JP2017000145A - 水産加工品 - Google Patents

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Abstract

【課題】牡蠣やホタテを含む水産加工品を製造する際、まず洗浄と殺菌も兼ねてボイルしている。しかし、ボイル時に呈味成分が煮汁に溶出し、生鮮物に比べて美味しさに欠けるという課題があった。
【解決手段】本発明はこのような課題に着目してなされたもので、旨味を溶出させない新製法により、ボイルした乾燥品よりボイル前の成分が保持され、旨味成分が格段に増加する製造条件を見つけ、旨味成分が格段に増加したノンボイル乾燥品を製造することである。その結果、ボイル後乾燥したものに比べて、肉質が柔らかく、咀嚼性が優れ、呈味成分が1.1倍以上増加され、かつ保存性も保たれた水産加工品を提案した。
【選択図】なし

Description

本発明は、生の魚介類に光照射乾燥法を適用し、従来のボイル後乾燥したものに比べて、乾燥品の表面が飴色に変色し、呈味成分が1.1倍以上増加されて、かつ保存性も保たれた水産乾燥品に関するものである。
カキ乾燥品として、むき身カキを原料にボイル後乾燥した蒸しカキ、ボイル・乾燥・燻製・乾燥工程を経た燻りかき、コンベクション調理器で炙って乾燥した炙りかきがある。しかし、ボイル時にカキの旨み成分が煮汁に溶出し、生カキに比べて美味しさにかけるという課題があった。
むき身カキをボイルする目的は、洗浄だけでなく殺菌も兼ねており、ボイルしないで菌の増殖を抑えながらアミノ酸成分を大幅に増大させた乾燥法が開発されれば、美味しい牡蠣乾燥品を消費者に提供することができる。
牡蠣だけでなく同様なことが、ホタテ、アワビ,ホヤを含む貝類、ワカメ、昆布を含む海藻類、ナマコを含む棘皮動物(きょくひどうぶつ)、ホヤを含む脊椎動物(せきついどうぶつ)等にもあてはまり、これらはボイル後乾燥されている。一方、海中を泳ぐ魚、例えばイカ、アジ、サンマ等はボイルしないで乾燥している。水産加工する際の原材料の汚れ、貝むき加工のしやすさ、殺菌、見栄え等を考慮して、ボイルしてから乾燥するか、水洗だけですぐ乾燥するかのいずれかの方法がとられている。
発明者は水産物または農産物の乾燥時もしくは加温時にUV−A域の紫外線を照射してアミノ酸量を増大させる方法を提案している。実施例として、イカ、カツオ、アワビ、椎茸、米菓に照射してアミノ酸量が増大したことを報告している。(例えば、特許文献1参照)
発明者は青緑色光(波長域450〜560nm)を海藻に照射することにより、アミノ酸の前駆物質であるペプチドやグルタミン酸が増加して旨みが増強され、さらに緑色を保ち、風味と栄養価に優れた乾燥海藻の製造法を提案している。(例えば、特許文献2参照)
発明者は農産物または水産物または畜産物のいずれかの食材の乾燥もしくは加工工程で、中心波長域450nmの青LEDもしくは中心波長域350nmのUV−A・LEDの光を照射し、抗酸化性物質含量もしくはGABA含量もしくはカテキン含量もしくはヌクレオチド含量を増大させる方法を提案している。(例えば、特許文献3参照)
UV−A、UV−B、UV−Cの3種類の紫外線の中でUV−Cに殺菌効果があることは知られている。殺菌光源として、中心波長域254nmの殺菌線を放射する殺菌灯が販売されている。水産加工の場合、一度に大量の魚介類を処理しなければならず、洗浄も兼ねて魚介類を沸騰水中に入れて殺菌するか蒸気で魚介類を殺菌するかのいずれかで、殺菌灯を用いている場合はほとんどない。
殺菌効果が極めて低いと考えられているUV−A域の紫外線殺菌に関して、360〜380nmの波長領域で、300mW/cm以上の強いUV−Aを照射すると、空気が優れた殺菌力を有する状態となり、この空気がUV−Aの直接照射されない部分においても、殺菌効果を有することを示し,大腸菌の殺菌率は30分後で100%と優れているという報告もある。(例えば、特許文献4参照)
特許文献4の殺菌装置は、大容量のUV−Aを照射する大量のLED光源からなる。サンプルとの照射距離がわずか2cmであり、しかも300mW/cm以上と屋外の太陽光の350倍以上の強いUV−Aを照射するためのLED素子を必要とするが、広い面積にこのような強力なUV−A照射する光源は実現不可能であり、実験室で少量のサンプルに照射するアイデアとしては良いが、現実的には水産加工の現場に適用するのには不可能である。そのため、それに代わる大量の魚介類を殺菌できる新しい方法が望まれる。
特開2002−142665公報 特開2005−245292公報 特許第5707623号 特許第4771402号
なし
牡蠣やホタテを含む魚介乾燥品を製造する際、まず洗浄と殺菌を兼ねてボイルしている。しかしボイル時に旨み成分が煮汁に溶出し、生鮮物に比べて美味しさにかけるという課題があった。北海道の干し貝柱製造に発生する煮汁は濃縮され、ラーメン等の調味液に利用されている程、煮汁には大量の旨み成分が含まれている。そこで、発明者のUV−A照射乾燥法(特許文献1)を採用し、「ボイル工程」をなくすことにより、「魚介類の旨みを損なうことなく製品化」が出来るだけでなく、UV−A照射により魚介類に含まれている「アミノ酸」が増加し、ボイル魚介乾燥品より、旨味成分が格段に増加したノンボイル魚介乾燥品が製造できれば、様々な食材に利用できる。
魚介類の乾燥の際にUV−A照射する温度は酵素活性を考え、25〜35℃と考えられる。その状態は含水率が高く、水分活性値も高く、菌が増殖する可能性が高い。そこで、どの程度のUV−A照射条件であれば、菌が増殖しないか、最適UV−A照射条件を求める必要がある。また、逆に菌の殺菌を考え、あまりも強力過ぎるUV−Aを照射すると、酵素活性が下がり、旨味成分の増大率が低下することも考えられる。そのため、殺菌効果と旨味成分効果のバランスの良い最適UV−A照射条件の確立が必要である。
魚介類のボイル時に旨み成分が煮汁に溶出するだけでなく、例えば牡蠣の場合表面の色も退色し、生鮮品に比べて見栄えが悪くなる課題があった。ホタテの場合は色の退色と肉質の膨潤が生じ、食感が悪くなる課題があった。
本発明はこのような課題に着目してなされたもので、旨味を溶出させない新製法により、ボイル前の成分が保持され、かつボイルした乾燥品より旨味成分が格段に増加する製造条件を見つけ、旨味成分が格段に増加したノンボイル乾燥品を製造することである。
