JPH08280325A - 冷凍野菜の品質改善法 - Google Patents

冷凍野菜の品質改善法

Info

Publication number
JPH08280325A
JPH08280325A JP10916395A JP10916395A JPH08280325A JP H08280325 A JPH08280325 A JP H08280325A JP 10916395 A JP10916395 A JP 10916395A JP 10916395 A JP10916395 A JP 10916395A JP H08280325 A JPH08280325 A JP H08280325A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
vegetables
treatment step
dehydration
frozen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10916395A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Oide
昭夫 大出
Ryosuke Uchio
良輔 内尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP10916395A priority Critical patent/JPH08280325A/ja
Publication of JPH08280325A publication Critical patent/JPH08280325A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 品質、特に食感の優れた冷凍野菜を製造す
る。 【構成】 原料野菜にブランチング工程、第1次脱水工
程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水工程および急
速冷凍処理工程を順次適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍野菜の品質改善法、
さらに詳しくは莢豌豆、菜豆隠元、アスパラガス、キャ
ベツ、菠薐草などの冷凍野菜に例示される各種の冷凍野
菜の品質を改善する製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食生活の多様化、簡便化指向が進行する
中で、市場には、多種多様の内容および形態を有し、開
封するだけで、あるいは開封後極めて簡単な調理を加え
るだけで、食卓に供し得る加工食品が大量に供給されて
いる。
【0003】冷凍食品は、消費者にとってまた生産者に
とっても、これらの加工食品の分野の一角を形成する最
重要な位置を占めてきた。
【0004】然しながら、冷凍野菜に関する限り、消費
者の強い需要があるにも関わらず、その要望を満足する
商品が供給されていないのが現状である。
【0005】その最大の原因としては、冷凍野菜に由来
する材料を調理し食卓に供した場合に、その冷凍野菜に
対応する生鮮野菜において尊重されている好ましい食感
の再現が困難である点、並びにこの様な好ましい食感を
再現可能な冷凍野菜を経済的に製造する大量生産に適す
る技術、手段が満足可能な迄に開発されていない点が挙
げられている。
【0006】従来、野菜を主要な原料とする冷凍食品の
製造法に関しては、意外に公知の知見が少ない。このこ
とは新鮮な野菜の持つ食感を解凍した冷凍食品に再現す
ることには技術的に相当な困難が存在し、未解決の問題
が残されていることを意味する。本発明者らは、以下に
列挙する通り、野菜を主要な原料とする或は野菜を原料
の一とする冷凍食品の製造法に関連する10種類の公知
知見を収集した。そして、それらの記載を詳細に検討
し、必要により追試を行って、記載する効果の再現を試
みたが、特に野菜材料の食感に関しては、何れの場合あ
っても十分に満足可能との結論、判断を得るには至らな
かった。
【0007】(1)「野菜の冷凍保存法」 原料野菜を
冷凍、急速解凍、再度急速冷凍を行う方法。本発明者の
追試では、野菜の組織が崩壊してしまい、とても実施可
能な方法とは判断できない(参考文献:特開昭48−0239
56号公報)。
【0008】(2)「野菜の冷凍方法」 凍結にさい
し、予め、野菜をソルビトールの20〜50%溶液ある
いは蔗糖15〜25%と食塩2%の混合溶液により数分
間煮沸後、急速凍結する方法。追試結果では、人参で多
少の効果を認めたが、なお、食感に難あり(参考文献:
特公昭53−025018号公報)。
【0009】(3)「野菜類のつけものの製造法」 野
沢菜などの野菜をリンゴ酸ソーダおよび食塩を含む溶液
中で浸透圧により脱水後、凍結する方法。葉菜の漬物の
製造法として適当であろうが、一般の野菜に適用するこ
とは困難な方法と判断(参考文献:特公昭53−010142号
公報)。
【0010】(4)「調理された野菜を含む冷凍食品」
酢豚など調理した中華食品の製造法。一般の野菜に適
用することは困難。ただし低温食用油による野菜のブラ
ンチング処理は参考とするに足る(参考文献:特開昭59
−118039号公報)。
【0011】(5)「冷凍具の製造法」 中華丼など各
種丼の具にする冷凍、包装した具の製造法。一般の野菜
に適用することは困難(参考文献:特開昭59−179031号
公報)。
【0012】(6)「食品の脱水加工法」 人参、大根
などの食品をビニロンフィルムに包み食品表面とビニロ
ンフィルムを真空包装により密着せしめ、同フィルムを
介して食品の水分を周囲の脱水液中に移動する。操作が
相当に煩雑であり一般的な冷凍野菜の製造法として経済
的、効果的な方法か疑問(参考文献:特公平05−037626
号公報)。
【0013】(7)「食品の凍結法」 ブドウ、リンゴ
などの食品を高圧下、等方的に加圧しながら凍結する。
使用する装置に多大の設備投資を要するものと推定さ
れ、一般的な冷凍野菜の製造法に適用可能か疑問(参考
文献:特開平02−211857号公報)。
【0014】(8)「冷凍一次加工食品」 カットした
玉ねぎを高温油で油焼き後、バラ状または塊状に凍結す
る。一般的な冷凍野菜の製造法ではない(参考文献:特
開平02−238859号公報)。
【0015】(9)「冷凍野菜の製造方法およびその装
置」(8)の冷凍カット玉ねぎを製造するための装置。
一般的な冷凍野菜の製造法ではない。また、同装置を一
般的な冷凍野菜に適用して効果的か判断できない(参考
文献:特開平02−238861号公報)。
【0016】(10)「香辛野菜の凍結保存法」 本わ
さびなど香辛野菜の含有水分を20〜50%に調整後、
冷凍する方法。一般的な冷凍野菜の製造法ではない。一
般の野菜では、この程度に脱水してしまうと食感の回復
