JP2000220032A - 極細ポリエステルマルチフィラメント糸、混繊糸および織編物 - Google Patents

極細ポリエステルマルチフィラメント糸、混繊糸および織編物

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JP2000220032A
JP2000220032A JP11019553A JP1955399A JP2000220032A JP 2000220032 A JP2000220032 A JP 2000220032A JP 11019553 A JP11019553 A JP 11019553A JP 1955399 A JP1955399 A JP 1955399A JP 2000220032 A JP2000220032 A JP 2000220032A
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multifilament yarn
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polyester multifilament
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Masayuki Sato
正幸 佐藤
Yoshitaka Aranishi
義高 荒西
Hiroshi Takahashi
洋 高橋
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ソフト感と発色性に優れ、更に生分解性を有す
る、衣料用途に好適に用いられる極細ポリエステルマル
チフィラメント糸、混繊糸および織編物を提供する。 【解決手段】融点が130℃以上の脂肪族ポリエステル
を主体とするポリエステルを直接紡糸することによって
得られる極細ポリエステルマルチフィラメント糸であっ
て、その単糸繊度が0.1〜1dtexである極細ポリエステ
ルマルチフィラメント糸、混繊糸および織編物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ポリエステ
ルからなる極細ポリエステルマルチフィラメント糸、混
繊糸および織編物に関し、更に詳しくは風合い、特にソ
フト感に優れ、且つ発色性の良好であり、更に生分解性
を有する脂肪族ポリエステルからなる極細ポリエステル
マルチフィラメント糸、混繊糸および織編物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエチレンテレフタレート
からなる単糸繊度が0.1〜1dtexのポリエステル極細糸
は、ピーチ調織編物やワイピングクロスに用いられてい
る。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートからな
る極細糸は屈折率が約1.6と高いため極細糸にした際
の発色性が十分でなく、特に濃色での発色性が劣るため
商品展開に制限があったり、またポリマー自体のヤング
率が高いため十分なソフト感を付与することができなか
った。
【0003】一方、近年特に環境問題が社会問題になっ
てきているが、ポリエチレンテレフタレートに代表され
る芳香族ポリエステルは耐久性が極めて高く、自然環境
中で容易に分解しないため廃棄に際しては焼却処理を行
わない限り、半永久的に残存してしまうという欠点があ
る。この問題を解決するために近年、生分解性繊維につ
いて種々提案されている。
【0004】例えば、特開平7−11517号公報およ
び特開平8−158154号公報には、直接紡糸による
脂肪族ポリエステル繊維の製造について提案がされてい
るが、これらはいずれも不織布用途を狙った単糸繊度が
2dtex以上の太い単糸繊度を有する生分解性繊維に関す
るものであり、いずれの場合においても衣料用途でのソ
フト感と発色性を付与することはできなかった。
【0005】また、特開平9−41223号公報には、
結晶性の異なる2種の生分解性重合体を用いた分解型複
合繊維について開示されている。しかしながら、この提
案も不織布用途を狙ったものであり、得られる繊維の単
糸繊度は2〜3dtexレベルのものであり、やはり衣料用
途でのソフト感と発色性を付与することはできない。ま
た、複合繊維の場合は、複合紡糸設備を必要とするため
製造コストが高くなるとともに、分割性が不十分である
ため安定した品位の織編物を製造することは困難であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術では達成できなかった、衣料用織編物とした際
にソフト感および発色性に優れ、更に生分解性を有する
脂肪族ポリエステルからなる極細ポリエステルマルチフ
ィラメント糸、混繊糸およびこれらの糸を用いてなる織
編物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、融点が
