JP4487610B2 - ゴム組成物およびこれを加硫してなる加硫物 - Google Patents

ゴム組成物およびこれを加硫してなる加硫物 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性および耐油性に優れ、かつ変形量の少ないゴム成形品を与えるゴム組成物に関し、さらにはこのゴム組成物を加硫してなる加硫物に関する。
従来より、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのニトリル基含有共重合ゴムは、耐熱性および耐油性に優れたゴムとして種々の用途に使用されている。
ところで、近年、自動車においては、エンジンの高出力化、FF化、排ガス対策などによって、エンジンルームの熱的環境条件は過酷化しており、このような使用条件に十分に耐えうるゴムとして、ニトリル基含有共重合ゴムのさらなる高性能化が検討されている。
例えば、特許文献1には、ヨウ素価80以下のニトリル基含有共重合ゴムに特定のpH値8.5以上を有するシリカ系無機配合剤とビニル系シランカップリング剤とを配合することにより、より高温(175℃)での耐熱性が改善されることが記載されている。
上記文献によればニトリル基含有共重合ゴムの耐熱性は改善される。ところが、例えばベルトやシール等の変形量ができるだけ小さいことが求められる用途においてはゴム成形品の応力をより高めることがさらに要求される。しかしながら、応力は硬度に依存する傾向があり、上記配合においてシリカの含有量を増加させると、応力を高めることはできても、同時に硬度も高くなりすぎてしまい、硬度と応力とのバランスが取りにくいといった問題があった。
特開昭62−240338号公報
本発明は、耐熱性および耐油性に優れ、かつ変形量の少ないゴム成形品を与えるゴム組成物を提供することを主目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定のヨウ素価およびα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量を有するニトリル基含有共重合ゴムに対し、所定量の珪藻土を配合することにより、ゴム成形品の硬度を従来品と同程度に維持しつつ、応力を向上させることができることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、以下の発明1〜4が提供される。
1. ヨウ素価100以下、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量10〜60重量%のニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、珪藻土(B)5〜100重量部およびα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)3〜100重量部を含有してなるゴム組成物。
2. 上記ニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、上記珪藻土(B)25〜85重量部を含有してなる上記1に記載のゴム組成物。
3. 上記1または2に記載のゴム組成物を加硫してなる加硫物。
4. 自動車のエンジンルームで用いられるゴム成形品である上記3の加硫物。
本発明のゴム組成物は耐熱性および耐油性に優れ、かつ硬度を必要以上に高めることなく応力を向上させることができるので、硬度と応力とのバランスを高めた加硫物を与えることができるといった効果を奏する。このため、変形量の少ないゴム成形品として有用である。
以下、本発明のゴム組成物およびこれを加硫してなる加硫物について詳細に説明する。
A.ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、ヨウ素価100以下、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量10〜60重量%のニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、珪藻土(B)5〜100重量部を含有してなることを特徴とする。
本発明においては、充填剤として知られる多種のシリカ含有化合物の中から、特に珪藻土(B)を選択して配合することにより、一般的には充填剤を用いることではそのバランスをとることが困難とされていた、応力と硬度との双方を向上させることを可能とするものである。
さらに、応力と硬度とのバランスに加えて、引張強度及び引張伸びも優れた値とすることが可能であり、粘度も加工性に優れた範囲にできるものである。
このような多くの効果は、珪藻土(B)の有するその形状の多様性及び多孔質性などの物性と、ヨウ素価が特定範囲のニトリル基含有共重合ゴム(A)との組合せによりはじめて達成されるものである。
本発明に用いられるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量10〜60重量%のニトリル基含有共重合ゴム(A)(以下、単にニトリル基含有共重合ゴム(A)と称する場合がある。)は、α,β−エチレン性不飽和二トリル単量体を他の単量体と共重合して得られるゴムである。
上記ニトリル基含有共重合ゴム(A)において、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量は10〜60重量%であることを要するが、好ましくは12〜55重量%、より好ましくは14〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量が多すぎると耐油性が劣る傾向にある。逆に少なすぎると耐熱性が低下する傾向にある。
α,β−エチレン性不飽和二トリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが挙げられ、中でも、アクリロニトリルが好ましい。
上記α,β−エチレン性不飽和二トリル単量体と共重合させる他の単量体としては、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、α−オレフィンなどが例示される。
共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、中でも1,3−ブタジエンが好ましい。
非共役ジエン系単量体としては、炭素数5〜12のものが好ましく、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。
α−オレフィンとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
