JP2014193533A - 両面塗工装置、含浸物製造装置、含浸物の製造方法、プリプレグの製造装置、及びプリプレグの製造方法 - Google Patents

両面塗工装置、含浸物製造装置、含浸物の製造方法、プリプレグの製造装置、及びプリプレグの製造方法 Download PDF

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宜昭 松島
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Abstract

【課題】繊維基材の表裏面に、高粘度の塗工液を用いる場合であっても、ボイドが少ない含浸物を効率よく製造する両面塗工装置、プリプレグ製造装置を提供する。
【解決手段】両面塗工装置60は、繊維基材Aの表面に塗工液を塗布する第1塗布装置72Aと、繊維基材の裏面に塗工液を塗布する第2塗布装置72Bと、を備え、塗工液は、せん断速度100〜1000〔1/s〕における粘度が20〜1500〔mPa・s〕であり、第1塗布装置から塗布された塗工液の繊維基材上における塗布位置Xが、第2塗布装置から塗布された塗工液の繊維基材上における塗布位置Yよりも上流側となるように配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、繊維基材の表裏面に塗工液を塗工して、含浸物を得るための両面塗工装置、含浸物製造装置、含浸物の製造方法、プリプレグの製造装置、及びプリプレグの製造方法に関する。
ガラスクロス等の繊維基材と樹脂成分とを含有するプリプレグは、回路基板の絶縁材料等として広く用いられている。前記プリプレグは、モノマーと重合触媒を含有する重合性組成物を繊維基材に含浸させた含浸物を形成し、次いで、この含浸物を加熱等により重合させて得ることができる。例えば、特許文献1には、ガラスクロスを一定方向に搬送しながら、両面ダイコーター等の塗工装置を用いて、前記重合性組成物を前記ガラスクロスの表裏面に連続塗工して含浸させた後、保護フィルムをガラスクロスの両面に重ね合わせ、この保護フィルム付き含浸物を一対の金属ロールの間を通過させて厚みを調整した後、加熱して重合性組成物を重合させることにより、保護フィルム付きプリプレグを得る技術が提案されている。
特開2007−270083号公報
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化に伴い、伝送損失により優れ、より低誘電率の回路基板が要望されてきている。このため、各種フィラーを多く含有させた塗工液を用いて含浸物を形成することにより、回路基板の性能を向上させることが検討されている。
しかしながら、フィラーの含有量を増やすと塗工液の粘度が高くなるため、従来の塗工方法により、このような高粘度の塗工液を繊維基材に塗工すると、塗工液が繊維基材内部に十分に含浸されず、得られる含浸物にボイドが発生し易くなるという問題があった。
本発明の目的は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、繊維基材の表裏面に、所定の粘度を有する塗工液を塗工して含浸物を得るための両面塗工装置であって、ボイドが少ない含浸物を効率よく製造することができる両面塗工装置、含浸物製造装置、含浸物の製造方法、プリプレグの製造方法、及びプリプレグ製造装置を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、一定方向に搬送される長尺状の繊維基材の表裏面に塗工液を塗工する両面塗工装置であって、前記繊維基材の表面に前記塗工液を塗布する第1塗布装置と、前記基材の裏面に前記塗工液を塗布する第2塗布装置と、を備え、前記塗工液は、せん断速度100〜1000〔1/s〕における粘度が20〜1500〔mPa・s〕であり、前記第1塗布装置および前記第2塗布装置は、前記第1塗布装置から塗布された前記塗工液の前記繊維基材上における塗布位置Xが、前記第2塗布装置から塗布された前記塗工液の前記繊維基材上における塗布位置Yよりも上流側となるように配置されている両面塗工装置であれば、ボイドが少ない含浸物を効率よく製造することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
ここで、前記塗工液としては、液状の材料であれば特に限定されないが、たとえば重合体または重合性組成物を含有する液状の材料を用いることができる。重合体としては、熱可塑性樹脂および硬化性樹脂(熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂等)を用いることができる。また、重合性組成物としては、少なくともモノマーを含有する組成物を用いることができ、モノマーおよび重合触媒を含む組成物を用いてもよい。また、前記塗工液には、溶剤が含まれていてもよい。
本発明によれば、前記塗工液のせん断速度100〜1000〔1/s〕における粘度を20〜1500〔mPa・s〕にすることで、前記塗工液が繊維基材内部に十分に含浸される。また、前記塗布位置Xが前記塗布位置Yよりも上流側となるように配置されている両面塗工装置も用いることで、ボイドが少ない含浸物を効率よく製造することができる。
ここで、前記塗工液は、フィラーを含有する組成物であることが好ましい。また、前記フィラーは、前記塗工液全体に対して40〜75〔質量%〕含有することが好ましい。塗工液にフィラーを含有させることで、塗工液が繊維基材内部に十分に含浸されやすくなる。フィラー含有量が前記質量範囲であれば、より一層含浸されやすくなる。
前記塗工液は、重合性組成物であることが好ましい。重合性組成物である塗工液を用いることで、塗工液が繊維基材内部に十分に含浸される。
前記第1塗布装置および前記第2塗布装置はいずれもダイを備え、前記ダイには、前記繊維基材の幅方向に沿って延びるスリット状の吐出口が形成されていることが好ましい。前記ダイが、このような構成をしていることで、繊維基材の幅方向の端部まで確実に塗工液を行き渡らすことができ、含浸物の品質を向上できる。
また、前記繊維基材が、前記第1塗布装置の塗布位置Xと前記第2塗布装置の塗布位置Yとの間で、前記繊維基材表面に垂直方向のXとYとの間の距離の範囲を超えて屈曲することなく、一定方向に搬送されることが好ましい。前記塗布位置Xと前記塗布位置Yとの間が屈曲しないことで、前記繊維基材が一定方向に搬送される際に、搬送速度を低下させることなく、生産性良く、含浸物を製造することができる。屈曲させた場合、繊維基材とダイの接触部から繊維基材に傷が付き、繊維基材が切れてしまうことがある。また、繊維基材の張力が乱れ、繊維基材が蛇行またはうねりが生じ、塗工製膜精度が悪くなる。繊維基材の蛇行やうねりを解消するために、繊維基材の張力を上げることが考えられるが、繊維基材にガラスクロスを用いた場合、ガラス繊維を束ねたヤーンが引っ張られ密度が上がり、ヤーン内部の気泡を除去することが困難になる。
前記繊維基材の搬送速度をL〔mm/秒〕とし、前記塗布位置Xと前記塗布位置Yとの距離S〔mm〕とした際に、前記第1塗布装置および前記第2塗布装置は、式(α):L≦Sを満たすように配置されていることが好ましい。前記繊維基材の搬送速度が、前記式(α):を満たすことで、より一層生産性良く、含浸物を製造することができる。
