JP2004114895A - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両Vの車内側におけるSWの上縁側に折り畳まれて収納されて、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグ16を備える構成の頭部保護エアバッグ装置。エアバッグ16が、膨張用ガスを流入させて展開膨張するガス流入部17を備えている。ガス流入部17が、乗員頭部を拘束する主膨張部23F・23Bが横膨張部24からなり、その前後に各複数の複数の縦膨張部25を備える。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれた収納されて、インフレータの膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗員頭部の位置が水平方向に変動しても、エネルギー吸収特性が大きく変動しないようにした頭部保護エアバッグ装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】
特開2000−335351
【特許文献2】
特開2000−52911
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の提案されている頭部保護エアバッグ装置では、膨張した膨張部が下方に移動してくるため、乗員頭部と車両側部の間隙に侵入する性能、いわゆる介在性に改良が望まれた。
【0004】
また、膨張するガス流入部が、水平方向の非膨張部や膨張部のシワにより、エアバッグの上下方向の形状保持性が弱く、改良の余地があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明に係る頭部保護エアバッグは、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれた収納されて、インフレータの膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
前記エアバッグが前記膨張用ガスを流入させて展開膨張するガス流入部を備え、該ガス流入部が、前記窓の上縁に沿い、インフレータからの膨張用ガスを最初に受け入れる供給路部と、該供給路部に連通し、該部から下方に延びる複数の第1の縦膨張部と、該第1の縦膨張部間に位置し、該縦膨張に連通し水平方向に延びる複数の横膨張部を有する主膨張部と、前記供給路部に連通し、前記供給路部から下方に延び、前記両第1の縦膨張部の前後に隣接する第2の縦膨張部とを、有することを特徴とする。
【0006】
また、第2の本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれた収納されて、インフレータの膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
前記エアバッグが前記膨張用ガスを流入させて展開膨張するガス流入部を備え、該ガス流入部が、前記窓の上縁に沿い、インフレータからの膨張用ガスを最初に受け入れる供給路部と、該供給路部に連通し、該部から下方に延びる複数の第1の縦膨張部と、該第1の縦膨張部間に位置し、該縦膨張に連通し、複数個のスポット状非膨張部により、膨張頂部がY字状に配置されてなる主膨張部と、前記供給路部に連通し、前記供給路部から下方に延び、前記両第1の縦膨張部の前後に隣接する第2の縦膨張部とを、有することを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、乗員頭部を拘束する主膨張部が、水平方向の横膨張部、あるいは、膨張頂部がY字状に配置されているため、乗員頭部の位置が水平方向に変動しても、エネルギー吸収特性が大きく変動しない。
【0008】
さらに、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、乗員頭部を拘束する主膨張部へは、膨張用ガスが直接供給路部から流入することなく、縦方向の第1の縦膨張部を介して流入する。そのため、縦膨張部が膨張した時、主膨張部は乗員頭部の側部に展開するが、その膨張は十分でなく薄い。従って、薄い主膨張部が下方に移動することとなり、介在性に優れている。
【0009】
また、両第1の縦膨張部の前後に隣接する第2の縦膨張部を配置してので、エアバッグの上下方向の形状保持特性に優れている。なお、第1の縦膨張部には、主膨張部との境界に斜め方向のシワが発生するため、第1の縦膨張部のみでは形状保持特性の向上は望めない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1に示す頭部保護エアバッグ装置Mは、ダブルキャブ車Vに搭載されるものであり、エアバッグ16、インフレーター49、及び、エアバッグカバー13、を備えて構成されている。
【0012】
