JP2006124662A - 二軸延伸ポリ乳酸フィルムおよびそれからなる成形体、基板 - Google Patents

二軸延伸ポリ乳酸フィルムおよびそれからなる成形体、基板 Download PDF

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Abstract


【課題】
透明性、成形性、耐衝撃性、耐熱性に優れた二軸延伸ポリ乳酸フィルム、および、それを用いて得られる容器を提供する。
【解決手段】
ポリ乳酸を含有するフィルムであって、フィルム中に粒子を含有し、前記粒子がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲であり、平均粒子径が0.01〜10μmであり、かつ、面配向度fnが12×10−3〜20×10−3であることを特徴とする二軸延伸ポリ乳酸フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は二軸延伸ポリ乳酸フィルムに関するものであり、さらに詳細には透明性、成形性、耐衝撃性、耐熱性を必要とする各種包装用容器などの成形体を得るための二軸延伸ポリ乳酸フィルム、および、それを用いて得られる容器などの成形体、さらには該二軸延伸ポリ乳酸フィルムを表面材として用いて得られる基板に関する。
近年、環境意識の高まりのもと、プラスチック製品の廃棄処理問題が注目されており、各種商品の展示包装用などに用いられている容器類、保形具類についても、ポリ乳酸を始めとする種々の生分解性プラスチックフィルムを用いたものが開発されている。
例えば、熱成形機で特定の条件を用いて成形加工し、カップ状の容器を得るためのポリ乳酸系重合体の未延伸フィルム(特許文献1(実施例1)参照)、特定の面配向度になるように延伸した成形用のポリ乳酸延伸フィルム(特許文献2(実施例1等)、特許文献3(実施例1等)参照)、さらにはポリ乳酸系重合体の延伸、熱処理を施したフィルム(特許文献4(実施例1等)、特許文献5(実施例1、2)、特許文献6(実施例1等)参照)などが提案されている。
特開平7−308961号公報 特開2001−150531号公報 特開2001−162676号公報 特開平8−22618号公報 特開2003−192071号公報 特開2001−59029号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術ではシート原反が未延伸であるため分子配向が付与されておらず、耐熱性や耐衝撃性が不十分であった。
また、特許文献2、3では延伸したフィルムを容器状の成形品に加工した例が挙げられているが、ここに開示されている製膜技術においては、フィルム延伸後にアニール(ヒートセット、熱固定)が全くなされておらず、加熱加工時の寸法安定性に欠ける不十分なものであった。
特許文献4、5では延伸後に熱処理を施しており、熱寸法安定性に優れたフィルムであったが、これらの例では本明細書の比較例6、7に示すように精密な成形を達成できていない。
さらに特許文献6では、製膜条件として75℃の延伸温度で、3×3倍に延伸し、熱処理を施したフィルムの例が記載されているが、本明細書の比較例8に示すように耐衝撃性、耐熱性が不十分なものであった。
そこで本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消したポリ乳酸フィルムを提供することであり、詳細には透明性、成形性、耐衝撃性、耐熱性に優れた成形品を得ることができる成形用二軸延伸ポリ乳酸フィルム、および、それを用いて得られる容器を提供することである。
上記課題を達成するため、本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは次の構成を有する。
すなわち、ポリ乳酸を含有するフィルムであって、フィルム中に粒子を含有し、前記粒子がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲であり、平均粒子径が0.01〜10μmであり、かつ、フィルムの面配向度fnが12×10−3〜20×10−3であることを特徴とする二軸延伸ポリ乳酸フィルムである。
また、上記二軸延伸ポリ乳酸フィルムの好ましい態様として、フィルム中に含まれる乳酸オリゴマー成分量が0.3重量%以下であること、フィルムの厚みが70〜500μmであること、120℃におけるフィルム長手方向及び幅方向の100%伸長時の応力が2〜20MPaであることを特徴とする。
本発明によれば、透明性、成形性、耐衝撃性、耐熱性に優れた二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得ることができる。本発明で得られるフィルムは、各種包装用成形容器などの成形用途や、各種基板の表面材等に好ましく用いることができる。
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として得ることができる構造を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。上記の他の共重合成分の共重合量は、全単量体成分に対し、0〜30モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。また、ポリ乳酸以外の熱可塑性樹脂を0〜30重量%混合して用いても良い。
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、適度な製膜、延伸適性および実用的な機械特性を満足させるため、5万〜50万であることが好ましく、より好ましくは10万〜25万である。なお、ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーでクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリスチレン換算法により計算した分子量をいう。