発明者は上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、ボイルしない生の魚介類の乾燥工程にUV−Aの紫外線を照射することで、牡蠣の場合は得られる乾燥物の色調を濃く飴色にすることができること、ホタテの場合は肉質構造が平たい平滑状となることを見いだした。しかも、屋外の太陽光と同程度の弱いUV−A照射強度でも、得られた乾燥物の保存性が増し、殺菌しないノンボイルでもUV−A照射を行うことで十分保存性が保たれることも見いだした。本発明者は、これらの予想外の新知見に基づき、さらに鋭意研究を重ね、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記の課題を解決するために以下の発明を包含する。
(1)通常ボイル後乾燥する水産物について、ボイルを行わないで直接乾燥する際に光照射を行うことにより製造されたノンボイル水産乾燥品であって、従来のボイル後乾燥したものに比べてボイル前の呈味成分が保持され、かつ呈味成分が1.1倍以上増加されていることを特徴とする水産乾燥品。
(2)ノンボイル乾燥牡蠣であって、色彩色差径による測定で、表面の色調が明度L=4.52〜31.95、色度a= 1.93〜4.93、b=6.19〜16.97と従来のボイル乾燥品に比べて黄褐色が濃く飴色に変色し、内部構造が密集せず、咀嚼性が優れていることを特徴とする牡蠣乾燥物
(3)ノンボイルホタテであって、従来のボイル乾燥品が膨張したサクサク状の構造であるのに対し、なめらかな表面を持つ平滑状の構造を有し、肉質が柔らかく、咀嚼性が優れていることを特徴とするホタテ乾燥物
(4)ボイルしない水産物にUV−A域の紫外線を照射し、従来のボイル後乾燥したものに比べてボイル前の呈味成分が保持され、ボイルによる内部構造の硬化も生じないので咀嚼性が優れ、殺菌効果も備えることを特徴とするノンボイル水産加工品の製造方法
(5)水産物がホタテ、牡蠣、あわびを含む貝類、ワカメ、昆布を含む海藻類、ナマコを含む棘皮動物(きょくひどうぶつ)、ホヤを含む脊椎動物(せきついどうぶつ)、いか、たこを含む頭足類、えび、かにを含む甲殻類、あじ、いわしを含む魚類であることを特徴とする請求項1に記載の水産加工品。
本発明により、従来のボイル後乾燥したものに比べて、牡蠣の場合は表面の色調の濃い飴色の乾燥物が、ホタテの場合は肉質構造が平たい平滑状の乾燥物が得ることができる。また、水産物をボイルすることにより、魚肉は硬く収縮し、収縮することによりアミノ酸等の呈味成分が含まれるエキス分が流出する現象が起きるが、本方式のボイルを行わないで直接乾燥する際に光照射を行うことにより、煮汁に呈味成分が流出しないのでボイル前の成分が保持され、かつ従来のボイル後乾燥したものに比べて呈味成分が1.1倍以上増加されている乾燥物が得ることができる。ボイルしないことにより、乾燥しても肉質が柔らかく、そしゃく性等の食感の評価も高く、官能評価でも本来の味がして、おいしいと言われる水産加工品ができる。さらに乾燥過程でUV−A照射を行うことにより殺菌効果が発現され、乾燥後も菌が増殖しなく保存性が保たれた水産加工品ができる。
本発明は、ボイルしない生の魚介類の乾燥工程にUV−Aの紫外線を照射することで煮汁に呈味成分が流出せず、呈味成分が保持され、かつ殺菌効果で保存性も良い乾燥物を得ることができる。
本発明で用いられる魚介類としては、乾燥前にボイルする魚介類であれば特に制限はない。例えば、あさり、はまぐり、しじみ、ほたて、かき、あわび、さざえなどの貝類、いか、たこなどの頭足類、えび、かに、おきあみなどの甲殻類、なまこなどの棘皮動物、ホヤなどの脊椎動物、わかめ、昆布、もずく、海苔、ひじき、まつもなどの海藻類、あじ、いわし、かつお、こまい、さば、たら、にしん、まぐろ、はたはたなどの魚類が挙げられる。
本発明では、従来乾燥工程前にボイル・煮沸工程をとる魚介類が対象であるが、ボイル工程には、沸騰水に入れる方式や蒸気を吹きかけるスチーム方式などがあるが、ボイル工程に特に制限はない。一般にボイルすると酵素が失活しUV−A照射効果は消滅すると言われるが、ボイルしない状態で乾燥過程中にUV−A照射することにより、色調を良くし、旨みを増加させ、肉質を柔らかくして、さらに殺菌効果により保存性を上げることが本発明の根幹であるので、その乾燥工程を経た乾燥物にマイナーなボイル工程をとった乾燥物も本発明の対象となる。
本発明では、水産乾燥品製造工程において、ボイルしない魚介類にUV−A域の紫外線を照射する。本発明で用いられるUV−A域の紫外線の波長の範囲としては、300〜430nmであり、好ましくは315〜380nmに中心波長があるのが望ましい。UV−A域の紫外線の照射強度は特に制限はなく、好ましくは0.2mW/cm以上、より好ましくは0.6mW/cm以上、さらに好ましくは1.0mW/cm以上である。乾燥温度は低温の方が望ましく、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下である。本発明のUV−A域の紫外線では、UV−A域の紫外線以外の他の波長の光線、例えば、UV−A以外の紫外線又は各波長の可視光線との併用でも良い。
本発明における照射とは、UV−A域の紫外線を発生する装置を用い、魚介類の表面に照射することを指す。UV−A域の紫外線の発生装置は、UV−A域の紫外線を発生する装置であれば特に制限はないが、例えば、UV−A域の紫外線を発生する蛍光管やLEDなどが挙げられる。
以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
<ノンボイルホタテの評価>
生ホタテを蒸し器で10分間ボイルした後に、取り出して冷却する。冷却されたボイルホタテを木製の乾燥機(縦650mm,横940mm、長さ1500mm)に入れ、25℃の設定温度で15時間乾燥を行い、ボイルホタテ非照射乾燥物を製造した。もう一方のサンプルとして、ホタテをボイルせず、そのまま同じ木製の乾燥機に入れてUV−A域の紫外線を照射する光源により同様な25℃の設定温度で15時間UV−A照射乾燥を行い、ノンボイルUV−A照射ホタテ乾燥物を製造した。UV−A照射強度は1.05mW/cmである。図1はボイルしたホタテおよびボイルしないホタテを実験材料にして、UV−Aを照射しない非照射の場合、UV−Aを照射した場合の17種類の遊離アミノ酸総量を示し、アミノ酸量に及ぼす光照射の影響を示した結果である。ボイルさせたホタテに紫外線UV−Aを照射しても紫外線UV−Aを照射しない場合と比べてアミノ酸総量はほとんど増えていない。これは沸騰により酵素が失活したためではないかと考えられる。
非照射乾燥の条件でボイルとノンボイルを比較すると、ボイルすることによりホタテの旨味成分が煮汁に溶出し、ノンボイルホタテの65%程度しかアミノ酸量が含まれていない。このように、ボイルすることにより35%とかなりの量のアミノ酸が流出していることが明らかになった。
