JPH07165896A - 生分解性ポリエステル共重合体、その製法および該共重合体からの成形品 - Google Patents

生分解性ポリエステル共重合体、その製法および該共重合体からの成形品

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JPH07165896A
JPH07165896A JP6213726A JP21372694A JPH07165896A JP H07165896 A JPH07165896 A JP H07165896A JP 6213726 A JP6213726 A JP 6213726A JP 21372694 A JP21372694 A JP 21372694A JP H07165896 A JPH07165896 A JP H07165896A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生分解性ポリエステル共重合体、その製法お
よび該共重合体からの成形品を提供する。 【構成】 L−乳酸および(または)D−乳酸成分9
9.9〜85重量%と、数平均分子量300以上のポリ
エチレングリコール成分0.1〜15重量%とが共重合
されてなり、平均分子量が50000以上かつ融点が1
10℃以上である生分解性ポリエステル共重合体および
該共重合体を溶融状態で連続的に重合させることにより
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、容器、フィルム、繊維
などに用いることができ、強靭性および耐熱性の良好な
汎用性のある新規な生分解性ポリエステル共重合体、そ
の製法および前記共重合体からの強靭性などの力学特性
が改良された成形品に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】自然環境
下で微生物などにより分解される生分解性のポリマー
は、環境保全の見地から近年注目されている。
【0003】このようなポリマーのうち溶融成形可能な
生分解性ポリマーとして、たとえばポリヒドロキシブチ
レート(以下、PHBという)やポリカプロラクトン
(以下、PCLという)、さらにはポリ乳酸が知られて
いる。
【0004】しかし、PHBは、微生物による生合成の
ためポリマーの採取や精製に多大のエネルギーを要し、
製造コストが高すぎるだけでなく、分子量や結晶性を制
御することが困難なために成形が困難であり、また、成
形品の透明性が劣るなど成形品の物性の制御も困難であ
り、工業的に安価に用途に応じた性能、成形性を与える
ことは容易でないというのが実情である。
【0005】また、PCLは融点が60℃と低すぎるた
めに使用中のクリープが大きく、製品の形態安定性が劣
ったり、使用温度により強度が極端に低下するなど、実
際に使用するうえで大きな問題、障害を有する。
【0006】一方、ポリ乳酸は、比較的コストが安く、
融点も178℃で充分な耐熱性を有する熱可塑性樹脂
で、溶融成形可能で衣料用および工業用繊維としても期
待されており、また、実用上優れた生分解性ポリマーで
はあるが、ポリ乳酸のホモポリマーは、結晶性が高す
ぎるため溶融成形性に劣り、しかも、えられる成形品
(容器、フィルム、繊維など)は強靭性が充分でなく、
また、脆くて衝撃強度が低い(剛直な結晶構造を有す
る)、ポリ乳酸の分子量を充分にあげることができな
い、ポリ乳酸を加熱すると分子量が低下し、最終製品
の強度などの劣化につながるうえに、ポリ乳酸から実用
的な衣料用および工業用繊維を製造する技術がまだ確立
されていない、繊維製品としての商品化技術の開発も
遅れているなど、製造上、加工上の問題もある。
【0007】それゆえ、従来は生体適合性を活かした手
術糸(縫合糸)などのごく限られた用途が知られている
にすぎない。
【0008】また、特開平1−163135号公報に
は、分子量300〜10000の乳酸の重合体または共
重合体と、分子量150〜10000のポリオキシエチ
レングリコール(以下、PEGという)とを、ポリ乳酸
に対してPEGの当量比が0.3〜5.0(30〜50
0%)になるように反応させてえられる、生体内への薬
物除放性基材が開示されている。
【0009】しかしながら、えられる共重合体は、生体
内での使用が主目的で、その軟化点(熱板上でガラス棒
で曳糸し始める温度)は、−10〜60℃程度と極めて
低く、その分子量も前記軟化点、反応原料の配合比およ
び生成物の性状(ペースト状またはワックス状)などか
らみて、高々10000〜20000程度と推定され、
汎用性および強靭性に優れる成形品は到底えられるもの
ではない。
【0010】また、特開昭63−69825号公報に
は、ポリ乳酸セグメント70〜97%(重量%、以下同
様)とポリオキシエチレンジカルボン酸セグメント3〜
30%とからなるブロック共重合体も開示されており、
ポリオキシエチレンジカルボン酸エステルを用いるの
は、乳酸の環状2量体(以下、ラクタイドという)の重
合時にPEGを反応させようとすると、PEGの末端の
ヒドロキシル基が重合を阻害し、重合度の低いものしか
えられないためである、と記載されている。
【0011】しかし、ポリオキシエチレンジカルボン酸
エステルを用いても、特開昭63−69825号公報の
実施例では高々分子量31000、フィルムの引張強度
もわずか2.8kg/mm2 (本発明品の1/10程
度)のものしかえられていない。さらに、ポリオキシエ
チレンジカルボン酸は、PEGに較べてかなりコスト高
であり、汎用性の点からも充分満足のいくものではな
い。
【0012】本発明は、前述のごとき従来の技術におけ
る問題を解決し、成形性および強靭性が改良され、生分
解速度および衝撃強度が良好で、しかも充分な耐熱性を
有し、かつ比較的安価で、広範囲な用途に使用すること
ができる新規なポリ乳酸共重合体(生分解性ポリエステ
ル共重合体)を提供するとともに、前記ポリ乳酸共重合
体を溶融成形してなる良好な生分解性を有し、かつ強靱
性などの力学特性が改良された成形品を提供せんとする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のポ
リ乳酸(ホモポリマー)が脆い原因は、結晶性が極めて
高く、非常に剛直な結晶構造を有するためであると考
え、この問題を解決するためには共重合体にするのがよ
いが、一般に共重合体にすると融点が大幅に低下し、耐
熱性が不充分になるという問題をできるだけ防ぐという
観点から、鋭意研究を重ねた。
【0014】また、本発明者らは、従来、高重合度のL
−乳酸および(または)D−乳酸成分/PEG共重合体
がえられていない理由が、重合をバッチ方式で長時間
行なっていたため、分解により重合度の低下や着色が生
じる、とも関連するが、化学的に不安定で酸化され
やすいPEGを酸化防止剤を使用しない状態で長時間溶
融共重合させようとしていたため、分解し、重合度の高
いものがえられにくい、PEGの添加によりL−乳酸
および(または)D−乳酸成分/PEGの系におけるカ
ルボキシル基と水酸基とのバランスがくずれるため、高
重合度のものがえられない、などではないかと考え、
については、たとえばベント付2軸混練押出機またはそ
れに類似する撹拌および送り機能を有する装置を用い、
原料および反応物を溶融状態で撹拌、混合、移動、脱気
しつつ反応させ、連続的に取出すことにより、大幅に重
合度をあげうる、については、重合系に10〜300
0ppm程度の酸化防止剤を添加することにより、分解
(アルデヒドの発生)を防止しうる、については、P
EGの水酸基と実質的に等モル量のジカルボン酸成分を
重合系に添加することにより改善することができる、そ
して、好ましくは〜のうちの2つ以上の対応策を併
用することにより、高分子量で従来よりもはるかに優れ
た強度、耐熱性および汎用性を有する生分解性ポリエス
テル共重合体を製造しうることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0015】すなわち、本発明は、L−乳酸および(ま
たは)D−乳酸成分99.9〜85%(重量%、以下同
様)と、数平均分子量300以上のポリエチレングリコ
ール成分0.1〜15%とが共重合されてなり、平均分
子量が50000以上かつ融点が110℃以上である生
分解性ポリエステル共重合体(請求項1)、数平均分子
量1000以上のポリエチレングリコール成分が0.3
