JP2013076015A - 重合性組成物、樹脂成形体、および積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高周波領域での誘電正接が極めて小さく、耐熱性及びピール強度に優れ、さらに、反りが小さい積層体の製造に有用な、重合性組成物、この重合性組成物を用いて得られる樹脂成形体、およびこの樹脂成形体を積層してなる積層体を提供する。
【解決手段】
シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、及び反応性流動化剤を含有する重合性組成物であって、前記シクロオレフィンモノマーが、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーと(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとを、重量比((メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー:(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマー)で、1:99〜30:70の範囲内で含有するものであり、前記反応性流動化剤が、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物を1〜20重量部、及び、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物を0.1〜20重量部含有するものである、重合性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、耐熱性及びピール強度に優れ、さらに、反りが小さい積層体の製造に有用な、重合性組成物、この重合性組成物を用いて得られる樹脂成形体、およびこの樹脂成形体を積層してなる積層体に関する。
近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は高速化・高周波化に動き出し、マイクロ波通信やミリ波通信が現実になってきている。これに伴い、高周波における伝送ロスを極限まで軽減するために誘電正接が小さい材料が求められている。
誘電正接が小さい樹脂材料としては、シクロオレフィンモノマーを重合して得られるシクロオレフィンポリマーが注目されている。
シクロオレフィンポリマーを用いた基板材料としては、例えば、特許文献1には、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、配線埋め込み性、耐熱性、及び冷熱衝撃試験での耐クラック性に優れた積層体の製造に有用な、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び反応性流動化剤を含有してなる重合性組成物、並びにそれを用いてなる、架橋性樹脂成形体(例えば、プリプレグ)、架橋樹脂成形体、及び積層体が開示されている。また、この文献には、前記積層体は高周波基板材料として有用であることも、記載されている。
国際公開第2010/047348号パンフレット
上記のように、これまでにも高周波化に対応し得る積層体が得られているが、従来の積層体は反りが生じることがあった。特に、リフロー時の加熱により大きく反ることがあり、室温及び高温条件下のいずれの場合にも反りが生じない積層体が望まれていた。
特許文献1に記載されるような架橋性樹脂成形体を用いて、架橋樹脂成形体からなる層を有する積層体を製造する場合、高温時の反りを低減する方法としては、架橋樹脂のガラス転移点(Tg)を高くすることが考えられる。
しかし、通常、ガラス転移点が高い架橋樹脂を形成し得る架橋性樹脂は、同様に高いガラス転移点を有するため、以下の問題を生じさせていた。
すなわち、積層体を製造する際に、架橋性樹脂成形体を加熱溶融させるときは、架橋反応が同時に行われるため、加熱溶融特性のみを考慮して溶融温度を高くすることはできない。したがって、ガラス転移点が高い架橋性樹脂を含む成形体は、接触させた部材(例えば、金属箔)に対する追従性が十分ではなく、積層体のピール強度が低下することがあった。
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、耐熱性及びピール強度に優れ、さらに、反りが小さい積層体の製造に有用な、重合性組成物、この重合性組成物を用いて得られる樹脂成形体、およびこの樹脂成形体を含む積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、及び反応性流動化剤を含有する重合性組成物について鋭意検討した。その結果、シクロオレフィンモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーと(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとを、それぞれ特定量含有し、反応性流動化剤として、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物とビニリデン基を2つ有する二官能化合物とを、それぞれ特定量含有する重合性組成物を用いることで、架橋性樹脂成形体の加熱溶融特性と架橋性とを高度に制御することができ、これにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(6)の重合性組成物が提供される。
(1)シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、及び反応性流動化剤を含有する重合性組成物であって、前記シクロオレフィンモノマーが、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーと(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとを、重量比((メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー:(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマー)で、1:99〜30:70の範囲内で含有するものであり、前記反応性流動化剤として、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物を1〜20重量部、及び、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物を0.1〜20重量部含有するものである、重合性組成物。
(2)前記(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーが、式(I)
Figure 2013076015
(前記、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の有機基を表し、少なくともR〜Rのいずれか1つは、(メタ)アクリロイル基を有する有機基である。nは、0、1又は2を表す。)
で示される化合物である、(1)に記載の重合性組成物。
(3)前記架橋助剤が、ビニリデン基を3つ有する三官能化合物である、(1)又は(2)に記載の重合性組成物。
(4)前記ビニリデン基を1つ有する一官能化合物が、メタクリロイル基を1つ有する化合物であって、前記ビニリデン基を2つ有する二官能化合物が、メタクリロイル基を2つ有する化合物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の重合性組成物。
(5)さらに、連鎖移動剤を含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の重合性組成物。
(6)重合反応を行うことで、ガラス転移点が130℃以下の架橋性樹脂が得られ、さらに、架橋反応を行うことで、ガラス転移点が200℃以上の架橋樹脂が得られる、(1)〜(5)のいずれかに記載の重合性組成物。
また、本発明によれば、下記(7)及び(8)の樹脂成形体が提供される。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の重合性組成物の塊状重合反応により得られる架橋性樹脂成形体。
(8)(7)に記載の架橋性樹脂成形体の架橋反応により得られる架橋樹脂成形体。
さらに、本発明によれば、下記(9)の積層体が提供される。
(9)(7)に記載の架橋性樹脂成形体、又は(8)に記載の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体。
本発明によれば、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、耐熱性及びピール強度に優れ、さらに、反りが小さい積層体の製造に有用な、重合性組成物、この重合性組成物を用いて得られる樹脂成形体、およびこの樹脂成形体を積層してなる積層体を得ることができる。本発明の重合性組成物を用いて得られる積層体は、通信機器用途等に用いられるマイクロ波又はミリ波等の高周波回路基板の製造に好適に使用することができる。
