JP4506314B2 - 極細糸 - Google Patents
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(1)5≦TWA(%)≦20
(2)0.01≦FDT(dtex)≦1
また、本発明の極細糸において、好ましくは、島成分がポリトリメチレンテレフタレート、海成分ポリ乳酸で構成されている海島型複合糸であって、海成分/島成分の複合比率が10/90〜50/50であることを特徴とするものである。
(1)5≦TWA(%)≦20
アルカリ減量によって極細糸を得る場合、一般的には乾熱収縮率としては、アルカリ減量前の乾熱収縮率で規定していることが通常である。アルカリ減量は繊維表面を溶かすことで、織編物内の交錯点に空隙を生みだし、ソフトでしなやかな風合いを付与するため用いられている。しかし、高密度織編物においてはアルカリ減量を施こすことで、フカツキ感も付与されることが問題となっていた。本発明においては、鋭意検討した結果、アルカリ減量後においても糸に収縮性を付与することで、ソフトで精緻感ある高密度織編物を得ることができる極細糸を得ることができることを見出した。すなわち、アルカリ減量後の、織物を構成する糸の乾熱収縮率(TWA)が、5≦TWA(%)≦20を満たすことで、ソフトで精緻感ある高密度織編物を得ることができる。TWA(%)<5では織物に精緻感を付与することができず、また、TWA(%)>20では、収縮が強すぎて、織物としての粗硬感が強くなってしまう。さらに好ましくは8≦TWA(%)≦20である。
(2)0.01≦FDT(dtex)≦1
0.01≦FDT(dtex)≦1を満たすことで、織編物にした際のソフト感を得ることができる。より好ましい範囲は、0.01≦FDT(dtex)≦0.5である。FDT(dtex)>1であると、織編物にソフト感を付与することはできない。またFDT(dtex)<0.01であると、細すぎて、発色性が低下してしまう。
アルカリ減量するにあたっては、常法に従い水酸化ナトリウム水溶液を用いて、減量すすることができる。80℃以上に加熱した水酸化ナトリウム水溶液を用いて減量すると、アルカリ減量時間を短くできるので好ましい。また、本発明の高密度織物は複合糸を製織した後に、アルカリ減量を行って極細糸とすることがより好ましい。
周長0.8mの検尺機に、90mg/dtexの張力下で10回巻回してカセ取りし、10分放置した後、カセ長(L)を測定する。その後、このカセをガーゼで包み、無荷重下で98℃×20分間熱水処理し、2cm以下の棒につり下げ約12時間放置した後、カセ長(L1)測定し、下記式で算出した。
・沸騰水収縮率(SWA)=(L−L1)/L×100
B.乾熱収縮率(TWA)
上記方法で沸騰水処理したカセをガーゼで包み、海島複合糸から極細糸を得る場合のみ無荷重下で98℃の3%水酸化ナトリウム水溶液で海成分が完全に溶解するまで処理する。そのまま常温で約12時間放置した後、160℃の乾燥機内で無荷重下で5分処理する。その後、2cm以下の棒につり下げ約12時間放置した後、カセ長(L2)測定し、下記式で算出した。
・乾熱収縮率(TWA)=(L1−L2)/L2×100
C.単繊維繊度(FDT)
上記方法でカセを沸騰水処理、アルカリ減量処理した後、0.1g/dtexの加重で10cm長にカットし、単繊維の重量を測定することで単繊維繊度を測定した。
JIS L1013(1999)に準じオリエンテック社製テンシロンUCT−100を用いて測定した。
オルソクロロフェノール10mlに対し試料0.10gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した。
紡糸時間24時間における糸切れ回数から製糸性を4段階評価した。
○○:糸切れ無し
○ :糸切れ有り(1〜2回)
△ :糸切れ有り(3〜5回)
× :糸切れ多発(5回以上)
(2)精緻感の評価
実施例、比較例に記載の方法で得た織物の精緻感を触感(きめの細かさ)と見た目(表面のきれいさ)により官能評価した。この際、従来品である比較例3の織物を標準として、以下の基準で4段階評価を行ない、10人のパネラーの評価結果を平均して判定した。
○○:極めて精緻感がある、
○ :やや精緻感がある、
△ :標準織物と同等の風合い、
× :精緻感がない(きめが粗く、表面がきたない)。