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂を構成するL−乳酸とD−乳酸の割合は、100:0〜94:6もしくは6:94〜0:100の範囲内であることが好ましい。この範囲に入れば後述の熱固定処理をすることにより結晶化度が高くなり、耐熱性が良好で、熱収縮率の小さいフィルムとする事ができる。94:6より小さく、6:94より大きい場合は十分に結晶化させることができず、熱収縮を抑えることができない場合があり、また、配向の緩和が起こり、配向効果による物性向上が見られない場合がある。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、面配向度fnが12×10−3〜20×10−3であることが必要であり、好ましくは12.5×10−3〜18×10−3、より好ましくは13×10−3〜16×10−3である。
面配向度とは、アッベ屈折計などを用いて測定されるフィルム長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)から後述する所定の式に従って算出される。
面配向度fnが12×10−3より小さい場合、透明性、耐衝撃性、耐熱性に劣ったものとなり、面配向度fnを20×10−3より大きくしようとすると、フィルムの延伸が不可能であったり、延伸出来たとしても成形性に劣ったものとなる。
面配向度を上記範囲とし、下記に記載するような粒子を含有することによって、優れた耐衝撃性と精密な成形性を両立させることが可能となる。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、粒子を含有し、その平均粒子径が0.01〜10μmであり、粒子をポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部含有することが必要である。平均粒子径は、好ましくは0.02〜5μm、より好ましくは0.03〜2μmである。混合部数は、好ましくは0.02〜1質量部、より好ましくは0.03〜0.5質量部である。ここでいう平均粒子径とはフィルム中での数平均分散粒子径のことで、測定方法は後述する。平均粒子径が0.01μmより小さいと、または混合部数が0.01質量部より少ないと、成形金型とフィルムとの滑りが悪くなり、成形ムラが生じたり、フィルムが破断したり、また、金型からの離型性が悪くなるなど、成形性が不良となる。一方、平均粒子径が10μmより大きいと、または混合部数が10質量部より多いと、フィルムの透明性が低下する。
粒子の種類は、目的や用途に応じて適宜選択され、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子、重合系内で生成させる内部粒子などを挙げることができる。もちろん、各粒子は、それぞれ単独で使用しても、混合して用いても構わない。混合して用いる場合は、それぞれの種類の粒子が、上記平均粒子径の範囲内となるようにすればよく、また、全ての種類の粒子の総含有量が上記範囲内となるようにすればよい。
無機粒子としては、特に限定されないが、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、カオリン、タルク等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の各種酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる微粒子を使用することができる。
また有機粒子としては、シュウ酸カルシウムや、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などからなる微粒子が使用される。架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も好ましく使用される。
重合系内で生成させる内部粒子としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などを反応系内に添加し、さらにリン化合物を添加する公知の方法で生成される粒子も使用される。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、フィルム中に含まれる乳酸オリゴマー成分量が0.3重量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.25重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。フィルム中に含まれる乳酸オリゴマー成分量が0.3重量%を超えると、フィルム中に残留している乳酸オリゴマー成分が粉末状あるいは液状として析出したときに、ハンドリング性、透明性が悪化する場合がある。また、ポリ乳酸樹脂の加水分解を進行させ、フィルムの耐経時性が悪化する場合がある。ここでいう乳酸オリゴマー成分とは、フィルム中に存在する乳酸や乳酸の線状オリゴマー、環状オリゴマーなどの中で量的に最も代表的である乳酸の環状二量体(ラクチド)をいい、LL−ラクチドおよびDD−ラクチド、DL(メソ)−ラクチドである。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムの厚みは、70〜500μmであることが好ましい。