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、及び反応性流動化剤を含有する重合性組成物であって、前記シクロオレフィンモノマーが、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーと(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとを、重量比((メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー:(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマー)で、1:99〜30:70の範囲内で含有するものであり、前記反応性流動化剤として、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物を1〜20重量部、及び、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物を0.1〜20重量部含有するものである。
〔シクロオレフィンモノマー〕
本発明に用いるシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される脂環構造を有し、かつ該脂環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物である。シクロオレフィンモノマーの脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。各脂環構造を構成する炭素数に特に限定はないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。なお、本明細書において、「重合性の炭素−炭素二重結合」とは、連鎖重合(開環重合)可能な炭素−炭素二重結合をいう。開環重合には、イオン重合、ラジカル重合、及びメタセシス重合など、種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、メタセシス開環重合をいう。
本発明においては、(メタ)アクリロイル基(本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」又は「メタクリロイル基」を表す。)を有するシクロオレフィンモノマーと、(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとを組み合わせて用いる。なお、一般に、(メタ)アクリロイル基は(メタ)アクリル基と称される場合がある。
(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーを用いることで、シクロオレフィンポリマーが架橋反応に関与し易くなる。この結果、耐熱性に優れ、高温時の反りが小さく、さらにピール強度が高い積層体を得ることができる。また、(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーを用いることで、架橋性樹脂成形体の加熱溶融時の成形性(流動性)の低下が抑制され、ピール強度が高い積層体を得ることができる。
(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーは、(メタ)アクリロイル基の他に、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの、炭素数1〜30の炭化水素基;カルボキシル基、酸無水物基などの極性基;等が挙げられる。得られる積層体を低誘電正接とする観点から、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーは、極性基を有しないものが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を有する単環シクロオレフィンモノマー、(メタ)アクリロイル基を有するノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するノルボルネン系モノマーが好ましい。なお、本明細書において、「ノルボルネン系モノマー」とは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーをいう。例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、及びテトラシクロドデセン類などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するノルボルネン系モノマーとしては、例えば、以下の式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2013076015
式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の有機基を表し、少なくともR〜Rのいずれか1つは、(メタ)アクリロイル基を有する有機基である。nは、0、1又は2を表す。
〜Rで表される炭素数1〜30の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの、炭素数1〜30の炭化水素基;カルボキシル基、酸無水物基、アミド基、アルコキシ基などの炭素数1〜30の極性基;等が挙げられる。また、R又はRは、R又はRと結合して環を形成してもよい。
(メタ)アクリロイル基を有する炭素数1〜30の有機基としては、例えば、以下の式で表される基が挙げられる。
Figure 2013076015
上記式において、*で表される炭素原子は、シクロオレフィンモノマーの脂環構造を構成する炭素原子を表す。mは、1〜10の整数を表す。これらの中でも、反応性に優れることから、メタクリロイル基を有する基が好ましい。
式(I)において、nは、0、1又は2であり、0又は1が好ましい。
nが0のモノマーとしては、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルメチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルメチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルエチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルエチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルプロピル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルプロピル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルブチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルブチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルヘキシル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルヘキシル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルオクチル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルオクチル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルデシル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イルデシル等が挙げられる。
nが1のモノマーとしては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン−3−カルボン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン−3−カルボン酸2−(アクリロイルオキシ)エチル等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとしては、単環のシクロオレフィンモノマーと多環のシクロオレフィンモノマーのいずれも用いることができる。得られる積層体の誘電特性と耐熱性とを高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィンモノマーが好ましい。多環のシクロオレフィンモノマーとしては、特にノルボルネン系モノマーが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーは、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーの中で説明したものを用いることができる。
