JP4003060B2 - 架橋性ゴム組成物及び架橋物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋性ニトリル基含有共重合ゴム組成物及び該組成物を架橋してなる架橋物に関し、詳しくはシール材として好適な架橋物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)は、耐油性、機械的特性、耐薬品性等を活かして、ホースやチューブなどの自動車用ゴム部品の材料として使用されている。また、O−リング、パッキン、ガスケットなどのようなシール材としても広く使用されている。
【0003】
NBRは、主鎖の炭素−炭素二重結合を水素化し、さらにシリカなどの充填剤を配合して耐熱性を高めることができる。例えば、本出願人は、水素化NBRにシリカ系の充填剤や珪酸金属塩を配合して成る耐熱性が改善されたゴム組成物を提案している(特開昭62−240338号公報、特開2001−310957号公報)。しかしながら、シール材などの用途においては、その耐熱性を高めると共に、引張強度などの機械的特性をより一層改良することが要望されている。また、優れたシール性能を確保するために、シール部材の表面平滑性も重要視されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、耐熱性及び機械的特性に優れ、しかも、表面が平滑な架橋物を与える架橋性ゴム組成物及びその架橋物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ニトリル基含有共重合ゴムに、架橋剤と珪酸化合物とを含有してなる組成物に、さらに4級アンモニウム塩を特定量配合することにより、耐熱性及び機械的強度に優れた架橋物を取得できることを見出した。また、該架橋物は配合した珪酸化合物の分散性が著しく向上するために表面平滑性にも優れ、例えばシール材として使用すると、極めて良好なシール性能を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして、本発明によれば、以下の発明がそれぞれ提供される。
1.α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が10〜60重量%であるニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部、珪酸化合物(B)2〜250重量部、4級アンモニウム塩(C)0.05〜20重量部及び架橋剤(D)0.05〜20重量部を含有してなる架橋性ゴム組成物。
2.架橋剤(D)が有機過酸化物である上記1記載の架橋性ゴム組成物。
3.ニトリル基含有共重合ゴム(A)のヨウ素価が120以下である上記1又は2記載の架橋性ゴム組成物。
4.珪酸化合物(B)が、合成シリカと珪酸金属塩との混合物である上記1〜3記載の架橋性ゴム組成物。
5.上記1〜4いずれかに記載の架橋性ゴム組成物を架橋して成る架橋物。
6.シール材である上記5記載の架橋物。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の架橋性ゴム組成物は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が10〜60重量%であるニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部、珪酸化合物(B)2〜250重量部、4級アンモニウム塩(C)0.05〜20重量部及び架橋剤(D)0.05〜20重量部を含有してなることを特徴とする。
【0008】
本発明に用いるニトリル基含有共重合ゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と他の単量体とを公知の方法で共重合して得られるゴムである。
【0009】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、アクリロニトリルが好ましい。ニトリル基含有共重合ゴム(A)中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、10〜60重量%、好ましくは12〜55重量%、より好ましくは15〜50重量%である。ニトリル基含有共重合ゴム中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると架橋物の耐油性が劣る場合があり、逆に多すぎると耐寒性に劣る場合がある。
【0010】
前記α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合させることができる単量体としては、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体、α−オレフィンなどが例示される。
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、1,3−ブタジエンが好ましい。非共役ジエン単量体は、好ましくは炭素数が5〜12のものであり、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。α−オレフィンとしては、炭素数が2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
【0011】
さらに、ニトリル基含有共重合ゴム(A)は、上記の単量体以外に、芳香族ビニル単量体、フルオロオレフィン単量体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸系単量体などを本発明の目的を損なわない範囲で共重合して得られるものであってもよい。また、共重合性の老化防止剤を用いることもできる。ニトリル基含有共重合ゴム(A)中のこれらの単量体単位の含有量は、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜25重量%である。
【0012】
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。フルオロオレフィン単量体としては、例えば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸;エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水マレイン酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物;モノブチルイタコン酸、ジブチルイタコン酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸エステル;などが挙げられる。共重合性の老化防止剤としては、例えば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