なお、ダブルキャブ車Vは、乗員が着座する前席・後席シートの側方に配置されて車両側面に位置するサイドウィンドとしての窓SW(SW1・SW2)を備えるとともに、窓SW2の後方側で窓SW2と略直交するように配置される後壁部10を備えて構成されている。さらに、このダブルキャブ車Vは、窓SW1の前方側で窓SW1と隣接し、ルーフサイドレール部RRから斜め下方に延びて、略上下方向に配設されるフロントピラー部FP、窓SW1・SW2間でルーフサイドレール部RRから下方に延びるセンターピラー部CP、及び、窓SW2と後壁部10との間で窓SW2と隣接し、ルーフサイドレール部RRから下方に延びるリヤピラー部RP、を備えて構成されている。なお、窓SW1は、前席の側方に配置されて、実施形態の場合には、フロントドアの窓としており、窓SW2は、後席の側方に配置されて、実施形態の場合には、リヤドアの窓としている。
【0013】
各ピラー部FP・CP・RPには、それぞれ、車体(ボディ1)側の板金製のインナパネル2を覆うように、合成樹脂製のピラーガーニッシュ5・7・8が、車内側に、配設されている。また、ルーフサイドレール部RRにおいても、インナパネル2を覆うように、合成樹脂製のルーフヘッドライニング6が、車内側に、配設されている。
【0014】
また、後壁部10は、図1に示すように、上部に、リヤウィンドRWを配置させて、車体(ボディ1)側の板金製のリヤパネル11と、リヤパネル11の車内側を覆う合成樹脂製のリヤトリム12と、を備えて構成されている。なお、後壁部10の上端側は、天井側から延びるルーフヘッドライニング6に覆われている。
【0015】
そして、エアバッグカバー13は、実施形態の場合、フロントピラーガーニッシュ5とルーフヘッドライニング6との下縁5a・6aから、構成されている。エアバッグカバー13は、折り畳まれて収納されたエアバッグ16の車内側Iを覆うように配設されるとともに、展開膨張時のエアバッグ16における窓側遮蔽部19を車内側Iへ突出可能とするために、図2の二点鎖線及び図6に示すごとく、エアバッグ16の窓側遮蔽部19に押されて車内側Iに開くように、構成されている。
【0016】
エアバッグ16は、図1・2に示すように、センターピラー部CPを跨いで、窓SW(SW1・SW2)の車内側Iの上縁側に、折り畳まれて収納されている。エアバッグ16は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を利用した袋織りによって、形成されている。そして、エアバッグ16は、インフレーター49からの膨張用ガスGを流入させて車内側壁部17aと車外側壁部17bとを離すようにして膨張するガス流入部17と、膨張用ガスを流入させない非流入部35と、から構成されている。
【0017】
ガス流入部17は、膨張用ガスGを流入させて、窓SW1・SW2とセンターピラー部CP・リヤピラー部RPとの車内側Iを覆うように展開膨張する窓側遮蔽部19と、ルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側となるインナパネル2の車内側Iを覆うように展開膨張するルーフ側遮蔽部31と、窓側遮蔽部19とルーフ側遮蔽部31とに膨張用ガスを流入させる供給路部29と、を備えて構成されている。
【0018】
供給路部29は、窓側遮蔽部19とルーフ側遮蔽部31との間において、前後方向に延びるように、配設されている。そして、供給路部29の前後方向の中間部位には、上方へ円筒状に突出して、インフレーター49と接続させるように後方側を開口させた接続口部29aが、配設されている。
【0019】
窓側遮蔽部19は、供給路部29の下方に配設されるもので、前席側方の窓SW1を覆う前席用部位20と、後席側方の窓SW2を覆う後席用部位21と、エアバッグ16の下縁16b側において前席用部位20と後席用部位21とを連通する連通膨張部27と、を備えて構成されている。
【0020】
各前席・後席用部位20・21は、前後方向の中央付近となる部位に、前後方向に沿って配設される横膨張部24を複数個並設させた主膨張部23を、備えている。そして、各前席・後席用部位20・21における主膨張部23の前後には、上下方向に沿うように複数の縦膨張部25が、並設されている。各縦・横膨張部24・25は、各前席・後席用部位20・21の領域内に配置される後述する区画部37・38により、区画されて、配設されている。
【0021】
実施形態の場合、前席用部位20の主膨張部23Fの前方側には、3個の縦膨張部25A・25B・25Cが配設され、前席用部位20の主膨張部23Fの後方側と後席用部位21の主膨張部23Bの前後両側とには、それぞれ、2個ずつの縦膨張部25D・25E・25F・25G・25H・25Jが、配設されている。各縦膨張部25A・25B・25C・25D・25E・25F・25G・25H・25Jは、上端25a側を供給路部29に連通させて、配設されている。また、第1の各縦膨張部25C・25D・25G・25Hは、前方側若しくは後方側に配設される横膨張部24と連通させており、第2の各縦膨張部25E・25Fは、下端側を、連通膨張部29に連通させている。これ以外の第2の縦膨張部25A・25B・25Jは、下端側を、閉塞させて構成されている。
