JP2002138378A - 脂肪族ポリエステル系繊維の捺染方法 - Google Patents
脂肪族ポリエステル系繊維の捺染方法Info
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Abstract
生分解性を有する脂肪族ポリエステル系繊維の織編物を
提供する 【解決手段】脂肪族ポリエステル系繊維の捺染に関し、
染料を印捺後120〜150℃の温度範囲の過熱水蒸気
または100〜120℃の範囲の飽和蒸気で発色処理す
ることを特徴とする織編物の染色物。
Description
ル系繊維の捺染方法に関する。更に詳しくは、発色性お
よび鮮明性が優れ、かつ染色堅牢度が良好な繊維構造物
の捺染方法に関するものである。
系繊維に代表される熱可塑性合成繊維は機械的強度、耐
薬品性、耐熱性および強伸度特性などに優れるため、衣
料用途や産業用途あるいは資材用途などを主体に広く使
用されている。
(PET)はW&W(ウオッシュアンドウエア性)、寸
法安定性および染色堅牢度に優れ、またアルカリ処理で
の減量加工により、種々の風合いが得られるため、衣料
用として特に優れた特性を有している。
レンテレフタレート繊維(PET)の場合は結晶化度が
高く、難染性であるため高温、高圧下での染色(125
℃〜135℃)が必要になること。また繊維の屈折率が
他の繊維に比較して高く、表面反射が増大し、天然繊維
あるいは他の合成繊維などに比較しても、染色物の発色
性や鮮明性が低いため、商品展開に制限があった。
注目を集めている脂肪族のポリエステル系繊維の特徴と
しては、芳香族ポリエステルに比較し、繊維の屈折率が
低く天然繊維に近似しているため、発色性や鮮明性が顕
著に向上する。また、従来の合成繊維では得られなかっ
たソフト感など天然繊維に類似の独自の風合いを有す
る。他方、欠点としては高温下あるいはアルカリ条件下
での湿熱処理において、特に加水分解が生じ易く、繊維
強度が大きく低下する傾向を示す。
に優れ、ソフト感を有し、しかも環境問題に対応できる
生分解性繊維からなる染色布帛は得られるものの、強度
面および、染色堅牢度が十分でないのが実状である。
性、発色性あるいはソフト性に優れ、更に生分解性を有
する脂肪族ポリエステル系繊維からなる繊維構造物にお
いて、強度面の低下が少なく、かつ高い染色堅牢性を有
する布帛を提供することにある。
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、脂肪族ポリエステル系繊維構造物の捺染
において、染料を印捺後120〜150℃の温度範囲の
過熱水蒸気または100〜120℃ の温度範囲の飽和
蒸気中で発色処理することを特徴とする脂肪族ポリエス
テル系繊維の捺染方法を採用することにより、染料固着
性が十分であり、繊維物性の低下がなく、かつ高染色堅
牢度を有する捺染方法を提供するものである。
意検討した結果、脂肪族ポリエステル系繊維の捺染にお
いて、該繊維を過熱水蒸気下での発色工程において、過
熱水蒸気下では120℃〜150℃または飽和蒸気下で
は100℃〜120で発色処理することにより、脂肪族
ポリエステル系繊維本来の特性である、優れた色彩特性
(発色性、深色性、鮮明性)および、繊維物性を損なう
ことなく、高染色堅牢性を可能にし、かかる課題を一挙
に解決することを究明したものである。
チフィラメント糸、あるいはステープルなどの短繊維で
あり、脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系
繊維より形成されていることが必要である。脂肪族ポリ
エステルを主体としたポリエステルで布帛を形成するこ
とによって、本発明の目的であるソフト感、深色性と生
分解性を発現させることができるのである。
ポリエステル系繊維の融点は130℃以上であることが
好ましい。融点が130℃未満であると、延伸時の熱セ
ット工程や染色加工工程において繊維が融着一体化して
しまうため、各種工程通過性が低下し、製品の品位も著
しく悪化する。好ましくは脂肪族ポリエステルの融点は
150℃以上であり、さらに好ましくは融点が160℃
以上である。ここで融点とはDSC測定によって得られ
た溶融ピークのピーク温度を意味する。
50で、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−3−ヒドロ
キシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレー
ト、ポリ−3−ヒドロキシブチレート/バリレートなど
のポリオキシ酸類、ポリエチレンサクシネート、ポリブ
チレンサクシネートなどの脂肪族ジカルボン酸と脂肪族
ジオールの重縮合物類、ポリピバロラクトンなどの脂肪
族環状エステルを開環重合して得られるポリエステル
類、およびこれらのブレンド物、変性物等を例示するこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
ましいポリマーとしては、L−乳酸及び/又はD−乳酸を
主たる繰り返し単位とするポリエステルであるポリ乳酸
を挙げることができる。ポリ乳酸の製造方法には、L−
乳酸及び/又はD−乳酸を原料として一旦環状二量体で
あるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う二段
階のラクチド法と、L−乳酸及び/又はD−乳酸を原料と
して溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が