本発明は、長尺状の繊維基材に塗工液を含浸させた長尺状の含浸物を製造する含浸物製造装置であって、前記両面塗工装置を含む塗工手段と、塗工された塗工液を前記長尺状の繊維基材に含浸させる含浸手段と、を備えるものである。
また、前記両面塗工装置を用いて、長尺の繊維基材に前記塗工液が含浸した長尺状の含浸物を製造する含浸物の方法であって、前記長尺状の繊維基材を搬送する工程と、搬送された前記長尺状の繊維基材の表面に、前記第1塗布装置より前記塗工液を塗布する工程と、表面に前記塗工液が塗布された前記長尺状の繊維基材の裏面に、前記第2塗布装置より前記塗工液を塗布する工程と、を備えるものである。
前記両面塗工装置、前記含浸物製造装置、及び前記含浸物の製造方法に係る各発明の構成によれば、前記両面塗工装置で奏することができる効果とほぼ同様の効果を奏することができる。
本発明は、前記含浸物製造装置と、前記含浸物製造装置で得られた含浸物を半硬化させたプリプレグを得る半硬化装置と、を備えるプリプレグの製造装置であって、前記塗工液は、重合性組成物であり、前記半硬化装置は、前記重合性組成物を重合反応させて半硬化状態とするプリプレグの製造装置である。
また、前記含浸物の製造方法により得られた含浸物を半硬化させたプリプレグを得る半硬化工程を備えるプリプレグの製造方法であって、前記塗工液は、重合性組成物であり、前記半硬化工程は、前記重合性組成物を重合反応させて半硬化状態とするプリプレグの製造方法である。
前記両面塗工装置、前記プリプレグ製造装置、前記プリプレグの製造方法に係る各発明の構成によれば、前記両面塗工装置で奏することができる効果とほぼ同様の効果を奏することができる。
本発明によれば、繊維基材の表裏面に、所定の粘度を有する塗工液を塗工して含浸物を得るための両面塗工装置であって、高粘度の塗工液を用いる場合であっても、ボイドが少ない含浸物を効率よく製造することができる両面塗工装置、含浸物製造装置、含浸物の製造方法、プリプレグの製造方法、及びプリプレグ製造装置が提供される。
本発明の第1の実施形態に係るプリプレグ製造装置を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係るプリプレグ製造装置の両面塗工装置を模式的に示す断面図である。
本発明の第1の実施形態に係るプリプレグ製造装置および製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係るプリプレグ製造装置を示す模式図である。図1に示すように、プリプレグ製造装置1は、長尺状のプリプレグDを連続的に製造する装置であり、含浸物製造装置10と半硬化装置100とを備える。この半硬化装置100は、含浸物製造装置10で得られる長尺状の繊維基材Aの両面に塗工液を含浸させ含浸物Bを得た後、前記含浸物Bの両面に長尺状の保護フィルム84を連続的に積層した保護フィルム付き含浸物Cを半硬化させて長尺状のプリプレグDを得る半硬化装置である。
図1に示すように、含浸物製造装置10は、長尺状の繊維基材Aに塗工液を含浸させた長尺状の含浸物Bを連続的に製造する装置であり、塗工液供給装置20と、長尺状の繊維基材Aを搬送する搬送装置40と、搬送された長尺状の繊維基材Aの表裏面に塗工液を塗工する両面塗工装置60とを備える。
長尺状の繊維基材Aは、得られる含浸物を補強するための基材であり、繊維の編物、織布、および不織布等のシート状に形成された部材である。ここで、長尺状とは、幅方向、およびこの幅方向の寸法に比べて長い寸法、好ましくは10倍以上の寸法の長手方向を有する帯状のことである。繊維基材Aの長さ(長手方向の長さ)は、特に限定されないが、通常、400〜2000〔m〕である。繊維基材Aの幅寸法(前記長手方向に直交する方向としての幅方向の長さ)は、特に限定されないが、通常、450〜1300〔mm〕、好ましくは530〜1280〔mm〕である。繊維基材Aの厚みは、特に限定されないが、通常、5〜100〔μm〕、好ましくは15〜80〔μm〕である。
長尺状の繊維基材Aに用いる繊維としては、無機系及び/又は有機系の繊維を挙げることができる。これらの繊維の具体例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、及び液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、及びシリカ繊維などの無機繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、及びガラス繊維が好ましい。また、ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス、及びTガラス等の繊維を好適に用いることができる。繊維を構成する繊維束の粗密から生じる含浸物(プリプレグ)の誘電率の局所的な差異を防ぐ観点から、塗工液からなる層の誘電率と繊維基材を構成する材料の誘電率との差は小さい方が好ましい。また、前記繊維は、繊維束を開繊して用いてもよい。
塗工液は、長尺状の繊維基材Aに含浸させる液状の材料である。塗工液は、液状の材料であれば特に限定されないが、たとえば重合体または重合性組成物を含有する液状の材料を用いることができる。重合体としては、たとえば硬化性樹脂(熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂等)を用いることができ、特に熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができる。また、重合性組成物としては、たとえばモノマーを含む組成物や、モノマーおよび重合触媒を含む組成物を用いることができる。なお、前記塗工液は、溶剤を含んでいてもよい。
前記モノマーとしては、各種のモノマーを用いることができるが、たとえばシクロオレフィンモノマーを用いることができる。シクロオレフィンモノマーとは、炭素原子で形成される脂環構造を有し、かつ該脂環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物である。本明細書において「重合性の炭素−炭素二重結合」とは、重合(メタセシス開環重合、付加重合等)に主として関与する炭素−炭素二重結合をいう。
シクロオレフィンモノマーの脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらの組み合わせ多環などを挙げることができる。シクロオレフィンモノマーとしては、得られるプリプレグを用いて例えば回路基板等の成形体を成形した際に、この成形体の機械的強度を向上させる観点から、多環のシクロオレフィンモノマーが好ましい。各環構造を構成する炭素原子数に特に限定はないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。シクロオレフィンモノマーは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの炭素数1〜30の炭化水素基や、カルボキシル基や酸無水物基などの極性基を置換基として有していてもよい。
