JP2020031632A - 加工農産物、農産物の加工方法及びこの加工方法に用いる前処理装置 - Google Patents

加工農産物、農産物の加工方法及びこの加工方法に用いる前処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来に比べ短時間で加工処理され、甘味成分及び旨味成分が増加した加工農産物、農産物の加工に用いる前処理装置の提供。【解決手段】熱赤外線領域の波長のコヒーレント光31を外皮に照射し外皮の細胞を損傷させる前処理と、損傷した外皮を経由して、外皮の内側の果肉部の水分を放散させる乾燥処理を含む手順により得られる、アブラナ科の植物を被加工原料D1とする加工農産物であって、前処理を施す前と比較して、甘味系アミノ酸及び旨味系アミノ酸の量が多い加工農産物。熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を発生させる照射装置22、コヒーレント光31を被加工原料D1の表面に対して掃引させるビームスキャナ23、被加工原料D1を被加工原料D1中に定義される軸を回転軸として回転させ、コヒーレント光31が照射される被加工原料D1の表面方位を制御する表面方位制御装置(41a,42a)を備える、農産物加工の前処理装置。【選択図】図1

Description

本発明は農産物の加工技術に係り、特に果肉を外皮で覆った構造の根菜等の農産物を迅速に乾燥処理した加工農産物、これに必要な農産物の加工方法、及びこの加工方法に用いる前処理装置に関する。
大根等の根菜の長期保存方法のひとつとして「乾燥処理」がある。根菜を乾燥させて水分量を減らすことにより、細菌等の増殖活性を低く抑えることができる。又、乾燥処理により、旨味の向上や新たな食感が得られるという別の効果もあり、乾燥技術は野菜や果物に幅広く適用されている。
野菜の乾燥技術には、天日干しや熱風乾燥、真空凍結乾燥等が含まれる。このうち天日干しは特別な設備がなくとも手軽に出来る利点があるが、時間や手間がかかる上、自然条件に左右されやすいために品質管理が困難であり、均質な仕上がりが難しいという難点がある。
野菜の乾燥方法として、非量子論的な非コヒーレント光(自然放出光)の照射を取り入れた各種乾燥法も知られている。特許文献1では、乾燥方法として、遠赤外線領域の波長を含むセラミックスを加熱し、生じたエネルギー密度の低い遠赤外線を乾燥対象物に照射し、同時に熱風に曝し、更に紫外線を照射する方法がとられている。乾燥時間が短縮でき、旨味成分が増す効果があるが、乾燥処理中は常時、エネルギー密度の低い非コヒーレント光を照射することになり、更に熱風や紫外線も利用しているため、特別な装置が必要であり、高コストであるという難点がある。
又、特許文献2では、乾燥方法として、遠赤外線放射物質層の加熱により生じた非コヒーレント光を乾燥対象物に照射し、更に高温雰囲気下に置く方法がとられている。遠赤外線放射物を加熱・加温して遠赤外領域の非コヒーレント光を発生させる方法では、指向性が低いので、加熱部位に近い方と遠い方とで温度差が生じ、乾燥対象物に照射する非コヒーレント光の放射エネルギーや波長がばらつくという問題がある。特許文献2では均質に加熱できる工夫をし、乾燥対象物に対して均質な非コヒーレント光を照射できるようにしているが、常時、エネルギー密度の低い非コヒーレント光を乾燥対象物に照射するための装置が必要となり、高コストとなっている。
特開平01−86829号公報 特開昭63−230033号公報
本発明は上記の問題に着目してなされたものであって、従来に比べ短時間で加工処理され、甘味成分及び旨味成分が増加した加工農産物、農産物の加工方法及びこの加工方法に用いる前処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、熱赤外線領域の波長のコヒーレント光を外皮に照射し外皮の細胞を損傷させる前処理と、損傷した外皮を経由して、外皮の内側の果肉部の水分を放散させる乾燥処理を含む手順により得られる、アブラナ科の植物を被加工原料とする加工農産物に関する。アミノ酸には「甘味系アミノ酸」「旨味系アミノ酸」「苦味系アミノ酸」などがあるが、第1の態様に係る加工農産物は、前処理を施す前の被加工原料の成分と比較して甘味系アミノ酸及び旨味系アミノ酸の量が多い。「甘味系アミノ酸」には、プロリン、スレオニン、アラニン、セリン、グリシンが含まれ、「旨味系アミノ酸」にはグルタミン酸、アスパラギン酸が含まれる。
上記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、(a)熱赤外線領域の波長のコヒーレント光を、被加工原料の外皮に照射し、外皮の細胞を損傷させる前処理工程と、(b)損傷した外皮を経由して、外皮の内側の果肉部の水分を放散させる乾燥処理工程を含む農産物の加工方法であることを要旨とする。
上記目的を達成するために、本発明の第3の態様は、(a)熱赤外領域の波長のコヒーレント光を発生させる照射装置と、(b)コヒーレント光を、被加工原料の表面に対して掃引させるビームスキャナと、(c)被加工原料を、被加工原料中に定義される軸を回転軸として回転させ、コヒーレント光が照射される被加工原料の表面方位を制御する表面方位制御装置を備える農産物加工の前処理装置であることを要旨とする。
本発明によれば、従来に比べ短時間で加工処理され、甘味成分及び旨味成分が増加した加工農産物、農産物の加工方法及びこの加工方法に用いる前処理装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る加工方法に用いる前処理装置の概略を説明する模式的ブロック図である。 図1に示した前処理装置に用いられる表面方位制御装置の構造の概略を示す側面図である。 第1の実施形態に係る加工農産物の一例としての大根のアミノ酸量を、標準試料及び前処理を行わない比較試料の各アミノ酸量と比較したグラフである。 未処理状態の大根の表面近傍の断面を拡大した顕微鏡写真である。 第1の実施形態に係る加工農産物の一例としての大根の表面近傍の断面を拡大した顕微鏡写真である(その1)。 第1の実施形態に係る加工農産物の一例としての大根の表面近傍の断面を拡大した顕微鏡写真である(その2)。 第1の実施形態に係る加工農産物の一例としての大根の表面近傍の断面を拡大した顕微鏡写真である(その3)。 本発明の第2の実施形態に係る加工方法に用いる前処理装置に用いられる表面方位制御装置の概略を説明する模式図である。 本発明の第2の実施形態の変形例に係る加工方法に用いる前処理装置に用いられる表面方位制御装置の概略を説明する模式図である。 その他の実施形態に係る加工方法に用いる前処理装置の概略を説明する模式図である。 その他の実施形態に係る加工農産物の一例としてのゴーヤの表面近傍の断面を拡大した顕微鏡写真である(その1)。 その他の実施形態に係る加工農産物の一例としてのゴーヤの表面近傍の断面を拡大した顕微鏡写真である(その2)。
