JP2002034304A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 畦塗機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦際土壌を耕耘しながら畦法面へ移す畦際耕耘装置と、この畦法面に土を塗り付ける畦塗装置とを備え、該畦塗装置(2)の前側であって前記畦際耕耘装置の耕耘カバーの横端には、畦法面(C)への土の移動を案内するサイドカバーを設けたことを特徴とする畦塗機。
【請求項2】
前記サイドカバーは、耕耘カバーから畦側へ拡縮可能上面カバーと、この上面カバーの外側端で上下調節可能の側面カバーから構成し、畦法面(C)への土壌寄せ量が多いときは上面カバー(5)を外側へ移動させる構成とし、畦法面(C)への土載せが悪いときは側面カバー(6)を適応高さに上昇させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の畦塗機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水田の畦に土壌を塗り付ける畦塗機に関する。
【0002】
【従来の技術】
畦際に耕耘する耕耘装置の横側後部に、この耕耘装置で押寄せられた土壌を畦法面に畦塗板で塗り付ける技術が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
畦塗機は、トラクタ車体の後方横側部に偏位されたオフセット形態として装着されて、畦際の土壌を耕耘乃至砕土して畦法面へ移して塗り付ける。簡単な構成で耕耘土壌を畦法面側へ安定よく移して、この土壌を効率よく畦法面に塗付けるようにしたもので、全体として簡潔軽量な構成とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、畦際土壌を耕耘しながら畦法面へ移す畦際耕耘装置と、この畦法面に土を塗り付ける畦塗装置とを備え、該畦塗装置(2)の前側であって前記畦際耕耘装置の耕耘カバーの横端には、畦法面(C)への土の移動を案内するサイドカバーを設けたことを特徴とする畦塗機の構成とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記サイドカバーは、耕耘カバーから畦側へ拡縮可能上面カバーと、この上面カバーの外側端で上下調節可能の側面カバーから構成し、畦法面(C)への土壌寄せ量が多いときは上面カバー(5)を外側へ移動させる構成とし、畦法面(C)への土載せが悪いときは側面カバー(6)を適応高さに上昇させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の畦塗機の構成とする。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、畦際耕耘装置1で耕耘乃至砕土された土壌は、この耕耘作用によって畦法面側へ移行されて、耕耘カバー3とサイドカバー4とによって移行案内され、畦塗装置2の作用位置に盛土される。この畦法面に置かれた土壌を後側の畦塗装置2によって塗り付ける。このため畦塗用の土壌は、畦際耕耘装置1の耕耘作用によって移行され、これを外側のサイドカバー4で案内するため、土壌の案内を円滑に行わせることができ、この畦際耕耘装置1の耕耘軸の他に特別の土壌移送用のオーガ軸等を配置する煩雑な形態を不要として、簡単な構成とすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、畦塗土壌を案内するサイドカバー4が、調節可能の上面カバー5と側面カバー6とによって構成されるため、畦際耕耘装置1による土壌寄せ量が多いときは上面カバー5を外側へ移動させる。また、畦法面Cへの土載せが悪いときは側面カバー6を適応高さに上昇させる。これにより、サイドカバー4の外側端と畦法面との間隔を調整するような形態として、土壌を畦法面に正確に円滑に移動させることができ、抵抗の小さい能率的な畦塗作業を行わせることができる。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明は、畦塗機としてトラクタ車体に装着して、畦際を走行しながら耕耘する土壌を畦法面に叩き付けながら塗付ける。このトラクタ車体15は、乗用四輪走行形態とするもよく、又、後方にハンドルを有して歩行形態とするハンドトラクタ形態とするもよい。車体15の後側のヒッチブラケット19に、畦塗機17のヒッチアーム18をヒッチピン20で連結して、車体15側のリフトアーム16によって昇降可能に連結する。21は乗用トラクタの左右両側の後車輪である。
