないおそれがあり、製造効率が低下するおそれがある。逆に、上記乾燥温度が上記上限を超えると、溶媒の沸騰による気泡が当該多層シートに内包されてボイドとなるおそれや、乾燥温度が不必要に高くなり、製造コストが増加するおそれがある。
上記第1乾燥工程における乾燥時間は上記第2塗布工程後のシート体の膜厚に応じて設定されることが好ましい。例えば上記第2塗布工程後のシート体全体の平均厚さが10μm以下程度である場合、上記第1乾燥工程における乾燥時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。一方、上記第2塗布工程後のシート体全体の平均厚さが10μm以下程度である場合、上記乾燥時間の上限としては、60秒が好ましく、50秒がより好ましい。上記乾燥時間が上記下限に満たないと、上記溶媒を十分に乾燥させることができないおそれがある。逆に、上記乾燥時間が上記上限を超えると、乾燥時間が不必要に長くなり、製造効率が低下するおそれがある。
〈第2乾燥工程〉
上記第2乾燥工程では、上記第1乾燥工程で溶媒が除去されたシート体を搬送方向Xに搬送しつつ、このシート体を焼成する。上記第2乾燥工程では、乾燥部13の上述の第2乾燥炉(焼成炉)によって上記シート体を焼成する。
上記第2乾燥工程では、図4に示すように、多孔質層2の両側縁を一定間隔で保持する。上記第2乾燥工程では、多孔質層2を幅方向に弛みのない状態で保持することが好ましい。上記第2乾燥工程では、焼成を行う前から焼成後までの間一貫して多孔質層2の両側縁を同一間隔で保持することが好ましい。当該多層シートの製造方法は、上記第2乾燥工程で、多孔質層2の両側縁を一定間隔で保持することによって、得られる多層シートの膜厚の均一化を促進することができる。詳しく説明すると、上記第2乾燥工程で多孔質層2の両側縁を一定間隔で保持していない場合、焼成時に上記熱可塑性樹脂が収縮しやすい。また、この収縮に起因して多孔質層2のうちの被覆層形成用組成物3の非積層領域が平面方向に伸長しやすい。その結果、得られる多層シートのシート面積が小さくなると共に、この多層シートの膜厚が不均一になりやすい。これに対し、上記第2乾燥工程で、多孔質層2の両側縁を一定間隔で保持することで、上記熱可塑性樹脂の収縮を抑制し、シート面積の減少及び膜厚の不均一化を抑制することができる。
上記第2乾燥工程における焼成温度の下限としては150℃が好ましく、170℃がより好ましい。一方、上記焼成温度の上限としては、240℃が好ましく、230℃がより好ましい。上記焼成温度が上記下限に満たないと、得られる多層シートの膜厚の均一化を図りつつ十分に強度を高めることが困難になるおそれがある。逆に、上記焼成温度が上記上限を超えると、上記熱可塑性樹脂等が劣化するおそれがある。
上記第2乾燥工程における焼成時間の下限としては、200秒が好ましく、300秒がより好ましい。一方、上記焼成時間の上限としては、1000秒が好ましく、800秒がより好ましい。上記焼成時間が上記下限に満たないと、得られる多層シートの強度を十分に高めることができないおそれがある。逆に、上記焼成時間が上記上限を超えると、上記熱可塑性樹脂等が劣化するおそれがある。
(その他の工程)
当該多層シートの製造方法は、上記乾燥工程後にシート体を冷却する工程(冷却工程)を備えていてもよい。また、当該多層シートの製造方法は、上記乾燥工程後又は上記冷却工程後に上記シート体をロール状に巻き取る工程(巻取工程)を備えていてもよい。
<多層シート>
図6に当該多層シートの製造方法によって製造される多層シートを示す。当該多層シートは、例えば上述の乾燥工程後にシート体を室温(25℃)まで冷却することで形成される。当該多層シートは、多孔質層2と、多孔質層2の一方の面に積層される第1被覆層4aと、多孔質層2の他方の面(第1被覆層4aが積層される面と反対側の面)に積層される第2被覆層4bと、多孔質層2の複数の空孔に充填される充填層4cとを備える。第1被覆層4a、第2被覆層4b及び充填層4cは、被覆層形成用組成物3に含まれる熱可塑性樹脂が硬化することで形成される。当該多層シートは、例えば燃料電池用の電解質膜として用いられる。第1被覆層4a、第2被覆層4b及び充填層4cは同一の成分によって一体的に形成されていることが好ましい。