〜10%共重合されてなり、平均分子量が60000以
上かつ融点が130℃以上である請求項1記載の共重合
体(請求項2)、平均分子量が80000〜30000
0、融点が150℃以上である請求項1記載の共重合体
(請求項3)、溶融成形したV字型切込付の試験片のア
イゾット衝撃強度が1kg・cm/cm以上である請求
項1、2または3記載の共重合体(請求項4)、L−乳
酸および(または)D−乳酸成分99.9〜85%と、
数平均分子量300以上のポリエチレングリコール成分
0.1〜15%とを溶融状態で連続的に重合させること
を特徴とする共重合体の製法(請求項5)、重合を相互
に噛み合うまたは重なり合う複数の撹拌素子および送液
機能を有する装置によって行なう請求項5記載の製法
(請求項6)、重合を1時間未満で完了させる請求項5
または6記載の製法(請求項7)、重合を重合系に10
ppm以上のヒンダードフェノールおよび(または)ヒ
ンダードアミンを添加して行なう請求項5、6または7
記載の製法(請求項8)、L−乳酸、D−乳酸および
(または)それらの環状2量体(ラクタイド)とポリエ
チレングリコールとを溶融状態で重合させる際に、反応
系にポリエチレングリコールと実質的に等モル以下の量
の有機ジカルボン酸成分を添加して重合させる請求項
5、6、7または8記載の製法(請求項9)、請求項
1、2、3または4記載の共重合体からなる成形品(請
求項10)、成形品が、容器、機械部品、家具部品、建
築材料、フィルムもしくはシートまたは未延伸もしくは
延伸配向された繊維である請求項10記載の成形品(請
求項11)、フィルムもしくはシートが、引張強度が2
0kg/mm2 以上である請求項11記載の成形品(請
求項12)、未延伸もしくは延伸配向された繊維が、引
張強度が2g/d以上であり、切断伸度が20%以上で
ある請求項11記載の成形品(請求項13)、成形品
が、未延伸もしくは延伸された繊維からの繊維構造物
(編物、織物、不織布、紙、紐、テープ、ロープ、網)
である請求項10記載の成形品(請求項14)に関す
る。
【0016】
【実施例】本発明の生分解性ポリエステル共重合体は、
前述のごとく、L−乳酸および(または)D−乳酸成分
(以下、乳酸成分ともいう)を99.9〜85%と、数
平均分子量300以上のポリエチレングリコール成分
(以下、(A)成分ともいう)0.1〜15%とが共重
合されてなり、平均分子量が50000以上かつ融点が
110℃以上である生分解性ポリエステル共重合体(以
下、共重合体(A)ともいう)である。
【0017】前記L−乳酸および(または)D−乳酸成
分は、本発明の生分解性ポリエステル共重合体に対し
て、良好な生分解性、加水分解性を付与し、かつ、強靱
性、耐熱性および結晶性を付与するための成分である。
【0018】また、前記乳酸成分と共重合体を形成する
数平均分子量300以上のポリエチレングリコール成分
((A)成分)は、共重合体(A)に対して良好な成形
性(延伸性、紡糸性)、耐衝撃性および親水性を付与す
るための成分である。
【0019】前記乳酸成分が共重合体(A)中にしめる
割合は85%以上であるが、さらには90%以上、とく
には92%以上で、99.9%以下、さらには99.7
%以下、とくには99.5%以下である。この結果、生
分解性、強靭性、耐熱性、生体適合性がよくなる。
【0020】共重合体(A)の分子量としては、成形品
(フィルム、繊維を含む)の強靭性および成形性(紡糸
性、射出成形性)が優れるという点から平均分子量で5
0000以上であるが、60000以上であるのが好ま
しく、80000〜300000であるのがさらに好ま
しい。分子量が過度に大きいと溶融時の流動性や成形性
が劣るため、その見地から平均分子量は高々50000
0、好ましくは400000以下、とくに好ましくは3
00000以下である。
【0021】前記平均分子量が50000以上という値
は、従来の乳酸系重合体に比して各段に高い分子量であ
る。
【0022】なお、共重合体(A)における平均分子量
とは、該共重合体のクロロホルム0.1%溶液のGPC
分析(ポリスチレン標準試料によりキャリブレーション
したもの)の高分子量物(分子量500以下のものを除
く)の重量平均分子量のことである。
【0023】共重合体(A)における生分解性は、繊維
状、フィルム状または板状の試料を、水中、土中、活性
汚泥中で経時的に重量、強度、形状、分子量を観察する
ことにより評価することができる。たとえば、繊維を活
性汚泥中(ASTM D5271−93)で6カ月浸漬
後、引張強度が1/2以下、好ましくは1/3以下、さ
らに好ましくは1/4以下まで減少するばあい、生分解
性が良好であるといえる。
【0024】このように、本発明の生分解性共重合体
は、乳酸成分を主体とし、(A)成分を共重合させ、高
分子量にしたものであるため、ポリ乳酸の高融点、高強
度という性質を保持しつつ、耐衝撃性、成形性、熱安定
性などが改善される。
【0025】(A)成分の共重合比率が高いほど、共重
合体は柔軟になり融点が低下し、重合度が上がりにくく
なる傾向にある。重合度および融点の低下は、(A)成
分の分子量が大きいほどわずかである。したがって、低
分子量の(A)成分では、共重合比率をあまり高くする
ことは好ましくない。たとえば(A)成分の数平均分子
量が1000のばあい、共重合比率は0.3〜3.9
%、(A)成分の数平均分子量が3000のばあい、
0.3〜6.8%、数平均分子量6000のばあい、
0.3〜9.4%、数平均分子量10000のばあい、
0.3〜12%が好ましい。
【0026】(A)成分の数平均分子量(x)と好まし
い共重合比率(y)とが、実験的に式(I)の関係にあ
ることを本発明者らは見出している。
【0027】 0.3≦y(%)≦[(x−300)/8×105 1/2×100+1 (I) 共重合体(A)は、ポリ乳酸ホモポリマーに比べて、
(A)成分の共重合比率が高いほど親水性、アルカリ加
水分解速度、生分解速度が大きくなり、ヤング率などの
弾性や融点などの耐熱性が低下する傾向にある。使用目
的にあわせて、(A)成分の分子量や共重合比率を選ぶ
ことが好ましい。
【0028】なお、(A)成分として分子量の異なるも
のを2種以上併用することができるが、そのばあいの分
子量としてはそれらの平均分子量を用いればよい。
【0029】共重合体(A)中における乳酸成分と
(A)成分との結合の仕方としては、基本的には(A)
成分の末端の水酸基に乳酸成分中のカルボキシ基が結合
し、ついで縮合した乳酸成分中の水酸基につぎの乳酸の
カルボキシル基が結合するという結合様式により結合
し、主に(A)成分をはさんでポリ乳酸成分が伸びた形
を有する。さらに、要すれば使用される後述する第3成
分が鎖延長剤としてポリマー鎖の長さや形状を変えるこ
とができる。また、生分解性制御基、ミクロドメイン構
造形成基、染色性改善基、親水性付与基などとして結合
させることもできる。
【0030】このような共重合体(A)は、110℃以
上の融点を有する。融点は高いほど耐熱性の見地からは
好ましい。たとえば食品容器などの成形品は、100℃
の沸騰水による殺菌処理ができることが必要であり、そ
のためには融点が110℃以上であることが必要であ
り、130℃以上であるのが好ましい。同様に繊維とし
て用いるばあいも100℃での染色や殺菌に耐えること
が必要で、そのためには融点が110℃以上であること
が必要で、130℃以上であるのが好ましい。さらに、
高度の殺菌(130℃高圧水蒸気)や高圧染色(130
℃の高圧水浴)に耐えることが好ましく、そのためには
融点は150℃以上であることが好ましい。
【0031】つぎに、共重合体(A)を構成する乳酸成
分および(A)成分について説明する。
【0032】乳酸成分は、L−乳酸および(または)D
−乳酸、さらにはこれらの環状2量体(ラクタイド)の
重合体単位、すなわちポリL−乳酸(以下、PLLAと
もいう)単位、ポリD−乳酸(以下、PDLAともい
う)単位およびL−乳酸とD−乳酸との共重合体(以
下、PL/DLAともいう)単位のいずれの形で含まれ
ていてもよいが、耐熱性の見地から、PLLAまたはP
DLAのホモポリマー単位であるのが好ましい。
【0033】なお、PL/DLA単位にするばあいに
は、少量の、たとえば5%以下、好ましくは2%以下、
さらに好ましくは1%以下の光学異性体が共重合された
ものにするのがよい。PLLAおよびPDLAは、いず
れも本発明に好ましく用いられるが、原料の乳酸を発酵
