JP3375807B2 - 熱安定性に優れたポリ乳酸樹脂の製造方法 - Google Patents

熱安定性に優れたポリ乳酸樹脂の製造方法

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JP3375807B2
JP3375807B2 JP29765995A JP29765995A JP3375807B2 JP 3375807 B2 JP3375807 B2 JP 3375807B2 JP 29765995 A JP29765995 A JP 29765995A JP 29765995 A JP29765995 A JP 29765995A JP 3375807 B2 JP3375807 B2 JP 3375807B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱安定性に優れたポリ
乳酸樹脂の製造方法に関する。特に、成形時の熱安定性
に優れた樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】微生物
などにより分解される生分解性ポリマ−は、環境保全の
見地から近年注目されている。例えば、溶融成形可能な
生分解性ポリマ−として、ポリヒドロキシブチレ−ト
(PHB)やポリカプロラクトン(PCL)が知られて
いるが、PHBは製造コストが高過ぎるだけでなく成形
品の透明度が劣り、PCLは融点が60℃と低すぎる事
が実用上の重大な問題点、障害となっている。
【0003】ポリ乳酸は、比較的コストが安く、融点も
170℃以上と充分な耐熱性を有し、溶融成形可能で実
用上優れた生分解性ポリマ−と期待されている。しか
し、従来得られているポリ乳酸は、溶融成形性に劣り、
しかも得られる成形品、フィルム、繊維などは強靱性が
低く、脆く弱いという重大な欠点を有する。
【0004】本発明者らは、従来の欠点を補い成形材料
として良好な物性と生分解性を有するポリ乳酸の製造方
法を先に提案している。しかし、ポリ乳酸の成形の際
に、ポリ乳酸の重合触媒や乳酸モノマー或いはオリゴマ
ーが残存していると、加熱成形の際に解重合反応が生
じ、分子量の低下や着色の原因となる。又、モノマーや
オリゴマーが残存していると、成形品の物性が経時的に
劣化していき、各種製品の製造及び使用に関して大きな
不安定要因となっている。
【0005】本発明者らは、この原因と対策を鋭意検討
の結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の目
的とする処は、加熱成形の際に解重合反応等を抑え、安
定した成形品を製造し、且つ成形品の経時的な変質を抑
制する為のポリ乳酸樹脂の製造方法を提案するにある。
【0006】
【問題点を解決するための手段及び作用】本発明は乳酸
を主成分とするポリ乳酸を、乳酸モノマー、環状2量体
及び重合触媒を溶解する、酸性物質を含まない溶剤によ
り洗浄処理し、ポリマー中の残存モノマー量を高々1重
量%とし、成形時に熱安定剤を少なくとも0.05重量
%添加させ成形する事を特徴とするポリ乳酸樹脂の製造
方法である。
【0007】本発明に使用する乳酸は、好ましくは乳酸
成分を少なくとも85重量%、更に好ましくは99.7
〜90重量%、特に好ましくは99.5〜92重量%で
ある。乳酸成分が85重量%未満では、生成したポリマ
ーの結晶化度が低すぎて、実用的な耐熱性や強度が得ら
れず使用するのに問題がある恐れがある。
【0008】乳酸は光学活性の炭素原子を有し、L−
体、D−体を有する。発酵法にて一般的に得られる物は
L−体が多く、低コストで製造される。又、使用後、微
生物による分解の容易さ等から、L−体の方が好ましい
が、特に限定するものではない。又、L−体とD−体の
混合物も使用できるが、この混合比率が大きいと、融点
の低下や力学的強度の低下等、商品作りにおいて問題と
なる。通常、ポリ乳酸中のL−体(或いはD−体)比率
は少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更
に好ましくは少なくとも90%である。
【0009】ポリ乳酸に共重合可能なモノマーとして
は、乳酸の水酸基やカルボキシル基と反応する官能基を
有する化合物であれば限定はしないが、好ましくは、中
高分子量のポリエチレングリコール(以下PEGと略称
