JP2002046567A

JP2002046567A - 頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ

Info

Publication number: JP2002046567A
Application number: JP2000232201A
Authority: JP
Inventors: Toshinori Tanase; 利則棚瀬; Hatsuko Tanabe; 肇子田辺; Mitsuyoshi Ono; 光由大野; Norio Urushi; 規夫漆
Original assignee: Toyota Motor Corp; Toyoda Gosei Co Ltd
Current assignee: Toyota Motor Corp; Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date: 2000-07-31
Filing date: 2000-07-31
Publication date: 2002-02-12
Also published as: US20020020991A1; US6616179B2

Abstract

(57)【要約】【課題】前席用膨張室の展開膨張完了の遅れを抑えて、
後席用膨張室の展開膨張を素早く開始可能な頭部保護エ
アバッグ装置のエアバッグを提供すること。【解決手段】エアバッグ１１は、車内側の開口の上縁側
に折り畳まれて収納され、膨張用ガスＧを流入させるガ
ス流入部１３と、膨張用ガスの流入時に展開膨脹する本
体部１４と、を備える。本体部は、前席用・後席用膨張
室と、ガス流入部から前方側へ延びて、前席用・後席用
膨張室の上部に開口された流入口から、前席用・後席用
膨張室へ膨張用ガスを流入可能なガス流路２７と、を備
える。後席用膨張室１６の流入口１７は、ガス流路２７
の軸方向Ｘ１に対して略直交方向に開口して、前方側周
縁１８を、後方側周縁１９より、上方に配置させてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、頭部保護エアバッ
グ装置のエアバッグに関し、詳しくは、車内側のドア等
の開口の上縁側に折り畳まれて収納されるとともに、膨
張用ガスの流入時、開口を覆うように展開膨張して、前
席と後席との側方付近に、それぞれ、前席用膨張室と後
席用膨張室とを配置させるエアバッグに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の頭部保護エアバッグ装置では、エ
アバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するシリン
ダタイプのインフレーターと、を備えて構成されていた
（ドイツ実用新案公報 DE 29806200 U1 、英国公開特許
公報 GB 2324068 等参照）。

【０００３】そして、エアバッグは、車内側のドア等の
開口の上縁側に折り畳まれて収納されるとともに、膨張
用ガスの流入時、開口を覆うように展開膨張し、前席と
後席との側方付近に、それぞれ、前席用膨張室と後席用
膨張室とを配置させるように、構成されていた。

【０００４】また、エアバッグは、後部側から膨張用ガ
スを流入させるように、後上部側に配置されてインフレ
ーターと連結されるガス流入部と、前席用・後席用膨張
室を有して、膨張用ガスの流入時に、開口を覆うように
展開膨脹する本体部と、を備えていた。

【０００５】本体部は、前席用・後席用膨張室の他に、
ガス流入部から前方側へ延びて前席用・後席用膨張室の
上方側に配設され、前席用・後席用膨張室の上部に開口
された流入口から、前席用・後席用膨張室に膨張用ガス
を流入可能なガス流路を、備えて、構成されていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の頭部保
護エアバッグ装置のエアバッグでは、ガス流路が、ガス
流入部から略水平方向の直線状に前方へ延びるように配
設されていた。

【０００７】そのため、ガス流路の全長にわたって膨張
用ガスがある程度充填された後に、流入口を経て、前席
用・後席用膨張室内に膨張用ガスが流入されることとな
って、折り畳まれた前席用・後席用膨張室の下方への展
開膨張を素早く開始させる点に、改善の余地があった。

【０００８】特に、ガス流路における後席用膨張室の上
方の部位では、前方へ流れる膨張用ガスの勢いが強いた
め、膨張用ガスの通過当初に後席用膨張室内に流入し難
い場合があり、下方への展開膨張の開始を素早く行う点
に、一層の改善の余地があった。

【０００９】この場合、後席用膨張室の展開膨張を完了
させて、前席用膨張室を展開膨張させるように、膨張用
ガスの流れる流路を変更させることも考えられるが、そ
のように構成すれば、ガス流入部から遠いために展開膨
張完了が遅れやすい前席用膨張室の展開膨張の完了を、
一層、遅れさせてしまい、好ましくない。