前記シクロオレフィンモノマーには、前記成形体の機械的強度を向上させる観点から、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するものが好適に用いられる。本明細書において「架橋性炭素−炭素不飽和結合」とは、前記重合にはほとんど関与せず、主として架橋反応に関与する炭素−炭素不飽和結合をいう。「架橋反応」とは橋架け構造を形成する反応をいう。また、「架橋反応」とは、通常、ラジカル架橋反応又はメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。
架橋性炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合又は三重結合が挙げられ、通常、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。架橋性炭素−炭素不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマー中、該不飽和結合の位置は特に限定されるものではなく、炭素原子で形成される脂環構造内の他、該脂環構造以外の任意の位置、例えば、側鎖の末端や内部に存在していてもよい。例えば、前記脂肪族炭素−炭素二重結合は、ビニル基(CH=CH−)、ビニリデン基(CH=C<)、又はビニレン基(−CH=CH−)として存在し得、良好にラジカル架橋性を発揮することから、ビニル基及び/又はビニリデン基として存在するのが好ましく、ビニリデン基として存在するのがより好ましい。
架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーとしては、特に、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するノルボルネン系モノマーが好ましい。「ノルボルネン系モノマー」とは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーをいう。例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、及びテトラシクロドデセン類などが挙げられる。
架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、3−ビニルシクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロへキサジエン、1,4−シクロへキサジエン、5−エチル−1,3−シクロへキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、1,3−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー;5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−アリルノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができる。これらの中では、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するノルボルネン系モノマーが好ましい。
前記シクロオレフィンモノマーとしては、前記架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーの他、架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーが用いられる。
架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテンなどの単環シクロオレフィンモノマー;ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、テトラシクロドデセン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができる。これらの中でも、架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないノルボルネン系モノマーが好ましい。
以上のシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シクロオレフィンモノマーとしては、たとえば、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーと架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとの混合物を用いることができる。
ここで、前記重合触媒は、前記モノマーを重合可能な触媒であれば特に限定されず、たとえば、モノマーが前記シクロオレフィンモノマーである場合には、付加重合触媒や開環重合触媒を用いることができる。
シクロオレフィンモノマーを前記重合触媒にて重合して重合体を製造するにあたり、シクロオレフィンモノマーと、このシクロオレフィンモノマーと共重合可能な他のモノマーとの存在下で重合して、シクロオレフィンモノマーを含む共重合体を得るようにしてもよい。
シクロオレフィンモノマーと共重合可能な他のモノマーとの存在下で付加重合して、シクロオレフィンモノマーを含む付加共重合体を得る場合において、前記シクロオレフィンモノマーと共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
付加重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒など公知の触媒を用いることができる。
開環重合触媒としては、シクロオレフィンモノマーを開環重合させ得るものであればよく、たとえばメタセシス重合触媒を用いることができる。メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる金属錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデン及びタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウム及びオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、メタセシス触媒としては、8族のルテニウムやオスミウムを中心原子とする錯体が好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、ルテニウム原子にカルベン炭素が二重結合した構造(Ru=C)を有する錯体であり、重合時の触媒活性が優れる。このため、メタセシス重合触媒としてルテニウムカルベン錯体を含む重合性組成物を重合して架橋性樹脂成形体を製造する場合、得られる架橋性樹脂成形体には未反応のモノマーに由来する臭気が少ない。したがって、生産性良く良質な成形体が得られる。また、ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。これらのメタセシス重合触媒は、それぞれ単独で、或いは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、メタセシス重合触媒の配合量等は、例えば特開2009−242568号公報に記載の内容とすることができる。
