JP2005082907A - オパール加工布 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維が他繊維に較べ、アルカリによる減量速度が速いのを利用した抜蝕部の型際が鮮明な柄を有するオパール加工布を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明のオパール加工布は、融点が130〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、アルカリ減量速度差のある融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維とを含む繊維布帛、もしくは融点が130℃〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、ポリアミド系繊維とを含む繊維布帛からなるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル系繊維が他繊維に比べ、アルカリによる減量速度が速いのを利用した抜蝕部の柄を有するオパール加工布に関するものである。
従来、透け感のある織物は粗い密度でザックリと織ったガーゼ状の織物があったが、組織交錯点がルーズであり、目ズレと呼ばれる欠点を有しており、広範囲の用途に使用するには問題があった。一方、透け感のある織物の代表的な加工例としてオパール加工がある。これは例えば、ポリエステル/レーヨン、ポリエステル/コットン、ポリエステル/アセテート、ポリエステル/シルク等から構成される織物を硫酸や塩酸を含む糊剤をプリントし、ポリエステルに混繊、混紡しているレーヨン、コットン、アセテート、シルク等をプリント柄に合わせて、部分的に溶解する加工である。しかしながら、オパール加工は、柄のある透け感の織物は得られるが、溶解部分は前記目ズレの欠点があり、いずれも問題をかかえながら制約された中で用途展開を図っているのが実情である。
最近、生分解性を有する脂肪族ポリエステル繊維を芳香族ポリエステル繊維の代替として使用する試みが盛んに行われている(例えば、特許文献1〜10参照)。
一方、ポリエステル系繊維は種々の優れた物性を有しているため、この物性を利用してポリエステル系繊維からなるオパール加工品が求められ、オパール加工としてポリエステル系繊維を用いた繊維布帛や、その製造方法について種々の提案がなされている(例えば、特許文献11〜15参照)。
すなわち、通常のポリエステル糸に共重合ポリエステル糸を混繊して、アルカリ処理し、共重合ポリエステル糸を溶解させる方法があるが、この方法では共重合ポリエステルを選択的に完全に溶解させることは困難で、印捺の型際が不鮮明で透かし模様が単調という欠点があった。これを改善させるためには、例えば共重合ポリエステルの共重合量を著しく高めたり、繊維の配向度を極端に小さくするなどの方法でアルカリ液への溶解を促進させる方法が考えられるが、共重合量を高めれば、製糸性の低下、ポリマーの変質、糸物性の変動またはコスト高を招くなど、また、配高度を小さくすると、工程通過性の悪化または糸物性の変動等が起こり、実用上問題が多かった。
特開平13−271250号公報 特開平14−69839号公報 特開平14−69852号公報 特開平14−138342号公報 特開平14−161478号公報 特開平14−180353号公報 特開平14−227034号公報 特開平14−227035号公報 特開平14−294562号公報 特開平14−294569号公報 特開平6−212581号公報 特許第2694712号公報 特許第2681571号公報 特許第2942917号公報 特開2000−160452号公報
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点を解決し、型際のシャープな透かし模様を有したものや、軽量で、ソフトな風合いを有するオパール加工布を提供せんとするものである。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)融点が130〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維とを含む繊維布帛で形成され、上記脂肪族ポリエステル系繊維の抜蝕部にて柄が形成されていることを特徴とするオパール加工布。
(2)融点が130〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、ポリアミド系繊維とを含む繊維布帛で形成され、上記脂肪族ポリエステル系繊維の抜蝕部にて柄が形成されていることを特徴とするオパール加工布。
(3)前記脂肪族ポリエステル系繊維が、L−乳酸を主成分とするポリエステルであることを特徴とする前記(1)または(2)のいずれかに記載のオパール加工布。
(4)前記脂肪族ポリエステル系繊維が、全繊維重量に対して10wt%以上含まれていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のオパール加工布。
(5)前記脂肪族ポリエステル系繊維が、前記融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維に比べ、アルカリ処理浴にて20倍以上の減量速度差を有するものであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のオパール加工布。