より好ましくは85〜400μmであり、さらに好ましくは100〜300μmである。フィルム厚みが70μmより小さい場合は、成形時にフィルム破れが発生しやすくなり成形性が悪化するだけでなく、成形できた場合でも容器強度が弱くなってしまうといった問題が発生しやすくなる。また、フィルム厚みが500μmより大きい場合は、成形前の加熱が長時間必要になってしまい、うまく成形できた場合でも脆くなりやすいといった問題が発生しやすくなる。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、120℃におけるフィルム長手方向及び幅方向の100%伸長時の応力が2〜20MPaであることが好ましい。より好ましくは4〜15MPa、さらに好ましくは6〜10MPaである。120℃におけるフィルム長手方向及び幅方向の100%伸長時の応力が2MPaより小さい場合、フィルムを成形して得られる容器の耐熱性が低くなってしまい、高温で使用した場合に変形しやすくなってしまう場合があるため好ましくない。また、20MPaより大きくなると、成形性に劣るフィルムとなる場合がある。
また、本発明の本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤またはポリシロキサン等の消泡剤、顔料または染料等の着色剤を適量配合することができる。
フィルム構成としては、単層であってもかまわないし、表面に易滑性、接着性、粘着性、耐熱性、耐候性など新たな機能を付与するための層を形成させた積層構成としてもよい。例えば、A/Bの2層、B/A/B、B/A/C、あるいはA/B/Cの3層などが例として挙げられる。さらには必要に応じて3層より多層の積層構成であってもよく、各層の積層厚み比も任意に設定できる。
また、ブロッキング防止、帯電防止、離型性付与、耐傷付き性改良などの目的で、表面にコーティング機能層を設けることが有効であり、この機能層の形成には、二軸延伸ポリ乳酸フィルムの製造工程内で行うインラインコーティング法、二軸延伸ポリ乳酸フィルムの巻き取り後に行うオフラインコーティング法を用いることができる。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、フィルムを成形加工あるいは印刷加工等の加熱加工を行う際の寸法安定性や、成形品の寸法安定性の点から、120℃における30分加熱時の熱収縮率が、フィルムの長手方向(MD方向)、および幅方向(TD)ともに、5%以下であることが好ましい。より好ましくは−1〜4%、さらに好ましくは−0.5〜3%の範囲である。なお、熱収縮率のマイナス(−)値はフィルムの伸びを示す。熱収縮率が大きいと印刷や成形などのフィルム加熱加工時にフィルムが大きく収縮したり、この範囲より小さいと加熱加工時にフィルムが伸びる場合があり、皺ができるなど工程トラブルや成形品の外観を悪化させてしまう。フィルムの熱収縮率を上記範囲とする方法については、特に限定されるものでないが、例えばL−乳酸とD−乳酸の割合を前述した範囲とし、フィルム製造工程においてあらかじめフィルムを10%以下の範囲で弛緩させながら120〜150℃程度のフィルムの融点以下の比較的高い温度で加熱処理(熱固定)する方法や、一度巻き取ったフィルムを加熱オーブン中で弛緩させながら120〜150℃程度の温度で熱処理をする方法などが挙げられる。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、フィルムおよびこれを用いて得られる容器の分解による強度低下を抑制し耐熱性を良好とする点から、フィルムのカルボキシル基末端濃度が30当量/10kg以下であることが好ましく、より好ましくは20当量/10kg以下、さらに好ましくは10当量/10kg以下である。ポリ乳酸系樹脂中のカルボキシル基末端濃度が30当量/10kgを超える場合には、フィルムおよび容器が高温多湿条件下あるいは熱水との接触条件下で使用される際に加水分解により強度が低下し、容器などの成形品が脆くなり割れやすい等といった問題が発生する場合がある。
フィルムのカルボキシル基末端濃度を30当量/10kg以下とする方法としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂の合成時の触媒や熱履歴により制御する方法、フィルム製膜時の押出温度を低下あるいは滞留時間を短時間化する等熱履歴を低減する方法、反応型化合物を用いカルボキシル基末端を封鎖する方法等が挙げられる。
反応型化合物を用いカルボキシル基末端を封鎖する方法では、フィルム中のカルボキシル基末端の少なくとも一部が封鎖されていることが好ましく、全量が封鎖されていることがより好ましい。反応型化合物としては、例えば、脂肪族アルコールやアミド化合物等の縮合反応型化合物やカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等の付加反応型化合物が挙げられるが、反応時に余分な副生成物が発生しにくい点で付加反応型化合物が好ましい。
次に、本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムを製造する方法を具体的に説明する。
本発明におけるポリ乳酸を主体とするポリマーは、次のような方法で得ることができる。原料としては、L−乳酸またはD−乳酸の乳酸成分を主体として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸類を併用することができる。またこれらのヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、ラクチド、グリコリド等を原料として使用することもできる。更にジカルボン酸類やグリコール類等も使用することができる。