ホタテをボイルせず、生のまま(ノンボイル)のホタテに1.05mW/cmのUV−Aを照射して乾燥したホタテのアミノ酸含量はUV−Aを照射しないホタテの場合に比べて1.26倍増加した。このような乾燥時におけるUV−A照射によるホタテのアミノ酸増加については、発明者の特許文献3にも書かれていることである。
図2と図3はボイルしたホタテにUV−A照射乾燥した乾燥物とUV−A照射しない非照射乾燥した乾燥物の表面性状を写真で表したものである。色彩色度計で測定した彩度a(+赤色 → ―緑色)b(+黄色 → ―青)明度Lの平均値はUV−A照射乾燥の場合、L=1.53、a=0.306、b=0.703,非照射乾燥の場合 L=2.12、a=0.08、b=0.59である。識別できる色の差いわゆる色差はΔE=0.64の値で、肉眼で識別出来る色差ΔEは1.5以上と言われており、UV−A照射によって、見栄えの変化はほとんどわからない。
図4と図5はボイルしないノンボイルホタテにUV−A照射乾燥した乾燥物とUV−A照射しない非照射乾燥した乾燥物の表面性状を同様に写真で表したものである。色彩色度計で測定した彩度a(+赤色 → ―緑色)b(+黄色 → ―青) 明度Lの平均値はUV−A照射乾燥の場合、L=2.4、a=0.173、b=0.406非照射乾燥の場合、L=1.73、a=0.196、b=0.346である。識別できる色の差いわゆる色差はΔE=0.67の値で、肉眼で識別出来る色差 ΔEは 1.5以上と言われており、UV−A照射によって、見栄えの変化はほとんどわからない値であるが、UV−A照射の方が、透明感のある黄褐色から濃い黄褐色へと、飴色が濃くなっている。
図6と図7はボイルホタテとノンボイルホタテの表面を光学顕微鏡で写した写真である。また図8と図9は、サンプル表面からの反射光を検出器で受光する方式の白色光共焦点顕微鏡を用いてボイルホタテとノンボイルホタテの表面をより高倍率で写した写真である。ボイルホタテ乾燥品とノンボイルホタテ乾燥品を比べると、UV−A照射の有無に係わらず、ボイルしたホタテの場合、ボイルすることにより肉質が膨張し、乾燥することによりその形状で固まり、空隙があり、ふっくらした構造であることが図6と図8から読み取れる。そのため噛んだ際に口の中でサクサクと噛み砕かれる。一方、ノンンボイルホタテ乾燥品の場合、乾燥するにつれて生肉が収縮するだけであるので、薄く平滑状構造であることが図7と図9から読み取れる。このようにボイルとノンボイルとでは、肉質構造がかなり異なっている。しかしボイル、ノンボイルいずれの場合もUV−A照射と非照射のUV−A照射方法の違いによる肉質構造の変化はみられない。
<ノンボイル牡蠣の評価>
(1)色調の評価
従来品の蒸し牡蠣は、牡蠣をスチームコンベクションオーブン(蒸気加熱器)により蒸気で蒸すことにより製造される。そこで、生牡蠣を蒸し器で10分間ボイルした後に、取り出して冷却する。冷却されたボイルホ牡蠣を電気食品乾燥機(大紀産業(株)製:MiniII)に入れ、ダンパー▲5▼の状態で25℃の設定温度で15時間乾燥を行い、ボイル牡蠣非照射乾燥物を製造した。もう一方のサンプルとして、牡蠣をボイルせず、そのまま電気食品乾燥機に入れてUV−A域の紫外線を照射する光源により同様な条件のダンパー▲5▼の状態で25℃の設定温度で15時間UV−A照射乾燥を行い、ノンボイルUV−A照射牡蠣乾燥物を製造した。UV−A照射強度は1.05mW/cmである。
図10はボイルしない生牡蠣をUV−A照射乾燥したノンボイル牡蠣乾燥物表面形状を、ボイル後乾燥した従来品の蒸し牡蠣を比較して示したものである。従来品の蒸し牡蠣に比べてノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣の方が、薄い黄褐色から濃い黄褐色へと飴色が濃くなっている。約3週間天日干しした牡蠣の表面性状を図11に示す。UV−A照射乾燥牡蠣は天日干し程濃くなく、見栄えが良くなっている。飴色に変色するのは紫外線による影響と考えられる。
図10に示したボイルしない生牡蠣をUV−A照射乾燥したノンボイル牡蠣乾燥物表面形状とボイル後乾燥した従来品の蒸し牡蠣の色調を色彩色度計で測定した結果を図12に示す。色彩色度計で測定した彩度a(+赤色 → ―緑色)、b(+黄色 → ―青) 明度Lの23カ所の平均値は、U UV−A照射乾燥の場合、L=14.84、a=3.53、b=12.07で、一方のボイル蒸し牡蠣の場合、L=12.91、a=4.09、b=9.91である。識別できる色の差いわゆる色差はΔE=2.95の値ある。肉眼で識別出来る色差ΔEは 1.5以上、著しく異なると識別できる色差ΔEは3.0以上と言われており、従来品の蒸し牡蠣に比べて、ノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣の方が、薄い黄褐色から濃い黄褐色へと飴色が濃くなっていると誰の目にも識別できることは明白である。
牡蠣が飴色に変色したことは、褐変反応をUV−A照射が促進させたと考えられる。農産物の褐変については、りんごの切り口がりんごに含まれる酵素ポリフェノールオキシダーゼによって、ポリフェノールが酸化し、褐色物質ができる酵素的褐変が知られている。一方水産物の褐変については、魚肉の結合肉や赤身魚の普通肉に含まれる色素タンパク質ミオグロビンが酸素の結合によりメトミオグロビンになることで褐色になるメト化が知られている。メト化は鮮度低下や−20℃のような温度帯で保存した場合に魚肉の色調が鮮やかな赤色から褐色に変化する現象である。
牡蠣が飴色に変色したことは、鮮魚のメト化も考えられないこともないが、アミノ酸由来のアミノ基と糖由来のカルボニル基の共存で起こる非酵素的褐変であるメイラード反応が紫外線によって促進されたと考えられる。図11に示した約3週間天日干しした牡蠣の表面がUV−A照射乾燥物以上に濃い飴色に変色していることが、その現象を裏付けている。
(2)呈味成分の評価
生牡蠣を原料に製作したノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣の15種類のアミノ酸含量を、ボイルした牡蠣を乾燥しただけのボイル非照射乾燥牡蠣と比較した結果を図13に示す。図中、ASPはアスパラギン酸、SERはセリン、GLUはグルタミン酸、GLYはグリシン、HISはヒスチジン、ARGはアルギニン、ALAはアラニン、PROはプロリン、TYRチロシン、VALバリンは、METはメチオニン、LYSはリジン、ILEはイソロイシン、LEUはロイシン、PHEはフェニルアラニンの各アミノ酸の略称である。牡蠣には苦味成分のアルギニンが一番多く含まれ、次いで旨味成分のグルタミン酸、甘味成分のアラニン、プロリンである。ボイルしないでUV−A照射を行うことにより、各アミノ酸含量がボイル乾燥牡蠣より0.6〜5.1倍増大していることがわかる。各アミノ酸の増加倍率は牡蠣の収穫時期および鮮度によって変動する。
