JPH08163967A - 魚皮の軟化方法 - Google Patents

魚皮の軟化方法

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JPH08163967A
JPH08163967A JP6332844A JP33284494A JPH08163967A JP H08163967 A JPH08163967 A JP H08163967A JP 6332844 A JP6332844 A JP 6332844A JP 33284494 A JP33284494 A JP 33284494A JP H08163967 A JPH08163967 A JP H08163967A
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Hisashi Nozaki
恒 野崎
Yoshizou Kitagou
賀三 北郷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 肉質は殆ど変化させず、魚皮を特異的に柔ら
かくすることのできる魚皮の軟化方法を得る。 【構成】 魚又は魚の皮に舞茸,生舞茸粉砕物,生舞茸
ペースト,生舞茸懸濁液,乾燥舞茸粉末,乾燥舞茸懸濁
液,舞茸浸出液の何れかを、予め定められた時間、魚皮
に接触させるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えばうなぎ等のように
通常の加熱調理等によって皮が軟らかくならない魚皮を
柔らかくする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】うなぎの蒲焼は、人気の高い食品であ
る。特に、夏の暑い時期には、スタミナ増強食品の代表
である。うなぎの皮は通常の加熱調理だけでは、ゴムの
様に硬い。このため、蒲焼にする際にも、皮の部分を柔
らかくする工夫が成されている。これには主に関西風と
関東風の2通りがある。
【0003】関西では、白焼き後の蒸し工程がなく、腹
を裂いて中骨を取り除いた後は、白焼きにして、職人が
タレを付けて焼く本焼き工程を何度も繰り返すことによ
り、硬い皮を弾力のある歯応えに仕上げ、香ばしく、皮
自身のぷりぷりとした歯応えのある蒲焼に仕上げられ
る。
【0004】一方、関東では、背開きにして中骨を取り
除いて、白焼きをした後に、皮を柔らかくするため、蒸
し工程が必須となる。この蒸し工程の後にタレを付けて
本焼きし、職人の手によって皮の柔らかいふっくらとし
た蒲焼に仕上げられる。
【0005】また近年、このうなぎの蒲焼をパックし
て、温めるだけで手軽に食卓に供するようにした食品が
市場に出回っている。このパックのうなぎの蒲焼も関西
風と関東風とに調理される。即ち、白焼きせずに本焼き
してパックするものや、白焼きにした後、皮を柔らかく
するために蒸し工程を行い、そしてタレを付けて本焼き
し、これをパックするもの等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなうなぎの蒲
焼において、うなぎが加工される季節や個体差によっ
て、白焼き後の本焼きを繰り返したり、蒸し工程を行っ
ても皮の柔らかくならないうなぎがあった。この皮が柔
らかくならないうなぎは、全くの商品価値がないもので
あった。
【0007】一方、植物や菌類等には肉質を柔らかくす
るプロテアーゼ等が含まれているものがあり、例えば、
パパイヤから得られるパパインは精製されて市販もされ
ており、パパイヤ自身を肉や魚介類の調理に用いること
も知られている。
【0008】そこで、魚皮を柔らかくする試みとして、
プロテアーゼ,パパイン等によって処理することが試み
られたが、魚皮がさほど柔らかくならず肉質のみが必要
以上に柔らかくなったり、条件によっては肉質がふっく
らとならずにボソついたりするものがあった。
【0009】そこで本発明者は、食品に的を絞り、魚皮
を特異的に柔らかくすることのできる食品素材を種々求
めて、鋭意研究した結果、近年では人工栽培が可能にな
った舞茸の成分中に、他の酵素と比べて魚皮を特異的に
柔らかくするものを見出して、本発明に至ったものであ
る。
【0010】本発明は、肉質を殆ど変化させず、魚皮を
柔らかくすることのできる魚皮の軟化方法を得ることを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載された
発明に係る魚皮の軟化方法では、魚又は魚の皮に舞茸,
生舞茸粉砕物,生舞茸ペースト,生舞茸懸濁液,乾燥舞
茸粉末,乾燥舞茸懸濁液,舞茸浸出液の何れかを、予め
定められた時間、魚皮に接触させるものである。
【0012】本請求項2に記載された発明に係る魚皮の
軟化方法では、請求項1に記載の魚が、うなぎ,はも,
あなごの何れかであるものである。
【0013】
【作用】本発明においては、魚又は魚の皮に舞茸,生舞
茸粉砕物,生舞茸ペースト,生舞茸懸濁液,乾燥舞茸粉
末,乾燥舞茸懸濁液,舞茸浸出液の何れかを、予め定め
られた時間、魚皮に接触させるものである。このため、
加熱調理だけではゴムの様に硬い魚皮を、肉質を殆ど変
化させず、特異的に柔らかくすることができる。
【0014】即ち、本発明では舞茸の成分中に、魚皮を
ある程度特異的に柔らかくするものを見出したものであ
る。この魚皮を軟化させる成分は未だ抽出・精製して特
定されてはいないが、魚の特に魚皮の部分を柔らかくす
る酵素であると思われる。従って、舞茸中の酵素成分を
失活させないで、加熱処理を施さない舞茸そのもの又は
その浸出液等として、良好に魚皮に到達させるような処