ポリ乳酸を主体とするポリマーは、上記原料を直接脱水縮合する方法、または上記環状エステル中間体を開環重合する方法によって得ることができる。例えば直接脱水縮合して製造する場合、乳酸類または乳酸類とヒドロキシカルボン酸類を好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより高分子量のポリマーが得られる。
また、ラクチド等の環状エステル中間体をオクチル酸錫等の触媒を用い減圧下開環重合することによっても高分子量のポリマーが得られることが知られている。このとき、有機溶媒中での加熱還流時の水分および低分子化合物の除去の条件を調整する方法や、重合反応終了後に触媒を失活させ解重合反応を抑える方法、製造したポリマーを熱処理する方法などを用いることにより、ラクチド量の少ないポリマーを得ることができる。
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、主にポリ乳酸からなる樹脂を乾燥後、押出機に供給し、無配向未延伸フィルムとし、これを二軸延伸して得られる。この延伸は、インフレーション法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法などの既存の延伸フィルムの製造法により行うことができるが、成形性と耐熱性を両立するフィルムの配向状態を制御しやすいこと、また、製膜速度を高速にできることから逐次二軸延伸法が好ましい。
逐次二軸延伸法を行う場合、Tダイから押し出したシートを金属冷却ロール上に静電印加して密着させ、未延伸フィルムとし、加熱ロールの周速差を用いてフィルム長手方向の延伸を行い、次いでクリップでフィルム両端を把持してテンター内でフィルム幅方向に延伸し、さらにクリップで幅方向に把持した状態で熱処理を行うテンター式逐次二軸延伸法が好ましく用いられる。
以下にテンター式逐次二軸延伸を行う場合の好ましい製膜方法を示すが、これに限定されるものではない。
減圧下、100〜150℃で3時間以上乾燥を行ったポリ乳酸系樹脂チップを押出機に供給し、リップ間隔2〜3mmのTダイより押出し、金属製冷却ロール上に、直径0.5mmのワイヤー状電極を用いて静電印加して密着させ、無配向キャストフィルムを得る。
金属製冷却ロールの表面温度の好ましい範囲は0〜30℃であり、より好ましい範囲は3〜25℃であり、さらに好ましい範囲は5〜20℃である。金属製冷却ロールの表面温度をこの範囲に設定することで良好な透明性を発現できる。
こうして得られた無延伸フィルムを加熱ロール上を搬送することによって縦延伸を行う温度まで昇温する。昇温には赤外線ヒーターなど補助的な加熱手段を併用しても良い。延伸温度の好ましい範囲は80〜95℃であり、より好ましくは85〜90℃である。このようにして昇温した未配向フィルムを加熱ロール間の周速差を用いてフィルム長手方向に1段もしくは2段以上の多段で延伸を行う。合計の延伸倍率は2.5〜3.5倍が好ましく、より好ましくは2.8〜3.2倍である。
このように一軸延伸したフィルムをいったん冷却した後、フィルムの両端部をクリップで把持してテンターに導き、幅方向の延伸を行う。延伸温度は75〜90℃が好ましく、より好ましくは80〜85℃である。延伸倍率は2.5〜3.5倍が好ましく、より好ましくは2.8〜3.2倍である。
フィルムの幅方向の性能差を低減するためには、長手方向の延伸温度よりも1〜15℃低い温度で幅方向の延伸を行うことが好ましい。
さらに必要に応じて、再縦延伸および/または再横延伸を行ってもよい。
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。主にフィルムに熱寸法安定性を付与する観点、また同時にフィルムに含有しているラクチドを飛散させラクチド量を低減させる観点から、好ましい熱処理温度は100〜160℃であり、より好ましくは120〜150℃である。時間は0.2〜30秒の範囲で行うのが好ましいが、特に限定されない。弛緩率は、幅方向の熱収縮率を低下させる観点から1〜8%であることが好ましく、より好ましくは2〜5%である。熱固定処理を行う前にいったんフィルムを冷却することがさらに好ましい。
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得る。
上記のような製造方法を採用することにより、本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得ることができる。
特に本発明において、フィルムの面配向度fnを12×10−3〜20×10−3とする方法としては、縦・横延伸時の温度、倍率、また、熱固定の条件を上記のように設定することによって達成することができる。また、120℃におけるフィルムの100%伸長時の応力を2〜20MPaとする方法としては、縦・横の延伸温度を上記のように設定することによって達成することができる。ただし、上述の好ましい延伸温度および熱処理温度は、縦延伸と横延伸時の配向のバランス、配向と結晶化度のバランスが重要であるため、必ずしもこれに限定されるものではない。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
[測定及び評価方法]
(1)面配向度fn
アッベ屈折計によってフィルム長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)を測定し、次式で算出した。
fn=(Nx+Ny)/2−Nz 。
(2)平均粒子径
