JP2001310975A - ニトリル系ゴム組成物、架橋性ニトリル系ゴム組成物および架橋物 - Google Patents

ニトリル系ゴム組成物、架橋性ニトリル系ゴム組成物および架橋物

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JP2001310975A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱空気雰囲気下における耐熱老化性に優れ
た、特に高温での耐熱老化性に優れた架橋物ならびにそ
のような架橋物の材料となるニトリル系ゴム組成物およ
び架橋性ニトリル系ゴム組成物を提供する。 【解決手段】 ニトリル系ゴム100重量部、珪酸金属
塩0.1〜20重量部および架橋剤0.1〜10重量部
を含有する架橋性ニトリル系ゴム組成物を架橋する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱空気雰囲気下
における耐熱老化性に優れた架橋物ならびにそのような
架橋物の材料となるニトリル系ゴム組成物および架橋性
ニトリル系ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴ
ムに代表されるニトリル系ゴムは、従来から耐油性ゴム
として種々の分野で用いられている。さらに、耐熱老化
性および高強度に対する市場の要求から、ニトリル系ゴ
ムを水素添加などの方法により、主鎖中の炭素−炭素不
飽和結合を減少させて、耐酸化劣化性を改良した高飽和
ニトリル系ゴムなどが開発されている。
【0003】しかし、高飽和ニトリル系ゴムにおいて
も、わずかな不飽和結合が残存するため、加熱空気雰囲
気下における耐熱老化性が不十分になる場合があり、様
々な添加物を配合することによって、ニトリル系ゴムの
耐熱老化性を改良することが試みられている。例えば、
特開平11−293039号公報には、架橋した高飽和
ニトリル系ゴムの耐熱老化性を改善するため、強塩基、
強塩基と弱酸との塩、あるいは弱酸の塩などを添加剤と
して用いることにより、加熱空気雰囲気下における架橋
高飽和ニトリル系ゴムの破断時の伸びが低下しにくくな
ることが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の添加剤
を使用した場合でも、高温の加熱空気雰囲気下に長時間
放置した水素化ニトリル系ゴムにおいては、破断時の伸
びが大きく低下するという問題があり、さらなる改良が
求められている。
【0005】本発明の目的は、高温の加熱空気雰囲気下
に長時間放置しても、破断時の伸びの低下が小さいニト
リル系ゴムの架橋物を提供することにある。
【0006】本発明者らは、前記課題を達成するため
に、鋭意検討の結果、ニトリル系ゴムに珪酸金属塩を配
合することにより、破断時の伸びの低下が小さいニトリ
ル系ゴムの架橋物が得られることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、ニトリル系ゴム100重量部と珪酸金属塩0.1〜
20重量部とを含有するニトリル系ゴム組成物、ニトリ
ル系ゴム100重量部、珪酸金属塩0.1〜20重量部
および架橋剤0.1〜10重量部を含有する架橋性ニト
リル系ゴム組成物および該架橋性ゴム組成物を架橋した
架橋物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】[ニトリル系ゴム組成物]本発明
のニトリル系ゴム組成物は、ニトリル系ゴム100重量
部と珪酸金属塩0.1〜20重量部とを含有するもので
ある。
【0009】(ニトリル系ゴム)本発明に用いるニトリ
ル系ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量
体を他の単量体と共重合して得られるゴムである。α,
β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体と共重合させる
単量体としては、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系
単量体、α−オレフィンなどが例示される。α,β−エ
チレン性不飽和ニトリル系単量体と共役ジエン系単量体
を共重合した場合には、ヨウ素価が大きくなるが多い
が、必要に応じて、共重合ゴムの炭素−炭素不飽和結合
を公知の方法で水素添加することによりヨウ素価を低く
して用いてもよい。
【0010】α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量
体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、
アクリロニトリルが好ましい。ニトリル系ゴム中のα,