(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとしては、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないものと、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するもののいずれも用いることができる。本明細書において「架橋性の炭素−炭素不飽和結合」とは、開環重合には関与せず、架橋反応に関与可能な炭素−炭素不飽和結合をいう。架橋反応とは橋架け構造を形成する反応であり、縮合反応、付加反応、ラジカル反応、及びメタセシス反応など、種々の形態のものが存在するが、典型的には、ラジカル架橋反応又はメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合又は三重結合が挙げられ、典型的には、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマー中、不飽和結合の位置は特に限定されるものではなく、炭素原子で形成される脂環構造内の他、該脂環構造以外の任意の位置、例えば、側鎖の末端や内部に存在していてもよい。例えば、前記脂肪族炭素−炭素二重結合は、ビニル基(CH=CH−)、ビニリデン基(CH=C<)、ビニレン基(−CH=CH−)、又は1−プロペニリデン基(>C=CH−CH)として存在し得、良好にラジカル架橋反応性を発揮することから、ビニル基、ビニリデン基又は1−プロペニリデン基として存在するのが好ましく、ビニリデン基又は1−プロペニリデン基として存在するのがより好ましい。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとしては、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、及びシクロへプテンなどの単環シクロオレフィンモノマー;ノルボルネン、1−メチル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネンなどの二環シクロオレフィンモノマー;1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(TCD)、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどのテトラシクロドデセン構造を有する四環シクロオレフィンモノマー;1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5,5−ジクロロ−2−ノルボルネン、5−フルオロ−2−ノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、5,6−ジカルボキシル−2−ノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノ−2−ノルボルネン、及び5−シアノ−2−ノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー;等を挙げることができる。これらのなかでも、ガラス転移温度および曲げ弾性が高く、耐クラック性に優れる架橋樹脂成形体が得られることから、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たない、テトラシクロドデセン構造を有する四環シクロオレフィンモノマーが好ましい。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーとしては、3−ビニルシクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロへキサジエン、1,4−シクロへキサジエン、5−エチル−1,3−シクロへキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、及び1,3−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー;5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−n−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネンなどの二環シクロオレフィンモノマー;ジシクロペンタジエンなどの三環シクロオレフィンモノマー;9−メチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのテトラシクロドデセン構造を有する四環シクロオレフィンモノマー、及び2,5−ノルボルナジエンなどのノルボルネン系モノマー;等を挙げることができる。これらのなかでも、ガラス転移温度および曲げ弾性が高く、耐クラック性に優れる架橋樹脂成形体が得られることから、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有し、テトラシクロドデセン構造を有する四環シクロオレフィンモノマーが好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーと、(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとの重量比は、1:99〜30:70が好ましく、5:95〜30:70がより好ましい。上記範囲を外れた場合、積層体のピール強度が低下し易くなる。
なお、本発明の重合性組成物には、本発明の効果の発現が阻害されない限り、以上のシクロオレフィンモノマーと共重合可能な任意のモノマーが含まれていてもよい。
〔重合触媒〕
本発明に用いる重合触媒は、前記シクロオレフィンモノマーを重合できるものであれば特に限定はないが、本発明の重合性組成物は、後述の架橋性樹脂成形体の製造において、直接塊状重合に供して用いるのが好適であり、通常、メタセシス重合触媒を用いるのが好ましい。
メタセシス重合触媒としては、前記シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合可能である、通常、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン、及び化合物などが結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表による。以下、同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、例えば、タンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えば、モリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えば、ルテニウムやオスミウムが挙げられる。遷移金属原子としては、中でも、8族のルテニウムやオスミウムが好ましい。すなわち、本発明に使用されるメタセシス重合触媒としては、ルテニウム又はオスミウムを中心原子とする錯体が好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯体がより好ましい。ルテニウムを中心原子とする錯体としては、カルベン化合物がルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体が好ましい。ここで、「カルベン化合物」とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をいう。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性に優れるため、本発明の重合性組成物を塊状重合に供して架橋性樹脂成形体を得る場合、得られる成形体には未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、生産性良く良質な成形体が得られる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。
ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、以下の式(II)又は式(III)で表される錯体が挙げられる。
Figure 2013076015
式(II)及び(III)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでいてもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X及びXはそれぞれ独立して、任意のアニオン性配位子を示す。L及びLはそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物を表す。また、RとRは互いに結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。さらに、R、R、X、X、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表15族及び16族の原子を意味し、具体的には、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S)、砒素原子(As)、及びセレン原子(Se)などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、及びSなどが好ましく、Nが特に好ましい。
前記ルテニウムカルベン錯体としては、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の機械的強度と耐衝撃性とが高度にバランスされ得ることから、ヘテロ原子含有カルベン化合物としてヘテロ環構造を有するカルベン化合物を配位子として少なくとも1つ有するものが好ましい。ヘテロ環構造としては、イミダゾリン環構造又はイミダゾリジン環構造が好ましい。
ヘテロ環構造を有するカルベン化合物としては、以下の式(IV)又は式(V)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2013076015
