JP2000290845A - 光沢に優れた脂肪族ポリエステル仮撚糸 - Google Patents

光沢に優れた脂肪族ポリエステル仮撚糸

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JP2000290845A JP9601299A JP9601299A JP2000290845A JP 2000290845 A JP2000290845 A JP 2000290845A JP 9601299 A JP9601299 A JP 9601299A JP 9601299 A JP9601299 A JP 9601299A JP 2000290845 A JP2000290845 A JP 2000290845A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】グリッター、いや光りの原因となっていた仮撚
糸の断面変形を低下させて、脂肪族ポリエステルが有す
る優れた発色性を生かしながらさらに、保温性、着用快
適性のため糸条に嵩高性と伸縮性を与える。 【解決手段】断面変化率を1.5以下にして、グリッタ
ー、いや光りの原因となる特定方向への反射光を抑制す
る。さらに好ましい脂肪族ポリエステル仮撚糸は、白濁
しておらず、熱水処理後の伸縮復元率RS(%)と繊度
D(d)の関係が12.5−0.0167×D≦RS≦
32.5−0.0833×Dであり、熱水収縮率が5〜
15%以下であり、引張時の強伸度曲線に一次降伏点が
存在し、融点が130℃以上であり、脂肪族ポリエステ
ルが、L−乳酸を主成分とするポリエステルである脂肪
族ポリエステル仮撚糸である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ポリエステ
ルの有する鮮やかな発色性を生かしながら織編物等の布
帛に効果的に嵩高性と富士絹様の光沢を付与することが
できる脂肪族ポリエステル仮撚糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、脂肪族ポリエステルは、その優れ
た生分解性を利用して、産業資材用途を中心に使用され
ているが、衣料用途への具体的展開はなされていないの
が現状である。また一方、ポリエチレンテレフタレート
等の芳香族ポリエステルからなるポリエステル繊維を仮
撚加工した糸は広く用いられている。しかしながら、こ
の芳香族ポリエステル繊維の場合は、嵩高性に優れた仮
撚糸となるものの、屈折率が高いために発色性が悪いと
いう問題点があった。また、仮撚工程での断面変形が大
きく、いわゆるグリッターが発生するため、高級感のあ
る光沢には程遠いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、屈折
率が低く、発色性に優れているという脂肪族ポリエステ
ル繊維が有する特性を生かすために、仮撚加工時の断面
変形を抑えて光沢に優れ、嵩高性に富んだ仮撚糸を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の脂肪族ポリエス
テル仮撚糸は、断面変化率が1.5以下の脂肪族ポリエ
ステル仮撚糸である。また、本発明の好ましい脂肪族ポ
リエステル仮撚糸は、白濁しておらず、熱水処理後の伸
縮復元率RS(%)と繊度D(d)の関係が12.5−
0.0167×D≦RS≦32.5−0.0833×D
であり、熱水収縮率が5〜15%以下であり、引張時の
強伸度曲線に一次降伏点が存在し、融点が130℃以上
であり、脂肪族ポリエステルが、L−乳酸を主成分とす
るポリエステルである脂肪族ポリエステル仮撚糸であ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の脂肪族ポリエステ
ル仮撚糸について詳細に説明する。
【0006】本発明の脂肪族ポリエステル仮撚糸は、断
面変化率が1.5以下となっているものである。すなわ
ち、この脂肪族ポリエステル仮撚糸は、脂肪族ポリエス
テルの優れた物理特性である屈折率の低さを生かして優
れた発色性を表現するために、後述する断面変化率を
1.5以下とした仮撚糸である。ここで、断面変化率が
1.5を超えるときグリッターが顕著に発生することが
判った。このグリッターが発生すると、いわゆる合繊ラ
イクな光沢と見なされて、高級衣料への展開が制限され
てしまう。また、仮撚加工する原糸として異形断面糸を
用いたときには、断面変形による光沢変化はよりはっき
りと現れてしまい、好ましくない。本発明においては、
断面変化率は、1.4以下が好ましく、1.2以下がさ
らに好ましい。
【0007】ここで、脂肪族ポリエステル仮撚糸とは、
脂肪族ポリエステルマルチフィラメントを撚った状態で
熱セットした後、解撚して3次元のランダム捲縮とトル
クを有するフィラメントである。製造方法としては、脂
肪族ポリエステル延伸糸に撚糸を施し、巻き取った後、
高温で熱セットし、解撚する「加撚−熱固定−解撚法」