は困難と判断 (参考文献:特公平04−073976号公報)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、冷凍野
菜の製造の際に存在する種々の技術的の問題を解決すべ
く、公知知見にも新たな見地から再検討を加え、さらに
独自に鋭意検討の結果、以下に示す(1)〜(7)の技
術的要件を見出した。
【0018】(1) 何れの原料野菜の場合にあって
も、原料の形態その侭で冷凍すると取得する冷凍野菜
は、解凍した場合、組織の崩壊が発生し、その食感は著
しく劣化する。
【0019】(2) 原料野菜をある程度、乾燥ないし
脱水した状態で急速冷凍すると、得られる冷凍野菜は、
解凍した場合、組織の崩壊の程度は軽微である。
【0020】(3) 但し、原料野菜を過度に乾燥ない
し脱水すると、解凍した場合には組織の崩壊を予防し得
るとしても、組織は不可逆的な変性を起こすため、原料
野菜が保有していた好ましい食感を再現することは困難
となる。
【0021】(4) 急速冷凍を実施する前工程で行う
原料野菜の乾燥ないし脱水は、一回の処理のみによっ
て、野菜の水分含量を必要程度の域迄に到達せしめるこ
とは困難である。
【0022】(5) 急速冷凍を実施する前工程で行う
原料野菜の冷凍変性防止剤処理は、原料野菜を適度に乾
燥ないし脱水を行うためにも有効な処理である。
【0023】(6) 急速冷凍を実施する前工程で行う
原料野菜の乾燥ないし脱水は、従来より、推定されてい
た程度よりも軽度の方が、解凍後の野菜の好ましい食感
を再現するために有効である。野菜の種類に関わらず、
適度の乾燥ないし脱水の程度の範囲は原料野菜の水分の
75〜90%と比較的狭いところに存在する。
【0024】(7) 解凍後の野菜の好ましい食感を再
現するために、解凍操作は可及的に乾燥ないし脱水状態
下に実施すると好結果を得ることが出来る。適当な解凍
操作に一連、連続して移行が容易であるような急速冷凍
法を選択する必要がある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の新
規な発見に基づき以下に示す8項目よりなる本発明を完
成した。この発明により、解凍後の野菜において原料野
菜に匹敵する好ましい食感を再現可能な品質の改善され
た冷凍野菜を製造することが可能となった。
【0026】本発明に係る方法は次の通りである。 (発明1) 原料野菜にブランチング処理工程、第1次
脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水処
理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適用
する冷凍野菜の製造法において、原料野菜が割砕された
野菜であることを特徴とする冷凍野菜の品質改善法。
【0027】(発明2) 原料野菜にブランチング処理
工程、第1次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、
第2次脱水処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工
程を順次適用する冷凍野菜の製造法において、ブランチ
ング処理工程が沸騰水中短時間の浸漬および連続する冷
水中短時間の浸漬を含む処理ならびに熱食用油中短時間
の浸漬および連続する冷水中短時間の浸漬を含む処理よ
り成る処理群から選択された処理を含むことを特徴とす
る冷凍野菜の品質改善法。
【0028】(発明3) 原料野菜にブランチング処理
工程、第1次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、
第2次脱水処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工
程を順次適用する冷凍野菜の製造法において、第1次脱
水処理工程が減圧脱水処理、乾燥した布帛または乾燥し
た紙匹を使用する払拭脱水処理、遠心脱水処理およびこ
れらの2以上の処理を結合した脱水処理より成る脱水処
理群から選択された処理を含むことを特徴とする冷凍野
菜の品質改善法。
【0029】(発明4) 原料野菜にブランチング処理
工程、第1次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、
第2次脱水処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工
程を順次適用する冷凍野菜の製造法において、冷凍変性
防止剤処理工程がオリゴ糖水溶液、グルタミン酸モノナ
トリウム水溶液、リンゴ酸ナトリウム水溶液、エチルア
ルコール水溶液および食塩水溶液ならびにこれらの水溶
液の2以上の混合水溶液より成る水溶液群から選択され
た水溶液を使用する処理を含むことを特徴とする冷凍野
菜の品質改善法。
【0030】(発明5) 発明4に記載する方法におい
て、冷凍変性防止剤処理を使用する処理が被処理野菜を
冷凍変性防止剤中に浸漬する処理および被処理野菜の表
面に冷凍変性防止剤を散布する処理より成る処理群から
選択された処理を含むことを特徴とする冷凍野菜の品質
改善法。
【0031】(発明6) 原料野菜にブランチング処理
工程、第1次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、
第2次脱水処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工
程を順次適用する冷凍野菜の製造法において、第2次脱
水処理工程が減圧脱水処理、乾燥した布帛または乾燥し
た紙匹を使用する払拭脱水処理、遠心脱水処理およびこ
れらの2以上の処理を結合した脱水処理より成る脱水処
理群から選択された処理を含むことを特徴とする冷凍野
菜の品質改善法。
【0032】(発明7) 原料野菜にブランチング処理
工程、第1次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、
第2次脱水処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工
程を順次適用する冷凍野菜の製造法において、第2次脱
水処理工程後の処理野菜の水分含量を原料野菜の水分含
量の75%以上90%未満に調整することを特徴とする
冷凍野菜の品質改善法。
【0033】(発明8) 原料野菜にブランチング処理
工程、第1次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、
第2次脱水処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工
程を順次適用する冷凍野菜の製造法において、急速冷凍
処理工程が90分以内に被処理野菜の品温を零下35℃
以下に低下せしめる処理および振動状態下で90分以内