法で製造するばあいには、L−乳酸を製造する方が能率
的(低コスト)であり、したがってPLLAまたはそれ
を主成分とする共重合体が好ましい。5%をこえて光学
異性体を共重合させると、ポリ乳酸の結晶性、耐熱性、
強度の低下が大きくなる。
【0034】共重合体(A)を構成する(A)成分であ
るPEGとは、エチレンオキシドの重合体のことである
が、エチレンオキシドを付加させる出発物質として水ま
たはエチレングリコール、ビスフェノールA、炭素数1
〜20のアルキル基を有するアルキルアミン、さらには
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール、ソルビトール、ひまし油などのように3価以上
の化合物にエチレンオキシドを付加したものも前記PE
Gの範疇に含まれる。また(A)成分として前記の3価
以上の化合物に乳酸、グリコール酸、ヒドロキシカプロ
ン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸などのヒドロ
キシ酸の重合体が導入された脂肪族ポリエステルにエチ
レンオキシドが付加されたものも用いることができる。
このようにエチレンオキサイド以外の成分が含まれるば
あい、PEG中にしめる割合は50%以下、さらには2
0%以下であるのが、共重合成分としてPEGを使用す
る目的が充分達成されるという点から好ましい。
【0035】たとえば分岐を有するPEGを含むばあ
い、耐衝撃性、耐熱性が改善される。
【0036】(A)成分の分子量としては、数平均分子
量で300以上が必要である。高重合度で、かつ高融点
の共重合体(A)をうるには、(A)成分の分子量は高
い方が好ましく、1000以上、さらには3000以
上、ことには5000〜30000、とくには8000
〜30000が好ましい。
【0037】共重合体(A)には、主成分である乳酸成
分および(A)成分の他に、第3の成分を共重合させて
もよい。このような成分として、たとえば(A)成分の
水酸基とバランスさせるために使用するジカルボン酸成
分、たとえば生分解性の調整のために使用される成分、
たとえば染色性の改良などのため使用するスルホン酸基
を有する化合物(たとえばスルホイソフタル酸(または
その金属塩)を共重合させることにより、塩基性染料で
染色可能とすることができる)、アミノ基またはアミド
基を有する化合物(たとえばアミノ酸を共重合させるこ
とにより、酸性染料で染色可能とすることができる)な
どがあげられる。
【0038】前記(A)成分の水酸基とバランスさせる
とは、乳酸成分の両末端はカルボキシル基と水酸基であ
るが、それに両末端が水酸基の(A)成分(PEG)を
加えれば、水酸基が過剰となり、カルボキシル基がすべ
て反応してしまえば、そこで反応が停止する。PEGの
添加量が多いほど、またPEGの分子量が小さいほどカ
ルボキシル基と水酸基のモルバランスが崩れ、低重合度
のものしかえられない。このアンバランスは、PEGの
水酸基と実質的に等モルのジカルボン酸成分を重合反応
系に添加することによって解消させうる。
【0039】なお、前記実質的に等モルとは、(A)成
分とジカルボン酸成分とが当量比(実質的にはモル比)
で0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1の範囲の
ことである。もちろん当量比が0.8未満または1.2
をこえるばあいでもそれ相当の効果はあり、添加しない
よりは高重合度のものがえられる。
【0040】前記ジカルボン酸成分としては、たとえば
アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸など炭素
数4〜12程度の脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、
テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8
〜20の芳香族ジカルボン酸;それらの酸無水物;それ
らのメタノールエステル、エチレングリコールエステル
などの炭素数1〜6の低分子量アルコールのエステル;
フタル酸クロライドのようなジカルボン酸ハロゲン化物
などが利用可能なものとしてあげられる。
【0041】前記ジカルボン酸成分の共重合のさせ方と
しては、たとえば重合がある程度進んだ段階(中期また
は末期)で、実質的に等当量の無水フタル酸を添加、混
合して、2つの分子の分子鎖末端の水酸基と反応せしめ
て、分子量を効果的に増大させてもよい。たとえばアジ
ピン酸は分子量が146であるから、数平均分子量15
000のPEGに対して約1%の添加でバランスする。
数平均分子量15000のPEGを乳酸成分に対して3
%共重合させるとすれば、バランス剤としてのアジピン
酸は、全体のわずか0.03%で充分である。しかし、
数平均分子量300のPEGを使うとすると、バランス
させるにはそのほぼ半量のアジピン酸が必要となる。
【0042】PEGとジカルボン酸成分とは、前述のご
とく別々に反応系に加えてもよいが、それらをあらかじ
め反応(重合)させてポリエーテルエステルとしたの
ち、乳酸、ラクタイドおよび(または)ポリ乳酸と反応
させてもよい。この方法も、ジカルボン酸成分を重合系
に添加、反応せしめる有用な方法である。同じくジカル
ボン酸成分をジオール成分に対し過剰に配合して反応さ
せた、カルボキシル基の多いポリエステルのオリゴマ
ー、たとえばヘキサンジオール/アジピン酸のモル比が
1/2、2/3、3/4などで調製したヘキサメチレン
アジペートのオリゴマーも利用できる。
【0043】これらの第3成分の共重合量は、えられる
共重合体(A)の融点の低下をもたらす傾向があるか
ら、融点を所定の範囲に保つ範囲にする必要があり、通
常共重合体(A)中に2%以下、さらには1%以下共重
合させるのが好ましい。
【0044】つぎに、共重合体(A)の製法について説
明する。
【0045】共重合体(A)は、たとえばベント付2軸
混練押出機またはそれに類似する撹拌および送り機能を
有する装置を用い、原料およびポリマーを溶融状態で撹
拌、混合、移動、脱気しつつ反応させたのち連続的に取
出すことにより製造される。
【0046】このような方法により共重合体(A)を製
造することにより、従来のバッチ法によるばあいと比較
して、短時間で分解物や着色が少なく、高重合度の共重
合体(A)を製造することができる。
【0047】2軸混練押出機(以下、2軸混練機ともい
う)は、並行して設け、同方向または逆方向に回転する
軸に、互いに噛み合うスクリュー(送り部)、同じく噛
み合う2翼状または3翼状の撹拌素子を複数(多数)取
付けたもので、さらにシリンダー(筒状部)には必要に
応じて原料や添加剤の供給や脱気、減圧下での反応のた
めの排気などを行なうベント孔などを1個または複数個
設けることができる。
【0048】2軸混練機により、重合原料または重合中
および重合後のポリマーは、極めて効果的に撹拌、混
合、移動せしめられ、反応速度が相当速められる。しか
も、ポリマーが停滞したり付着するデッドスペースがほ
とんどない。
【0049】2つの軸の撹拌素子、スクリューは互いに
噛み合っており、ポリマーなどは常時相互にかき取られ
ている(セルフクリーニング作用)。
【0050】同様に、シリンダーの内面も撹拌素子やス
クリューによって、ポリマーなどが常時かき取られ、長
時間付着することを防いでいる。
【0051】このため、劣化の少ない均一で優れたポリ
マーがえられる。
【0052】図1に、2軸混練機の横断面説明図の一例
を示す。
【0053】図において、2本の駆動軸1、2によって
同方向または逆方向に回転する2翼形(長円形)の撹拌
素子3、4は、互いに相手の表面やシリンダー5の内面
に付着する反応物をかき落とし、ポリマーなどが一定の
場所に滞留するのを防ぐ。同時にその優れた撹拌能力に
よって、スペース6の中を通過して行く反応物の反応速
度を速め、かつその均一性を著しく高める。7は加熱ブ
ロックで、その中に熱媒用通路8が設けられており、必
要に応じてシリンダー5を加熱または冷却する。シリン
ダー5の加熱は、熱媒のかわりに電熱とすることもで
き、冷却は空冷とすることもできる。図においてdは、
シリンダー5の内径を示す。
【0054】図2は、2軸混練機の縦断面説明図(ただ
し、混練装置は側面説明図)である。
【0055】図において、駆動軸上には、互いに噛み合
うスクリューが取り付けられ、送液部10を形成し、同
