JP2002040009A - シリコン基板中の微量不純物分析方法 - Google Patents

シリコン基板中の微量不純物分析方法

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JP2002040009A JP2000228880A JP2000228880A JP2002040009A JP 2002040009 A JP2002040009 A JP 2002040009A JP 2000228880 A JP2000228880 A JP 2000228880A JP 2000228880 A JP2000228880 A JP 2000228880A JP 2002040009 A JP2002040009 A JP 2002040009A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコン基板に含まれるボロンの影響を受け
ることなく正確かつ安定に不純物定量分析を行う。 【解決手段】 シリコン基板15よりシリコン成分を分
解昇華して基板15中に含まれる微量不純物を残渣18
として回収し、残渣18にフッ化水素酸と硝酸の混酸溶
液19を加えて150〜220℃に加熱するか、又は塩
酸と硝酸の混酸溶液を加えて60〜90℃に加熱して、
残渣に含まれる残りのシリコン成分を分解昇華させ、続
いてフッ化水素酸と硝酸と硫酸の混酸溶液23又は塩酸
と硝酸と硫酸の混酸溶液を加えて150〜220℃に加
熱して残渣18に含まれるボロン成分を分解昇華させ、
その残留物24から基板15に含まれる不純物を定量分
析する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン基板中の
微量不純物分析に関する。更に詳しくは、ボロンをドー
プしたシリコン基板における微量不純物分析に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】シリコン基板中に含まれる金属不純物
は、半導体デバイスの高集積化、高性能化に伴い、デバ
イスのリーク電流の増大や酸化膜の耐圧劣化などの特性
に深刻な影響を及ぼすようになってきた。このため、シ
リコン基板の純度を間接的にその電気的特性から評価す
るのではなく、シリコン基板自体を酸により溶解してそ
の残渣を分析することにより直接的にその純度を評価す
る必要性が高まってきている。シリコン基板の酸溶解法
には、フッ化水素酸(以下、HFという。)と硝酸(以
下、HNO3という。)からなる分解液とシリコン基板
を混合して基板を溶解する直接溶解法と、HFとHNO
3からなる分解液を気化してそのガスでウェーハを気相
分解する間接溶解法が知られている。直接溶解法はシリ
コン基板を分解液と混合して溶解させ、この溶解液を濃
縮乾固して残渣を回収する方法である。間接溶解法はシ
リコン基板を分解液を気化させた気体に接触させ、シリ
コン成分大半を選択的に分解昇華させ、残った残渣を回
収する方法である。残渣の回収後、直接溶解法及び間接
溶解法では回収した残渣をHFとHNO3の混酸溶液又
は塩酸(以下、HClという。)とHNO3の混酸溶液
を用いて残渣に含まれている微量シリコン成分を分解昇
華させ、希釈酸溶液で微量不純物を回収し、基板に含ま
れる不純物を定量分析していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したシリ
コン基板の酸溶解法ではシリコン基板中にボロンが1×
1015atoms/cm3〜1×1020atoms/c
3程度存在する場合、残渣中にはシリコンのみならず
ボロンも存在し、従来の処理方法であるHFとHNO3
の混酸溶液で残渣を分解昇華させてもボロン成分が残渣
中に残り、このボロン成分が原子吸光分析法(Atomic A
bsorption Spectrometry、以下AASという。)又は誘
導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plas
ma-Mass Spectrometry、以下ICP−MSという。)、
誘導結合プラズマ発光分析法(Inductively Coupled Pl