以下において、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の大きさの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚み、寸法、大きさ等は以下の説明から理解できる技術的思想の趣旨を参酌してより多様に判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す本発明の第1及び第2の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置及び物質、方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、装置及び物質の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、本発明の第1及び第2の実施形態で記載された内容に限定されず、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る加工農産物はアブラナ科の植物を被加工原料とする。第1の実施形態に係る加工農産物は、熱赤外線領域の波長のコヒーレント光を被加工原料の外皮に照射し、外皮の細胞を損傷させる前処理と、その後、損傷した外皮を経由して、外皮の内側の果肉部の水分を放散させる乾燥処理を含む手順により得られる。この第1の実施形態に係る加工農産物は、前処理を施す前の被加工原料の成分と比較して、プロリン、セリン等の甘味系アミノ酸、及びグルタミン酸、アスパラギン酸等の旨味系アミノ酸の量が多い。
「コヒーレント光」とは周知のように、量子力学的な誘導放出に固有な指向性(空間コヒーレンス)の高い光であり、通常、「光束内の任意の2点における光波の位相関係が時間的に不変で一定に保たれていて、任意の方法で光束を分割した後、大きな光路差を与えて再び重ねあわせても完全な干渉性を示す光」として定義されている。すなわち、第1の実施形態に係る農産物の加工方法の前処理では、特許文献1及び2に記載された非コヒーレント光(自然放出光)とは異なる「コヒーレント光」を用いる。
図1に示す第1の実施形態に係る農産物の加工の前処理工程で用いる照射装置22は、コヒーレント光を出射する炭酸ガスレーザ(CO2レーザ)が好適であり、照射装置22が出射したコヒーレント光31の波長は10.6μmで、「熱赤外領域」の波長範囲に属する。なお、赤外線の一般的分類で良く知られているのは、波長0,7〜2.5μmの近赤外線、波長2.5〜4μmの中赤外線、波長4〜1000μmの遠赤外線という分類であるが、この分類法では遠赤外線の波長範囲が非常に広い。
上記の分類法の他に、波長0.75〜1.4μmの近赤外線、波長1.4〜3μmの短波長赤外線、波長3〜8μmの中波長赤外線、波長8〜15μmの熱赤外線、波長15〜1000μmの遠赤外線という分類法もある。本発明では特許文献1及び2に記載された技術と差別化を図るため、「熱赤外線」の名称を採用する。すなわち、第1の実施形態に係る農産物の加工方法では、前処理工程で特許文献1及び2に記載された遠赤外線とは異なる「熱赤外線」を用いる。
第1の実施形態に係る加工農産物は、前処理を施さない棒状の根菜の表面に熱赤外領域の波長のコヒーレント光を照射する前処理工程と、前処理工程後の根菜を乾燥させる乾燥処理工程を含む加工方法から得られる。第1の実施形態でいう「前処理を施さない」状態とは、根菜を収穫した状態から表面の洗浄のみを行った状態をいう。この洗浄は、第1の実施形態に係る農産物の加工処理の形式を限定するものではなく、例えば水洗いでもよいし、棒状の根菜洗浄用の特殊な洗剤を用いての洗浄でもよい。又、手洗いでもよいし、特殊な洗浄器具を用いてもよい。
(第1の実施形態の前処理装置)
図1に示すように、第1の実施形態に係る農産物加工の前処理装置は、熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を発生させる照射装置22と、照射装置22が出射したコヒーレント光31を、棒状の被加工原料Dの表面を掃引しながら被加工原料Dの表面全面に連続的にスポット照射するビームスキャナ23と、照射装置22及びビームスキャナ23を制御するための制御装置24を含む。
図示を省略しているが、照射装置22及びビームスキャナ23の間にビームエクスパンダーを挟んでもよい。図1の照射装置22及びビームスキャナ23の間に1枚ないしは2枚のレンズを入れ、ビーム径を可変するビームエクスパンダーを構成することができる。スポット径が2倍になると、出力は1/4程低下するが、加工時間短縮の為に、ビームエクスパンダーでビーム径を大きめにして、ビームスキャナ23で掃引することができる。又、ビームエクスパンダーでコヒーレン光31をコリメートすれば、被加工原料Dの形状に凹凸があっても均一処理が可能となる。
図1に示す前処理装置は、図2に示すように、棒状の被加工原料Dを長手方向の長軸を回転軸として回転させる一対のローラ41a,41bを有し、コヒーレント光31が照射される被加工原料Dの表面方位(表面位置)を制御する表面方位制御装置を備えている。この表面方位制御装置においては更に、一対のローラ41a,41bはそれぞれステップモータ等の回転駆動機構(アクチュエータ)42a,42bを有する。図1の下段には図2に示した一対のローラ41a,41b及び回転駆動機構42a,42bの内の、一方のローラ41a及びこのローラ41aを回転させる回転駆動機構42aが、被加工原料Dの手前側に位置する部材として示されている。
熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を照射する際には、制御装置24から照射装置22に、設定された波長、出力等のコヒーレント光31を発生するように信号が送られ、制御装置24からビームスキャナ23に設定された掃引速度および揺れ角度等で、照射装置22から出射されたコヒーレント光31を棒状の被加工原料Dの上面全体にスキャンする。制御装置24から一対の回転駆動機構42a,42bにも駆動信号が送られ、回転駆動機構42a,42bがそれぞれ対応する一対のローラ41a,41bを回転駆動させることにより、ローラ41a,41bに下面を挟まれた棒状の被加工原料Dが回転する。
制御装置24から照射装置22に、被加工原料Dの上面全体を連続的にスポット照射する信号が送られ、制御装置24のタイマー回路に設定された一定の時間、掃引動作が棒状の被加工原料Dの上面全体に対して行われる。即ち、被加工原料Dの長手方向の長軸を回転軸として回転している棒状の被加工原料Dの表面全面に、一対のローラ41a,41bの回転に同期してビームスキャナ23によりコヒーレント光31が掃引され、照射される仕組みである。ただし、図1に示した模式図は、説明の便宜上の例示に過ぎないことに留意すべきである。