130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエ
ステルを直接紡糸することによって得られる極細ポリエ
ステルマルチフィラメント糸であって、その単糸繊度が
0.1〜1dtexであることを特徴とする極細ポリエステル
マルチフィラメント糸によって達成できる。
【0008】本発明においてより好ましくは、極細ポリ
エステルマルチフィラメント糸の沸騰水収縮率(SW
A)が−5〜15%であり、乾熱収縮率(SD)をSW
A≦SD≦SWA+10(%)の範囲とすることであ
る。
【0009】また、単糸繊度が2〜6dtexである熱可塑
性重合体からなるマルチフィラメント糸と上記の極細ポ
リエステルマルチフィラメント糸からなる混繊糸とする
ことも好ましい態様である。
【0010】更に、本発明では、上記した極細ポリエス
テルマルチフィラメント糸または混繊糸を少なくとも一
部に用いて織編物とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の極細ポリエステルマルチフィラメ
ント糸は、脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステ
ルより形成されていることが必要である。脂肪族ポリエ
ステルを主体とするポリエステルで形成することによっ
て本発明の目的であるソフト感、発色性と生分解性を向
上することができるのである。ここで脂肪族ポリエステ
ルを主体とするとは、本発明の極細ポリエステルマルチ
フィラメント糸の80重量%以上が脂肪族ポリエステル
から形成されていることを意味するものであり、脂肪族
ポリエステルの割合を80重量%以上とすることによっ
て本発明の目的であるソフト性、発色性と生分解性を向
上することができる。
【0013】本発明においては、極細ポリエステルフィ
ラメント糸を形成する脂肪族ポリエステルを主体とする
ポリエステルの融点が130℃以上であることが必要で
ある。融点が130℃未満であると、延伸時の熱セット
工程や染色加工工程において繊維が融着一体化してしま
うため極細化の効果が発現できずソフト感が得られない
と共に摩擦加熱時に溶融欠点が生じるなど、製品の品位
も著しく悪化する。脂肪族ポリエステルの融点は好まし
くは150℃以上であり、さらに好ましくは160℃以
上である。ここで融点とは、DSC測定によって得られ
た溶融ピークのピーク温度を意味する。
【0014】本発明では、このような脂肪族ポリエステ
ルを用いることによって、芳香族ポリエステルとは異な
り、良好なソフト感を呈する。この良好なソフト感は、
脂肪族ポリエステル繊維のヤング率が芳香族ポリエステ
ル繊維のヤング率に比べ、明確に低いことに起因してい
る。
【0015】本発明で用いられる脂肪族ポリエステル
は、DSC測定で得られる溶融ピークのピーク温度が1
30℃以上であれば特段の制約はなく、ポリ乳酸、ポリ
グリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロ
キシブチレートバリレート、およびこれらのブレンド
物、変性物等を用いることができる。中でも本発明の目
的とするソフト性、発色性および生分解性を向上するた
めの融点、ヤング率、屈折率などの特性のバランスを考
慮すると、ポリ乳酸が最も好ましい。ポリ乳酸として
は、L−乳酸を主成分とするポリエステルであることが
好ましい。L−乳酸を主成分とするとは、構成成分の6
0重量%以上がL−乳酸からなっていることを意味し、
40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエ
ステルであってもよい。強度等の繊維物性を向上するた
めにはポリ乳酸の分子量は高いほど好ましく、通常少な
くとも5万、好ましくは少なくとも10万、より好ましく
は10〜30万である。
【0016】また、溶融粘度を低減させるため、ポリカ
プロラクトンやポリブチレンサクシネートのようなポリ
マーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用
いることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃
剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微
粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができ
る。
【0017】本発明の目的であるソフト感と発色性を両
立するためには、極細ポリエステルマルチフィラメント
糸を構成するフィラメントの単糸繊度は0.1〜1dtexで
あることが必要である。単糸繊度を0.1〜1dtexとする
ことによって、本発明の目的とするソフト感と発色性、
さらには製糸安定性を付与することができるのである。
単糸繊度が0.1dtex未満になると、ソフト感は向上する
が十分な発色性を得ることができず、また製糸性も悪化
するため生産安定性も低下する。逆に単糸繊度が1dtex