牡蠣をUV−A照射、非照射の2パターンで乾燥し、測定した乾燥物の15種類のアミノ酸含量の総量を2週間天日干しした牡蠣および煮汁のアミノ酸総量と比較して図14に示す。この乾燥実験では、アミノ酸総量が1.1倍増大する。その値は2週間天日干しした牡蠣より多い。ボイルした際に発生する牡蠣の煮汁のアミノ酸を分析すると、アミノ酸総量が1700mg含まれており、ボイルすることにより、多量のアミノ酸が流出していることがわかる。UV−A照射牡蠣は、ボイルしない生の牡蠣にUV−A照射して乾燥するので、煮汁によるアミノ酸の流出がないので、呈味成分が保持される。このようにボイルすることにより、牡蠣の呈味成分のアミノ酸含量が20〜35%流出し、UV−A照射乾燥ノンボイル牡蠣のアミノ酸含量は従来品のボイル後乾燥した乾燥物に比べて大幅に増加することが明らかになった。
(3)糖類の評価
ボイルしない生の牡蠣にUV−A照射乾燥したノンボイル牡蠣乾燥物に含まれる牡蠣の主要な成分である多糖類のグリコーゲン量の変化を図15に示した。グリコーゲンは単独では無味無臭だが、ほかの味と一緒になるとコクと旨味が出ると言われている。疲労回復と脳の活性化、血糖値の調節に大きく関与している物質である。UV−A照射することにより、乾燥カキのグリコーゲン量は1.27倍増加する。
(4)殺菌効果の評価
UV−Cは殺菌に用いられる紫外線である。UV−AはUV−Cより波長が長く、エネルギー的にも小さい光である。光照射乾燥法は酵素活性を高めることにより、呈味成分等を増加させるので、UV−A照射強度を強くすると酵素も失活されるので、UV−A照射強度を強くできない。光照射乾燥法に用いられるUV−A照射強度下での殺菌効果は不明であった。
そこで、ボイルしない生牡蠣を非照射、UV−A照射の2通りの照射方法で乾燥された牡蠣の一般生菌数を比較して図16に示す。一般生菌数は、6時間乾燥した牡蠣を10℃の恒温器で20日間保管し、標準寒天培地培養法で測定したものである。UV−A照射は非照射に比べて、生菌数が1/55に減少し、殺菌効果があり、保存性が増すことが初めて明らかになった。6時間乾燥した直後の牡蠣の一般生菌数は、非照射、UV−A照射ともに300以下であるので、乾燥中でなく、10℃の貯蔵中に菌が増殖したことを示している。
(5)官能評価
ノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣のアミノ酸含量とグリコーゲン含量が増大することが分析結果から明らかになった。実際に食べてみる官能評価結果を図17に示す。ノンボイル非照射乾燥の牡蠣乾燥物を基準に、ノンボイルUV−A照射牡蠣乾燥物を色、牡蠣の香り、味、食感、総合の5項目につき、7段階(−3,−2、−1、0,1,2,3)で10名のパネラーで評価した。外観は好ましくないという評価があったものの、「ノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣は牡蠣の味が強く出ている。牡蠣フライのような生牡蠣を食べている感じがする。」に代表されるように、牡蠣の香り、味、旨みと甘味、歯ごたえや弾力や硬さを示す食感および全体評価ともUV−A照射した牡蠣の方の評価が高かった。
図17はボイルしない牡蠣を乾燥したノンボイル非照射乾燥を基準とした比較であるが、ボイル後乾燥した従来品の蒸し牡蠣を基準とした官能評価も同様に行った。その結果、「従来品の蒸し牡蠣は、牡蠣の味があまりしなくて、食感が硬いのに対して、牡蠣の味がしている。」「ノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣は、従来品の蒸し牡蠣に比べて、格段に美味しい。」等のような評価が得られ、ボイル後乾燥した従来品の蒸し牡蠣に比べ格段に旨さが違う結果となった。
様々な調理用食材としての可能性を探るため、ノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣をオリーブオイルでにんにくとトマトと一緒にソテーした味付け牡蠣の場合の官能評価結果を図18に示す。基準はノンボイル非照射乾燥牡蠣で、評価方法は図17と同じ7段階評価で、パネラーも同じ方である。
図17に示した乾燥物と同様に色と食感は余り差が出なかったが、「ノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣の味が、にんにくの香りとトマトの旨みにマッチして、地中海料理としてふさわしい」「従来品の蒸し牡蠣は、牡蠣の味があまりしないのに対し、本来の牡蠣の味がして美味しい。」「基準物と比べて調味液にマッチしている。」「基準物に比べて味が濃い。」等のような評価が得られ、味付け牡蠣の場合でも、総合で、+1が4名、+2が6名で、UV−A照射した牡蠣の評価が高かった。
<ノンボイルホヤ乾燥物の評価>
ホタテ、牡蠣以外の魚介類として、貝類以外の魚介類として脊椎動物であるホヤを選び、同様な効果が現れるか検証した。生ホヤを蒸し器で10分間ボイルした後に、取り出して冷却する。冷却されたボイルホヤを電気食品乾燥機(大紀産業(株)製:MiniII)に入れ、ダンパー▲5▼の状態で25℃の設定温度で15時間乾燥を行い、ボイルホヤ非照射乾燥物を製造した。もう一方のサンプルとして、ホヤをボイルせず、そのまま電気食品乾燥機に入れてUV−A域の紫外線を照射する光源により同様な条件のダンパー▲5▼状態で25℃の設定温度で15時間UV−A照射乾燥を行い、ノンボイルUV−A照射ホヤ乾燥物を製造した。UV−A照射強度は1.05mW/cmである。
図19に乾燥前の生ホヤとボイルした直後のホヤの写真を比較して示す。ボイルすることにより、ホヤは硬く収縮し、小さくなっていることがわかる。身が収縮するということは、アミノ酸等の呈味成分が含まれるエキス分が流出する現象が起きる。
ノンボイルUV−A照射ホヤ乾燥物の表面性状を図20に、ボイルホヤ非照射乾燥物を図21にそれぞれ写真で示す。ボイルせずにUV−A照射乾燥することにより、ホヤ特有の赤褐色の色は、メイラード反応のせいできれいな飴色に変色している。一方のボイルホヤ非照射乾燥物は小さく硬化した肉質は変わらず、色について乾燥前は赤い部分も見られたが、全体的に黒っぽい濃い飴色になっている。このように牡蠣に限らず、ホヤでもボイルせずにUV−A照射乾燥を行うと、飴色に変色している。