様に互いに噛み合う撹拌素子が取り付けられ、混練部1
1を形成している。供給部9から送り込まれた原料は、
3個の送液部および3個の混練部で加熱、混合されてシ
リンダー中を反応しつつ移動し、取出口14より送り出
される。シリンダー5には2つのベント12、13が設
けてあり、不活性気体の供給、排気、真空ポンプによる
減圧、原料の追加供給、添加剤の供給などを行なうこと
ができる。1軸のスクリュー押出機も、本発明の共重合
体(A)の連続重合に用いることができるが、前記のよ
うに優れた特性を有する2軸混練機がより望ましい。な
お、図中の15は駆動部である。
【0056】前記の混練機型重合機以外にも2つの回転
軸上に、円板状またはそれに類似の撹拌素子を、互いに
重なり合うように多数配した、断面が円形、長円形、そ
れらに類似した形の横型または縦型のタンク状の反応容
器も、デッドスペースが少なく、セルフクリーニング作
用があり、減圧可能であるため、共重合体(A)の製造
(連続重合)に用いることができる。
【0057】図3に、2軸撹拌機付反応容器の一例の横
断面説明図の例を示す。
【0058】図3中の2つの駆動軸16、17に取り付
けられた回転板18、19によって、反応物21は撹
拌、混合され、さらに回転板18、19に付着した反応
物やポリマーは空間22の中を通過し、そのとき低沸点
の反応生成物(水、アルコールなど)や、残存モノマー
が蒸発し、排気孔から系外へ排出される。
【0059】なお、図3中の20は反応容器、23は排
気孔である。
【0060】この型の反応機の特徴は、反応物の蒸発面
積を大きくできることおよび大容量化が容易であること
である。回転板は平面でもよく、凹凸や突起を付けても
よく、多葉(多翼)形やそれに傾斜をつけてスクリュー
型とすることもできる。
【0061】図4に、同反応器の平面説明図を示す。図
から2つの駆動軸16、17に取り付けられた多数の回
転板18、19が互いに重なり合うように配置されてい
ることが明確に理解できる。反応物やポリマーは右の入
口24から送液ポンプなどで送り込まれ、左の出口25
から必要に応じてポンプなどで送り出される。液面を一
定にするために液面計の信号によって送り込み量を制御
することは容易である。
【0062】図4の反応容器20は駆動軸を水平に設け
た横型であり、容器中の反応物は重力などによって、入
口24から出口25へ移動する。撹拌軸を垂直に設けた
縦型は、同様な撹拌効果はあるが、蒸発面積を大きくす
ることが困難である。
【0063】2軸混練機および2軸撹拌機付反応容器の
軸の回転方向は、同方向でもよく逆方向でもよいが、同
方向の方が撹拌効果およびせん断応力が大きい。図3で
は、回転板18、19と反応容器20との間隔(クリア
ランス)がやや大きい例を示したが、この間隔を狭くし
たり、断面の中央部に図1と同様にくびれ部を設けた
り、上部空間22を大きくする、添加物の供給孔を設け
る、反応容器20の加熱を電熱または熱媒で行なうな
ど、色々の応用が可能である。
【0064】共重合体(A)の製造(連続重合)におい
ては、前記の1軸押出機、2軸混練機および2軸撹拌反
応機を複数個、多段的に組合わせて用いることもでき
る。たとえば粉末またはフレーク状の重合原料(乳酸、
ラクタイド、PEG、酸化防止剤、触媒、添加剤など)
を溶融、混合、脱水および初期重合させるために第1の
2軸混練機を用い、それに連結して重合中期および後期
に第2、第3の2軸混練機または2軸撹拌反応機を用い
ることや、一部に1軸押出機を用いることもできる。
【0065】重合原料は、あらかじめ別々に溶融し、そ
れぞれ計量ポンプで重合装置へ供給することもできる。
【0066】前記連続重合法では、1時間未満、さらに
は50分間以内、とくには10〜30分間で重合を完了
させ、ポリマーの劣化を最小限にすることができる。前
述の特開平1−163135号公報には、重合時間は1
〜10時間と記載され、その実施例1では215℃×5
時間、実施例2では195℃×8時間、実施例3では2
10℃×6時間という長時間を要しているのと比較し
て、極めて短時間であることがわかる。とくに重合を減
圧下で行なうと、反応速度をさらに速めうる。
【0067】なお、溶媒を用いれば、低温重合が可能で
あり、ポリマーの劣化は妨げるが、工業上はコストや安
全面で不利となる。
【0068】さらに、(A)成分であるPEGを0.1
〜15%、より好ましくは0.3〜10%、最も好まし
くは0.5〜8%共重合させることにより、えられる共
重合体の熱流動性が著しく改善され、重合操作、とくに
混合、脱気、送液などが容易となり、均一で品質に優れ
た共重合体がえられる。また、えられる共重合体は、強
度、白度、紡糸性および延伸性に優れたものである。
【0069】前記共重合体(A)を製造する際に、酸化
防止剤を使用するのが好ましい。
【0070】(A)成分であるPEGは化学的に不安定
で酸化されやすい化合物であるため、酸化防止剤を使用
しないで長時間溶融共重合させると、一部が分解し、重
合度の高いものをえ難くなりやすいが(酸化防止剤を使
用しないばあい、重合中にPEGが分解し、アルデヒド
などが発生する)、重合系に10〜3000ppm程
度、好ましくは50〜1000ppm酸化防止剤を添加
することにより、分解を防ぐことができる。酸化防止剤
をあまり多量に使用すると重合を阻害することがあり、
重合時は使用量を必要最小限とすることが望ましい。
【0071】しかし、えられる製品の安定性を高めるた
めに、共重合が進行した時点で、酸化防止剤を、たとえ
ば0.1〜3%程度追加混合してもよい。
【0072】重合中または重合後に添加する酸化防止剤
としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、
その他公知のものが用いられる。添加率は10〜300
00ppm程度、さらには50〜10000ppmが好
適である。
【0073】前記酸化防止剤の具体例としては、ヒンダ
ードフェノール系ではチバガイキー社製の「イルガノッ
クス」シリーズ、ヒンダードアミン系では同社製の「チ
ヌビン」シリーズ、紫外線吸収剤の具体例としては、ベ
ンゾトリアゾール系では同社製の「チヌビン」シリー
ズ、またそれらとフォスファイト系安定剤の混合物の
「イルガフォス」シリーズなどがあげられる。同様に、
住友化学工業(株)製のフェノール系酸化防止剤である
「スミライザー」シリーズ、光安定剤である「スミソー
ブ」などがあげられる。前記以外の酸化防止剤として
は、チオエーテル系のものなども使用しうる。また前記
安定剤の2種以上の併用も好ましいことが多い。さら
に、耐熱性の観点から分子量が大きく、沸点や昇華温度
の高いものが好ましい。たとえば分子量は500以上の
ものが好ましく、700以上のものがさらに好ましい。
前述のイルガノックス1010(分子量1178)は、
最も好ましい例である。また、酸化防止剤や紫外線吸収
剤としては、毒性や皮膚刺激性のない安全なものが好ま
しい。
【0074】前記共重合体(A)を製造する際に重合反
応用の触媒が使用されうる。
【0075】前記触媒としては、乳酸およびラクタイド
の重合に使用される触媒およびポリエステル重合用に使
用される触媒を使用しうる。たとえば、ポリエステル重
合用触媒のうちのエステル交換触媒としては、Na、M
gの各種アルコールとのアルコラート化物、Zn、C
d、Mn、Co、Ca、Ba、Snなどの脂肪酸塩や炭
酸塩、硫酸塩、リン酸塩、Mg、Pb、Zn、Sb、G
eなどの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物などがあげら
れる。
【0076】触媒の選択に際しては、触媒機能はもちろ
んのこと、生成物に着色や副反応あるいは凝集異物を形
成しないなどのことを考慮するのが好ましい。
【0077】触媒の使用量としては、エステルの量に対
して通常10-3〜10-6モル/モルであるが、温度や反
応系にあわせて適宜選定するのが好ましい。
【0078】ポリエステル重合用触媒としては三酸化ア
ンチモンおよび酸化ゲルマニウムなどの通常の触媒を使
用することができる。また、乳酸からラクタイドをうる
反応では、酸化亜鉛、三酸化アンチモンなど、ラクタイ
ドの重合反応ではテトラフェニル錫、塩化第一錫、ジエ
チル亜鉛、オクチル酸錫などがよく知られている。
【0079】もちろん、前記以外のものでも、反応速度
が大きく、着色や副反応の少ない優れたものであれば利
用可能である。