【0017】
この畦塗機17は、前記ヒッチアーム18の右側に偏位して耕耘伝動ケース22を下方へ突出させて、この下端部に左右横側の耕耘軸23,24を配置して、偏位側の外側に位置する耕耘軸24には、外側に向けて湾曲する耕耘爪25を配置して畦際耕耘装置1とし、これら反対側の耕耘軸23には、内側に向けて湾曲する耕耘爪26を有して補助耕耘装置7を構成する。
【0018】
畦塗装置2は、この畦際耕耘装置1の後方において畦Bの側に位置して設けられ、前記畦際耕耘装置1で耕耘されて畦法面Cに押し寄せられた土壌を畦法面Cに塗付ける。
そこで、この発明の実施の形態において、畦際土壌を耕耘しながら畦法面Cへ移す畦際耕耘装置1と、この畦法面Cに土を塗り付ける畦塗装置2とを備え、この畦際耕耘装置1の耕耘カバー3の横端には、畦法面Cへの土の移動を案内するサイドカバー4を設けたことを特徴とする畦塗機の構成として、畦際耕耘装置1の耕耘作用によって耕耘土壌を畦法面C側へ移行させて、この土壌をサイドカバー4で案内させて、構成を簡単にすると共に、土壌の案内を円滑に行わせる。
【0019】
記サイドカバー4は、耕耘カバー3から畦C側へ拡縮可能の上面カバー5と、この上面カバー5の外側端で上下調節可能の側面カバー6とを有したことを特徴とするもので、上面カバー5及び側面カバー6を畦法面Cに接近させて作業条件に適応させた土壌の移行案内を行わせ、能率的な畦塗作業を行わせることができる。
【0020】
記畦際耕耘装置1の畦B側と反対の側には、土壌を耕耘する補助耕耘装置7を設けたことを特徴とするもので、畦際耕耘装置1による耕耘土壌の畦法面C側への移行、及び畦塗装置2による畦塗の反力を、補助耕耘装置7による耕耘抵抗で受けることによって、畦塗機全体の横揺れを少なくし、偏向走行を少なくして安定した畦塗を行う。
【0021】
法面Cに土壌を叩き付ける複数の畦叩板8,9を前後方向に並設して、この下端部の叩板軸10を支軸として上端側を畦法面C側へ揺動させて叩くことを特徴とする畦塗機の構成として、畦法面への土壌の付着力を高め、効率的な畦塗を行い、畦法面Cにおける畦叩板8,9による土壌の迫り上げをよくして、畦塗効果を高める。
【0022】
記畦叩板8,9の畦法面C側へ傾斜の畦塗角Aを変更可能に設けたことを特徴とするもので、畦Bの形態に応じた畦法面Cの傾斜の畦塗角Aを容易に選択して作業できる。
記畦叩板8,9の上端には、畦頂上面Dに土壌を塗り付ける天塗板11,12を設けたことを特徴とするもので、構成を簡単にして、この畦叩板8,9で迫り上げられた土壌を畦頂上面Dに移行させて、天塗板11,12で塗付けるため、畦塗土壌層を維持し易くする。
【0023】
記畦叩板8,9の後側には、畦法面Cの傾斜方向に沿う塗板軸13を支軸として揺動して畦塗法面を滑面にする畦塗板14を設けたことを特徴とするもので、畦法面Cに叩き付けられた土壌層に応じて、更に畦塗板14で押しつけながら、畦塗面を滑らかに形成する。
【0024】
法面に土壌を叩き付ける複数の畦叩板8,9の前側に、上部の支軸59回りに下端側を畦法面側へ向けて搖動させて土壌を掻き寄せる土寄板57を設けたことを特徴とする畦塗機の構成として、畦法面C下部の土壌は上部へ向けて掻き上げられるようになるため、土寄せ効果を高めることができ、畦法面Cでの土壌の滑り落ちを少なくして後続の畦叩板8,9による畦塗付け正確に行わせる。
【0025】
更に図1〜図7に基づいて詳細に説明する。前記ヒッチアーム18のリフトピン27に、リフトアーム16との間のリフトロッド28が連結されて、畦塗機17を昇降することができる。このリフトアーム16の後部右側にはパイプ状のフレーム29が一体に設けられて、この横端には下方に向かう耕耘伝動ケース22が前後回動可能にして設けられて、下端部の爪軸38には左右一対の耕耘軸23,24が軸装される。この右側の耕耘軸24には、爪先を右側の畦側に向けて湾曲させて耕耘土壌を畦側へ移行させることのできる反転面30を形成の耕耘爪25を配置して畦際耕耘装置1を形成する。又、左側、即ち車体15後部の中央部側に位置する耕耘軸23には、爪先を該耕耘爪25と同様形態の反転面30を形成の耕耘爪31と、この反転面30とは逆向きの反転面32を形成の耕耘爪26とを配置して土壌を平面形態に耕耘する補助耕耘装置7を構成する。