や、走行糸に仮撚を施す過程で熱セットし、解撚する
「仮撚法」や、未延伸糸を延伸仮撚をしながら熱セット
し、その後解撚する「延伸仮撚法」がある。しかしなが
ら、本発明の脂肪族ポリエステル仮撚糸において断面変
化率を1.5以下とするためには、「加撚−熱固定−解
撚法」や仮撚数や熱セット温度を低くした状態での「仮
撚法」「延伸仮撚法」、さらに「延伸仮撚法」において
加熱と加撚を分離する手段を採用することによって達成
可能となる。
【0008】本発明における脂肪族ポリエステルとして
は、発色性向上のために屈折率は1.50以下が好まし
く、1.45以下がより好ましい。また、融点が130
℃よりも低い場合には、単糸間の融着の発生による延伸
性不良や、摩擦加熱時に溶融欠点が生じるなど製品の品
位が著しく低いものとなるため、好ましくない。従っ
て、本発明では、脂肪族ポリエステルの融点は130℃
以上が好ましく、150℃以上はより好ましく、170
℃以上がさらに好ましい。ここで融点とは、DSC測定
によって得られた溶融ピークのピーク温度を意味する。
【0009】本発明で用いられる脂肪族ポリエステル
は、屈折率が1.50以下で、DSC測定で得られる溶
融ピークのピーク温度が130℃以上であれば特段の制
約はなく、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネ
ート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒ
ドロキシブチレートバリレート、およびこれらのブレン
ド物、変性物等を用いることができる。
【0010】物理化学特性から最も望ましいポリマーと
しては、L−乳酸を主成分とするポリエステルを挙げる
ことができる。L−乳酸を主成分にするとは、構成成分
の60重量%以上がL−乳酸からなっていることを意味
し、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポ
リエステルであってもよい。
【0011】ポリ乳酸の製造方法としては、乳酸を原料
として一旦環状二量体であるラクチドを生成せしめ、そ
の後開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料
として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法
が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いず
れの製法によって得られたポリ乳酸であってもよい。ラ
クチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマ
ー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸
斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中
に含有される環状2量体の含有量を0.1wt%以下と
することが望ましい。また、直接重合法の場合には、環
状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の
観点からはより好適であるといえる。
【0012】ポリ乳酸の平均分子量は高いほど好まし
く、通常少なくとも5万、好ましくは少なくとも10
万、より好ましくは10〜30万である。平均分子量が
5万よりも低い場合には、繊維の強度物性が低下するた
め好ましくない。
【0013】また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳
酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の
成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重
合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ
酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6
−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類
の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレン
グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分
子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの
誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブ
チルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカル
ボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙
げられる。
【0014】また、溶融粘度を低減させるため、ポリカ
プロラクトン、ポリブチレンサクシネートおよびポリエ
チレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマ
ーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用い
ることができる。さらには、脂肪族ポリエステルに、艶
消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着
色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて
添加することができる。
【0015】溶融紡糸方法としては公知の溶融紡糸装置
にて製造することができ、丸断面だけではなく、口金孔
をそれぞれ対応する異形断面用とすることにより異形断
面糸も製造することができる。例えば、3葉断面繊維を
得る場合には、公知のT字型或いはY字型口金孔を有す
る口金を用いればよい。
【0016】また、本発明における脂肪族ポリエステル
仮撚糸は、その繊維の強度が3.0g/d以上であるこ
とが好ましい。強度が3.0g/d以下の場合には、糸
加工時の毛羽発生、糸切れや、製織時の糸切れ停台の原
因となったり、織編物等布帛の引裂強力低下による製品
強度の低下を招くため好ましくない。
【0017】繊維の強度は、より好ましくは3.5g/
d以上であり、最も好ましくは4.0g/d以上であ
る。伸度としては、残留伸度が10〜50%程度となる
ように原糸、加工条件を設定することが、製編織時の取
り扱い性、捲縮の耐ヘタリ性からみて好ましい。
【0018】また、繊維断面に制限はなく、異形断面に
より光沢を利用したり、中空繊維により軽量化を図るこ
とは好ましく行われる。同様に、繊度に制限はないが、
通常単糸繊度0.5デニールから10デニール程度の繊
維が好ましく用いられる。また、トータル繊度として
は、20〜450D程度が好ましい。
【0019】さらに本発明においては、白濁していない
脂肪族ポリエステル仮撚糸とすることができる。脂肪族
ポリエステルを低温で高倍率延伸すると白濁する場合が
ある。原因ははっきりしないが、ボイドが関与している
ものと考えられる。粒子添加または内部粒子によるダル
化ではない白濁は、ムラ発生による品質悪化や発色性を
低下させるものであり好ましくなく、例えばL−乳酸ポ
リエステルの場合、延伸仮撚時の加撚域での糸条温度を
70℃以上とする必要がある。
【0020】白濁を判断する方法としては、黒色の板に
糸条を等間隔に巻き付けて判断することもできるが、粒
子添加、仮撚捲縮やグリッターによる影響を排除するこ
とは困難であるため、ガラス面に繊維をのせてその上か
ら流動パラフィンを垂らした後、カバーガラスをのせて
生物顕微鏡を用いて暗視野法にて観察すると白く光るの
で白濁を容易に判別することができる。また、粒子添加
している場合でも仮撚加工に用いる原糸と比較すること
により白濁を識別可能である。
【0021】さらに本発明においては、脂肪族ポリエス
テル仮撚糸の熱水処理後の伸縮復元率RS(%)と繊度
D(d)の関係を12.5−0.0167×D≦RS≦
32.5−0.0833×Dとすることができる。先に
も述べたように、仮撚数や熱セット温度を低下させるこ
とによって断面変化率を低下させることは可能となる
が、捲縮特性は低下する。この相反する特性を実現する
ためのひとつの方法として、加熱と加撚領域の分離があ
る。例えば、特開昭50−18710号公報に開示され
ているように加熱ローラーと該ローラーの近傍に設置さ
れたセパレートローラーに数回巻き付けて加熱後、延伸
仮撚することによって断面変化率を1.5以下に抑えな
がら、熱処理後の伸縮復元率と繊度の関係を上記式の範
囲にすることが可能となる。
【0022】またさらに本発明においては、脂肪族ポリ
エステル仮撚糸の熱水収縮率を5〜20%にすることが
できる。熱水収縮率が20%よりも高い場合、収縮が高
すぎるために整経長を長くしたり、製織幅を広くする必
要があり、染色工程においても取り扱いが難しくなるた
めに好ましくない。さらに熱水収縮率は5〜15%がよ
り好ましく、5〜10%がさらに好ましい。熱水収縮率
を5〜20%とするためには、熱セット温度が重要であ
り、例えば前に示した加熱ローラーと該ローラーの近傍
に設置されたセパレートローラーに数回巻き付けて加熱
後、それよりも高い温度に設定された仮撚ヒーター供給
して延伸仮撚することにより達成することができる。
【0023】またさらに、本発明脂肪族ポリエステル仮
撚糸においては、引張時の強伸度曲線に図5に示すよう
な一次降伏点が見られる。一次降伏点とは、破断時の最
大強力の前に存在する強力の極大点のことをいう。この
一次降伏点が存在しないときは、仮撚糸の強度が低下し