【0022】
横膨張部24は、各主膨張部23F・23Bにおいて、それぞれ、3個ずつ配設され、前後方向の両端を、それぞれ、前後に配設される縦膨張部25C・25D・25G・25Hに、連通させて構成されている。すなわち、窓側遮蔽部19(前席・後席用部位20・21)は、供給路部29側に開口している縦膨張部25の上端25aを、それぞれ、流入口部26として、供給路部29から膨張用ガスGを流入させる構成である。
【0023】
また、主膨張部23F・23Bは、エアバッグ16が膨張を完了させた際に、窓SW1・SW2の車内側を覆うように配設されるものであり、側突時等において、乗員を保護する部位である。そして、実施形態のごとく、主膨張部23F・23Bを、前後方向に沿った複数の横膨張部24を配設させて構成すれば、側突時等において、仮に、電柱等の上下方向に沿った長尺物が干渉することとなっても、上下に複数個並設された横膨張部24が干渉物に対して略直交して位置するような態様となるため、干渉物の乗員側への侵入を抑えて、的確に乗員を保護することができる。また、ガス流入部17の領域内に横膨張部24を配設させることによって、膨張時におけるエアバッグ16の車両前後方向への収縮を抑えることができることから、膨張完了時に、前席・後席用部位20・21の前後方向の長さ寸法を確保した状態で、エアバッグ16の容積を極力小さくすることができる。
【0024】
また、乗員頭部の位置が、シートのスライド等により前後方向に変動しても、頭部側方に位置する主膨張部23F・23Bは横膨張部24から形成されているので、そのエネルギー吸収特性が大きく変動することはない。
【0025】
さらに、横膨張部24と第1の縦膨張部25C・25D・25G・25Hとの境界には、第1の縦膨張部の中央に向かうシワ9が発生し、該縦膨張部上下方向の形状保持性は高くない。しかし、その前後に位置する第2の縦膨張部25A・25B・25E・25F・25Jにはこのようなシワは発生しない。従って、第2の縦膨張部の上下方向の形状保持性は高く、この間に位置する主膨張部23F・23Bは、乗員により外方に押されても屈曲しがたく、乗員頭部の拘束性に優れる。
【0026】
連通膨張部27は、前席用部位20の後端側に配設される縦膨張部25Eの下端側と、後席用部位21の前端側に配設される縦膨張部25Fの下端側と、を連通するように、配設されている。
【0027】
ルーフ側膨張部31は、供給路部29の上部側において、接続口部29aの配設される部位を除いて、前後方向に沿うように、窓側遮蔽部19の全長にわたって、配設されている。このルーフ側遮蔽部31は、下縁側に配設されるミシン目状に形成される区画部39により、供給路部29との間を区画されている。すなわち、ルーフ側遮蔽部31は、各区画部39の間の部位を流入口部32として、供給路部29から膨張用ガスGを流入させる構成である。このルーフ側遮蔽部31は、図2の二点鎖線及び図6に示すように、エアバッグ16の展開膨張時に、ルーフサイドレール部RRにおけるルーフヘッドライニング6とインナパネル2との間に侵入するように、上方に向かって展開膨張することとなる。また、ルーフ側遮蔽部31における接続口部29aの後方に配設される部位は、エアバッグ16の膨張完了時において、インフレーター49の車内側を覆うこととなるカバー部31aとされている(図3参照)。
【0028】
そして、実施形態の場合、図3に示すごとく、供給路部29において、窓側遮蔽部19側の流入口部26における最も狭い部位の開口幅寸法t1を、ルーフ側遮蔽部31側の流入口部32における最も広い部位の開口幅寸法t2より、大きく設定することにより、窓側遮蔽部19が、ルーフ側遮蔽部31よりも先に膨張用ガスGを流入させて膨張することとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ16では、窓側遮蔽部19が、ルーフ側遮蔽部31よりも、膨張用ガスGの流入方向における上流側に位置することとなる。実施形態の場合、流入口部32における最も広い部位の開口幅寸法t2は、流入口部26における最も狭い部位の開口幅寸法t1の1/2以下(望ましくは1/3以下)に設定されている。
【0029】
非流入部35は、ガス流入部17を囲むように、ガス流入部17の周縁に配置される周縁部36と、取付部41と、板状部43と、を備えて構成されている。さらに、非流入部35は、ガス流入部17の領域内に配置される区画部37・38・39を、備えている。
【0030】
区画部37は、窓側遮蔽部19の領域内において、各縦膨張部25を前後方向で区画するように、複数個(実施形態では5個)配設されている。各区画部37は、それぞれ、エアバッグ16の下縁16側における周縁部36から上方に延びるように、配設されている。そして、窓側遮蔽部19における各区画部37の上端付近で区画される部位が、供給路部29からの膨張用ガスGを窓側遮蔽部19内に流入させる流入口部26とされることとなる。
