JP2002087339A - セミクローラ型作業車両のスプロケット取付装置 - Google Patents

セミクローラ型作業車両のスプロケット取付装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クローラ脱着時に於けるスプロケットの取り
外しを容易にするとともに、スプロケットの落下を防止
する。 【解決手段】 後車軸15の第1フランジ17の直径に
対応してスプロケット18の内側面に凹部23を段設
し、スプロケット18を第1フランジ17へ嵌合離脱自
在に形成する。トラックフレーム21を枢支する延長軸
26に第2フランジ27を固設し、第2フランジ27を
仮止めボルト29にてスプロケット18の外側面に締着
する。更に、第2フランジ27とスプロケット18とを
固定ボルト30にて第1フランジ17に固定することに
より、後車軸15にセミクローラユニット16が装着さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセミクローラ型作業
車両のスプロケット取付装置に関するものであり、特
に、脱着作業を容易にしたセミクローラ型作業車両のス
プロケット取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
前車軸にタイヤ付ホイールを装着し、後車軸のフランジ
にスプロケットを装着するとともに、後車軸の下方に従
動輪または転輪を支持する支持部材を配置し、前記スプ
ロケットと従動輪または転輪との間にクローラを卷装し
たセミクローラ型作業車両が知られている。しかし、前
記スプロケットと支持部材は別々に駆動軸に枢着されて
いるため、クローラを後車軸から外すときにスプロケッ
トが落下する虞があった。
【0003】そこで、クローラ脱着時に於けるスプロケ
ットの取り外しを容易にするとともに、スプロケットの
落下を防止するために解決すべき技術的課題が生じてく
るのであり、本発明はこの課題を解決することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案されたものであり、前車軸12にタイヤ
付ホイール13を装着し、後車軸15のフランジ17に
スプロケット18を装着するとともに、後車軸15の下
方に従動輪19または転輪20を支持する支持部材21
を配置し、前記スプロケット18と従動輪19または転
輪20との間にクローラ22を卷装したセミクローラ型
作業車両10に於いて、前記後車軸15に設けられた第
1フランジ17の直径に対応して前記スプロケット18
の内側面に凹部23を段設し、該凹部23を第1フラン
ジ17へ嵌合離脱自在に形成するとともに、該凹部23
の中心部分に中心孔24を開穿し、一方、前記支持部材
21を枢支する延長軸26の内側端部に第2フランジ2
7を固設し、該第2フランジ27を前記中心孔24へ嵌
合離脱自在にするとともに、該第2フランジ27を仮止
めボルト29にて前記スプロケット18の外側面に締着
したときに前記後車軸15と延長軸26とが同一軸心と
なるよう形成し、更に、該第2フランジ27と前記スプ
ロケット18を固定ボルト30にて第1フランジ17に
固定したセミクローラ型作業車両のスプロケット取付装
置を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に従って詳述する。図1はセミクローラ型作業車両の
一例として農業用のトラクタ10を示し、車両の前部に
エンジン11を搭載し、その下方部に設けた前車軸12
に左右の前輪13,13としてタイヤ付ホイールが装着
されている。一方、ミッションケース14の後部から左
右に突設した後車軸15,15には、セミクローラユニ
ット16,16が装着されている。該セミクローラユニ
ット16は、後車軸15に設けられた第1フランジ17
に駆動輪であるスプロケット18を装着し、後車軸15
の下方に従動輪19や転輪20を支持する支持部材であ
るトラックフレーム21を配置するとともに、前記スプ
ロケット18,従動輪19,転輪20を取り巻くように
クローラ22を卷装して構成されている。
【0006】図1乃至図4に示すように、前記スプロケ
ット18の内側面には第1フランジ17の直径に対応し
て円形の凹部23を段設してあり、第1フランジ17の
直径に対して凹部23の直径をやや大きくして、該凹部