コヒーレント光31は連続スポット照射方式であり、スポット径は3〜10mmである。コヒーレント光31の照射時間は、例えば、大根を一対のローラ41a,41bで回しながら、まんべんなく表面にコヒーレント光31を掃引照射する場合、1スポット当たりの照射時間は0.1〜0.5秒程度で十分であるため、大根1本当たり2〜3分の照射時間で十分である。従来であれば乾燥期間の数時間や、数日間の間、常に遠赤外領域の非コヒーレント光(自然放出光)の照射が必要であった。第1の実施形態に係る前処理装置によれば、誘導放出に固有なコヒーレント光31を用いることによりエネルギー密度を高めることができるので、大根1本当たり数分程度の掃引照射で十分な前処理となるのである。
第1の実施形態に係る加工農産物の後工程で実施される乾燥方法は、天日干しや温風・熱風乾燥、真空凍結乾燥等、様々な乾燥方法を採用することができる。第1の実施形態においては、比較的手軽に行える天日干しを後工程とし、対象とする根菜を加工処理した。後工程の天日干し期間は2週間であったが、1週間程度でもよく、2週間より長い期間でもよい。後工程としての1週間の天日干しにより、第1の実施形態に係る加工農産物においては約40%の重量減少率が確認できた。
根菜の外皮部分は外皮(表皮)の内側の果肉部分に比し、1%程度植物繊維が多いとされている。大根の表皮のすぐ内側には維管束の道管がリング状に並んでいる。第1の実施形態に係る加工処理の前工程でコヒーレント光31を掃引照射することで、道管に至るまでの根菜の外皮部分の細胞が破損若しくは損傷される。大根等のアブラナ科の植物、更にはホウセンカ、アサガオ、キク、タンポポなどは双子葉類の植物であり、双子葉類の植物の維管束は並んでいるが、トウモロコシ、イネ、ユリなどの単子葉類の維管束は散らばって、放射状に散在している。双子葉植物の根の維管束は形成層があり肥大成長するが、単子葉植物の根には形成層が無く肥大成長しない。根菜が、肥大成長するには外へ外へと太くなる必要があるので、環状に維管束が配置される。
そもそも、内側の果肉部分の水分が放散しないように保護することが植物の外皮の主要な機能であるので、植物の外皮にコヒーレント光31を掃引照射することにより、外皮の表面に細胞が損傷したレーザーコート層が生じ、内側の果肉部分の水分が放散しやすくなり、乾燥が促進される。
第1の実施形態に係る加工農産物の加工処理によれば、道管に至るまでの根菜の外皮部分が、コヒーレント光31の掃引照射によって損傷しているので乾燥し易い構造となり、7日間天日干しした後の重量減少率は40%であり、9日間天日干しした後の重量減少率は約53%であった。前処理を行わずに乾燥処理のみ行った比較試料においては、7日間天日干しした後の重量減少率は32%であり、9日間天日干しした後の重量減少率は約41%であった。第1の実施形態に係る加工農産物においては、比較試料と比較して、9日間天日干しした場合、重量減少率が約12%高かった。すなわち、前処理を行うことで、根菜の外皮部分を有効に損傷させ、より早く水分を除去することができる。ひいては、天日干しの乾燥時間が短縮でき、生産効率が上がる。
第1の実施形態に係る加工農産物及び比較試料の官能試験においては、第1の実施形態に係る加工農産物の方が、甘味がより強く感じられ、苦味と辛味がより抑えられるという結果となった。第1の実施形態に係る農産物の加工方法を用いることで、素材本来の風味を落とさず、甘味や旨味成分(アミノ酸)を増加させた高付加価値の棒状の根菜を加工処理することができる。
第1の実施形態に係る加工農産物では、天日干し2週間後、棒状の根菜の表面にカビ(黒点)はほとんど観察されなかった。一方の比較試料においては、根菜の表面の面積の30〜50%程度にカビ(黒点)が生じたことが目視で確認できた。カビ(黒点)は素材の風味や衛生面で影響を与えるため、抑制することが好ましいものである。
第1の実施形態に係る農産物の加工処理における乾燥処理工程は、天日干し以外の温風・熱風乾燥等を採用することができる。第1の実施形態に係る農産物の加工処理においては、外皮の細胞が損傷してより短時間で水分を除去することができるので、従来の方法では性質上水分が除去しにくいような棒状の根菜、又は棒状の根菜を乾燥後カット、若しくは乾燥直前にカットして、水分除去が難しいとされる大きめで厚みのあるカット根菜を加工することができる。
第1の実施形態に係る前処理装置は、乾燥機構を設けていないので、従来の遠赤外線発生乾燥装置より小さく、場所をとらない。又、コヒーレント光31の照射時間が短いため、ランニングコストを低くすることができる。
第1の実施形態に係る農産物の加工方法において、乾燥処理工程に天日干しを採用した際には、天候に左右されるために品質管理が困難である、乾燥に時間がかかる、乾燥状態が均質に仕上がらない等の天日干しが有する数々のデメリットを緩和又は解消することができる利点がある。
第1の実施形態に係る加工農産物の一例である大根は、漬物に好適に用いることができる。通常、漬物に用いる根菜は、水抜きのために大量の塩で塩漬けした後、大量の水で塩抜きをしなければならないが、第1の実施形態に係る農産物の加工方法を用いることで、水分を抜くための塩分処理を一部又はすべて省略することができるため、脱塩処理の手間も一部又はすべて省くことができ、又、過剰な塩分摂取による健康被害の心配もほとんどなくなる。
(アブラナ科の根菜のアミノ酸量)
前処理工程及びその後の乾燥処理工程を経て得られた加工農産物は、未処理の標準試料と比較して甘味系アミノ酸の量が多い加工農産物である。又、未処理の標準試料と比較して旨味系アミノ酸の量が多い加工農産物である。
一般的に甘味系アミノ酸には、グリシン、アラニン、スレオニン、セリン、プロリンが分類される。これらのアミノ酸の含有量が多いほど、人間は甘味を強く感じる。一般的に旨味系アミノ酸には、グルタミン酸、アスパラギン酸が分類される。これらのアミノ酸の含有量が多いほど、人間は旨味を強く感じる。
第1の実施形態に係る加工農産物の一例として、アブラナ科ダイコン属の根菜であるダイコン(大根)のアミノ酸量をアミノ酸分析法により測定した。アミノ酸分析法に供する試料として、未処理の標準試料である大根、前処理を行わずに乾燥処理のみ行った比較試料である大根及び第1の実施形態に係る加工農産物である大根を用意し、それぞれフリーズドライ処置を行い、その後粉砕した。粉砕物をそれぞれエタノールに浸漬し、遠心分離し、分離した液体についてアミノ酸分析を行った。アミノ酸分析は、超高速液体クロマトグラフ(ACQUITY UPLC H−Class,ウォーターズ社製)、シングル四重極質量検出器(SQD2,ウォーターズ社製)を用いて行った。