式(IV)及び(V)において、R〜R10はそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでいてもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R〜R10は任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
前記式(IV)又は式(V)で表される化合物としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、及び1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、前記式(IV)又は式(V)で表される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、及び3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
前記式(II)及び(III)において、アニオン(陰イオン)性配位子X、Xは、中心原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子である。例えば、弗素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、及び沃素原子(I)などのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びカルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性電子供与性化合物は、中心原子から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、及びチオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(II)で表されるルテニウムカルベン錯体としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及び(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、ヘテロ原子含有カルベン化合物及び中性の電子供与性化合物が各々1つ結合したルテニウムカルベン錯体;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドや(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウムカルベン錯体;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドやベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウムカルベン錯体;などが挙げられる。
前記式(III)で表されるルテニウムカルベン錯体としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及びビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらのルテニウムカルベン錯体の中でも、前記式(II)で表され、かつ配位子として前記式(V)で表される化合物を1つ有するものが最も好ましい。
これらのルテニウムカルベン錯体は、Org.Lett.,1999年,第1巻,953頁や、Tetrahedron.Lett.,1999年,第40巻,2247頁などに記載された方法によって製造することができる。
メタセシス重合触媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
メタセシス重合触媒の含有量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)で、通常、1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は所望により、少量の不活性溶媒に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、及びミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及びシクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;インデンやテトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
〔架橋剤〕
本発明に用いる架橋剤は、重合性組成物の重合反応で形成する重合体(シクロオレフィンポリマー)の架橋反応を誘起しうる化合物である。したがって、本発明の重合性組成物の重合反応により得られる成形体は、後架橋可能な、架橋性樹脂成形体となり得る。ここで「後架橋可能な」とは、該樹脂成形体を加熱することにより架橋反応を進行させて架橋樹脂成形体になし得ることを意味する。かかる架橋性樹脂成形体は、加熱溶融時においても一定の粘度を有するため、その形状は保持される。また、その一方で、任意の部材を接触させた場合、架橋性樹脂成形体の表面は、該部材の形状に対する追従性を発揮しながら、最終的に架橋して硬化する。したがって、架橋性樹脂成形体を利用することで、層間密着性に優れる積層体を得ることができる。
架橋剤としては、特に限定されないが、通常、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物、および非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等のジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等のペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等のペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナート等のペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド等のアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサン等の環状パーオキサイド類;が挙げられる。これらのなかでも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、および環状パーオキサイド類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン等が挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタン等が挙げられる。
ラジカル発生剤を架橋剤として使用する場合、1分間半減期温度は、硬化(架橋性樹脂成形体の架橋)の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。
架橋剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
〔架橋助剤〕
本発明に用いる架橋助剤は、開環重合反応には関与しないが、架橋剤で誘起される架橋反応に関与し、架橋の一部を構成し得る、3つの官能性基を有する三官能化合物である。架橋助剤を用いることで、架橋密度が高く、耐熱性に優れる、架橋樹脂成形体や積層体を得ることができる。
架橋助剤の官能性基としては、ビニリデン基が挙げられる。特に、架橋反応性に優れることから、ビニリデン基は、イソプロペニル基又はメタクリロイル基として存在するのが好ましく、メタクリロイル基として存在するのがより好ましい。
本発明に用いる架橋助剤は、ビニリデン基を3つ有する三官能化合物が好ましく、メタクリロイル基を3つ有する三官能化合物がより好ましい。具体的には、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレートやペンタエリトリトールトリメタクリレート等が挙げられる。
架橋助剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋助剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、10〜25重量部、好ましくは、15〜25重量部である。
架橋助剤が少なすぎるときは、架橋樹脂成形体や積層体の耐熱性が劣りやすくなり、架橋助剤が過剰のときは、架橋樹脂成形体の誘電正接が大きくなるおそれがある。
〔反応性流動化剤〕
本発明に用いる反応性流動化剤は、架橋性樹脂成形体の可塑性を向上させるとともに、架橋反応に関与し、架橋の一部を構成し得る、1つのビニリデン基を有する一官能化合物、又は2つのビニリデン基を有する二官能化合物である。すなわち、本発明の反応性流動化剤は、架橋反応に関与するまでは、樹脂成形体中で、実質的に遊離の状態で存在し、樹脂成形体の可塑性を向上させる。したがって、本発明の架橋性樹脂成形体は、加熱溶融時に適度な流動性を有するため、成形性に優れる。また、反応性流動化剤は、最終的には、前記架橋助剤と同様に架橋の一部を構成し得るため、架橋樹脂成形体や積層体の耐熱性の向上に寄与する。
本発明においては、反応性流動化剤として、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物と、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物とを併用する。これらの反応性流動化剤を併用することで、架橋性樹脂成形体の加熱溶融特性と架橋性とを高度に制御することができる。