asma-Atomic Emission Spectrometry、以下ICP−A
ESという。)等による微量不純物定量分析の妨げにな
る問題があった。本発明の目的は、シリコン基板に含ま
れるボロンの影響を受けることなく正確かつ安定に不純
物定量分析を行えるシリコン基板中の微量不純物分析方
法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1(a)〜(e)に示すように、シリコン基板15よ
りシリコン成分を分解昇華して基板15中に含まれる微
量不純物を残渣18として回収し、基板15に含まれる
不純物を定量分析するシリコン基板中の微量不純物の分
析方法において、残渣18にHFとHNO3の混酸溶液
19を加えて150〜220℃に加熱するか、又はHC
lとHNO3の混酸溶液を加えて60〜90℃に加熱し
て、残渣18に含まれる残りのシリコン成分を分解昇華
させ、続いてHFとHNO3と硫酸(以下、H2SO4
いう。)の混酸溶液23又はHClとHNO3とH2SO
4の混酸溶液を加えて150〜220℃に加熱して残渣
18に含まれるボロン成分を分解昇華させ、その残留物
24から基板15に含まれる不純物を定量分析すること
を特徴とするシリコン基板中の微量不純物分析方法であ
る。請求項1に係る発明では、回収した残渣にHFとH
NO3の混酸溶液を加えて150〜220℃に加熱する
か、又はHClとHNO3の混酸溶液を加えて60〜9
0℃に加熱して、残渣よりシリコン成分を完全に除去
し、続いてHFとHNO3とH2SO4の混酸溶液又はH
ClとHNO3とH2SO4の混酸溶液を加えて150〜
220℃に加熱して残渣を分解昇華させることにより、
残渣中に含まれるボロン成分を除去することができる。
【0005】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、HFとHNO3とH2SO4の混合比が重量
濃度比で、HF:HNO3:H2SO4=10〜100:
10〜100:1〜10であるシリコン基板中の微量不
純物分析方法である。請求項3に係る発明は、請求項1
に係る発明であって、HClとHNO3とH2SO4の混
合比が重量濃度比で、HCl:HNO3:H2SO4=1
0〜100:10〜100:1〜10であるシリコン基
板中の微量不純物分析方法である。請求項2又は3に係
る発明では、上記重量濃度比に調整された混酸溶液を用
いることでボロン成分を効率よく除去できる。混酸溶液
中のH2SO4が上記重量濃度比の上限値を越えると、残
留物からH2SO4除去するための熱処理に長時間を要す
る。
【0006】請求項4に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、シリコン成分の分解昇華方法が分解液を気
化してそのガスでシリコン基板を気相分解する間接溶解
法であるシリコン基板中の微量不純物分析方法である。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明であって、
シリコン成分の分解昇華方法が分解液とシリコン基板を
混合してシリコン基板を溶解し、その溶解液を濃縮乾固
する直接溶解法であるシリコン基板中の微量不純物分析
方法である。請求項6に係る発明は、請求項4又は5に
係る発明であって、分解液がHFとHNO3の混酸であ
るか、又はHFとHNO3とH2SO4の混酸であるシリ
コン基板中の微量不純物分析方法である。請求項7に係
る発明は、請求項1に係る発明であって、シリコン基板
がボロンを1×1015atoms/cm3〜1×1020
atoms/cm3ドープしたシリコン基板であるシリ
コン基板中の微量不純物分析方法である。請求項8に係
る発明は、請求項1に係る発明であって、残留物の定量
分析をAAS、ICP−MS又はICP−AESにより
行うシリコン基板中の微量不純物分析方法である。請求
項8に係る発明では、AAS、ICP−MS又はICP
−AESにより残留物の定量分析を的確に行うことがで
きる。特に、高精度に分析する場合にはICP−MSを
用いることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の分析方法はボロンを1×