ホヤに含まれる呈味成分のアミノ酸の中で、3種類のアミノ酸(苦み成分のアルギニン、甘味成分のプロリン、苦み成分のフェニルアラニン)の含量を分析し、ノンボイルUV−A照射することにより、ボイルホヤ乾燥物に比べて呈味成分がどのように変化するかを図22に示した。ノンボイル非照射ホヤ乾燥物の3種類のアミノ酸含量はボイルホヤ乾燥物に比べて1.48倍増加しており、ホヤについても、ボイルを行わないで乾燥することにより、呈味成分であるアミノ酸含量の流出を阻止して成分が保持されることを示す。図中のノンボイルホヤ乾燥物について、ノンボイルUV−A照射ホヤ乾燥物のアミノ酸含量はノンボイル非照射ホヤ乾燥物より1.18倍増加しており、UV−A照射効果によるものと思われる。ノンボイルによるアミノ酸量の流出の阻止効果とUV−A照射によるアミノ酸量増加の二つの効果で、ノンボイルUV−A照射ホヤ乾燥物の3種類のアミノ酸含量は1.74倍増加した。
<ノンボイルあわび乾燥物の評価>
ホタテ、牡蠣と同じ貝類であるあわびを材料に同様な効果が現れるか検証した。生あわびを蒸し器で10分間ボイルした後に、取り出して冷却する。冷却されたボイルあわびを電気食品乾燥(大紀産業(株)製:MiniII)に入れ、ダンパー▲5▼の状態で25℃の設定温度で15時間乾燥を行い、ボイルあわび非照射乾燥物を製造した。もう一方のサンプルとして、あわびをボイルせず、そのまま電気食品乾燥機に入れてUV−A域の紫外線を照射する光源により同様な条件のダンパー▲5▼の状態で25℃の設定温度で15時間UV−A照射乾燥を行い、ノンボイルUV−A照射あわび乾燥物を製造した。UV−A照射強度は1.05mW/cmである。
図23に乾燥前の生あわびの表面性状を、図24にボイルした直後のあわびの表面性状を比較して写真で示す。ボイルすることにより、あわびのみずみずしさは薄れ、肉質が収縮しているが、肉質が硬いのでホヤほど小さくなってはいない。また、ボイルすることによって外側の表面の褐変が進んでいる。
ノンボイルUV−A照射あわび乾燥物の表面性状を図25に、ボイルあわび非照射乾燥物の表面性状をを図26にそれぞれ写真で示す。UV−A照射乾燥することにより、あわび特有の黄白色の色は、メイラード反応のせいできれいな飴色に変色している。一方のボイルホヤ非照射乾燥物は小さく硬化した肉質は変わらず、色について乾燥前の黄白色は全体的濃くなっている。このように牡蠣に限らず、あわびでもボイルせずにUV−A照射乾燥を行うと、飴色に変色している。
あわびに含まれる呈味成分のアミノ酸の中で、11種類のアミノ酸(セリン、グルタミン酸、グリシン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、リジン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン)の含量を分析し、ノンボイルのあわびにUV−A照射することにより、ボイルあわび乾燥物に比べて呈味成分がどのように変化するかを図27に示した。ノンボイルUV−A照射あわび乾燥物の11種類のアミノ酸含量はボイルあわび乾燥物に比べてほとんど変わらない。各アミノ酸含量をみると、ボイルに比べて増加しているアミノ酸、逆に減少しているアミノ酸もあり、変化がないという結果になった。これは、ホヤ、牡蠣、ホタテと異なり、あわびの肉質はコリコリと硬く、ボイルによる肉質の硬化による呈味成分の流出が少ないことによるものと思われる。
<ノンボイル乾燥物のテクスチャー評価>
ボイル乾燥物とノンボイル乾燥物のかたさ、凝集性(もろさ、咀嚼性、ガム性)、粘性、弾性、付着性等の力学的特性の違いを検証するために、ホタテと牡蠣を材料に、レオメーター((株)サン科学製:CR−3000EH−S)で波形解析を行った。円柱系プランジャーを用い、進入距離10.0mm、テーブル移動速度は50mm/min、ロードセル最大応力は200Nの条件で行った。プランジャーは一度サンプルを押して進入したのち、上昇し元に戻り、再度サンプルに進入する反復回数2回の条件で行った。サンプルとして、ホタテと牡蠣を選び、非照射乾燥機とUV−A照射乾燥機で、一方はボイルした後非照射乾燥機に、もう一方はそのままの状態でUV−A照射乾燥機に入れ、同一の乾燥時間、乾燥温度でボイルホタテ非照射乾燥物とノンボイルUV−A照射ホタテ乾燥物、およびボイル牡蠣非照射乾燥物とノンボイルUV−A照射牡蠣乾燥物を作成した。UV−A照射強度は実施例1および実施例2の場合と同じである。
ボイルホタテ非照射乾燥物とノンボイルUV−A照射ホタテ乾燥物を比較したレオメーターの波形図を図28に示す。縦軸は荷重[Kgf]で、横軸は進入距離すなわちテーブルが移動してからの時間である。ボイルホタテの方が硬いため、1回目の進入時には、最大1.2[Kgf]の荷重を要し、2回目に進入する際の距離は48mmである。一方のノンボイルホタテの場合は1回目の進入時には、最大1.0[Kgf]と肉質が柔らかく、2回目に進入する際の距離が52mmとボイルホタテに比べて進入距離が長い。これはノンボイルホタテの場合、押しに対する弾力性が小さく、へこみが大きいことを示している。
波形解析から求めたもろさ(N)、弾力性(%)、変形に対する力学的特性の凝集性(%)、ゴム状であるかをみるガム性(N)、そしゃく性(N)を比較して図29に示す。ここで、そしゃく性は硬さ×凝集性×弾力性から求まる。ノンボイルUV−A照射ホタテ乾燥物の方がボイルホタテ非照射乾燥物比べて、もろさが75%と小さく、弾力性が200%と高く、凝集性が50%と小さく、ガム性も40%と少なく、結果としてそしゃく性が小さい、つまり噛み砕きやすいことを示している。
ボイル牡蠣非照射乾燥物とノンボイルUV−A照射牡蠣乾燥物を比較したレオメーターの波形図を図30に示す。縦軸は荷重[Kgf]で、横軸は進入距離すなわちテーブルが移動してからの時間である。ボイル牡蠣の方が硬いため、1回目の進入時には、最大0.96[Kgf]の荷重を要し、2回目に進入する際の距離は62mmである。一方のノンボイル牡蠣の場合は1回目の進入時には、最大0.7[Kgf]と肉質が柔らかく、一度荷重が下がって再び上昇する2回のピークが表れる。これは肉質がもろいことを示す。2回目に進入する際の距離が70mmとボイル牡蠣に比べて進入距離が長い。これはノンボイル牡蠣の場合、押しに対する弾力性が小さく、へこみが大きいことを示している。
波形解析から求めたもろさ(N)、弾力性(%)、変形に対する力学的特性の凝集性(%)、ゴム状であるかをみるガム性(N)、そしゃく性(N)を比較して図31に示す。ここで、そしゃく性は硬さ×凝集性×弾力性から求まる。ノンボイルUV−A照射牡蠣乾燥物の方がボイル牡蠣非照射乾燥物比べて、もろさが4%と小さく、弾力性が25%と小さく、凝集性が93%とわずかに小さく、ガム性も78%と小さく、結果としてそしゃく性が1/5とかなり小さく、つまり噛み砕きやすいことを示している。