【００１０】本発明は、上述の課題を解決するものであ
り、前席用膨張室の展開膨張完了の遅れを抑えて、後席
用膨張室の展開膨張を素早く開始させることができる頭
部保護エアバッグ装置のエアバッグを提供することを目
的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明に係るエアバッグ
は、車内側の開口の上縁側に折り畳まれて収納され、後
上部側に配置されて膨張用ガスを流入させるガス流入部
と、膨張用ガスの流入時に、前記開口を覆うように展開
膨脹する本体部と、を備えるとともに、前記本体部が、
膨張用ガスを流入させて前席と後席との側方付近にそれ
ぞれ配置させる前席用・後席用膨張室と、前記ガス流入
部から前方側へ延びて前記前席用・後席用膨張室の上方
側に配設され、前記前席用・後席用膨張室の上部に開口
された流入口から、前記前席用・後席用膨張室へ膨張用
ガスを流入可能なガス流路と、を備えて構成されている
頭部保護エアバッグ装置のエアバッグであって、前記後
席用膨張室の流入口が、前記ガス流路の軸方向に対して
略直交方向に開口して、前方側の周縁を後方側の周縁よ
り上方に配置させて、配設されていることを特徴とす
る。

【００１２】そして、前記エアバッグには、前記前席用
膨張室の流入口を、それぞれ、前記ガス流路の軸方向に
対して略直交方向に開口させて、前記ガス流路に沿って
複数形成し、前記前席用膨張室後端側の流入口の上方に
おける前記ガス流路の周壁に、前方側へ流れる膨張用ガ
スの一部を、下方へ方向転換させて、前記前席用膨張室
後端側の流入口から前記前席用膨張室内へ流入可能な、
案内部を形成することが望ましい。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係るエアバッグでは、ガス流入
部から膨張用ガスが本体部内に流入すると、膨張用ガス
は、前方側へ延びるガス流路を通過して、前方側へ流れ
ることとなる。その際、ガス流路に開口する後席用膨張
室の上部の流入口が、ガス流路の軸方向に対して略直交
方向に開口して、前方側の周縁を後方側の周縁より上方
に配置させて、配設されていることから、その流入口の
前方側周縁が、後方側周縁より上方に配置された高さ寸
法分、膨張用ガスと干渉し易くなり、干渉した膨張用ガ
スを、方向転換させて、後席用膨張室内に案内して流入
させることができる。その結果、後席用膨張室の展開膨
張の開始を早めることができる。

【００１４】そして勿論、後席用膨張室の流入口は、ガ
ス流路の軸方向に対して略直交方向に開口して、前方側
の周縁を後方側の周縁より上方に配置させて、配設され
ているだけで、ガス流路を前方へ流れる膨張用ガスを、
全て後席用膨張室内に案内する訳ではないことから、後
席用膨張室の流入口における前方側周縁の後方側周縁か
らの高さ位置を適宜調整すれば、前席用膨張室の展開膨
張完了の遅れを極力抑えることも可能となる。

【００１５】したがって、本発明に係る頭部保護エアバ
ッグ装置のエアバッグでは、前席用膨張室の展開膨張完
了の遅れを抑えて、後席用膨張室の展開膨張を素早く開
始させることができる。

【００１６】そして、請求項２のように構成する場合に
は、前席用膨張室の展開膨張も素早く開始させることが
できる。

【００１７】すなわち、後席用膨張室の上方を前方側へ
流れる膨張用ガスが、前席用膨張室の上方側へ流れる
際、前席用膨張室後端側の流入口の上方におけるガス流
路の周壁に、案内部が形成されており、その案内部によ
って、前方側へ流れる膨張用ガスの一部が、下方へ方向
転換されて、前席用膨張室後端側の流入口から前席用膨
張室内へ流入され、前席用膨張室の展開膨張の開始を早
めることができる。