本発明のオパール加工布によれば、型際のシャープな透かし模様を有し、軽量でかつソフトな風合いを有するものが従来よりも低コストで生産することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のオパール加工布は、融点が130〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、アルカリ減量速度差のある融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維とを含む繊維布帛、もしくは融点が130℃〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、ポリアミド系繊維とを含む繊維布帛からなるものである。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステルは、DSC測定で得られる溶融ピークのピーク温度が130〜200℃であれば特段の制約はなく、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレートバリレート、およびこれらのブレンド物、変性物等を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステル類は、生物分解性あるいは加水分解性が高いため、自然環境中で容易に分解されるという利点を有している。中でも汎用性の面からは、該脂肪族ポリエステルがL−乳酸を主成分とするポリエステルであることが好ましい。L−乳酸を主成分とするとは、構成成分の60重量%以上がL−乳酸からなっていることを意味し、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエステルであってもよい。
かかるポリ乳酸の製造方法としては、乳酸を原料として一旦環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたものであってもよい。ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.1重量%以下とすることが望ましい。また、直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適であるといえる。
ポリ乳酸の重量平均分子量は高いほど好ましく、通常少なくとも5万、好ましくは少なくとも10万、より好ましくは10〜30万である。重量平均分子量が5万よりも低い場合には繊維の強度物性が低下するため好ましくない。
ここで、重量平均分子量は以下の方法により測定したものである。
Waters(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフWaters2690およびWaters2410を連結して用いた。ポリスチレンを内部標準とし、昭和電工(株)製Shodex GPC K−805Lを2本連結し、カラム温度40℃、移動層クロロホルム、流速1ml/分、試料濃度0.1%(w/v)、注入量200μlの条件で、示差屈折計を検出器に用いて重量平均分子量を測定し、3回の測定値の平均値を求めた。
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸の他にエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。生分解性能を考えると、それらの共重合率は30モル%以下であることが好ましい。
また、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートおよびポリエチレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステルは、融点が130〜200℃であることが重要である。融点が130℃よりも低い場合には、製糸時、特に紡糸時に単糸間の融着が著しくなり、さらに延伸性不良が発生するなど製品の品位が著しく損なわれる。融点は好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。融点が200℃を超えるものは耐アルカリ性が良くなり、オパール加工のアルカリ溶解性繊維として適しなくなる。
ここで融点とは、DSC測定によって得られた融解ピークのピーク温度を意味する。このような脂肪族ポリエステルを用いることによって、芳香族ポリエステル繊維よりも柔軟な風合いを得ることができる。この柔軟性は、脂肪族ポリエステル繊維のヤング率が芳香族ポリエステルのヤング率に比べて低いことに起因している。
本発明の脂肪族ポリエステル系繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断面、偏平断面、ダルマ型断面、X型断面、その他の異形断面であってもよく、何等限定されるものではない。光沢を付与する場合は多葉型等の非円形もしくはその他の異形断面が好ましく、また、さらなる柔軟性を付与する場合は扁平断面であることも好ましい。軽量化を目的とする場合は、中空形状とすることも好ましい。また、芯鞘複合、バイメタル複合、海島複合および分割複合繊維のような複合繊維であっても良い。
本発明の脂肪族ポリエステル系繊維は、通常のフラットヤーン以外に、仮撚加工糸、強撚糸、タスラン加工糸、太細糸、混繊糸等のフィラメントヤーンであってもよく、ステープルファイバーやトウ、あるいは紡績糸などの各種形態の繊維であってもよい。
次に、融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートなどが好ましく使用される。また、かかるポリエステル系繊維を構成するポリエステルとしては、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ミトキシポリオキシエチレングリコールなどを共重合させたものも使用される。融点が210℃未満の芳香族ポリエステルは重合度が低くなり、製糸性が悪く、また糸強度も弱く、布帛として用いることが難しくなる。ポリエチレン系ポリエステルの場合、融点が240〜260℃の範囲のものが好ましく用いられる。
また、ポリアミド系繊維としては、例えば、ε−カプロラクタムを重合した重合体のナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を重縮合した重合体のナイロン66等を挙げることができる。ポリアミド繊維は耐アルカリ性が良くほとんど溶解しないものであり、耐アルカリ性が高い脂肪族ポリエステルとの組合せのオパール加工に適している。