に被処理野菜の品温を零下35℃以下に低下せしめる処
理より成る処理群から選択された急速冷凍処理を含むこ
とを特徴とする冷凍野菜の品質改善法。
【0034】すなわち、本発明は原料野菜にブランチン
グ処理工程、第1次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理
工程、第2次脱水処理工程および急速冷凍処理工程の5
処理工程を、順次、適用する冷凍野菜の製造法における
各処理工程などにおいて、処理条件などを特定すること
により品質、特に解凍後の野菜の食感を原料野菜が保有
する好ましい食感と同程度に再現可能である冷凍野菜の
品質の改善方法に関する。
【0035】なお、発明1ないし発明4ならびに発明6
ないし発明8は、各々、独立の発明であり、発明5は発
明4に従属する発明である。
【0036】
【作用】本発明は、殆ど全ての野菜に適用して、品質の
改善された冷凍野菜を製造取得出来る。従来、好ましい
食感を再現することは不可能と考えられて来た葉菜類に
対しても、本発明の方法を適用して、解凍後に好ましい
食感を再現することが可能となった。また、本発明の方
法は、野菜に準じて取り扱われる果実類にも適用可能で
ある。本発明の方法を適用可能な野菜を種類別に例示す
ると次の通りである。更に本発明の方法は数種類の野菜
の混合物に対しても適用可能である。
【0037】(1)根菜類:タ゛イコン、カフ゛、ハツカタ゛イコン、ニンシ゛
ン、コ゛ホ゛ウ、ヒ゛ーツ、サツマイモ、シ゛ャカ゛イモ、ナカ゛イモ、ヤマノイモ、ショウカ゛、レンコン、
サトイモ、ラクタ゛イモ、クワイ、ユリネ、チョロキ゛、ホンワサヒ゛
【0038】(2)果菜類:キュウリ、カホ゛チャ、ナス、トマト、ヒ゜ーマン、
トウカ゛ン、ニカ゛ウリ、ハヤトウリ、ス゛ッキーニ、ヘチマ、オクラ、インケ゛ンマメ、エント゛ウマメ、ク
゛リーンヒ゜ース、エタ゛マメ、サヤエント゛ウ、ササケ゛、サイトウ、ソラマメ、トウカ゛ラシ、シシトウ、
トウモロコシ、ヘ゛ヒ゛-コ-ン、ハニーコーン、トンフ゛リ、サンショウノミ
【0039】(3)葉菜類:ツケナ、キャヘ゛ツ、ホウレンソウ、チシャ、レタ
ス、セロリ、ハ゜セリ、コウサイ、ミツハ゛、シソ、コマツナ、シュンキ゛ク、セリ、クレソン、ケール、シャ
クシナ、ハクサイ、ハ゜クチョイ、カラシナ、タカナ、ノサ゛ワナ、キョウナ、サントウナ、チンケ゛ンサイ、
アフ゛ラナ、コールラヒ゛、セイヨウワサヒ゛、フキ、セ゛ンマイ、ワラヒ゛、ツクシ、オカヒシ゛キ、サンシ
ョウノハ、モロヘイヤ、ツルムラサキ、タテ゛、ホ゛ウフウ、アシタハ゛、ヨモキ゛
【0040】(4)花菜類:ハナヤサイ、カリフラワー、フ゛ロッコリー、カイラ
ン、ア-テイチョウ-ク、ミョウカ゛、キク、フキノトウ、ナノハナ
【0041】(5)鱗茎菜類:タマネキ゛、ナカ゛ネキ゛、ニラ、ワケキ゛、ア
サツキ、リーク、ホ゜ロネキ゛、エシャロット、ラッキョウ、ニンニク、ニンニクノメ
【0042】(6)嫩茎菜類:ウト゛、アスハ゜ラカ゛ス、マメモヤシ、モヤ
シ、タケノコ
【0043】(7)菌茸類:シイタケ、エノキタケ、ホンシメシ゛、マイタケ、ヒ
ラタケ、マシュル-ム、ナメコ、ハツタケ、ナラタケ、ムキタケ、コウタケ、ムラサキシメシ゛、ナメタケ、キ
クラケ゛、ホウキタケ、マツタケ
【0044】(8)海藻類:マコンフ゛、トロロコンフ゛、ワカメ、モス゛ク、ア
オノリ、オコ゛ノリ、ヒシ゛キ、アラメ
【0045】本発明にあって原料野菜は割砕された状態
で処理される(発明1)。割砕の方法、割砕後の形態お
よび大きさは原料野菜の種類および製品である冷凍野菜
の仕向け先での利用目的によって特定される。割砕の方
法は包丁、スライサーまたはカッターによる切断、手に
よる千切りなど製品の利用目的に適合した方法が採用さ
れる。割砕後の野菜は可及的均一な形態および大きさに
なるように割砕の際に配慮する。
【0046】割砕の具体的な例としては、つけ合わせ用
キャベツのスライサーによる纎切り、サラダ用レタスの
手による千切り、ダイコンの包丁による千六本切り、ゴ
ボウの笹掻き切り、ウドの拍子木切り、ニンジンの霰切
りなどが挙げられる。
【0047】原料野菜を割砕する目的は、解凍後の冷凍
野菜の利用上の便宜に対する配慮に加えて、後続する第
一次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程および第二
次脱水処理工程を効果的且つ円滑に行うことにある。野
菜の割砕面からの脱水または冷凍変性防止剤の浸透は、
通常の野菜の表面からの脱水または浸透よりも、はるか
に効果的に行われる。
【0048】割砕された原料野菜はブランチング処理に
付される。冷凍野菜の製造法にあってブランチング処理
は必須の工程である。本発明にあっては、種々想定され
るブランチング処理の内、原料野菜を(イ)沸騰水中に
短時間浸漬し連続して、直ちに、冷水中に短時間の浸漬
する処理あるいは(ロ)熱食用油中に短時間浸漬し連続
して、直ちに、冷水中に短時間の浸漬する処理の何れか
の処理が適当であることを見出した(発明2)。
【0049】これら(イ)または(ロ)の2種類のブラ
ンチング処理の内、どちらの方法を選択するかについて
は、原料野菜の種類あるいは製品の冷凍野菜の利用目的
により決定する。また、沸騰水中または熱食用油中への
浸漬時間もまた、同様の事情を考慮して決定する。一般
に高温中、極く短時間の浸漬が冷凍野菜の好ましい食感
を形成するために有効と認められる。加熱後、冷水中に
短時間の浸漬を行う際には、氷水を使用すると好結果を
得ることがある。なお、沸騰水、熱食用油または冷水中
に他の成分を共存せしめることも可能である。例えば、
食塩、重曹、明礬、ビタミンC、ビタミンE、ベータ・
カロチンなどを共存せしめてもよい。
【0050】本発明の方法にあって、冷凍変性防止剤処
理工程の前工程および後工程で行う第1次脱水処理工程
または第2次脱水処理工程では(イ)減圧脱水処理、
(ロ)乾燥した布帛または乾燥した紙匹を使用する払拭
脱水処理、(ハ)遠心脱水処理または(ニ)これらの2
以上の処理を結合した脱水処理の何れかの処理を選択し
て実施する(発明3または発明6)。なお、これらの方
法に加えて公知の脱水処理方法を併用することを妨げな
い。例えば流動する冷風に暴露する、乾燥剤を共存せし
めるなどの方法である。
【0051】脱水の程度は、原料野菜の水分含量に対
し、第1次脱水処理では60%〜80%の水分を保持す
るように行う。第2次脱水処理では原料野菜の水分含量
に対し75%〜90%未満の水分を保持する(発明
7)。一般に第1次脱水処理における脱水の程度は第2
次脱水処理における脱水の程度よりも高く設定した方が
好結果を得る。
【0052】減圧脱水処理は、減圧条件下、原料野菜を
密閉した容器中に保持する処理である。その際の減圧条
件は5mmHg〜90mmHgの範囲が適当である。また、温度
は0℃〜室温(20℃)程度が適当である。特に高い温