β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体単位含有量は、
好ましくは10〜60重量%、より好ましくは12〜5
5重量%、さらに好ましくは15〜50重量%である。
【0011】共役ジエン系単量体としては、例えば、
1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−
1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げ
られ、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0012】非共役ジエン系単量体としては、好ましく
は炭素数が5〜12のものであり、1,4−ペンタジエ
ン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシ
クロペンタジエンなどが例示される。
【0013】α−オレフィンとしては、炭素数が2〜1
2のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテンなどが例示される。
【0014】そのほか、α,β−エチレン性不飽和ニト
リル系単量体と共重合可能な単量体としては、α,β−
エチレン性不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル
系単量体、フッ素含有ビニル系単量体、α,β−エチレ
ン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和
ジカルボン酸の無水物、共重合性の老化防止剤などが例
示される。
【0015】α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エス
テル類としては、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、n−ドデシルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレートなどの炭素数1〜18のアル
キル基を有するアクリレートまたはメタクリレート;メ
トキシメチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレ
ートなどの炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を有
するアクリレートまたはメタクリレート;α−シアノエ
チルアクリレート、β−シアノエチルアクリレート、シ
アノブチルメタクリレートなどの炭素数2〜12のシア
ノアルキル基を有するアクリレートまたはメタクリレー
ト;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ートなどの炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を有
するアクリレートまたはメタクリレート;マレイン酸モ
ノエチル、イタコン酸モノn−ブチルなどのα,β−エ
チレン性ジカルボン酸モノアルキルエステル;マレイン
酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、
イタコン酸ジエチルなどのα,β−エチレン性ジカルボ
ン酸ジアルキルエステル;ジメチルアミノメチルアクリ
レート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどのアミ
ノ基含有α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステ
ル;トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロ
プロピルメタクリレートなどのフルオロアルキル基含有
アクリレートまたはメタクリレート;フルオロベンジル
アクリレート、フルオロベンジルメタクリレートなどの
フッ素置換ベンジルアクリレートまたはフッ素置換ベン
ジルメタクリレート;などが挙げられる。
【0016】芳香族ビニル系単量体としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが
挙げられる。フッ素含有ビニル系単量体としては、例え
ば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピル
ビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペ
ンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テ