【００１８】勿論、この場合でも、案内部の下方への突
出量を適宜調整すれば、案内部の下方の流入口より前方
側の流入口からも、前席用膨張室内に膨張用ガスを流入
させることができて、折り畳み状態の前席用膨張室を、
前後方向の略全域から、下方へ展開させることが可能と
なって、前席用膨張室の展開膨張完了を素早くすること
も可能となる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。

【００２０】実施形態のエアバッグ１１は、図１に示す
頭部保護エアバッグ装置Ｍに使用されるものであり、車
内側のドアや窓部の開口Ｗの上縁側周縁におけるフロン
トピラー部ＦＰの下縁側、ルーフサイドレール部ＲＲの
下縁側、及び、リヤピラー部ＲＰの上方側にわたって、
折り畳まれて収納されている。

【００２１】頭部保護エアバッグ装置Ｍは、エアバッグ
１１、インフレーター５１、取付ブラケット４６・４７
・４８・５２、及び、エアバッグカバー９、を備えて構
成されている。

【００２２】インフレーター５１は、図１に示すよう
に、折り畳まれたエアバッグ１１に膨張用ガスを供給す
るシリンダタイプとしており、エアバッグ１１の後述す
るガス流入部１３が外装されることとなる。

【００２３】取付ブラケット５２は、板金製として、エ
アバッグ１１の後述するガス流入部１３を外装させたイ
ンフレーター５１を、ガス流入部１３ごと外周側から挟
持し、２本の取付ボルト５３を利用して、リヤピラー部
ＲＰの車内側におけるボディ１側の板金製のインナパネ
ル２に取り付けることとなる。

【００２４】取付ブラケット４６は、図１・２に示すよ
うに、板金製として、エアバッグ１１における後述する
前部側の２つの取付部１２を挟持するもので、それぞ
れ、車内側Ｉの内プレート４６ａと車外側Ｏの外プレー
ト４６ｂとを備えて構成され、それらの内・外プレート
４６ａ・４６ｂには、各取付部１２の取付孔１２ａに対
応する取付孔４６ｃが貫通されている。そして、取付ボ
ルト４９を、取付孔１２ａ・４６ｃに挿通させて、イン
ナパネル２の取付孔２ａ周縁に固着されたナット２ｂに
螺合させることにより、各取付部１２がインナパネル２
に取り付けられることとなる。

【００２５】取付ブラケット４７は、図１に示すよう
に、板金製として、エアバッグ１１の前後方向の中間部
位の取付部１２を挟持するもので、取付ブラケット４６
の内プレート４６ａと同様な車内側に配置される一つの
内プレート４７ａを備えるとともに、車外側に配置され
る一つの外プレート４７ｂを備えて構成されている。こ
の外プレート４７ｂは、折り畳まれたエアバッグ１１の
車外側と下面側とを支持して、展開膨張時のエアバッグ
１１がセンターピラー部ＣＰの車内側を覆うガーニッシ
ュ７の車外側に侵入しないように、断面を略Ｌ字状とし
ている。また、内・外プレート４７ａ・４７ｂには、取
付部１２の取付孔１２ａに対応する位置に、取付ボルト
４９を挿通させる取付孔（図符号省略）が貫通されてい
る。

【００２６】取付ブラケット４８は、図１に示すよう
に、板金製として、エアバッグ１１の後部側の二つの取
付部１２を挟持するものであり、取付ブラケット４６の
内プレート４６ａと同様な車内側に配置される二つの内
プレート４８ａと、二つの内プレート４８ａの車外側に
配置される一つの外プレート４８ｂと、を備えて構成さ
れている。この外プレート４８ｂも、取付ブラケット４
７の外プレート４７ｂと同様に、折り畳まれたエアバッ
グ１１の車外側と下面側とを支持して、展開膨張時のエ
アバッグ１１がリヤピラー部ＲＰの車内側を覆うガーニ
ッシュ６の車外側に侵入しないように、断面を略Ｌ字状
としている。また、内・外プレート４８ａ・４８ｂに
も、取付部１２の取付孔１２ａに対応する位置に、取付
ボルト４９を挿通させる取付孔（図符号省略）が貫通さ
れている。

