JP2002060553A - ゴム組成物およびその加工方法 - Google Patents

ゴム組成物およびその加工方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強性の無い粉体粒子を配合したゴム組成物
における氷上摩擦力と摩耗性能の向上の両立を図ったゴ
ム組成物を提供する。 【解決手段】 ジエン系ゴム100重量部にN2 SA:
70m2 /g、DBP吸油量:90ml/100g以上で
あるカーボンブラックを20〜80重量部、沈降シリカ
を0〜50重量部およびその他の汎用配合剤を配合して
混練りして得られたゴム組成物に対して、珪酸塩、炭酸
金属塩、硫酸金属塩、酸化アルミニウムのうちから選ば
れる少なくとも一種の物質を主成分としその平均粒子径
が1〜300μmである粉体粒子を1〜30重量部配合
してなるゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物、特
に、スタッドレスタイヤ用のゴム組成物として有用な、
氷上摩擦力の向上と耐摩耗性の向上が両立できるゴム組
成物およびその加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スタッドレスタイヤ用ゴム組成物の氷上
性能改善のために、珪藻土やゼオライト(特開昭61−
106686号公報)、多孔質粒子(特開平9−302
153号公報)、セピオライト(特開平11−2467
07号公報)、層状化合物、非球形鉱物粒子を配合する
ことが既に紹介され、その効果も確認されている。しか
しながら、それらの非ゴムで補強性の無い小粒子をゴム
に配合すると、氷上性能の改善と引き換えに耐摩耗性が
大幅に悪化するという問題があった。また、従来より、
分散性の悪いそれらの粒子の混合加工は、加硫剤投入よ
り前のステップで行なうのが当該技術分野での常識であ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明で
は、氷上摩擦力の向上と耐摩耗性の向上を両立させるこ
とができるゴム組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、補強性の無
い粉体粒子をカーボン練りの既に終了したゴム組成物に
追加投入で混合することによって、氷上摩擦力の向上と
耐摩耗性の向上を両立できることを見い出した。この場
合、該粉体粒子の混合は、カーボン練りとステップを分
けた加硫剤および加硫促進剤の混合時に行うことがより
好ましいことも見い出した。
【0005】そこで、本発明によれば、ジエン系ゴム1
00重量部にN2 SA:70m2 /g、DBP吸油量:
90ml/100g以上であるカーボンブラックを20〜
80重量部、沈降シリカを0〜50重量部およびその他
の汎用配合剤を配合して混練りして得られたゴム組成物
に対して、珪酸塩、炭酸金属塩、硫酸金属塩、酸化アル
ミニウムのうちから選ばれる少なくとも一種の物質を主
成分としその平均粒子径が1〜300μmである粉体粒
子を1〜30重量部配合してなるゴム組成物が提供され
る。また、本発明によれば、前記粉体粒子が加硫剤およ
び加硫促進剤の投入時に配合された前記ゴム組成物が提
供される。
【0006】また、本発明によれば、ジエン系ゴム10
0重量部にN2 SA:70m2 /g、DBP吸油量:9
0ml/100g以上であるカーボンブラックを20〜8
0重量部、沈降シリカを0〜50重量部およびその他の
汎用配合剤を配合して混練りする工程、およびその後に
珪酸塩、炭酸金属塩、硫酸金属塩、酸化アルミニウムの
うちから選ばれる少なくとも一種の物質を主成分としそ
の平均粒子径が1〜300μmである粉体粒子を1〜3
0重量部配合して混練りする工程を含んでなるゴム組成
物の加工方法が提供される。更に、前記粉体粒子が加硫
剤および加硫促進剤の投入時に混合される前記ゴム組成
物の加工方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】一般に、補強性の無い粉体粒子を
ゴムに配合すると、そのゴム組成物の耐摩耗性が悪化す
るのはその粉体粒子がゴムマトリックス中で異物として
作用し、ゴムと補強剤(カーボンブラック等)との結合
を阻害することが原因であると考えられる。しかし、本
発明により、既にゴム/補強剤の結合が完了したゴムマ
トリックスに後から粉体粒子を添加混合した場合は、ゴ
ムマトリックスそのものの耐摩耗性は犠牲にならない
で、この混合によって分散性の悪化した粉体粒子のみが
タイヤ製品使用時に優先的にゴムから脱落するため、タ