【0031】
区画部38は、主膨張部23F・23Bの領域内において、各横膨張部24を上下方向で区画するように、それぞれ、複数個(実施形態では3個)ずつ、配設されている。そして、最上部の区画部38が、供給路部29と主膨張部23F・23Bを区画している。
【0032】
区画部39は、供給路部29とルーフ側遮蔽部31との間において、前後方向に沿って断続的に、ミシン目状に配設されている。そして、区画部39の間の部位が、供給路部29からの膨張用ガスGをルーフ側遮蔽部31内に流入させる流入口部32とされることとなる。
【0033】
取付部41は、図3に示すように、窓側遮蔽部19の上縁側から上方に延びるように、ルーフ側遮蔽部31の領域内に、複数個(実施形態では4個)配設されている。各取付部41には、取付ボルト47(図1・2参照)を挿通させる取付孔41aが、形成されている。また、後端側に配設される取付部41D以外の3個の取付部41A・41B・41Cは、上縁側の周囲にスリット42を配設させており、上縁側を、ルーフ側遮蔽部31に対して、車内側若しくは車外側に分離可能な構成とされている。スリット42は、略半円弧状とされており、周囲に、周縁部36を配設させて、構成されている。また、各取付部41は、板金製の取付ブラケット48が取り付けられ、ボルト47を使用して、ボディ1側のインナパネル2に固定されている(図1・2参照)。
【0034】
板状部44は、エアバッグ16の全体形状を確保するとともに、ガス流入部17の容積を小さくして、膨張完了までの時間を短くするために、配設されている。そして、実施形態の場合、板状部44は、エアバッグ16の前端側に配置される三角板状部44Aと、前席用部位20と後席用部位21との間における供給路部29と連通膨張部27との間に配置される長方形板状部44Bと、から構成されている。
【0035】
三角板状部44Aは、エアバッグ16の前端側から前方に延びる略三角板形状とされている。そして、三角板状部44Aの前端付近には、エアバッグ16の前端側を取付固定するための取付部44aが、形成されている。この取付部44aは、取付孔44bを備えており、取付部41と同様に、取付ブラケット48とボルト47とを使用して、ボディ1側のインナパネル2に固定される構成である。
【0036】
インフレーター49は、図1に示すように、略円柱状の本体部49aと、本体部49aからの膨張用ガスをエアバッグ16内に導く供給パイプ49bと、を備えて構成され、供給パイプ49bの先端に、エアバッグ16の供給路部29における接続口部29aを外装させ、クランプ(図符号省略)を利用して、エアバッグ16と連結されている。そして、インフレーター49は、図1・6に示すように、ブラケット50とボルト51とを利用して、センターピラー部CPの上方におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に、車内側Iをルーフヘッドライニング6の下縁6aに覆われて、取付固定されている。
【0037】
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、エアバッグ16を折り畳む。具体的には、図5のA・Bに示すように、平らに展開させたエアバッグ16において、区画部39の部位に、前後方向に沿った折目C1を付けて、ルーフ側遮蔽部31を、エアバッグ16の下縁16b側に接近させるように、折り返す。このとき、ルーフ側遮蔽部31は、窓側遮蔽部19の車内側に位置することとなる。また、このとき、各取付部41は、折り返し部位から上方に突出することとなる。その後、折り返されたエアバッグ53を、下縁53bを上縁53a側に接近させるように、前後方向に沿った多数の折目C2をつけて、蛇腹折りする。そして、折り畳んだエアバッグ16の所定箇所を、適宜、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材でくるんでおく。
【0038】
その後、各取付部41・44aに、取付ブラケット46を取り付ける。また、クランプを利用しつつ、接続口部29aにインフレーター49を連結し、次いで、その周囲に取付ブラケット50を取り付け、インフレーター49をエアバッグ16に組み付けて、エアバッグ組付体を形成しておく。
【0039】
その後、各取付部41・44a及びインフレーター49を、取付ボルト47・51を利用してインナパネル2に取付固定すれば、エアバッグ組付体を車両Vのボディ1に取り付けることができる。
【0040】
そして、インフレーター49から延びる図示しないリード線を、所定のエアバッグ作動回路に接続させるとともに、フロントピラー部FPでは、インナパネル2にフロントピラーガーニッシュ5を取付固定し、ルーフサイドレール部RRでは、インナパネル2にルーフヘッドライニング6を取付固定し、さらに、センターピラー部CPやリヤピラー部RPのガーニッシュ7・8をボディ1のインナパネル2に固定すれば、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0041】
