JP2014177568A - 重合性組成物、架橋性樹脂成形体、積層体および積層構造体 - Google Patents

重合性組成物、架橋性樹脂成形体、積層体および積層構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】低誘電損失であり、かつ、ピール強度および機械強度に優れた積層体および積層構造体の製造に有用な、重合性組成物を提供すること。
【解決手段】シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、架橋助剤、ならびに、22以上の炭素−炭素二重結合および1以上の酸無水物基を有する酸無水物を含有してなり、前記シクロオレフィンモノマー100重量部に対する、前記酸無水物の含有割合が0.1重量部以上、1.0重量部未満である重合性組成物重合性組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性組成物、架橋性樹脂成形体、積層体および積層構造体に関するものである。
近年、情報伝送は高周波化や高密度化などの要求が高まり、高精度化、多層化、微細化された高性能回路基板の開発が進んでいる。高周波領域での情報伝送に用いられる回路基板には、伝送損失が小さい材料が求められており、このような材料として、誘電正接が小さく、これにより、伝送損失が小さくできるという点より、シクロオレフィンモノマーを重合したシクロオレフィンポリマーが注目されている。
たとえば、特許文献1には、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤、架橋剤、架橋遅延剤を含む反応液を強化繊維に含浸させた後、重合反応を行うことでプリプレグを製造し、得られたプリプレグ同士を積層させて積層板を得る技術が開示されている。また、特許文献1においては、架橋剤による架橋効果を向上させるために、架橋助剤を併用することができるとの記載があり、架橋助剤として、トリメタクリレート化合物やジアクリレート化合物などが例示されている。
国際公開第2004/067601号
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術のように、架橋助剤としてのトリメタクリレート化合物やジアクリレート化合物などを用いただけでは、得られる架橋体の架橋度が必ずしも十分でなく、そのため、金属箔などと積層して積層体とした場合に、金属箔との密着が十分でなく、ピール強度が弱いという課題があった。
本発明は、低誘電損失であり、かつ、ピール強度および機械強度に優れた積層体および積層構造体の製造に有用な、重合性組成物、および架橋性樹脂成形体、ならびに、これらを用いて得られる積層体および積層構造体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、および架橋助剤に加えて、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物を所定量配合してなる重合性組成物によれば、ピール強度および機械強度に優れた積層体および積層構造体が得られることを見出し、このような知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、架橋助剤、ならびに、2以上の炭素−炭素二重結合および1以上の酸無水物基を有する酸無水物を含有してなり、前記シクロオレフィンモノマー100重量部に対する、前記酸無水物の含有割合が0.1重量部以上、1.0重量部未満である重合性組成物、
〔2〕前記酸無水物が、ジアクリル酸無水物および/またはジメタクリル酸無水物である前記〔1〕に記載の重合性組成物、
〔3〕前記〔1〕または〔2〕に記載の重合性組成物を重合させて得られる、架橋性樹脂成形体、
〔4〕繊維状強化材を含む、前記〔3〕に記載の架橋性樹脂成形体、
〔5〕前記〔3〕または〔4〕に記載の架橋性樹脂成形体と、金属箔とを積層した状態で前記架橋性樹脂成形体を架橋させて得られる、積層体、ならびに、
〔6〕前記〔3〕または〔4〕に記載の架橋性樹脂成形体を架橋させて得られる架橋樹脂成形体と、導体層との積層構造を有する、積層構造体、
が提供される。
本発明によれば、低誘電損失であり、かつ、ピール強度および機械強度に優れた積層体および積層構造体の製造に有用な、重合性組成物、および架橋性樹脂成形体、ならびに、これらを用いて得られる積層体および積層構造体を提供することができる。
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、架橋助剤、ならびに、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物を含有してなり、シクロオレフィンモノマー100重量部に対する、前記酸無水物の含有割合が0.1重量部以上、1.0重量部未満であることを特徴とする。
(シクロオレフィンモノマー)
本発明で用いられるシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環構造中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。シクロオレフィンモノマーとしては、たとえば、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンなどが挙げられ、シクロオレフィンモノマーとしては、ノルボルネン系モノマーを用いることが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。
ノルボルネン系モノマーとしては、特に限定されないが、たとえば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、およびこれらのアルキル置換体(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(たとえば、エチリデン置換体)、アリール置換体(たとえば、フェニル、トリル置換体)、ならびに、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基などの極性基を有する誘導体などが挙げられる。