【0013】
ニトリル基含有共重合ゴム(A)は、ヨウ素価が、好ましくは120以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下である。ヨウ素価が大きすぎると耐熱性に劣る。
【0014】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを共重合した場合には、ニトリル基含有共重合ゴム(A)のヨウ素価が120を超える場合がある。その場合には共重合ゴム(A)の炭素−炭素不飽和結合を公知の方法で水素添加することによりヨウ素価が120以下になるようにするのが好ましい。水素添加の方法は、特に限定されず、公知の方法で行えばよい。
【0015】
ニトリル基含有共重合ゴム(A)のムーニー粘度ML1+4,(100℃)は、好ましくは10〜300、より好ましくは20〜250、特に好ましくは30〜200である。ムーニー粘度が小さすぎると架橋物の機械的特性が劣る場合があり、逆に大きすぎると加工性に劣る場合がある。
【0016】
本発明に用いる珪酸化合物(B)は、組成式で表した場合に、式中に(SiO2)を含む化合物であればよい。具体的には、石英粉末、珪石粉末などの天然シリカ;無水珪酸(シリカゲル、アエロジルなど)、含水珪酸などの合成シリカ;珪酸金属塩などが挙げられ、これらの中でも、合成シリカ又は珪酸金属塩が好ましい。
【0017】
上記の天然シリカ及び合成シリカは、組成式が、(SiO2)又は(SiO2・nH2O)で表される。合成シリカとしては、特に無水合成シリカを用いるのが好ましい。無水合成シリカは、所謂、白色充填材(ホワイトカーボン)として合成ゴムの充填材に一般的に用いられているものが好ましい。
【0018】
珪酸金属塩としては、組成式が、下記一般式1〜3のいずれかで表される珪酸金属塩などが挙げられる。
【0019】
一般式1:(M1)2O・xSiO2・nH2O(式中、xは正数、M1は酸化数が1の金属元素を表す。nは0以上の整数である。)
【0020】
一般式2:(M2)O・ySiO2・mH2O(式中、yは正数、M2は酸化数が2の金属元素を表す。mは0以上の整数である。)
【0021】
一般式3:(M3)2O3・zSiO2・pH2O(式中、zは正数、M3は酸化数が3の金属元素を表す。pは0以上の整数である。)
【0022】
M1としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、好ましくはナトリウムが挙げられる。M2としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄などが挙げられる。M3としては、例えば、ホウ素やアルミニウムなどが挙げられる。
【0023】
一般式1で表される珪酸金属塩としては、オルト珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム水和物、オルト珪酸カリウムなどのオルト珪酸金属塩;メタ珪酸ナトリウム5水和物、メタ珪酸ナトリウム9水和物などのメタ珪酸金属塩;などが挙げられる。一般式2で表される珪酸金属塩としては、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウム水和物、珪酸カルシウム、珪酸カルシウム水和物などの珪酸金属塩などが挙げられる。一般式3で表される珪酸金属塩としては、珪酸ホウ素、珪酸ホウ素水和物、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウム水和物などの珪酸金属塩などが挙げられる。
【0024】
また、本発明においては、珪酸化合物(B)は、上記の合成シリカと珪酸金属塩との混合物であるのが好ましい。珪酸化合物(B)が合成シリカと珪酸金属塩との混合物であると、架橋物の耐熱性がより向上する。
【0025】
珪酸化合物(B)の配合量は、ニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、2〜250重量部、好ましくは3〜200重量部、より好ましくは5〜150重量部である。珪酸化合物(B)の配合量が少なすぎると、架橋物の耐熱性が十分に向上しない場合があり、逆に多すぎると組成物の加工性が悪くなる場合がある。
【0026】
珪酸化合物(B)が合成シリカと珪酸金属塩との混合物である場合には、珪酸金属塩の含有量は、混合物に対して、前記珪酸金属塩中の(M1)2O又は(M2)O又は(M3)2O3換算で、好ましくは0.1〜80重量%、より好ましくは0.2〜50重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%である。
【0027】
本発明に用いる4級アンモニウム塩(C)は、一般式:R1R2R3R4N+X−で表される化合物である。R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていても良く、炭素数1〜30の飽和又は不飽和炭化水素基である。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等の飽和脂肪族炭化水素基;オレイル等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル、ベンジル等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。X−としては、例えばCl−、Br−、NO3 −、OH−、CH3COO−等の陰イオンが挙げられる。
【0028】
4級アンモニウム塩(C)の配合量は、ニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。4級アンモニウム塩(C)の配合量が少なすぎると架橋物の平滑性が十分でなくなる場合があり、逆に多すぎると架橋物の機械的強度が低下する場合がある。
【0029】
本発明に用いる架橋剤(D)は、合成ゴムの架橋剤として一般的に用いられている架橋剤であればよく、硫黄系架橋剤、有機過酸化物架橋剤などが挙げられる。