フィルム中に含まれる粒子の平均粒径を求める際には、次の方法を用いた。フィルムから樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。ここで、処理条件は、樹脂が灰化するが粒子がダメージを受けない条件を選択する。これを走査型顕微鏡で粒子数5,000〜10,000個を観察し、粒子画像を画像処理装置で処理し、円相当径から平均粒子径を数平均で求めた。粒子が内部粒子の場合、フィルム断面を切断し、厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率5,000〜20,000程度で写真を撮影(10枚:25cm×25cm)し、内部粒子の数平均粒子径を円相当径より計算した。また、粒子が凝集している場合はその凝集体の粒径(二次粒子径)を数平均算出の値として用いた。
(3)ラクチド量
フィルムサンプルを塩化メチレンに溶解し、1g/20mlに濃度調整した後、アセトン60mlを追加し、さらに超音波撹拌しながらシクロヘキサン320mlを滴下していきポリ乳酸系重合体を主体とする成分を沈殿させ、これを分離、ろ過して、試料液を作製した。この試料液をガスクロマトグラフ5890型(AgilentTechnologies社製、検出器:FIDタイプ)を用い、カラム:DB−17MS型(J&W社製)、カラム温度:50〜320℃、25℃/分、キャリアーガス:Heの条件にて分析を行い、あらかじめ濃度を変更したラクチド単体の試料液を用いて検量線を作成し、これによりラクチド量を求めた。
(4)120℃における100%伸長時の応力
恒温槽を備えたオリエンテック社製TENSILON UCT−100を用いて、120℃における応力−歪み測定を行った。サンプルは、測定方向に長さ200mm、幅10mmの短冊状に切り出し、JIS K−7127に規定された方法にしたがって測定を行い、120℃におけるフィルム長手方向及び幅方向の100%伸長時の応力を求めた。
初期引張チャック間距離は30mmとし、引張速度は300mm/分とした。サンプルを変更して20回行い、平均値を用いた。
(5)透明性
スガ試験機(株)製全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DPを用いてフィルムヘイズHを測定し、下式により100μmに換算した値H100から、以下の基準にて判定した。
100(%)=H×100/d
(H:ヘイズの実測値、d:測定部のフィルム厚み(μm))
○:H100が5%未満、
△:H100が5%以上10%未満、
×:H100が10%以上。
(6)成形性(成形品の厚みムラ)
直径300mmに打ち抜いたフィルムを、フィルム温度が120℃となるようにして、径150mm、深さ12mmの円筒カップ状となるように絞り加工を行った。得られたカップの側面10点と底面10点の厚みを測定し、最も薄い部分の厚みの、成形前の厚みに対する割合(%)について、以下の基準で評価した。
○:90%以上
△:80%以上90%未満
×:80%未満、もしくはフィルムが破断。
(7)耐衝撃性
幅2mm×50mm長に切り出したフィルムを試験サンプルとし、東洋精機製作所製シャルピー衝撃試験機(容量:10kg・cm、ハンマー重量:1.019kg、ハンマーの空持ち上げ角度:127度、軸心より重心までの距離:6.12cm)を用い、試験温度23℃で、MDおよびTD方向についてサンプルを変更してそれぞれ10回測定を行い平均値を求めた。
得られた値をサンプルの断面積(サンプル厚み×サンプル幅)で除し、MJ/mの単位に換算したシャルピー衝撃強度のMDおよびTD方向の平均値について、以下の基準で評価した。
○:1MJ/m以上
△:0.5MJ/m以上1MJ/m未満
×:0.5MJ/m未満。
(8)耐熱性
絞り比0.7のカップ状の金型(金型温度:50℃)を用い、180℃のヒーターでフィルム温度が120℃となるように昇温した後、真空圧空成形を行って得られた容器に、70℃のお湯を注ぎ、目視で熱変形の度合いを以下の基準で評価した。
○:ほとんど変形が見られない
△:熱変形するが、自立しお湯がこぼれない
×:熱変形が大きく、自立できずお湯がこぼれる。
(実施例1)
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸に対し、公知の二軸押出機を用いて平均粒子径が約1.4μmの粒状シリカ(富士シリシア化学(株)製のサイリシア310P)を添加量が3重量%となるように200℃で混練し、マスターペレットとした。
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸と作製したマスターペレットを粒子の配合部数が0.05質量部となるように調整して混合した原料を、120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥した。該原料チップを押出機に供給し、Tダイ口金温度200℃でフィルム状に押し出し、10℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度85℃で3.0倍延伸した。この一軸延伸フィルムをいったん冷却ロール上で冷却した後、両端をクリップで把持してテンター内に導き、幅方向に温度80℃で3.0倍延伸した。続いて定長下、温度140℃で10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ280μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た(製膜条件を表1に示す)。
得られたフィルムは、ヘイズが3%、シャルピー衝撃強度が1.3MJ/mで透明性、耐衝撃性は良好で、その他特性は表2に示した通りであり、成形性、耐熱性にも優れたフィルムであった。
(実施例2)