第1被覆層4aの平均厚さの下限としては、1μmが好ましく、2μmがより好ましい。一方、第1被覆層4aの平均厚さの上限としては、10μmが好ましく、5μmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、当該多層シートの強度が不十分となるおそれや、必要な厚さを確保するために多孔質層2の厚さが大きくなることで電気抵抗が大きくなるおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、当該多層シートが不必要に厚くなるおそれや、当該多層シートの全体厚さを調整するために多孔質層2の厚さが小さくなることで、強度が不十分となるおそれがある。
第2被覆層4bの平均厚さは、第1被覆層4aの平均厚さと同様の範囲とすることができる。また、第2被覆層4bの平均厚さは、第1被覆層4aの平均厚さと同じであることが好ましい。具体的には、第1被覆層4a及び第2被覆層4bの平均厚さの差の上限としては、1.5μmが好ましく、1.0μmがより好ましく、0.5μmがさらに好ましい。当該多層シートは、第1被覆層4a及び第2被覆層4bの平均厚さの差が上記範囲内であることによって、製造過程におけるカールの発生を抑制し、シート全体の反りを抑制すると共に、平滑性を高めることができる。
当該多層シート全体の平均厚さの下限としては、2.5μmが好ましく、5.0μmがより好ましく、7.0μmがさらに好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、25μmが好ましく、20μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、当該多層シートの強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、当該多層シートが不必要に厚くなり、用途が限定されるおそれがある。
充填層4cは、多孔質層2の複数の空孔を閉塞していることが好ましい。当該多層シートは、上述の第1塗布工程及び第2塗布工程の塗布量、塗布間隔(時間差)等を調整することで、充填層4cによって多孔質層2の複数の空孔を容易に閉塞することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば上記乾燥工程は、第1乾燥工程及び第2乾燥工程のいずれか一方のみを有していてもよい。また、当該多層シートの製造方法は、上記第2乾燥工程を有する場合、この第2乾燥工程では膜厚の均一化を図る等の観点から多孔質層の両側縁を一定間隔で保持することが好ましいが、得られる多層シートの用途によっては必ずしも上記第2乾燥工程で多孔質層の両側縁を一定間隔で保持しなくてもよい。さらに、当該多層シートの製造方法は、上記第2乾燥工程を有する場合又はこの第2乾燥工程を有しない場合に、上記第1乾燥工程で多孔質層の両側縁を一定間隔で保持してもよく、上記第1塗布工程及び第2塗布工程で多孔質層の両側縁を一定間隔で保持してもよい。
上記被覆層形成用組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、得られる多層シートの用途に応じて適宜選択可能であり、必ずしも上述のイオン交換樹脂でなくてもよい。上記熱可塑性樹脂がイオン交換樹脂でない場合、この熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリベンゾイミダゾール、アラミド樹脂、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、フッ素樹脂、液晶ポリマー等を用いることができる。
当該多層シートの製造方法は、上述のように燃料電池用の電解質膜の製造方法として適しているが、電子部品に組み込まれる基板等、他のシートの製造方法として用いることも可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[No.1]
図2の製造装置1を用い、PTFEを主成分とし、厚さ方向に貫通する複数の空孔を有し、平均厚さ2μm、空孔率60体積%の長尺状の多孔質層を長手方向に搬送しつつ、この多孔質層の一方の面に熱可塑性樹脂としてSolvay社製の「D83-24B」を含み、かつ溶媒として濃度45質量%のエチルアルコールを含む被覆層形成用組成物を塗布した(第1塗布工程)。この第1塗布工程後、上記と同様の被覆層形成用組成物を上記多孔質層の他方の面に塗布した(第2塗布工程)。上記第2塗布工程では、第1塗布工程と同じ塗布幅で、第1塗布工程で塗布した被覆層形成用組成物と重なり合うように被覆層形成用組成物を塗布した。また、上記第1塗布工程によって塗布した被覆層形成用組成物の多孔質層の浸透時間をT[秒]とした場合、上記第2塗布工程は、上記第1塗布工程のT+2秒後に行った。