メタセシス重合触媒は所望により、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶剤としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の使用が好ましい。また、メタセシス重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、液状の可塑剤、液状のエラストマーを溶剤として用いてもよい。
メタセシス重合触媒は、重合活性を制御し、重合反応率を向上させる目的で活性剤(共触媒)と併用することもできる。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズの、アルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを用いることができる。その具体例としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。活性剤の使用量は、(触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもモノマーに溶解して用いるのが好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば、溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
また、前記重合性組成物には、前記モノマーおよび重合触媒に加えて、所望により、フィラー、連鎖移動剤、架橋剤、架橋助剤、難燃剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、反応性流動化剤、難燃剤、酸化防止剤、及び着色料等のその他の配合剤を配合してもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を挙げることができる。連鎖移動剤の具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、アリルアミン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、及び4−ビニルアニリンなどの、脂肪族炭素−炭素二重結合基を持たない連鎖移動剤;ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸ヘキセニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ウンデセニル、アクリル酸スチリル、及びエチレングリコールジアクリレートなどの、脂肪族炭素−炭素二重結合基を1つ有する連鎖移動剤;アリルトリビニルシランやアリルメチルジビニルシランなどの、脂肪族炭素−炭素二重結合基を2以上有する連鎖移動剤などが挙げられる。連鎖移動剤の使用量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
また、前記重合性組成物は、得られる前記成形体を後架橋可能な樹脂層として構成し得るとする観点から、架橋剤を含有してもよい。ここで「後架橋可能な」とは、前記成形体を加熱する等して架橋反応を進行させて架橋成形体になし得ることを意味する。架橋剤としては、通常、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。これらのラジカル発生剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上のラジカル発生剤を併用し、その量比を調整することで、含浸物を構成する塗工液のガラス転移温度や溶融状態を任意に制御することが可能である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度としては、特に限定はないが、通常、150〜300〔℃〕、好ましくは180〜250〔℃〕の範囲である。ここで1分間半減期温度とは、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度は、例えば、各ラジカル発生剤メーカー(例えば、日本油脂株式会社)のカタログやホームページを参照すればよい。架橋剤の量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。架橋剤の量が上記範囲にあれば、成形体であるプリプレグを硬化して得られる硬化物が充分な架橋密度を有し、所望の物性を有する回路基板等が効率的に得られるので、好適である。
架橋助剤としては、前記重合には関与せず、架橋剤により誘起される架橋反応に関与可能な架橋性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が好ましい。このような架橋性炭素−炭素不飽和結合は、架橋助剤を構成する化合物中、例えば、末端ビニリデン基として、特に、イソプロペニル基や(メタ)アクリル基として存在するのが好ましく、(メタ)アクリル基として存在するのがより好ましい。なお、(メタ)アクリル基とは、メタクリル基およびアクリル基の両者を含む意味である。
架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を2以上有する多官能化合物;ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びメトキシジエチレングリコールメタクリレートなどの、メタクリル基を1つ有する単官能化合物;ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、及びメトキシジエチレングリコールアクリレートなどの、アクリル基を1つ有する単官能化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を2以上有する多官能化合物などを挙げることができる。架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋助剤の配合量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
難燃剤としては、特に限定されるものではなく、公知の難燃剤、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン−窒素系難燃剤、リン酸エステル難燃剤、窒素系難燃剤、及び無機系難燃剤から、適宜選択して用いることができる。その配合量も、所望の効果が得られるよう適宜調整すればよい。
前記塗工液は、前記成分を適宜混合して用いることができる。前記塗工液として重合性組成物を用いる場合には、重合性組成物は、モノマー(たとえばシクロオレフィンモノマー)と重合触媒とを混合して調製できる。重合性組成物の調製方法は、特に限定されず、たとえば、前記モノマーを含有するモノマー液と、重合触媒を含有する触媒液を別々に調製し、これらを混合して調製する方法が挙げられる。ここで、前記配合剤を用いる場合には、前記配合剤は、前記モノマー液に添加してもよいし、前記触媒液に添加してもよいし、モノマー液と触媒液の混合液に添加してもよい。