さらに、他の単量体として、芳香族ビニル系単量体、フッ素含有ビニル系単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸及びそのエステル、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸及びその無水物又はそのエステル、共重合性の老化防止剤などを共重合してもよい。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。フッ素含有ビニル系単量体としては、例えば、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、例えば、無水イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸エステルとしては、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−2エチルヘキシル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジ−2エチルヘキシルなどが挙げられる。
共重合性の老化防止剤としては、例えば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
上記ニトリル基含有共重合ゴム(A)のヨウ素価は100以下であることを要するが、好ましくは80以下、より好ましくは60以下である。この範囲であると、得られるゴム成形品を耐熱性および機械的強度特性に優れたものとすることができる。なお、ヨウ素価が大きすぎる場合には、通常の水素添加処理を行うことにより、主鎖の不飽和結合を飽和させ、ヨウ素価を小さくすればよい。
上記ニトリル基含有共重合ゴム(A)の100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)は、好ましくは10〜300、より好ましくは20〜250、さらに好ましくは30〜200である。ムーニー粘度が小さすぎると得られる加硫物の機械的強度特性が劣る傾向にあり、逆に大きすぎると加工性が劣る傾向にある。
このようなニトリル基含有共重合ゴム(A)は、後述する珪藻土(B)との相互作用が適度であり、これらを所定の割合で混合することにより、硬度と応力とのバランスを高めることが可能となる。
本発明に用いられる珪藻土(B)としては、珪藻中の珪殻遺骸である一種の化石であり、無定形珪酸を主成分として多孔質構造を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般に上市されている市販品を用いることができる。粒度は通常0.5〜200μm程度であるがこの範囲に限定されるものではない。例えば市販品では、好ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜40μmである。またその形状も、板状、櫛型状、管状、網目状、環状等のいずれでもよい。これらの多様な形態はいずれも多孔質構造を有するものであり、前記粒度に対し比表面積も比較的大きく、その範囲は限定されるものではないが平均的には10〜40m/gを示す。さらに、酸処理精製したものや焼成処理したものを用いることもできる。本発明においては、これらいずれの珪藻土を用いても、硬さと応力とを高度にバランスさせることができる。
珪藻土(B)の含有量は、ニトリル基含有共重合ゴム100重量部に対し、5〜100重量部であることを要し、好ましくは7〜90重量部、より好ましくは10〜85重量部である。珪藻土(B)の含有量が多すぎると、得られるゴム成形品の硬度が高くなりすぎる傾向にある。逆に少なすぎると、ゴム成形品の応力を十分に高められない場合がある。
本発明のゴム組成物には、さらに必要に応じてα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)を含有していてもよい。このα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)は補強効果を奏するものであり、これを含有することにより、得られるゴム成形品の機械的強度特性を高めることができる。
本発明に用いられるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)を構成するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、少なくとも1価のフリーのカルボキシル基を有するものであって、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルなどが例示される。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、3−ブテン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチルなどが挙げられる。
これらの中で、得られるゴム成形品の機械的強度特性が高いことからエステル基を持たないα,β−エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)を構成する金属としては、得られるゴム成形品の機械的強度特性が高いことから、好ましくは亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、錫および鉛を挙げることができ、より好ましくは亜鉛、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウム、さらに好ましくは亜鉛を挙げることができる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)は、ニトリル基含有共重合ゴム(A)に、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と前記金属または金属化合物とを配合して、ゴム組成物の製造時にニトリル基含有共重合ゴム(A)中で両者を反応させて、金属塩(C)を生成させてもよい。このような方法で生成された金属塩(C)は細かく、分散させやすいことから好ましい。金属塩(C)を生成させるのに用いられる金属化合物としては、前記金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩などが挙げられ、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましい。
