JP2002142665A - 水産物または農産物の光処理方法 - Google Patents

水産物または農産物の光処理方法

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JP2002142665A JP2001258826A JP2001258826A JP2002142665A JP 2002142665 A JP2002142665 A JP 2002142665A JP 2001258826 A JP2001258826 A JP 2001258826A JP 2001258826 A JP2001258826 A JP 2001258826A JP 2002142665 A JP2002142665 A JP 2002142665A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生イカよりも旨味が増強された干しイカを製
造する等の水産物、農産物の含有アミノ酸を増大させる
方法を提供する。 【解決手段】 UV−A域の紫外線を乾燥時に照射し
て、旨味成分のグルタミン酸等のアミノ酸含量を増大さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、アミノ酸
含量を増大させることのできる水産物または農産物の光
処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、イカは生で食用に
するほかスルメや一夜干しなど乾燥した干物として広く
食用に供されているもので、わが国では身近にある食品
である。そして、干しイカとするための乾燥法として
は、天日干しや温風乾燥、赤外線乾燥など、いろいろな
方法がとられている。だが、実際的には、天日干しは気
候条件に左右され手間隙のかかり生産性に劣るため、人
工的な温風乾燥、赤外線乾燥などで製造されることが多
い。しかし、一方で、干しイカとしての旨味は天日干し
に劣るという問題がある。
【0003】干物としての魚介類の旨味は、温風乾燥や
赤外線乾燥等による人工乾燥による場合よりも、天日干
しの場合がより優れているとのことは、各種の魚介類に
ついて知られていることでもある。
【0004】このような従来の知見を踏まえ、人造乾燥
であっても天日干しと同様の旨味を持ち、変色を抑える
ための方法として、シラス等の魚介類の乾燥中、あるい
は乾燥後に紫外線を照射することが提案されてもいる
(特開平11−89510号公報)。
【0005】しかしながら、この提案されている方法に
おいては、シラスが対象とされていて干しイカについて
は検討されていないし、干物の旨味と紫外線照射との関
係や、さらには、干物の旨味を増強させることの可能性
については全く考慮されていないのが実情である。
【0006】また、この出願の発明者により得られてい
る知見によれば、紫外線の照射については、イカ干物に
限られずに、各種の水産物、さらに農産物について紫外
線照射によりアミノ酸増大との特異的関係が見出されて
おり、しかもこの関係は、紫外線の特有波長域のものに
より実現されるとのことも、上記の従来例によっては全
く開示も示唆されていないのである。
【0007】この出願の発明は、以上のとおりの従来の
事情に鑑みてなされたものであって、生イカよりもその
旨味が増強された干しイカと、そのための干しイカの製
造方法を提供することをはじめ、各種の水産物や農産物
についての新しい光照射による処理方法を提供すること
を課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
のとおりの課題を解決するものとして、第1には、アミ
ノ酸含有の水酸物または農産物の乾燥時もしくは加温時
に、UV−A域の紫外線を照射してアミノ酸含量を増大
させることを特徴とする水産物または農産物の光処理方
法を提供し、第2には、平均アミノ酸量もしくは特定ア
ミノ酸量を増大させることを特徴とする上記の水産物ま
たは農産物の光処理方法を、第3には、UV−A域の紫
外線の照射を温風乾燥時に行うことを特徴とする水産物