その後、インフレーター49が作動されれば、膨張用ガスGが、接続口部29aから供給路部29内に流入して、図示しないラッピング材を破断させることとなる。そして、窓側遮蔽部19が膨張用ガスGを流入させて、エアバッグカバー13としてのフロントピラーガーニッシュ5やルーフヘッドライニング6の下縁5a・6aを車内側Iに押し開き、窓SW1・SW2の上縁側から下方へ突出することとなる。また、ルーフ側遮蔽部31が、膨張用ガスGを流入させて、ルーフサイドレール部RRにおけるインナパネル2と、ルーフヘッドライニング6と、の間に侵入するように、上方に向かって展開膨張することとなる。そして、エアバッグ16が、窓SW1・SW2やセンターピラー部CP・リヤピラー部RPの車内側と、ルーフサイドレール部RRにおけるインナパネル2の車内側と、を覆うこととなる。
【0042】
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、窓側遮蔽部17側の流入口部26が、開口幅寸法t1を、ルーフ側遮蔽部31の流入口部32の開口幅寸法t2よりも、大きく設定されており、窓側膨張部17が、ルーフ側遮蔽部31よりも先に膨張用ガスを流入させることとなる。すなわち、窓側膨張部17が、ルーフ側遮蔽部31よりも、迅速に、膨張することとなるため、衝突時に、乗員が、直ちに窓SW1・SW2側に向かって移動することとなっても、窓側遮蔽部17により、乗員を迅速かつ的確に保護することができる。勿論、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ16が、ルーフサイドレール部RRにおけるインナパネル2の車内側Iを覆うルーフ側遮蔽部31を備えていることから、乗員が、窓側遮蔽部17側に向かった後、ルーフサイドレール部RR側に向かって移動することとなっても、乗員を、ルーフ側遮蔽部31により、的確に保護することができる。
【0043】
また、膨張過程で第1の縦膨張部25C・25D・25G・25Hにガスが流入し、下方に展開膨張したとき、その下流側に位置する横膨張部24は、未だその膨張が十分でなく薄い。従って、主膨張部23F・23Bは乗員頭部と窓SWとの間に入り込み易い。
【0044】
従って、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、衝突時に、展開膨張するエアバッグ16により、乗員を的確に保護することができる。
【0045】
次に、本発明の他の実施形態を図8に基づき説明する。この実施形態は、図1ないし図6の実施形態と、主膨張部の形状のみが相違し、他の構成は同一である。従って、変更点のみ以下に説明する。
【0046】
この実施形態の主膨張部23Fは、車内側壁部17aと車外側壁部17bをスポット状の複数の非膨張部8で結合している。各非膨張部8は、隣接し合う3つの非膨張部8が、略正三角形の頂点に位置にするよう配置されている。さらに詳細に説明すると、上段にスポット状の4つの非膨張部8が直線上に配置され、中段には、上段の非膨張部8の前後方向中間位置に3つの非膨張部8が直線状に配置されている。さらに、下段には同様に4つの非膨張部8が直線状に配置されている。
【0047】
この主膨張部23Fにガスが流入し膨張すると、隣接する2つの非膨張部8の中央が最も厚く膨張し、膨張頂部7となる。この膨張頂部7は、スポット状非膨張部8が三角形状に配置されているため、全体として亀甲状となる。言い換えると、膨張頂部7は、三角形状に配置されたスポット状非膨張部8の略中央でY字状に分岐したものを単位形状として、この単位形状を複数連結したものとなっている。
【0048】
このように膨張頂部7が、直線状ではなく亀甲状に配置されているので、乗員頭部が前後方向・上下方向のどの位置にあっても、確実に膨張頂部7で乗員頭部を拘束でき、エネルギー吸収特性の変動は少ない。
【0049】
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、窓側遮蔽部19の上縁側に配設される各取付部41が、上縁側の周囲にスリット42を配設させて、ルーフ側遮蔽部31の領域内に、配設されている構成である。そのため、エアバッグ16の膨張完了時に、ルーフ側遮蔽部31が、各取付部41を囲むように配設されることとなる(図1・2の二点鎖線参照)。その結果、衝突時に、乗員が、ルーフサイドレール部RRにおけるエアバッグ16の取付部41近傍となる部位と干渉することとなっても、乗員は、各取付部41を囲むように膨張しているルーフ側遮蔽部31の部位と干渉することとなる。その結果、取付部41をボディ1側に固定する取付ブラケット46やボルト47と直接干渉することを抑えて、乗員を、的確に保護することができる。勿論、この点を考慮しなければ、取付部41をルーフ側遮蔽部31の領域内に配置させなくともよい。