23を第1フランジ17へ嵌合離脱自在に形成するとと
もに、該凹部23の中心部分に中心孔24を開穿してあ
る。一方、前記トラックフレーム21の上部に軸受部2
5が設けられており、この軸受部25に延長軸26を枢
着して該延長軸26の内側端部に第2フランジ27を固
設する。そして、第2フランジ27の内側面には前記中
心孔24の直径に対応して円形の凸部28を段設してあ
り、前記中心孔24の直径に対して凸部28の直径をや
や小さくして、該凸部28を中心孔24へ嵌合離脱自在
に形成してある。
【0007】而して、後車軸15にセミクローラユニッ
ト16を装着する場合は、先ず、前記トラックフレーム
21の軸受部25に延長軸26を枢着し、スプロケット
18,従動輪19,転輪20にクローラ22を卷装し
て、第2フランジ27の凸部28を前記中心孔24へ嵌
合し、第2フランジ27を仮止めボルト29にてスプロ
ケット18の外側面に締着する。このとき、該仮止めボ
ルト29の先端部が凹部23へ突出しないように、ボル
ト長さを設定しておく。斯くして、セミクローラユニッ
ト16が組み立てられる。
【0008】一方、前記第1フランジ17には固定ボル
ト30が外側に向けて固設されており、この固定ボルト
30をスプロケット18及び第2フランジ27のボルト
孔31に挿入しながら、前記クローラユニット16のス
プロケット18の凹部23を第1フランジ17に嵌合
し、該固定ボルト30と固定ナット32にてスプロケッ
ト18を第1フランジ17に固定する。斯くして、後車
軸15の軸心とスプロケット18の回転中心と延長軸2
6の軸心とが一致した状態で、後車軸15の第1フラン
ジ17にセミクローラユニット16が装着される。
【0009】ここで、前記トラックフレーム21は軸受
部25を中心に上下方向へ揺動可能であるが、この揺動
を規制するために揺動規制手段を設けてある。予め車両
フレーム側には前後方向へ支持杆33を固設しておき、
この支持杆33の側面にストッパピン34を外側へ向け
て略水平に突設し、該ストッパピン34の先端部に固定
ボルト35を設ける。一方、前記トラックフレーム21
の軸受部25の前方位置にブラケット36を固設し、該
ブラケット36に左右が開放された箱型の枠体37を取
り付ける。また、この枠体37の上部内面と下部内面に
夫々弾性ストッパ部材38,38を装着してある。
【0010】前述したように、後車軸15の第1フラン
ジ17にセミクローラユニット16を装着したときに、
この枠体37の内部に前記ストッパピン34を挿通して
固定ボルト35を枠体37の側方へ突出させる。そし
て、該固定ボルト35にカラー39を被せてナット40
を螺着し、カラー39にて枠体37の外側面を押さえる
ようにする。従って、トラックフレーム21が上下に揺
動したときには、前記ストッパピン34が枠体37内を
移動して上下の弾性ストッパ部材38に当接し、トラッ
クフレーム21の上下の揺動を規制する。このように、
1箇所でトラックフレーム21の上下方向の揺動が規制
でき、メンテナンスが極めて容易である。上下の弾性ス
トッパ部材38の厚さを変えれば、簡単に揺動幅の調節
を行うことができる。また、前記カラー39が枠体37
の外側面を押圧しているため、枠体37の左右移動即ち
トラックフレーム21の左右方向の動きを簡単に規制す
ることができる。
【0011】而して、後車軸15からセミクローラユニ
ット16を取り外す場合は、先ず、前記ストッパピン3
4の固定ボルト35に締着されているナット40を離脱
し、枠体36をストッパピン34から引き抜ける状態に
する。続いて、第1フランジ17の固定ボルト30から
固定ナット32を離脱して、第1フランジ17からスプ
ロケット18を取り外す。このとき、スプロケット18
と延長軸26の第2フランジ27とは仮止めボルト29
にて締着されているため、スプロケット18が落下する
ことはなく、セミクローラユニット16をアッセンブリ
状態で取り外すことができる。然る後に、スプロケット
18をはじめクローラ22などの各パーツを安全に取り
外すことができる。
【0012】図5は動力伝達線図であり、エンジン11
の回転動力は主クラッチ50にて入り切りされ、前後進
切換装置51にて前進回転または後進回転に切り換えら
れる。主変速装置52にて第1速乃至第4速の何れかに
変速され、更に、第1副変速装置53及び第2副変速装
置54にて変速された後に、リヤデファレンシャル装置