1015atoms/cm3〜1×1020atoms/c
3ドープしたシリコン基板における微量不純物の分析
に適する。
【0008】従来のシリコン基板中の不純物定量分析で
は酸溶解法によりシリコン成分を除去した残渣にHFと
HNO3の混酸溶液又はHClとHNO3の混酸溶液を用
いて残渣を分解昇華させていたが、この方法ではボロン
をドープしたシリコン基板の場合ではボロンが残渣中に
残ってしまうため、定量分析の際にバックグラウンドに
影響を及ぼして正確な分析データが得られない。そこで
本発明の特徴ある構成は回収した残渣にHFとHNO3
の混酸溶液を加えて150〜220℃に加熱するか、又
はHClとHNO3の混酸溶液を加えて60〜90℃に
加熱して、残渣に含まれる残りのシリコン成分を分解昇
華させ、続いてHFとHNO3とH2SO 4の混酸溶液又
はHClとHNO3とH2SO4の混酸溶液を加えて15
0〜220℃に加熱することにより残渣に含まれるボロ
ン成分を分解昇華させ、その残留物を定量分析すること
にある。シリコン成分除去後に続いてHFとHNO3
2SO4の混酸溶液又はHClとHNO3とH2SO4
混酸溶液を加えて加熱することによりボロン成分を分解
昇華させることができるため、残渣処理後の残留物には
ボロンが含まれない。そのため、正確かつ安定して微量
不純物分析を行うことができる。
【0009】次に本発明の実施の形態をシリコン基板よ
りシリコン成分を分解昇華する方法に間接溶解法である
気相分解法(Vapor Phase Decomposition:VPD法)
を用いて説明する。図1(a)及び図1(b)に示すよ
うに、反応容器10はシリコン基板15の分解液11を
収容する収容容器12と、この収容容器12を密閉する
蓋13とを有する。この容器12と蓋13はそれぞれ縦
100〜400mm、横100〜400mm、高さ10
0〜200mm、厚さ2mmのポリプロピレン、フッ素
樹脂の一種であるポリテトラフルオロエチレン(商品
名:テフロン、以下PTFEという。)等のプラスチッ
ク製のボックスである。この収容容器12内には支持台
14が配置される。支持台14はPTFEから作られ、
スタンド部14aとテーブル14bを有する。スタンド
部14aは収容容器12の底面に置かれ、分解液11の
液面より上に突出しかつ容器12の深さの半分程度の高
さを有する。テーブル14bはスタンド部14aの上部
にこのスタンド部14aと一体的に形成され、上面にシ
リコン基板15が置かれる。テーブル14bの周縁の大
部分にはフランジ14cが突設される。収容容器12、
蓋13及び支持台14はシリコン基板15を分解する前
に十分に清浄にしておく必要がある。
【0010】シリコン基板の分解液11はテーブル14
bより僅かに下方にその液面とするように収容容器12
に貯えられる。この分解液11はHFとHNO3の混酸
にH2SO4を加えたものである。具体的には濃度38重
量%のHFと濃度68重量%のHNO3と濃度98重量
%のH2SO4を重量濃度比でHF:HNO3:H2SO4
=0.76:0.7:1.96の割合で均一に混合して
調製される。
【0011】図1(a)に示すように、分解液11を収
容容器12に貯え、テーブル14bの上面にシリコン基
板15を水平に置き、蓋を被せて反応容器10を密閉状
態にすると、分解液11中のH2SO4が分解液中のHF
とHNO3の各水分を吸収するとともに、反応容器10
内の密閉された空気中の水分を吸収し、密閉空間16の
湿度を低くする。これにより分解液を加熱しなくても、
また密閉された反応容器を特別に加圧しなくても分解液
の気化が促進され、その気化した高濃度のHF−HNO
3ガス17がテーブル14b上のシリコン基板15に接
触し、図1(b)に示すようにこの基板15を比較的短
時間で分解昇華させる。
【0012】このシリコン基板の分解反応は次のように
行われる。まず、HNO3ガス又はNO2ガスによるSi
の酸化と、HFガスによるSiO2の除去が式(1)及
び(2)に示すように同時に行われる。