すなわち、上記の反応性流動化剤を併用しないときは、可塑性を向上させる効果が十分に得られず、架橋性樹脂成形体のガラス転移点が高くなる傾向がある。また、得られる積層体は、室温時の反りが大きくなる傾向がある。この可塑性の問題は、多量の反応性流動化剤を用いることで解消することはできるが、この場合、架橋樹脂成形体の誘電正接が大きくなりやすい。2種の反応性流動化剤を併用することで目的を達成することが容易になる。
本発明に用いる反応性流動化剤は、架橋反応性に優れることから、そのビニリデン基は、イソプロペニル基又はメタクリロイル基として存在するのが好ましく、メタクリロイル基として存在するのがより好ましい。
ビニリデン基を1つ有する一官能化合物の具体例としては、イソプロペニルベンゼン、2−イソプロペニルトルエン、4−イソプロペニルトルエン、2−イソプロペニルナフタレン、イソプロペニルオキシトリメチルシラン、及び酢酸イソプロペニルなどの、イソプロペニル基を1つ有する一官能化合物;及びベンジルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、オクテニルメタクリレート、トリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレートなどの、メタクリロイル基を1つ有する一官能化合物;などが挙げられる。ビニリデン基を1つ有する一官能化合物としては、メタクリロイル基を1つ有する一官能化合物(一官能メタクリレート化合物)が好ましい。
ビニリデン基を1つ有する一官能化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニリデン基を2つ有する二官能化合物の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を2つ有する二官能化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1、3―アダマンチルジメタノールジメタクリレート、1、4−アダマンチルジメタノールジメタクリレート、及び2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどの、メタクリロイル基を2つ有する二官能化合物などが挙げられる。ビニリデン基を2つ有する二官能化合物としては、メタクリロイル基を2つ有する二官能化合物(二官能メタクリレート化合物)が好ましい。
ビニリデン基を2つ有する二官能化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニリデン基を1つ有する一官能化合物とビニリデン基を2つ有する二官能化合物の組み合わせの例としては、ベンジルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、オクテニルメタクリレート、トリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物(以上、一官能メタクリレート化合物)と、エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1、3―アダマンチルジメタノールジメタクリレート、1、4−アダマンチルジメタノールジメタクリレート、及び2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物(以上、二官能メタクリレート化合物)の組合せが挙げられる。
反応性流動化剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物が1〜20重量部、好ましくは、5〜20重量部であり、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物が0.1〜20重量部、好ましくは、5〜20重量部である。前記一官能化合物の含有量が、下限値を下回ると、架橋性樹脂成形体のガラス転移点が高くなり、また、実用上問題となる程度に積層体が室温時に反るようになる。また、上限値を超えると、架橋樹脂成形体の誘電正接が大きくなり、また、実用上問題となる程度に積層体が高温時に反るようになる。一方、前記二官能化合物の含有量が、下限値を下回ると、架橋性樹脂成形体のガラス転移点が高くなり、また、実用上問題となる程度に積層体が室温時に反るようになる。また、上限値を超えると、架橋樹脂成形体の誘電正接が大きくなる。
反応性流動化剤や、前記の架橋助剤は、どちらも、架橋反応前は樹脂成形体の可塑性を高める効果を有し、最終的には、架橋の一部を構成する。しかしながら、架橋助剤は、反応性流動化剤より架橋形成能に優れ、反応性流動化剤は、架橋助剤より可塑性向上効果に優れる。したがって、用いる架橋助剤と反応性流動化剤の使用量を調節することで、架橋性樹脂成形体や架橋樹脂成形体の特性を調節することができる。
〔重合性組成物〕
本発明の重合性組成物には、上記したシクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、及び反応性流動化剤に加えて、所望により、連鎖移動剤、充填剤、難燃剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、老化防止剤、その他の配合剤などを添加することができる。
連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤を含有することで、加熱溶融時の追従性が向上するため、さらにピール強度に優れる積層体を得ることができる。連鎖移動剤は、架橋性炭素−炭素不飽和結合を有していてもよい。かかる架橋性炭素−炭素不飽和結合は、ビニル基やビニリデン基として存在するのが好ましい。
このような連鎖移動剤の具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセン等の脂肪族オレフィン類;スチレン、ジビニルベンゼン、スチルベン等の芳香族オレフィン類;ビニルシクロヘキサン等の脂環式オレフィン類;エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オン等のビニルケトン類等が挙げられる。これらの中でも、誘電正接が小さい架橋樹脂成形体や積層体が得られることから、ヘテロ原子を持たない炭化水素化合物が好ましい。
連鎖移動剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは、0.1〜5重量部である。
充填剤としては、公知の充填剤を用いることができる。無機系充填剤および有機系充填剤のいずれも用いることができるが、通常は、無機系充填剤が好適に用いられる。充填剤を含有することで、機械強度と耐熱性に優れる、架橋樹脂成形体及び積層体を得ることができる。
充填剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。充填剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部である。
難燃剤としては、公知のハロゲン系難燃剤や非ハロゲン系難燃剤を用いることができる。ハロゲン系難燃剤としては、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエンなどが挙げられる。
本発明においては、本発明の重合性組成物に配合すれば、得られる積層体の難燃性を向上でき、しかも積層体の燃焼時にダイオキシン発生の心配がないことから、非ハロゲン系難燃剤が好適に用いられる。非ハロゲン系難燃剤は、ハロゲン原子を含まない難燃性化合物からなる。非ハロゲン系難燃剤としては、工業的に用いられるものであれば格別な限定なく用いることができる。例えば、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物;水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物難燃剤;ジメチルホスフィン酸アルミニウムやジエチルホスフィン酸アルミニウムなどのホスフィン酸塩難燃剤;酸化マグネシウムや酸化アルミニウム等の金属酸化物難燃剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、及びビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェートなどの、ホスフィン酸塩以外の含燐難燃剤;メラミン誘導体類、グアニジン類、及びイソシアヌル類等の含窒素難燃剤;ポリ燐酸アンモニウム、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸メラム、燐酸グアニジン、及びフォスファゼン類等の燐及び窒素の双方を含有する難燃剤;などが挙げられる。非ハロゲン系難燃剤としては、アンチモン化合物、金属水酸化物難燃剤、ホスフィン酸塩難燃剤、及びホスフィン酸塩以外の含燐難燃剤が好ましい。当該含燐難燃剤としては、トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、及びビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェートが特に好ましい。
難燃剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。難燃剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、10〜300重量部、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは30〜150重量部である。