する)、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/
プロピレン)グリコール等のポリアルキレングリコール
(以下PAGと略称する)やポリエチレンアジペート、
ポリブチレンアジペート、ポリエチレンセバケート等の
脂肪族ポリエステルやポリエチレングリコールセグメン
トやポリプロピレンセグメントを分子構造内に有するビ
スフェノール化合物或いはポリカプロラクトン、ポリヒ
バロラクトン等のポリラクトン類やカプロラクトン、ヒ
バロラクトン等の環状ポリエステル化合物等々の使用が
可能である。末端の水酸基或いはカルボキシル基1ケ当
たりの分子量が、好ましくは分子量300以上、更に好
ましくは1000以上、特に好ましくは3000〜20
000である。
【0010】共重合成分の共重合比率(共重合ポリマー
中の重量比率)は好ましくは高々15%、更に好ましく
は0.3〜10%、特に好ましくは0.5〜8%であ
る。共重合比率が15%より高くなると、得られるポリ
乳酸共重合物は柔軟になり融点が低下し、重合度が上が
りにくくなり、実用的な強度、耐熱性を維持する事が困
難になる。ポリ乳酸或いはポリ乳酸共重合物の融点の低
下は、共重合モノマーの水酸基或いはカルボキシル基1
ケ当たりの分子量が大きいほど小さくなる。従って分子
量の低い共重合モノマーを使用する場合は、共重合比率
をあまり高くする事は好ましくない。例えば共重合モノ
マーの水酸基1ケ当たりの分子量が1000の場合、約
0.3〜10%、水酸基1ケ当たりの分子量が3000
の場合0.5〜15%程度の共重合比率が好ましい。
【0011】ポリ乳酸の重合機構は、水酸基とカルボキ
シル基との酸/アルコール反応であり、両者の数が同一
の場合が最も重合度は大きくなる。従って、重合系中で
のカルボン酸と水酸基のモルバランスを一定にする為に
PAG成分の末端水酸基と実質的に等モルのジカルボン
酸成分を重合反応系に添加する事も好ましい。即ち、実
質的に等モルとは、カルボン酸と水酸基のモル比を0.
9〜1.1、特に0.95〜1.05の範囲に維持する
事が好ましい。
【0012】本発明に使用するジカルボン酸成分の例と
して、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸
等、炭素原子数4〜12程度の脂肪族ジカルボン酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸、それらの酸無水物、酸ハロゲン
化物及びそれらの酸のメタノールエステル、エチレング
リコールエステルなどの低分子アルコールエステルが利
用可能である。例えば、重合がある程度進んだ段階(中
期又は末期)で、適当量の無水フタル酸を添加、混合し
て、2つの分子鎖末端の水酸基と反応せしめて、分子量
を効果的に増大させることが出来る。
【0013】PAG成分とジカルボン酸は、別々に反応
系に加えてもよいが、それらをあらかじめ反応(重合)
せしめてポリエーテルエステルとした後、乳酸、ラクタ
イド及び/又はポリ乳酸と反応せしめることが出来る。
この方法も、ジカルボン酸成分を重合系に添加、反応せ
しめる有用なものである。同じくジカルボン酸をジオー
ルに対し過剰に配合して反応させた、カルボキシル基の
多いポリエステルのオリゴマー、例えばヘキサンジオー
ル/アジピン酸のモル比を1/2、2/3、3/4など
で調製したヘキサメチレンアジペートのオリゴマーも利
用出来る。
【0014】本発明の共重合体には、主成分であるポリ
乳酸及びPAG成分の他、第3の成分を共重合させるこ
とが出来る。PAG成分の水酸基とバランスさせるため
のジカルボン酸成分を共重合することはすでに記した。
その他に例えば生分解性の強化又は低減、染色性の改良
などのために第3の成分を共重合することが出来る。例
えば、スルホン酸基を有する化合物、例えばスルホイソ
フタル酸(又はその金属塩)を共重合することにより、
塩基性染料で染色可能とすることが出来、アミノ基又は
アミド基を有する化合物、例えばアミノ酸を共重合する
ことにより、酸性染料で染色可能とすることが出来る。
これらの第3成分の共重合は、共重合物の融点低下をも
たらす傾向があるから、融点を110℃以上に保つよう
に注意しつつ行うことが必要である。
【0015】本発明のポリ乳酸或いはポリ乳酸共重合物
の分子量は従来提案されている物に比べて格段に高く、
成型品(フィルム、繊維を含む)の強靱性が優れる。成