比較試料としては、標準試料と同一サイズ、同一日に採取された同一品種の大根を選択し、この選択された大根に2週間天日干しを行った直後の大根を用いた。第1の実施形態に係る加工農産物としては、標準試料及び比較試料と同一サイズ、同一日に採取された同一品種の大根を選択し、この選択された大根にコヒーレント光31を掃引照射し、その後2週間天日干しを行った直後の大根を用いた。
図3のグラフの縦軸は物質の乾燥重量100g当たりのアミノ酸量(mg)を示し、図3のグラフの横軸は甘味系アミノ酸及び旨味系アミノ酸の種類を示す。甘味系アミノ酸として、図3のグラフの左側からセリン、グリシン、スレオニン、アラニン、プロリン、リシンを表記し、旨味系アミノ酸として、図3のグラフの左側からグルタミン酸、アスパラギン酸を表記した。図3中の左下がりの斜線のAの棒グラフは未処理の標準試料である大根のアミノ酸量を示し、図3中の白抜きのBの棒グラフは前処理を行わずに乾燥処理のみ行った比較試料である大根のアミノ酸量を示し、図3中の右下がりの斜線のCの棒グラフは第1の実施形態に係る加工農産物である大根のアミノ酸量を示す。
図3における標準試料のアミノ酸量(mg/乾燥重量100g当たり)はそれぞれ、セリンが60.4、グリシンが52.9、スレオニンが95.8、アラニンが139.5、プロリンが56.3、リシンが44.2、グルタミン酸が7.9、アスパラギン酸が31.1である。
図3における前処理を行わずに乾燥処理のみ行った比較試料のアミノ酸量(mg/乾燥重量100g当たり)はそれぞれ、セリンが73.9、グリシンが24.8、スレオニンが119.4、アラニンが150.0、プロリンが185.9、リシンが57.0、グルタミン酸が19.2、アスパラギン酸が42.3である。前処理を行わずに乾燥処理のみ行った比較試料は、標準試料と比較して、概ね、甘味系アミノ酸及び旨味系アミノ酸を多く含有している。
図3における第1の実施形態に係る加工農産物の一例となる大根のアミノ酸量(mg/乾燥重量100g当たり)はそれぞれ、セリンが118.5、グリシンが56.0、スレオニンが152.3、アラニンが199.5、プロリンが282.9、リシンが61.8、グルタミン酸が27.1、アスパラギン酸が78.3である。第1の実施形態に係る加工農産物は、標準試料及び比較試料と比較して、甘味系アミノ酸及び旨味系アミノ酸を多く含有している。
第1の実施形態に係る加工農産物の一例となる大根では、標準試料と比較して、セリンが1.96倍、プロリンが5.03倍多かった。セリンには皮膚の老化防止などの効果があるとされ、プロリンは、表皮細胞増殖促進活性、コラーゲン合成促進活性、角質層保湿作用などの生理活性を示し、皮膚に潤いをもたらす天然保湿成分とされている。そのため、第1の実施形態に係る加工農産物の一例となる大根は、標準試料より、皮膚の老化防止や保湿、肌質改善等の効果が高い。
第1の実施形態に係る加工農産物の一例となる大根では、標準試料と比較して、グルタミン酸が3.43倍、アスパラギン酸が2.52倍多かった。グルタミン酸は旨味成分の主要物質であると共に、疲労物質であるアンモニアの排出や脳の活性化、美肌効果等の健康維持に寄与するアミノ酸である。アスパラギン酸も旨味成分であると共に、エネルギー源として最も利用され易いアミノ酸のひとつである。そのため、第1の実施形態に係る加工農産物の一例となる大根は、標準試料より、活力増強、疲労回復、健康維持等の効果が高い。
(加工農産物の断面構造)
図4は、長手方向に沿った長軸に直交するように、5mmにスライスした標準試料の断面を顕微鏡で観察した拡大写真である。図4においては、図の左側が標準試料の内部側、図の右側が標準試料の表面側である。図4のG1の矢印の先には標準試料の表面の溝(シワ)をわずかに確認できた。
図5は、前処理工程において熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を照射パワー20Wで掃引照射して得られた第1の実施形態に係る加工農産物の一例となる大根の顕微鏡写真であり、スライス等のサンプル条件及び図の見方は図4における標準試料と同様である。図5のG2の矢印の先には第1の実施形態に係る加工農産物の表面の溝があり、図4におけるG1の溝より深く刻まれている。
図6は、前処理工程においてコヒーレント光31を照射パワー40Wで掃引照射して得られた第1の実施形態に係る加工農産物(大根)の顕微鏡写真であり、スライス等のサンプル条件及び図の見方は図4における標準試料と同様である。図6のG3の矢印の先には第1の実施形態に係る加工農産物の表面の溝があり、図4におけるG1及び図5におけるG2の溝より深く刻まれている。
図7は、前処理工程においてコヒーレント光31を照射パワー80Wで掃引照射して得られた第1の実施形態に係る加工農産物(大根)の顕微鏡写真であり、スライス等のサンプル条件及び図の見方は図4における標準試料と同様である。図7のG4の矢印の先には第1の実施形態に係る加工農産物の表面の溝があり、図4におけるG1、図5におけるG2、図6におけるG3の溝より深く刻まれている。図7におけるG4の溝の深さは、図示は省略するが、0.7〜1.0mm程度である。図4〜図7により、照射パワーが大きくなるにつれて、溝が深くなることが分かった。一般に、乾燥された加工農産物は表面に溝(シワ)が生じるが、乾燥度合いが増すほど、溝が多く、且つ、深くなる傾向がある。図4〜図7は、コヒーレント光31の照射パワーが大きくなるほど、加工農産物(大根)の乾燥度合いが増すということを示唆するものである。
又、第1の実施形態に係る加工農産物は甘味成分及び旨味成分が大幅に増した棒状の根菜であるため、第1の実施形態に係る加工農産物を用いて漬物を生産すると、塩分や合成アミノ酸、保存料等の化学添加物を最小限に抑えることができ、生産コストを下げる効果がある。
第1の実施形態に係る農産物の加工方法においては、図2における一対のローラ41a,41bに下面を挟まれた棒状の被加工原料Dが自在に回転できる限り、例えば被加工原料Dが大根であれば、大根の葉を取り除く必要がない。前処理を施さない状態から特別な下処理をせずに、大根に葉がある状態でも前処理工程及びその後の乾燥処理工程を進めることができるため、非常に簡便な前処理を施した棒状の農産物の加工方法である。ただし消費者や流通市場の要望等を考慮して、葉の部分を含む大根の頭部や先端部の細い箇所を除去して、円柱に近い形状の被加工原料Dの構造としてもよいことは勿論である。
(第2の実施形態)