【0080】一般に乳酸成分を溶融重合させるばあい、
乳酸成分(乳酸やラクタイドなど)の一部が未反応で重
合系中に残存する傾向がある。この残存乳酸成分や低分
子量オリゴマーが最終製品(成形品、フィルム、繊維な
ど)に存在すると、一種の可塑剤として作用し、製品に
柔軟性を与えるなど好ましい面もある。しかし、残存低
分子量物が過度に存在すると、製品の品質を損ったり、
製造工程や使用中に浸出してトラブルの原因となる。こ
のため重合終了時に残存する低分子量物(分子量500
以下のもの)は20%以下が好ましく、10%以下がさ
らに好ましく、7%以下がことに好ましく、5%以下が
とくに好ましく、3%以下が最も好ましい。残存乳酸成
分や低分子量物を減少させるためには、重合の中〜後期
に真空度を高くしてそれらを除去することや、重合開始
剤(エチレングリコール、グリセロール、プロピレング
リコールやPEG、ポリプロピレングリコールなどのア
ルコール類も開始剤として働く)や重合触媒を追加、混
合することも効果がある。
【0081】重合終了後のポリマーは、そのまま直ちに
成形(紡糸またはフィルム化など)することもできる
が、一旦ペレット化したのち、成形(フィルムまたはシ
ートおよび繊維などを製造)することもできる。重合後
直ちに成形するばあいには、一旦ペレット化したのち再
溶融するばあいなどに生じる分子量の低下がおこらない
ため、高強度の成形品がえられる。
【0082】紡糸を行なう際には、溶融、乾式、湿式、
乾湿式などの周知の方法により紡糸することができ、必
要に応じて延伸、熱処理、捲縮などを行なうことができ
る。とくに溶融紡糸は高速、高効率で行なうことができ
るので好ましい。
【0083】フィルムなどを製造する際は、溶融押出法
などにより成膜し、要すれば延伸、熱処理される。
【0084】また、各種成形品を製造する際には、溶融
押出法や射出成形法などにより成形すればよい。
【0085】共重合体(A)からのフィルムは、好まし
くは20kg/mm2 以上の引張強度を示す。また、共
重合体(A)からの繊維は、好ましくは2g/d以上の
引張強度を示す。
【0086】本発明の共重合体(A)は、PLLAなど
のホモポリマーよりも、著しく溶融流動性に優れ、紡糸
速度3000m/min以上の高速紡糸による部分配向
糸(POY)、紡糸速度4000m/min以上での高
配向糸(HOY)、紡糸と延伸を連続して行なうスピン
ドロー方式(SPD)、紡糸と不織布化を同時または連
続して行なうスパンボンド不織布などの工程への適応性
に優れており、従来のPLLAホモポリマーが、これら
の高能率紡糸方式への適応性が著しく劣るのと大きく異
なる。同様に各種容器、各種部品の射出成形性、フィル
ム製造時の成膜性、延伸性においても、本発明の共重合
体(A)は、従来のホモポリマーより格段に優れてい
る。
【0087】本発明の成形品は、前述のごとき本発明の
生分解性ポリエステル共重合体などを溶融成形してなる
成形品である。
【0088】前記成形品の具体例としては、容器、機械
部品、家具部品、建築材料、フィルムもしくはシートま
たは未延伸もしくは延伸配向された繊維、さらには前記
未延伸もしくは延伸された繊維からの繊維構造物(編
物、織物、不織布、紙、紐、テープ、ロープ、網な
ど)、それらに類似するものなどがあげられる。前記フ
ィルムもしくはシートとしては、引張強度が20kg/
mm2 以上のものが好ましく、また前記繊維としては、
引張強度が2g/d以上であり、切断伸度が20%以上
であるのが好ましい。また、容器、機械部品、家具部
品、建築材料、それらに類似するものとしては、溶融成
形したV字型切込付の試験片のアイゾット衝撃強度が1
kg・cm/cm以上、さらには1.5kg・cm/c
m以上であるのが好ましい。
【0089】前記フィルムには、未延伸フィルム、1軸
延伸フィルム、2軸延伸フィルムが含まれる。
【0090】つぎに、本発明の共重合体からの成形品の
好ましい製法について説明する。
【0091】L−乳酸、D−乳酸および(または)それ
らの環状2量体(ラクタイド)成分などを主成分とし、
該乳酸成分と、(A)成分である数平均分子量300以
上のポリエチレングリコール成分とを含有する混合物を
溶融状態で連続的に重合し、平均分子量が50000以
上の生分解性ポリエステル共重合体をえたのち、固化・
チップ化することなく、直接成形機に導き溶融成形する
ことにより生分解性ポリエステル共重合体成形品を製造
するのが好ましい。
【0092】この製法においては、重合体の分子量を従
来品と比較して格段に高くしたものを使用して成形する
ことが好ましく、さらに繊維形成過程での分子量の低下
を極力防止することが好ましい。このため、乳酸成分を
主成分とするモノマーを溶融状態で連続的に共重合さ
せ、重合後ポリマー(本発明の生分解性ポリエステル共
重合体)を固化・チップ化することなく、直接成形機に
導き、溶融成形させるのが好ましい。
【0093】なお、共重合に際し、前述のごとく、水酸
基とカルボキシル基との当量比を実質的に同一にし、酸
化防止剤を添加するなどするのが好ましい。
【0094】製造される共重合体の分子量が高い程、製
造する成形品の強度が優れたものになるが、平均分子量
を過度に大きくしようとすると、重合時間が長くなり、
そのために逆反応が進行し、副生成物の増加や着色など
が生じたり、溶融時の流動性や成形性が低下する。した
がって、平均分子量は、通常50000以上、さらには
70000以上、好ましくは80000以上、さらに好
ましくは100000以上、とくに好ましくは1200
00以上であり、高々500000、好ましくは400
000以下、さらに好ましくは300000以下であ
る。
【0095】共重合せしめられた共重合体(A)は通常
の紡糸や成膜、成形で行なわれている方法により、繊
維、ステープル、フィルム、シートや、ボトル、部品、
容器などの各種成形品にすることができる。さらに好ま
しくは、共重合体(A)を固化・チップ化することな
く、繊維を製造するばあいには直接紡糸ヘッドに導き溶
融紡糸し、ついで少なくとも3倍以上に延伸、熱処理を
行ない、少なくとも平均分子量50000、さらには7
0000を維持し、少なくとも3g/dの繊維強度を有
する生分解性ポリエステル共重合体成形品が製造され
る。
【0096】もちろん、重合速度と紡糸速度のバランス
を取るためにポリマーの循環ラインや抜出装置を付ける
ことも必要に応じて行なうことができる。また、重合機
から紡糸機に至る間にモノマーの除去装置をつけるのが
好ましい。たとえば、ギヤポンプにて重合機から送りだ
したポリマー融液の圧力を一旦開放する膨脹槽や薄膜式
の蒸発装置を経て紡糸機に導くことにより、実際の安定
した生産や品質に問題ない程度まで残存モノマーや分解
により生じた低沸点物や水分を除去することができる。
【0097】前記のごとく、共重合体(A)は直接紡糸
機に導入されるが、共重合体の分子量としては平均分子
量で50000以上は必要であり、さらには70000
以上、好ましくは80000以上、さらに好ましくは1
00000以上で残存モノマーが5%以下、とくに好ま
しくは120000以上で残存モノマーが3%以下であ
る。
【0098】分子量が50000未満では、繊維の紡糸
・延伸操業性が充分ではなく、繊維強度も3g/dに容
易には達しない。重合ポリマーの分子量が80000以
上のばあい、充分な紡糸・延伸操業性を有し、しかも繊
維強度も4g/dに達するものもある。
【0099】しかし、分子量が500000をこえると
紡糸・延伸性がやや低下し、充分な生産速度をうること
が困難となる。したがって、最も好ましくは分子量が1
20000〜300000である。
【0100】重合ポリマー中に残存する少量のモノマー
は前述した方法でも除去できるが、なお残留する少量の
モノマーなどは紡糸口金の出口よりポリマーを紡出する
際に昇華するが、紡出糸の冷却をかねて冷却空気にてそ
の昇華物を吸引し、回収される。回収されたモノマー他
は分離・精製され、再度重合用の原料として再利用され
る。
【0101】紡糸温度は重合温度と同一の温度でもよ
く、またポリマーの粘度に応じて幾分上下させてもよ
い。しかし、通常はポリマーの融点から高々50℃程度
までの温度範囲で行なわれる。好ましくはポリマーの融
点+10〜+30℃程度の温度である。
【0102】紡糸口金は通常の溶融紡糸に使用される口
金でよく、フィラメント用では高々200ホール、ステ
ープル用では30000ホール以上のものも使用され