触媒液を調製する際、必要に応じて、少量の不活性溶剤を用いてもよい。かかる溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;等が挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の使用が好ましい。また、重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、可塑剤やエラストマーを溶剤として用いてもよい。
本発明において、前記モノマー液および前記触媒液を含む重合性組成物液を予め調製し、この調整した液を塗工液として繊維基材に塗工する構成としてもよいし、モノマー液と触媒液とを別々に調製し、繊維基材上で両液を混合する構成としてもよい。
前記塗工液の粘度は、好ましくは20〜1500〔mPa・s〕であり、より好ましくは30〜1000〔mPa・s〕である。なお、粘度は、せん断速度100〜1000〔1/s〕の範囲での測定結果である。塗工液の粘度が高粘度領域を含む上記範囲においても、前記塗工液を繊維基材に対して十分に含浸させることができる。
前記塗工液の塗工量は、目的に合わせて適宜決定できる。例えば、繊維基材1〔m〕あたり、好ましくは40〜200〔g〕、より好ましくは80〜160〔g〕である。なお、塗工する際の塗工液の温度は、好ましくは0〜40〔℃〕である。塗工時の温度が高すぎると、均一な厚みの含浸物を得にくくなる可能性がある。
前記塗工液は、フィラーを含有する組成物であってもよい。フィラーを含有する塗工液を用いることで、回路基板等の材料として好適に用いられる含浸物を得ることができる。
前記塗工液全体に対して、フィラーの含有量は、好ましくは40〜75〔質量%〕であり、より好ましくは50〜72〔質量%〕である。前記塗工液のフィラー含有量が、上記範囲内であることで、重合組成物をより効率よく繊維基材に含浸させることができる。
フィラーは、特に限定されず、たとえば、有機物や無機物を用いることができるが、より高弾性率の含浸物を得る観点から、無機物であることが好ましい。フィラーの形状は、特に限定されず、たとえば、球状、粒状、不定形状、樹枝状、針状、棒状、及び扁平状等の任意の形状を採用できる。また、フィラーの平均粒子径は、特に限定されず、レーザー散乱回折式粒度分布計で測定した全粒子の50〔体積%〕が含まれるメディアン径で、通常、0.001〜70〔μm〕、好ましくは0.01〜50〔μm〕、より好ましくは0.05〜15〔μm〕、特に好ましくは、0.1〜5〔μm〕である。また、フィラーの平均粒子径は、含浸物の生産性の観点から、スリット幅の1/3以下の寸法であることが好ましい。
上記無機物の中でも、フィラーとして例えば、無機粉末や金属粉末が挙げられる。無機粉末としては、酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛などの酸化物類;窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素などの窒化物類;硫酸バリウム、硫酸鉄、硫酸銅などの硫酸塩類;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩類;水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウムなどの水酸化物類;カオリナイト、タルク、天然マイカ、合成マイカなどの鉱物類;炭化ケイ素などの炭化物類;などが挙げられる。これらはそのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理をしたものであってもよい。
また、金属粉末としては、単独の金属元素で構成される金属粉末であっても、複数の金属で構成される合金粉末等が挙げられる。金属粉末を構成する金属元素としては、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン及びタングステンなどが挙げられる。
塗工液供給装置20は、塗工液を両面塗工装置60へ供給する装置であり、タンク22と、タンク22内の塗工液を両面塗工装置60へ搬送するミキサ28とを備える。なお、本実施形態では、モノマーを含有するモノマー液と、重合触媒を含有する触媒液を別々に調製し、これらを塗工の直前に混合して塗工液を調製する方法を用いる。
タンク22は、塗工液を貯蔵するタンク本体24と、タンク本体24内の塗工液をミキサ28に送出するポンプ26とを備える。タンク本体24は、モノマーを含有するモノマー液を貯蔵するモノマー液タンク24Aと、重合触媒を含有する触媒液を貯蔵する触媒液タンク24Bとを備える。タンク24A,24Bは、それぞれ温度調節機能を備えており、タンク24A,24B内の各液をたとえば−10〜+20〔℃〕に冷却しておくことが好ましい。
ポンプ26は、モノマー液タンク24A内のモノマー液を所定の流速にて送出するポンプ26Aと、触媒液タンク24B内の触媒液を所定の流速にて送出するポンプ26Bとを備える。ポンプ26A,26Bとしては、特に限定されないが、たとえば、ダイヤフラムポンプやプランジャーポンプ、ギヤポンプ、スネークポンプ等を用いることができる。
ミキサ28は、塗工液を調製するミキサ本体29と、調製した塗工液を両面塗工装置60へ送出する塗工液送出部30とを備える。ミキサ本体29は、ポンプ26Aにより送出されたモノマー液と、ポンプ26Bにより送出された触媒液とを所定割合で混合して重合性組成物からなる塗工液を調製する部分である。塗工液送出部30は、ミキサ本体29で調製した塗工液を、繊維基材Aの表面側から送出するための送出経路31と、前記塗工液を繊維基材Aの裏面側から送出するための送出経路32と、これらの送出経路31,32を介して、両面塗工装置60に所定流速で送出する図示しない送出機構とを備える。送出機構としては、たとえば、ダイヤフラムポンプやプランジャーポンプ、ギヤポンプ、スネークポンプ等のポンプを含む機構を用いることができる。なお、ミキサ本体29は、塗工液の粘度を調節する観点から、温度調節機構を備えることが好ましい。
搬送装置40は、長尺状の繊維基材Aを所定の搬送速度にて搬送し、表面に塗工処理等がなされた処理済みの繊維基材としての長尺状のプリプレグDを巻き取るための装置である。搬送装置40は、ロール状に巻回された繊維基材Aのロール巻回体から長尺状の繊維基材Aを順次送り出す送出ロール42と、送出ロール42から送り出されて処理等がなされた長尺状のプリプレグDを巻き取る巻取ロール44と、繊維基材Aの搬送状態を適宜調整する図示しない搬送部とを備える。
送出ロール42と巻取ロール44は、所定速度で回転するロールである。前記搬送部は、送出ロール42と巻取ロール44の回転数等に基づいて長尺状の繊維基材Aに掛かる張力等を調整しつつ、長尺状の繊維基材Aの搬送速度を制御する部分である。繊維基材Aの搬送速度は、通常、8〜333〔mm/秒〕、好ましくは17〜167〔mm/秒〕である。本実施形態では、送出ロール42から送り出された繊維基材Aは、鉛直方向の下方から上方に向かって搬送された後、搬送経路上に配置されたロール43によりその搬送方向がたとえば90度変更されて水平方向となり、その後、巻取ロール44にてロール状に巻き取られる。なお、本実施形態では、搬送方向が途中で1回、90度変更する構成としたが、これには限らず、搬送方向を変更しなくてもよいし、複数回変更してもよいし、変更角度を90度以外の角度としてもよい。