を超えると、発色性および製糸性は良好であるが単糸繊
度が太くなることによってソフト感の低下を招くのであ
る。単糸繊度の好ましい範囲は0.3〜0.8dtexである。
【0018】なお、繊維の断面形状については丸断面の
他、中空、三角等の異形断面であってもよい。
【0019】本発明の極細ポリエステルマルチフィラメ
ント糸は、織編物とした際のソフト感と反発性、さらに
は取扱性、製品品位を向上するため沸騰水収縮率(SW
A)が−5〜15%であり、乾熱収縮率(SD)が次式
SWA≦SD≦SWA+10(%)の範囲を満足するこ
とが好ましい。織編物は製織編後、湿熱および乾熱処理
工程を経て製造されるが、その際に受ける熱履歴によっ
て過度の収縮が発生すると最終製品において粗硬感を感
じることがある。これを抑制するためには、湿熱および
乾熱収縮が過度に大きくならないようにすることが好ま
しく、具体的には沸騰水収縮率(SWA)が15%以
下、乾熱収縮率(SD)がSD≦SWA+10(%)で
あることが好ましい。より好ましくは沸騰水収縮率(S
WA)が12%以下、乾熱収縮率(SD)がSD≦SW
A+7(%)である。但し、逆に湿熱および乾熱収縮が
小さすぎると取扱性や製品品位の低下を招く恐れがある
ため、沸騰水収縮率は−5%以上、乾熱収縮率(SD)
はSWA≦SD(%)の範囲が好ましい。より好ましく
は沸騰水収縮率は−2%以上である。
【0020】なお、沸騰水収縮率および乾熱収縮率の測
定は以下の方法で行う。
【0021】マルチフィラメント糸をかせ取りし、0.09
cN/dtexの荷重下で試料長L0を測定した後、無荷重の
状態で15分間、沸騰水中で処理を行う。処理後、風乾
し、0.09cN/dtexの荷重下で試料長L1を測定する。
【0022】次いで、L1を測定したかせを更に無荷重
の状態で乾熱150℃、10分間処理し、風乾後、0.09
cN/dtexの荷重下で試料長L2を測定する。
【0023】沸騰水収縮率(SW)(%)=[(L0−
L1)/L0]×100 乾熱収縮率(SD)(%)=[(L0−L2)/L0]
×100 本発明の極細ポリエステルマルチフィラメント糸は、そ
れを単独糸として布帛に使用することができるが、他の
マルチフィラメント糸との混繊糸としても使用すること
もできる。混繊糸として使用する場合には、布帛の張り
腰、反発感を向上するために、単糸繊度が2〜6dtexで
ある熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸と混
繊することが好ましい。なお、両者間において単糸繊度
の比が大きくなりすぎると、染色性差の違いによって織
編物にした際に「いらつき」が発生し、製品品位を低下
させることがあるので、極細ポリエステルマルチフィラ
メント糸と熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント
糸との単糸繊度の比は10倍以下が好ましい。
【0024】本発明の極細ポリエステルマルチフィラメ
ント糸と混繊する他のマルチフィラメント糸を形成する
熱可塑性重合体としては、極細マルチフィラメント糸を
形成する脂肪族ポリエステルであっても良いし、他のポ
リエステルやポリアミド等であってもかまわない。他の
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタ
レートなどが挙げられ、またポリアミドとしてはナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン610などが挙げられ
る。いずれの場合も15モル%以下の共重合成分を含ん
でいても良い。
【0025】本発明の極細ポリエステルマルチフィラメ
ント糸を混繊糸として使用する場合には、ふくらみ感、
ソフト感および反発感を向上するために、単糸繊度の大
きい熱可塑性重合体からなるマルチフィラメント糸を極
細ポリエステルマルチフィラメント糸より高収縮化させ
ておくことが好ましく、熱可塑性重合体からなるマルチ
フィラメント糸の沸騰水収縮率(SWB)と極細ポリエ
ステルマルチフィラメント糸の沸騰水収縮率(SWA)
が、次式SWA+5≦SWB≦SWA+25(%)を満
足することが好ましい。
【0026】本発明において、混繊糸として用いる場合
の極細ポリエステルマルチフィラメント糸と熱可塑性重
合体からなるマルチフィラメント糸との混繊比率は、4
0:60〜80:20の範囲が張り腰、反発感向上の点
から好ましい。
【0027】本発明の極細ポリエステルマルチフィラメ
ント糸は、直接紡糸によって製造することができる。本
発明で言う直接紡糸とは、いわゆる単成分紡糸を意味す
るものであり、易溶解性ポリマとの複合繊維を後工程で
易溶解性ポリマを溶解除去するような複合紡糸法を除く
ものである。複合紡糸法では後工程で易溶解性ポリマを
除去することが必要となり、経済的に好ましくないばか
りか廃液処理等に多大な費用がかかる。
【0028】直接紡糸法としては、脂肪族ポリエステル
を主体とするポリエステルを、紡糸速度1000〜4500m/分