<UV−A照射の殺菌効果の検証>
(1)保存性試験
図10に示したように、牡蠣を乾燥する際にUV−A照射すると、非照射乾燥に比べて一般生菌数は1/55に減少する。その殺菌効果は、UV−A照射によるものなのか?乾燥による含水率の減少によるものなのか?を詳しく検証するために、水産物をサンプルとして実験を行った。非照射乾燥機とUV−A照射乾燥機の2台の乾燥機を用い、生牡蠣を非照射乾燥機とUV−A照射乾燥機にそれぞれ入れ、同一の乾燥時間、乾燥温度で乾燥を行った。得られた両方の乾燥物を蒸し器で軽く数分間蒸して、ノンボイル非照射乾燥牡蠣とノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣を作成した。UV−A照射強度は実施例2の場合と同じである。
非照射、UV−A照射の2通りの照射方法で乾燥された牡蠣の一般生菌数を比較して図32に示す。一般生菌数は、10℃の恒温器で20日間保管し、標準寒天培地培養法で測定したものである。非照射乾燥牡蠣の一般生菌数が2億(10)とかなり多いのに対し、UV−A照射は300以下のかなり少ない。食品衛生法では、生食用魚介類、魚介加工品も一般生菌数は10万(10)、50万以下とも言われており、非照射乾燥牡蠣の一般生菌数の2億(10)と言う数字は腐敗し、食品として扱えないことを意味している。このことは、乾燥過程の中でUV−A照射せず、得られた乾燥物を蒸し器で軽く蒸気加熱しても殺菌されず、乾燥過程の中でUV−Aを照射することにより殺菌できたことを示している。
(2)水分活性値測定
食品中の水分は大きく、結合水と自由水の2種類の形で存在する。結合水とは、食品中の炭水化物やタンパク質に存在する官能基と水素結合によって結合して束縛された水で、微生物の生育や酵素反応には利用されない水を示す。一方の自由水とは食品成分と束縛されずに存在し、蒸発や氷結にかかわり移動する水を示し、微生物もよく利用でき、食品の保蔵性に直接関係する水である。食品の水分と保蔵性との関係を判断する上で、有効な指標が水分活性値Aw(water activity)である。水分活性値とは、食品中に含まれる全水分量に対する自由水の指標であり、水分活性が高い食品は、自由水が多く、微生物が繁殖しやすい食品群である。水分活性が、0.9以上で普通細菌が、0.8以上で普通カビが生育可能であり、果実の水分活性は0.985〜0.990で常温だと腐敗やカビが生える。水分活性を低くして、食品の保存性を高めるために、果実ジャムは、スクロースや自由水を結合水に変えて水分活性の値を低くして保存性をあげている。
乾燥中のUV−A照射によって水分活性値が上昇し、食品が腐敗しにくくなることも考えられる。そこで、乾燥しやすい材料であるりんごとイチゴをサンプルとして、非照射乾燥の場合とUV−A照射乾燥の場合で、水分活性計により水分活性値Awを測定し、UV−A照射によって水分活性値Awに変化が見られるか検討した。乾燥機は、これまでの実施例2で使ったのと同じ乾燥機である。イチゴの場合、30℃で18時間乾燥の場合、非照射乾燥:Aw=0.95、UV−A照射乾燥:Aw=0.95、40℃で36時間乾燥の場合、乾燥が進行して含水率が減少するため、非照射乾燥:Aw=0.53、UV−A照射乾燥Aw=0.49と水分活性値Awが下がるが、非照射、UV−A照射ともに水分活性値Awに変化が見られない。一方りんごの場合、30℃で18時間乾燥の場合、非照射乾燥:Aw=0.98、UV−A照射乾燥:Aw=1.0、40℃と変わらない。24時間乾燥の場合、乾燥が進行して含水率が減少するため、非照射乾燥:Aw=0.71、UV−A照射乾燥:Aw=0.70と水分活性値Awが下がる。40℃で36時間乾燥の場合、非照射乾燥:Aw=0.44、UV−A照射乾燥:Aw=0.41と非照射、UV−A照射ともに水分活性値Awに変化が見られない。なお、乾燥が進行するにつれてUV−A照射乾燥の水分活性値の方が若干小さいのは、食品の表面が光源からの放射伝熱で加熱されるためと考えられるが、微生物の成育に関係し保存性に影響を与えるほどの差ではない。
(3)天日干しスルメの細菌検査
塩の香りがする風速1.0〜3.0m/sの潮風が常に吹く、海に面した南向きの高台の干し場で、晴天の日が続く10月中旬にイカを4日間天日干しした。昼間の外気温は最高気温20℃である。早朝に市場に水揚げされたイカをさばいて干し場に干し、夕方になると一旦、軽く通風している部屋に入れ室内干しを行う。翌朝再び干し場に干し、夕方室内干しを行う。この操作を4日間繰り返して、天日干しスルメを作成した。比較例として4日間ずっと室内干ししたスルメも作成した。天日干しスルメと室内干しスルメの一般生菌数をCPC法で測定した。天日干しするめの一般生菌数は2.3×10(2,300万個)とかなり多く、室内干しの生菌数は1.1×10(1,100万個)の2倍以上ある。晴天の日の太陽のUV−Aの照射強度が最大0.80mW/cm程度ある。室内干しに比べ、天日干しは直射日光で品温が高くなる傾向があるが、0.80mW/cm程度のUV−Aを照射しただけでは、殺菌効果は表れないことを意味している。なお、得られた乾物スルメの水分活性値Awは0.528と小さく、2.3×10(2,300万個)の生菌数でも腐敗はしない。
(4)UV−A照射乾燥物の細菌検査
UV−A照射乾燥機を用いて、生イカをサンプルとして非照射乾燥とUV−A照射乾燥を行い、得られた一夜干しイカの細菌検査を行った。乾燥時間は4時間、16時間および60時間であり、通風温度は22.0℃である。UV−A照射強度は、場所により異なるが0.26〜0.65mW/cmの領域下にサンプルを置いて実験を行った。一般生菌数、含水率、水分活性値、pH、大腸菌類の5項目について、非照射乾燥とUV−A照射乾燥とを比較して図33に示す。図には(3)の天日干しスルメの細菌検査のデータも同時に示す。22℃と温風温度が低い場合、乾燥時間16時間の水分活性値が0.9までは、一般生菌数の値にそれ程の差はみられない。それが、乾燥時間60時間、含水率19%、水分活性値が0.62と乾燥が進むにつれて、UV−A照射の殺菌効果が現れ、一般生菌数は1/26と大幅に減少する。乾燥の進行につれても、UV−A照射によって含水率、水分活性値、pH、大腸菌類に変化は見られない。一般生菌数だけがUV−A照射によって減少し、乾燥の進行につれてUV−A照射による殺菌効果が顕著に発現されることが明らかになった。