度に保持する必要はない。
【0053】乾燥した布帛または乾燥した紙匹を使用す
る払拭脱水処理は、原料野菜を布巾あるいはペーパータ
オルなどで払拭する処理である。あるいは、単に、これ
らを使用して被覆、仮包装し一定時間保持する処理であ
る。この際、原料野菜の取扱は可及的速やか、しかも慎
重に行ない、野菜の組織を必要以上に損傷することの無
いよう配慮する。
【0054】遠心脱水処理は、原料野菜を遠心分離機を
使用して脱水する処理である。原料野菜を、直接、遠心
分離機のバスケット内に収容して脱水してもよいが、布
巾あるいはペーパータオルなどで仮包装した上で脱水す
ると好結果が得られる。遠心分離機による処理は、容易
に過度の脱水を齎すことになるので注意を要する。
【0055】本発明の方法にあって、冷凍変性防止剤処
理工程では第1次脱水処理工程を経過した原料野菜に
(イ)オリゴ糖水溶液、(ロ)グルタミン酸モノナトリ
ウム水溶液、(ハ)リンゴ酸ナトリウム水溶液、(ニ)
エチルアルコール水溶液または(ホ)食塩水溶液を使用
する(発明4)。なお、冷凍変性防止剤中に他の成分を
共存せしめるとも可能である。例えばグルコース、フル
クトース、ラクトース、トレハロース、マルトース、蔗
糖などの糖類、グリシン、アラニン、スレオニン、グル
タミン酸(遊離)などのアミノ酸類、リンゴ酸(遊
離)、クエン酸(遊離または塩)、コハク酸(遊離また
は塩)などの有機酸類、重曹、明礬、ポリリン酸(遊離
または塩)などの無機塩類を添加してもよい。
【0056】これらの冷凍変性防止剤の使用方法として
は、(イ)被処理野菜を冷凍変性防止剤中に浸漬する方
法または(ロ)被処理野菜の表面に冷凍変性防止剤を散
布する方法が採用される(発明5)。
【0057】被処理野菜を冷凍変性防止剤中に浸漬する
方法の場合、使用する水溶液の濃度は3%〜20%未満
程度、被処理野菜の表面に冷凍変性防止剤を散布する方
法の場合、使用する水溶液の濃度は5%〜25%未満程
度である。一般に散布する溶液は浸漬する溶液よりも高
濃度の水溶液を使用するとよい。
【0058】被処理野菜は冷凍変性防止剤中に浸漬した
状態または冷凍変性防止剤を散布した状態で、可及的密
閉下、0℃〜室温(20℃)程度で、30分〜5時間程
度保持される。特に高い温度に保持する必要はない。
【0059】本発明の方法にあって、第2次脱水処理工
程を経過した原料野菜は急速冷凍処理工程に付される。
急速冷凍処理は(イ)90分以内に被処理野菜の品温を
零下35℃以下に低下せしめる処理または(ロ)振動状
態下で90分以内に被処理野菜の品温を零下35℃以下
に低下せしめる処理から選択される(発明8)。
【0060】具体的方法としては、被処理野菜を零下3
5℃以下に保持してある冷凍庫に収容する方法、耐水耐
冷却性の容器に収容した被処理野菜を、零下35℃以下
に保持してある液体冷媒、例えば冷凍用塩水ブラインに
浸漬する方法などが採用される。
【0061】なお、本発明の方法により製造された冷凍
野菜は、室温下に放置する自然解凍法により解凍可能な
ことは当然であるが、減圧下に解凍すると解凍した野菜
の品質、特に食感を、一層、好ましい状態に再現するこ
とが出来る。
【0062】減圧下の解凍条件としては、例えば5mmHg
〜100mmHgの圧力下、0℃〜30℃に10分以上3時
間保持する条件が採用される。
【0063】解凍に当たっては、冷凍野菜を直接解凍条
件下に保持してもよいが、吸水能を有する布帛、紙匹、
例えば布巾、ペーパータオルなどで被覆し、冷凍野菜か
ら遊離する水分、空気中からの凝縮水分を吸収しながら
解凍すると、解凍した野菜の食感を好ましい状態に再現
することが出来る。
【0064】上記の各項に記載した種々の要件並び条件
は、上記に記載する範囲内で、原料野菜の種類あるいは
製品の冷凍野菜の利用目的、利用方法に従い、適宜、具
体的に選択して実施される。
【0065】以上に記載した本発明の方法により製造さ
れた冷凍野菜は、解凍時にその原料野菜特有の好ましい
品質、食感を生鮮野菜に匹敵する程度の状態に再現する
ことが出来る。
【0066】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、これらの実施例は本発明を限定するものでは
ない。
【0067】
【実施例】
(実施例1)==莢野菜および多肉野菜の冷凍野菜の製
造例== 新鮮な絹莢豌豆(以下、キヌサヤ)、菜豆隠元(以下、
サイトウ)、グリーンアスパラガス(以下、グリーンア
スパラ)およびブロッコリーを用意し、スジ、石付、固
い茎部などの非可食部を取り除いた。
【0068】これらの各々を沸騰中の水道水に30秒間
保持した後、直に網杓子で掬い上げ氷を浮かべてある冷
水中に放ち急冷後、水から取上げ、ブランチング処理を
行った。
【0069】次いで、十分に水をきり、キヌサヤはその
侭、サイトウおよびグリーンアスパラは5cmの長さ
に、ブロッコリーは最大径が5cmの房に切りそろえ、
整形処理を行った。
【0070】整形した野菜、各々500gを減圧装置付
きの容器中に収容し、 100mmHg圧、室温(20
℃)の条件下に3時間保持して第一次脱水処理を行っ
た。第一次脱水処理後の各野菜の重量は等しく470g
であった。
【0071】オリゴ糖製品「フジオリゴ450」[日本
食品化工(株)製品」の20%(重量/重量)水溶液を
調製した。
【0072】同溶液をバット状容器にとり、完全に冠水
する程度に減圧乾燥後の各野菜を浸漬し、冷蔵庫中5℃
に5時間保持して冷凍変性防止剤処理を行った。
【0073】同溶液から取上げ、液切りした状態での各
野菜の重量は480g〜485gであった。
【0074】液切りした各野菜を上記と同一の減圧装置
付きの容器中に収容し、上記と同一の条件下に保持して
第二次脱水処理を行った。第二次脱水処理後の各野菜の
重量は450g〜470gであった。
【0075】第二次脱水処理後の各野菜をラップ材で包
装した後、−36℃に保持してある大型冷凍室内で急速
冷凍処理を行った。いずれの野菜も5分以内に凍結を完
了したことを確認した。
【0076】また、対照として整形した野菜、各々50
0gを冷凍変性防止剤処理を行うことなく、同一の急速
冷凍処理を行った。
【0077】冷凍変性防止剤処理および急速冷凍処理を
行った各野菜を二等分し、一方は室温(20℃)の条件
下に1時間保持し自然解凍を行った。これらを「発明A
群」試料とした。また、他の一方は上記と同一の減圧装
置付きの容器中に収容し、上記と同一の条件下に保持し
て減圧解凍を行った。これらを「発明B群」試料とし
た。
【0078】同様に、急速冷凍処理を行った対照の各野
菜についても、自然解凍または減圧解凍を行い、それぞ
れを「対照A群」試料または「対照B群」試料とした。
【0079】さらに対照として整形した野菜、各々50
0gを冷凍変性防止剤処理および急速冷凍処理を行わな