ニトリル基含有共重合ゴム(A)中にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属または金属化合物とを配合してα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)を生成させる場合には、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸1モルに対して、金属または金属化合物を金属量として0.5〜3.2モル、好ましくは0.7〜2.5モル配合して反応させる。金属または金属化合物量が少なすぎても多すぎても、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が金属または金属化合物と反応しにくくなる。ただし、金属化合物として、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛などを用いる場合は、それら単独でもゴムの配合剤として加硫促進剤として機能するので、上記範囲の上限を超えても、配合組成によっては問題を生じない場合がある。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)は、取り扱いの問題を生じない限り、細かなものが好ましく、粒子径20μm以上の粒子の含有量を5%以下としたものが好ましい。そのためには、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)をニトリル基含有共重合ゴム(A)に配合する場合には金属塩を、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)をニトリル基含有共重合ゴム(A)で生成する場合には金属化合物を、風力分級装置で分級する、ふるい分級装置で分級するなどの方法によって、細かくすればよい。
また、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)は、脂肪酸、脂肪酸塩、金属酸化物、スコーチ防止剤、反応性モノマー等の各種配合剤を含有し、加工性を改良したものであってもよい。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)の含有量は、ニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、3〜100重量部であることを要し、好ましくは9〜80重量部、より好ましくは15〜70重量部である。少なすぎると機械的強度特性を向上させる効果が不十分となる場合があり、逆に多すぎると混練が困難になる場合がある。
また、本発明のゴム組成物には、珪藻土(B)以外にもカーボンブラック、シリカ、短繊維などの補強剤;炭酸カルシウム、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム等の充填剤;などを含有してもよい。さらに、一般的なゴム工業の分野で用いられる配合剤、例えば、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、顔料、粘着付与剤、滑剤、スコーチ防止剤、カップリング剤、可塑剤、軟化剤等を含有してもよい。また、ニトリル基含有共重合ゴム(A)以外のゴムや樹脂を本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で含有してもよい。これらの配合量は、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲であれば特に限定されるものではない。
本発明のゴム組成物の製造方法は、特に限定されず、一般のゴム組成物の製造方法と同様であり、各成分を配合し混練すればよい。例えば、加硫剤を除く成分をバンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダーなどの混練機で一次混練した後、ロールで加硫剤を添加し二次混練することにより製造することができる。
B.加硫物
本発明の加硫物は、上記「A.ゴム組成物」の欄で詳述したゴム組成物に、ゴムの加硫剤として通常用いられる加硫剤を配合し、加硫させてなることを特徴とする。
加硫方法としては、ゴム組成物を成形後または成形と同時に加熱する方法が挙げられる。
加硫温度は、ゴム組成物の種類に応じて異なるものではあるが、好ましくは100〜200℃、より好ましくは130〜195℃、さらに好ましくは140〜190℃である。加硫温度が低すぎると加硫時間が長時間必要となったり、加硫密度が低くなったりする場合がある。逆に高すぎると、成形不良になる場合がある。
加硫時間は、加硫方法、加硫温度または形状等により大きく異なるものではあるが、加硫密度と生産効率の観点から、通常は1分間〜12時間であることが好ましい。
加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの加硫方法として通常用いられる公知の方法を挙げることができる。加硫物の形状、大きさなどによっては、表面は加硫していても、内部が加硫しないことがある。そのような場合、上記のように加硫した後、高温状態に維持する二次加硫を行なってもよい。
本発明の加硫物の用途は特に限定されず、例えば、シール、ゴムベルト、ゴムロール、ゴムホースタイヤ、パッキン、ブーツ、などの工業用製品またはその部品をはじめ、油井、ガス井などで用いられるパッカー、アウトプリベンダー、パイププロテクターなどにも用いることができる。シールとしては、回転用、揺動用、往復動用などの運動用シールと固定用シールが挙げられる。運動用シールとしては、オイルシール、ピストンシール、メカニカルシールなどが挙げられ、固定用シールとしては、Oリング、メンタルレジェントシール、各種ガスケットなどが挙げられる。ゴムベルトとしては、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、丸ベルト、角ベルト、歯付ベルトなどが挙げられる。ゴムロールとしては、印刷機器、コピー機器などのOA機器の部品であるロール、紡糸用延伸ロール、紡績用ドラフトロールなど繊維加工用ロール、ブライドルロール、スナバロール、ステアリングロールなど製鉄用ロールなどが挙げられる。ゴムホースは、単管ゴムホース、多層ゴムホース、編上式補強ホース、布巻式補強ホースなどが挙げられる。本発明の加硫物は、耐熱性および耐油性に優れ、かつ硬度と応力とのバランスに優れていることから、各種タイヤ、ベルト、ホース、パッキン、シール、ブーツ、ロール等のゴム成形品、特に過酷な条件下で使用される自動車のエンジンルーム等のゴム成形品として好適に用いられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、部または配合に関わる%は、特に記載しない限り、重量基準である。また、各特性評価試験は、下記の方法で行った。
(1)引張試験