天日干しスルメの細菌検査、UV−A照射乾燥物の細菌検査および牡蠣の保存性試験の結果を総合的に考えると、UV−A照射による殺菌効果に関して、含水率が高く水分活性値が高い乾燥初期、生の魚介類にUV−A照射を行っても殺菌効果は現れない。それが乾燥の進行につれて含水率が減少し水分活性値が少なくなると、殺菌効果が現れる。天日干し程度の紫外線照射量でも水分が減少し、UV−Aのエネルギーが水分に吸収されることなく、肉質に効率的に照射できるようになるので、殺菌効果が発現すると考えられる。水産物の乾燥過程における殺菌に関しては、乾燥するだけでは殺菌効果は弱く、UV−A照射効果と乾燥効果の二つを併せ持つUV−A照射と乾燥を併用すること、すなわちUV−A照射乾燥法が有効と考えられる。
図32に示した保存性試験の結果では、UV−A照射乾燥牡蠣の一般生菌数が2億(10)とかなり多いのに対し、UV−A照射は300以下のかなり少ない。牡蠣の乾燥中では、一般生菌数は300以下で両者の差はない。10℃保存中に、非照射乾燥の場合は菌が増殖し、UV−A照射乾燥の場合はほとんど増加しない。これは、UV−A照射がUV−C照射のように菌を殺菌させるほどの強いダメージを与えないが、細胞に直接働く刺激で、生き返らせないというUV−A独自の殺菌効果によるものと思われる。
前述の実験結果から、水分活性値が高い生の牡蠣やホタテにノンボイル非照射乾燥を行っても殺菌効果はあまり期待できない。そのため水分活性値が0.9以上と高く腐敗しやすい牡蠣やほたて等の水産物はボイルすることにより殺菌されていた。UV−A照射乾燥法により、ボイルすることなく、殺菌もできることにより保存性の高い乾燥物が製造できる。
<UV−A照射によるアミノ酸増大効果の検証>
発明者は特許文献1において、UV−A照射により農水産物に含まれるアミノ酸含量が増大することを提示した。また、特許文献3では、UV−A照射により水産物に含まれるイノシン酸等の核酸系物質であるヌクレオチド含量が増大すること、あるいは農産物に含まれる抗酸化性物質含量等が増大することを提示した。本出願特許においても、ボイルしない牡蠣やホタテの水産物のアミノ酸含量が増大すえることを提示している。アミノ酸含量が増大する理由として、農水産物に含まれる各種酵素がUV−A照射によって活性化されるのではと説明してきた。そこで、UV−A照射がタンパク質分解酵素活性に影響を及ぼしていることを確認するため、試験管スケールで、基質として標準たんぱく質(カゼイン)と酵素(キモトリプシン)を用い、基質量Sと酵素量Eの混合比(S/E),反応時間および照射強度を変化させ、UV−Aを照射することによりアミノ酸含量がどのように増加することを確認し、UV−A照射によるアミノ酸増大効果の検証を行った。UV−A照射強度は0.70mW/cmである。
図34は基質として標準たんぱく質(カゼイン)と酵素(キモトリプシン)を用い、基質量Sと酵素量Eの混合比S/E=4000の場合、各種条件での反応後6時間経過したアミノ酸含量を示し、図35はS/E=4000の場合、各種条件での反応後12時間経過したアミノ酸含量を示し、酵素とUV−A照射の影響を検討したものである。両者の図とも、図の左から酵素をいれてUV−A照射した場合、酵素無添加でUV−A照射のみの場合、酵素を入れて照射なしの場合、酵素無添加で光照射なしの場合である。酵素を添加しただけでは、1.3倍しかアミノ酸含量は増加しないが、酵素を添加してUV−A照射を行うと3.0倍もアミノ酸含量が増大することがわかる。このように酵素を添加してUV−A照射を行うと、アミノ酸含量が格段に増えることを確認した。
図36は基質として標準たんぱく質(カゼイン)と酵素(キモトリプシン)を用い、基質量Sと酵素量Eの混合比(S/E)を10,100,1000と変えて反応後3時間経過したアミノ酸含量を、図37は同条件で反応後5時間経過したアミノ酸含量を示し、酵素とUV−A照射の影響を検討したものである。両者の図とも、左から光を照射しないで基質であるカゼイン(タンパク質)に酵素を添加した場合、カゼイン(タンパク質)に酵素を添加すると同時に光照射を行った場合、基質であるカゼイン(タンパク質)にUV−A照射した後に酵素を添加した場合の3通りの条件の場合で、酵素により分解されて生成するアミノ酸含量の変化を、基質量Sと酵素量Eの混合比(S/E)を変えて求めたものである。一番右の基質にUV−A照射した後に酵素を添加した場合が、一番アミノ酸含量が増大している。これらの結果から、UV−A照射によってタンパク質酵素活性が高まるのは、酵素が光によって影響されるのではなく、基質であるタンパク質の構造が光のエネルギーによって揺らぐ、すなわち光変性が起こり、そのため酵素がタンパク質の構造内部まで行き渡り、結果としてアミノ酸が多くできたと考えられる。
<波長の異なる光照射によるアミノ酸増大効果の検証>
UV−Aを照射する光源には蛍光管やLEDが挙げられる。UV−A域の紫外線の波長としては、ピーク波長が約350nmであり、可視光の青域の波長としてはピーク波長が約450nmである。UV−A域と青域の中間領域のピーク波長が405nmのLED光源を用いて牡蠣のノンボイル光照射乾燥物を製作し、色調とアミノ酸含量がどのように変化するのかを分析し、波長の異なる光照射効果の検証を行った。
乾燥方法・装置は実施例2と同じであり、生牡蠣をボイルせず、そのまま電気食品乾燥機(大紀産業(株)製:MiniII)に入れ、ダンパー▲5▼の状態で25℃の設定温度で15時間乾燥を行い、ノンボイル光照射牡蠣乾燥物を製造し、非照射の場合およびUV−A照射の場合と比較検討した。
牡蠣に含まれる呈味成分のアミノ酸の中で、15種類のアミノ酸(セリン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、アラニン、チロシン、プロリン、チロシン、バリン、メチオニン、リジン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン)の含量を分析し、ノンボイルの牡蠣にUV−A域の紫外線および405nmの光を照射することにより、非照射乾燥物に比べて呈味成分がどのように変化するかを図38に示した。UV−A照射乾燥の場合、アミノ酸総量は非照射乾燥の1.13倍増加する。UV−A域と青域の中間波長域である405nmの光を照射すると、1.30倍増加した。発明者の特許文献1および特許文献2によると、農水産物に含まれるアミノ酸含量増加はUV−A域の紫外線が最大であり、波長の長い青域の可視光線は、農産物のカテキン等の抗酸化性物質を最大に増加させることが知られている。UV−A域と青域の中間波長域である405nmの光がアミノ酸含量をUV−A以上に増加させることは、中間波長域の光照射についての新たな知見である。