る。口金の紡出孔の大きさも通常使用されるものでよ
い。紡糸口金の形状にもとくに限定はない。たとえば、
円形、中空円形、四角形、等々現在使用されている口金
であれば、とくに限定なく使用できる。
【0103】紡糸条件、たとえば紡糸の巻取速度、オイ
リング、必要ならばインターレースなども通常の条件の
範囲で行なえばよい。紡糸ドラフト(巻取速度÷紡出速
度の比)は通常30以上、好ましくは40以上500以
下である。
【0104】紡糸後、延伸される。延伸は1段延伸・熱
処理、2段延伸・熱処理など種々の方法にて行なうこと
ができる。延伸温度は、通常50〜100℃、好ましく
は60〜90℃、さらに好ましくは65〜80℃であ
る。引き続き2段目の延伸が行なわれるばあい、延伸温
度は通常1段目の延伸温度〜該延伸温度+20℃の範囲
が採用される。熱処理は繊維の目的により適宜行なえば
よい。すなわち、高い収縮率を保持するためには熱処理
温度は低い方があるいは熱処理はなくてもよい。逆に、
繊維の収縮率をなるべく低下させ、安定した繊維をうる
ためには、熱処理温度はなるべく高くする方がよい。通
常、少なくとも延伸温度+20℃、好ましくは延伸温度
+20〜50℃でかつポリ乳酸共重合体の融点以下であ
る。延伸倍率は高いほど繊維の強度は大きくなる。通
常、延伸倍率は少なくとも2.5倍、好ましくは3.0
〜6倍、さらに好ましくは3.5〜5倍である。
【0105】2段延伸以上での延伸のばあいも基本的に
は同様の条件で行なわれるが、通常1段目の延伸倍率よ
り2段目の延伸倍率は低くされる。
【0106】延伸後の繊維は、繊維強度が従来の生分解
性繊維よりはるかに大きく、通常3g/d以上、好まし
くは3.5g/d以上、さらに好ましくは4g/d以
上、とくに好ましくは5g/d以上である。
【0107】繊維の結晶配向度もかなり大きいものであ
る。結晶配向度は通常使用される広角X線回析の回析角
の半値巾から求められる。本発明の高強力繊維のばあい
には、結晶配向度が通常70%以上、好ましくは75%
以上、さらに好ましくは80%以上である。
【0108】延伸後の繊維は、110℃以上の融点を有
する。融点は高いほど耐熱性の見地からは好ましい。食
品容器などの成形品は、100℃の沸騰水による殺菌処
理ができることが必要であり、そのためには融点は11
0℃以上必要で、130℃以上がとくに好ましい。同様
に繊維も100℃での染色や細菌に耐えることが必要
で、その見地から融点は110℃以上必要で、とくに1
30℃以上が好ましい。さらに、高度の殺菌(130℃
高圧水蒸気)や高圧染色(130℃の高圧水浴)に耐え
ることが好ましく、そのためには融点は150℃以上で
あるのが好ましい。
【0109】また、結晶化度も大きいほど、繊維の安定
性は高くなるが、生分解性がやや低下する傾向にある。
このようにしてえられた繊維のばあい、繊維の良好な力
学的安定性と生分解性のために、融点における融解熱が
通常5.0cal/g以上、好ましくは7.0〜12.
0cal/gである。
【0110】前記説明は繊維を製造するばあいについて
の説明であるが、フィルムを製造するばあいには共重合
せしめられた共重合体(A)を直接押出ヘッドに導き、
押し出すか流延し、ついで1軸方向または縦横2軸方向
に通常1.5倍以上、好ましくは2倍以上に延伸するこ
とにより、透明性、強度および耐熱性に優れたシートや
フィルムをうることができる。
【0111】また、容器や機械部品、家具部品、建築材
料などを製造するばあいには、共重合せしめられた共重
合体(A)を直接成形機に導き、射出成形することによ
り、一定の形状と優れた物性を有する容器などを製造す
ることができる。
【0112】前記製法によると、従来の重合チップを水
冷や空冷により一旦固体のポリマーとして取出すばあい
に生ずる、冷却過程での酸化による劣化や水分乾燥時の
劣化、分子量の低下などの問題、たとえば重合時に分子
量100000のものが、乾燥後には約80000程度
まで低下し、成形するために再溶融するとさらに600
00程度まで低下するため、高分子量で高強力な成形品
がえられないなどの問題を解決することができ、高分子
量で高強力の成形品を実用的に安価に製造することがで
きる。
【0113】また、前記製法によると、最終製品の分子
量をあげるために重合度をあげるばあいの製品の品質の
低下(着色や解重合物の生成など)や操業性の低下など
の問題も解決することができる。
【0114】以上のように、本発明の生分解性ポリエス
テル共重合体は、生分解性を有し、強靭性、耐熱性に優
れ、また、劣化や着色が少なく、均一性、透明性および
溶融流動性に優れ、溶融重合を円滑かつ高能率で行な
え、同様に溶融成形、溶融製膜(フィルム化)、溶融紡
糸を円滑かつ高能率で行なうことができるため、容器、
フィルム、繊維など成形品の製造に用いられる。
【0115】また、前記のごとき特性を有する本発明の
生分解性ポリエステル共重合体を用いて製造した各種成
形品は、広汎な用途・分野、たとえばフィルムのばあ
い、一般包装用、食品包装用、農業資材などに用いるフ
ィルム、繊維のばあい、衣料用、非衣料用、医療用、衛
生材料用、農業用、釣糸、魚網、一般資材用、工業資材
用など繊維、編物、織物、不織布、紙、フェルト、糸、
紐、ロープその他の形態で好適に使用されうる。
【0116】また、本発明の成形品は、たとえば食品飲
料容器、洗剤その他の日用品容器、薬品・化粧品容器な
どの容器類、機械および電子機器の部品、家具、建築材
料その他各種の用途に利用可能で、従来品のポリ乳酸ホ
モポリマーがもろいため使用できなかった分野にも広く
使用することができる。また、従来のポリ乳酸/PEG
共重合物が、強度や耐熱性に劣るものであったのに対
し、優れた強靭性および耐熱性を有するため、煮沸また
は高圧蒸気による殺菌処理が可能となり、医療分野、衛
生材料、食品分野、化粧品分野などにも好適に使用され
うる。
【0117】通常の衣料分野においても、ヤング率や伸
長回復弾性率がナイロン並であるためにこれまで使用に
抵抗のあったインナー、ストッキング用途にも使用でき
る。
【0118】さらに、本発明の生分解性ポリエステル共
重合体は、本発明の方法によって従来よりも格段と工程
の数が少なく、安価に、強度および(または)耐熱性の
優れたものとしてえられる。とくに重合、成形(たとえ
ば紡糸)工程を直結するばあいには、ポリ乳酸系重合体
の分子量をほとんど低下させないという極めて画期的な
効果を達成することができる。
【0119】つぎに本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0120】本発明において、乳酸成分を主成分とする
共重合体の平均分子量は、試料のクロロホルム0.1%
溶液のGPC分析(ポリスチレン標準試料によりキャリ
ブレーションしたもの)の、高分子量物(分子量500
以下のものを除く)の重量平均分子量とする。
【0121】また、本発明において、重合体の融点は、
紡糸、延伸、熱処理して充分配向、結晶化させた繊維を
示差熱量分析(DSC)法で測定(昇温速度10℃/m
in)したときの、主たる結晶の溶融吸熱のピーク値と
する。
【0122】さらに、本発明における重合体の溶液粘度
(相対粘度)は、試料1gを、フェノール/テトラクロ
ロエタン=6/4(重量比)の混合溶剤100mlに溶
解し、オストワルド粘度計にて20℃で測定した値であ
る。
【0123】また、本発明における衝撃強度はV字型切
込みを有する厚さ1/2インチ、幅1/4インチの試験
片についてアイゾット法(ASTM D−256a)に
より測定した値である。本発明の共重合体は、好ましく
は1kg・cm/cm以上のアイゾット衝撃強度を示
す。
【0124】実施例1および比較例1〜3 充分に乾燥(水分率100ppm以下)させ、あらかじ
め溶融させた光学純度99.8%のL−ラクタイドと、
同じく乾燥溶融させ、ヒンダードフェノール系の酸化防
止剤であるチバガイキー社製のイルガノックス1010
を0.1%添加した数平均分子量8200のPEG(日
本油脂(株)製の#6000)とを98/2の比率(重
量比)で2軸混練機の原料供給部へ供給した。同時に、
重合触媒として、ラクタイドに対して0.3%のジオク
チル酸錫を添加した。
【0125】2軸混練機は、図1および図2に示したも
ので、直径30mmの送りスクリューと2翼形で厚さ7
mmの撹拌素子を多数組合わせたものであり、原料供給
部および2つのベント孔部には送りスクリュー、その他