程度で溶融紡糸して得た未延伸糸を一旦巻き取った後、
あるいは巻き取ることなく延伸熱処理する方法、紡糸速
度5000〜7000m/程度の高速紡糸法など、いずれの方法で
製造することが可能である。更に必要に応じて仮撚や空
気交絡等の糸加工を施しても良い。
【0029】また、本発明の極細ポリエステルマルチフ
ィラメント糸を用いた混繊糸を製造する方法としては、
従来より知られている後混繊方式および紡糸混繊方式の
いずれの方法によって製造しても良い。紡糸混繊方式と
しては、例えば孔径状や孔数の異なる2種以上の口金よ
りそれぞれ糸条を吐出し、巻取時に合糸して巻き取る方
法や、孔径状の異なる複数の吐出孔を穿孔した一つの口
金から繊度の異なる複数の糸条を同時に吐出し、巻き取
る方法などが挙げられる。
【0030】また極細ポリエステルマルチフィラメント
糸および/または混繊糸を用いた織編物を製造する場合
においても、織編機や織編組織等については何等制約す
ることはなく、極細ポリエステルマルチフィラメント糸
および/または混繊糸を少なくとも一部に用いることに
よって、本発明の目的とする、ソフト感と発色性を有す
る良好な織編物を製造することができる。
【0031】本発明によって得られる織編物は、ブラウ
スやシャツ類、スカート、スラックス、ジャケット、ス
ーツ、コートなど衣料用途全般に渡って広く適用できる
ものである。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお、実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
【0033】A.融点 パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC−7)
を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定し、得られた
溶融ピークのピーク温度を融点とした。
【0034】B.溶融粘度 東洋製機(株)社製キャピログラフを用いて250℃にお
ける剪断速度と溶融粘度との関係を測定した。測定には
L/D=10/1(mm)のダイを使用し、剪断速度1000sec
-1の時の粘度をもってその試料の溶融粘度とした。な
お、ポリブチレンサクシネートについては、190℃にて
測定した。
【0035】C.風合い特性(ソフト性、発色性、反発
感、ふくらみ感) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、4段階評価した。そしてそれらを総合評価
して、「極めて優れている」は◎、「優れている」は
○、「普通」は△、「劣っている」は×で表した。な
お、基準試料には、単糸繊度0.5dtexのポリエチレンテ
レフタレートマルチフィラメント極細糸を試料と同様に
製織、加工を施したものを用い、これを「劣っている
×」とした。
【0036】D.製糸性 紡糸時間2時間における糸切れ回数から、製糸性を3段
階評価した。
【0037】 ○:糸切れ無し △:糸切れ若干有り(1〜3回) ×:糸切れ多発 E.延伸性 2kg巻きパーンを5本作製する際の延伸糸切れ回数か
ら、延伸性を3段階評価した。
【0038】 ○:糸切れ無し △:糸切れ若干有り(1〜3回) ×:糸切れ多発。
【0039】[実施例1〜4および比較例1,2]融点
172℃、250℃、1000sec-1における溶融粘度が1550poise
であるポリL−乳酸チップ(重量平均分子量 18万)
を、60℃に設定した真空乾燥器で48hr乾燥した。乾燥し
たチップを用いて、通常の紡糸機にて紡糸温度250℃で
延伸糸の繊度構成が表1となるように紡糸口金、吐出量
を変更し、1350m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。続
いて、得られた未延伸糸を通常のホットロール−ホット
ロール系延伸機を用いて、延伸温度80℃、熱セット温度
120℃で延伸糸の伸度が35%となるように延伸倍率を
合わせて延伸を行い、延伸糸(極細ポリエステルマルチ
フィラメント糸)を得た。得られた延伸糸の糸物性を表
1に示す。
【0040】得られた延伸糸を2本合糸した後、200t/m
の甘撚を施し、これを経糸および緯糸に使用して平織物
を製織し、85℃の熱水で精練後、135℃で乾熱セットを
行ない、更に80℃の炭酸ソーダ2.5%水溶液で10分間処理
(減量加工)し、次いで湿熱120℃で染色、乾熱140℃で
仕上げセットを行った。得られた織物特性について評価
した結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 実施例1および2では製糸性が非常に良好であり、また
得られた織物は従来品に比較するとソフト感と発色性が
非常に良好なものであった。
【0042】実施例3では、単糸繊度が0.16dtexとやや
細いためか製糸性、延伸性が若干劣っていたが、得られ
た織物は従来品に比較するとソフト感と発色性が良好な