型品(フィルム、繊維を含む)の耐熱性、強靱性及び溶
融時の流動性や成型の点で分子量(Mw)は、通常60
000以上、好ましくは80000〜300000、更
に好ましくは100000〜200000である。
【0016】重合反応に用いる触媒は、乳酸及びラクタ
イドの重合用に通常使用されるものを用いることが出来
る。例えば、Na、Mgの各種アルコールとのアルコラ
ート化物、Zn、Cd、Mn、Co、Ca、Sb、S
n、Baなどの脂肪酸塩や炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、
Mg、Pb、Zn、Sb、Sn、Ge等の酸化物、水酸
化物、ハロゲン化物、或いはそれらの金属そのものを使
用できるが、触媒機能はもちろん生成物に着色や副反応
或いは凝集異物を形成しない等を考慮して選定する。触
媒の量としては、エステルの量に対して通常10-2〜1
-4モル/モルであるが、温度や反応系より適宜選定す
る。もちろん上記以外のものでも、反応速度が大きく、
着色や副反応の少ない優れたものであれば利用可能であ
る。
【0017】ポリ乳酸或いはポリ乳酸共重合物の化学的
な安定性や熱的な安定性の改善の為に、重合系に30p
pm〜0.3%程度、特に50ppm〜0.1%の酸化
防止剤を添加する事も好ましい。酸化防止剤を余り多量
に使用すると重合を阻害する事があり、重合時は使用量
を必要最小限とすることが望ましい。しかし、得られた
製品の安定性を高めるために、ポリ乳酸/PAG成分共
重合物の重合が進行した時点では、酸化防止剤を更に多
めに例えば0.1〜3%程度追加混合することが出来
る。
【0018】ラクタイドを溶融重合する場合、モノマー
/ポリマーの反応平衡によりモノマー(ラクタイド)の
1部や低分子物(オリゴマー)が重合系中に残存する事
がある。この残存モノマーや低分子量オリゴマーが最終
製品(成形品、フィルム、繊維など)に存在すると、1
種の可塑剤或いは加水分解のトリガーとして作用し、製
品の着色等の品質を損なったり、製造工程や使用中に浸
出してトラブルの原因や経時的な強度劣化の原因とな
る。このため重合終了時の残存低分子物(分子量500
以下)は10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以
下、特に好ましくは3%以下、最も好ましくは1%以下
である。残存モノマーや低分子物を減少するためには、
重合の中〜後期に真空度を高くしてそれらを除去するこ
とや、重合開始剤(エチレングリコール、グリセロー
ル、プロピレングリコールやPEG、ポリプロピレング
リコ−ルなどのアルコール類も開始剤として働く)や重
合触媒を追加、混合することにより、モノマーと反応さ
せ残存モノマーを減少させる事も効果的である。
【0019】ポリ乳酸或いはポリ乳酸共重合物中に乳酸
モノマーや乳酸の2量体或いはオリゴマーが多量に残存
していると、その中の水酸基や加水分解によって発生す
る水酸基によりポリ乳酸やポリ乳酸共重合物の分子量が
低下する事がある。又、ポリ乳酸の重合触媒が残存して
いると加熱溶融時に解重合反応により、分子量の低下や
ポリマーの着色が生じる。従って、残存乳酸モノマーや
乳酸の2量体或いはオリゴマー及び重合触媒を一定量ま
で低減させなければならない。
【0020】残存モノマーとしては、乳酸モノマー、乳
酸の環状2量体或いは乳酸の直鎖状或いは環状オリゴマ
ーが含まれるが、それらの量は、高々1重量%、好まし
くは高々0.5重量%、更に好ましくは0.1重量%で
ある。残存モノマーが1%を超えるとポリ乳酸の物性そ
のもの、及び経時変化が大きく、又成型時にモノマーの
発生や悪臭の発生、更には繊維中や成型品の中での異物
や白化の原因ともなる。
【0021】又、残存重合触媒量は高々0.01%、好
ましくは高々0.007%、更に好ましくは高々0.0
05%である。残存重合触媒量が0.01%を超える
と、加熱成型時の分子量低下が大きくなる。
【0022】ポリ乳酸或いはポリ乳酸共重合物中に残存
する乳酸モノマーや2量体、オリゴマーや重合触媒を除
去する方法としては、双方に共通する溶剤にて溶解除去
する事が好ましい。共通溶剤としては、例えば、ケト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、
乳酸エチル等のエステル系溶剤、ジメチルカーボネー