硫黄系架橋剤としては、硫黄、硫黄供与性化合物、チウラム系化合物、モルホリン系化合物などが挙げられる。硫黄系架橋剤を用いる場合には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、チウラム系架橋促進剤、グアニジン系架橋促進剤、スルフェンアミド系架橋促進剤、チアゾール系架橋促進剤、ジチオカルバミン酸系架橋促進剤などの架橋促進剤を併用してもよい。
有機過酸化物架橋剤としては、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルなどが挙げられ、ジアルキルパーオキサイドが好ましい。ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。ジアシルパーオキサイドとして、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどが挙げられる。パーオキシエステルとしては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなど)などが挙げられる。有機過酸化物架橋剤を用いる場合には、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレート、トリレンビスマレイミド、メタフェニレンビスマレイミド、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーや液状ビニルポリブタジエンなどの架橋促進剤を併用してもよい。
本発明においては、これらの架橋剤の中でも、架橋物の耐熱性などの観点より、有機過酸化物架橋剤を用いるのが好ましい。
【0030】
架橋剤(D)の配合量は、ニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは1〜8重量部である。架橋剤(D)の配合量が少なすぎると、架橋密度が低下し、架橋物の圧縮永久ひずみが大きくなる。逆に多すぎると、架橋物のゴム弾性が不十分となる場合がある。
【0031】
本発明の架橋性ゴム組成物は、ゴムに一般的に使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、短繊維などの補強剤;可塑剤;顔料;老化防止剤;粘着付与剤;加工助剤;スコーチ防止剤;などを含有していてもよい。また、本発明の架橋性ゴム組成物は、ニトリル基含有共重合ゴム(A)以外のゴムや樹脂を本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で含有していてもよい。
【0032】
本発明の架橋性ゴム組成物の調製方法は特に限定されず、一般的な架橋性ゴム組成物の調製方法に従えばよい。例えば、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を十分に混合した後、熱により反応あるいは分解し易い架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
【0033】
上記架橋性ゴム組成物の成形方法は、特に限定されない。圧縮成形、射出成形、トランスファー成形あるいは押出成形など、いずれの方法を用いることも可能である。また、架橋方法は、架橋物の形状などに応じて選択すればよく、成形と架橋を同時に行う方法、成形後に架橋を行う方法のいずれでもよい。
【0034】
本発明の架橋物は、上記の架橋性ゴム組成物を架橋して得られるものである。架橋性ゴム組成物を架橋する方法は、該ゴム組成物を所定温度以上に加熱すればよい。一般的には、上記方法で成形しておいてから加熱するか、成形と同時に加熱する。
【0035】
架橋温度は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは130〜195℃、特に好ましくは140〜190℃である。温度が低すぎると架橋時間が長時間必要となったり、架橋密度が低くなったりする場合がある。温度が高すぎる場合は、成形不良になる場合がある。また、架橋時間は、架橋方法、架橋温度、形状などにより異なるが、1分間〜4時間が架橋密度と生産効率の面から好ましい。
【0036】
架橋するための加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法から適宜選択すればよい。
【0037】
架橋物の形状、大きさなどによっては、表面は架橋していても、内部が架橋しないことがある。そのような場合、上記のように架橋した後、高温状態に維持する二次架橋を行なってもよい。
【0038】
本発明の架橋物は、耐熱性、機械的特性及び表面平滑性に優れるため、種々の用途に使用できる。その用途は特に限定されず、例えば、シール、ゴムベルト、ゴムロール、ゴムホースなどの工業用製品またはその部品をはじめ、油井、ガス井などで用いられるパッカー、アウトプリベンダー、パイププロテクターなどにも用いることができる。シールとしては、回転用、揺動用、往復動用などの運動用シールと固定用シールが挙げられる。運動用シールとしては、オイルシール、ピストンシール、メカニカルシールなどが挙げられ、固定用シールとしては、Oリング、各種ガスケットなどが挙げられる。ゴムベルトとしては、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、丸ベルト、角ベルト、歯付ベルトなどが挙げられる。ゴムロールとしては、印刷機器、コピー機器などのOA機器の部品であるロール;紡糸用延伸ロール、紡績用ドラフトロールなどの繊維加工用ロール;ブライドルロール、スナバロール、ステアリングロールなどの製鉄用ロール;などが挙げられる。ゴムホースは、単管ゴムホース、多層ゴムホース、編上式補強ホース、布巻式補強ホースなどが挙げられる。本発明の架橋物は、機械的特性に優れ、圧縮永久ひずみが小さいことから、これらのなかでも、シールおよびゴムベルト用途に特に適しており、シール材として最も好適である。
【0039】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。部および%は、特に記載のない限り、重量基準である。なお、評価方法は、下記の通りである。
【0040】
(1)ムーニー粘度
架橋性ゴム組成物のムーニー粘度はJIS K6300に従って、100℃で測定した。
【0041】
(2)機械的特性
調製した架橋性ゴム組成物を、170℃、プレス圧10MPaで15分間架橋を行い、厚さ2mmのシートを得た。3号形ダンベルを用いてこのシートを打ち抜いて、試験片を作製した。これらの試験片を用いて、JIS K 6251に従い、架橋物の引張強さと伸びを、また、JIS K 6253に従い、タイプAデュロメータを用いて架橋物の硬度を、それぞれ機械的特性として測定した。