または農産物の光処理方法を提供する。
【0009】そして、この出願の発明は、第4には、前
記第1ないし第3のいずれかの発明の方法による干しイ
カの製造方法として、生イカの乾燥時にUV−A域の紫
外線を照射することを特徴とする旨味が増強された干し
イカの製造方法を提供し、第5には、生イカの乾燥時に
UV−A域の紫外線とともに、赤(中心波長650n
m)、緑(中心波長550nm)、および青(中心波長
450nm)の1種以上の光を照射することを特徴とす
る旨味が増強された干しイカの製造方法を、第6には、
これらの光の照射に際し、生イカの温風乾燥を行うこと
を特徴とする旨味が増強された干しイカの製造方法を提
供する。
【0010】第6には、旨味成分であるグルタミン酸が
生イカの5倍以上であることを特徴とする旨味が増強さ
れた干しイカを提供し、第7には、この干しイカについ
て、総アミノ酸量が生イカの3倍以上であることを特徴
とする旨味が増強された干しイカを提供する。
【0011】さらにこの出願の発明は、第8には、第1
ないし第3のいずれかの方法によりアミノ酸含量が増大
されていることを特徴とする加工もしくは半加工の魚介
類を提供し、第9には、上記のいずれかの方法によりア
ミノ酸含量が増大されていることを特徴とする加工もし
くは半加工の農産物を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につ
いて説明する。
【0013】まず、なによりも、この出願の発明におい
ては、これまで全く報告されていない、UV−A域の紫
外線照射による含有アミノ酸の増大の方法が提供され
る。
【0014】この含有アミノ酸増大の対象となる水産
物、農産物は、採取時あるいはそして光処理前の状態と
してアミノ酸を含有しているものであって、各種のもの
であってよい。水産物では、たとえば海、湖、河川等よ
り得られる魚介類や海藻類が例示される。また農産物で
は、米、麦をはじめ、天然あるいは栽培により得られる
各種のものが対象となる。これら対象物は、採取後のも
のでも、半加工や加工されて乾燥や加温処理される状態
のものでもよい。UV−A域の紫外線は、乾燥時もしく
は加温時に照射されることになる。温風乾燥、すなわ
ち、一般的にはたとえば25℃以上の温度で温風乾燥す
る場合に照射されること等が考慮される。
【0015】UV−A域の紫外線の照射によって、この
出願の発明では、含有されているアミノ酸量を増大させ
ることが、このアミノ酸含量の増大については、総アミ
ノ酸あるいは平均アミノ酸含有量を増大させること、も
しくは対象とする水産物や農産物の種類に応じて、特定
種のアミノ酸を顕著に増大させることの少くともいずれ
かの特定アミノ酸の増大は、たとえば旨味成分としての
グルタミン酸の増大として、あるいは旨味に反映される
にがみを強くする場合、身体の健康調整を促すアミノ酸
等を増大させる場合等として非常に大きな効果をもたら
すことになる場合として実現されている。
【0016】たとえば以下に、この出願の発明において
顕著な作用効果を奏することが確認される。イカの例に
ついて説明する。
【0017】この出願の発明によれば、旨味が増強され
た干しイカが提供される。この場合の旨味の増強は、 1)旨味成分であるグルタミン酸が生イカの5倍以上で
あること、として規定される。さらにまた、このグルタ
ミン酸についての規定とともに、 2)総アミノ酸量が生イカの3倍以上であることとして
規定される。
【0018】グルタミン酸の増加率、そして総アミノ酸
の増加率が2倍未満の場合には、官能試験においてもほ
とんど変わらないこと、並びに、天日乾燥の場合でも、
せいぜい2倍程度までであることからすると、この発明
の提供する干しイカは画期的なものである。
【0019】以上のような旨味の増強された干しイカの
提供は、この出願の発明者による旨味成分としてのグル
タミン酸やアミノ酸と乾燥時の光照射との関係について
の詳細な検討の結果を踏まえて可能とされている。
【0020】この出願の発明の旨味の増強された干しイ
カの提供は、イカが含有するアミノ酸に着目し、イカを