次に、上記第2塗布工程後のシート体を80℃で40秒間乾燥し(第1乾燥工程)、さらに上記第1乾燥工程後のシート体を200℃で500秒間焼成した(第2乾燥工程)。上記第2乾燥工程では、シート体が弛まないよう多孔質層の両側縁を保持した状態で焼成した。上記第2乾燥工程後のシート体を室温(25℃)まで冷却することでNo.1の多層シートを製造した。多孔質層の幅に対する第1塗布工程及び第2塗布工程の塗布幅の比(以下、単に「塗布幅比」ともいう)、及び第2乾燥工程前のシート体の幅(被覆層形成用組成物が塗布された領域の幅)に対する得られた多層シートの幅の比(以下、単に「シート幅比」ともいう)を表1に示す。
[No.2~No.4]
塗布幅比を表1の通りとした以外、No.1と同様にしてNo.1と同一の塗布量[g/m]でNo.2~No.4の多層シートを製造した。これらの多層シートのシート幅比を表1に示す。
Figure 0007123619000001
<平均膜厚>
No.1~No.4の多層シートについて、長手方向の任意の位置において幅方向に5等分した各領域の中央の厚さを測定し、これらの厚さの平均値を算出することで多層シートの平均膜厚を求めた。この算出結果を表2に示す。
<膜厚標準偏差>
上記平均膜厚の算出に用いた各5点の厚さから、No.1~No.4の多層シートの膜厚の標準偏差を算出した。この算出結果を表2に示す。
Figure 0007123619000002
<ボイドの有無>
No.1~No.4の多層シートについて、ボイドに起因する白濁化の有無を目視にて確認した。その結果、No.1~No.4の多層シートのいずれにも白濁化は確認されなかった。
<評価結果>
表1に示すように、No.1~No.4の多層シートは塗布幅比が大きくなる程シート幅比が大きくなっている(換言すると、塗布幅比が1に近づく程シート幅比が1に近づいている)。このことから、塗布幅比が大きくなる程、上記第2乾燥工程における多孔質層の伸長が抑えられており、表2に示すように得られる多層シートの膜厚の均一化が高められている。また、上述のように、No.1~No.4の多層シートは、ボイドに起因する白濁が視認されておらず、ボイドの形成が十分に抑えられていることが分かる。
以上のように、本発明の実施形態に係る多層シートの製造方法は、燃料電池用の電解質膜の製造方法として適している。
1 製造装置
2 多孔質層
3,3a,3b 被覆層形成用組成物
4a 第1被覆層
4b 第2被覆層
4c 充填層
11 搬送機構
11a 送出ロール
11b ガイドロール
11c 治具
12 塗布部
12a 第1ダイ
12b 第2ダイ
13 乾燥部

Claims (3)

  1. 厚さ方向に貫通する複数の空孔を有する長尺状の多孔質層と、この多孔質層の両面に積層される一対の被覆層とを備える多層シートの製造方法であって、
    上記多孔質層を長手方向に搬送しつつ、この多孔質層の一方の面に熱可塑性樹脂及び溶媒を含む被覆層形成用組成物を塗布する第1塗布工程と、
    上記第1塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層の他方の面に上記被覆層形成用組成物を塗布する第2塗布工程と、
    上記第2塗布工程よりも搬送方向下流側で上記多孔質層を乾燥する工程と
    を備え、
    上記第1塗布工程で、上記多孔質層の複数の空孔に上記被覆層形成用組成物を充填し、
    上記第1塗布工程の固形分換算での塗布量をC1[g/m ]、上記第2塗布工程の固形分換算での塗布量をC2[g/m ]、上記多孔質層の単位面積当たりの空孔体積をS[cm /m ]、固形分の比重をd[g/cm ]とした場合、下記式(1)を満たし、
    上記多孔質層の幅に対する上記第1塗布工程及び第2塗布工程の塗布幅の比が0.7以上であり、
    上記乾燥工程で、上記第1塗布工程及び上記第2塗布工程で塗布された上記溶媒を乾燥させ、
    上記乾燥工程で、上記多孔質層の両側縁を一定間隔に保持する多層シートの製造方法。
    0.8×C2+S×d≦C1≦1.2×C2+S×d・・・(1)
  2. 上記多孔質層の主成分がポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の多層シートの製造方法。
  3. 上記熱可塑性樹脂がイオン交換樹脂である請求項1又は請求項2に記載の多層シートの製造方法。
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