イヤゴム表面には氷上性能改善に必要な凹凸が適度に形
成され、結果として耐摩耗性と氷上性能の両立したタイ
ヤゴム製品が得られることとなる。
【0008】本発明に用いられるジエン系ゴムとして
は、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム
(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(S
BR)および各種ポリブタジエン(BR)等を挙げるこ
とができ、特に、低温性能を考慮すれば、天然ゴムを少
なくとも40重量部以上とした他のジエン系ゴムとのブ
レンドゴムの使用が好ましい。
【0009】本発明に係るゴム組成物には、通常当該ゴ
ム組成物に配合される補強剤としてのカーボンブラック
および/またはシリカを配合する。本発明のゴム組成物
に使用するカーボンブラックとしては、N2 SA(窒素
吸着比表面積)が70m2 /g、DBP吸油量が90ml
/100g以上であるものが好ましく、更にN2 SAが
80〜200m2 /g、DBP吸油量が100〜150
ml/100gであるものが一層好ましい。これらの物性
値が低過ぎると引張強さ、モジュラスなどが低くなるの
で好ましくなく、逆に高過ぎるとN2 SAでは発熱量が
大きくなるので好ましくなく、DBP吸油量ではカーボ
ンとして製造が難かしいので好ましくない。また、シリ
カとしては湿式シリカの沈降シリカが使用される。これ
ら補強剤の配合量としては、ゴム100重量部に対し
て、カーボンブラックが20〜80重量部、シリカが0
〜50重量部使用される。シリカは配合されなくてもよ
く、使用する場合は、tanδバランスが改良される範
囲の配合量で用いるのが良く、これを過ぎると電気伝導
度が低下し、また補強剤の凝集力が強くなり、混練中の
分散が不充分となるので好ましくない。
【0010】本発明のゴム組成物には、更に、通常の加
硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、各種オイル、
老化防止剤、可塑化剤、軟化剤、その他当該ゴム用に一
般的に配合されている各種汎用配合剤を配合して使用さ
れる。これら汎用配合剤の配合量は、本発明の目的に反
しない限り、従来の一般的な配合量とすることができ
る。
【0011】本発明のゴム組成物に使用される補強性の
無い粉体粒子としては、珪酸塩、炭酸金属塩、硫酸金属
塩、酸化アルミニウムのうちから選ばれる少なくとも一
種の無機物質を主成分とし、その平均粒子径が1〜30
0μmである粉体粒子が用いられる。粉体粒子は、ジエ
ン系ゴム100重量部に対して1〜30重量部配合して
用いられることが好ましい。この配合量が少な過ぎると
必要な氷上摩擦力を高める効果が表れにくくなるので好
ましくなく、逆に多き過ぎるとゴム製品の硬度が高過ぎ
たり、粉体粒子の分散不良塊が発生したりするので好ま
しくない。
【0012】本発明のゴム組成物における粉体粒子の配
合は、ジエン系ゴムにカーボンブラック等の補強剤およ
びその他の汎用配合剤を投入して混練りする工程の後
に、別途所定の粉体粒子を添加、混練する工程を経て実
施してもよいが、更に効率的な方法として、この粉体粒
子の配合は、ジエン系ゴムにカーボンブラック等の補強
剤、および加硫剤および加硫促進剤を除くその他の汎用
配合剤を投入、混練りする工程の後の、加硫剤および加
硫促進剤の添加、混練りする工程時に、これらと同時に
該粉体粒子を添加、混練りするようにすると、ゴム混練
工程の回数を増やす必要もなく、また、本発明による作
用効果も十分に発揮し得るので、より効率の良い実施態
様である。
【0013】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
更に詳しく説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの
実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0014】以下の実施例および比較例の各例の配合に
用いた配合成分は、以下の市販品を用いた。 1)天然ゴム:RSS #3 2)SBR:NIPOL 1220(日本ゼオン製) ガラス転移温度=−101℃ 3)カーボンブラック:SHOBLACK N220
(昭和キャボット製) N2 SA:111m2 /g、DBP吸油量:111ml/
100g 4)老化防止剤:SANTOFLEX 6PPD(FL