【００２７】エアバッグカバー９は、図１・２に示すよ
うに、フロントピラー部ＦＰに配置されるピラーガーニ
ッシュ４とルーフサイドレール部ＲＲに配置されるルー
フヘッドライニング５とのそれぞれの下縁側から構成さ
れている。なお、フロントピラーガーニッシュ４とルー
フヘッドライニング５とは、合成樹脂製として、フロン
トピラー部ＦＰとルーフサイドレール部ＲＲの車内側に
おけるボディ１のインナパネル２に取付固定されてい
る。

【００２８】エアバッグ１１は、ポリアミド糸やポリエ
ステル糸等を使用した袋織りによって製造され、図１・
３に示すように、インフレーター５１からの膨張用ガス
を流入させて、折り畳み状態から展開して、開口Ｗ・Ｗ
を覆う本体部１４と、インフレーター５１からの膨張用
ガスを本体部１４に導くガス流入部１３と、本体部１４
の上縁１１ａ側に設けられる取付部１２と、を備えて構
成されている。

【００２９】ガス流入部１３は、本体部１４の後端上部
から後方へ突出するように配設され、インフレーター５
１に外装可能な略円筒状に形成されている。

【００３０】取付部１２は、本体部１４の上縁１１ａ側
における後述する周縁部３４や板状部４２から上方へ突
出するように、複数配置されて、インナパネル２に取り
付けるための取付ブラケット４６・４７・４８が固着さ
れることとなる。各取付部１２には、取付ボルト４９を
挿通させる取付孔１２ａが開口されている。

【００３１】本体部１４は、ガス流入部１３に連通し
て、膨張用ガスを流入させて車内側壁部１５ａ（図３・
４・５参照）と車外側壁部１５ｂとを離すように膨張す
る膨張部１５と、膨張用ガスを流入させない非膨張部３
３と、を備えて構成されている。

【００３２】膨張部１５は、展開膨張時に車両の後席の
側方位置に配置可能な後席用膨張室１６と、展開膨張時
に前席の側方位置に配置可能な前席用膨張室２１と、ガ
ス流入部１３から前方側へ直線状に延びて前席用・後席
用膨張室２１・１６の上方側に配設され、前席用・後席
用膨張室２１・１６へ膨張用ガスを流入可能なガス流路
２７と、から構成されている。ガス流路２７は、後席用
膨張室１６の上方に配置される後流路２８と、前席用膨
張室２１の上方に配置される前流路２９と、後述する長
方形板状部４２ｂの上方で後・前流路２８・２９を連通
させる中間流路３０と、から構成されている。

【００３３】非膨張部３３は、車内側壁部１５ａと車外
側壁部１５ｂとを結合させたように構成されており、実
施形態の場合、周縁部３４、結合部３６・３７・３８・
３９・４０、及び、板状部４２、から構成されている。
周縁部３４は、膨張部１５の周縁を囲むように配設され
ており、ガス流入部１３と後席用膨張室１６とを区画す
るように、後縁側から前方に延びる区画部３４ａも備え
ている。

【００３４】板状部４２は、本体部１４の前部側の三角
板状部４２ａと、前・後席用膨張室２１・１６との間に
おける中間流路３０の下方の長方形板状部４２ｂと、を
備えて構成されている。板状部４２は、ガス流入部１３
から本体部１４の前部にかけての本体部１４の全体形状
を確保するとともに、膨張部１５の容積を小さくして、
膨張完了までの時間を短くするために設定されている。

【００３５】なお、周縁部３４・結合部３６・３７・３
８・３９・４０は、取付部１２とともに、板状部４２に
比べて、密に織成され、板状部４２は、膨張部１５との
境界部位でなく、膨張用ガスの漏れ対策を考慮しなくと
も良いことから、粗く二枚状に織成されて、相互に部分
的に点付けされている。なお、この板状部４２ａ・４２
ｂのような構成部位は、実施形態の場合、エアバッグ上
縁１１ａ側の取付部１２やガス流入部１３の近傍部位
や、エアバッグ下縁１１ｂの膨張部１６・２１直下にお
ける周縁部３４の下方部位にも、配設されている。