重複記載を避けるため図8(a)及び(b)では図示を省略しているが、第1の実施形態に係る前処理装置の説明で図1に示した構造と同様に、第2の実施形態で用いる前処理装置は、熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を発生させる照射装置22と、照射装置22が出射したコヒーレント光31を球状の被加工原料Dxの表面を掃引しながら被加工原料Dxの表面全面に連続的にスポット照射するビームスキャナ23と、照射装置22及びビームスキャナ23を制御するための制御装置24を当然に備えている。第2の実施形態で用いる前処理装置は、図8(a)に示す表面方位制御装置が、カブ、桜島大根、聖護院大根、黒丸大根、青皮紅心等のカブ類の根菜を球状の被加工原料Dxとして、被加工原料Dxを回転させるように構成されている。大根はアブラナ科アブラナ属であるが、カブ(蕪)はアブラナ科アブラナ属の越年草である。
図8(a)に示す前処理装置に用いる表面方位制御装置は、直交配置された長方形の開口部が4個設けられた半球状の反射鏡43を備えている。反射鏡43は熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を効率よく反射するようにアルミニウム(Al)や金(Au)等の金属膜が表面に設けられている。金属膜の代わりに誘電体多層膜で、熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を反射させるようにしてもよい。図8(a)に示す前処理装置は、4個の開口部から頂部がそれぞれ露出する4本のローラ41p,41q,41r,41sを更に備えている。
半球状の反射鏡43に設けられた4個の開口部から4本のローラ41p,41q,41r,41sの頂部がそれぞれ露出することにより、4本のローラ41p,41q,41r,41sのそれぞれの頂部が球状の被加工原料Dxに接触し、球状の被加工原料Dxを回転させる。半球状の反射鏡43に設けられた4個の開口部から露出する4本のローラ41p,41q,41r,41sはそれぞれステップモータ等の回転駆動機構(アクチュエータ)を備えているが図示を省略している。図8(b)には図8(a)に示した4本のローラ41p,41q,41r,41sの内の、一部のローラ41p,41rを示している。
熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を掃引照射する際には、図1に示した制御装置24から照射装置22に、設定された波長、出力等のコヒーレント光31を発生するように信号が送られ、制御装置24からビームスキャナ23に設定された掃引速度および揺れ角度等で、照射装置22から出射されたコヒーレント光31を球状の被加工原料Dxの上面全体にスキャンする。制御装置24から4個の回転駆動機構にも駆動信号が送られ、回転駆動機構がそれぞれ対応する4本のローラ41p,41q,41r,41sを回転駆動させることにより、ローラ41p,41q,41r,41sに下面を接触した球状の被加工原料Dxが、被加工原料Dxの中部に定義される軸を回転軸として回転する。
3次元ユークリッド空間R3における球面座標系(r,θ, φ)においては、1個の動径rと2個の偏角 θ, φ によって極座標が定義される。本発明の第2実施形態に係る表面方位制御装置の被加工原料Dxの半径(直径)は農産物であるのでバラつき、又多くの場合真球ではないが、予め選別しておけば、一定範囲の値に決定できる。加工原料Dxの半径(直径)のバラつきを考慮して4本のローラ41p,41q,41r,41sの高さを可変にするようにしてもよい。
いずれにせよ、表面方位制御装置では球面座標系(r,θ, φ)の動径r=一定と近似して、コヒーレント光31が掃引照射される表面位置の方位を、4本のローラ41p,41q,41r,41sの回転で制御する。球面座標系(r,θ, φ)において、動径rを固定し、2個の偏角θ, φを制御すれば、方位ベクトルの方向が決定できる。本発明の第2実施形態に係る表面方位制御装置はこの方位ベクトルの方向である「方位」を、被加工原料Dxの中部に定義される軸を回転軸として任意の方向に制御する。
制御装置24から照射装置22に、被加工原料Dxの上面全体を連続的にスポット照射する信号が送られ、制御装置24のタイマー回路に設定された一定の時間、掃引動作が球状の被加工原料Dxの上面全体に対して行われる。即ち、回転している球状の被加工原料Dxの表面全面に、4本のローラ41p,41q,41r,41sの回転に同期してビームスキャナ23によりコヒーレント光31が照射される仕組みである。ただし、図8(a)及び図8(b)に示した模式図は、説明の便宜上の例示に過ぎないことに留意すべきである。
コヒーレント光31は連続スポット照射方式であり、スポット径は3〜10mmである。コヒーレント光31の照射時間は、例えば、球状の根菜を直交配置された4本のローラ41p,41q,41r,41sで回しながら、まんべんなく表面にコヒーレント光31を照射する場合、1スポット当たりの照射時間は0.1〜0.5秒程度で十分であるため、球状の根菜1個当たり2〜3分の照射時間で十分である。従来であれば乾燥期間の数時間や、数日間の間、常に遠赤外領域の非コヒーレント光の照射が必要であった。第2の実施形態に係る前処理装置によれば、コヒーレント光31を用いることによりエネルギー密度を高めることができるので、球状の根菜1個当たり数分程度の照射で十分な前処理となるのである。
第2の実施形態に係る農産物の加工処理における乾燥処理工程は、天日干し以外の温風・熱風乾燥等を採用することができる。第2の実施形態に係る農産物の加工処理においては、より短時間で水分を除去することができるので、従来の方法では性質上水分が除去しにくいような球状の根菜、又は水分除去が難しい大きめで厚みのあるカット根菜も乾燥対象とすることができる。
第2の実施形態に係る前処理装置は、乾燥機構を設けていないので、従来の遠赤外線発生乾燥装置より小さく、場所をとらない。又、コヒーレント光31の照射時間が短いため、ランニングコストを低くすることができる。
第2の実施形態に係る農産物の加工方法において、乾燥処理工程に天日干しを採用した際には、天候に左右されるために品質管理が困難である、乾燥に時間がかかる、乾燥状態が均質に仕上がらない等の天日干しが有する数々のデメリットを緩和又は解消することができる利点がある。
第2の実施形態に係る加工農産物は、漬物に好適に用いることができる。通常、漬物に用いる根菜は、水抜きのために大量の塩で塩漬けした後、大量の水で塩抜きをしなければならないが、第2の実施形態に係る農産物の加工方法を用いることで、水分を抜くための塩分処理を一部又はすべて省略することができるため、脱塩処理の手間も一部又はすべて省くことができ、又、過剰な塩分摂取による健康被害の心配もほとんどなくなる。
第2の実施形態に係る農産物の加工方法においては、4本のローラ41p,41q,41r,41sが下面に接触して球状の被加工原料Dxを自在に回転させることができる限り、例えば被加工原料Dxがカブ類等の球状の根菜であれば、球状の根菜の葉を取り除く必要がない。前処理を施さない状態から特別な下処理をせずに、球状の根菜に葉がある状態でも前処理工程及びその後の乾燥処理工程を進めることができるため、非常に簡便な前処理を施した球状の農産物の加工方法である。