【0050】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ルーフ側遮蔽部31が、エアバッグ16の膨張完了時において、インフレーター49の車内側Iを覆い可能なカバー部31aを備えていることから、図1の二点鎖線及び図6に示すごとく、エアバッグ16の膨張完了時に、ルーフ側遮蔽部31のカバー部31aにより、インフレーター49の車内側Iを覆うことができる。そのため、衝突時に、乗員が、ルーフサイドレール部RRにおけるインフレーター49近傍となる部位と干渉することとなっても、乗員は、膨張しているカバー部31aと干渉することとなる。その結果、インフレーター49と直接干渉することを抑えて、乗員を、的確に保護することができる。勿論、この点を考慮しなければ、ルーフ側遮蔽部31に、インフレーター49の車内側を覆うカバー部31aを配設させない構成としてもよい。
【0051】
なお、実施形態では、エアバッグ16を、ルーフ側遮蔽部31を車内側に折り返した後に、折り返したエアバッグの下縁を上縁側に接近させるように蛇腹折りして収納させているが、エアバッグ16は、図7に示すように、ルーフ側遮蔽部を折り返さずに、下縁を上縁側に接近させるように、蛇腹折りして収納させてもよい。このようにエアバッグ16を折り畳む場合、折り畳まれたエアバッグ16を図示しないラッピング材でくるむ際に、各取付部41をラッピング材から突出させておき、突出させた各取付部41をボディ1側に取り付けることとなる。
【0052】
なお、実施形態では、エアバッグ装置Mを搭載する車両Vとして、ダブルキャブ車を例に採り説明したが、シングルキャブ車やセダンタイプなどの車両に、本発明の頭部保護エアバッグ装置Mを搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である頭部保護エアバッグ装置の使用状態を示す車内側から見た概略正面図である。
【図2】図1のII−II部位の概略拡大断面図である。
【図3】同実施形態で使用するエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV部位の断面図である。
【図5】同実施形態のエアバッグの折り畳み工程を説明する図である。
【図6】同実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグの展開膨張状態を示す概略断面図である。
【図7】同実施形態のエアバッグ装置において、エアバッグの他の収納状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の他の実施例の要部正面図である。
【符号の説明】
1…ボディ、
6…ルーフヘッドライニング、
13…エアバッグカバー、
16…エアバッグ、
17…ガス流入部、
23…主膨張部
24…横膨張部
25…縦膨張部
26…流入口部、
29…供給路部、
49…インフレーター、
7…膨張頂部
8…スポット状非膨張部
SW(SW1・SW2)…窓、
V…車両、
M…頭部保護エアバッグ装置。
Claims (2)
- 車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれた収納されて、インフレータの膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
前記エアバッグが前記膨張用ガスを流入させて展開膨張するガス流入部を備え、
該ガス流入部が、
前記窓の上縁に沿い、インフレータからの膨張用ガスを最初に受け入れる供給路部と、
該供給路部に連通し、該部から下方に延びる複数の第1の縦膨張部と、
該第1の縦膨張部間に位置し、該縦膨張に連通し水平方向に延びる複数の横膨張部を有する主膨張部と、
前記供給路部に連通し、前記供給路部から下方に延び、前記両第1の縦膨張部の前後に隣接する第2の縦膨張部とを、
有することを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。 - 車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれた収納されて、インフレータの膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグを備える構成の頭部保護エアバッグ装置において、
前記エアバッグが前記膨張用ガスを流入させて展開膨張するガス流入部を備え、
該ガス流入部が、
前記窓の上縁に沿い、インフレータからの膨張用ガスを最初に受け入れる供給路部と、
該供給路部に連通し、該部から下方に延びる複数の第1の縦膨張部と、
該第1の縦膨張部間に位置し、該縦膨張に連通し、複数個のスポット状非膨張部により、膨張頂部がY字状に配置されてなる主膨張部と、
前記供給路部に連通し、前記供給路部から下方に延び、前記両第1の縦膨張部の前後に隣接する第2の縦膨張部とを、
有することを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
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