やすく、実用に耐えない仮撚糸となりやすいため、好ま
しくない。製織時等に張力がかかり延伸されることを防
ぐために一次降伏点の応力は、0.8g/d以上が好ま
しく、1.0g/d以上がより好ましい。
【0024】次に、本発明の脂肪族ポリエステル仮撚糸
の製造方法について図を用いて説明する。
【0025】図1および図2に、本発明に係わる脂肪族
ポリエステル仮撚糸の加工装置の一例を示した。図1は
加工装置の正面概略図であり、図2はその側面図であ
る。
【0026】供給糸1として脂肪族ポリエステル未延伸
糸を用い、フィードローラー2を用いて加熱ローラー3
に安定的に供給糸1を供給した。加熱ローラー3には、
供給糸1を、該ローラーの近傍に設置されたセパレート
ローラー4との間で複数回巻き付けて加熱後、延伸ロー
ラー8との間で延伸および仮撚される。なお、加熱ロー
ラー3の糸離れ点又は上流側に、加熱ローラー3に接し
て回転するニップローラー5を設置することにより、安
定して糸加工することが可能となる。加熱ローラー3上
でニップローラー5により加圧する供給糸1の糸条本数
は限定されるものではなく、1本または2本以上を加圧
すればよい。加熱ローラー3の温度は使用原糸により適
宜設定すればよく、融着、糸切れ、加工安定性が悪くな
らない限り温度を高く設定することが望ましい。例え
ば、ポリL−乳酸の場合、90℃以下が好ましい。
【0027】また、供給糸1としては、脂肪族ポリエス
テル繊維糸条であって、延伸可能な残留伸度と強度を有
していれば制限はない。加熱ローラー3の糸離れ点と仮
撚回転子7との間には、ヒーター6を設置することがよ
り好ましい。ヒーター6は接触して糸条を加熱する乾熱
ヒーターや実質的に非接触で加熱する中空ヒーターを用
いれば良く、設定温度は断面変化率が1.5以下となる
ように設定すればよい。例えば、ポリL−乳酸の場合、
糸条温度が130℃以下となるように設定することが好
ましい。
【0028】仮撚回転子7は、限定されるものではない
が、3軸ツイスターやベルトニップツイスターが好まし
く用いられる。必要に応じて延伸ローラー8より下流に
て糸条に交絡を付与して集束性を高めることは製編織時
での取り扱い性を良好にするために好ましく用いられ
る。例えば、図1に示すように延伸ローラー8を段付き
ローラーにして、径の大きなローラーから径の小さなロ
ーラーに糸条が移る糸道上に交絡ノズル9を設置するこ
とでスペースをとることなく、効率よく糸に集束性を付
与することが可能となる。
【0029】本発明に係わる脂肪族ポリエステル仮撚糸
を製造する方法は、上記の手段だけでなく、(1)脂肪
族ポリエステル延伸糸を撚糸した後、スチームセッター
等の加熱装置内で熱セットした後、撚糸を逆方向に追撚
することによって解撚する「加撚−熱固定−解撚法」が
あり、捲縮の均一性、捲縮の強さやセット温度のコント
ロールのしやすさ、および仮撚糸の追撚工程が省略可能
であることから好ましく用いられる。
【0030】また、(2)例えば図3に示す装置を用い
て、供給糸1として脂肪族ポリエステル延伸糸をフィー
ドローラー2に供給し、仮撚回転子7として中空スピン
ドル式仮撚機等を用いて糸条に仮撚を与えた状態でヒー
ター6により加熱し熱セットした後、仮撚回転子7の下
流にて解撚し、延伸ローラー8で引き取る「仮撚法」
や、(3)図4のような装置を用いて、供給糸1として
脂肪族ポリエステル未延伸糸をフィードローラー2に供
給し、延伸ローラー8との間で延伸しながら仮撚回転子
7により糸条に仮撚を施しながらヒーター11により加
熱し、冷却板12により撚形態を熱固定する「延伸仮撚
法」があるが、これらの方法では断面変形を生じやす
い。特に「延伸仮撚法」では延伸過程で加撚されること
から断面変形が生じやすく、上記2方法を採用する際
は、仮撚数やヒーター温度設定には十分な配慮が必要で
ある。
【0031】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0032】なお、実施例および比較例における融点、
極限粘度および溶融粘度の各測定値は、次の方法で得た
ものである。
【0033】A.融点パーキンエルマー社製の示差走査
熱量計(DSC−7)を用いて、昇温速度15℃/分の
条件で測定し、得られた溶融ピークのピーク温度を融点
とした。
【0034】B.極限粘度(η) オルソクロロフェノール10mlに対して試料0.10
0gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計
を用いて測定した。
【0035】C.溶融粘度 東洋製機(株)社製キャピログラフを用いて、260℃
における剪断速度と溶融粘度との関係を測定した。測定
にはL/D=10/1(mm)のダイを使用し、剪断速
度1000sec-1の時の粘度をもってその試料の溶融
粘度とした。
【0036】D.断面変化率 仮撚糸を糸長手方向に対して垂直に切断して切片をサン
プリングし、光学顕微鏡により撮影した断面写真を撮影