【0013】 Si + 4HNO3↑ → SiO2 + 4NO↑ + 2H2O ……(1) SiO2 + 4HF↑ → SiF4↑ + 2H2O ……(2) 反応容器内に不安定なガスは全くなく、式(3)に示す
ように上記反応後直ちにNOガスは反応容器内の酸素と
反応する。
【0014】 2NO↑ + O2↑ → 2NO2↑ ……(3) 式(1)及び式(2)で生じた水蒸気が容器内面に付着
して微小な液滴になった後、式(4)に示すようにSi
4ガスはこの液滴と反応してゲル状のオルトケイ酸
(H4SiO4)を生じる。
【0015】 SiF4↑ + 4H2O → H4SiO4↓ + 4HF↑ ……(4) 式(3)及び式(4)でそれぞれ生じたNO2ガスとH
Fガスにより、上記式(1)及び式(2)の反応が繰返
され、このNO2ガスとHFガスの再循環は反応容器内
の圧力を減じる。上記式(1)及び式(3)に示したよ
うに、HNO3によるSiの酸化はNO2を生じる一方、
極めて僅かながらNH3ガスも生じる。VPD法或いは
液相分解法においても、HFとHNO3によりSiはそ
の97%以上が分解してSiF4を生成し、一方その3
%以下がジアンモニウムヘキサフルオロシリケート
((NH4)2SiF6)を生成する。この(NH4)2SiF6
は白い結晶であり、残渣18として残る。
【0016】次に図1(c)及び図1(d)に示すよう
に、支持台14を反応容器10から取出し、テーブル上
14bでこの基板の残渣18にHFとHNO3の混酸溶
液19を滴下することによりこの残渣18を溶解し、こ
の溶解液21をフランジのない部分からPTFE製のビ
ーカ22に集める。このHFとHNO3の混合比は、重
量比で濃度38重量%のHF:濃度68重量%のHNO
3=2:1である。この混酸溶液19の滴下量は残渣1
g当り1mlの割合である。このビーカ22内の溶解液
19を150〜220℃の温度で加熱することにより、
残渣に含まれる(NH4)2SiF6がケイフッ化水素酸
(H2SiF6)、四フッ化ケイ素(SiF4)になっ
て、比較的短時間で分解昇華する。ビーカ内には(N
4)2SiF6以外の残渣が残る。なお、HFとHNO3
の混酸の代わりにHClとHNO3の混酸を滴下して残
渣を溶解してもよい。この場合の溶解液の加熱温度は6
0〜90℃がよい。
【0017】続いて図1(e)に示すように、HFとH
NO3とH2SO4の混酸溶液23を滴下して残渣を溶解
する。このHFとHNO3とH2SO4の混合比は、濃度
38重量%のHF:濃度68重量%のHNO3:濃度9
8重量%のH2SO4=10〜100:10〜100:1
〜10である。この混酸溶液23の滴下量は残渣1g当
り100〜200μlの割合である。このビーカ22内
の溶解液を150〜220℃の温度で加熱することによ
り、下記式(5)及び式(6)に示すような反応が起
き、残渣に含まれるボロン成分が分解昇華する。
【0018】 (NH4)2B4O7 + 12HF → (NH3OH)2・(BF3)4 + 5H2O ……(5) (NH3OH)2・(BF3)4 + H2SO4 → 4BF3↑ + 2NH4HSO4 + H2O ……(6) ボロンは比較的短時間で分解昇華し、ビーカ22内に不
純物からなる残留物24が残る。ボロン除去後の残留物
24にはH2SO4が含まれており、このH2SO4は後述
する定量分析に影響(例えば、AASのデータにブラン
クピークを発生させる。)を与えるので好ましくない。
このためボロン除去後の残留物24に熱処理を施す。こ
の熱処理ではH2SO4は粘性が高いため200〜250
℃で5〜30分間熱処理する必要がある。定量分析法に
AASを用いる場合には、残留物中のH2SO4の残存量
は1μl以下でよいが、ICP−MSを用いる場合に
は、残留物に含まれているほとんど全てのH2SO4を除
去する必要がある。H2SO4除去後の残留物はHF、H
NO3の混酸で希釈され、この希釈液に含まれる微量不
純物はAAS、ICP−MS又はICP−AESで定量
的に分析される。
【0019】なお、本実施の形態では分解液11をHF
とHNO3の混酸にH2SO4を加えたものとしたが、H
FとHNO3の混酸を用いてもよい。HFとHNO3の混
酸を分解液11とする場合では、分解液の気化を促進す
るために反応容器10を加熱、或いは加圧する必要があ