トラフルオロエチレンなどが挙げられる。α,β−エチ
レン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸などが挙げられる。α,β−エチレ
ン性不飽和ジカルボン酸としては、例えば、イタコン
酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。α,β−
エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物としては、例え
ば、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0017】共重合性の老化防止剤としては、例えば、
N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−
(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4
−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニ
リノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−
(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル
−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙
げられる。
【0018】本発明で使用されるニトリル系ゴムのムー
ニー粘度(ML1+4,100℃)は、特に制限されず、
好ましくは20〜140、より好ましくは30〜120
である。ムーニー粘度が小さすぎると架橋物の強度特性
が劣り、大きすぎると架橋物の加工性が劣る。
【0019】ニトリル系ゴムのヨウ素価も特に限定され
ず、好ましくは120以下、より好ましくは60以下、
特に好ましくは30以下である。ヨウ素価が高すぎると
架橋物の耐空気加熱老化性に劣る。ヨウ素価を低下する
必要がある場合は、前述のように、水素添加反応を行う
ことにより、ゴム分子鎖中の炭素−炭素不飽和結合を飽
和させればよい。
【0020】本発明で用いられるニトリル系ゴムは、例
えば、上記の単量体をラジカル共重合することによって
製造される。重合様式は特に制限されず、例えば、乳化
重合、懸濁重合、溶液重合などの従来公知のいずれの重
合様式でもよいが、特に乳化重合が好ましい。
【0021】乳化重合は、通常、水性媒体(通常は水)
に単量体、重合開始剤、乳化剤、重合連鎖移動剤などを
加えて重合することにより製造される。なお、その方式
は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。乳化
剤としては従来公知のものが使用可能であり、特に制限
されない。例えば、アニオン型(高級アルコールの硫酸
エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族カ
ルボン酸エステルのスルホン酸塩など)、ノニオン型
(ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキ
ルフェニルエーテル、アルキルエーテルなど)および両
性型界面活性剤(アニオン部分としてカルボン酸塩、硫
酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸塩、リン酸エステ
ル塩を、カチオン部分としてアミン塩、第四級アンモニ
ウム塩を有している界面活性剤)などが挙げられる。
【0022】重合開始剤も、特に制限されず、従来公知
のラジカル重合開始剤がいずれも使用できる。ラジカル
重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、加硫酸カリ
ウムなどの無機過酸化物、あるいはクメンジイソプロピ
ルベンゼンパラメンタンなどのハイドロパーオキサイド
のような有機過酸化物と二価鉄塩あるいはテトラエチレ
ン、ペンタアミンなどの還元剤を組み合せたレドックス
系触媒などが挙げられる。また、重合温度も特に制限さ
れず、通常、0〜50℃の範囲で重合することができ
る。
【0023】重合を停止する方法は特に限定されず、一
般的には、重合反応停止剤を添加して行う。重合反応停
止剤としては、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキ
シアミン、ヒドロキシアミンスルフォン酸及びそのアル
カリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムな
どのアミン構造を有するもの及びヒドロキシズメチルベ
ンゼンジチオカルボン酸、ヒドロキシジブチルベンゼン