本発明のオパール加工布は、かかる融点が130〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維、またはポリアミド繊維とを含む繊維布帛で形成され、混繊、混紡、合撚、交編、交織等されてなるものであり、その形態はわた状物、糸状物、紐状物、帯状物、織物、編物、不織布、フェルトなどいかなる形状のものであっても差し支えなく、さらに他の繊維材料と混用してもかまわない。オパール加工前の布帛において脂肪族ポリエステル系繊維の含有量は20〜60wt%であることが好ましい。20wt%未満であればオパール加工上がりで柄がはっきり現れず品位が劣ったものとなる。一方、60wt%を超えるものであれば、強度のある芳香族ポリエステルの割合が下がり、布帛強度が弱くなり、目ズレ等が発生する傾向になり、用途により適したものが得られない。
かかる脂肪族ポリエステル系繊維が、本発明のオパール加工布の加工上がりにて、全繊維重量に対して10wt%以上であることが好ましい。一般に、融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維は繊維の屈折率が他の繊維に比較して高く、表面反射が増大し、染色物の発色性や鮮明性が低いため、高級感に乏しいものとなっている。
一方、脂肪族のポリエステル系繊維は、生分解性繊維として注目を集め、上記芳香族ポリエステル系繊維に比べ、繊維の屈折率が低く天然繊維に近似しているため、発色性や鮮明性が著しく向上する。よって、脂肪族のポリエステル系繊維を10wt%以上含有することにより、従来の合成繊維では得られなかったソフト感や発色性のあるオパール加工布が得られる。一方、脂肪族のポリエステル系繊維が50wt%を超えると減量の量が少なく、抜蝕部の柄がはっきりと現れず、オパール加工としての品位が得られなくなるため、50wt%以下であることが好ましい。
前記脂肪族ポリエステル系繊維が、前記融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維に比べ、アルカリ処理浴にて20倍以上の減量速度差を有するものであることが好ましい。20倍以上の差があれば、アルカリ減量剤の濃度ダウンおよび減量処理における湿熱処理温度または乾熱処理温度の低下および処理時間の短縮が可能となり生産性の向上となる。減量速度差20倍とは、脂肪族ポリエステル系繊維が全量減量した時に、芳香族ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維が5%減量したことになり、布帛の骨格となる芳香族ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維が95%残るので布帛としての物性を保持することができる。20倍未満となれば、布帛の骨格となる芳香族ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維の残存量が少なくなり、布帛として弱くなり、目ズレ等が発生し易くなるため好ましくない。
本発明のオパール加工布作成で用いる減量剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物、硫酸、塩酸などの無機酸などが挙げられる。中でも本発明を達成する上で取り扱い性、コスト、減量速度等から最も好ましいのは水酸化ナトリウムである。
本発明のオパール加工布作成で用いるプリント用糊剤は、通常のプリントに用いられる糊剤であれば特に問題はない。例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダー、小麦澱粉等が挙げられ、これらの糊剤に前記減量剤を混合し、粘度を適度調整して用いることができる。このプリント用糊剤に公知の減量促進剤を添加することもできる。また、分散染料も用いることができ、アルカリ処理に耐えうるキノン系やキノフタロン系の分散染料が好ましい。染料以外に顔料も用いることができる。
プリント方法としては、抜蝕部にて柄模様が形成されるようにプリントする、ハンドプリント、スクリーンプリント、ロータリープリント、あるいはインクジェットプリントなど現在使用されているもの全て利用できる。
プリントした後は減量工程で湿熱処理または乾熱処理が実施される。この時の温度等の条件として、上記減量剤の濃度との組合せで易溶解糸である脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維単体が減量処理により抜蝕部において50wt%以上、好ましくは70wt%以上、さらに好ましくは完全に除去され、一方の、減量速度の遅い芳香族ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維単体は抜蝕部において80wt%以上残る条件を選択することが重要である。80wt%未満であれば布帛自体の強度不足となり実用上問題となる。湿熱処理としては60〜120℃の範囲で、乾熱処理としては120〜180℃の範囲が好ましい。
以上のような方法で得られた本発明のオパール加工布は、ベッドカバー、クッションカバー、テーブルクロス、カーテン、のれん、などの寝装・インテリア用品、ブラウス、スカート、コート、などの衣料品として用いるのに好適である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中の評価・測定は次の方法で行ったものである。
<融点>
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC−7)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定し、得られた溶融ピークのピーク温度を融点とした。
<減量速度差>