知られている。
よって得られたものであってもよい。
とも5万、好ましくは少なくとも10万、より好ましくは1
0〜30万である。重量平均分子量が5万よりも低い場合に
は繊維の強度物性が低下するため好ましくない。30万を
越える場合には溶融粘度が高くなりすぎ、溶融紡糸が困
難になる場合がある。
酸、D−乳酸の他にエステル形成能を有するその他の成
分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。なかで
も、高融点、高耐熱性の観点からポリ乳酸が望ましい。
共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロ
キシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、
6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸
類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレ
ングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の
分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれら
の誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸等の分子
内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれ
らの誘導体が挙げられる。ただし、繊維強度を損なわな
いために、繊維の70モル%以上が乳酸単位であることが
望ましい。
プロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレ
ンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマー
や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリ(エチレン−プロピレン)グリコール共重合ポ
リマーなどの脂肪族ポリエーテルポリマーを内部可塑剤
として、あるいは外部可塑剤として用いることができ
る。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減
剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合
物を必要に応じて添加することができる。
ール〜30デニール、マルチデニールの場合は5〜50
0デニールである。また断面形状については丸断面の
他、中空、三角、5葉、あるいは8葉等の異形断面のい
ずれでも良く、また普通糸でも極細糸でもさしつかえな
い。
を含有していることが必要であり、他素材としては、化
学繊維(合成繊維、再生繊維)例えば芳香族ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリアクリロニトリルあるいはレーヨ
ンなどが挙げられ、天然繊維としては例えば木綿、絹、
羊毛などが挙げられ、いずれの繊維であっても良い。ま
たその形態はフィラメント(混繊、加工糸)、ステープ
ルなどのいずれの形態であってもよい。この場合、本発
明の脂肪族ポリエステル系繊維を30%以上含有するこ
とにより、染色性、発色性などの色彩特性およびソフト
感を有することができるため、好ましい。
繊維であり、分散染料可染型であるため、ポリエステル
やアセテートあるいはポリアミド系繊維であれば一度に
両繊維が染色できるため、より効果的である。脂肪族ポ
リエステル系繊維の染色温度は100℃〜120℃が通
常用いられるが、ポリマー種や染料濃度で若干異なる。
ント(直接捺染)あるいは抜染(防抜も含む)であり、
捺染機としてはハンドプリント、スクリーンプリント、
ロータリープリントあるいはインクジェットプリントな
ど、現在使用されているものが全て利用できる。
なりを有するが、抜染法は地色を還元剤で脱色するた
め、色と色の間の重なりがなく、柄が鮮明であり高級感
を付与できる。
る。抜染は地染め染料をほぼ完全に染料吸尽せしめた
後、還元剤を含む糊で印捺される。次いで、スチーム処
理を行い、地染め部分を色抜きし、次いで脱糊処理、ソ
ーピング処理される。
の方法と異なる点は地染め染料をパッド・乾燥で繊維構
造物に染料を付着させる。すなわち、基本的に染料を繊
維内部に拡散させない状態を保持せしめ、その状態で還
元剤を含む糊で印捺される。次いで、スチーム処理を行
い、地染め部分を色抜きし、脱糊処理、ソーピング処理
される。この方法は染料が繊維内部に拡散されていない
ため、還元剤の効率が高く、脱色後の白部が特に鮮明で
ある。このように、白部が鮮明であるため、挿色した場
合も同様に鮮明になる。
白抜は還元剤と糊剤が主体であり、着抜は還元剤と糊剤
および還元に耐える染料が主たる成分であるが、白抜と
着抜では使用還元剤が異なり、白抜はデクロリン・ソル
ブルコンク、着抜は還元力がやや弱い、塩化第1錫が一
般的に使用される。
程)として湿熱処理が必須になる。
飽和蒸気であり、過熱水蒸気とは水蒸気を加熱して得ら
れるもので、一般にHTスチームとも呼ばれている。
150℃の範囲であり、好ましくは130℃〜140℃
であり、処理時間は温度により若干異なるが、約5分〜
15分間処理で、十分な発色性が得られる。
20℃の範囲であり、処理時間は約5分〜45分、好ま