る。また、本発明の分析方法は間接溶解法に限らず、直
接溶解法にも適用することができる。
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
る。 <実施例1>縦250mm、横250mm、高さ150
mm、厚さ2mmのポリプロピレン製の収容容器と蓋か
らなる反応容器を用意した。次に50重量%のHF25
0gと68重量%のHNO380gと98重量%のH2
4250gを混合して分解液を調製した。この分解液
を収容容器に添加した。フッ素樹脂製ビーカを2個用意
し、これらビーカを収容容器内にそれぞれ配置した。シ
リコン基板模擬物として、ボロンを1×1018atom
s/cm3ドープしたシリコンウェーハの切断片(5
g)を用意した。この模擬物をビーカ内に入れ、残り1
個のビーカは空のままにした。収容容器に蓋をして反応
容器内を密閉状態に保ち、常温で約12時間放置して模
擬物を分解昇華させて残渣を得た。反応容器から残渣の
入ったビーカを取出し、38重量%のHFと68重量%
のHNO3を重量比でHF:HNO3=2:1の割合で混
合した混酸を残渣5g当たり1.0ml滴下し、更に2
0重量%のHClと68重量%のHNO3と98重量%
のH2SO4を重量比でHF:HNO3:H2SO4=5
0:25:1の割合で混合した混酸を残渣5g当たり
1.0ml滴下し、ビーカを150〜220℃に加熱し
て残渣を分解昇華させた。残留物を150〜220℃に
加熱してH2SO4を完全に気化させ、HFとHNO3
混合希薄水溶液で微量不純物を回収し、回収した液をA
AS法を用いてFeの定量分析を行った。また、空のビ
ーカも反応容器から取出してHFとHNO3の混合希薄
水溶液でビーカ内を洗浄して、この洗浄液をAAS法を
用いて定量分析を行った。
【0021】<比較例1>実施例1と同一のシリコン基
板模擬物を用意し、実施例1と同様にして模擬物を分解
昇華させて残渣を得た。反応容器から残渣の入ったビー
カを取出し、38重量%のHFと68重量%のHNO3
を重量比でHF:HNO3=2:1の割合で混合した混
酸を残渣5g当たり1.0ml滴下し、ビーカを150
〜220℃に加熱して残渣を分解昇華させた。残留物を
HFとHNO3の混合希薄水溶液で微量不純物を回収
し、回収した液をAAS法を用いてFeの定量分析を行
った。 <比較例2>実施例1と同一のシリコン基板模擬物を用
意し、実施例1と同様にして模擬物を分解昇華させて残
留物を得た。この残留物を加熱せずに、HFとHNO3
の混合希薄水溶液で微量不純物を回収し、回収した液を
AAS法を用いてFeの定量分析を行った。
【0022】<比較評価>実施例1及び比較例1,2の
Feの定量分析図を図2〜図4にそれぞれ示す。図3よ
り明らかなように比較例1はFeの吸光度ピーク以外に
ボロン成分の影響からピークがいくつもできている。ま
た図4より、比較例2では残留物中に残っているH2
4の影響と考えられる吸光度ピークがFeの吸光度ピ
ークに重なるように現れていた。これら比較例1,2に
比べて図2の実施例1ではFeの吸光度ピークが安定し
ていることが判る。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、シ
リコン基板よりシリコン成分を分解昇華して基板中に含
まれる微量不純物を残渣として回収し、基板に含まれる
不純物を定量分析するシリコン基板中の微量不純物の分
析方法において、残渣にフッ化水素酸と硝酸を加えて1
50〜220℃に加熱するか、又は塩酸と硝酸を加えて
60〜90℃に加熱して、残渣中に含まれるシリコン成
分を完全に除去した後に、続いてフッ化水素酸と硝酸と
硫酸、又は塩酸と硝酸と硫酸を加えて150〜220℃
に加熱して残渣を昇華させて、残渣中に含まれるボロン
成分を除去するので、その残留物から基板に含まれる不
純物を定量分析することにより、シリコン基板中に含ま
れるボロン成分の影響を受けることなく正確かつ安定に
微量不純物の定量分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるシリコン基板の酸溶解法
を示す構成図。