(第2実施形態の変形例)
図8では4本のローラ41p,41q,41r,41sを直交配置した表面方位制御装置の構成を例示したが、黒丸大根やカブ等の球状の被加工原料Dxの極座標を制御し、被加工原料Dxに対するコヒーレント光31の照射位置を制御するには3つのローラがあればよい。図9(a)及び図9(b)に示す本発明の第2実施形態の変形例に係る表面方位制御装置は、図8よりも簡潔な構成で、球状の被加工原料Dxの極座標を制御し、被加工原料Dxに対するコヒーレント光31の照射位置を決定することができる。
図9(a)及び図9(b)に示すように、第2実施形態の変形例に係る表面方位制御装置は、台座54と、台座54に搭載された反射板50と、反射板50の開口部に保持された3つの球状のローラ41u,41v,41wと、ローラ41u〜41wの回転をそれぞれ駆動する駆動板53と、駆動板53を移動させるアクチュエータ(図示省略。)と、アクチュエータの動作を制御する制御装置24(図1参照。)を備えている。図8(a)及び(b)と同様に、反射板50の表面は熱赤外領域の波長のコヒーレント光31を効率よく反射する金属膜や誘電体多層膜で構成すればよい。
台座54は、平板状又はブロック状の部材であり、台座54の上面(図9(b)中で上側の面)の駆動板53が搭載される駆動板搭載領域は、平滑な面となっている。又、台座54は、台座54の上面の駆動板搭載領域が水平面となるように設置されている。図9(b)では反射板50を、台座54よりも面積の小さい平板状の部材で例示しているが、反射板50は一定の平板領域を含めば、必ずしもその全体が平板状である必要はない。図9(b)に例示した構造では反射板50は、4本の固定具51a,51b,51c,51dを用いて、台座54に固定されている。又、反射板50は、台座54との間に駆動板53の移動空間となる隙間を設定するように、台座54に固定されている。第2実施形態の変形例では、一例として、反射板50を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂を用いて形成した場合について説明する。
又、図9(a)に示すように反射板50の中央近傍において、一定ピッチで円周上に定義された3箇所には、同一の形状、同一の内径寸法の円形貫通孔が貫通している。反射板50に設けられた円形貫通孔のそれぞれの内径(直径)の等しい真円であるが、図9(b)において視認できる反射板50の厚さは、円形貫通孔の内径よりも小さく、円形貫通孔のそれぞれは、反射板50の厚さ方向(図9(b)中では「上下方向」と示す)に反射板50を貫通している。
又、円形貫通孔は、平面視で(台座54の主面に垂直方向となる厚さ方向から見て)一定ピッチで円周上に配列され、それぞれの中心点が、正三角形の頂点と重なっている。すなわち、円形貫通孔のそれぞれの円の中心点は、平面視で円周上に等間隔に配置されており、円形貫通孔の中心点を結ぶ3本の直線は、互いのなす角度が60°となっている。
3つのローラ41u,41v,41wは、例えば、金属、半導体、水晶、セラミックス等を用いて、同一の形状、同一寸法の真球に形成されている。各ローラ41u〜41wの外径は、反射板50の厚さよりも大きい値である。更に、第1のローラ41uの外径は、第1の円形貫通孔の内径よりも極僅かに小さいが、第1のローラ41uの外径と同定度な値で、第1のローラ41uは第1の円形貫通孔と、第1のローラ41uの外周で近似的な線接触をしている。又、第2のローラ41vの外径は、第2の円形貫通孔の内径よりも極僅かに小さいが、第2のローラ41vの外径と同定度な値で、第2のローラ41vは第2の円形貫通孔と、第2のローラ41vの外周で近似的な線接触をしている。同様に第3のローラ41wの外径は、第3の円形貫通孔の内径よりも極僅かに小さいが、第3のローラ41wの外径と同定度な値で、第3のローラ41wは第3の円形貫通孔と、第3のローラ41wの外周で近似的な線接触をしている。
各ローラ41u,41v,41wは、対応する円形貫通孔の内部で、それぞれ回転を自在に可能なように、平行移動(水平移動)する範囲を制限されて収容されている。図9(a)及び図9(b)に示したように、反射板50の上面から突出している各ローラ41u〜41wのそれぞれの上部分には、球状の被加工原料Dxが3点接触で載せられている。球状の被加工原料Dxは、3つのローラ41u〜41wに載せられた状態でローラ41u〜41wと3点接触で転がり接触しており、ローラ41u〜41wの回転に伴って回転し、被加工原料Dxの内部に定義される極座標を変化させる。被加工原料Dxの外径は、農産物により決まる任意の値であり、3つのローラ41u〜41wが、円形貫通孔に収容された状態で被加工原料Dxと転がり接触できる大きさであればよい。
図9(a)から分かるように、駆動板53は、台座54よりも面積の小さい板状(平板状)の部材であり、台座54と反射板50との間の空間に挿入されている。図9(a)中に示すように、駆動板53は、平面視で、反射板50のうち、固定具51a〜51dを取り付けた位置とは重ならない位置に配置され、X−Y平面内での2次元の精密移動を可能にしている。精密移動を実現するため、駆動板53は、台座54のうち反射板50と対向する面(台座54の上面)と接触又は非接触に対向している。位置制御を高精度にする場合は、リニアモータカーと同様な磁気浮上等により、駆動板53を台座54に対して非接触となるようにして、台座54に対する駆動板53の摩擦係数をゼロに設定すればよい。
駆動板53の上面には、ゴムシート52のようなローラ41u〜41wに対する動摩擦係数の大きな素材を設けておくことが好ましい。すなわち、ゴムシート52は、載せられた3つのローラ41u〜41wのそれぞれと大きな動摩擦係数で転がり接触し、駆動板53の移動とローラ41u〜41wの回転の精密な対応関係が実現できる。したがって、台座54と反射板50との間の水平位置で、駆動板53が2次元移動することにより、駆動板53に接触したローラ41u〜41wのそれぞれの回転を精密に制御して駆動することが可能である。
このように、第2実施形態の変形例に係る表面方位制御装置によれば、動摩擦係数を大きくすることにより、駆動板53の移動に伴って3つのローラ41u〜41wが回転する際に、駆動板53に対するローラ41u〜41wのスリップを抑制することが可能となる。これにより、3つのローラ41u〜41wを回転させる制御を行うことが可能となり、被加工原料Dxの照射位置をまんべんなく変更するように、被加工原料Dxを回転させる制御を行うことが可能となる。