重合調整剤は、重合活性を制御し得る化合物である。重合調整剤としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
重合調整剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤の含有量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調整剤)で、好ましくは1:0.05〜1:100、より好ましくは1:0.2〜1:20、さらに好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
重合反応遅延剤は、重合性組成物の粘度増加を抑制し得る化合物である。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。
重合反応遅延剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合反応遅延剤の含有量は、所望により適宜調整すればよい。
老化防止剤としては、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などの公知の老化防止剤を用いることができる。これらの中でも、フェノール系老化防止剤およびアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤がより好ましい。老化防止剤を含有することで、耐熱性に優れる架橋樹脂成形体及び積層体を得ることができる。
老化防止剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の含有量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部である。
その他の配合剤としては、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤などが挙げられる。を用いることができる。これらの配合剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明の重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を調製し、別にシクロオレフィンモノマー、及び架橋剤などの必須の成分、ならびに所望によりその他の配合剤を配合した液(モノマー液)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製することができる。
〔架橋性樹脂成形体〕
本発明の架橋性樹脂成形体は、前記重合性組成物の塊状重合反応により得られるものである。重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成形体を得る方法としては、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、(b)重合性組成物を成形型内に注入し、次いで塊状重合する方法、(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重合する方法などが挙げられる。
上記(a)の方法によれば、フィルム状や板状等の架橋性樹脂成形体が得られる。該成形体の厚さは、通常、15mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.1mm以下である。支持体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、及びナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、及び銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。中でも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。金属箔としては、その表面が平滑であるものが好ましく、表面粗度(Rz)としては、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される値で、通常、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。金属箔の表面粗度が上記範囲にあれば、例えば、得られる高周波回路基板において、高周波伝送におけるノイズ、遅延、及び伝送ロス等の発生が抑えられ、好ましい。また、金属箔の表面は、シランカップリング剤、チオールカップリング剤、及びチタネートカップリング剤などの公知のカップリング剤や接着剤などで処理されているのが好ましい。(a)の方法によれば、例えば、支持体として銅箔を用いた場合、樹脂付き銅箔〔Resin Coated Copper (RCC)〕を得ることができる。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を所望により乾燥させ、次いで塊状重合する。塊状重合は重合性組成物を所定の温度で加熱して行われる。重合性組成物の加熱方法としては特に制約されず、支持体に塗布された重合性組成物を、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(b)の方法によれば、任意の形状の架橋性樹脂成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、及び多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわち、コア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。さらに、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し塊状重合することにより、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得ることもできる。
重合性組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常、0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向があり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くする必要があり、経済的ではない。型締圧力は、通常、0.01〜10MPaの範囲内である。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器やスチームなどの加熱手段を利用する方法や、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(c)の方法は、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得るのに好適に使用される。得られる成形体の厚さは、通常、0.001〜10mm、好ましくは0.005〜1mm、より好ましくは0.01〜0.5mmの範囲である。この範囲にあれば、積層時の賦形性、及び積層体の機械的強度や靭性などが向上し、好適である。重合性組成物の繊維状強化材への含浸は、例えば、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により繊維状強化材に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することで重合性組成物を塊状重合させ、所望の架橋性樹脂成形体を得ることができる。架橋性樹脂成形体中、繊維状強化材の含有量としては、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械的強度がバランスされ、好適である。
繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、及び液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、及びシリカ繊維などの無機繊維;などが挙げられる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、及びガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、及びHガラス等の繊維を好適に用いることができる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形態としては、特に限定されず、例えば、マット、クロス、及び不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に重合性組成物を含浸させてなる含浸物の加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して上記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材を設置しておき、該型内で重合性組成物を含浸させて含浸物を得、前記(b)の方法のようにして加熱する方法などが挙げられる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲であって、かつ架橋剤、通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度の10℃以下、より好ましくは1分間半減期温度の20℃以下である。また、重合時間は適宜選択すればよいが、通常、1秒間〜20分間、好ましくは10秒間〜5分間である。重合性組成物をかかる条件で加熱することにより未反応モノマーの少ない架橋性樹脂成形体を得ることができる。