単環シクロオレフィンとしては、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンや、置換基を有するそれらの誘導体が挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなシクロオレフィンモノマーを含む重合性組成物を重合させて得られる架橋性樹脂成形体、ならびに、該架橋性樹脂成形体を用いて得られる積層体および積層構造体は、誘電正接が小さいものであり、そのため、高性能プリント配線基板に用い得る伝送損失が小さい材料などとして適したものである。
(メタセシス重合触媒)
本発明で用いられるメタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合させ得るものであれば特に限定されない。メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオンおよび/または化合物が結合してなる遷移金属錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族および8族(長周期型周期表による。以下、同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、たとえばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、たとえばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、たとえばルテニウムやオスミウムが挙げられる。これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムを中心原子とする錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯体を用いることがより好ましく、ルテニウムカルベン錯体を用いることが特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、ルテニウム原子にカルベン炭素が二重結合した構造(Ru=C)を有する錯体であり、重合時の触媒活性に優れるものである。そのため、メタセシス重合触媒としてルテニウムカルベン錯体を含む重合性組成物を重合して架橋性樹脂成形体を製造した場合、得られる架橋性樹脂成形体中における未反応のモノマーの含有割合を低減することができ、未反応のモノマーに由来する臭気を低減することができる。そして、これにより、生産性良く良質な成形体が得られる。また、ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。
ここで、ルテニウムカルベン錯体としては、ヘテロ環構造を有するカルベン化合物を配位子として有するものが好ましい。このようなルテニウムカルベン錯体を用いることにより、重合性組成物を重合して得られる架橋性樹脂成形体、ならびに、該架橋性樹脂成形体を用いて得られる積層体および積層構造体の機械強度と耐衝撃性が高度にバランスさせることができる。なお、ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子は、周期律表第15族および第16族の原子を意味し、たとえば、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリン環構造やイミダゾリジン環構造が好ましく、このようなヘテロ環構造を有する化合物の具体例としては、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
好ましいメタセシス重合触媒の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、配位子としてヘテロ環構造を有する化合物と、中性の電子供与性化合物とが結合したルテニウム錯体化合物が挙げられる。
これらのメタセシス重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、メタセシス重合触媒の配合量は、たとえば国際公開第2004/067601号に記載された量とすることができる。
なお、メタセシス重合触媒は、必要に応じて、少量の不活性溶媒に溶解または懸濁させた状態で使用することができる。このような溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。
(ラジカル発生剤)
本発明で用いられるラジカル発生剤は、重合性組成物を重合してなる架橋性樹脂の架橋反応を誘起し得る化合物であれば特に限定されない。すなわち、ラジカル発生剤は、架橋性樹脂を架橋する際の架橋剤として機能する。なお、「架橋性樹脂」とは、加熱処理などにより架橋させることで架橋樹脂となる樹脂を指す。
ラジカル発生剤としては、たとえば、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。
有機過酸化物としては、たとえば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサンなどの環状パーオキサイド類;が挙げられる。
ジアゾ化合物としては、たとえば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、それぞれ単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ラジカル発生剤の1分間半減期温度および配合量は、たとえば国際公開第2004/067601号に記載された範囲とすることができる。ここで、1分間半減期温度とは、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
(架橋助剤)
本発明で用いられる架橋助剤としては、開環重合反応には関与しないが、架橋剤で誘起される架橋反応に関与し得る官能性基を2以上有し、架橋構造の一部を構成し得る多官能化合物(ただし、後述する2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物に該当するものを除く。)である。
架橋助剤の官能性基としては、ビニリデン基が挙げられる。特に、架橋反応性に優れることから、ビニリデン基は、イソプロペニル基又はメタクリロイル基として存在するのが好ましく、メタクリロイル基として存在するのがより好ましい。