例えば、黒丸大根やカブ等を直交配置された3個のローラ41u,41v,41wで回しながら、まんべんなく表面にコヒーレント光31を照射する場合、黒丸大根やカブ等1個当たり2〜3分の照射時間で十分である。従来であれば乾燥期間の数時間や、数日間の間、常に遠赤外領域の非コヒーレント光の照射が必要であった。第2の実施形態の変形例に係る表面方位制御装置を用いた前処理装置によれば、エネルギー密度が高いコヒーレント光31を用いているので、黒丸大根やカブ等1個当たり数分程度の照射で十分な前処理となる。
第2の実施形態の変形例に係る農産物の加工方法においては、3個のローラ41u,41v,41wが下面に接触して球状の被加工原料Dxを自在に回転させることができる限り、例えば被加工原料Dxがカブ類等の球状の根菜であれば、球状の根菜の葉を取り除く必要がない。前処理を施さない状態から特別な下処理をせずに、根菜に葉がある状態でも前処理工程及びその後の乾燥処理工程を進めることができるため、非常に簡便な前処理を施した球状の農産物の加工方法である。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば食品工場や農業協同組合で、大量に加工処理を行うためには、図10に示すように、搬送装置(ベルトコンベア)21を用意し、搬送装置21の搭載面25に複数の棒状の被加工原料D〜Dを搭載して、自動的な搬送処理で逐次処理をすればよい。即ち、図10に示す前処理装置は、搭載面25に載置された棒状の被加工原料D〜DをAの矢印方向へ移動させる搬送装置21と、搬送装置21の上部に位置し、コヒーレント光31を発生させる照射装置22と、搬送装置21の上部に位置し、照射装置22が出射したコヒーレント光31を、複数本の棒状の被加工原料D〜Dの移動方向Aと交差する方向に掃引しながら複数本の棒状の被加工原料D〜Dのそれぞれの表面全面に連続的にスポット照射するビームスキャナ23と、照射装置22及びビームスキャナ23を制御するための制御装置24を含む。
複数本の棒状の被加工原料D〜Dのそれぞれが所定の位置に来たことを、コヒーレント光31の照射前に非接触で検出するための検出手段が別途設けられていてもよい。コヒーレント光31を照射する際には、制御装置24から照射装置22に、設定された波長、出力等のコヒーレント光31を発生するように信号が送られ、制御装置24からビームスキャナ23に設定された掃引速度および揺れ角度等で、照射装置22から出射されたコヒーレント光31を複数本の棒状の被加工原料D〜Dの移動方向Aと交差する方向に掃引しながら、複数本の棒状の被加工原料D〜Dの表面全面に連続的にスポット照射する信号が送られ、制御装置24のタイマー回路に設定された一定の時間、掃引動作が複数本の棒状の被加工原料D〜Dに対して行われる。
図10に示した前処理装置は、複数本の棒状の被加工原料D〜Dが搬送装置21により駆動されて移動する。移動後に、固定されたビームスキャナ23によりコヒーレント光31が、複数本の棒状の被加工原料D〜Dに照射される仕組みであるが例示に過ぎない。固定された複数本の棒状の被加工原料D〜Dに対してビームスキャナ23が動くような仕組みであってもよい。第2の実施形態で説明した球状の被加工原料の場合も、図10と同様に、ベルトコンベア等の搬送装置を用意し、搬送装置に複数の球状の被加工原料を搭載し、自動的な搬送処理で逐次処理をすれば大量に加工処理を行うことができる。
第1の実施形態に係る棒状の被加工原料として大根を例示したが、被加工原料については、例えばニンジンやゴボウ等の大根以外の棒状の根菜やキュウリ等の棒状の野菜を採用することができる。キュウリ等のウリ科の植物は双子葉類であり、コヒーレント光31の外皮への照射による外皮の細胞を損傷して乾燥を促進する効果が大きい。図11は、長手方向に沿った長軸に直交するように、約5mmにスライスした未処理の標準試料であるゴーヤ(ツルレイシ、ニガウリ)の断面を顕微鏡で観察した拡大写真である。図11においては、A部分が表皮(外皮)や皮層部分であり、B部分が形成層である。ゴーヤは双子葉類であるので、形成層の外側には師管、形成層の内側には道管があり、師管と道管とで維管束を形成する。図12は、熱赤外領域の波長のコヒーレント光を照射パワー20Wで掃引照射して得られたゴーヤの顕微鏡写真であり、スライス等のサンプル条件及び図の見方は図11における標準試料と同様である。図12においては、B部分が形成層であり、C部分は図11におけるA部分に対応する部位である。C部分はコヒーレント光の照射により損傷を受けた外皮や皮層部分であり、図11におけるA部分とは明らかに状態が異なっていることが分かる。図11及び12は維管束にかからない部分の断面であるが、図12によればコヒーレント光の照射による損傷は形成層まで達しているので、少なくとも形成層の外側に存在する師管も同様に損傷を受けていることが推測される。
又、ブロッコリー(緑ハナヤサイ)は、大根と同じアブラナ科の植物であり、双子葉類の植物の維管束は形成層に沿って環状に並んでいるので、コヒーレント光31の照射による外皮の細胞の損傷が有効になる。よって、根や実に限らず、ブロッコリー等の双子葉類の植物の枝を柱状にして棒状の被加工原料としてもよい。
同様に、第2の実施形態に係る球状の被加工原料としてカブ類等の球状の根菜を例示したが、被加工原料として、リンゴ等のバラ科の植物やマンゴー等のウルシ科の植物の果物も、双子葉類であり、第2の実施形態に係る球状の被加工原料として採用することができる。
例えば、リンゴの雌しべの維管束は1本につき3個に分岐して,心皮網状維管束を形成している。心皮網状維管束の部分は硬く種子を保護しているため食べられない。リンゴの皮むきしたときに楔形にカマドを削るのはそのためである。果実の中で目立つのは萼へ通じる太い維管束であるが、リンゴの外皮の近くにも維管束があるので、コヒーレント光31で外皮の維管束までの細胞を損傷すれば、大根と同様に果肉の乾燥を速め、乾燥フルーツ(乾燥リンゴ)を製造することができる。
又、前処理工程で被加工原料に熱赤外線領域の波長のコヒーレント光を照射する前に、香味料や香辛料を被加工原料の外皮表面に塗布しておくことで、コヒーレント光の照射によりレーザーコート層に味が染み込み、風味が増大する効果がある。香味料としては、柚子や山椒、紫蘇、山葵、生姜、胡麻、唐辛子、葱等が原材料として挙げられ、固体・液体等の形態は問わない。香辛料としては、胡椒、唐辛子、生姜、シナモン(肉桂)、カルダモン、黒芥子、白芥子、山葵等が原材料として挙げられ、同様に固体・液体等の形態は問わない。被加工原料に塗布する香味料や香辛料は、まんべんなく塗布可能な観点からは、好ましくは抽出油や抽出水溶液等の液体の状態が好ましい。香味料や香辛料の塗布後にコヒーレント光の照射を行うことで、塗布から染み込ませる時間を置かなくても香味料や香辛料の風味を被加工原料に染み込ませることが可能となる。