い試料、すなわち、ブランチング処理のみを行った試料
を「対照N群」試料とした。
【0080】これらの「発明A群」、「発明B群」、
「対照A群」、「対照B群」および「対照N群」計5群
に属する合計20種類の試料を官能評価試験に付した。
【0081】官能評価試験におけるパネラー人数は5
名。パネラーによる目視、指頭により圧迫したときの感
覚および口に含んで咀嚼したときの食感、呈味および風
味の各評価項目ならびにそれらを総合する評価につい
て、良好(5点)、やや良好(4点)、普通(3点)、
やや劣る(2点)、劣る(1点)の5段階の評点に従い
評価させた。 表1にそれらの評点の平均値を示す。
【0082】
【表1】
【0083】表1に示すごとく、本発明の方法により冷
凍変性防止剤処理および急速冷凍処理を行った各野菜の
評価は、自然解凍あるいは減圧解凍のいずれを行った場
合にあっても、対照の各野菜の評価に対し明瞭に優れて
おり、冷凍過程を経過していない対照の各野菜の品質に
迫るものであった。コメントとして、本発明品の食感に
はブランチング処理直後の新鮮な野菜の食感が良く維持
されていることを強調するパネラーが多かった。
【0084】(実施例2)==莢野菜の冷凍野菜の製造
例== 新鮮なサイトウを用意し、非可食部を取り除いた後、実
施例1の方法に準じて整形処理を行った。
【0085】140℃に加熱してある十分量のサラダ油
中に、整形処理を行ったサイトウを入れ20秒間保持し
た後、直ちに網杓子で掬い上げ氷を浮かべてある冷水中
に放ち急冷後水から取上げ、ブランチング処理を行っ
た。
【0086】次いで乾燥したペーパータオルの上で水を
きり、付着している水分を十分に払拭して第一次脱水処
理を行った。そのときの水分含量は新鮮物水分の90%
であった。
【0087】冷凍変性防止剤として「フジオリゴ45
0」の20%水溶液、グルタミン酸モノナトリウムの5
%水溶液、リンゴ酸ナトリウムの3%水溶液、エチルア
ルコールの20%水溶液および食塩の3%水溶液を調製
した。
【0088】これら各々の冷凍変性防止剤中に第一次脱
水処理を行ったサイトウを浸漬し、冷蔵庫中5℃に3時
間保持して冷凍変性防止剤処理を行った。
【0089】その後、冷凍変性防止剤より取出し、乾燥
したペーパータオルの上で十分に水をきり、実施例1の
場合と同様、減圧下同一の条件下に保持して第二次脱水
処理を行った。第二次脱水処理後のサイトウの水分含量
は新鮮物水分の77%〜81%であった。
【0090】第二次脱水処理後のサイトウを実施例1の
場合と同様の条件下に、急速冷凍処理を行った。
【0091】また、対照として整形したサイトウを冷凍
変性防止剤処理を行うことなく、同一の急速冷凍処理を
行った。
【0092】冷凍変性防止剤処理および急速冷凍処理を
行ったサイトウを野菜を実施例1と同一の減圧装置付き
の容器中に収容し、同一の条件下に保持して減圧解凍を
行った。これらを「発明B群」試料とした。
【0093】同様に、対照のサイトウについても、減圧
解凍を行い 「対照B群」試料とした。
【0094】さらに対照として、ブランチング処理のみ
を行い、急速冷凍処理を行わないサイトウを「対照N
群」試料とした。
【0095】これらの「発明B群」、「対照B群」およ
び「対照N群」計3群に属する合計7種の試料を官能評
価試験に付した。
【0096】官能評価試験におけるパネラー人数、評価
項目、評点表示方法は実施例1と同様である。表2にそ
れらの評点の平均値を示す。
【0097】
【表2】
【0098】表2に示すごとく、本発明の方法により、
上記5種類の冷凍変性防止剤処理、急速冷凍処理および
減圧解凍処理を行ったサイトウ(発明B群)は、冷凍変
性防止剤処理を行わず減圧解凍処理を行ったサイトウ
(対照B群)に対し明瞭に優れており、冷凍過程を経過
していない対照のサイトウ(対照N群)の品質に迫るも
のであった。コメントとして、冷凍変性防止剤処理を行
った本発明品の食感にはブランチング処理直後の新鮮な
野菜の食感が良く維持されていることを強調するパネラ
ーが多かった。
【0099】さらに上記の5種類の冷凍変性防止剤の
内、食感の維持効果はオリゴ糖「フジオリゴ450」溶
液が最も優れており、これに次いでグルタミン酸モノナ
トリウム溶液、リンゴ酸ナトリウム溶液およびエタノー
ル溶液は3溶液とも同程度に優れていることが判明し
た。なお、食塩溶液の効果は他の冷凍変性防止剤の効果
よりも軽少であったが、処理を行わない対照B群に比較
すれば、その使用効果は明瞭であった。
【0100】(実施例3)==塊状野菜の冷凍野菜の製
造例== 新鮮なタケノコ、ゴボウ、ニンジンおよびサトイモを用
意し、非可食部を取り除き十分に水洗した後、各々を3
cm角に切り揃え、整形処理を行った。
【0101】実施例1に準じて、各々の野菜毎にブラン
チング処理を行った。
【0102】急冷後、水から取上げた各々の野菜を十分
に水を切り、乾燥したペーパータオルに包み残った水分
を十分に払拭する操作を3回繰り返して第一次脱水処理
を行った。 そのときの水分含量は新鮮物水分の80〜
85%であった。
【0103】冷凍変性防止剤として「フジオリゴ45
0」の25%水溶液を調製した。
【0104】冷凍変性防止剤中に第一次脱水処理を行っ
た各々の野菜を浸漬し、冷蔵庫中5℃に3時間保持して
冷凍変性防止剤処理を行った。
【0105】その後、野菜を冷凍変性防止剤より取出
し、乾燥したペーパータオルの上で十分に水をきり、乾
燥したペーパータオルで新たに二重に包装した後、その
まま、H720B型遠心分離機[国産遠心機(株)製
品]を使用して残存する水分を除去し、第二次脱水処理
を行った。第二次脱水処理後の各野菜の水分含量は、新
鮮物水分の72%〜77%であった。
【0106】第二次脱水処理後の野菜を、各野菜毎にペ
ーパータオルで新たに二重に包装した後、10回/分の
振動下に、−40℃で急速冷凍処理を行った。
【0107】急速冷凍した野菜を−18℃に保持した冷
凍庫中に1か月保存し、新たなペーパータオルで包装
後、室温(20℃)下、自然解凍を行い、「発明C群」
試料を得た。
【0108】また、対照として冷凍変性防止剤処理を行
うことなく、同一条件下の急速冷凍処理、冷凍保存なら
びに自然解凍を行い、「対照C群」試料を得た。
【0109】さらに新鮮な同一種類の野菜を用意し、上
記と同一のブランチング処理のみを行い、急速冷凍処理
を行わない野菜を「対照N群」試料とした。
【0110】これらの「発明C群」、「対照C群」およ
び「対照N群」計3群に属する合計12種類の試料を官
能評価試験に付した。
【0111】官能評価試験におけるパネラー人数、評価
項目、評点表示方法は実施例1と同様である。表3にそ
れらの評点の平均値を示す。
【0112】
【表3】
【0113】表3に示すごとく、本発明の方法により、
冷凍変性防止剤処理、急速冷凍処理およびペーパータオ