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸に対し、公知の二軸押出機を用いて平均粒子径が約0.05μmの微粒二酸化チタン(富士チタン工業(株)製のTAF−110)を添加量が3重量%となるように200℃で混練し、マスターペレットとした。
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸と作製したマスターペレットを粒子の配合部数が0.1質量部となるように調整して混合した原料を、120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥した。その後は、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。
得られたフィルムは、ヘイズが2%、シャルピー衝撃強度は1.2MJ/mで透明性、耐衝撃性は良好で、その他特性は表2に示した通りであり、耐熱性にも優れたフィルムであった。
(実施例3)
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸に対し、公知の二軸押出機を用いて平均粒子径が約6μmの粒状シリカ(富士シリシア化学(株)製のサイリシア770)を添加量が3重量%となるように200℃で混練し、マスターペレットとした。
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸と作製したマスターペレットを粒子の配合部数が0.1質量部となるように調整して混合した原料を、120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥した。その後は、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。
得られたフィルムの特性は表2に示した通りであり、成形性、耐衝撃性、耐熱性に優れたフィルムであった。
(実施例4、5)
粒子の配合部数を表2のように、また、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2に示した通りであり、成形性などに優れたフィルムであった。
(比較例1)
粒子の配合部数を表2のように、また、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られたフィルムのシャルピー衝撃強度は1.8MJ/mで耐衝撃性に優れていたが、表2に示したように面配向度が本発明の範囲の上限を外れており、成形不可能であった。
(比較例2)
粒子の配合部数を表2のように、また、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られたフィルムのシャルピー衝撃強度は0.2MJ/mで、また、面配向度が本発明の範囲の下限を外れており、耐衝撃性、耐熱性に劣るフィルムであった。
(比較例3)
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸に対し、公知の二軸押出機を用いて平均粒子径が約20μmの粒状シリカ(富士シリシア化学(株)製)を添加量が3重量%となるように200℃で混練し、マスターペレットとした。
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸と作製したマスターペレットを粒子の配合部数が0.1質量部となるように調整して混合した原料を、120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥した。その後は、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。
得られたフィルムは、粒子径が本発明の範囲の上限を外れており、透明性に劣るフィルムであった。
(比較例4)
D−乳酸の含有量が2モル%、重量平均分子量が約16万のポリ乳酸と、平均粒子径が約1.4μmの粒状シリカ(富士シリシア化学(株)製のサイリシア310P)20質量部をそれぞれ乾燥して十分に水分を除去した後、公知の二軸押出機を用いて200℃で溶融混合し、ストランドにして押出し、冷却しながらペレット状にカットした。このペレットを再度120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥し、その後は、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。
得られたフィルムの面配向度は測定不可であった。また、粒子含有量が本発明の範囲の上限を外れており、透明性に劣るフィルムであった。
(比較例5)
粒子の配合部数を表2のように、また、製膜条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様して二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た。得られたフィルムは、粒子含有量が本発明の範囲の下限を外れており、成形性に劣るフィルムであった。
(比較例6)
重量平均分子量約20万、D−乳酸含有量1%のポリ乳酸系樹脂を120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥した。該原料チップを押出機に供給し、Tダイ口金温度200℃でフィルム状に押し出し、10℃のドラム上にキャストして急冷し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度75℃で2.5倍延伸した。この一軸延伸フィルムをいったん冷却ロール上で冷却した後、両端をクリップで把持してテンター内に導き、幅方向に温度75℃で3.0倍延伸した。続いて定長下、温度145℃で10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ250μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た(製膜条件を表1に示す)。