【0026】
この補助耕耘装置7は、反転面32を形成した耕耘爪26を多くしたり、又はこの耕耘爪26のみで、反転面30を有した耕耘爪31は設けない形態とすることによって、畦塗装置2や畦際耕耘装置1の反力に対抗しうる対抗力を増すように構成することもできる。
【0027】
このような耕耘軸23,24の伝動は、前記車体15後部のPTO軸33かヒッチアーム18間の入力軸34を連動し、ベベルギヤ35、伝動軸36、耕耘伝動ケース22内のチエン37等を介して爪軸38を連動して、この両側の耕耘軸23,24を駆動回転する。
【0028】
前記畦際耕耘装置1及び補助耕耘装置7の上部を覆う耕耘カバー3の、右横端部にはサイドカバー4が取付けられる。上面カバー5は前端部が耕耘カバー3の上側面にカバーピン39で回動自在に設けられ、後端部を左右へ所定角度に渡って回動できる。この上面カバー5の長穴40が耕耘カバー3上のピンボルト41に嵌合させて、回動位置をナット締めで固定することができる。このため、上面カバー5はカバーピン39の回りに後部を外方へ回動させて扇状に拡張できる。
【0029】
このような上面カバー5の外側端縁に沿うように側面カバー6がブラケット42によって取付けられる。この側面カバー6は、前端部を回動ピン43の回りに上下回動自在に取付け、後部の長穴44を上面カバー5外側縁のピンボルト45に嵌合させて、上下回位置をナット締めにより固定することができる。
【0030】
このようにサイドカバー4は、前部のピン39,43の回りに各上面カバー5、側面カバー6が回動調節するため、前端側は畦法面Cとの間を広く開いた状態にして、後端側を畦法面Cに接近さたり、離間させて、畦土壌の塗付け層を決めることができる。又、畦際耕耘装置1の耕耘によってこの畦C側へ移行される土壌は、機体の前進に伴って後へ流れるため、サイドカバー4の拡縮位置によって畦法面Cへの土壌量や土載位置が調整される。土壌寄せ量が多いときは、上面カバー5を外側へ移動させる。このとき側面カバー6が低過ぎるため畦法面Cに接近して畦法面Cへの土載せが悪いときは、この側面カバー6を上昇させて適応する高さに調整する。
【0031】
上面カバー5と側面カバー6とは、後端側が広く形成されて畦法面Cに対向するため、耕耘土壌の移動方向に合わせて、この後端部による土壌案内力が大きく、畦法面Cへの土載せを、抵抗少なくして効率的に行わせることができる。
前記畦塗装置2は、畦際耕耘装置1の後側に構成される。フレーム29の横端の耕耘伝動ケース22から後方に向って畦塗フレーム46と、このフレーム46を覆うカバー47とを設け、畦塗入力軸48を畦塗フレーム46の後部上方に軸装して、前記伝動軸36との間をチエン49連動する。畦塗フレーム46の後部は、フレーム29から後方に突出されたブラケット50に対して、ハンドル51で伸縮調節される伸縮杆52で連結支持される。このハンドル51の回動操作で伸縮杆52を伸縮すると、畦塗フレーム46がカバー47や、前記耕耘伝動ケース22等と一体として、伝動軸36及びフレーム29の回りに回動できる。畦塗フレーム46の後部には、前端部の案内板53と畦叩板8との間に土寄板57が設けられて、畦B側に案内された土壌をこの土寄板57で畦法面C側上方へ掻き上げると共に、カバー47はこの前側をカバーする。畦叩板8,9はこの土寄板57の後側に前後二連にして設けられるが、三連、四連等の形態とすることもできる。この畦叩板8,9は樋状に形成して、畦法面Cの上下方向に沿わせるように畦塗角Aを形成する構成とする。各畦叩板8,9は前縁をそり状に湾曲したそり面54を形成して、畦叩作用時に土壌を掬い取らない形態としている。
【0032】