しくは15分〜30分である。脂肪族ポリエステル系繊
維の発色性および物性保持の面から飽和蒸気の方がやや
優れている。
あるが、布帛の種類、色、柄あるいは風合いや物性保持
などの点で使い分けられている。一般に飽和蒸気はバッ
チ式が主体であり、比較的処理時間が自由に変更でき
る。また飽和蒸気は水分を多く含有しているため、糊剤
の制限や染料種の影響が少なく、しかも糊層が厚くても
十分な発色性が付与できる。従って飽和蒸気が好ましく
用いられる用途としては、極濃色が多い分野、無緊張処
理が必要な分野あるいは重布関係である。たとえば和装
分野は比較的極濃色が多く、また繊細な図柄を必要とす
るため、比較的固形分が多い糊剤が古くから使用されて
いる。水着分野は弾性繊維との組み合わせが一般的であ
るため、できるだけ無緊張下での発色処理が必要であ
り、特性維持のためバッチ式の飽和蒸気が好ましく用い
られる。また飽和蒸気は染料種に影響を受けないため、
酸性染料やカチオン染料にも発色可能であり、脂肪族ポ
リエステル系繊維と他の繊維との混紡、交織などに有利
である。
であり、特徴としては高温・短時間処理のため、低コス
トが可能であり、上述に示した以外の分野に使用され、
現在は主流の発色方法である。
(PET)の発色温度より、約20℃〜30℃低めであ
り、染料の昇華による機械汚れが殆どなく、使用染料が
拡大できるため、非常に有利である。
湿熱下で加水分解を受けやすいため、発色処理条件の温
度低下は特性保持の面において非常に有効である。
を除去するため、あるいは染色堅牢度を向上させる目的
で、ソーピングや還元洗浄などの洗浄工程を組み入れる
こと、さらにナイロン混においては染色堅牢度向上を目
的にフィックス処理など工程を、必要に応じ、組み入れ
てもさしつかえない。この場合の使用薬品はポリエチレ
ンテレフタレート繊維などに通常用いられるものであ
り、処理条件としたは温度をやや低温サイドが好まし
い。
水剤、機能薬剤などの仕上げ剤などを付与してもさしつ
かえない。
形態としては、糸、組み紐、コード、織物、編物、不織
布、パイル織物あるいは人工皮革など目的に応じて適宜
選択できる。
る。
oiseであるポリ乳酸−Lからなるチップ(重量平均分子
量 18万)を、60℃に設定した真空乾燥器で48hr乾燥し
た。乾燥したチップを用いて通常の紡糸機にて紡糸温度
250℃で紡糸口金、吐出量を変更し、1350m/分の速度で
未延伸糸を巻き取った。続いて、該未延伸糸を通常のホ
ットロール−ホットロール系延伸機を用いて延伸温度80
℃、熱セット温度120℃で延伸糸の伸度が35%となる
ように延伸倍率を設定して延伸を行い、延伸糸を得た。
糸繊度2.2dtex)であり、この延伸糸を用い、経糸、緯
糸ともポリ乳酸(PLA)である、サテン織物を製織し
た。
(PET)も同様な織物を製織した。
を行い、捺染する前の試料を準備した。
順に処理し、オーバープリント法で発色性および引裂強
力を求め、結果を表1に示した。
い、ハンドプリント法で図柄を付与、次いで下記の条件
の温度で所定時間、発色処理を行った。
0、160℃ 飽和蒸気(HP) :100、110、120℃、13
0℃ 過熱水蒸気(HT)は市金株(社)、飽和蒸気は芦田株
(社)製 (3)水洗・還元洗浄・水洗・乾燥 十分水洗後、下記条件で還元洗浄を行ない、水洗・乾燥
した。
値を求めた。
L−0849、耐光堅牢度JIS L−0842に準ず
る。
スがとれており、発色性が向上ししているにもかかわら
ず、引裂強力の低下も極めて少ない。一方、比較例1、
比較例2は発色性は良好であるが、温度が高いため、強
力低下が大きく実用性が乏しい。また発色性に関しては
通常のPETの発色条件における発色性とほぼ同等、あ
るいはそれ以上である(比較例5)。
したように実施例1〜7、比較例1〜5の捺染布帛を用
い、染色堅牢度を測定したが、いずれも大差なく、問題
ないレベルにある。
(1)〜(5)の順に処理し、抜染法での白抜性を求
め、結果を表3に示した。処理条件は次のとおりであ
る。
0%)・乾燥した。
で図柄を付与、次いで下記の条件でスチーム処理を行っ
た。
160℃、180℃の過熱水蒸気(HT) 100,110,120、130℃の飽和蒸気(HP)
でそれぞれ処理をした。
した。
下の発色処理であるが、白抜性も、PETと同等以上を
有し、強力低下も抑制されている。一方、比較例7〜8
は発色温度が高いため、極めて強力低下が大きい。
て、本発明の発色処理を用いることにより、高染色堅牢
度性を有し、該繊維固有の優れた発色性、鮮明性および
深色性また風合い的にも従来にないソフト感を有してお
り、同時に生分解性を有する織編物を得ることができ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】脂肪族ポリエステル系繊維構造物の捺染に
おいて、染料を印捺後120〜150℃の温度範囲の過
熱水蒸気または100〜120℃ の温度範囲の飽和蒸
気中で発色処理することを特徴とする脂肪族ポリエステ
ル系繊維の捺染方法。 - 【請求項2】捺染方法がオーバープリントまたは抜染で
あることを特徴とする請求項1項記載の捺染方法。 - 【請求項3】脂肪族ポリエステルがポリ乳酸繊維を主成
分とするポリエステルであることを特徴とする請求項1
または2記載の捺染方法。 - 【請求項4】脂肪族ポリエステルを30%以上含有する
ことを特徴とする請求項3記載の捺染方法 。
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