架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼン等のイソプロペニル基を2以上有する化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート等のメタクリロイル基を2以上有する化合物(ただし、後述する2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物に該当するものを除く。);等が挙げられる。なかでも、架橋助剤としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート等のメタクリロイル基を3つ有する化合物が好ましく、トリメチロールプロパントリメタクリレートがより好ましい。架橋助剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋助剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜50重量部である。架橋助剤の含有量を、上記範囲内とすることで、耐熱性に優れ、誘電正接が小さい積層体および積層構造体が得られやすくなる。
(2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物)
本発明の重合性組成物は、上述したシクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、および架橋助剤に加えて、2以上の炭素−炭素二重結合および1以上の酸無水物基を有する酸無水物(以下、適宜、「酸無水物」と略記する。)を含有する。
本発明で用いる酸無水物としては、2以上の炭素−炭素二重結合と、1以上の酸無水物基とを有する化合物であればよく、特に限定されないが、炭素−炭素二重結合を2つ有し、かつ、酸無水物基として、カルボン酸無水物基を有する化合物が好適であり、下記一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2014177568
(上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、R、Rは、それぞれ独立に、化学的な単結合または炭素数1〜6のアルキレン基である。)
特に、本発明においては、上述した架橋助剤に加えて、このような酸無水物を配合することにより、重合性組成物を重合してなる架橋性樹脂を架橋させた際に、酸無水物の作用により、架橋による橋架け構造をより強固なものとするこができ、これにより、架橋後の積層体および積層構造体を、ピール強度および機械強度に優れたものとすることができる。
上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは水素原子またはメチル基である。これらR、Rは、同じであっても、異なっていてもよいが、同じものであることが好ましい。
上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、化学的な単結合または炭素数1〜6のアルキレン基であり、好ましくは化学的な単結合またはメチレン基であり、より好ましくは化学的な単結合である。これらR、Rは、同じであっても、異なっていてもよいが、同じものであることが好ましい。
なお、上記一般式(1)で表される化合物は、通常、下記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸と、下記一般式(3)で表される不飽和カルボン酸とを脱水縮合させることにより得ることができる。なお、上記一般式(1)で表される酸無水物を、RとRとが同じであり、かつ、RとRとが同じであるものとする場合には、脱水縮合させる不飽和カルボン酸として一種のみを用いて、二量化させることにより得ることができる。
Figure 2014177568
上記一般式(1)で表される酸無水物の具体例としては、ジアクリル酸無水物、ジメタクリル酸無水物、ジ−3−ブテン酸無水物、ジ−3−メチル−3−ブテン酸無水物、ジ−4−ペンテン酸無水物、ジ−4−メチル−4−ペンテン酸無水物などが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ピール強度および機械強度の向上効果が高いという点より、ジアクリル酸無水物、ジメタクリル酸無水物が好ましい。
本発明の重合性組成物中における酸無水物の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、0.1重量部以上、1.0重量部未満であり、好ましくは0.2〜0.7重量部である。酸無水物の含有量が0.1重量部未満であると、ピール強度および機械強度の向上効果が得られなくなり、一方、酸無水物の含有量が1.0重量部以上であると、シクロオレフィンモノマーの重合反応時に重合の不純物としての作用が大きくなり、結果として、得られる積層体および積層構造体のピール強度および機械強度が低下してしまう。
(その他の配合剤)
本発明の重合性組成物には、上記の成分に加えて、所望により、連鎖移動剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、反応性流動化剤、充填剤、難燃剤、老化防止剤、着色料などのその他の配合剤を任意の配合量で配合することができる。なお、連鎖移動剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、反応性流動化剤、充填剤、難燃剤、老化防止剤、着色料としては、一般に使用されている化合物、たとえば国際公開第2004/067601号に記載の化合物や、特開2010−100683号公報に記載の化合物などを用いることができる。
本発明の重合性組成物は、上記各成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、たとえば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解もしくは分散させた液(触媒液)を、シクロオレフィンモノマー、ラジカル発生剤および架橋助剤、ならびに、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物などの必須成分と、任意にその他の配合剤とを混合した液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって調製することができる。
(架橋性樹脂成形体)
本発明の架橋性樹脂成形体は、上述した本発明の重合性組成物を重合(たとえば、塊状重合)させることで得られるものである。本発明の架橋性樹脂成形体は、架橋可能な成形体であり、このような架橋性樹脂成形体を、必要に応じて他の部材と積層した状態で架橋させることにより、架橋樹脂成形体、架橋樹脂成形体と金属箔との積層体、または橋樹脂成形体と導体層との積層構造体などを製造することができる。