温風乾燥する際に各種の光源からいろいろな波長の光線
を照射して乾燥前後で(生イカと干しイカとで)のアミ
ノ酸変化量と波長との相関を検討し、図1に示すように
旨味成分であるグルタミン酸がUV−A領域(中心波長
350nm)の紫外線により約生イカの7倍程度増加す
ることおよび苦味成分を呈するアミノ酸であるバリンは
2.6倍程度増加することが見出され、一方、より短波
長のUV−C領域(中心波長250nm)の紫外線を照
射すると干しイカに含まれるグルタミン酸は3.6倍程
度増加するが同時に苦味成分のバリンも3.2倍程度増
加したことが見出されたことを具体的な契機としてい
る。UV−C領域の紫外線は大気中のオゾン層で吸収さ
れ地表には殆ど届いていないことを考えると天日干しの
イカが旨いのは太陽光に含まれるUV−A領域の紫外線
が旨味成分であるグルタミン酸を増加させているためで
あると結論でき、このような知見から、人工乾燥におい
ても天日干し以上のイカの旨味を持つ人工乾燥による干
しイカを製造することが可能とされる。
【0021】そこで、この出願の発明である旨味の増強
された干しイカの製造方法について説明すると、生イカ
の乾燥時にUV−A領域の紫外線を照射することが必須
の要件となる。この場合のUV−A域の紫外線は、中心
波長が350nmの光として考慮されるが、波長の範囲
としては、300nmを超えて430nm程度として、
より好ましくは、波長が320〜380nmの範囲にあ
る紫外線として考慮される。
【0022】旨味成分としてのグルタミン酸の増強は、
UV−A域の紫外線が酵素を活性化することによるもの
と考えられる。この酵素の活性化による増強効果はUV
−A域の紫外線の作用として選択的である。
【0023】また、旨味成分としてのグルタミン酸の増
大の効果は、図1にも示されているように、赤(中心波
長650nm)、緑(中心波長550nm)、および青
(中心波長450nm)の光の照射によっても認められ
ることから、これらの光の1種または2種以上をUV−
A域の紫外線と併用することも有効である。旨味成分の
グルタミン酸はより効果的に増強されることになる。
【0024】なお、UV−C(中心波長250nm)の
紫外線もある程度グルタミン酸を増大させるが、苦味成
分のバリンをも増大させるため、この発明においては使
用しないこととする。
【0025】そして、この出願の発明においては、UV
−A(中心波長350nm)の紫外線を単独で、あるい
は、前記のとおりの赤、緑、青の光とともに照射する場
合、乾燥は、乾燥時に行うこととする。乾燥処理前、あ
るいは乾燥処理後の照射では、前記のとおりに規定され
る旨味の増強された干しイカを製造することはできな
い。
【0026】乾燥は、温風乾燥とすることが好ましい。
その例としては、対象とするイカの温度(品温)を、2
7℃〜35℃程度の範囲に保ち、温風の絶対湿度を、
0.01kgH2 O/kgDryAir以下に保ち、2〜1
0時間程度乾燥処理することが挙げられる。
【0027】UV−A域等の光は、この乾燥時間に対応
して照射されることが望ましい。
【0028】また、乾燥の対象とする生イカは、あらか
じめ臓物を除去し、水洗いした後のものとする。この場
合、適宜な大きさに切断しておいてもよい。
【0029】以上のような干しイカの製造だけではな
く、この出願の発明によるUV−A域紫外線照射の効果
は、たとえば以下に実施例として説明する、イカの場合
をはじめ、ホタテ、かつお、タコ、アワビ等の魚介類、
そして、せんべい(米菓)、椎茸等の農産物においても
顕著である。
【0030】そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく
この出願の発明について説明する。
【0031】
【実施例】<実施例1>生イカの臓物を除去して水で洗
浄の後、半分に切り、一方は生の状態で、他方は以下に
述べる方法で乾燥し干しイカにした上で、除タンパク処
理をした後に高速液体クロマトグラフィを用いてそれぞ
れの遊離アミノ酸を測定した。測定したアミノ酸はプロ
リン、グリシン、バリン、セリン、タウリン、スレオニ