図2は、第1の実施形態に係るプリプレグ製造装置の両面塗工装置を模式的に示す断面図である。図2に示すように、両面塗工装置60は、長尺状の繊維基材Aを図2中の矢印の方向Pに搬送し、前記繊維基材の表裏面に塗工液を塗布する塗工装置を備え、搬送された前記繊維基材の表裏面に前記塗工液を吐出する吐出口を備えている。
両面塗工装置60の材質は、特に制限されず、たとえば、金属や合成樹脂を挙げることができ、耐久性に優れる観点から金属が好ましく、ステンレスがより好ましい。
両面塗工装置60は、長尺状の繊維基材Aの表裏面に塗工液を塗工するために、前記繊維基材の表面に前記塗工液を塗布する第1塗布装置72Aと、前記繊維基材の裏面に前記塗工液を塗布する第2塗布装置72Bとを備える。
前記第1塗布装置72A及び前記第2塗布装置72Bは、それぞれ第1吐出口74A及び第2吐出口74Bを備える。図2中の矢印の方向Pに搬送される長尺状の繊維基材Aの表裏面に、前記第1吐出口74A及び前記第2吐出口74Bから、それぞれ第1塗工液76A及び第2塗工液76Bを所定流速で吐出(塗工)して、含浸物Bを得る部分である。
第1吐出口74A及び第2吐出口74Bは、長尺状の繊維基材Aの幅方向に沿って延びるスリット状に形成されている。なお、本実施形態では、前記吐出口74A,74Bをそれぞれスリット状に形成したが、これには限定されない。また、いずれか一方の吐出口のみスリット状に形成してもよい。
ここで、前記吐出口74A,74Bおよびその周囲の構造としては、長尺の繊維基材に前記塗工液を塗布する際に一般的に用いられる公知のダイと同様のものを用いることができる。このようなダイの具体例としては、たとえば、特開2001−170541号公報、特開2004−290771号公報、および特開2009−018227号公報に記載のもの等を挙げることができる。
図2中の矢印の方向Pの搬送において、第1吐出口74Aは、第2吐出口74Bよりも上流側(図2中の下側)に位置している。前記第1吐出口74Aから繊維基材Aに対して、前記塗工液を吐出する位置を位置Xとし、前記第2吐出口74Bから繊維基材Aに対して、前記塗工液を吐出する位置を位置Yとした際に、矢印の方向P対する前記位置Xと前記位置Yとの間の距離Sは、好ましくは5〜400〔mm〕であり、より好ましくは10〜200〔mm〕である。前記距離を当該範囲とすることにより、含浸物中の気泡をより効率よく除去でき、その結果、ボイドがより少ない含浸物を効率よく製造することができる。
ここで、本実施形態において、繊維基材Aの搬送速度は、式(α):L≦S、を満たすことが好ましい。Lは、繊維基材Aの搬送速度〔mm〕/秒を表し、Sは、第1吐出部74Aと第2吐出部74Bとの間隔〔mm〕を表す。式(α)を満たすことにより、含浸物B中の気泡をより一層効率的に除去できる。
図1に戻って、保護フィルム積層装置80は、長尺状の含浸物Bの両面に長尺状の保護フィルム84を連続的に積層して、保護フィルム付きの含浸物Cを得て、半硬化装置100へと搬送する装置である。保護フィルム積層装置80は、長尺状の保護フィルム84を順次送り出す保護フィルム送出ロール82と、保護フィルム送出ロール82から送り出されて、処理等がなされた長尺状の含浸物Bの両面に前記保護フィルム84を連続的に積層し、所定に塗膜厚さになるように調整する金属ロール86と、前記含浸物Bの搬送状態を適宜調整する図示しない搬送部とを備える。
保護フィルム84としては、本発明により得られた長尺状の繊維基材に塗工液を含浸させた長尺状と剥離性を有するフィルムであれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等が挙げられる。
本発明に係る長尺状の繊維基材Aの両面に塗工液を含浸させ含浸物Bを得た後、前記含浸物Bの両面に長尺状の保護フィルム84を連続的に積層した保護フィルム付き含浸物Cは、巻き取りロール44で巻き取ることにより、保管・運搬することができる。
半硬化装置100は、前記保護フィルム付きの含浸物Cを加熱して半硬化状態とする加熱手段を備える。前記加熱手段としては、特に限定されないが、たとえば加熱ロール、加熱プレート、および加熱炉を用いることができる。前記加熱手段を用いることにより、平滑性及び厚み精度に優れたプリプレグDを連続的に効率よく得ることができる。加熱温度は、通常100〜300〔℃〕、好ましくは100〜250〔℃〕、より好ましくは110〜200〔℃〕、さらに好ましくは120〜180〔℃〕である。なお、本実施形態では、半硬化装置として加熱手段を備える構成としたが、たとえば光照射や添加剤の添加等の加熱以外の手段により半硬化させる構成としてもよい。
ここで、「半硬化」とは、前記保護フィルム付きの含浸物C中の重合性組成物が重合して熱可塑性樹脂の状態となっており、加熱によって更に硬化しうる程度までにしか硬化されていない状態のものを意味し、未硬化の状態のものも含むものとする。好ましくは、樹脂層を構成している絶縁性重合体が溶解可能な溶剤に一部が溶解する状態のものであるか、当該溶剤中に樹脂層を24時間浸漬したときの体積の膨潤率が、浸漬前の200%以上のものである。
<プリプレグの製造方法>
次に、図1〜図2を用いて、長尺状のプリプレグを連続的に製造する方法について説明する。図1に示すように、長尺状のプリプレグDは、長尺状の繊維基材Aを搬送する搬送工程と、塗工液を調製する調製工程と、調製した塗工液を搬送中の繊維基材A上に塗工して含浸物を得る含浸物製造工程と、得られた含浸物を半硬化させてプリプレグを得る半硬化工程と、得られたプリプレグを巻き取る巻取工程とを備えている。以下、各工程についてより詳細に説明する。
まず、長尺状の繊維基材Aを巻回した巻回体を準備し、この巻回体を搬送装置40の送出ロール42に取り付けるとともに、図2に示すように、長尺状の繊維基材Aが両面塗工装置60および金属ロール86を通って、半硬化装置100を通過するように設定する。次いで、図1に示すように、送出ロール42および巻取ロール44の回転速度やロール43の位置等を前記搬送部で調整して、長尺状の繊維基材Aを所定速度で搬送させる(搬送工程)。
また、モノマー液タンク24A内のモノマー液をポンプ26Aにより所定流速でミキサ本体29へ送出し、また、触媒液タンク24B内の触媒液をポンプ26Bにより所定流速でミキサ本体29へ送出し、ミキサ本体29ではポンプ26Aにより送出されたモノマー液とポンプ26Bにより送出された触媒液とを所定割合で混合して重合性組成物からなる塗工液を調製する(調製工程)。
次に、調製した塗工液を送出経路31を介して両面塗工装置60の第1吐出口74Aへと導くとともに、調製した塗工液を送出経路32を介して両面塗工装置60の第2吐出口74Bへと導く。
より詳細には、繊維基材Aの特定の任意の個所を挙げて説明すると、搬送されてきた繊維基材Aの表面における第1吐出口74Aから、前記個所に塗工液が塗工されると、繊維基材Aの表面から裏面に塗工液76Aが浸出した状態となる。次いで、繊維基材Aが下流側へ搬送されると、前記個所は第2吐出口74B近傍へと移動し、繊維基材Aの裏面における前記個所に塗工液76Bが塗工され、長尺状の表裏面に前記塗工液を塗工する含浸物Bが得られる(含浸物製造工程)。このように、既に繊維基材Aの表面から裏面には、塗工液が浸出しているため、繊維基材A中に気泡が残ることを抑えることができる。