ここで、重合性組成物を塊状重合させて架橋性樹脂成形体を得る方法としては、たとえば、
(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合させる方法、
(b)重合性組成物を成形型内に注入し、次いで塊状重合させる方法、
(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重合させる方法、
などが挙げられる。なお、架橋性樹脂成形体の厚さや形状は、架橋性樹脂成形体の用途に応じて適宜変更することができる。
上記(a)の方法によれば、フィルム状や板状等の架橋性樹脂成形体が得られる。
ここで、支持体としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートおよびナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金および銀などの金属材料からなる金属箔や金属板;などが挙げられる。中でも、支持体としては、金属箔または樹脂フィルムが好ましい。
なお、支持体の厚さや表面粗度は、架橋性樹脂成形体の用途に応じて適宜変更することができる。また、支持体として金属箔を使用する場合、金属箔の表面が、シランカップリング剤、チオールカップリング剤およびチタネートカップリング剤などの公知のカップリング剤や接着剤などで処理されているものを用いてもよい。そして、(a)の方法によれば、たとえば支持体として銅箔を用いた場合には、樹脂付き銅箔〔Resin Coated Copper(RCC)〕を得ることができる。
なお、支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法およびスリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
そして、この(a)の方法では、塊状重合は、支持体上に塗布された重合性組成物を所望により乾燥させ、次いで重合性組成物を所定の温度で加熱することにより行われる。重合性組成物の加熱方法としては、特に制約されず、支持体に塗布された重合性組成物を、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(b)の方法によれば、任意の形状の架橋性樹脂成形体が得られる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状および多角柱状等が挙げられる。
ここで、成形型としては、従来公知の成形型を用いることができる。そして、上記(b)の方法では、成形品の形状にあった空隙部(キャビティー)を有する成形型の空隙部に重合性組成物を注入し、加熱して塊状重合させる。あるいは、上記(b)の方法では、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し、加熱して塊状重合させる。
なお、成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。また、重合性組成物を成形型内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常用いられている圧力とすることができる。そして、重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器やスチームなどの加熱手段を利用する方法や、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(c)の方法によれば、内部に繊維状強化材を含有する、シート状またはフィルム状の架橋性樹脂成形体(「架橋性複合体」と称されることもある。)が得られる。
ここで、上記(c)の方法では、重合性組成物の繊維状強化材への含浸は、たとえば、所定量の重合性組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法およびスリットコート法等の公知の方法により繊維状強化材に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。そして、上記(c)の方法では、重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた後、含浸物を加熱して重合性組成物を塊状重合させる。
なお、繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維の織布または不織布が使用できる。有機系繊維としては、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などを挙げることができる。また、無機系繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などが挙げられる。
繊維状強化材に重合性組成物を含浸させてなる含浸物の加熱方法としては、たとえば、(i)含浸物を支持体上に設置して上記(a)の方法のようにして加熱する方法や、(ii)予め成形型内に繊維状強化材を設置しておき、該成形型内で重合性組成物を繊維状強化材に含浸させて含浸物を得た後、前記(b)の方法のようにして加熱する方法、などが挙げられる。
なお、上記(a)、(b)および(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲内であって、かつ、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度よりも10℃以上低い温度、より好ましくは1分間半減期温度よりも20℃以上低い温度とすることができる。また、重合時間は適宜選択すればよい。
本発明の架橋性樹脂成形体を構成する架橋性樹脂(重合性組成物を重合して得られる重合体)は、実質的に架橋構造を有さないものであるため、たとえば、トルエンなどの溶剤に可溶なものである。ここで、重合性組成物を重合して得られる重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲内である。