実施例、比較例に記載の方法で得た織物のソフトさを触感により官能評価した。この際、従来品である比較例3の織物を標準として、以下の基準で4段階評価を行ない、10人のパネラーの評価結果を平均して判定した。
○○:極めてソフトな風合い、
○ :ややソフトな風合い、
△ :標準織物と同等の風合い、
× :堅い風合い。
実施例、比較例に記載の方法で得た織物の発色性を、見た目により官能評価した。この際、従来品である比較例3の織物を標準として、以下の基準で4段階評価を行ない、10人のパネラーの評価結果を平均して判定した。
○○:極めて発色性が良い、
○ :やや発色性が良い、
△ :標準織物と同等の発色性、
× :発色性が悪い。
ジメチルテレフタル酸19.4kg、1,3−プロパンジオール15.2kgにテトラブチルチタネートを触媒として用い、140℃〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、さらに、250℃温度一定の条件下で3.5時間重合を行い極限粘度[η]が0.96のポリトリメチレンテレフタレートを得た。
実施例2は実施例1と同様に延伸糸を用いて、ヒータ温度130℃、オーバーフィード率10%で弛緩熱処理を実施した以外は実施例1と同様の方法で製織、加工を行い、織物を得た。延伸糸物性と織物について評価した結果を表1に示す。実施例2で得られた織物は精緻感に優れ、ソフト感、発色性が良好なものであった。
比較例1は実施例1と同様のポリトリメチレンテレフタレートを用い、ホール数250の口金を用いて、通常紡糸機にて紡糸温度250℃、引き取り速度1500m/分で巻き取った。得られた延伸糸をアルカリ減量率を20%に設定した以外は実施例1と同様の方法で製織、加工を行い織物を得た。延伸糸物性と織物について評価した結果を表1に示す。比較例1では、製糸性が悪く、糸切れが多発した。また、得られた織物は表面が粗く、精緻感に欠けたものであった。
比較例2では島成分として実施例1と同様のポリトリメチレンテレフタレート、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸4.5モル%共重合した極限粘度[η]が0.56のポリエチレンテレフタレートを用い、実施例1と同様の口金、複合紡糸機を用いて紡糸温度280℃、引き取り速度1500m/分で巻き取り、得られた未延伸糸を実施例1と同様の方法で延伸糸を得た。得られた延伸糸を実施例1と同様の方法で製織、加工を行い織物を得た。延伸糸物性と織物について評価した結果を表1に示す。比較例2では、製糸性が悪く、糸切れが多発した。また、得られた織物はきめがが粗く、精緻感に欠けたものであった。
比較例3では島成分として極限粘度[η]が0.55のポリエチレンテレフタレートを用い、海成分として比較例2と同様の共重合ポリエチレンテレフタレートを用い、比較例2と同様方法で巻き取り、延伸糸を得た。得られた延伸糸を実施例1と同様の方法で製織、加工を行い織物を得た。延伸糸物性と織物について評価した結果を表1に示す。比較例3では、発色性も乏しく、かさかさした風合いであった。
繊度構成、海/島複合比率、島数を表2に示すように変更し、実施例1と同様の方法にて延伸糸および織物を得た。得られた延伸糸物性、織物評価の結果を表2に示す。
延伸工程の熱セット温度を90℃にした以外は全て実施例1と同様の方法にて延伸糸及び織物を得た。得られた延伸糸物性、織物評価の結果を表2に示す。比較例5では収縮が強すぎて、かたい風合いであった。
Claims (4)
- 実質的にポリトリメチレンテレフタレートで構成されている糸条からなり、乾熱収縮率(TWA)、単繊維繊度(FDT)および沸騰水収縮率(SWA)とアルカリ減量後の乾熱収縮率(TWA)の比が下記の式を全て満たすことを特徴とする極細糸。
(1)5≦TWA(%)≦20
(2)0.01≦FDT(dtex)≦1
(3)TWA(%)/SWA(%)≧1.5 - 島成分がポリトリメチレンテレフタレート、海成分ポリ乳酸で構成されており、海成分/島成分の複合比率が10/90〜50/50である海島型複合糸をアルカリ減量して得られることを特徴とする請求項1に記載の極細糸。
- 海島型複合糸の原糸強度が3.0cN/dtex以上であることを特徴とする請求項2に記載の極細糸。
- タテ糸および/またはヨコ糸に請求項1〜3いずれかに記載の極細糸を使用することを特徴とする高密度織物。
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