次に、図1に示すように、半硬化装置100の前記加熱手段により長尺状の含浸物Bを加熱して前記塗工液中のモノマーを重合して半硬化させて長尺状のプリプレグを得る(半硬化工程)。次に、この長尺状のプリプレグを巻取ロール44で巻き取って、巻回体として形成された長尺状のプリプレグを製造する(巻取工程)。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)塗工液は、せん断速度100〜1000〔1/s〕における粘度が20〜1500〔mPa・s〕である。前記塗工液の粘度が高粘度領域を含む上記範囲においても、塗工液が繊維基材内部に十分に含浸されやすくなり、含浸物B中の気泡を低減することができる。
(2)前記繊維基材が、前記第1塗布装置の塗布位置Xと前記第2塗布装置の塗布位置Yとの間で、前記繊維基材表面に垂直方向のXとYとの間の距離の範囲を超えて屈曲することなく、一定方向に搬送されることで、搬送速度を低下させることなく、生産性良く、含浸物を製造することができる。屈曲させた場合、繊維基材とダイの接触部から繊維基材に傷が付き、繊維基材が切れてしまうことがある。また、繊維基材の張力が乱れ、繊維基材が蛇行またはうねりが生じ、塗工製膜精度が悪くなる。繊維基材の蛇行やうねりを解消するために、繊維基材の張力を上げることが考えられるが、繊維基材にガラスクロスを用いた場合、ガラス繊維を束ねたヤーンが引っ張られ密度が上がり、ヤーン内部の気泡を除去することが困難になる。
(3)吐出口は、第1吐出口74Aに加えて、繊維基材Aの裏面に塗工液を吐出する第2吐出口74Bを備えることにより、繊維基材Aの両側面に確実に塗工液からなる層を設けることができ、含浸物Bから繊維基材Aが露出する等の不具合のない良好な品質の含浸物Bを確実に製造できる。
(4)第1吐出口74Aおよび第2吐出口74Bをそれぞれ繊維基材Aの幅方向に沿って延びるスリット状に形成したので、繊維基材Aの幅方向の端部まで確実に塗工液を行き渡らすことができ、含浸物Bの品質を向上できる。
(5)第1吐出口74Aから繊維基材Aに対して塗工液を吐出する位置Aと、第2吐出口74Bから繊維基材Aに対して塗工液を吐出する位置Bとの間の距離を設ける構成としたので、第1吐出口74Aから塗工液を吐出して繊維基材Aの表面に塗工液を塗工すると、時間の経過とともに、繊維基材Aの表面から裏面側へ向けて塗工液が繊維基材Aへと徐々に含浸し、次に、この状態で、第2吐出口74Bから塗工液を吐出して繊維基材Aの裏面に塗工液を塗工するため、含浸物B中への気泡を確実に除くことができ、含浸物Bの品質を向上できる。
(6)モノマー液と触媒液とを別のタンク24A,24Bに貯蔵し、塗工の直前の段階でミキサ本体29にて混合して塗工液を調製する構成としたので、モノマー液と触媒液を予め混合しておく場合に比べて、意図せずに重合が開始して塗工液が硬化するといった不具合を抑えることができ、プリプレグDの生産性を向上できる。
前記実施形態において、長尺状の繊維基材の搬送方向は、鉛直方向に沿って下方から上方となるようにしたが、これには限定されず、略水平方向としてもよいし、特に限定されない。
また、長尺状の繊維基材は、略直線上に搬送する構成としたが、例えば、第1塗布装置と第2塗布装置の間で搬送方向が屈曲するような構成としても構わない。
ここで、前記各実施形態では、モノマー液と触媒液とを別のタンク24A,24Bに貯蔵し、塗工の直前の段階でミキサ本体29にて混合して塗工液を調製する構成としたが、たとえば、予め繊維基材上に触媒を担持させておき、このような触媒が担持した繊維基材を搬送させるとともに、この触媒担持型の繊維基材の表面にモノマー液を塗工して、繊維基材上で塗工液を調製するような構成としてもよい。このような構成によれば、モノマー液と触媒とが繊維基材上で混合されるため、通常の条件では塗工前および塗工時に重合反応が進まないため、塗工液の粘度が上昇することを抑えて、生産性を向上できる。
また、上記構成によれば、繊維基材上には触媒を含まないモノマー液のみを塗工するため、モノマー液を加温しても重合反応が進行しにくいことから、例えばモノマー液を貯蔵するタンクに温度調節機構を備えることにより、モノマー液を加温して用いることができる。このようにモノマー液の温度を調整することにより、モノマー液の粘度を適度に調節して、より一層生産性を向上できる。
また、前記実施形態では、モノマー液と触媒液とを2つのタンクに分けて貯蔵し、塗工の直前で混合して塗工液を調製する構成としたが、予め、モノマー液と触媒液とを1つのタンクに貯蔵する構成としてもよい。さらに、塗工液には、モノマーと触媒とを含む構成としたが、液状であればよく、これには限定されない。
本発明に係る長尺状の含浸物の両面に長尺状の保護フィルムを連続的に積層して、保護フィルム付きの含浸物を製造する構成としたが、少なくとも一方の面のみに保護フィルムを積層する構成としてもよいし、保護フィルムを積層しなくてもよい。
本発明により得られた長尺状のプリプレグは、適宜の大きさに裁断して用いてもよし、他の支持体(樹脂フィルム、金属箔等)と連続的に積層して用いてもよい。前記プリプレグは、回路基板の絶縁材料として有用である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。各例中の部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。
〔製造例1〕モノマー液の調製
シクロオレフィンモノマーとして、ジシクロペンタジエン50部及びテトラシクロドデセン50部、無機フィラーとしてシリカ100部、架橋助剤としてトリメチロ−ルプロパントリメタクリレート10部、連鎖移動剤としてメタクリル酸ビニル2部、並びに架橋剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(1分間半減期温度:186〔℃〕)1.5部を攪拌しながら混合して、モノマー液を調製した。
〔製造例2〕触媒液の調製
メタセシス重合触媒として、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド5部を、インデン100部に溶解させて触媒液を調製した。
〔実施例1〕
図1に示すプリプレグの製造装置1のモノマー液タンク24A及び触媒液タンク24Bに、上記で得たモノマー液及び触媒液を入れ、各タンクを10〔℃〕に冷却した。モノマー液タンク24A及び触媒液タンク24Bに、それぞれにポンプ26Aとしてダイヤフラムポンプ、ポンプ26Bとしてプランジャーポンプをつなぎ、それぞれ60〔g/分〕、0.32〔g/分〕の流速で、ミキサ28として小型スタティックミキサー(スパイラルタイプ、エレメント長3.18〔mm〕、エレメント数24)に送液して、温度10〔℃〕の重合性組成物を調製した。次いで、得られた温度10〔℃〕の重合性組成物を両面塗工装置60に送液した。両面塗工装置60の第1吐出口74Aと第2吐出口74Bとの距離が、繊維基材Aであるガラスクロスの搬送方向に53〔mm〕になるように、繊維基材Aの搬送方向の上流側と下流側にずらして配置した。