ホタテや牡蠣に限らずノンボイル水産加工品はこれまで日本では販売されてなく、旨みを溶出させない新製法によるノンボイル乾燥物は全国の消費者に受け入れられることが期待できる。家庭で気軽に味わえる地中海料理や各種鍋料理食材として、あるいはレストランでの地中海料理食材として、郷土食豊かな駅弁食材として、おつまみとして、お土産として期待できる。
ホタテや牡蠣に限らず魚介類は水揚げ後の鮮度低下が速く、鮮度低下を避けるためにボイルしている。しかしボイル時に旨み成分が煮汁に溶出し、生鮮物に比べて美味しさにかけるという課題があった。干し貝柱製造に発生する煮汁は濃縮されラーメン等の調味液に、牡蠣エキスはオイスター調味液として利用されている程、優良な呈味成分が煮汁に含まれている。本発明のノンボイル光照射乾燥法は、乾燥時に殺菌効果が発現し、ボイルをせずに乾燥物を製造することができることから貝類、海藻類、脊椎動物、甲殻類、魚類等、様々な水産物に応用できる。
図1はホタテのアミノ酸総量変化に及ぼす光照射条件の影響を示した図である。(実施例1) 図2はUV−A照射したボイルホタテの表面性状を表した写真である。(実施例1) 図3はUV−A照射しない非照射の場合のボイルホタテの表面性状を表した写真である。(実施例1) 図4はUV−A照射したノンボイルホタテの表面性状を表した写真である。(実施例1) 図5はUV−A照射しない非照射の場合のノンボイルホタテの表面性状を表した写真である。(実施例1) 図6はノンボイルホタテの表面を光学顕微鏡で写した写真である。(実施例1) 図7はボイルホタテとの表面を光学顕微鏡で写した写真である。(実施例1) 図8はノンボイルホタテの表面を白色光共焦点顕微鏡で写した写真である。(実施例1) 図9はボイルホタテとの表面を白色光共焦点顕微鏡で写した写真である。(実施例1) 図10はボイル牡蠣とノンボイル牡蠣との表面性状を表した写真である。(実施例2) 図11は約3週間天日干しした牡蠣の表面性状を表した写真である。(実施例2) 図12はノンボイル牡蠣とボイル牡蠣の色調を色彩色度計で測定した結果である。 図13はUV−A照射乾燥牡蠣の15種類のアミノ酸含量をボイル非照射乾燥牡蠣と比較した結果である。(実施例2) 図14はUV−A照射したノンボイル牡蠣のアミノ酸含量をボイル牡蠣と比較したものである。(実施例2) 図15はUV−A照射したノンボイル牡蠣のグリコーゲン含量に及ぼす光照射の影響を表した図である。(実施例2) 図16は非照射、UV−A照射の2通りの照射方法で乾燥された牡蠣の一般生菌数を表した図である。(実施例2) 図17はノンボイルUV−A照射乾燥牡蠣の官能評価結果を表した表である。(実施例2) 図18はノンボイルUV−A照射乾燥味付け牡蠣の官能評価結果を表した表である。(実施例2) 図19は生ホヤとボイルした直後のホヤの表面性状を表した写真である。(実施例3) 図20はノンボイルUV−A照射ホヤ乾燥物の表面性状を表した写真である。(実施例3) 図21はボイルホヤ非照射乾燥物の表面性状を表した写真である。(実施例3) 図22はノンボイルUV−A照射ホヤに含まれる3種類のアミノ酸含量を表した図である。(実施例3) 図23は乾燥前の生あわびの表面性状を表した写真である。(実施例4) 図24はボイルした直後のあわびの表面性状を表した写真である。(実施例4) 図25はノンボイルUV−A照射あわび乾燥物の表面性状を表した写真である。(実施例4) 図26はボイルあわび非照射乾燥物の表面性状を表した写真である。(実施例4) 図27はノンボイルUV−A照射あわびに含まれる11種類のアミノ酸含量を表した図である。(実施例4) 図28はノンボイルUV−A照射ホタテ乾燥物のレオメーターの波形図をボイルホタテと比較して表した図である。(実施例5) 図29はノンボイルUV−A照射ホタテ乾燥物のもろさ、弾力性、凝集性、ガム性、そしゃくをボイルホタテと比較して表した表である。(実施例5) 図30はノンボイルUV−A照射牡蠣乾燥物のレオメーターの波形図をボイル牡蠣と比較して表した図である。(実施例5) 図31はノンボイルUV−A照射牡蠣乾燥物のもろさ、弾力性、凝集性、ガム性、そしゃくをボイル牡蠣と比較して表した表である。(実施例5) 図32は非照射、UV−A照射の2通りの照射方法で乾燥された牡蠣の一般生菌数を比較して表した図である。(実施例6) 図33は一般生菌数、含水率、水分活性値、pH、大腸菌類の5項目について、非照射乾燥とUV−A照射乾燥とを比較して表した図である。(実施例6) 図34はS/E=4000の場合、各種条件での反応後6時間経過したアミノ酸含量を表した図である。(実施例7) 図35はS/E=4000の場合、各種条件での反応後12時間経過したアミノ酸含量を表した図である。(実施例7) 図36はS/E=10,100,1000の場合、反応後3時間経過したアミノ酸含量を表した図である。(実施例7) 図37はS/E=10,100,1000の場合、反応後5時間経過したアミノ酸含量を表した図である。(実施例7) 図38はノンボイル牡蠣に405nmの光を照射した場合の乾燥物のアミノ酸含量を示した図である。(実施例8)

Claims (5)

  1. 通常ボイル後乾燥する水産物について、ボイルを行わないで直接乾燥する際に光照射を行うことにより製造されたノンボイル水産乾燥品であって、従来のボイル後乾燥したものに比べてボイル前の呈味成分が保持され、かつ呈味成分が1.1倍以上増加されていることを特徴とする水産乾燥品。
  2. ノンボイル乾燥牡蠣であって、色彩色差径による測定で、表面の色調が明度L=4.52〜31.95、色度a=1.93〜4.93、b=6.19〜16.97と従来のボイル乾燥品に比べて黄褐色が濃く飴色に変色し、内部構造が密集せず、咀嚼性が優れていることを特徴とする牡蠣乾燥物
  3. ノンボイルホタテであって、従来のボイル乾燥品が膨張したサクサク状の構造であるのに対し、なめらかな表面を持つ平滑状の構造を有し、肉質が柔らかく、咀嚼性が優れていることを特徴とするホタテ乾燥物
  4. ボイルしない水産物にUV−A域の紫外線を照射し、従来のボイル後乾燥したものに比べてボイル前の呈味成分が保持され、ボイルによる内部構造の硬化も生じないので咀嚼性が優れ、殺菌効果も備えることを特徴とするノンボイル水産加工品の製造方法
  5. 水産物がホタテ、牡蠣、あわびを含む貝類、ワカメ、昆布を含む海藻類、ナマコを含む棘皮動物(きょくひどうぶつ)、ホヤを含む脊椎動物(せきついどうぶつ)、いか、たこを含む頭足類、えび、かにを含む甲殻類、あじ、いわしを含む魚類であることを特徴とする請求項1に記載の水産加工品。
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