ルで吸水解凍した上記5種類の野菜(発明C群)の食感
などに対する評価は、冷凍変性防止剤処理を行わずペー
パータオルで吸水解凍した野菜(対照C群)に対し明瞭
に優れており、冷凍過程を経過していない新鮮な対照の
サイトウ(対照N群)の品質に迫るものであった。コメ
ントとして、冷凍変性防止剤処理を行った本発明品の食
感には、ブランチング処理直後の新鮮な野菜の食感が良
く維持されていることを強調するパネラーが多かった。
【0114】さらに上記4種類の野菜の相互間に冷凍変
性防止剤の効果の実質的な相違は認められず、何れの野
菜に対しても同程度に有効であることが判明した。
【0115】(実施例4)==葉状野菜から冷凍野菜の
製造例== 新鮮な中玉のキャベツおよびホウレンソウを用意し、キ
ャベツは芯部および外側の葉を、ホウレンソウは根部を
取り除き、十分に水洗した。キャベツは葉脈と直角方向
にスライサーを使用してスライス繊切りし、ホウレンソ
ウは軸と直角方向5cm間隔に、菜切り包丁を用いて大
切りに切り揃え、整形処理を行った。
【0116】キャベツは実施例1、ホウレンソウは実施
例2に準じて、各々の野菜毎にブランチング処理を行っ
た。
【0117】急冷後、水から取上げた各々の野菜を十分
に水を切り、乾燥したペーパータオルに包み残った水分
を十分に払拭する操作を3回繰り返して第一次脱水処理
を行った。そのときの水分含量は新鮮物水分の90%内
外であった。
【0118】冷凍変性防止剤として「フジオリゴ45
0」の20%水溶液を調製した。
【0119】冷凍変性防止剤中に第一次脱水処理を行っ
た各々の野菜を浸漬し、冷蔵庫中5℃に2時間保持して
冷凍変性防止剤処理を行った。
【0120】その後、野菜を冷凍変性防止剤より取出
し、乾燥したペーパータオルの上で十分に水をきり、乾
燥したペーパータオルで新たに二重に包装後、そのま
ま、実施例3に準じ遠心分離機を使用して残存する水分
を除去し、第二次脱水処理を行った。第二次脱水処理後
の両野菜の水分含量は、新鮮物水分の85%であった。
【0121】第二次脱水処理後の野菜を、各野菜毎にペ
ーパータオルで新たに二重に包装した後、10回/分の
振動下に、−40℃で急速冷凍処理を行った。
【0122】急速冷凍した野菜を−18℃に保持した冷
凍庫中に7日保存し、新たなペーパータオルで包装後、
室温(20℃)下、実施例2の方法に準じ減圧解凍を行
い、「発明D群」試料を得た。
【0123】また、対照として冷凍変性防止剤処理を行
うことなく、同一条件下の急速冷凍処理、冷凍保存なら
びに減圧解凍を行い、「対照D群」試料を得た。
【0124】さらに新鮮な同一種類のキャベツおよびホ
ウレンソウを用意し、上記と同一のブランチング処理の
みを行い、急速冷凍処理を行わない野菜を「対照N群」
試料とした。
【0125】これらの「発明D群」、「対照D群」およ
び「対照N群」計3群に属する合計6種類の試料を官能
評価試験に付した。
【0126】官能評価試験におけるパネラー人数、評価
項目、評点表示方法は実施例1と同様である。表4にそ
れらの評点の平均値を示す。
【0127】
【表4】
【0128】表4に示すごとく、本発明の方法により、
冷凍変性防止剤処理、急速冷凍処理および減圧解凍した
キャベツおよびホウレンソウ(発明D群)の食感などに
対する評価は、冷凍変性防止剤処理を行なわずに減圧解
凍した野菜(対照D群)に対し明瞭に優れており、冷凍
過程を経過していない対照の野菜(対照N群)の品質に
迫るものであった。
【0129】パネラー間には、冷凍変性防止剤処理を行
った本発明品の食感にはブランチング処理直後の新鮮な
野菜の食感が特に良く維持されているとのコメント、更
に、従来、葉菜の冷凍保存は技術的に極めて困難であ
り、商品価値のある葉菜の冷凍保存品の製造は不可能視
されていたところ、本発明の方法により初めて実施可能
となったとするコメント、加えて、サラダ油を使用して
行ったブランチング処理の冷凍ホウレンソウは、スピナ
ッジ・サラダとして解凍後直ちに利用できるとのコメン
トがあった。
【0130】(実施例5)==オニオンの冷凍野菜の製
造例== 新鮮なやや大玉の玉葱(以下、オニオン)を用意し、頂
部、外側の皮および根部を取り除き、十分に水洗した。
次いでスライス切りし、リング状に整形処理を行った。
【0131】オニオンは実施例1に準じて、ブランチン
グ処理を行った。
【0132】急冷後、水から取上げたリング状のオニオ
ンを、乾燥したペーパータオルを拡げた平笊上で十分に
水を切った後、乾燥したペーパータオルに包み残った水
分を十分に払拭する操作を3回繰り返して、第一次脱水
処理を行った。そのときの水分含量は新鮮物水分の87
%内外であった。
【0133】冷凍変性防止剤として食塩0.5%を含む
グルタミン酸モノナトリウムの5%水溶液を調製した。
【0134】冷凍変性防止剤中に第一次脱水処理を行っ
たリング状のオニオンを浸漬し、冷蔵庫中5℃に1時間
保持して冷凍変性防止剤処理を行った。
【0135】その後、オニオンを冷凍変性防止剤より取
出し、乾燥したペーパータオルの上で十分に水をきり、
乾燥したペーパータオルで新たに二重に包装後、そのま
ま、実施例3に準じ、短時間、遠心分離機を使用して残
存する水分を除去し、第二次脱水処理を行った。第二次
脱水処理後の水分含量は、新鮮物水分の80%であっ
た。
【0136】第二次脱水処理後のオニオンを、新たなペ
ーパータオルで二重に包装後、10回/分の振動下に、
−40℃で急速冷凍処理を行った。
【0137】急速冷凍した野菜を−18℃に保持した冷
凍庫中に2日保存し、新たなペーパータオルで包装後、
室温(20℃)下、実施例2の方法に準じ減圧解凍を行
い、「発明E群」試料を得た。
【0138】また、対照として冷凍変性防止剤処理を行
うことなく、同一条件下の急速冷凍処理、冷凍保存なら
びに減圧解凍を行い、「対照E群」試料を得た。
【0139】さらに新鮮な同一種類のオニオンを用意
し、上記と同一のブランチング処理のみを行い、急速冷
凍処理を行わない野菜を「対照N群」試料とした。
【0140】これらの「発明D群」、「対照D群」およ
び「対照N群」計3群に属する合計3種類の試料を官能
評価試験に付した。
【0141】官能評価試験におけるパネラー人数、評価
項目、評点表示方法は実施例1と同様である。表5にそ
れらの評点の平均値を示す。
【0142】
【表5】
【0143】表5に示すごとく、本発明の方法により、
冷凍変性防止剤処理、急速冷凍処理および減圧解凍した
オニオン(発明E群)の食感、風味に対する評価は、冷
凍変性防止剤処理を行わず、冷凍処理後、減圧解凍した
オニオン(対照E群)に対し明瞭に優れており、冷凍過
程を経過していない新鮮な対照の野菜(対照N群)の品
質に迫るものであった。
【0144】パネラー間には、冷凍変性防止剤処理を行
った本発明品の食感にはブランチング処理直後の新鮮な
野菜の食感が特に良く維持されているとのコメント、更