水酸化ナトリウムの同一濃度における98℃×60分後の減量率の比をもって減量速度差を表わす。ただし同一濃度の場合で易減量糸が60分後に完全に溶解した場合は、濃度を60分後に残存している濃度まで下げたところの減量率を読み取り、濃度を考慮して減量速度差を表わす、例えば濃度が1/3になって、減量率が同じであれば3倍となる。この時の布帛は各糸を筒編みにし、浴比は1:30としたものである。
例えば減量速度差としてA糸を基準にした場合、次の表1のようになる。
Figure 2005082907
融点166℃のポリ乳酸チップ(重量平均分子量18.5万、L体比率95wt%、D体比率5wt%)を105℃の設定した真空乾燥器で12時間乾燥した。乾燥したチップをプレッシャーメルター型紡糸機にて、メルター温度210℃にて溶融し紡糸温度220℃で36ホールの口金孔から紡出した。この紡出糸を20℃、25m/minのチムニー風によって冷却し、油剤を付与して収束した後、3000m/minで引き取って未延伸糸(122dtex−36フィラメント)を得た。この未延伸糸をホットローラー系の延伸機を用い、延伸温度90℃、熱セット温度120℃、延伸倍率1.45倍、延伸速度800m/minの条件で延伸して84dtex−36フィラメントのアルカリ易溶解性のポリ乳酸延伸糸を得た。
融点258℃ポリエチレンテレフタレート糸167dtex−75フィラメントをインターレース加工し、チーズ状に巻きチーズ染色機を用い、135℃の条件で分散染料でベージュ色に染色した。上記ポリ乳酸延伸糸2本と染色されたポリエチレンテレフタレート糸1本とを引き揃え撚を掛けた糸を得た。この糸をタテ糸、ヨコ糸共に用い変化綾織りで織り上げた。この時用いた水酸化ナトリウム水溶液を用いた減量速度差はポリ乳酸糸を1としたとき、ポリエチレンテレフタレート糸は56であった。該織物を精練、ヒートセット(150℃)の後、カルボキシメチルセルロース10%水溶液35部、水酸化ナトリウム1.5部、水63.5部の計100部からなる減量加工捺染剤を用い模様状に捺染し、その後100℃×2分乾燥後、飽和蒸気100℃で30分の減量加工を行い、水洗乾燥した。この処理で模様状に捺染した部分で、ポリ乳酸糸が完全に溶解除去され、型際がくっきりした透かし模様が得られ、風合いもポリエチレンテレフタレート100%品に比較してソフトであった。出来上がったオパール加工布におけるポリ乳酸糸の割合は25wt%であった。
チーズ染めした融点223℃のポリブチレンテレフタレート糸167dtex−75フィラメントとを芯糸とし、その周囲に鞘糸として実施例1で用いた84dtex−36フィラメントのポリ乳酸延伸糸をループ状に巻き付けたスラブヤーンを得た。タテ糸に上記ポリブチレンテレフタレート糸を使用し、ヨコ糸に上記スラブヤーン(394dtex)用いて平織組織に織り上げた。この時用いた水酸化ナトリウム水溶液を用いた減量速度差はポリ乳酸糸を1としたとき、ポリブチレンテレフタレート糸は98であった。該織物を精練、ヒートセット(150℃)の後、実施例1と同じ減量加工捺染剤を用い模様状に捺染し、その後100℃×2分乾燥後、飽和蒸気100℃で30分の減量加工を行い、水洗乾燥した。この処理で模様状に捺染した部分で、ポリ乳酸糸が完全に溶解除去され、型際がくっきりした透かし模様が得られ、風合いもポリブチレンテレフタレート100%品に比較してソフトであった。出来上がったオパール加工布におけるポリ乳酸糸の割合は20wt%であった。
融点217℃のポリアミド繊維であるナイロン6糸84dtex−36フィラメントとを芯糸とし、その周囲に鞘糸として実施例1で用いた84dtex−36フィラメントのポリ乳酸延伸糸をループ状に巻き付けたスラブヤーンを得た。タテ糸に上記ナイロン6糸を使用し、ヨコ糸に上記スラブヤーン(241dtex)用いて平織組織に織り上げた。この時用いた水酸化ナトリウム水溶液を用いた減量速度差はポリ乳酸糸を1としたとき、ナイロン6糸は100倍以上であった。該織物を精練、ヒートセット(150℃)の後、分散染料2部、カルボキシメチルセルロース10%水溶液35部、水酸化ナトリウム1.5部、水61.5部の計100部からなる減量加工捺染剤を用い模様状に捺染し、その後100℃×2分乾燥後、飽和蒸気100℃で30分の染色・減量加工を行い、水洗乾燥した。この処理で模様状に捺染した部分で、ポリ乳酸糸が完全に溶解除去され、型際がくっきりした透かし模様が得られ。出来上がったオパール加工布におけるポリ乳酸糸の割合は37wt%であった。

Claims (5)

  1. 融点が130〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維とを含む繊維布帛で形成され、上記脂肪族ポリエステル系繊維の抜蝕部にて柄が形成されていることを特徴とするオパール加工布。
  2. 融点が130〜200℃の脂肪族ポリエステル系繊維と、ポリアミド系繊維とを含む繊維布帛で形成され、上記脂肪族ポリエステル系繊維の抜蝕部にて柄が形成されていることを特徴とするオパール加工布。
  3. 前記脂肪族ポリエステル系繊維が、L−乳酸を主成分とするポリエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載のオパール加工布。
  4. 前記脂肪族ポリエステル系繊維が、全繊維重量に対して10wt%以上含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオパール加工布。
  5. 前記脂肪族ポリエステル系繊維が、前記融点が210℃以上の芳香族ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維に比べ、アルカリ処理浴にて20倍以上の減量速度差を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオパール加工布。
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