ものであった。
【0043】また実施例4で得られた織物は、非常に良
好な発色性を有していたが、単糸繊度が0.83dtexと若干
太いためソフト感は実施例1より若干劣っていたが、従
来に比較すると良好なソフト感を発現するものであっ
た。
【0044】一方比較例1は単糸繊度が1.19dtexと太い
ため、ソフト感に劣る織物しか得られなかった。
【0045】また比較例2では単糸繊度が0.08dtexと細
いため、紡糸時の糸切れが多発し、安定して巻き取るこ
とができなかった。
【0046】[実施例5〜9]実施例1で得られた未延
伸糸を用いて、第1ホットロール、第2ホットロール、
非接触式ヒータを備えた延伸機を使用して表2に示す延
伸条件で延伸・弛緩熱処理を行った。なお、延伸倍率
(第2ホットロール速度/第1ホットロール速度)は実
施例1と同倍率に設定し、また第1ホットロール温度は
80℃とした。得られた延伸糸の物性を表2に示す。
【0047】得られた延伸糸(極細ポリエステルマルチ
フィラメント糸)を実施例1と同様の方法で製織、加工
を行い、得られた織物特性について評価した結果を表2
に示す。
【0048】
【表2】 実施例5では、収縮率が若干高いため織物加工工程での
加工収縮によって実施例1に比較すると若干ソフト感が
劣ったが、従来にないソフト感と発色性が良好なもので
あった。
【0049】実施例6は、実施例5よりも更に収縮率が
高いため、加工収縮が大きく入り、若干ソフト感に欠け
るものであったが、従来と比較するとソフト感と発色性
が良好なものであった。
【0050】実施例7および8で得られた織物は、従来
にないソフト感と発色性が非常に良好なものであった。
【0051】実施例9では、弛緩熱処理工程での糸走行
性が若干不安定となり、延伸安定性が若干劣り、また織
物加工工程での取扱性も糸が伸長することによって若干
劣ったが、得られた織物は従来にないソフト感、発色性
を有するものであった。
【0052】[実施例10〜14]実施例1に用いたポ
リL−乳酸チップを使用し、実施例1と同様にチップ乾
燥、紡糸を行い、延伸糸の繊度構成が表3となるように
紡糸口金、吐出量を変更し、1000m/分の速度で未延伸糸
を巻き取った。続いて、得られた未延伸糸を通常のホッ
トロール−ホットロール系延伸機を用いて延伸温度80
℃、熱セット温度72℃で延伸糸の伸度が35%となるよ
うに延伸倍率を合わせて延伸を行い、延伸糸(熱可塑性
重合体からなるマルチフィラメント糸)を得た。但し、
実施例14では熱セット温度を100℃として延伸を行っ
た。得られた延伸糸の糸物性を表3に示す。
【0053】次いで、得られた延伸糸と実施例1で得ら
れた極細ポリエステルマルチフィラメント糸を各々1本
ずつ供給して空気交絡処理を行い、混繊糸を得た。
【0054】得られた混繊糸を経糸に使用し、緯糸には
実施例1の延伸糸を2本合糸したものを使用して実施例
1と同様の方法で製織、加工を行った。得られた織物特
性について評価した結果を表3に示す。
【0055】
【表3】 実施例10および11で得られた織物は、ソフト感と発
色性に優れ、また反発感とふくらみ感にも優れた、従来
にない風合いを有するものであった。
【0056】実施例12および13では、従来にないソ
フト感と発色性に優れ、ふくらみ感にも優れた織物が得
られたが、実施例12では混繊した繊維の単糸繊度が若
干細かったため反発感にやや劣るものであった。また実
施例13では逆に混繊した繊維の単糸繊度が若干太かっ
たためやや粗硬感を感じ、また混繊した繊維の単糸繊度
比が大きいため若干の「いらつき」が発生していた。
【0057】実施例14ではソフト感、発色性に優れ、
また反発感にも優れた、従来にない風合いを有する織物
が得られたが、収縮率差が若干小さいためふくらみ感は
やや不足していた。
【0058】[実施例15および16]30dtex-12fil、
沸騰水収縮率24.3%のポリエチレンテレフタレートマル
チフィラメント糸と、実施例1および8で得られた延伸
糸(極細ポリエステルマルチフィラメント糸)を実施例
10と同様の方法で混繊、製織、加工を行った。得られ
た織物特性について評価した結果を表4に示す。
【0059】
【表4】 実施例15で得られた織物は、ソフト感と発色性に優
れ、また反発感、ふくらみ感にも優れた、従来にない風
合いを有するものであった。
【0060】実施例16では、ソフト感と発色性に優
れ、また反発感にも優れた、従来にない風合いを有する
織物が得られたが、収縮率差が大きいためややふかつい
た織物となった。
【0061】[実施例17]実施例11において混繊糸
を作製する際に、実施例11で得られた延伸糸(熱可塑
性重合体からなるマルチフィラメント糸)を2本供給し
て空気交絡処理を行い、混繊糸を得た。
【0062】得られた混繊糸を用いて実施例11と同様
の方法で製織、加工を行った。得られた織物特性につい
て評価した結果を表5に示す。
【0063】
【表5】 実施例17で得られた織物は、ソフト感と発色性に優
れ、また反発感とふくらみ感にも優れた、従来にない風