【００３６】結合部３６・３７・３８は、前席用膨張室
２１の領域内で、上下方向に延びるような略Ｔ字形状若
しくは略逆Ｊ字形状に形成されて、周縁部３４から離れ
て車両の前後方向に並設されている。結合部３９・４０
は、後席用膨張室１６の領域内に延びるような略Ｉ字形
状として、周縁部３４の区画部３４ａから下方へ延び
て、車両の前後方向に並設されている。

【００３７】これらの結合部３６・３７・３８・３９・
４０は、膨張部１５が膨張用ガスを流入させて膨張した
際、前・後席用膨張室２１・１６の肉厚を略均等にする
ために、配設されるとともに、ガス流入部１３付近から
本体部１４の前部にかけての前後方向に張力を発揮させ
て、本体部１４が、車内側や車外側への押圧力を受けて
も、揺動しないように、配設されている。

【００３８】そして、前席用膨張室２１には、結合部３
６・３７・３８によって、ガス流路２７の前流路２９か
ら膨張用ガスを流入させるための複数（実施形態では４
つ）の流入口２２・２３・２４・２５が開口されてい
る。流入口２２は、膨張室２１の前縁側の周縁部３４と
結合部３６との間の上部に開口され、流入口２３は、結
合部３６・３７間の上部に開口され、流入口２４は、結
合部３７・３８間の上部に開口され、流入口２５は、結
合部３８と膨張室２１の周縁部３４との間の上部に開口
されている。これらの流入口２２・２３・２４・２５
は、それぞれの開口の軸方向を、ガス流路２７の前流路
２９における前後方向（略水平方向）に配置された軸方
向Ｘ２（図３・６参照）に対して、略直交方向の上下方
向に配置させている。

【００３９】なお、実施形態の場合、前席用膨張室２１
における後端の流入口２５は、エアバッグ１１の車両へ
の搭載時に、センターピラー部ＣＰの位置に配置される
ように構成されている。

【００４０】また、後席用膨張室１６には、ガス流路２
７の後流路２８から膨張用ガスを流入させるための一つ
の流入口１７が、膨張室１６の前部側における上部に開
口されている。この流入口１７の開口の軸方向は、ガス
流路２７の後流路２８における前後方向（略水平方向）
に配置された軸方向Ｘ１（図３・４参照）に対して、略
直交方向の上下方向としている。

【００４１】そして、後席用膨張室１６の流入口１７の
周縁では、図４に示すように、エアバッグ１１を平らに
展開した状態で、前方側の周縁１８が、後方側の周縁１
９より、高さ寸法Ｈ１（実施形態では２０mm）分、上方
に配置されて、配設されている。

【００４２】なお、前縁側周縁１８の位置は、流入口１
７の周縁において、後席用膨張室１６の前縁側を区画す
る周縁部３４の最も上方に配置された部位とし、実施形
態の場合、区画部３４ａにおけるガス流入部１３側の元
部３４ｂと、上下方向の高さを一致させている。また、
後縁側周縁１９の位置は、流入口１７の周縁において、
区画部３４ａの元部３４ｂから斜め下方に直線状に下が
った直線部３４ｃの先端の部位としている。そして、実
施形態の場合、後流路２８の上縁側の周壁（周縁部上縁
部位３４ｄ）を水平方向の直線状として、後流路２８の
下縁側の周壁を構成する区画部３４ａが、直線状の中間
部３４ｃを斜め下方へ延ばし、後流路２８を前方側に向
かって拡径させていることから、前縁側周縁１８が、後
縁側周縁１９より高さ寸法Ｈ１分、上方に位置されてい
る。

【００４３】また、実施形態では、図３・６に示すよう
に、前席用膨張室２１の後端側における流入口２５の上
方には、ガス流路２７の前流路２９の上縁側の周壁に、
中間流路３０側から緩やかな曲線状に周縁部３４を下方
へ下げた案内部３１が、形成されている。この案内部３
１は、中間流路３０内を前方側へ流れる膨張用ガスの一
部を、下方へ積極的に方向転換させて、流入口２５から
前席用膨張室２１内へ流入させるものである。