ン、アラニン、シスチン、ロイシン、フェニルアラニ
ン、チロシン、メチオニン、イソロイシン、グルタミン
酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニン、リジン
の計18種である。図2、図3および図4はその結果を
示したものである。増加率は干しイカに含まれる遊離ア
ミノ酸量を生イカに含まれる遊離アミノ酸量で除し、
1.0を差引いて100倍して%表示で示した。したが
って増加率100%は干しイカの遊離アミノ酸量が生イ
カの2倍であることを示す。
【0032】また、図1中の「温」の表示は、温風乾燥
だけの場合を示している。
【0033】イカの乾燥は先に述べた半分切の部分を図
5に示した実験乾燥装置を用いて行った。この装置で
は、温風発生器(1)からの温風を木製の風洞(縦65
×横94×長さ150cm)に導き、一様な流れで風洞
を通りぬけ、ダクトから室外に排気される。風洞内は空
気の流れに沿って二つに分けられ、実験能率を上げるよ
うに、それぞれ異なる波長の光を照射できるようにし
た。温風にさらし、イカ(3)の両側に、風洞内に設置
した各種ランプ(2)で光照射しながら、イカの温度
(品温)30℃、温風の絶対湿度を0.007kgH2
O/kgDryAirに一定に保ちながら6時間乾燥した。
照射光の波長は、赤(中心波長650nm)、緑(中心
波長550nm)、青(中心波長450nm)、UV−
A紫外線(中心波長350nm)、UV−B紫外線(中
心波長300nm)、UV−C紫外線(中心波長250
nm)の6種類である。
【0034】干しイカのアミノ酸増加率は先に述べた方
法で求め、3回の実験の平均値として算出した。プロリ
ン、グリシン、グルタミン酸(旨み成分)、バリン(苦
味成分)の増加率を増加した波長に対して(参照として
照射しないたんに温風乾燥の場合をあわせて)前記図1
に示した。旨み成分のグルタミン酸はUV−A照射で最
も増加し生イカの約7倍になったのに対しその他の波長
では4倍程度しか増加しておらず単一波長域光で4倍以
上の増加はUV−A照射でのみ得られた。苦味成分のバ
リンはUV−A照射では2.6倍程度増加しているがグ
ルタミン酸の増加が大きいため旨みの増加がより顕著で
ある。またUV−C照射ではグルタミン酸の増加と同等
の増加が苦味成分(バリン)でも見られ、一般に苦味は
旨みを損なうことが多く好ましくないことがわかる。
【0035】さきに述べた18種のアミノ酸のすべてを
加えた総アミノ酸量の比率を照射光波長に対して示すと
図6となり、UV−A、UV−C照射は他の波長の光に
対して遊離アミノ酸を増加させる効果が大きいことがわ
かる。ここで比率とは、干しイカに含まれる遊離アミノ
酸量を生イカに含まれるアミノ酸量で除し、100倍し
て%表示で示した。比率100%は、干しイカのアミノ
酸量が生イカと同じであることを示す。UV−A、UV
−C照射が遊離アミノ酸を増加させる原因を見るため、
生イカを酵素阻害剤(市販品、弗化フェニルメチルスル
ホニル:PMSF)で処理し酵素を失格させた上で同様
な乾燥処理をしてその総アミノ酸量を測定し、アミノ酸
量の比率を求めた。その結果は図7に示され、UV−C
以外は生イカと大差なかった。酵素が有効に作用する図
6の結果と図7の結果を比較すると、イカに含まれるタ
ンパク分解酵素が活性化することにより遊離アミノ酸が
増加しているのであり、紫外線のエネルギーでタンパク
が直接分解される効果はUV−C以外では殆ど遊離アミ
ノ酸増加には寄与しないと考えることができる。また、
総アミノ酸量を酵素を失格させた場合と有効に作用する
場合で比較すると図8のようになり、すべての波長域で
100%下回ることが示される。以上のことから、太陽
光照射のもとで乾燥される天日干しのイカがおいしい理
由は太陽光に含まれる波長成分、特にUV−A成分によ
りタンパク分解酵素が活性化され、その結果遊離アミノ
酸が増加するためであると考えられる。 <実施例2>図9はイカ以外の水産物として、ホタテを
選び,UV−A域の紫外線照射の効果が、イカの場合と
同様にホタテの場合にも生じるかを示した結果である。