前記畦塗フレーム46の後端から下方に突出された支持フレーム55の下端に、支軸ブラケット56が一体に設けられる。この支軸ブラケット56に、畦叩板8,9下端部を支持するボス61,62を前後配置する。この前後のボス61,62に畦叩板8,9の叩板軸10を嵌合支持させる。これら各畦叩板8,9の上端側には、揺動ロッド63,64が連結されて、クランク軸65,66の回転により、回動アーム67,68を介して連動される。これらクランク軸65,66は、前記入力軸48からウォームギヤ69やチエン70等を介して連動回転される。又、これらのクランク軸65,66は伝動による振動を減少するように回転位相をずらせた形態としている。
【0033】
前記畦叩板8,9の叩板軸10は、上下にずらせて、後側の畦叩板9側の叩板軸10を上位に設定しているが、これを同軸に設定するもよい。
又、前記土押出板57は、上端部を畦フレーム46の横側に突するブラケット58に支軸59で左右揺動自在に支持させ、この下部ではリンクロッド60で前記畦叩板8の中間部との間を連結して、前記畦叩板8の畦叩揺動によって、このリンクロッド60を介して土寄板57の下端側が畦法面C側へ作動され、案内板53で案内された土壌を更に畦法面C側へ押し出すことができる。
【0034】
前記畦塗板13は、畦叩板9の後側に設けられる。前記支軸ブラケット56から後方に向けて突出の支軸71回りに左右回動自在の塗板軸13を設け、この塗板軸13の上部はブラケット72で前記畦塗フレーム46の後端に支持させて、ボルト73によってこの塗板軸13の畦法面C側への傾斜角を調節することができる。畦叩板14は前縁部にボス74を有し、このボス74を畦塗軸13に嵌合させて回動自在に支持構成する。
【0035】
この畦塗板14の上部には、揺動ロッド75が連結されて、前記クランク軸66によって揺動される回動アーム68に連動される。この揺動ロッド75と前記畦叩板9の揺動ロッド64とは、回動アーム68に対する連結位相を異にして、揺動による振動を吸収しうる構成としている。又、この畦塗板14は前側をそり状に湾曲させてそり面76を形成し、揺動ロッド75によって塗板軸13の回りに揺動されても、畦法面Cを間歇的に押圧する場合に土壌を掬い難い形態としている。
【0036】
図8において、上例と異なる点は、前記畦叩板8、及び土押出板57を作動する連結機構において、回動アーム67を伸縮可能に設けたもので、ギヤドモータ77乃至油圧力で伸縮可能のシリンダ78を設け、回動支軸79と揺動ロッド63の連結ピン80との間の長さL1を伸縮することによって、畦叩板8や土押出板57の畦叩振幅Eを変更調節することができる。又、前記畦叩板9の回動アーム64においても同様に利用できる。
【0037】
図9において、上例と異なる点は、前記回動アーム67と畦叩板8との間を連動する揺動ロッド63に、ギヤドモータ81乃至油圧力で伸縮されるシリンダ82を設けて、この揺動ロッド63の長さL2を変更可能とし、畦叩板8の揺動域を左右Fに変更することができ、畦塗角Aを緩、急に変更するものである。このとき土寄板57の揺動域も同様に変更される。又、畦叩板9の前記揺動ロッド64にも同様にして利用できる。更に畦塗板14の揺動ロッド75についても同様に利用できる。
【0038】
図10、図11において、上例と異なる点を説明する。前記畦叩板8,9や畦塗板14の上端に天塗板11,12,83を設けて、畦Bの上面Dを同時に塗上げるものである。畦叩板8,9や畦塗板14の上方に取付杆84、及びこれと一体のソケット85を設け、このソケットに天塗板11の取付杆86を差込んでボルト87で締付けて固定することができ、この取付杆86を上下動して、畦上面Dの畦塗高さを調節できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
畦塗装置部の平面図。
【図2】
そのサイドカバー部の背面図。
【図3】
畦塗機の背面図。
【図4】
その右側面図。
【図5】
その左側面図。
【図6】
その伝動機構図。
【図7】
その畦塗作用を示す斜視図。
【図8】
一部別実施例を示す畦叩板部の背面図。
【図9】
一部別実施例を示す畦叩板部の背面図。
【図10】
一部別実施例を示す畦叩板部の背面図。
【図11】
その作用を示す斜視図。
【符号の説明】
1 畦際耕耘装置
2 畦塗装置
3 耕耘カバー
4 サイドカバー
5 上面カバー
6 側面カバー
7 補助耕耘装置
8 畦叩板
9 畦叩板
10 叩板軸
11 天塗板
12 天塗板
13 塗板軸
14 畦塗板
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