【００４４】実施形態の場合、案内部３１の下端３１ａ
は、中間流路３０の上縁側の周壁から下げた突出量Ｈ２
を３０mmとしている。

【００４５】また、中間流路３０は、前方側に向かって
拡径するように、下縁側の周壁を、案内部３１における
下方へ傾斜する角度より、下方へ大きく下げている。す
なわち、周縁部３４の長方形板状部４２ｂの上方側にお
ける中間部位３４ｅの前端側を、大きく下方に下げてい
る。

【００４６】このエアバッグ１１の車両への搭載につい
て説明すると、まず、袋織りして製造したエアバッグ１
１を折り畳む。この折り畳み状態は、実施形態の場合、
図３の二点鎖線に示すように、順次、山折りと谷折りと
の折目Ｃを入れて、エアバッグ下縁１１ｂ側をエアバッ
グ上縁１１ａに接近させるような蛇腹折りとしている。
なお、エアバッグ１１の製造時においては、織成して所
定形状に裁断した後に、適宜、耐熱性を高めるとともに
膨張用ガスの漏れを防止するように、シリコン等を塗布
したコーティング層を設けても良い。ちなみに、コーテ
ィング層は、織成後には、内周面側にコーティング剤を
塗布できないことから、外周面側に形成する。

【００４７】そして、折り畳んだ後には、折り崩れ防止
用の破断可能なテープ４４（図１・２参照）で、エアバ
ッグ１１をくるむとともに、インフレーター５１・取付
ブラケット４６・４７・４８・５２を取り付けて、エア
バッグ組立体を形成する。なお、取付ブラケット４７・
４８の部位には、エアバッグ１１と各取付ブラケット４
７・４８とが分離しないように、破断可能なテープ４４
をさらに巻いておく。

【００４８】そして、各取付ブラケット４６・４７・４
８・５２をインナパネル２の所定位置に配置させ、各取
付孔１２ａ等を挿通させてボルト４９・５３止めし、各
取付ブラケット４６・４７・４８・５２をインナパネル
２に固定して、エアバッグ組立体をボディ１に取り付け
る。ついで、フロントピラーガーニッシュ４やルーフヘ
ッドライニング５をボディ１に取り付け、さらに、リヤ
ピラーガーニッシュ６・センターピラーガーニッシュ７
をボディ１に取り付ければ、エアバッグ１１が頭部保護
エアバッグ装置Ｍとともに車両に搭載されることとな
る。

【００４９】エアバッグ装置Ｍの車両への搭載後、イン
フレーター５１が作動されれば、インフレーター５１か
らの膨張用ガスＧが、ガス流入部１３からガス流路２７
の後流路２８・中間流路３０・前流路２９に順に流れ
て、各流入口２２・２３・２４・２５から分岐流Ｇ１・
Ｇ２・Ｇ３・Ｇ４となって前席用膨張室２１に流入し、
また、流入口１７から分岐流Ｇ５となって後席用膨張室
１６に流入して、エアバッグ１１の膨張部１５が、折り
を解消させつつ、膨張し始める。そして、エアバッグ１
１は、くるんでおいたテープ４４を破断させ、さらに、
フロントピラーガーニッシュ４やルーフヘッドライニン
グ５の下縁側のエアバッグカバー９を押し開いて、図１
・２の二点鎖線で示すように、下方へ突出しつつ、開口
Ｗ・Ｗとリヤピラー部ＲＰの車内側とを覆うように、大
きく展開膨張することとなる。

【００５０】そして、実施形態のエアバッグ１１のガス
流路２７に開口する後席用膨張室１６の流入口１７で
は、ガス流路２７（後流路２８）の前後方向に配置され
る軸方向Ｘ１に対して略直交方向に開口して、前方側周
縁１８が、高さ寸法Ｈ１分、後方側周縁１９より上方に
配設されている。そのため、流入口１７の前方側周縁１
８が、後方側周縁１９より上方に配置された高さ寸法Ｈ
１分、膨張用ガスＧと干渉し易くなり、干渉した膨張用
ガスＧ５を、方向転換させて、後席用膨張室１６内に案
内して流入させることができる。その結果、後席用膨張
室１６の展開膨張の開始を早めることができる。