56にて左右の後車軸15,15に分岐され、減速装置
56を経て第1フランジ17に伝達される。第1フラン
ジ17には前述したセミクローラユニット16またはタ
イヤ付ホイールの後輪57の何れかを装着する。
【0013】一方、第2副変速装置54から前輪13へ
の動力が分岐され、タイヤ付ホイールの後輪57を装着
している場合は、前輪増速装置58によって前輪13へ
伝達する回転を増速する。そして、前輪13への回転動
力は、フロントデファレンシャル装置59の前段に設け
た減速装置60にて減速される。然る後に、前車軸12
の減速装置65により更に減速されて前輪13が駆動さ
れる。
【0014】前記減速装置60の変速ギヤ61は、歯先
の中央部付近にシフタ溝62が設けられて歯先が二分割
されており、該シフタ溝62の両側に設けられている各
歯先の幅よりも、該シフタ溝62の幅はやや大に形成さ
れている。また、この変速ギヤ61に噛合する伝動ギヤ
63の歯先も二分割され、伝動ギヤ63の中央部付近に
シフタ溝62と略同幅の溝64を設けてある。通常の変
速ギヤはギヤの端部にシフタ溝を設けてあり、ギヤチェ
ンジに際しては歯先の全幅以上のシフト量が必要である
が、前記変速ギヤ61と伝動ギヤ63は二分割された片
方の歯先の幅だけ移動すれば噛合が接離されるため、通
常の略半分のシフト量でギヤチェンジを行うことがで
き、変速装置の省スペース化を図ることができる。
【0015】ここで、図1に示すように、エンジン11
の上部にはエアコンユニット70が設けられているの
で、この位置にフューエルタンクを配置することができ
ない。そこで、フェンダ71の前方下部に側面視が略三
角形状のフューエルタンク72を配置する。該フューエ
ルタンク72は軸73にて回動自在に取り付けられてお
り、図示したように、セミクローラユニット16を装着
した時は、該フューエルタンク72を上方に回動した位
置に固定してフェンダ71の一部を構成するため、該フ
ューエルタンク72がクローラ22に干渉することがな
い。一方、タイヤ付ホイールの後輪57を装着した時
は、二点鎖線にて示すように、該フューエルタンク72
を下方へ回動してステップの一部を構成するため、該フ
ューエルタンク72が後輪57に干渉することがない。
【0016】図6に示すように、該フューエルタンク7
2の内部には、前記軸73に中空の吸い込みパイプ74
を固設してあり、該吸い込みパイプ74の基端部側端面
に蓋75を開閉自在に取り付けるとともに、該吸い込み
パイプ74の先端部側端面に蓋76を開閉自在に取り付
ける。また、前記軸73の端部に中空のパイプ77を固
設して吸い込みパイプ74に連通させ、このパイプ77
に燃料供給パイプ78を接続する。同図(a)に示すよ
うに、セミクローラユニット16の装着時にフューエル
タンク72が上方に回動している状態では、前記吸い込
みパイプ74の基端部側端面の蓋75が自重にて開放
し、フューエルタンク72内の燃料は蓋75側から吸い
出される。
【0017】一方、同図(b)に示すように、タイヤ付
ホイールの後輪57の装着時にフューエルタンク72が
下方に回動している状態では、前記吸い込みパイプ74
の先端部側端面の蓋76が自重にて開放し、フューエル
タンク72内の燃料は蓋76側から吸い出される。この
ように、フューエルタンク72の姿勢に拘わらず、吸い
込みパイプ74の何れかの蓋75または76の部分から
確実に燃料供給ができる。
【0018】図7に示すように、該フューエルタンク7
2の内部には、電気式のフューエルゲージ80を装着し
てあり、フロート81の高低をアーム82の角度で計測
して燃料の残量を演算する。しかし、フューエルタンク
72を回動することによりフューエルゲージ80の極性
が逆になるため、同図(c)に示すように、一方の端子
の接点83と他方の端子の接点84は、前記軸73の周
面上で交差して設けられている。従って、同図(a)に
示すように、セミクローラユニット16を装着したとき
のフューエルタンクの回動位置と、同図(b)に示すよ
うに、タイヤ付ホイールの後輪57を装着したときのフ
ューエルタンクの回動位置とでは、集電ブラシ85,8
6の接触状態が逆になり、正確に燃料の残量を検出する
ことができる。
【0019】また、図1に示したフェンダ71内には、
セミクローラユニット16の上方部位にスペースがある
ので、ここに補給用のサブタンク90を配置することも