また、本発明の架橋性樹脂成形体は、架橋可能な樹脂成形体であるが、その構成樹脂の一部分が架橋されたものであってもよい。たとえば、成形型内で重合性組成物を塊状重合したときには、成形型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、成形型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。そのため、高温部では架橋反応が起き、架橋が生ずることがある。ただし、この場合においても、熱を発散しやすい表面部が架橋可能な架橋性樹脂で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂成形体は所望の効果を充分に発揮し得る。
(積層体)
本発明の積層体は、上述した本発明の架橋性樹脂成形体と、金属箔とを積層した状態で架橋性樹脂成形体を架橋させることで得られるものである。このようにして得られる本発明の積層体は、プリント配線基板や多層プリント配線基板の製造などに用いることができる。なお、金属箔として銅箔を用いた場合、積層体は銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminates)となる。
ここで、本発明の積層体を得る方法としては、たとえば、
(α)上記(a)の方法、あるいは、上記(c)の方法のうち上記(i)の加熱方法を採用した方法において支持体として金属箔を用いて得た、支持体(金属箔)付き架橋性樹脂成形体(または架橋性複合体)を加熱して架橋する方法、
(β)上記(a)〜(c)の何れかの方法を用いて得た支持体を有さない架橋性樹脂成形体(または架橋性複合体)に金属箔を積層し、加熱して架橋する方法、などが挙げられる。
なお、上記(β)の方法で用いる金属箔としては、上記(a)の方法において支持体として用いることのできる金属箔と同様のものが挙げられる。また、この場合においては、金属箔は、シランカップリング剤、チオールカップリング剤およびチタネートカップリング剤などの公知のカップリング剤や接着剤などで処理されているものを用いてもよい。
架橋性樹脂成形体の架橋は、架橋性樹脂成形体を所定の温度以上に加熱することによって行うことができる。加熱温度は、通常、ラジカル発生剤により架橋反応が誘起される温度以上である。具体的には、加熱温度は、例通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度であり、典型的には、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲内である。なお、加熱方法は、プレス機やプレス成形機を用いた熱プレスなど、既知の方法を用いることができる。また、加熱時間やプレス圧力は、適宜設定することができる。
(積層構造体)
本発明の積層構造体は、架橋性樹脂成形体を架橋させて得られる架橋樹脂成形体と、導体層との積層構造を有するものである。本発明の積層構造体は、多層プリント配線基板の製造などに用いることができる。
ここで、本発明の積層構造体は、たとえば、表面にパターン配線などの導体層を形成した複数の基材を、上述した支持体を有さない架橋性樹脂成形体を介して積層した後、加熱して架橋性樹脂成形体を架橋することにより得ることができる。なお、導体層を形成した基材としては、特に限定されることなく、たとえば本発明の積層体の表面の金属箔を既知の方法でマスキングおよびエッチングしてパターン配線を形成することにより得られるプリント配線基板などが挙げられる。また、本発明の積層構造体としては、上述した本発明の積層体について、その表面に備えられた金属箔を、既知の方法でマスキングおよびエッチングしてパターン配線を形成したものであってもよい。
なお、架橋性樹脂成形体の架橋は、上述した積層体と同様にして行うことができる。
本発明の積層体および積層構造体は、上述した本発明の重合性組成物を重合して得られる架橋性樹脂成形体を用いて得られるものであるため、機械強度に優れ、しかも、架橋後の架橋樹脂成形体と、金属箔または導体層との間のピール強度に優れたものである。また、本発明の積層体および積層構造体を構成する架橋樹脂成形体は、シクロオレフィンポリマーを含んでいるので誘電正接が小さいものである。そのため、本発明の積層体および積層構造体は、このような特性を活かし、通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に用いることができるものである。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各例中の「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。
なお、各特性の評価方法は、以下のとおりである。
(1)ピール強度
作製した銅張積層板(積層体)から銅箔を引き剥がすときの強度を、JIS C6481に基づいて測定した。ピール強度の値に応じて以下の指標で評価した。
A:ピール強度が、0.6kN/m超
B:ピール強度が、0.5kN/m超、0.6kN/m以下
C:ピール強度が、0.5kN/m以下
(2)架橋密度
作製した銅張積層板(積層体)について、40℃の塩化第二鉄溶液(サンハヤト社製)に浸漬することで、銅箔を除去することで、架橋樹脂からなる試験片を得た。そして、この試験片について、動的粘弾性装置(DMA6100標準型、SIIナノテクノロジー社製)を用いて、DMA法よる動的粘弾性分析を行い、200℃における貯蔵弾性率の値を測定し、以下の基準で評価を行った。なお、貯蔵弾性率が高いほど、架橋密度が高く、機械特性に優れていると判断することができる。
A:貯蔵弾性率が、0.35GPa超
B:貯蔵弾性率が、0.25GPa超、0.35Pa以下
C:貯蔵弾性率が、0.25GPa以下
(実施例1)
メタセシス重合触媒としてのベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部、およびトリフェニルホスフィン79部を、トルエン952部に溶解させることで触媒液を調製した。
また、これとは別に、シクロオレフィンモノマーとしてのテトラシクロドデセン(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン/TCD)100部、ラジカル発生剤としての3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン(1分間半減期温度205℃)2部、架橋助剤としてのトリメチロールプロパントリメタクリレート31部、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物としてのジメタクリル酸無水物(一般式(1)中、R,R=CH、R,R=化学的な単結合)0.3部、反応性流動化剤としてのベンジルメタクリレート20部、酸化ケイ素粒子(アドマテックス社製、商品名「SOC02」、平均粒子径0.5μm)160部、および連鎖移動剤としてのスチレン0.74部、難燃剤としてのジメチルホスフィン酸アルミニウム50部、フェーノール系老化防止剤としての3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール1部を混合してモノマー液を調製した。