縦軸は各アミノ酸の増加比率を示し、図6〜図8と同じ
指標である。各アミノ酸は図2〜図4の18種類にタウ
リンを加えた19種類で、一番右端が19種類のアミノ
酸を平均した値である。温風乾燥の場合、平均アミノ酸
量の増加比率は128%で乾燥前より1.28倍増えて
いるが、UV−A照射の場合は186%であり、温風乾
燥の場合より1.44倍アミノ酸量が増えている。しか
も19種類のアミノ酸のほとんどのアミノ酸が温風乾燥
の場合より増加している。
【0036】このように、ホタテでもイカと同様な効果
が現れることが確認された。 <実施例3>図10は水産物として、かつおを選び,U
V−A域の紫外線照射の効果が、イカの場合と同様にか
つおの場合にも生じるかを示した結果である。縦軸は各
アミノ酸の増加比率を示し、図6〜図8と同じ指標であ
る。各アミノ酸は図2〜図4の18種類にタウリンを加
えた19種類で、一番右端が19種類のアミノ酸を平均
した値である。温風乾燥の場合、平均アミノ酸量の増加
比率は235%で乾燥前より2.35倍増えているが、
UV−A照射の場合は335%であり、温風乾燥の場合
より1.43倍アミノ酸量が増えており、ほたての場合
の1.44倍と類似している。しかも19種類のアミノ
酸のほとんどのアミノ酸が温風乾燥の場合より増加して
いる。
【0037】このように、かつおでもイカと同様な効果
が現れることが確認された。 <実施例4>図11は水産物として、あわびを選び、U
V−A域の紫外線照射の効果が、イカの場合と同様にか
つおの場合にも生じるかを示した結果である。縦軸は各
アミノ酸の増加比率を示し、各アミノ酸は図2〜図4の
18種類にタウリンを加えた19種類で、一番右端が1
9種類のアミノ酸を平均した値である。温風乾燥の場
合、平均アミノ酸量の増加比率は145%で乾燥前より
1.45倍増えているが、UV−A照射の場合は186
%であり、温風乾燥の場合より1.28倍アミノ酸量が
増えている。しかも19種類のアミノ酸のすべてのアミ
ノ酸が温風乾燥の場合より増加している。
【0038】このように、あわびでもイカと同様な効果
が確認された。 <実施例5>せんべいにはもち米を原料としたものと、
小麦粉を原料としたものの2種類がある。この実施例で
は、前者のもち米を原料としたものの例を示している。
すなわち、せんべいはもち米を混練りし蒸したものを、
乾燥させ、オーブンで焼くことにより作られる。その製
造工程の中の乾燥工程に、UV−A域の紫外線を照射し
ながら温風乾燥させた後焼いた場合と、温風だけで乾燥
後焼いた場合とを比較した結果を図12に示す。品温は
30℃で、乾燥時間は4時間であり、他の条件について
は、イカと同様である。縦軸、横軸は図9と同じであ
る。
【0039】温風乾燥の場合、平均アミノ酸量の増加比
率は229%で乾燥前より2.28倍増えているが、U
V−A照射の場合は352%であり、温風乾燥の場合よ
り1.54倍アミノ酸量が増えている。しかも19種類
のアミノ酸のうち測定されなかったバリンを除いた18
種類のアミノ酸すべてが温風乾燥の場合より増加してい
る。
【0040】このように、食品であるもち米せんべいで
もイカと同様な効果が現れたことから、アミノ酸を含ん
でいる他の食品にも同様な効果が現れると判断される。 <実施例6>図13は農産物として、椎茸を選び、乾燥
過程におけるUV−A域の紫外線照射の効果が、イカ等
の水産物の場合と同様に農産物の場合にも生じることを
示した結果である。実験は生椎茸にイカの場合と同じ条
件で6時間乾燥させ、乾燥前と乾燥後のアミノ酸含量を
測定した。縦軸横軸は図9と同様である。温風乾燥の場
合、平均アミノ酸量の増加比率は284%で乾燥前より
2.84倍増えているが、UV−A照射の場合は322
%であり、温風乾燥の場合より1.13倍アミノ酸量が
増えている。増加率が他に比べて少ないが、19種類の
アミノ酸のうち、一番含量の多いヒスジジンが1.67
倍、3番目に含量が多いスレオニンが1.38倍、プロ
リンは4.51倍、タウリンが1.33倍と増加率が多
いアミノ酸もある。
【0041】このように、農産物である椎茸でもイカと