理を施せば、加熱調理だけではゴムの様に硬い魚皮を、
肉質を殆ど変化させず、特異的に柔らかくすることがで
きる。
【0015】より具体的な方法としては、本発明では、
舞茸,生舞茸粉砕物,生舞茸ペースト,生舞茸懸濁液,
乾燥舞茸粉末,乾燥舞茸懸濁液,舞茸浸出液の何れか
を、予め定められた時間、魚又は魚皮に接触させる、好
ましくは、直接又は間接的にまぶす,塗布する,又は,
浸漬することにより、行うことができる。
【0016】本発明の方法が用いられる魚の種類として
は、加熱調理だけでは皮がゴムのように硬い魚である。
例えば、うなぎ,あなご,はも等が上げられる。また、
舞茸又はその浸出液等の魚又は魚皮への処理は、調理さ
れる前の生のものでも、完成に至る前の調理段階で焼い
た状態のものでも可能である。
【0017】例えばうなぎでは、蒲焼にする際に、開い
て中骨を抜いたものや、生でも、また、それを白焼きに
したものでも良い。更に一旦白焼きを蒸したものでも良
く、工程上最も都合の良い場合に処理できる。また、生
や白焼きで処理するものは求める柔らかさにもよるが、
場合によって、蒸しを行わなくても充分に柔らかくもで
きるし、更に蒸し工程を行うものでも時間短縮やもっと
柔らかくすることができる。
【0018】接触させる時間や、舞茸の濃度等の舞茸の
処理の条件は、原料の魚皮の硬さやその原料の調理状態
等と、求める製品の皮の柔らかさとの兼ね合いによって
調整しなければならない。具体的には、舞茸の魚又は魚
皮への接触は、生舞茸粉砕物や乾燥舞茸粉末を懸濁させ
た懸濁液で使用するのが簡便である。
【0019】この場合、生の舞茸は3〜30%、乾燥粉
末の場合1〜10%程度の液が良い。これは濃度が高い
と短時間で柔らかくなる反面、肉質のボソつきが早くな
り、濃度が低いと処理時間が長くなり、原料の腐敗の問
題が生じるためである。
【0020】また、舞茸の懸濁液・浸出液での処理温度
は20〜60℃で温度が低いと酵素が作用しないし、温
度が高いと酵素が失活し効果がなくなる。通常30〜4
0℃程度で行うのが作業、温度保持上からも好ましい。
【0021】
【実施例】
実施例1 舞茸の乾燥粉末20gを、1リットルの40℃の水に加
え、懸濁液を作成する。これに皮が硬いうなぎの白焼き
を浸漬し、蒸し器で5分間蒸した後、蒲焼のたれを付け
て本焼きにした。浸漬時間を無処理,5分,10分,1
5分,30分,45分,60分と変化させ、皮の柔らか
さを比較評価した。結果を次の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1に示すのように、10分〜30分処理
は皮も柔らかく肉質も良好で美味しい蒲焼が得られた。
無処理や短時間処理では皮が硬く不適であり、45分以
上では皮のみでなく肉質が不要に柔らかくなり過ぎる。
【0024】実施例2 生の舞茸200gを水2リットルに加え、ミキサーで粉
砕した後、加温し40℃の舞茸の懸濁液を調整した。こ
れに冷凍の白焼きうなぎの解凍物1kgを、室温で20分
間浸漬した。浸漬後水切りし、タレを付け常法通りに本
焼きし、うなぎの蒲焼を焼きあげた。これは皮も柔らか
く、肉質も良好で美味な蒲焼が得られた。
【0025】比較例1 生の椎茸200gを水2リットルに加え、ミキサーで粉
砕し椎茸の懸濁液を調整した。実施例2と同様に、これ
に冷凍の白焼きうなぎの解凍物1kgを、室温で20分間
浸漬した。浸漬後水切りし、タレを付け常法通りに本焼
きし、うなぎの蒲焼を焼きあげた。これは皮がゴム様に
硬く噛み切れない蒲焼となった。
【0026】以上のように、特に、舞茸,生舞茸粉砕
物,生舞茸ペースト,生舞茸懸濁液,乾燥舞茸粉末,乾
燥舞茸懸濁液,舞茸浸出液の何れかを、予め定められた
時間、うなぎ又はうなぎの皮にまぶす,塗布させる,又
は,浸漬させることによって、蒲焼にする際に、蒸し工
程を短縮する又は省略することも可能となり、肉質を殆
ど変化させず、皮の柔らかい蒲焼を得ることができる。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、加熱処理
を施していない舞茸又はその浸漬液を、予め定められた
時間、魚又は魚皮に接触させるものであり、具体的には
舞茸,生舞茸粉砕物,生舞茸ペースト,生舞茸懸濁液,
乾燥舞茸粉末,乾燥舞茸懸濁液,舞茸浸出液の何れか
を、予め定められた時間、魚又は魚皮にまぶす,塗布す
る,又は,浸漬することにより、通常の加熱調理だけで
はゴムの様に硬い魚皮を、肉質を殆ど変化させず、特異
的に柔らかくすることができる。
【0028】また、舞茸,生舞茸粉砕物,生舞茸ペース
ト,生舞茸懸濁液,乾燥舞茸粉末,乾燥舞茸懸濁液,舞
茸浸出液の何れかを、予め定められた時間、うなぎ,は
も,あなごの何れかの魚又は魚の皮にまぶす,塗布させ
る,又は,浸漬させることによって、肉質を殆ど変化さ
せず、特異的に柔らかくすることができる。特にうなぎ
は蒲焼にする際に、蒸し工程を短縮する又は省略するこ
とも可能となり、肉質を殆ど変化させず、皮の柔らかい
蒲焼を得ることができるという効果がある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚又は魚の皮に舞茸,生舞茸粉砕物,生
    舞茸ペースト,生舞茸懸濁液,乾燥舞茸粉末,乾燥舞茸
    懸濁液,舞茸浸出液の何れかを、予め定められた時間、
    魚皮に接触させることを特徴とする魚皮の軟化方法。
  2. 【請求項2】 魚が、うなぎ,はも,あなごの何れかで
    あることを特徴とする請求項1に記載の魚皮の軟化方
    法。
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