香味料や香辛料の塗布及びコヒーレント光の照射は、乾燥処理の後に行ってもよい。被加工原料に対して、第1又は第2の実施形態に係る加工方法の前処理及び乾燥処理を行い、得られた加工農産物に香味料や香辛料の塗布及びコヒーレント光の再照射を行うのである。前処理工程で香味料や香辛料の塗布を行うパターンでは、その後の乾燥処理により香味料や香辛料の風味は一部が失われてしまう。一方で、乾燥処理の後に香味料や香辛料の塗布及びコヒーレント光の再照射を行うパターンでは、処理直後から加工農産物にパッキング等施して、ほとんど風味を損ねることなく商品として流通させることができる利点がある。
又、被加工原料に対して、香味料や香辛料の塗布(味付け処理)を行い、コヒーレント光の照射を行った段階、即ち乾燥されていない段階であっても、被加工原料の外皮の表面に味付けが為されており、食味を変化させることが可能である。味付け処理の前にコヒーレント光の照射を行い、味付け処理後に再度コヒーレント光の照射を行う形式でもよい。2度コヒーレント光の照射を行う方が、より味が染み込みやすい。例えばウリ科植物であるゴーヤの場合、1度目のコヒーレント光照射の後、塩水や浅漬け用調味液に10分間程度浸し、2度目のコヒーレント光照射を行ったところ、官能試験においては、処理前より苦味が減少し、旨味が増大した。即ち、コヒーレント光照射と味付け処理のみで、短時間で被加工原料に旨味等のコート層を形成することが可能である。
又、第1及び第2の実施形態で説明したそれぞれの技術的思想の一部を適宜、互いに組み合わせることも可能である。例えば、第2の実施形態では半球状の反射鏡43に4本のローラ41p,41q,41r,41sを設けた表面方位制御装置の構造を例示したが、半楕円球若しくは半長円球の反射鏡とし、第1の実施形態と同様に、反射鏡の長軸を挟むように2本のローラを設けてもよい。半楕円球若しくは半長円球の反射鏡に対し、第1の実施形態の2本のローラを採用することにより、ラクビーボール状等や不定形の芋類も、まんべんなくコヒーレント光31で照射することができる。
ただし、ジャガイモ等のナス科の植物、サツマイモ等のヒルガオ科の植物は双子葉類であるが、サトイモ・ハスイモ等のサトイモ科の植物、ニンニク・ヤマユリ・オニユリ等のユリ科の植物、ヤマイモ(ナガイモ・ツクネイモなど)・ジネンジョ等のヤマノイモ科の植物、ミョウガ・ショウガ等のショウガ科の植物は単子葉類である。単子葉類の植物の維管束が散らばっているので、コヒーレント光31の外皮への照射による乾燥促進効果が双子葉類の植物の場合ほど顕著ではないことに留意すべきである。
更に、第2の実施形態では半球状の反射鏡43に4本のローラ41p,41q,41r,41sを設けた表面方位制御装置の構造を示したが例示に過ぎない。例えば、半球状又は半楕円球若しくは半長円球の反射鏡の底部に1個の開口部を設け、この開口部に頂部が露出する1本のローラで、被加工原料を回転するようにしてもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当と解釈しうる、特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
21…搬送装置、22…照射装置、23…ビームスキャナ、24…制御装置、25…搭載面、31…コヒーレント光、41a,41b, 41p,41q,41r,41s, 41u,41v,41w…ローラ、42a,42b…回転駆動機構、43…反射鏡、50…反射板、51a,51b,51c,51d…固定具、52…ゴムシート、53…駆動板、54…台座


Claims (13)

  1. 熱赤外線領域の波長のコヒーレント光を外皮に照射し前記外皮の細胞を損傷させる前処理と、損傷した前記外皮を経由して、前記外皮の内側の果肉部の水分を放散させる乾燥処理を含む手順により得られる、アブラナ科の植物を被加工原料とする加工農産物であって、
    前記前処理を施す前の前記被加工原料の成分と比較して、甘味系アミノ酸及び旨味系アミノ酸の量が多いことを特徴とする加工農産物。
  2. 前記甘味系アミノ酸がセリン及びプロリンであり、前記セリン及び前記プロリンの量がそれぞれ前記被加工原料の成分と比較して1.8倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の加工農産物。
  3. 前記プロリンの量が前記被加工原料の成分と比較して4.0倍以上であることを特徴とする、請求項2に記載の加工農産物。
  4. 前記旨味系アミノ酸がグルタミン酸及びアスパラギン酸であり、前記グルタミン酸及び前記アスパラギン酸の量がそれぞれ前記被加工原料の成分と比較して2.0倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の加工農産物。
  5. 前記グルタミン酸の量が前記被加工原料の成分と比較して3.0倍以上であることを特徴とする、請求項4に記載の加工農産物。
  6. 熱赤外線領域の波長のコヒーレント光を、被加工原料の外皮に照射し、前記外皮の細胞を損傷させる前処理工程と、
    損傷した前記外皮を経由して、前記外皮の内側の果肉部の水分を放散させる乾燥処理工程と、
    を含むことを特徴とする、農産物の加工方法。
  7. 前記乾燥処理工程における乾燥方法が天日干しであることを特徴とする、請求項6に記載の農産物の加工方法。
  8. 前記被加工原料が双子葉類の植物であることを特徴とする請求項6又は7に記載の農産物の加工方法。
  9. 前記前処理工程において、前記コヒーレント光の照射の前に、香味料又は香辛料を前記外皮に塗布することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の農産物の加工方法。
  10. 前記乾燥処理工程の後に、香味料又は香辛料を前記外皮に塗布し、前記コヒーレント光を前記外皮に再度照射することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の農産物の加工方法。
  11. 熱赤外領域の波長のコヒーレント光を発生させる照射装置と、
    前記コヒーレント光を、被加工原料の表面に対して掃引させるビームスキャナと、
    前記被加工原料を、前記被加工原料中に定義される軸を回転軸として回転させ、前記コヒーレント光が照射される前記被加工原料の表面方位を制御する表面方位制御装置と、
    を備えることを特徴とする、農産物加工の前処理装置。
  12. 前記表面方位制御装置が、前記被加工原料の一部に接して回転するローラを有することを特徴とする請求項11に記載の前処理装置。
  13. 前記ビームスキャナの動作と、前記表面方位制御装置の動作を同期させる制御装置を更に備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の前処理装置。





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