以上のようにして得られる架橋性樹脂成形体を構成する重合体は、実質的に架橋構造を有さず、例えば、トルエンに可溶である。当該重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
本発明の架橋性樹脂成形体は、後架橋可能な樹脂成形体であるが、その構成樹脂の一部分が架橋されたものであってもよい。例えば、型内で重合性組成物を塊状重合したときには、型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。高温部では架橋反応が起き、架橋が生ずることがある。しかし、熱を発散しやすい表面部が後架橋可能な架橋性の樹脂で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂成形体は所望の効果を充分に発揮し得る。
本発明の架橋性樹脂成形体は、塊状重合を完結させて得られるものであり、保管中にさらに重合反応が進行するというおそれがない。また、本発明の架橋性樹脂成形体は、ラジカル発生剤などの架橋剤を含有するが、架橋反応を起す温度以上に加熱しない限り、表面硬度が変化するなどの不具合を生じず、保存安定性に優れる。
本発明の架橋性樹脂成形体を構成する架橋性樹脂は、ガラス転移点が、通常、130℃以下であり、好ましくは、120℃以下である。このように、本発明の重合性組成物を用いて得られる架橋性樹脂は、ガラス転移点が高すぎないため、成形性に優れる。したがって、本発明の架橋性樹脂成形体をプリプレグとして用いると、層間密着性に優れる積層体を製造することができる。
〔架橋樹脂成形体〕
本発明の架橋樹脂成形体は、本発明の重合性組成物を用いて、塊状重合反応と架橋反応を行うことで得られるものである。かかる架橋樹脂成形体は、例えば、上述した本発明の架橋性樹脂成形体の架橋反応により得られる。架橋反応は、架橋性樹脂成形体を所定の温度以上に加熱することによって行うことができる。加熱温度は、通常、架橋剤により架橋反応が誘起される温度以上である。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合、通常、1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度である。典型的には、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分間、好ましくは0.5〜120分間、より好ましくは1〜60分間の範囲である。また、本発明の重合性組成物を、上述した架橋性樹脂成形体が架橋する温度以上に維持することにより(具体的には、上述した温度及び時間で加熱することにより)、シクロオレフィンモノマーの塊状重合と、当該重合により生ずるシクロオレフィンポリマーにおける架橋反応とを共に進行させて、本発明の架橋樹脂成形体を製造することも可能である。このようにして架橋樹脂成形体を製造する場合、上記(a)の方法に準じ、例えば、支持体として銅箔を用いれば、銅張積層板〔Copper Clad Laminates (CCL)〕を得ることができる。
本発明の架橋樹脂成形体を構成する架橋樹脂は、ガラス転移点が、通常、200℃以上であり、好ましくは、210℃以上である。このように、本発明の重合性組成物を用いて得られる架橋樹脂はガラス転移点が高いため、加熱時においても反りが小さい積層体を得ることができる。
〔積層体〕
本発明の積層体は、前記架橋性樹脂成形体、又は前記架橋樹脂成形体を積層してなるものである。両成形体はそれぞれ、連続的に積層されていても、他の層を挟んで間接的に積層されていてもよい。
本発明の架橋性樹脂成形体を積層してなる積層体としては、例えば、上記(a)の方法で得られる、銅箔と架橋性樹脂成形体とが層状に一体化してなるRCCが挙げられる。また、本発明の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体としては、例えば、上記(a)の方法に準じて得られる、銅箔と架橋樹脂成形体とが層状に一体化してなるCCLが挙げられる。上記(a)の方法において、支持体として、別途得られた架橋樹脂成形体を用いれば、架橋性樹脂成形体と架橋樹脂成形体との積層体を得ることもできる。
また、架橋性樹脂成形体がシート状又はフィルム状である場合、該成形体、及び所望により、シート状又はフィルム状の架橋樹脂成形体を、任意に積層し、又はさらに、例えば、前記金属箔を積層し、熱プレスして架橋することにより、架橋樹脂成形体を積層してなる、本発明の積層体が得られる。その際、上記RCCやCCLなどの積層体を積層してもよい。熱プレスするときの圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空又は減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができる。
本発明の積層体は、高周波領域での誘電正接が小さく、耐熱性及びピール強度に優れ、さらに、反りが小さいものである。かかる特性を有する本発明の積層体は、高周波基板材料として広く好適に用いることができる。具体的には、本発明の積層体は、通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に用いることができる。
以下の実施例で示されるように、上記特性をバランスよく向上させた積層体を得るためには、架橋樹脂成形体中のシクロオレフィンポリマーの構造や架橋構造を制御するだけでなく、架橋性樹脂成形体の加熱溶融特性と架橋性とを高度に制御することが重要である。この点、本発明の重合性組成物によれば、架橋性能等に優れるシクロオレフィンポリマーに加えて、2種の反応性流動化剤を含有する架橋性樹脂成形体が得られ、かかるポリマーと反応性流動化剤との組み合わせにより、本発明の架橋性樹脂成形体は、加熱溶融特性と架橋性とのバランスに優れるものとなり、目的の積層体を得ることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各例中の部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。
各特性の定義及び評価方法は、以下のとおりである。
(1)誘電正接(tanδ)
積層体をエッチングして銅箔を除去した後、インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番号E4991A)を用いて20℃で周波数1GHzにおける誘電正接(tanδ)を容量法にて測定し、以下の基準で評価した。
○:0.005以下
×:0.005超
(2)架橋性樹脂成形体のガラス転移点
架橋性樹脂成形体を得た後、粘弾性スペクトロメータ(SIIナノテクノロジー社、DMS6100標準型)を用いてガラス転移点を測定し、以下の基準で流動性を評価した。
○:130℃以下
△:130℃超、140℃以下
×:140℃超
(3)架橋樹脂成形体のガラス転移点
積層体をエッチングして銅箔を除去した後、粘弾性スペクトロメータ(SIIナノテクノロジー社、DMS6100標準型)を用いてガラス転移点を測定し、以下の基準で耐熱性を評価した。
○:200℃以上
×:200℃未満
(4)反り測定(30℃)
積層体の片面をエッチングして銅箔を除去した後、シャドウモアレ装置(アクロメトリックス社製、PS200)を用いて、JESD22B112に基づいて30℃で積層体の反りを測定し、以下の基準で評価した。
○:150μm以下
×:150μm超
(5)反り測定(260℃)
積層体の片面をエッチングして銅箔を除去した後、シャドウモアレ装置(アクロメトリックス社製、PS200)を用いて、JESD22B112に基づいて260℃で積層体の反りを測定し、以下の基準で評価した。
○:350μm以下
×:350μm超
(6)ピール強度
25℃で、積層体から銅箔(厚さ12μm)を引き剥がすときの強度を、JIS C6481に基づいて測定し、以下の基準で評価した。
○:0.5kN/m超
×:0.5kN/m以下
〔実施例1〕
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.05部と、トリフェニルホスフィン0.01部とを、インデン1.51部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、シクロオレフィンモノマーとして、エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)90部、及びメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)10部;架橋剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(1分間半減期温度186℃)1.14部;連鎖移動剤としてスチレン2.1部;反応性流動化剤としてベンジルメタクリレート12部及びトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート5部;架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート20部;酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1330、BASF社製)1.0部を添加した混合物をガラス容器に入れ、ここに、充填剤としてシリカ(アドマテックス社製、製品名SO−E2、シランカップリング剤処理品 平均粒径0.5μm)100部、並びに、難燃剤としてアンチモン酸化物(PATOX−M、日本精鉱社製)20部及びエタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010、アルベマール社製)40部を入れ、均一に混合した。