する。断面写真から外接円の直径と内接円の直径との比
を、仮撚加工する供給糸の外接円の直径と内接円の直径
との比で除した値を仮撚糸全単糸について求め、その平
均値とする。
【0037】E.熱水収縮率 JIS規格L1090−1992 5.10熱水収縮率
A法(かせ収縮率)に従い測定した。
【0038】F.伸縮復元率:RS(Recovery percent
age of Shrinkage:%) 仮撚加工糸をパッケージのまま1週間放置したサンプル
について、JIS規格L1090−1992 5.8伸
縮復元率に従い小カセを作り、24時間放縮後、粗布で
包んだまま98℃の熱水中で30分間浸せきした後試料
を取り出し、濾紙上で24時間自然乾燥させた試料を
5.8伸縮復元率に従い測定する。
【0039】G.引張時の強伸度測定 試料を0.1g/dの初荷重下で間隔が200mmであ
る引っ張り試験機のつかみに取り付け、引張速度200
mm/minにて試料の伸度(%)に対する応力(g/
d)を測定した。
【0040】[実施例1]260℃、1000sec-1
における溶融粘度が1200poiseであり、融点が
168℃であるポリL−乳酸((株)島津製作所製ラク
ティ5000、L体比率95%、D体比率5%)のチッ
プを、60℃に設定した真空乾燥器で48時間乾燥し
た。乾燥したチップをプレッシャーメルター型紡糸機に
て、メルター温度250℃にて溶融し、紡糸温度260
℃とした溶融パックへ導入して、丸断面用口金を有する
紡糸口金から紡出し、油剤を付与して集束した後、12
00m/分で一旦巻き取り、未延伸糸を得た。次いで、
得られた未延伸糸を加熱ローラーを用い80℃に加熱し
た後、2.3倍延伸し、120℃で熱セットした30デ
ニール−36フィラメントの延伸糸を得た。ダブルツイ
スターを用いて延伸糸に5300T/mのS撚を施し、
ボビンに巻き取った。スチームセッターを用いて一旦真
空状態にした後にスチームを供給してボビンごと120
℃に加圧・加熱した。熱セットした撚糸を再びZ方向に
5300T/mの撚糸を行い、断面変形率1.12の脂
肪族ポリエステル仮撚糸を得た。
【0041】[実施例2]紡糸口金のみ12ホールのも
のに交換して実施例1と同じ条件で紡糸した未延伸糸を
用いて、図1に示す仮撚装置において、加熱ローラー3
の温度80℃にて加熱した後、延伸ローラー8との間で
2.3倍の延伸および仮撚を加工速度300m/分にて
行った。ヒーター6は、長さ200mmであり、温度は
120℃に設定した。仮撚回転子としては3軸ツイスタ
ーを用い、ヒーター6上の仮撚数は5300であった。
加工された仮撚糸は30デニール−12フィラメントで
あり、断面変形率は1.21であった。
【0042】[実施例3]実施例1と同じ30デニール
−36フィラメントの延伸糸を用いて、図3に示す装置
にて仮撚加工を行った。延伸ローラ8とフィードローラ
ー2の速度を100m/分に設定し、ヒーター11の温
度を120℃、仮撚回転子としては仮撚数が3800T
/mとなるように中空スピンドル仮撚の回転数を設定し
た。得られた脂肪族ポリエステル仮撚糸の断面変形率は
1.16であった。その横断面の様子を図6に示す。
【0043】[実施例4]36ホールの口金に換え、ポ
リマーの吐出量を変えた以外は実施例1と同様にして未
延伸糸を得た後、図4に示す装置にて仮撚加工した。加
工条件は延伸ローラー8の表面速度300m/分、延伸
倍率を2.3倍、ヒーター11として1mの中空ヒータ
ーを用い、150℃で加熱した。仮撚回転子7としては
ベルトニップツイスターを用い、冷却板12上の仮撚数
は3200T/mであった。加工された仮撚糸は75デ
ニール−36フィラメントであり、断面変形率は1.2
4であった。
【0044】[比較例1]ポリエチレンテレフタレート
を定法により溶融紡糸し、55デニール−12フィラメ
ントの高配向未延伸糸(残留伸度190%)として巻き
取った。この高配向未延伸糸を用いて、図3の装置によ
って仮撚加工を行った。加工条件は延伸ローラー8の表
面速度300m/分、延伸倍率を1.83倍、ヒーター
11として乾熱ヒーターを用い、190℃で加熱した。
仮撚回転子7としては3軸ツイスターを用い、冷却板1
2上の仮撚り数は5300T/mであった。加工された
仮撚糸は30デニール−12フィラメントであり、断面
変形率は1.91であった。得られたポリエステル仮撚
糸の横断面の様子を図7に示す。
【0045】[比較例2]実施例1と同じ30デニール
−36フィラメントの延伸糸を用いて、図3に示す装置
にて仮撚加工を行った。フィードローラー2と延伸ロー
ラ8の速度をそれぞれ70m/分と100m/分に設定
し、ヒーター11の温度を120℃、仮撚回転子として
は仮撚数が5200T/mとなるように中空スピンドル
仮撚の回転数を設定した。加工された仮撚糸は21デニ
ール−36フィラメントであり、断面変形率は1.55
であった。
【0046】実施例1〜5および比較例1〜2のいずれ