EXSIS製) 5)酸化亜鉛:亜鉛華3号(正同化学工業製) 6)ステアリン酸:(日本油脂製) 7)アロマオイル:(富士興産製) 8)加硫促進剤:SANTOCURE NS(FLEX
SIS製) 9)硫黄:(軽井沢精錬所製) *珪藻土:(関東化学製) *セピオライト:エードプラスSP(水澤化学製) *炭酸マグネシウム:(徳山曹達製)
【0015】試験サンプルの作製 1.7Lの密閉式バンバリーミキサーを用いて、ゴム、
カーボンブラック等の配合剤を5分間混合(カーボン練
り)した後、オープンロールにて、加硫促進剤、硫黄を
配合、混練(加硫剤練り)した。珪藻土、セピオライ
ト、炭酸マグネシウムは、比較例ではカーボン練り時
に、実施例では加硫剤練り時に投入、混合した。次に、
このゴム組成物を、10MPa の圧力下、120℃で20
分間加硫して、2mm厚のシートを作製した。
【0016】各例における測定、評価方法は、以下のと
おりである。 1)氷上摩擦力:各コンパウンドを加硫したシートを偏
平円柱状の台ゴムに貼りつけ、インサイドドラム型氷上
摩擦試験機によって氷上摩擦係数を測定した。測定温度
は−3.0℃と−1.5℃、荷重5.5kg/cm3 、ドラ
ム回転速度は25km/時間。比較例1を標準として各例
の結果を指数で示した。数値が大きい程、氷上摩擦力が
高いことを示す。 2)摩耗性能:ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)
を使用して荷重5kg、スリップ率25%、時間4分、室
温の条件下で測定し、摩耗減量を指数表示した。数値が
大きい程、耐摩耗性能が高いことを示す。
【0017】実施例1〜3および比較例1〜3 試験結果を配合組成と共に、表1に示す。
【表1】
【0018】
【発明の効果】表1の結果からみられるように、本発明
に従ったゴム組成物は、氷上摩擦力および摩耗性能が共
に向上していることがわかる。よって、本発明のゴム組
成物は、タイヤトレッド用ゴム組成物として極めて有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/26 C08K 3/26 3/30 3/30 3/34 3/34 3/36 3/36 (72)発明者 沓澤 龍次郎 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 Fターム(参考) 4F070 AA05 AA08 AB16 AC04 AC05 AC14 AC15 AC16 AC20 AC22 AC23 AC27 AC40 AC94 AD04 AE01 AE02 AE03 AE08 AE30 FA03 FB06 FB07 4J002 AC011 AC031 AC061 AC081 DA036 DE148 DE218 DG048 DJ008 DJ017 FD016 FD017 FD018 FD149 FD159 FD208 GN01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジエン系ゴム100重量部にN2 SA:
    70m2 /g、DBP吸油量:90ml/100g以上で
    あるカーボンブラックを20〜80重量部、沈降シリカ
    を0〜50重量部およびその他の汎用配合剤を配合して
    混練りして得られたゴム組成物に対して、珪酸塩、炭酸
    金属塩、硫酸金属塩、酸化アルミニウムのうちから選ば
    れる少なくとも一種の物質を主成分としその平均粒子径
    が1〜300μmである粉体粒子を1〜30重量部配合
    してなるゴム組成物。
  2. 【請求項2】 前記粉体粒子が加硫剤および加硫促進剤
    の投入時に配合されてなる、請求項1に記載のゴム組成
    物。
  3. 【請求項3】 ジエン系ゴム100重量部にN2 SA:
    70m2 /g、DBP吸油量:90ml/100g以上で
    あるカーボンブラックを20〜80重量部、沈降シリカ
    を0〜50重量部およびその他の汎用配合剤を配合して
    混練りする工程、およびその後に珪酸塩、炭酸金属塩、
    硫酸金属塩、酸化アルミニウムのうちから選ばれる少な
    くとも一種の物質を主成分とし、その平均粒子径が1〜
    300μmである粉体粒子を1〜30重量部配合して混
    練りする工程を含んでなるゴム組成物の加工方法。
  4. 【請求項4】 前記粉体粒子が加硫剤および加硫促進剤
    の投入時に混合される、請求項3に記載のゴム組成物の
    加工方法。
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