ジチオカルボン酸などの芳香族ヒドロキシジチオカルボ
ン酸およびこれらのアルカリ金属塩、ハイドロキノン誘
導体およびカテコール誘導体などが挙げられる。重合反
応停止剤の使用量も特に限定されず、好ましくは、全単
量体100重量部に対して0.1〜10重量部である。
【0024】ニトリル系ゴムの回収方法も特に限定され
ず、例えば、重合を停止した後、残存単量体を加熱、水
蒸気蒸留などによって除去し、さらに、凝固剤を加えて
凝固し、回収すればよい。凝固剤も特に限定されず、塩
化カルシウム、硫酸アルミニウムなどの無機の凝固剤、
高分子凝固剤または感熱凝固剤などの通常の乳化重合で
使用される凝固剤を使用することができる。回収された
ニトリル系ゴムは、必要に応じて、水洗、乾燥を繰り返
すなどの方法により、不純物の濃度を低下させて使用す
る。
【0025】(珪酸金属塩)本発明で用いる珪酸金属塩
は、下記一般式1〜3のいずれか式で表される化合物で
あり、特に好ましいのは、一般式1で表される化合物で
ある。
【0026】一般式1: M1 2O・xSiO2・nHO (式中、xは正数、M1は酸化数が1の金属元素を表
す、nは0以上の整数)
【0027】一般式2: M2O・ySiO2・mHO (式中、yは正数、M2は酸化数が2の金属元素を表
す、mは0以上の整数)
【0028】一般式3: M3 23・zSiO2・pHO (式中、zは正数、Mは酸化数が3の金属元素を表
す、pは0以上の整数)
【0029】M1としては、例えば、ナトリウム、カリ
ウムなどが挙げられ、好ましくはナトリウムが挙げられ
る。Mとしては、例えば、マグネシウム、カルシウ
ム、鉄などが挙げられる。Mとしては、例えば、ホウ
酸やアルミニウムなどが挙げられる。
【0030】一般式1で表される珪酸金属塩としては、
オルト珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム水和物、
オルト珪酸カリウムなどのオルト珪酸金属塩;メタ珪酸
ナトリウム5水和物、メタ珪酸ナトリウム9水和物など
のメタ珪酸金属塩;などが挙げられる。一般式2で表さ
れる珪酸金属塩としては、珪酸マグネシウム、珪酸マグ
ネシウム水和物、珪酸カルシウム、珪酸カルシウム水和
物などの珪酸金属塩などが挙げられる。一般式3で表さ
れる珪酸金属塩としては、珪酸ホウ素、珪酸ホウ素水和
物、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウム水和物などの
珪酸金属塩などが挙げられる。
【0031】(ニトリル系ゴムと珪酸金属塩の配合割
合)本発明のニトリル系ゴム組成物において、ニトリル
系ゴム100重量部に対する珪酸金属塩の配合量は、
0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、
特に好ましくは0.5〜10重量部である。珪酸金属塩
の配合量が少なすぎると架橋物の耐熱老化性が不十分で
あり、多すぎると混練時のロール加工性の低下が著し
く、成形が困難である。
【0032】(その他の配合剤)本発明のニトリル系ゴ
ム組成物には、ゴム分野において通常使用される配合
剤、例えば、カーボンブラックやシリカなどの補強性充
填材、炭酸カルシウムやクレイなどの非補強性充填材、
加工助剤、可塑剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、着
色剤などを配合することができる。これらの配合剤の配
合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば
特に限定されず、配合目的に応じた量を配合することが
できる。
【0033】(ニトリル系ゴム組成物の調製方法)ニト
リル系ゴムに珪酸金属塩および必要に応じて添加する他
の配合剤の配合方法は、特に限定されず、重合反応の進
行中または反応停止後の回収時に珪酸金属塩を添加する
方法や、ロールや密閉式混合機などを用いて混練する方
法などを用いることができる。
【0034】[架橋性ニトリル系ゴム組成物]本発明の
架橋性ニトリル系ゴム組成物は、ニトリル系ゴム100
重量部、珪酸金属塩0.1〜20重量部および架橋剤
0.1〜10重量部を含有するものであり、上記ニトリ
ル系ゴム組成物に架橋剤を配合したものである。
【0035】(架橋剤)本発明で用いる架橋剤は、特に
制限されず、従来公知の硫黄系架橋剤や有機過酸化物架
橋剤が使用できる。
【0036】硫黄架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄
などの硫黄;4,4’−ジチオモルホリンやテトラメチ
ルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスル
フィド、高分子多硫化物など有機硫黄化合物;などが挙
げられる。ニトリル系ゴム100重量部に対する硫黄架
橋剤の使用量は、0.1〜10重量部、好ましくは0.
2〜7重量部、特に好ましくは0.3〜5重量部であ
る。硫黄架橋剤の使用量が少なすぎると、架橋密度が低
下し、圧縮永久ひずみが大きくなり、多すぎると、耐屈
曲疲労性が不十分となったり、動的発熱量が高くなる場
合がある。
【0037】硫黄架橋剤を用いる場合は、架橋助剤とし
て、従来公知の亜鉛華、グアニジン系架橋促進剤、チア
ゾール系架橋促進剤、チウラム系架橋促進剤、ジチオカ
ルバミン酸系架橋促進剤などを併用することが好まし
い。グアニジン系架橋促進剤としては、例えば、ジフェ
ニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトト
リルビグアニジンなどが挙げられる。チアゾール系架橋
促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾ
ール、ジベンゾチアジルダイサルファイドなどが挙げら
れる。チウラム系架橋促進剤としては、例えば、テトラ
メチルチウラムダイサルファイド、テトラエチルチウラ
ムダイサルファイド、N,N’−ジメチル−N,N’−
ジフェニルチウラムダイサルファイドなどが挙げられ
る。ジチオカルバミン酸系架橋促進剤としては、例え
ば、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチ
オカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。
【0038】有機過酸化物架橋剤としては、ゴム工業分
野で架橋剤として使用されているものが好ましく、例え
ば、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサ
イド類、パーオキシエステル類などが挙げられ、好まし
くはジアルキルパーオキサイド類である。ジアルキルパ
ーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ
イソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。ジアシルパ
ーオキサイド類として、例えば、ベンゾイルパーオキサ
イド、イソブチリルパーオキサイドなどが挙げられる。
パーオキシエステル類としては、例えば、2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートな
ど)などが挙げられる。ニトリル系ゴム100重量部に
対する有機過酸化物架橋剤の使用量は、0.1〜10重
量部、好ましくは0.3〜7重量部、特に好ましくは
0.5〜5重量部である。有機過酸化物架橋剤の使用量
が少なすぎると、架橋密度が低下し、圧縮永久ひずみが
大きくなる。有機過酸化物架橋剤の使用量が多すぎる
と、架橋物のゴム弾性が不十分となる場合がある。
【0039】有機過酸化物架橋剤を併用する場合は、架
橋助剤としては、従来公知の亜鉛華、酸化マグネシウ
ム、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマ
レイミドなどを併用することが好ましい。架橋助剤は、
クレー、炭酸カルシウム、シリカなどに分散させ、ゴム
組成物の加工性を改良したものを使用してもよい。
【0040】本発明の架橋性ニトリル系ゴム組成物にお
いては、架橋助剤の種類および使用量は特に限定され
ず、架橋物の用途、要求性能、架橋剤の種類、架橋助剤
の種類などに応じて決めればよい。
【0041】(架橋性ニトリル系ゴム組成物の調製方
法)架橋性ニトリル系ゴム組成物の調製方法は、特に限
定されないが、架橋剤および熱で活性化する架橋助剤
は、熱を加えない方法で、ニトリル系ゴムと配合する必
要がある。通常は、上記のニトリル系ゴム組成物に架橋
剤および架橋助剤を加えて、ロールなどを用いて架橋開
始温度より低温で混練する。なお、熱で活性化しない架
橋助剤は、上記のニトリル系ゴム組成物を調製する際
に、他の配合物などと共に加熱して混練してもよい。
【0042】[架橋物]本発明の架橋物は、上記架橋性ニ
トリル系ゴム組成物を架橋したものである。架橋性ゴム
組成物を架橋する方法は、特に限定されず、成形した後
加熱して架橋しても、成形と架橋を同時に行ってもよ
い。
【0043】架橋時の温度は、好ましくは100〜20
0℃、より好ましくは130〜190℃、特に好ましく
は140〜180℃である。架橋温度が低すぎると架橋
時間が長時間必要となったり、架橋密度が低くなる場合
があり、架橋温度が高すぎる場合は、成形不良になる場
合がある。
【0044】また、架橋時間は、架橋方法、架橋温度、