同様な効果が現れることが確認された。
【0042】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、各種の水産物、さらには農産物につい
て、UV−A域の紫外線照射により、含有アミノ酸を増
大させることができ、たとえば旨味が増強された干しイ
カ等が実現されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】干しイカ製造時の4種のアミノ酸増加率に及ぼ
す光の影響を例示した図である。
【図2】アミノ酸の増加率に及ぼす光の影響を例示した
図である。
【図3】図2と別の他のアミノ酸の増加率に及ぼす光の
影響を例示した図である。
【図4】図2および図3とは別の他のアミノ酸の増加率
に及ぼす光の影響を例示した図である。
【図5】実験装置を示した概要図である。
【図6】総アミノ酸量の増加に及ぼす光の影響を例示し
た図である。
【図7】総アミノ酸量に及ぼす光の影響を酵素失活した
場合について例示した図である。
【図8】総アミノ酸量に及ぼす酵素失活の影響を例示し
た図である。
【図9】ホタテの場合の結果について例示した図であ
る。
【図10】かつおの場合の結果について例示した図であ
る。
【図11】アワビの場合の結果について例示した図であ
る。
【図12】せんべい(米菓)の場合の結果について例示
した図である。
【図13】椎茸の場合の結果について例示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 1/325 A23L 1/33 C 1/33 1/333 Z 1/333 A23B 4/04 501A

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ酸含有の水酸物または農産物の乾
    燥時もしくは加温時に、UV−A域の紫外線を照射して
    アミノ酸含量を増大させることを特徴とする水産物また
    は農産物の光処理方法。
  2. 【請求項2】 平均アミノ酸量もしくは特定アミノ酸量
    を増大させることを特徴とする請求項1の水酸物または
    農産物の光処理方法。
  3. 【請求項3】 UV−A域の紫外線の照射を温風乾燥時
    に行うことを特徴とする請求項1または2の水産物また
    は農産物の光処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかの方法によ
    る干しイカの製造方法であって、生イカの乾燥時にUV
    −A域の紫外線を照射することを特徴とする旨味が増強
    された干しイカの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の干しイカの製造方法であっ
    て、生イカの乾燥時にUV−A域の紫外線とともに、赤
    (中心波長650nm)、緑(中心波長550nm)、
    および青(中心波長450nm)の1種以上の光を照射
    することを特徴とする旨味が増強された干しイカの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 旨味成分であるグルタミン酸が生イカの
    5倍以上であることを特徴とする旨味が増強された干し
    イカ。
  7. 【請求項7】 請求項6の干しイカであって、総アミノ
    酸量が生イカの3倍以上であることを特徴とする旨味が
    増強された干しイカ。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし3のいずれかの方法によ
    りアミノ酸含量が増大されていることを特徴とする加工
    もしくは半加工の魚介類。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし3のいずれかの方法によ
    りアミノ酸含量が増大されていることを特徴とする加工
    もしくは半加工の農産物。
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