ト、ジフェニルカーボネート等の炭酸エステル系溶剤或
いはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が
挙げられる
【0023】溶解除去の方法としては、溶剤に浸漬、攪
拌する方法や溶剤のシャワー中を通す方法等により行う
事が出来る。次いで通風乾燥や加熱風による乾燥や真空
乾燥によりポリマー中の溶剤を除去する。溶剤に浸漬時
や乾燥時に、幾分加熱する事も出来るが、ポリ乳酸が溶
解したり、膠着しない様に注意すべきである。又、乾燥
後のポリマーには洗浄処理によって発生した微粉末が付
着している事があり、使用に先立っては十分に注意を要
する。好ましくは、サイクロン等にて除去する。
【0024】洗浄による上記モノマーやダイマー或いは
各種のオリゴマーや触媒の除去によりポリ乳酸の耐熱性
は飛躍的に改善する。耐熱性の目安として、窒素中にて
10℃/分の加熱速度で加熱した場合の熱分解(例えば
TG計)による試料の重量減少率が5%に達する温度
(以下Td(5%)と略記する)が、そのポリ乳酸の融
点より少なくとも50℃高い事が必要である。更に好ま
しくは、ポリ乳酸の融点より少なくとも70℃高い事、
特に好ましくは少なくとも90℃高い事である。Td
(5%)がポリ乳酸の融点より50℃未満の場合は、ポ
リマーの流動性を上げる為に成型温度を高くすると成型
時にポリ乳酸が分解しやすく、又逆にポリマーの分解を
抑える為に成型温度を低くすると成型時のポリマーの粘
度が高くなり過ぎ、良好な成形性や成型物が得られな
い。
【0025】洗浄により、残存モノマーや残存触媒の除
去と同時に熱安定剤、光安定剤といった各種の安定剤も
除去されて、ポリ乳酸樹脂の成形時の熱安定性が非常に
低下している。従って、高重合度のポリ乳酸の成形で
は、ポリマーの融点から50℃以上も高い温度で溶融す
る事は通常行われてる。その際にポリマーの分解が生
じ、モノマーの発生による糸切れやフィルムの汚染や穴
あきや悪臭の発生等、品質や操業性の点で大きな問題と
なる。更に、成型時に発生したモノマーが生成品や繊維
中に残存する場合には、成型物や繊維の経時的な物性の
劣化や透明性の低下等、商品品質として決定的な欠点を
有する。
【0026】従って、成型時にポリマーの熱安定剤を少
なくともポリ乳酸に対して0.05重量%、好ましくは
0.1重量%、更に好ましくは0.2重量%以上、1重
量%以下の量となる様添加する。熱安定剤の量が0.0
5重量%未満では、ポリ乳酸の溶融安定性が乏しく、ポ
リ乳酸の分解によりモノマーや低分子化合物、オリゴマ
ー等の発生が見られ、操業性や成型品の品質の劣化を引
き起こす。更に、通常使用される耐光安定剤、流動化剤
等を添加する事も好ましい事である。
【0027】本発明に使用する熱安定化剤としては、通
常のポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂、或いは
ポリオレフィン樹脂等の成型時に使用される熱安定化剤
を使用する事が出来る。例えば、ヒンダードフェノール
系化合物、ヒンダードアミン系化合物、アリールアミン
系化合物、ホスファイト系化合物、チオエステル系化合
物等の熱安定剤の中から1種或いは2種以上のものが使
用できる。ヒンダードフェノール系では例えば、チバガ
イギー社製の「イルガノックス」シリーズ、ヒンダード
アミン系では同社「チヌビン」シリーズがある。又、住
友化学株式会社のフェノール系酸化防止剤として「スミ
ライザー」シリーズ等の熱安定剤が使用できる。上記以
外の酸化防止剤としては、チオエーテル系などが挙げら
れ、又上記の安定剤の2種以上の併用も好ましいことが
多い。更に、熱安定剤自身の耐熱性の点から分子量が大
きく、沸点や昇華温度の高いものが好ましい。例えば分
子量は好ましくは500以上、更に最も好ましくは70
0以上である。前述のイルガノックス1010(分子量
1178)は、最も好ましい例の一つである。又、これ
らの熱安定剤と共に使用出来る光安定剤、紫外線吸収剤
として「スミソーブ」やホスファイト系化合物の「イル
ガフォス」シリーズ等が挙げられる。
【0028】本発明により製造されたポリ乳酸、或いは
ポリ乳酸共重合物はポリマーの熱流動性が著しく改善さ
れ、重合操作特に混合、脱気送液などが容易となり、均
一で品質に優れたポリマーが得られる。又、成形に関し
ても熱流動性が著しく改善されいる為に、良好な成形