そして、得られたモノマー液に、上記にて調製した触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mLの割合で加えて攪拌することで、重合性組成物を調製した。
次いで、得られた重合性組成物をガラスクロス(NEガラス)に含浸させ、これを120℃で5分間加熱して塊状重合させて、厚さ0.15mmのプリプレグシート(架橋性樹脂成形体)を得た。
次いで、上記にて得られたプリプレグシート(10cm角)を6枚重ね、積層したプリプレグシートを、厚み18μmのF2銅箔(古河サーキットフォイル社製、シランカップリング剤処理電解銅箔、粗度Rz=1600nm)で挟み、205℃で20分間、3MPaにて熱プレスを行い、銅張積層板(積層体)を得た。そして、得られた銅張積層板を用いて、上記方法によりピール強度および架橋密度の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物としてのジメタクリル酸無水物の配合量を0.3部から0.6部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシート(架橋性樹脂成形体)、および銅張積層板(積層体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物として、ジメタクリル酸無水物0.3部に代えて、ジアクリル酸無水物(一般式(1)中、R,R=H、R,R=化学的な単結合)0.3部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシート(架橋性樹脂成形体)、および銅張積層板(積層体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物としてのジアクリル酸無水物の配合量を0.3部から0.6部に変更した以外は、実施例3と同様にして、重合性組成物、プリプレグシート(架橋性樹脂成形体)、および銅張積層板(積層体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物としてのジメタクリル酸無水物を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシート(架橋性樹脂成形体)、および銅張積層板(積層体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物としてのジメタクリル酸無水物の配合量を0.3部から0.05部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシート(架橋性樹脂成形体)、および銅張積層板(積層体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物としてのジメタクリル酸無水物の配合量を0.3部から1.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物、プリプレグシート(架橋性樹脂成形体)、および銅張積層板(積層体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物としてのジアクリル酸無水物の配合量を0.3部から1.0部に変更した以外は、実施例3と同様にして、重合性組成物、プリプレグシート(架橋性樹脂成形体)、および銅張積層板(積層体)を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014177568
表1に示すように、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物を、シクロオレフィンモノマー100部に対し、0.1部以上、1.0部未満の範囲で配合してなる重合性組成物を用いて得られた銅張積層板(積層体)は、ピール強度に優れ、かつ、架橋後の架橋樹脂成形体の架橋密度が高く、機械特性に優れるものであった(実施例1〜4)。
一方、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物を配合しなかった場合、および、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物の配合量を、シクロオレフィンモノマー100部に対し、0.1部未満とした場合には、ピール強度が低下し、また、架橋後の架橋樹脂成形体の架橋密度も低く、機械特性に劣る結果となった(比較例1,2)。
また、2以上の炭素−炭素二重結合および酸無水物基を有する酸無水物の配合量を、シクロオレフィンモノマー100部に対し、1.0部以上とした場合にも、ピール強度が低下し、また、架橋後の架橋樹脂成形体の架橋密度も低く、機械特性に劣る結果となった(比較例3,4)。

Claims (6)

  1. シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、架橋助剤、ならびに、2以上の炭素−炭素二重結合および1以上の酸無水物基を有する酸無水物を含有してなり、
    前記シクロオレフィンモノマー100重量部に対する、前記酸無水物の含有割合が0.1重量部以上、1.0重量部未満である重合性組成物重合性組成物。
  2. 前記酸無水物が、ジアクリル酸無水物および/またはジメタクリル酸無水物である請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 請求項1または2に記載の重合性組成物を重合させて得られる、架橋性樹脂成形体。
  4. 繊維状強化材を含む、請求項3に記載の架橋性樹脂成形体。
  5. 請求項3または4に記載の架橋性樹脂成形体と、金属箔とを積層した状態で前記架橋性樹脂成形体を架橋させて得られる、積層体。
  6. 請求項3または4に記載の架橋性樹脂成形体を架橋させて得られる架橋樹脂成形体と、導体層との積層構造を有する、積層構造体。
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