形状などにより異なるが、1分以上、5時間以下の範囲
が架橋密度と生産効率の面から好ましい。
【0045】架橋するための加熱方法としては、プレス
加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの
架橋に用いられる方法から適宜選択すればよい。
【0046】
【発明の効果】本発明の架橋物は、加熱空気雰囲気下に
おける耐熱老化性に優れており、その特性を活かして、
自動車用O−リング、シール、パッキン、ガスケット、
ダイヤフラム、ホース、ベルトなどのように、長時間加
熱空気雰囲気下で使用される架橋物として有用である。
【0047】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。なお、各測定値は以下のようにして
測定した。
【0048】ヨウ素価 JIS K6235に準じて測定した。
【0049】ムーニー粘度(ML 1+4 ,100℃) JIS K6300に準じて測定した。
【0050】常態物性 架橋物の引張強さ、伸びおよび100%引張応力は、J
IS K6251に準じて測定した。また、硬さ(Du
ro A)は、JIS K6253に準じて測定した。
【0051】空気加熱老化試験における伸び変化率 試験片を気温150℃の環境下に168時間、336時
間、504時間放置および気温175℃の環境下に16
8時間、336時間、504時間放置し、伸びをJIS
K6251に準じて測定し、常態物性の伸びに対する
変化率を求めた。
【0052】実施例1〜3 水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム共重合ゴム
(アクリロニトリル単位含有量36.2重量%、ヨウ素
価4、ムーニー粘度65、商品名Zetpol2000
L、日本ゼオン製、以下、ニトリル系ゴムAという)1
00重量部に、オクチル化ジフェニルアミン(老化防止
剤、商品名ノクラックAD−F、大内新興化学工業社
製)1重量部、メルカプトメチルベンズイミダゾールの
亜鉛塩(老化防止剤、商品名Vulkanox ZMB
2/C5、バイエル社製)0.4重量部、酸化マグネシ
ウム(架橋助剤、商品名キョウワマグ150、共和化学
工業社製)2重量部、酸化亜鉛(架橋助剤、商品名亜鉛
華1号、堺化学工業社製)2重量部、湿式法ホワイトカ
ーボン(商品名カープレックス#1120、シオノギ製
薬社製)35重量部、トリ−(2−エチルヘキシル)ト
リメリテート(可塑剤、商品名アデカサイザーC−8、
旭電化社製)5重量部、トリアリルイソシアヌレート
(架橋助剤、商品名TAIC、日本化成社製)1.5重
量部、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン
(シランカップリング剤、商品名シランA−172、日
本ユニカー社製)1重量部および1−珪酸四ナトリウム
水和物(オルト珪酸ナトリウム、和光純薬工業社製)を
それぞれ3重量部(実施例1)、6重量部(実施例
2)、9重量部(実施例3)配合し、小型バンバリーミ
キサーを用いて混合、混練し、得られたニトリル系ゴム
組成物に2,2’−ビス(ter−ブチルパーオキシジ
イソプロピル)ベンゼン(有機過酸化物架橋剤、商品名
Vul−cup 40KE、ハーキュレス社製)8重量
部を配合し、ロールを用いて混合、混練し、架橋性ニト
リル系ゴム組成物を得た。
【0053】得られた架橋性ニトリル系ゴム組成物を用
い、170℃で20分間プレス加硫して、架橋物である
厚さ2mmのシート状の試験片を得、常態物性および空
気加熱老化試験による伸びの変化率を測定した。その結
果を表1に示す。
【0054】参考例1 反応器に、乳化剤としてオレイン酸カリウム2部、安定
剤としてリン酸カリウム0.1部、水150部を仕込
み、さらにアクリロニトリル20部、ブチルアクリレー
ト15部、1,3−ブタジエン35部および分子量調整
剤としてt−ドデシルメルカプタン0.45部を加え
て、活性剤として硫酸第一鉄0.015部および重合開
始剤としてパラメンタンハイドロパーオキサイド0.0
5部の存在下に、10℃で乳化重合を開始した。重合転
化率が60%になった時点で、アクリロニトリル10
部、ブチルアクリレート10部、1,3−ブタジエン1
0部を添加し、重合転化率が85%になった時点で、単
量体100部あたり0.2部のヒドロキシルアミン硫酸
塩を添加して重合を停止させた。なお、重合中、重合転
化率が3%増加するごとに重合反応液の極く少量を採取
し、重合体の微小部分の各単量体の含有割合を求めた。
重合停止に続いて、加温し、減圧下、70℃で、水蒸気
蒸留により、未反応単量体を回収した後、老化防止剤と
してアルキル化フェノールを2部添加し、共重合体ラテ
ックスを得た。
【0055】この共重合体ラテックスを、凝固剤として