の加工糸にも白濁は見られなかった。また、いずれの加
工も安定していた。実施例1〜5および比較例1〜2で
得られた脂肪族ポリエステル仮撚糸の糸物性を表1に示
す。
【0047】
【表1】 次に、実施例1に示した延伸糸の製造方法と同様な方法
で得られた75デニール−24フィラメントの延伸糸を
用いて整経し(経糸織密度:123本/吋)、緯糸とし
て上記実施例1〜3および比較例1〜2で得られた仮撚
糸を緯糸密度:140本/吋にて、実施例4で得られた
仮撚糸を緯糸密度:90本にて打ち込んでそれぞれ製織
し生機を得た(織組織:2/1綾)。織り上がった生機
をリラックス精練、中間セット、染色、仕上げセットと
通常の染色工程を通した。
【0048】実施例1〜4ではグリッターは見られず、
富士絹に似たまろやかな光沢を有し、鮮やかな発色性、
表面のきしみ感も伴ってシルクライクな風合いであっ
た。また、地厚感を有し、ソフトであることから例えば
裏地として最適な素材であることが判った。一方、比較
例1では捲縮が強く、地厚感には優れているものの、グ
リッターが見られ、表面光沢は好ましくないものであっ
た。また、比較例2は比較例1に比べれば程度は低いも
ののグリッターが現れ、合繊ライクな光沢となってい
た。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、仮撚加工による断面変
形によってグリッターを発生させないために、断面変化
率を1.5以下の仮撚糸とすることにより、富士絹に似
たまろやかな光沢を有する嵩高な織編物を得ることがで
きる。また、屈折率が低いことによる脂肪族ポリエステ
ルの優れた発色性と脂肪族ポリエステルの有するきしみ
感によるシルキーライク風合いに加え、織編物に嵩高性
と伸縮性を付与することが可能となり、従来生分解性を
生かして産業資材用と中心に展開されている脂肪族ポリ
エステルを裏地等の衣料資材分野から一般衣料分野、さ
らに高級衣料用途へと広く展開することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる延伸仮撚加工装置の一例を説明
するための正面概略図である。
【図2】図1の側面概略図である。
【図3】本発明に係わる仮撚加工装置の一例を説明する
ための概略図である。
【図4】本発明に係わる延伸仮撚加工装置の他の一例を
説明するための概略図である。
【図5】本発明脂肪族ポリエステル仮撚糸を引張試験し
た時の強伸度曲線を示す。
【図6】実施例3で得られた脂肪族ポリエステル仮撚糸
の横断面の様子を示す図。
【図7】比較例1で得られた脂肪族ポリエステル仮撚糸
の横断面の様子を示す図。
【符号の説明】
1:供給糸 2:フィードローラー 3:加熱ローラー 4:セパレートローラー 5:ニップローラー 6:ヒーター 7:仮撚回転子 8:延伸ローラー 9:交絡ノズル 10:スピンドル式巻取装置 11:リラックスローラー 12:冷却板 13:ワインダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB32 BB77 BB89 EE01 EE20 FF08 4L036 MA05 PA01 PA03 PA06 PA19 PA21 RA04 UA10 UA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂肪族ポリエステル繊維糸条からなる仮撚
    糸であって、断面変化率が1.5以下であることを特徴
    とする脂肪族ポリエステル仮撚糸。
  2. 【請求項2】白濁していないことを特徴とする請求項1
    記載の脂肪族ポリエステル仮撚糸。
  3. 【請求項3】熱水処理後の伸縮復元率RS(%)と繊度
    D(d)の関係が12.5−0.0167×D≦RS≦
    32.5−0.0833×Dであることを特徴とする請
    求項1または2記載の脂肪族ポリエステル仮撚糸。
  4. 【請求項4】熱水収縮率が5〜15%であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリ
    エステル仮撚糸。
  5. 【請求項5】引張時の強伸度曲線に一次降伏点が存在す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の脂肪族ポリエステル仮撚糸。
  6. 【請求項6】融点が130℃以上であることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエス
    テル仮撚糸。
  7. 【請求項7】脂肪族ポリエステル繊維糸条を構成する脂
    肪族ポリエステルが、L−乳酸を主成分とするポリエス
    テルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の脂肪族ポリエステル仮撚糸。
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