【００５１】そして勿論、後席用膨張室１６の流入口１
７は、ガス流路２７（後流路２８）の軸方向Ｘ１に対し
て略直交方向に開口して、前方側周縁１８を後方側周縁
１９より上方に配置させて、配設されているだけで、ガ
ス流路２７を前方へ流れる膨張用ガスＧを、全て後席用
膨張室１６内に案内する訳ではないことから、後席用膨
張室１６の流入口１７における前方側周縁１８の後方側
周縁１９からの高さ位置を適宜調整すれば、前席用膨張
室２１の展開膨張完了の遅れを極力抑えることも可能と
なる。

【００５２】したがって、実施形態の頭部保護エアバッ
グ装置Ｍのエアバッグ１１では、前席用膨張室２１の展
開膨張完了の遅れを抑えて、後席用膨張室１６の展開膨
張を素早く開始させることができる。

【００５３】ちなみに、後席用膨張室１６の流入口１７
の周縁における前縁側周縁１８の後縁側周縁１９からの
高さ寸法Ｈ１は、エアバッグ１１を平らに展開した状態
での後流路２８の一般部２８ａ（前縁側周縁１８や区画
部元部３４ｂの部位）における開口寸法Ｂ１の１５〜４
０％とすることが望ましい。１５％未満では、後席用膨
張室１６の展開膨張を早める効果が低く、４０％を超え
ては、前席用膨張室２１へ流れる膨張用ガスＧの流れを
干渉しすぎて、前席用膨張室２１の展開膨張完了を遅延
させる虞れが生ずるからである。

【００５４】そして、実施形態のエアバッグ１１では、
前席用膨張室２１が、ガス流路２７（前流路２９）の軸
方向Ｘ２に対して略直交方向に開口させて、ガス流路２
７の前流路２９に沿って複数の流入口２２・２３・２４
・２５を形成し、後端側の流入口２５の上方に、前方側
へ流れる膨張用ガスＧの一部Ｇ４を、下方へ方向転換さ
せて、後端側の流入口２５から前席用膨張室２１内へ流
入可能な、案内部３１を設けている。

【００５５】そのため、後席用膨張室２１の上方の後流
路２８を経て中間流路３０を前方側へ流れる膨張用ガス
Ｇが、前席用膨張室２１の上方側へ流れる際、案内部３
１によって、前方側へ流れる膨張用ガスＧの一部Ｇ４
が、下方へ方向転換されて、後端側の流入口２５から前
席用膨張室２１内へ流入され、前席用膨張室２１の展開
膨張の開始を早めることができる。

【００５６】勿論、この場合でも、案内部３１の下方へ
の突出量Ｈ２を適宜調整すれば、流入口２５の前方側の
流入口２２・２３・２４からも、円滑に、前席用膨張室
２１内に膨張用ガスＧ１・Ｇ２・Ｇ３を流入させること
ができて、折り畳み状態の前席用膨張室２１を、前後方
向の略全域から、下方へ展開させることが可能となっ
て、前席用膨張室２１の展開膨張完了を素早くさせるこ
とも可能となる。

【００５７】ちなみに、案内部３１の下端３１ａの中間
流路３０からの下方への突出量Ｈ２は、エアバッグ１１
を平らに展開した状態での前流路２９の一般部２９ａ
（各結合部３６・３７・３８の上端の部位）における開
口寸法Ｂ２の２０〜５０％とすることが望ましい。２０
％未満では、前席用膨張室２１の展開膨張を早める効果
が低く、５０％を超えては、前席用膨張室２１の前方側
へ流れる膨張用ガスＧの流れを干渉しすぎて、前席用膨
張室２１の展開膨張完了を遅延させる虞れが生ずるから
である。