品、成形操業性を得る事が出来る。
【0029】本発明の重合体には必要に応じて酸化防止
剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、着色剤、帯電防止剤、
離型剤その他周知の添加剤や充填剤を配合、混合するこ
とが出来る。
【0030】ポリ乳酸の重合には、各種の重合装置が使
用できる。しかし、少なくとも生成ポリマーの融点以上
で重合する為に、重合時間が長くなれば、前述した様
に、解重合の進行により、却って重合度の低下や、着色
等の原因になる。従って、好ましい重合装置としては、
均一攪拌する様な縦型の攪拌槽より、むしろプラグフロ
ー性の高い2軸混練押出機又はポリエステルの重合等に
使用される横型反応機、或いはそれに類似する攪拌及び
送り機能を有する装置を用いる方が安定した品質のポリ
乳酸が得られる事が出来る。
【0031】例えば、2軸混練押出機(以下2軸混練機
と略記する)としては、並行して設け、同方向又は逆方
向に回転する軸に、互いに噛み合うスクリュー(送り
部)、同じく噛み合う2翼又は3翼状の攪拌素子を複数
(多数)取付けたもので、更にシリンダー(筒状部)に
は必要に応じて原料や添加剤の供給や脱気、減圧下での
反応のための排気などを行うベント孔などを1個又は複
数個設けた装置である。2軸混練機により、重合原料又
は重合中及び重合後のポリマーは、極めて効果的に攪
拌、混合、移動され、反応速度が相当早められる。
【0032】上記の混練機型重合機以外にも2つの回転
軸上に、円板状又はそれに類似の攪拌素子を、互いに重
なり合うように多数配した、断面が円形、長円形、それ
らに類似した形の横型又は縦型のタンク状の反応容器
も、デッドスペースがすくなく、セルフクリーニング作
用があり、減圧可能であるため本発明の連続重合に用い
ることが出来る。
【0033】本発明の重合においては、上述した1軸押
出機、2軸混練機及び2軸攪拌反応機等の重合装置を複
数個、多段的に組み合わせて用いることも、或いは縦型
攪拌槽により第一段の重合を行い、続いて上述の横型の
反応槽に投入する事も出来る。
【0034】得られたポリマーは、そのまま直ちに紡糸
(直接紡糸)又はフィルム化(直接成膜)することも出
来るが、一旦ペレット化した後、成型品、フィルム、及
び繊維を製造することも出来る。或いは、一旦溶剤に溶
解し、湿式紡糸や乾式紡糸により繊維を製造したり、フ
ィルムや紙、不織布等にコーティングや含浸させたり、
エマルジョン化し微粒子を形成させたりする事が出来
る。特に溶融紡糸では、本発明のポリ乳酸の成形性が良
好な為に、紡糸速度3000m/分以上の高速紡糸によ
る部分配向糸(POY)や、紡糸速度4000m/分以
上での高配向糸(HOY)及び紡糸と延伸を連続して行
うスピンドロー方式(SPD)、紡糸と不織布化を同時
又は連続して行うスパンボンド不織布などの工程への適
応性にも優れている。
【0035】
【発明の効果】本発明により得られるポリマーは、従来
のポリマーに比べて加熱安定性や成型物の経時安定性が
優れている。又従来のホモポリマーに比べて、著しく溶
融流動性が改善され、連続した長繊維や短繊維の製造は
勿論、スパンボンド不織布や各種容器、各種部品の射出
成型品、フィルム・シート等にも応用可能である。又、
長期間の重合においても、安定した操業性や品質を得る
事が出来る。本発明のポリマーは、110℃以上の融点
を有する為に、従来の生分解樹脂に比較して、極めて多
くの用途に展開できたり、加工段階の問題が少ない等の
特徴がある。例えば、食品容器などの成型品は、100
℃の沸騰水による殺菌処理が出来ることが必要であり、
そのためには融点が110℃以上、好ましくは130℃
以上必要であるが、本発明のポリマーでは十分に満足す
る性能を持つ。同様に繊維に適用した場合でも、100
℃での染色や殺菌に耐える事が出来る。
【0036】本発明において、ポリ乳酸及びそれを主成
分とする共重合物の平均分子量は、試料のクロロホルム
0.1%溶液のGPC(ポリスチレン標準試料により較
正)分析による。又、重合物の融点は、示差熱量分析
(DSC)法で測定(昇温速度10℃/min)し求め
る。
【0037】本発明において、部及び%は特に断らない
限り重量部、重量%である。重合物の溶液粘度(相対粘
度)は、試料1gをフェノール/テトラクロルエタン=
6/4(重量比)の混合溶剤100mlに溶解し、ウベ