一方、基材送り出しロール42から、長尺状の繊維基材Aである、厚さ75〔μm〕、幅530〔mm〕の長尺状のガラスクロス(2112/530/AS891AW:旭シュエーベル社製)を、17〔mm/秒〕mm/秒の速度で送り出しながら、両面塗工装置60から、このガラスクロスの両面に塗工後の厚さが110〔μm〕となるように上記重合性組成物を連続塗工し、長尺状の含浸物Bを得た。
次いで、保護フィルム送出しロール82A及び82Bから、長尺状の保護フィルムである、厚さ25〔μm〕、幅630〔mm〕の長尺状のポリエチレンナフタレートフィルム84A及び84B(Q51:帝人デュポンフィルム社製)を送り出し、含浸物Bの両面に重ね合わせ、間隙を150〔μm〕に調整した一対の金属ロール86A及び86Bの間を通して、塗膜厚さが100〔μm〕になるようにして、長尺状の保護フィルム付き含浸物Cを得た。
次いで、長尺状の保護フィルム付き含浸物Cを、125±5〔℃〕に保たれた半硬化装置100を構成する加温炉に連続的に送った。加温炉内では、長尺状の保護フィルム付き含浸物Cを3分間加熱することにより重合性組成物を塊状重合させて、長尺状のプリプレグDを得た。得られた長尺状のプリプレグDは巻取ロール44で巻き取った。
実施例1の製造条件(ライン速度、モノマー液量、触媒液量、2つの吐出口の搬送方法の間隔)を第1表に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、モノマー液タンク24Aからのモノマー液供給量を180〔g/分〕、触媒液タンク24Bからの触媒液供給量を0.96〔g/分〕に変更し、繊維基材Aの搬送速度を50〔mm/秒〕に変更したことを除き、実施例1と同様にして含浸物を得た。
実施例2の製造条件(ライン速度、モノマー液量、触媒液量、2つの吐出口の搬送方法の間隔)を第1表に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、両面塗工装置60の吐出口の差を0〔mm〕に設定したことを除き、実施例1と同様にして含浸物を得た。
比較例1の製造条件(ライン速度、モノマー液量、触媒液量、2つの吐出口の搬送方法の間隔)を第1表に示す。
〔比較例2〕
実施例2において、両面塗工装置60の吐出口の差を0〔mm〕に設定したことを除き、実施例2と同様にして含浸物を得た。
比較例2の製造条件(ライン速度、モノマー液量、触媒液量、2つの吐出口の搬送方法の間隔)を第1表に示す。
(ボイド測定方法)
実施例及び比較例で得た含浸物を、それぞれ100〔mm〕×100〔mm〕の正方形に切り出し、これを用いて、X線内観検査装置μB2600(松定プレシジョン社製)により、管電圧40〔kV〕、管電流50〔μA〕の条件でボイドを観察した。
次いで、樹脂層とボイド(空隙)部分に分けて2値化を行い、ボイド面積を算出し、下記式によりボイド率を求めた。得られたボイド率を第1表に示す。
Figure 2014193533
Figure 2014193533
1:プリプレグの製造装置
10:含浸物製造装置
20:塗工液供給装置
22:タンク
24:タンク本体
24A:モノマー液タンク
24B:触媒液タンク
26(26A,26B):ポンプ
28:ミキサ
29:ミキサ本体
30:塗工液送出部
31,32:送出経路
40:搬送装置
42:送出ロール
44:巻取ロール
60:両面塗工装置
72A:第1塗布装置
72B:第2塗布装置
74A:第1吐出口
74B:第2吐出口
76A:第1塗工液
76B:第2塗工液
80:保護フィルム積層装置
82(82A,82B):保護フィルム送出ロール
84(84A,84B):保護フィルム
86(86A,86B):金属ロール
100:半硬化装置
A:繊維基材
B:含浸物
C:保護フィルム付き含浸物
D:プリプレグ
P:方向
S:距離
X,Y:位置

Claims (11)

  1. 一定方向に搬送される長尺状の繊維基材の表裏面に塗工液を塗工する両面塗工装置であって、前記繊維基材の表面に前記塗工液を塗布する第1塗布装置と、前記繊維基材の裏面に前記塗工液を塗布する第2塗布装置と、を備え、
    前記塗工液は、せん断速度100〜1000〔1/s〕における粘度が20〜1500〔mPa・s〕であり、
    前記第1塗布装置および前記第2塗布装置は、前記第1塗布装置から塗布された前記塗工液の前記繊維基材上における塗布位置Xが、前記第2塗布装置から塗布された前記塗工液の前記繊維基材上における塗布位置Yよりも上流側となるように配置されている両面塗工装置。
  2. 前記塗工液は、フィラーを含有する組成物である請求項1に記載の両面塗工装置。
  3. 前記塗工液は、前記塗工液全体に対して前記フィラーを40〜75〔質量%〕含有する請求項2に記載の両面塗工装置。
  4. 前記塗工液は、重合性組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の両面塗工装置。
  5. 前記第1塗布装置および前記第2塗布装置はいずれもダイを備え、
    前記ダイには、前記繊維基材の幅方向に沿って延びるスリット状の吐出口が形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の両面塗工装置。
  6. 前記繊維基材が、前記第1塗布装置の塗布位置Xと前記第2塗布装置の塗布位置Yとの間で、屈曲することなく一定方向に搬送される請求項1〜5のいずれかに記載の両面塗工装置。
  7. 前記繊維基材の搬送速度をL〔mm/秒〕とし、前記塗布位置Xと前記塗布位置Yとの距離S〔mm〕とした際に、
    前記第1塗布装置および前記第2塗布装置は、式(α):L≦Sを満たすように配置されている請求項1〜6のいずれかに記載の両面塗工装置。
  8. 長尺状の繊維基材に塗工液を含浸させた長尺状の含浸物を製造する含浸物製造装置であって、
    請求項1〜7のいずれかに記載の両面塗工装置を含む塗工手段と、
    塗工された塗工液を前記長尺状の繊維基材に含浸させる含浸手段と、を備える含浸物製造装置。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の両面塗工装置を用いて、長尺の繊維基材に前記塗工液が含浸した長尺状の含浸物を製造する含浸物の製造方法であって、
    前記長尺状の繊維基材を搬送する工程と、
    搬送された前記長尺状の繊維基材の表面に、前記第1塗布装置より前記塗工液を塗布する工程と、
    表面に前記塗工液が塗布された前記長尺状の繊維基材の裏面に、前記第2塗布装置より前記塗工液を塗布する工程と、
    を備える含浸物の製造方法。
  10. 請求項8に記載の含浸物製造装置と、前記含浸物製造装置で得られた含浸物を半硬化させたプリプレグを得る半硬化装置と、を備えるプリプレグの製造装置であって、
    前記塗工液は、重合性組成物であり、
    前記半硬化装置は、前記重合性組成物を重合反応させて半硬化状態とする
    プリプレグの製造装置。
  11. 請求項9に記載の含浸物の製造方法により得られた含浸物を半硬化させたプリプレグを得る半硬化工程を備えるプリプレグの製造方法であって、
    前記塗工液は、重合性組成物であり、
    前記半硬化工程は、前記重合性組成物を重合反応させて半硬化状態とする
    プリプレグの製造方法。
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