できる。図示は省略するが、前記フェンダ71内の進行
方向と平行且つ垂直面にガイド板を脱着自在に設けてお
き、セミクローラユニット16を装着したときは、この
ガイド板に沿ってサブタンク90を挿入し、フェンダ7
1内にサブタンク90を配置する。一方、タイヤ付ホイ
ールの後輪57を装着したときは、このサブタンク90
を引き抜いてガイド板を取り外すことにより、サブタン
ク90が後輪57に干渉することはない。
【0020】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない
限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該
改変されたものに及ぶことは当然である。
【0021】
【発明の効果】本発明は上記一実施の形態に詳述したよ
うに、セミクローラ型作業車両に於いて、後車軸に設け
られた第1フランジの直径に対応してクローラのスプロ
ケットの内側面に凹部を段設し、該凹部の中心部分に中
心孔を開穿してある。また、この中心孔に延長軸の第2
フランジを嵌合して仮止めボルトにて締着し、更に、第
2フランジとスプロケットを固定ボルトにて前記第1フ
ランジに固定したので、後車軸からセミクローラユニッ
トを取り外す場合は、先ず、前記固定ボルトを弛緩して
第1フランジからスプロケットを離脱する。このとき、
スプロケットと第2フランジとは仮止めボルトにて締着
されているため、セミクローラユニットごと取り外すこ
とができる。斯くして、スプロケットが落下することは
なく、安全性が確保されるとともに作業性も向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の一実施の形態を示すものである。
【図1】セミクローラユニットを装着したトラクタの側
面図。
【図2】セミクローラユニットの側面図。
【図3】後車軸に装着する前のセミクローラユニットの
一部切欠背面図。
【図4】後車軸に装着した状態のセミクローラユニット
の一部切欠背面図。
【図5】動力伝達線図。
【図6】フューエルタンク内の吸い込みパイプを示す一
部切欠側面図であり、(a)はセミクローラユニット装
着時の状態、(b)はタイヤ付ホイールの後輪装着時の
状態である。
【図7】フューエルタンク内のフューエルゲージを示す
一部切欠側面図であり、(a)はセミクローラユニット
装着時の状態、(b)はタイヤ付ホイールの後輪装着時
の状態、(c)は軸に設けた接点の斜視図である。
【符号の説明】
10 トラクタ 12 前車軸 13 前輪 15 後車軸 17 第1フランジ 18 スプロケット 19 従動輪 20 転輪 21 トラックフレーム 22 クローラ 23 凹部 24 中心孔 26 延長軸 27 第2フランジ 29 仮止めボルト 30 固定ボルト

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前車軸12にタイヤ付ホイール13を装
    着し、後車軸15のフランジ17にスプロケット18を
    装着するとともに、後車軸15の下方に従動輪19また
    は転輪20を支持する支持部材21を配置し、前記スプ
    ロケット18と従動輪19または転輪20との間にクロ
    ーラ22を卷装したセミクローラ型作業車両10に於い
    て、前記後車軸15に設けられた第1フランジ17の直
    径に対応して前記スプロケット18の内側面に凹部23
    を段設し、該凹部23を第1フランジ17へ嵌合離脱自
    在に形成するとともに、該凹部23の中心部分に中心孔
    24を開穿し、一方、前記支持部材21を枢支する延長
    軸26の内側端部に第2フランジ27を固設し、該第2
    フランジ27を前記中心孔24へ嵌合離脱自在にすると
    ともに、該第2フランジ27を仮止めボルト29にて前
    記スプロケット18の外側面に締着したときに前記後車
    軸15と延長軸26とが同一軸心となるよう形成し、更
    に、該第2フランジ27と前記スプロケット18を固定
    ボルト30にて第1フランジ17に固定したことを特徴
    とするセミクローラ型作業車両のスプロケット取付装
    置。
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