に、本発明品の冷凍オニオンは、解凍後ドレッシングを
掛けるだけで、オニオン・スライス・サラダとして食卓
に供し得るとのコメントあった。
【0145】
【発明の効果】本発明は、以上に説明した通り、各種の
冷凍野菜の品質、特にその食感を顕著に改善可能であ
り、さらに従来、冷凍野菜への加工が不可能視されてい
た野菜についても、食感の優れた冷凍野菜を製造するこ
とが出来ると云う効果がある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料野菜にブランチング処理工程、第1
    次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水
    処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適
    用する冷凍野菜の製造法において、原料野菜が割砕され
    た野菜であることを特徴とする冷凍野菜の品質改善法。
  2. 【請求項2】 原料野菜にブランチング処理工程、第1
    次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水
    処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適
    用する冷凍野菜の製造法において、ブランチング処理工
    程が沸騰水中短時間の浸漬および連続する冷水中短時間
    の浸漬を含む処理ならびに熱食用油中短時間の浸漬およ
    び連続する冷水中短時間の浸漬を含む処理より成る処理
    群から選択された処理を含むことを特徴とする冷凍野菜
    の品質改善法。
  3. 【請求項3】 原料野菜にブランチング処理工程、第1
    次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水
    処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適
    用する冷凍野菜の製造法において、第1次脱水処理工程
    が減圧脱水処理、乾燥した布帛または乾燥した紙匹を使
    用する払拭脱水処理、遠心脱水処理およびこれらの2以
    上の処理を結合した脱水処理より成る脱水処理群から選
    択された処理を含むことを特徴とする冷凍野菜の品質改
    善法。
  4. 【請求項4】 原料野菜にブランチング処理工程、第1
    次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水
    処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適
    用する冷凍野菜の製造法において、冷凍変性防止剤処理
    工程がオリゴ糖水溶液、グルタミン酸モノナトリウム水
    溶液、リンゴ酸ナトリウム水溶液、エチルアルコール水
    溶液および食塩水溶液ならびにこれらの水溶液の2以上
    の混合水溶液より成る水溶液群から選択された水溶液を
    使用する処理を含むことを特徴とする冷凍野菜の品質改
    善法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載する方法において、冷凍
    変性防止剤処理を使用する処理が被処理野菜を冷凍変性
    防止剤中に浸漬する処理および被処理野菜の表面に冷凍
    変性防止剤を散布する処理より成る処理群から選択され
    た処理を含むことを特徴とする冷凍野菜の品質改善法。
  6. 【請求項6】 原料野菜にブランチング処理工程、第1
    次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水
    処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適
    用する冷凍野菜の製造法において、第2次脱水処理工程
    が減圧脱水処理、乾燥した布帛または乾燥した紙匹を使
    用する払拭脱水処理、遠心脱水処理およびこれらの2以
    上の処理を結合した脱水処理より成る脱水処理群から選
    択された処理を含むことを特徴とする冷凍野菜の品質改
    善法。
  7. 【請求項7】 原料野菜にブランチング処理工程、第1
    次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水
    処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適
    用する冷凍野菜の製造法において、第2次脱水処理工程
    後の処理野菜の水分含量を原料野菜の水分含量の75%
    以上90%未満に調整することを特徴とする冷凍野菜の
    品質改善法。
  8. 【請求項8】 原料野菜にブランチング処理工程、第1
    次脱水処理工程、冷凍変性防止剤処理工程、第2次脱水
    処理工程および急速冷凍処理工程の5処理工程を順次適
    用する冷凍野菜の製造法において、急速冷凍処理工程が
    90分以内に被処理野菜の品温を零下35℃以下に低下
    せしめる処理および振動状態下で90分以内に被処理野
    菜の品温を零下35℃以下に低下せしめる処理より成る
    処理群から選択された急速冷凍処理を含むことを特徴と
    する冷凍野菜の品質改善法。
JP10916395A 1995-04-11 1995-04-11 冷凍野菜の品質改善法 Pending JPH08280325A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10916395A JPH08280325A (ja) 1995-04-11 1995-04-11 冷凍野菜の品質改善法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10916395A JPH08280325A (ja) 1995-04-11 1995-04-11 冷凍野菜の品質改善法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08280325A true JPH08280325A (ja) 1996-10-29

Family

ID=14503253

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10916395A Pending JPH08280325A (ja) 1995-04-11 1995-04-11 冷凍野菜の品質改善法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08280325A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006271352A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Hokkaido 冷凍食品の製造方法