【0042】
(3)耐熱性
上記機械的特性を測定したものと同じ試験片を、JIS K6257に従い、75℃にて336時間ギアオーブン中に放置して熱老化させた後に、引張強さ、伸び及び硬度を機械的特性として測定し、上記(2)で測定したそれぞれの機械的特性の値に対する変化率を算出した。
【0043】
(4)表面平滑性
(3)で熱老化させた後の試験片の表面状態を目視観察し、目視確認できる程度の凹みが表面積1cm2当たりに何個有るかを測定した。評価基準は以下の通りである。
○:凹みの数0個、△:凹みの数が1個以上10個未満、×:凹みの数が10個以上
【0044】
実施例1
ニトリル基含有共重合ゴムA(Zetpol 2000、日本ゼオン社製、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル単位含有量36%、ヨウ素価4、ムーニー粘度ML1+4,(100℃)83)100部、合成シリカ(シオノギ製薬製湿式法ホワイトカーボン、カープレックス#1120)40部、珪酸金属塩(日本化学工業製、メタ珪酸ソーダ5水塩(Na2O,SiO2、5H2O))5部(合成シリカと珪酸金属塩の合計量に対してNa2O換算にて3.2%)、オクタデシルトリメチルブロマイド(4級アンモニウム塩、日本ゼオン社製〔Zeonet−BF〕)3部、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン(日本ユニカー製、シランA−172)1部、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート(旭電化製、アデカサイザーC−8)5部、酸化亜鉛(堺化学工業製、亜鉛華1号)2部、酸化マグネシウム(協和化学工業製、キョーワマグ150)2部、ジフェニルアミン系老化防止剤(ユニロイヤル製、ナウガード445)1部、ベンズイミダゾール系酸化防止剤(大内新興化学工業製、ノクラックMBZ)0.5部を50℃にてバンバリーで混練した後、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(有機過酸化物)4部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)3部を加えて、40℃にてオープンロールで混練して、架橋性ゴム組成物を調製した。
【0045】
この架橋性ゴム組成物を上記の条件により架橋して架橋物とした。架橋物の引張強度、伸び、耐熱性及び表面平滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
合成シリカを、カーボンブラック(ASTM D1765による分類;N550)40部に変えたこと以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を製造し、架橋させて架橋物とした。架橋物の引張強度、伸び及び表面平滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
実施例3
珪酸金属塩を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を製造し、架橋させて架橋物とした。架橋物の引張強度、伸び及び表面平滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
4級アンモニウム塩の配合量を25部に変えたこと以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を製造し、架橋させて架橋物とした。架橋物の引張強度、伸び及び表面平滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
4級アンモニウム塩を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を製造し、架橋させて架橋物とした。架橋物の引張強度、伸び及び表面平滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
比較例3
合成シリカ及び珪酸金属塩を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして架橋性ゴム組成物を製造し、架橋させて架橋物とした。架橋物の引張強度、伸び及び表面平滑性を評価した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から明らかなように、4級アンモニウム塩の配合量が多い架橋性ゴム組成物の架橋物(比較例1)は、機械的強度に劣り、4級アンモニウム塩を配合しない架橋性ゴム組成物の架橋物(比較例2)は熱老化後の機械特性の低下が大きく、表面の平滑性に劣り、珪酸化合物を配合しない架橋性ゴム組成物の架橋物(比較例3)は熱老化後の機械特性の低下が大きかった。
これに対し、本発明の架橋性ゴム組成物を架橋させて成る架橋物は、引張り強度、伸び、耐熱性及び表面平滑性がバランスよく優れている。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的特性、耐熱性及び表面平滑性に優れ、シール材などのゴム部品に好適な架橋物を与える架橋性ゴム組成物が提供される。
Claims (6)
- α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が10〜60重量%であるニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部、珪酸化合物(B)2〜250重量部、4級アンモニウム塩(C)0.05〜20重量部及び架橋剤(D)0.05〜20重量部を含有してなる架橋性ゴム組成物。
- 架橋剤(D)が有機過酸化物である請求項1記載の架橋性ゴム組成物。
- ニトリル基含有共重合ゴム(A)のヨウ素価が120以下である請求項1又は2記載の架橋性ゴム組成物。
- 珪酸化合物(B)が、合成シリカと珪酸金属塩との混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物を架橋して成る架橋物。
- シール材である請求項5記載の架橋物。
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