の部分には撹拌素子が取り付けられたものである。
【0126】シリンダーの断面は、中央部がくびれた長
円形で、温度は190℃とし、第1ベント孔よりチッ素
ガスを供給し、第2ベント孔より排気した。2本の回転
軸は同方向回転で、回転速度は、60回/minであっ
た。
【0127】2軸混練機から出たポリマーを、連結され
た直径40mmで2つのベント孔を有する第2の2軸混
練機に供給した。シリンダーの温度は190℃で、回転
は同方向回転で、速度は40回/min、第1ベント孔
よりチッ素ガスを少量供給し、第2ベント孔は真空ポン
プに接続し、真空度を約0.5Torrに保つととも
に、前記酸化防止剤をポリマーに対し0.1%添加し
た。2番目の2軸混練機から出たポリマーは、ギアポン
プで加圧送液し、20μmのフィルターで濾過し、口径
2mmのノズルより押出し、水で冷却、固化したのち切
断してチップP1をえた。第1の2軸混練機内のポリマ
ーの平均滞留(反応)時間は5分30秒であり、第2の
2軸混練機内の滞留時間は16分であり、合計の平均重
合時間は21分30秒であった。
【0128】P1は着色もなく、透明性に優れていた。
【0129】比較のため、ラクタイド15kgに0.3
%のジオクチル酸錫を加え、通常の1軸撹拌機を有する
100リットルの縦型円形タンク型重合槽で、はじめの
1時間は210℃、チッ素気流下常圧で重合させ、つづ
いて30分間徐々に減圧し、0.5Torrで60分間
重合させ、撹拌機のトルクがほぼ一定に達したので、常
圧に戻したのち、加圧、押出し、冷却、切断してPLL
AホモポリマーのチップP2をえた。
【0130】P2は淡褐色に着色しており、一部不透明
な部分や、着色の著しい部分が見られた。
【0131】P2とほぼ同様にして、ただしラクタイド
98%に数平均分子量8200のPEGを2%を加え、
以下P2と同様に重合させてチップP3をえた。
【0132】P3は淡褐色に着色し、不透明部や着色の
著しい部分が見られた。
【0133】同じく比較のため、P1とほぼ同様にし
て、ただしPEGを共重合させないで連続重合法によ
り、ポリ乳酸ホモポリマーのチップP4をえた。
【0134】P1を240℃のスクリュー押出機で溶融
し、孔径0.2mm、温度245℃のオリフィスより紡
糸し、空気中で冷却し、オイリングして800m/mi
nの速度で巻取り未延伸糸UY1をえた。UY1を延伸
温度70℃、延伸倍率3.3倍で延伸し、緊張下150
℃で熱処理し、速度600m/minで巻取って75d
/18f(フィラメント)の延伸糸DY1をえた。
【0135】P2、P3およびP4を用いて、DY1と
同様にして、ただし延伸倍率は可能な限り高くして、夫
々延伸糸DY2、DY3およびDY4をえた。
【0136】DY1〜DY4の紡糸、延伸時の操業性お
よび糸の特性を表1に示す。
【0137】また、DY1〜DY4を活性汚泥中に6カ
月間浸漬後の強度を測定した結果、いずれも最初の1/
3以下であり、良好な生分解性を有することが確認され
た。
【0138】
【表1】
【0139】表1から、本発明の共重合体からのDY1
は、従来法によるDY2、DY3およびDY4に比較し
て、非常に優れた紡糸および延伸の操業性を有し、ま
た、強靭性(強度および伸度)に優れることがわかる。
【0140】同様に、P1〜P4を用いて175℃の射
出成形機により衝撃試験用V字型ノッチ(切込み)付試
験片を作製した。
【0141】同じく各チップを用いて、スクリュー押出
機でポリマーを180℃で溶融し、同温度のT型口金か
ら押出し、冷却しつつ巻取ってフィルムとし、60℃で
3.8倍に延伸し、120℃で熱セットして厚さ58μ
mの延伸フィルムをえた。各チップからの試験片の衝撃
強度およびフィルムの引張強度および切断伸度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0142】
【表2】
【0143】実施例2 実施例1とほぼ同様にしてラクタイドに対して種々の分
子量(数平均分子量)のPEGを各種の共重合比率で共
重合させた。
【0144】PEG共重合比率と、えられた共重合体の
平均分子量、重合率および融点を表3に示す。
【0145】ここで重合率は分子量500をこえる高分
子量成分、すなわち重合体中の残存モノマーなどの低分
子量成分を除いたものの重量比率である。また重合体の
融点は、えられたチップをDSC法で測定したもので、
延伸配向した繊維のそれよりも若干(2〜7℃程度)低
いばあいがあるが、ほぼ近似した値である。表の共重合
比率は原料の仕込み組成である。えられた高分子量成分
中のPEG比率は、たとえば重合率が90%であれば、
原料組成のPEG比率を約1.1倍したものである。
【0146】
【表3】
【0147】表3から、PEGの分子量が小さいほど重
合度が上がりにくい傾向にあることがわかる。数平均分
子量600のPEGでは共重合比率3%以上では平均分
子量50000以上の共重合体をうるのが困難である。
同様に数平均分子量1000、3500、8200、1
0500のPEGでは、共重合比率がそれぞれに6%、
8%、10%、12%以上では高分子量の共重合体をう
ることが困難である。
【0148】生分解性については、数平均分子量100
0、3500、8200、10500のPEGの1%共
重合体からの繊維を6カ月間活性汚泥中に浸漬後、強度
を測定したところ、いずれも1/2以下であり、良好な
生分解性を示した。
【0149】実施例3 数平均分子量1000のPEGを共重合比率3%および
6%で実施例2とほぼ同様にラクタイドと共重合させ
た。ただし2台目の2軸混練機の第1ベント孔より、無
水フタル酸を重合系に対しそれぞれ0.44%および
0.9%(PEG成分と等モル)投入して反応させた。
【0150】えられた共重合体の平均分子量は表4のと
おりで、末端基のバランスにより、重合度を高める効果
が認められる。
【0151】えられた共重合体より作製した繊維を土中
に6カ月間放置したのち形状を観測すると、部分的に空
隙や、膨潤、裂け目などの変化が観測された。また、活
性汚泥中に6カ月間浸漬後の繊維の強度は1/2以下で
あり、良好な生分解性を示した。
【0152】
【表4】
【0153】実施例4および比較例4 充分に乾燥(水分率90ppm以下)させ、あらかじめ
溶融させた光学純度99.7%のL−ラクタイドと、同
じく乾燥溶融させ、ヒンダードフェノール系の酸化防止
剤であるチバガイキー社製のイルガノックス1010を
0.1%添加した数平均分子量8200のPEG(日本
油脂(株)製の#6000)とを98/2の比率で2軸
混練機の原料供給部へ供給した。同時に、重合触媒とし
て、ラクタイドに対し0.3%のジオクチル酸錫を添加
した。2軸混練機は、図1および図2に示したもので、
直径30mmの送りスクリューと2翼形で厚さ7mmの
撹拌素子を多数組合わせたものであり、原料供給部およ
び2つのベント孔部には送りスクリュー、その他の部分
には撹拌素子が取り付けられていた。シリンダーの断面
は、中央部がくびれた長円形で、温度は190℃とし、
第1ベント孔よりチッ素ガスを供給し、第2ベント孔よ
り排気した。2本の回転軸は同方向回転で、回転速度
は、60回/minであった。
【0154】2軸混練機から出たポリマーを、連結され
た直径25mmで2つのベント孔を有する第2の2軸混
練機に供給した。シリンダーの温度190℃、回転は同
方向回転で、速度は40回/min、第1ベント孔より
チッ素ガスを少量供給し、第2ベント孔は真空ポンプに
接続し、真空度を約0.5Torrに保つとともに、前
記酸化防止剤をポリマーに対し0.1%添加した。第1
の2軸混練機内のポリマーの平均滞留(反応)時間は、
5分30秒であり、第2の2軸混練機内の滞留時間は1
2分であり、合計の平均重合時間は17分30秒であっ
た。
【0155】2番目の2軸混練機から出たポリマーは、
ギアポンプで加圧送液し、20μmのフィルターで濾過
したのち、190℃の温度に保持されている紡糸ヘッド
に送液された。紡糸ヘッドには直径0.25mmの小孔
を24個有する口金が2個装着されていた。紡出状態は
良好で充分に冷却固化した糸状は1000m/minの
速度で未延伸糸として巻き取られた。紡糸ヘッドに入る
共重合体の平均分子量は90000であった。
【0156】延伸は、延伸温度70℃、延伸倍率3.8
倍、延伸後の熱処理を120℃にて連続して実施した。
延伸は糸切れもなく良好に行なうことができ、強度4.