塩化カルシウム3部を溶解した凝固水3000部を50
℃に保持し、その中に上記共重合体ラテックスを滴下
し、共重合ゴムを凝固させてクラムとし、水洗後、50
℃、減圧下で乾燥した。
【0056】次いで、得られたアクリロニトリル−ブチ
ルアクリレート−ブタジエン三元共重合体を、メチルイ
ソブチルケトンに溶解し、パラジウム/シリカ触媒を用
いて耐圧容器中で水素添加反応を行って、水素化した。
【0057】この水素化アクリロニトリル−ブチルアク
リレート−ブタジエン三元共重合体(以下、ニトリル系
ゴムBという)のアクリロニトリル単位含有量は30重
量%、ブチルアクリレート単位含有量は25重量%、ヨ
ウ素価15、ムーニー粘度80であった。また、示唆走
査熱量測定による補外ガラス転移開始温度が−39.1
℃で、補外ガラス転移終了温度が−31.3℃であり、
これらの温度差が10℃以下であった。
【0058】なお、ニトリル系ゴムBの単量体単位含有
割合は、1H−NMR、セミミクロケルダール法による
窒素含有量測定に基づいて求めた値であるが、重合にお
いて用いられた単量体の量と残存した単量体の量との差
に矛盾しないことを確認した。
【0059】実施例4 ニトリル系ゴムAに代えて、参考例1で得た記載のニト
リル系ゴムBを用いる以外は実施例1と同様に処理し、
常態物性および空気加熱老化試験による伸びの変化率を
測定した。その結果を表1に示す。
【0060】実施例5 ニトリル系ゴムAに代えて、アクリロニトリル単位含有
量44重量%、ブチルアクリレート単位含有量21重量
%、ヨウ素価15、ムーニー粘度75の水素化アクリロ
ニトリル−ブチルアクリレート−ブタジエン三元共重合
体(以下、ニトリル系ゴムCという)を用いる以外は実
施例1と同様に処理し、架橋物の常態物性および空気加
熱老化試験による伸びの変化率を測定した。その結果を
表1に示す。
【0061】比較例1 珪酸ナトリウムを配合しないこと以外は実施例1〜3と
同様に処理し、架橋物の常態物性および空気加熱老化試
験による伸びの変化率を測定した。その結果を表1に示
す。
【0062】比較例2〜3 珪酸ナトリウムの代りに炭酸ナトリウム(商品名Dyn
amar RC−5251Q、Dyneon社製)をそ
れぞれ1重量部、3重量部用いる以外は、実施例1〜3
と同様に処理し、架橋物の常態物性および空気加熱老化
試験による伸びの変化率を測定した。その結果を表1に
示す。
【0063】比較例4 珪酸ナトリウムを配合しないこと以外は実施例4と同様
に処理し、架橋物の常態物性および空気加熱老化試験に
よる伸びの変化率を測定した。その結果を表1に示す。
【0064】比較例4 珪酸ナトリウムを配合しないこと以外は実施例4と同様
に処理し、架橋物の常態物性および空気加熱老化試験に
よる伸びの変化率を測定した。その結果を表1に示す。
【0065】比較例5 珪酸ナトリウムを配合しないこと以外は実施例5と同様
に処理し、架橋物の常態物性および空気加熱老化試験に
よる伸びの変化率を測定した。その結果を表1に示す。
【0066】表1
【表1】
【0067】珪酸金属塩を配合していない比較例1の架
橋物は、同じニトリル系ゴムAを使用し、珪酸金属塩を
配合した実施例1〜3に比べて、特に高温(175℃)
での熱負荷での伸び変化率が大きい。
【0068】比較例2、3の架橋物は、珪酸金属塩の代
りに炭酸ナトリウムを配合しているが、同じニトリル系
ゴムAを使用し、珪酸金属塩を配合した実施例1〜3に
比べて、特に高温(175℃)長時間(504時間)の
熱負荷での伸び変化率が大きい。
【0069】珪酸金属塩を配合していない比較例4の架
橋物は、同じニトリル系ゴムBを使用し、珪酸金属塩を
配合した実施例4に比べて、熱負荷での伸び変化率が大
きい。
【0070】珪酸金属塩を配合していない比較例5の架
橋物は、同じニトリル系ゴムCを使用し、珪酸金属塩を
配合した実施例5に比べて、熱負荷での伸び変化率が大
きい。
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Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニトリル系ゴム100重量部と珪酸金属
    塩0.1〜20重量部とを含有するニトリル系ゴム組成
    物。
  2. 【請求項2】 ニトリル系ゴム100重量部、珪酸金属
    塩0.1〜20重量部および架橋剤0.1〜10重量部
    を含有する架橋性ニトリル系ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の架橋性ゴム組成物を架橋
    した架橋物。
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