【図2】実施例1におけるシリコン基板中に含まれるF
eの定量分析図。
【図3】比較例1におけるシリコン基板中に含まれるF
eの定量分析図。
【図4】比較例2におけるシリコン基板中に含まれるF
eの定量分析図。
【符号の説明】
11 分解液 15 シリコン基板 18 残渣 19 混合溶液 23 混合溶液 24 残留物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/73 G01N 27/62 V 27/62 31/12 B 31/12 33/00 A 33/00 H01L 21/66 N H01L 21/306 G01N 1/28 X 21/66 H01L 21/302 P Fターム(参考) 2G042 AA01 BE10 CA03 CB06 DA05 DA08 EA01 EA05 FA01 FB02 GA01 2G043 AA01 BA02 CA05 DA02 EA08 GA07 GB21 JA01 LA01 2G059 AA01 BB16 CC02 CC20 DD03 DD16 EE01 FF04 4M106 AA01 AA10 BA12 CB01 DH11 DH55 DH60 5F004 AA16 BA19 DA00 DA20 DB01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板(15)よりシリコン成分を分
    解昇華して前記基板(15)中に含まれる微量不純物を残渣
    (18)として回収し、前記基板(15)に含まれる不純物を定
    量分析するシリコン基板中の微量不純物の分析方法にお
    いて、 前記残渣(18)にフッ化水素酸と硝酸の混酸溶液(19)を加
    えて150〜220℃に加熱するか、又は塩酸と硝酸の
    混酸溶液を加えて60〜90℃に加熱して、前記残渣(1
    8)に含まれる残りのシリコン成分を分解昇華させ、続い
    てフッ化水素酸と硝酸と硫酸の混酸溶液(23)又は塩酸と
    硝酸と硫酸の混酸溶液を加えて150〜220℃に加熱
    して前記残渣(18)に含まれるボロン成分を分解昇華さ
    せ、その残留物(24)から前記基板(15)に含まれる不純物
    を定量分析することを特徴とするシリコン基板中の微量
    不純物分析方法。
  2. 【請求項2】 フッ化水素酸と硝酸と硫酸の混合比が重
    量濃度比で、フッ化水素酸:硝酸:硫酸=10〜10
    0:10〜100:1〜10である請求項1記載のシリ
    コン基板中の微量不純物分析方法。
  3. 【請求項3】 塩酸と硝酸と硫酸の混合比が重量濃度比
    で、塩酸:硝酸:硫酸=10〜100:10〜100:
    1〜10である請求項1記載のシリコン基板中の微量不
    純物分析方法。
  4. 【請求項4】 シリコン成分の分解昇華方法が分解液(1
    1)を気化してそのガスでシリコン基板(15)を気相分解す
    る間接溶解法である請求項1記載のシリコン基板中の微
    量不純物分析方法。
  5. 【請求項5】 シリコン成分の分解昇華方法が分解液(1
    1)とシリコン基板(15)を混合して前記シリコン基板(15)
    を溶解し、その溶解液を濃縮乾固する直接溶解法である
    請求項1記載のシリコン基板中の微量不純物分析方法。
  6. 【請求項6】 分解液(11)がフッ化水素酸と硝酸の混酸
    であるか、又はフッ化水素酸と硝酸と硫酸の混酸である
    請求項4又は5記載のシリコン基板中の微量不純物分析
    方法。
  7. 【請求項7】 シリコン基板(15)がボロンを1×1015
    atoms/cm3〜1×1020atoms/cm3ドー
    プしたシリコン基板である請求項1記載のシリコン基板
    中の微量不純物分析方法。
  8. 【請求項8】 残留物(24)の定量分析を原子吸光分析
    法、誘導結合プラズマ質量分析法又は誘導結合プラズマ
    発光分析法により行う請求項1記載のシリコン基板中の
    微量不純物分析方法。
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