ローデ型粘度計にて20℃で測定したものである。
【0038】衝撃強度はV字型切込みを有する厚さ1/
2インチ、幅1/4インチの試験片についてアイゾット
法(ASTM D−256a)により測定する。
【0039】
【実施例】以下、参考例を示して更に詳細に本発明を説
明するが、何らこれに限定されるものではない。参考 例1 充分に乾燥(水分率80ppm以下)し、あらかじめ溶
融した光学純度99.8%のL−ラクタイドと、同じく
乾燥溶融し、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤チバ
ガイギー社イルガノックス1010を0.1%添加した
数平均分子量4000(日本油脂#4000)のPEG
とを98/2の比率で2軸混練機の原料供給部へ供給す
る。同時に、重合触媒として、ラクタイドに対し0.3
%のジオクチル酸錫を添加する。2軸混練機は、直径2
5mmの送りスクリューと2翼形で厚さ7mmの攪拌素
子を多数組み合わせたものであり、原料供給部及び2つ
のベント孔部には送りスクリュー、その他の部分は攪拌
素子が取り付けられている。シリンダーの断面は、中央
部がくびれた長円形で、温度は190℃とし、第1ベン
ト孔より窒素ガスを供給し、第2ベント孔より排気す
る。2本の回転軸は同方向回転で、回転速度は、40回
/minである。混練機から出たポリマーは、ギアポン
プで加圧送液し20μmのフィルターで濾過し口径3m
mのノズルより押出し、水で冷却、固化した後約3mm
の長さに切断してチップを得た。2軸混練機内のポリマ
ーの平均滞留(反応)時間は15分である。チップはや
や黄色味を帯びているが透明性に優れていた。
【0040】得られたポリ乳酸の分子量は130000
で残存するモノマー(Mw<1000)は約11%であ
った。該チップを5N塩酸を7%添加したアセトン溶剤
にて処理し、乳酸モノマー及び残存触媒を各々0.8
%、0.01%迄除去したものを成型用チップとする。
【0041】該チップに所定量の熱安定剤を添加・混合
し、35mmの単軸スクリューを有する押出機で245℃
にて溶融し次いで定量ポンプ(ギアポンプ)を通して溶
融ポリマーを定量送液し、孔径0.22mm、孔数25ケ
の紡糸口金より紡出し、空気中で冷却し、オイリングし
て3000m/minの速度で巻取り半延伸糸を得た。
次いでこの半延伸糸を延伸温度70℃、延伸倍率1.7
倍で延伸し、緊張下150℃で熱処理し、速度800m
/minで巻取って75デニール/25フィラメントの
延伸糸を得た
【0042】
【0043】参考例2参考 例1のチップに熱安定剤を0.3%使用して、参考
例1と同様に紡糸・延伸をした。紡糸時のポリ乳酸の熱
分解が少なく、良好な紡糸操業性や糸質を得る事が出来
た。
【0044】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸を主成分とするポリ乳酸を、乳酸モ
    ノマー、環状2量体及び重合触媒を溶解する、酸性物質
    を含まない溶剤により洗浄処理し、ポリマー中の残存モ
    ノマー量を高々1重量%とし、成形時に熱安定剤を少な
    くとも0.05重量%添加させ成形する事を特徴とする
    ポリ乳酸樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸が少なくとも85重量%の乳酸
    成分と高々15重量%のポリエチレングリコール、ポリ
    プロピレングリコール、或いはポリエチレン/プロピレ
    ングリコールのポリアルキレングリコール成分とよりな
    るポリ乳酸である事を特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 乳酸成分の光学純度が少なくとも80%
    である事を特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 ポリ乳酸の数平均分子量が少なくとも8
    0000である事を特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 熱安定剤が、ヒンダートフェノール系、
    アリールアミン系、リン系、イオウ系熱安定剤である事
    を特徴とする請求項1記載の方法。
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