【００５８】なお、実施形態では、後席用膨張室１６の
流入口１７を、前部側に配置させた場合を示したが、図
７に示すように、流入口１７を後席用膨張室１６の後部
側に配設しても良く、その場合でも、その流入口１７の
開口周縁における前縁側周縁１８を、高さ寸法Ｈ１分、
後縁側周縁１９より高く設定すればよい。

【００５９】また、実施形態では、後席用膨張室１６の
結合部３９・４０として、直線状に上下方向に延びる形
状を例示したが、図７に示すように、結合部３９・４０
は、曲線状に上下方向に延びるように構成しても良い。
勿論、前席用膨張室２１内の結合部３６・３７・３８も
同様である。

【００６０】さらに、実施形態のエアバッグ１１では、
袋織りによって製造したものを示したが、縫製、接着剤
を使用する接着、高周波ウェルダ等を使用する溶着等を
利用して、エアバッグを製造しても良く、その場合に設
ける流入口の周縁の周縁部等に本発明を応用しても良
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施形態のエアバッグが使用さ
れる頭部保護エアバッグ装置の使用態様を示す車内側か
ら見た概略正面図である。

【図２】図１のII−II部位の概略拡大縦断面図である。

【図３】同実施形態のエアバッグを平らに展開した状態
を示す正面図である。

【図４】同実施形態のエアバッグを平らに展開した状態
の後部側を示す拡大部分正面図である。

【図５】同実施形態のエアバッグの膨張時を示す部分拡
大横断面図であり、図４のＶ−Ｖ部位が膨張した状態を
示す。

【図６】同実施形態のエアバッグを平らに展開した状態
の前部側を示す拡大部分正面図である。

【図７】他の実施形態のエアバッグにおける部分正面図
である。

【符号の説明】

１１…エアバッグ、１４…本体部、１６…後席用膨張室、１７…（後席用膨張室の）流入口、１８…前縁側周縁、１９…後縁側周縁、２１…前席用膨張室、２２・２３・２４・２５…（前席用膨張室の）流入口、２７…ガス流路、３１…案内部、Ｘ１・Ｘ２…（ガス流路の）軸方向、Ｗ…開口、Ｍ…頭部保護エアバッグ装置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者田辺肇子愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内 (72)発明者大野光由愛知県豊田市トヨタ町１番地トヨタ自動車株式会社内 (72)発明者漆規夫愛知県豊田市トヨタ町１番地トヨタ自動車株式会社内Ｆターム(参考） 3D054 AA03 AA04 AA07 AA18 AA20 CC04 CC11 CC27 CC29 CC42 CC45 DD14 FF20

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】車内側の開口の上縁側に折り畳まれて収
納され、後上部側に配置されて膨張用ガスを流入させるガス流入
部と、膨張用ガスの流入時に、前記開口を覆うように展開膨脹
する本体部と、を備えるとともに、前記本体部が、膨張用ガスを流入させて前席と後席との
側方付近にそれぞれ配置させる前席用・後席用膨張室
と、前記ガス流入部から前方側へ延びて前記前席用・後
席用膨張室の上方側に配設され、前記前席用・後席用膨
張室の上部に開口された流入口から、前記前席用・後席
用膨張室へ膨張用ガスを流入可能なガス流路と、を備えて構成されている頭部保護エアバッグ装置のエア
バッグであって、前記後席用膨張室の流入口が、前記ガス流路の軸方向に
対して略直交方向に開口して、前方側の周縁を後方側の
周縁より上方に配置させて、配設されていることを特徴
とする頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ。
【請求項２】前記前席用膨張室の流入口が、それぞ
れ、前記ガス流路の軸方向に対して略直交方向に開口し
て、前記ガス流路に沿って複数形成され、前記前席用膨張室後端側の流入口の上方における前記ガ
ス流路の周壁に、前方側へ流れる膨張用ガスの一部を、
下方へ方向転換させて、前記前席用膨張室後端側の流入
口から前記前席用膨張室内へ流入可能な、案内部が形成
されていることを特徴とする請求項１に記載の頭部保護
エアバッグ装置のエアバッグ。