2g/d、伸度33.2%、繊維の融点173℃、融解
熱10.8cal/gを有する極めて良好な繊維をうる
ことができた。
【0157】実施例5 実施例4とほぼ同様にしてラクタイドに対して種々の数
平均分子量のPEGを各種の共重合比率で共重合させ、
重合後直接に紡糸した。紡糸・延伸は235℃で溶融紡
糸し、空気中で冷却、オイリングして1200m/mi
nの速度で巻取り、80℃で3.94倍に延伸し、13
0℃で緊張熱処理することにより行なった。
【0158】えられた繊維の諸物性を表5に示す。
【0159】
【表5】
【0160】
【発明の効果】本発明の生分解性ポリエステル共重合体
は、生分解性、強靭性および耐熱性に優れ、透明性およ
び溶融流動性に優れ、溶融重合を円滑かつ高能率で行な
うことができ、また、溶融成形、溶融製膜(フィルム
化)、溶融紡糸を円滑かつ高能率で行なうことができ
る。また、本発明の共重合体は、劣化や着色が少なく、
均一性、透明性に優れ、高品質の成形品(容器、フィル
ム、繊維など)を高能率で製造することができる。従来
法では、重合工程中の劣化物や変質物のため、えられる
製品にいわゆるフィッシュアイや斑が多く見られ、外観
を損うだけでなく、フィルムや繊維においては製造を円
滑かつ高能率で行なえなかったが、本発明の共重合体に
よって、初めてフィルムや繊維の工業生産が可能なレベ
ルのポリマーがえられるようになった。
【0161】また、本発明の共重合体は、未変性ポリ乳
酸に比較して、分解速度が大きい、衝撃強度に優れ
るなどの特徴を有し、容器、繊維、フィルムなどの成形
品に広く応用可能である。分解速度が大きいことは、早
期に分解が必要な、たとえば包装用フィルムその他の使
い捨用途に、優れた衝撃強度は、たとえば食品飲料容
器、洗剤その他の日用品容器、薬品・化粧品容器などの
容器類や、機械・電子機器部品、家具、建築材料などの
用途に好適であり、従来のポリ乳酸ホモポリマーがもろ
いため使用できなかった分野にも広く使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するのに好適な連続重合機である2軸混練機の横断面説
明図である。
【図2】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するのに好適な連続重合機である2軸混練機の縦断面説
明図である。
【図3】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するのに好適な2軸撹拌反応機の横断面説明図である。
【図4】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するのに好適な2軸撹拌反応機の平面説明図である。
【符号の説明】
1、2 駆動軸 3、4 撹拌素子 5 シリンダー 6 スペース 7 加熱ブロック 8 熱媒用通路 9 供給部 10 送液部 11 混練部 12、13 ベント 14 取出口 15 駆動部 16、17 駆動軸 18、19 回転板 20 反応容器 21 反応物 22 空間 23 排気孔 24 入口 25 出口 d シリンダー内径
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/86 301 A D03D 15/00 A D04H 1/42 ZAB T // C08L 67:00 (72)発明者 小関 英一 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所三条工場内 (72)発明者 藤井 康宏 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所三条工場内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−乳酸および(または)D−乳酸成分
    99.9〜85重量%と、数平均分子量300以上のポ
    リエチレングリコール成分0.1〜15重量%とが共重
    合されてなり、平均分子量が50000以上かつ融点が
    110℃以上である生分解性ポリエステル共重合体。
  2. 【請求項2】 数平均分子量1000以上のポリエチレ
    ングリコール成分が0.3〜10重量%共重合されてな
    り、平均分子量が60000以上かつ融点が130℃以
    上である請求項1記載の共重合体。
  3. 【請求項3】 平均分子量が80000〜30000
    0、融点が150℃以上である請求項1記載の共重合
    体。
  4. 【請求項4】 溶融成形したV字型切込付の試験片のア
    イゾット衝撃強度が1kg・cm/cm以上である請求
    項1、2または3記載の共重合体。
  5. 【請求項5】 L−乳酸および(または)D−乳酸成分
    99.9〜85重量%と、数平均分子量300以上のポ
    リエチレングリコール成分0.1〜15重量%とを溶融
    状態で連続的に重合させることを特徴とする請求項1記
    載の共重合体の製法。
  6. 【請求項6】 重合を相互に噛み合うまたは重なり合う
    複数の撹拌素子および送液機能を有する装置によって行
    なう請求項5記載の製法。
  7. 【請求項7】 重合を1時間未満で完了させる請求項5
    または6記載の製法。
  8. 【請求項8】 重合を重合系に10ppm以上のヒンダ
    ードフェノールおよび(または)ヒンダードアミンを添
    加して行なう請求項5、6または7記載の製法。
  9. 【請求項9】 L−乳酸、D−乳酸および(または)そ
    れらの環状2量体(ラクタイド)とポリエチレングリコ
    ールとを溶融状態で重合させる際に、反応系にポリエチ
    レングリコールと実質的に等モル以下の量の有機ジカル
    ボン酸成分を添加して重合させる請求項5、6、7また
    は8記載の製法。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3または4記載の共重
    合体からなる成形品。
  11. 【請求項11】 成形品が、容器、機械部品、家具部
    品、建築材料、フィルムもしくはシートまたは未延伸も
    しくは延伸配向された繊維である請求項10記載の成形
    品。
  12. 【請求項12】 フィルムもしくはシートが、引張強度
    が20kg/mm2以上である請求項11記載の成形
    品。
  13. 【請求項13】 未延伸もしくは延伸配向された繊維
    が、引張強度が2g/d以上であり、切断伸度が20%
    以上である請求項11記載の成形品。
  14. 【請求項14】 成形品が、未延伸もしくは延伸された
    繊維からの繊維構造物(編物、織物、不織布、紙、紐、
    テープ、ロープ、網)である請求項10記載の成形品。
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