得られたフィルムの特性は表2に示した通りであり、粒子を含有していないので精密な成形性に欠けるものであった。
(比較例7)
重量平均分子量約10万、D−乳酸含有量1%のポリ乳酸系樹脂を120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥した。該原料チップを押出機に供給し、Tダイ口金温度180℃でフィルム状に押し出し、40℃のドラム上にキャストして急冷し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度70℃で2.6倍延伸した。この一軸延伸フィルムをいったん冷却ロール上で冷却した後、両端をクリップで把持してテンター内に導き、幅方向に温度70℃で3.3倍延伸した。続いて定長下、温度100℃で10秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ120μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た(製膜条件を表1に示す)。
得られたフィルムの特性は表2に示した通りであり、透明性、耐衝撃性に優れたフィルムであったが、粒子を含有していないので精密な成形性に欠けた。
(比較例8)
D−乳酸の含有量が5モル%、重量平均分子量が約20万のポリ乳酸と、平均粒径が約2.5μmの粒状シリカ(富士シリシア化学(株)製のサイリシア430)1重量部をそれぞれ乾燥して十分に水分を除去した後、スクリュー径40mmの同方向二軸押出機を用いて200℃で混練し、マスターペレットとした。
D−乳酸の含有量が5モル%、重量平均分子量が約20万のポリ乳酸と、作製したマスターペレットを粒子の配合部数が0.1質量部となるように調整して混合した原料を、120℃、5時間、5torrの真空下で減圧乾燥した。該原料チップを押出機に供給し、Tダイ口金温度210℃でフィルム状に押し出し、10℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度75℃で3.0倍延伸した。この一軸延伸フィルムをいったん冷却ロール上で冷却した後、両端をクリップで把持してテンター内に導き、幅方向に温度75℃で3.0倍延伸した。続いて定長下、温度120℃で15秒間熱処理後、幅方向に1%の弛緩処理を施し、厚さ40μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルムを得た(製膜条件を表1に示す)。
得られたフィルムの特性は表2に示した通りであり、透明性、成形性に優れたフィルムであったが、面配向度が本発明の範囲の下限を外れており、耐衝撃性、耐熱性に劣るフィルムであった。
Figure 2006124662
Figure 2006124662
本発明の二軸延伸ポリ乳酸フィルムは、商品の展示包装用などに用いられている容器類、保形具類、その他各種包装材料、基材の印刷面保護用の表面材などの各種工業材料に応用することができるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
特に本発明のフィルムは、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト成形、ストレート成形、フリードローイング成形、プラグアンドリング成形、スケルトン成形などの各種成形法を適用でき、高い成形性を有する。また、透明性、耐衝撃性、耐熱性が優れており、各種成形容器などの包装材料に好ましく用いることができる。

Claims (7)

  1. ポリ乳酸を含有するフィルムであって、フィルム中に粒子を含有し、前記粒子がポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲であり、平均粒子径が0.01〜10μmであり、かつ、フィルムの面配向度fnが12×10−3〜20×10−3であることを特徴とする二軸延伸ポリ乳酸フィルム。
  2. フィルム中に含まれる乳酸オリゴマー成分量が0.3重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸ポリ乳酸フィルム。
  3. フィルムの厚みが70〜500μmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の二軸延伸ポリ乳酸フィルム。
  4. 120℃におけるフィルム長手方向及び幅方向の100%伸長時の応力が2〜20MPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸ポリ乳酸フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸ポリ乳酸フィルムを加熱成形して得られることを特徴とする成形体。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸ポリ乳酸フィルムを加熱成形することを特徴とする成形体の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸ポリ乳酸フィルムを表面材として用いることを特徴とする基板。
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