合いを有するものであった。
【0064】[実施例18]実施例11において混繊糸
を作製する際に、実施例1で得られた極細ポリエステル
マルチフィラメント糸を2本供給して空気交絡処理を行
い、混繊糸を得た。
【0065】得られた混繊糸を用いて実施例11と同様
の方法で製織、加工を行った。得られた織物特性につい
て評価した結果を表5に示す。
【0066】実施例19では、ソフト感と発色性に優
れ、またふくらみ感にも優れた、従来にない風合いを有
していたが、極細糸の混繊比率がやや高いため、反発感
を向上するために混繊した単糸繊度の太い延伸糸の効果
が若干劣るものであった。
【0067】[実施例19]実施例1において、紡糸速
度を6000m/分とし、巻き取り後の繊度構成が50dtex-100
filとなるように吐出量を調整して高速紡糸を行った。
得られた高速紡糸糸(極細ポリエステルマルチフィラメ
ント糸)を用いて実施例1と同様の方法で製織、加工を
行い、織物を作製した。得られた織物特性について評価
した結果を表6に示す。
【0068】
【表6】 実施例20で得られた織物は従来品に比較するとソフト
感と発色性が非常に良好なものであった。
【0069】[比較例3]融点112℃、190℃、1000sec
-1における溶融粘度が2250poiseであるポリブチレンサ
クシネートチップを、30℃に設定した真空乾燥器で48hr
乾燥した。乾燥したチップを用いて通常の紡糸機にて紡
糸温度190℃で延伸後の繊度構成が50dtex-60filとなる
ように吐出量を調整し、600m/分の速度で未延伸糸を巻
き取った。続いて、得られた未延伸糸を通常のホットロ
ール−ホットロール系延伸機を用いて延伸温度25℃、熱
セット温度70℃で延伸糸の伸度が35%となるように延
伸倍率を合わせて延伸を行い、延伸糸を得た。
【0070】得られた延伸糸を染色温度100℃、乾熱セ
ット温度を100℃として実施例1と同様の方法で製織、
加工を行い織物を得た。得られた織物は、単繊維同士が
融着を起こしており、ソフト感が得られず、また染色温
度も低温でしか染色できないため発色性も著しく劣るも
のであった。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、ソフト感と発色性に優
れ、更に生分解性を有する極細ポリエステルマルチフィ
ラメント糸、混繊糸および織編物を得ることができる。
この極細ポリエステルマルチフィラメント糸、混繊糸お
よび織編物は衣料用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA02 BB31 BB77 BB89 CC20 DD13 DD15 EE01 EE02 EE20 FF10 HH01 HH10 4L036 MA05 MA33 MA39 PA01 PA03 PA09 PA10 PA33 RA03 UA01 UA25 UA30 4L048 AA20 AA35 AA50 AB07 AB09 AB12 AC00 BA01 BA02 CA12 DA01 EB04 EB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が130℃以上の脂肪族ポリエステ
    ルを主体とするポリエステルを直接紡糸することによっ
    て得られる極細ポリエステルマルチフィラメント糸であ
    って、その単糸繊度が0.1〜1dtexであることを特徴と
    する極細ポリエステルマルチフィラメント糸。
  2. 【請求項2】 沸騰水収縮率(SWA)が−5〜15%
    であり、乾熱収縮率(SD)が次式SWA≦SD≦SW
    A+10(%)を満足することを特徴とする請求項1記
    載の極細ポリエステルマルチフィラメント糸。
  3. 【請求項3】 脂肪族ポリエステルがL−乳酸を主成分
    とするポリエステルであることを特徴とする請求項1又
    は2記載の極細ポリエステルマルチフィラメント糸。
  4. 【請求項4】 単糸繊度が2〜6dtexである熱可塑性重
    合体からなるマルチフィラメント糸と請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の極細ポリエステルマルチフィラメン
    ト糸とが混繊されてなることを特徴とする混繊糸。
  5. 【請求項5】 熱可塑性重合体からなるマルチフィラメ
    ント糸の沸騰水収縮率(SWB)と極細ポリエステルマ
    ルチフィラメント糸の沸騰水収縮率(SWA)が、次式
    SWA+5≦SWB≦SWA+25(%)を満足するこ
    とを特徴とする請求項4記載の混繊糸。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の極
    細ポリエステルマルチフィラメント糸または混繊糸を少
    なくとも一部に用いてなる織編物。
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