JP2008271902A (ja) * 2007-05-02 2008-11-13 Q P Corp 容器詰めカット野菜サラダ
JP2009039003A (ja) * 2007-08-07 2009-02-26 Japan Tobacco Inc 冷凍食品の製造方法
JP2011152089A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Food Techno Engineering Kk 葉物野菜の凍結品製造装置
JP2012165712A (ja) * 2011-02-16 2012-09-06 Meiji Co Ltd クロロフィル含有野菜の処理方法
KR101328184B1 (ko) * 2011-11-25 2013-11-13 계명대학교 산학협력단 햇순나물의 염장방법
JP2014018128A (ja) * 2012-07-17 2014-02-03 Osamu Inoue 野菜の葉の加工処理法
JP2015039339A (ja) * 2013-08-22 2015-03-02 富士通商株式会社 冷凍野菜およびその製造方法
CN107736545A (zh) * 2017-10-27 2018-02-27 云南师宗凤凰谷食品有限责任公司 一种食品药品用根茎的真空冷冻干燥方法
CN111449126A (zh) * 2020-04-03 2020-07-28 杭州师范大学 一种黄秋葵的保鲜方法
CN114041498A (zh) * 2021-12-10 2022-02-15 安徽省农业科学院农产品加工研究所 一种保持竹笋原有品质的速冻方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006271352A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Hokkaido 冷凍食品の製造方法
JP2008271902A (ja) * 2007-05-02 2008-11-13 Q P Corp 容器詰めカット野菜サラダ
JP4714181B2 (ja) * 2007-05-02 2011-06-29 キユーピー株式会社 容器詰めカット野菜サラダ
JP2009039003A (ja) * 2007-08-07 2009-02-26 Japan Tobacco Inc 冷凍食品の製造方法
JP2011152089A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Food Techno Engineering Kk 葉物野菜の凍結品製造装置
JP2012165712A (ja) * 2011-02-16 2012-09-06 Meiji Co Ltd クロロフィル含有野菜の処理方法
KR101328184B1 (ko) * 2011-11-25 2013-11-13 계명대학교 산학협력단 햇순나물의 염장방법
JP2014018128A (ja) * 2012-07-17 2014-02-03 Osamu Inoue 野菜の葉の加工処理法
JP2015039339A (ja) * 2013-08-22 2015-03-02 富士通商株式会社 冷凍野菜およびその製造方法
CN107736545A (zh) * 2017-10-27 2018-02-27 云南师宗凤凰谷食品有限责任公司 一种食品药品用根茎的真空冷冻干燥方法
CN111449126A (zh) * 2020-04-03 2020-07-28 杭州师范大学 一种黄秋葵的保鲜方法
CN114041498A (zh) * 2021-12-10 2022-02-15 安徽省农业科学院农产品加工研究所 一种保持竹笋原有品质的速冻方法
CN114041498B (zh) * 2021-12-10 2024-01-19 安徽省农业科学院农产品加工研究所 一种保持竹笋原有品质的速冻方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FI78224B (fi) Foervaellningsfoerfarande.
KR100676297B1 (ko) 근채류 또는 과채류의 가공 식품 제조 방법
JPWO2008029783A1 (ja) 軟質植物質素材の製造方法
JPH08280325A (ja) 冷凍野菜の品質改善法
JP2007159516A (ja) 野菜の保存方法
US8623438B2 (en) Dehydrated avocado in pieces
US20040096559A1 (en) Method for production of frozen vegetables or fruits
US7438943B2 (en) Method for dehydro-roasting
US3895119A (en) Moisture removal from calcium treated cut plant surface
US3136642A (en) Immersion freezing of fruits and vegetables
JP6619221B2 (ja) 冷凍食品の製造方法
WO1995020327A1 (en) Process for preparing a frozen herb
US3493400A (en) Dehydrated precooked toasted onion and method of making same
JPH02257827A (ja) 冷凍機温度で改善された安定性を有する植物性製品およびその製造方法
JPH07503621A (ja) 安定化され部分的に脱水乾燥された芳香性植物製品の製法およびこれにより得られる製品
JP3884875B2 (ja) 乾燥野菜およびその製造法
JP6631511B2 (ja) 青果の加工前処理剤、およびそれを用いた青果の加工前処理方法
US6743460B2 (en) Tomato raisin
KR20060021849A (ko) 린토나이징™ 가공에 의해 저압, 저온 조리법
JP2000308456A (ja) 野菜類の凍結前処理液及び凍結前処理方法並びに凍結前処理済み野菜類など
JP2002345428A (ja) 凍結融解処理サラダとその製造方法
JP2000245338A (ja) 香味野菜の冷凍保存方法
JP3601932B2 (ja) 冷凍用青果物及びこれを含む冷凍食品
Burns Pepper processing
JPH0568505A (ja) 惣菜、漬物の製造法