次いで、得られた重合性組成物をガラスクロス(Eガラス、1078)に含浸させ、これを用いて、120℃、3.5分間の条件で重合反応を行い、厚さ0.06mmの架橋性樹脂成形体を得た。さらに、得られた架橋性樹脂成形体7枚を、電解銅箔(Type F0、シランカップリング剤処理品、厚み0.012mm、古河電気工業社製)で挟み、熱プレス機により、平板形状を保ちながら、熱プレスして、架橋樹脂成形体が積層された、厚さ0.4mmの積層体を得た。熱プレスの条件は、温度200℃、15分間、圧力3MPaとした。
得られた架橋性樹脂成形体及び積層体を用いて、上記方法により、誘電正接、ガラス転移点、反り、及びピール強度の測定を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例2〕
エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)及びメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の使用量を、ETD80部、MAc−NB20部に変更したことを除き、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例3〕
エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)及びメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の使用量を、ETD70部、MAc−NB30部に変更したことを除き、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔実施例4〕
反応性流動化剤の使用量を、ベンジルメタクリレート20部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート20部に変更したことを除き、実施例2と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
反応性流動化剤の使用量を、ベンジルメタクリレート5部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート20部に変更したことを除き、実施例2と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例1〕
エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)及びメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の使用量を、ETD60部、MAc−NB40部に変更したことを除き、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例2〕
エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)及びメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル(MAc−NB)の使用量を、ETD100部、MAc−NB0部に変更したことを除き、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例3〕
ベンジルメタクリレート(反応性流動化剤)の使用量を、0部に変更したことを除き、実施例2と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例4〕
ベンジルメタクリレート(反応性流動化剤)の使用量を25部に変更したことを除き、実施例2と同様にして重合性組成物を調製し、樹脂成形体及び積層体を製造し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例5〕
反応性流動化剤の使用量を、ベンジルメタクリレート5部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート0部に変更したことを除き、実施例2と同様にして重合性組成物を調製し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例6〕
反応性流動化剤の使用量を、ベンジルメタクリレート5部、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート35部に変更したことを除き、実施例2と同様にして重合性組成物を調製し、各測定を行った。結果を第1表に示す。
Figure 2013076015
実施例1〜5においては、架橋性樹脂成形体のガラス転移点は、比較的低い値を示しているため、流動性に優れている。また、架橋樹脂成形体は、ガラス転移点が高く、誘電正接が小さい。さらに、積層体は、ピール強度に優れ、室温及び高温時の反りが小さい。
一方、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーの含有量が適切ではない比較例1及び2においては、積層体のピール強度が劣っている。これは、加熱時の、溶融特性と架橋性とのバランスが十分でないことや、架橋樹脂成形体の架橋密度が適切ではないことが原因と考えられる。
2種の反応性流動化剤を併用していない比較例3及び5においては、加熱時の溶融特性に劣るため、架橋性樹脂成形体のガラス転移点が高くなり、得られる積層体は室温において反りが生じている。
反応性流動化剤の含有量の上限値を超えている比較例4及び6においては、架橋樹脂成形体の誘電正接が大きな値になっている。また、比較例4においては、架橋樹脂成形体のガラス転移点が低く、得られる積層体は高温時に反りが生じている。

Claims (9)

  1. シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、及び反応性流動化剤を含有する重合性組成物であって、
    前記シクロオレフィンモノマーが、(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーと(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマーとを、重量比((メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマー:(メタ)アクリロイル基を有しないシクロオレフィンモノマー)で、1:99〜30:70の範囲内で含有するものであり、
    前記反応性流動化剤として、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物を1〜20重量部、及び、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物を0.1〜20重量部含有するものである、重合性組成物。
  2. 前記(メタ)アクリロイル基を有するシクロオレフィンモノマーが、式(I)
    Figure 2013076015
    (前記、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の有機基を表し、少なくともR〜Rのいずれか1つは、(メタ)アクリロイル基を有する有機基である。nは、0、1又は2を表す。)
    で示される化合物である、請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記架橋助剤が、ビニリデン基を3つ有する三官能化合物である、請求項1又は2に記載の重合性組成物。
  4. 前記ビニリデン基を1つ有する一官能化合物が、メタクリロイル基を1つ有する化合物であって、前記ビニリデン基を2つ有する二官能化合物が、メタクリロイル基を2つ有する化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. さらに、連鎖移動剤を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
  6. 重合反応を行うことで、ガラス転移点が130℃以下の架橋性樹脂が得られ、さらに、架橋反応を行うことで、ガラス転移点が200℃以上の架橋樹脂が得られる、請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物の塊状重合反応により得られる架橋性樹脂成形体。
  8. 請求項7に記載の架橋性樹脂成形体の架橋反応により得られる架橋樹脂成形体。
  9. 請求項7に記載の架橋性樹脂成形体、又は請求項8に記載の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体。
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