加硫シート状物をダンベル3号形でゴムの列理方向(ロール押出方向)と平行に打ち抜いて、この試験片を用いてJIS K6251に従って、引張強さ(MPa)、伸び(%)および50%引張応力(MPa)を測定した。
(2)硬さ試験(Duro A)
JIS K6253に従って、デュロメータ硬さ試験機タイプA型を用いて加硫シート状物の硬さを測定した。
(実施例1)
表1に記載の配合で、50℃でロール混練して、ゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物を15cm×15cm×0.2cmの金型に入れ、10MPaに加圧しながら、170℃で20分間プレス成形し、加硫シート状物を得た。この加硫シート状物を用いて各特性評価試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
珪藻土の含有量を25部から85部に変えたことを除いては、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、これを用いて加硫シート状物を作製し、各特性評価試験に供した。
(比較例1)
珪藻土に代えてシリカ20部を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、これを用いて加硫シート状物を作製し、各特性評価試験に供した。
(比較例2)
珪藻土に代えてクレー25部を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、これを用いて加硫シート状物を作製し、各特性評価試験に供した。
(比較例3)
珪藻土に代えてタルク25部を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、これを用いて加硫シート状物を作製し、各特性評価試験に供した。
(比較例4)
珪藻土に代えてシリカ75部を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、これを用いて加硫シート状物を作製し、各特性評価試験に供した。
(比較例5)
ニトリル基含有共重合ゴム1をニトリル基含有共重合ゴム2に代え、ジメタクリル酸亜鉛を配合せず、加硫剤の量を6部から2.5部に代えたことを除いては、実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、これを用いて加硫シート状物を作製し、各特性評価試験に供した。
(比較例6)
珪藻土25部に代えて、クレー25部を用いたことを除いては、比較例5と同様にしてゴム組成物を調製し、これを用いて加硫シート状物を作製し、各特性評価試験に供した。
Figure 0004487610
<表中の成分>
・ニトリル基含有共重合ゴム1
(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム水素添加物、ヨウ素価28、アクリロニトリル単位含有量36.2%、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4) 78、日本ゼオン社製、Zetpol 2020)
・ニトリル基含有共重合ゴム2
(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ヨウ素価300、アクリロニトリル単位含有量33.5%、100℃におけるムーニー粘度ML(1+4) 77.5)
・ジメタクリル酸亜鉛
・珪藻土
(セライト コーポレーション(Celite Corporation)製、セライト スノーフロス)
・シリカ
(シオノギ製薬(株)製、カープレックス 1120、pH値8.5)
・クレー
(アール.ティー.ヴァンダービルト(R.T.Vanderbilt)製、ディキシークレー)
・タルク
(竹原化学(株)製、TTタルク)
・可塑剤
(トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、旭電化工業株式会社製、アデカサイザーC−8)
・老化防止剤1
(4,4´−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、大内新興化学工業(株)製、ノクラックCD)
・老化防止剤2
(2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、大内新興化学工業(株)製、ノクラックMBZ)
・シランカップリング剤
(ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、日本ユニカー(株)製、A−172)
・ジエチレングリコール
・加硫剤
(1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品、日本油脂(株)製、ペロキシモンF−40)
表1より以下のことが明らかである。すなわち、ニトリル基含有共重合ゴム1に対し、シリカ、クレーまたはタルクを実施例1と同じ硬さが得られる量だけ配合した場合には、引張応力が劣ることがわかった(比較例1〜3)。一方、シリカを実施例1と同じ引張応力が得られる量だけ配合した場合には、硬さが大きくなりすぎてしまった(比較例4)。さらに、ニトリル基含有共重合ゴム1に代えて、ヨウ素価が300以上であるニトリル基含有共重合ゴム2を用い、ジメタクリル酸亜鉛を配合しなかった場合には、珪藻土を配合しても引張応力が劣ることがわかった。(比較例5と比較例6との比較)。
これに対し、ニトリル基含有共重合ゴム1に珪藻土を配合した場合には、硬さと引張応力とのバランスを高められることが示された(実施例1および2)。

Claims (4)

  1. ヨウ素価100以下、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有量10〜60重量%のニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、珪藻土(B)5〜100重量部およびα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(C)3〜100重量部を含有してなるゴム組成物。
  2. 前記ニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対し、前記珪藻土(B)25〜85重量部を含有してなる請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載のゴム組成物を加硫してなる加硫物。
  4. 自動車のエンジンルームで用いられるゴム成形品である請求項3に記載の加硫物。
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