JP2023151664A - アクリル共重合体含有組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

アクリル共重合体含有組成物およびゴム架橋物 Download PDF

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Ryo Okada
悠志 浅井
Yushi Asai
紀樹 北川
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雅嗣 内藤
Masatsugu Naito
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Abstract

【課題】長期間高温下の条件においても、伸びを損なわずにかつ強度変化率が小さい耐熱性に優れたゴム材料を与えるためのアクリル共重合体含有組成物を提供することを目的とする。【解決手段】架橋性基含有アクリル共重合体と一般式(1)に示される3級アミン化合物、2級アミン化合物および架橋剤とを含有してなる組成物より作製されるゴム材料が長期間高温下にさらされても破断伸びが良好であることを見出した。TIFF2023151664000006.tif2955【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル共重合体含有組成物、および、そのゴム材料に関し、さらに詳しくは長時間高温下における伸びや強度などの物性が低下しにくく、耐熱性が向上したアクリル共重合体含有組成物、および、アクリル共重合体含有組成物より作製されるゴム材料に関する。
一般に、アクリル重合体は、アクリル酸エステルを主原料とする重合体であり、耐久性に関する諸物性に優れた材料として知られ、エンジンガスケット、オイルホース、エアホース、Oリングなどの工業用ゴム材料や自動車用ゴム材料として広汎に用いられている。
しかしながら、このような自動車用のゴム部材、特にエンジンルーム内で使用されるゴム部材については、エンジンの高出力化に伴う過給機(ターボチャージャー)の高性能化、および近年の排ガス規制の強化から更なる耐熱性の向上、例えば、長期間高温下の条件においても物性低下が小さいことが求められるようになった。
特にこれら自動車関連の分野などに用いられるホースやパッキン類等のゴム部品は、長期耐熱後の伸び変化率が小さいだけではなく強度等の強度変化率も小さいことが求められているがこれらは背反特性であるため同時に改良することは容易ではない。
このような状況に対して、特許文献1では、アミノ基がアシル化された共重合性ジフェニルアミン誘導体化合物をアクリル系エラストマーと共重合させたアクリル共重合体が開示されている。これらのアクリル共重合体を架橋させることで、熱老化後の引張強度の低下と破断時の伸びの低下が少なく、両物性低下抑制のバランスが良好であるとしている。しかし、それでも高温・長時間の熱履歴を受けた後の引張強度は大きく低下しており、より高温・長時間での耐熱性の優れたゴム材料が望まれている。
特開2021-187805号公報
本発明は、ゴム材料の耐熱性、特に長期間高温下における伸びや強度の劣化による変化率を低減させることができるアミン化合物を含有するアクリル共重合体含有組成物、およびそのゴム材料を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の態様に示す発明を提供する。

項1 架橋性基含有アクリル共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)で表される3級アミン化合物0.1~5質量部、2級アミン化合物0.1~5質量部、および、架橋剤0.1~20質量部を少なくとも含有するアクリル共重合体含有組成物。
Figure 2023151664000001
(一般式(1)中、置換基Rは直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数6~16の芳香族炭化水素基(縮合環構造を形成してもよい))
項2 示差熱重量分析による重量減少の補外融解開始温度が180℃以上300℃未満である一般式(1)で表される3級アミン化合物を含有する項1に記載のアクリル共重合体含有組成物。
項3 前記一般式(1)で示される3級アミン化合物の置換基Rがtert-ブチル基である項1または2に記載のアクリル共重合体含有組成物。
項4 前記2級アミン化合物がアミン系老化防止剤である項1~3に記載のアクリル共重合体含有組成物
項5 項1~4に記載のアクリル共重合体含有組成物より作製されるゴム材料。
本発明に係る3級アミン化合物は、アミノ基が適切な置換基で保護された遅効性老化防止剤であり、低温時には置換基が脱離して水素に置換されることがない。そのため、一般的なアミン系老化防止剤よりも高い温度領域で老化防止作用を発揮する。よって、高温環境下において通常使用されるアミン系老化防止剤である2級アミン化合物と併用することで長期に渡る老化防止作用が発揮される。
以上から本発明の3級アミン化合物および2級アミン化合物を含有するアクリル共重合体含有組成物は、長期高温下での耐熱性に優れ、特に強度や破断時の伸び等の力学特性を損なわないために、燃料系ホースやエアー系ホース、チューブ材料等の自動車用ゴム材料として好適である。
一般式(1)で表される3級アミン化合物、2級アミン化合物の示差熱重量分析での重量減少 補外融解開始温度の算出方法
<アクリル共重合体含有組成物>
本発明のアクリル共重合体含有組成物は、架橋性基含有アクリル共重合体、一般式(1)で表される3級アミン化合物、2級アミン化合物、および架橋剤を少なくとも含む。
<架橋性基含有アクリル共重合体>
本発明のアクリル共重合体含有組成物に含まれる架橋性基含有アクリル共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位および/または(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を含有する架橋性基含有アクリル共重合体である。ここで(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、あるいはメタクリル酸アルキルエステルのいずれかであることを意味しており、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとは、アクリル酸アルコキシアルキルエステル、あるいはメタクリル酸アルコキシアルキルエステルのことを意味している。
アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位は、炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位であることが好ましく、炭素数2~6のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位であることがより好ましく、炭素数2~4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位であることがさらに好ましい。
炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸n-ヘプチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を例示することができ、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチルに由来する構成単位であることが好ましい。これらは、単独でも、2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位は、炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位であることが好ましく、炭素数2~6のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を有することがより好ましく、炭素数2~4のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を有することがさらに好ましい。
炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位の具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を例示することができ、(メタ)アクリル酸メトキシエチルに由来する構成単位であることが好ましい。これらは、単独でも、2種類以上の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成であってもよい。
炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位および/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、架橋性基含有アクリル共重合体の全構成単位において、下限としては70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。また上限としては99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99質量%以下であることが特に好ましい。これら上記の範囲であることにより耐寒性や耐油性の点で優れる。
メタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位は、炭素数1~12のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位であることが好ましく、炭素数2~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位であることがより好ましく、炭素数3~8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位であることがさらに好ましい。
炭素数1~18のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ペンチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸n-ドデシル、メタクリル酸n-ラウリルおよびメタクリル酸n-ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を例示することできる。これらは、単独、または2種以上のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位であってもよい。
炭素数1~18のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、架橋性基含有アクリル共重合体の全構成単位中において、下限として、0質量%以上であってよく、1質量%以上であってよく、1.5質量%以上であってよい。また上限として、10質量%以下であってよく、8質量%以下であることであってよく、6質量%以下であってよい。メタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位が上記の範囲であることにより、耐熱性、耐油性、耐寒性の点で優れる。
架橋性基含アクリル共重合体における、架橋性基の構成単位としては、カルボキシ基を有する不飽和単量体由来の構成単位、ハロゲン基(例えば、塩素基など)を有する不飽和単量体由来の構成単位、エポキシ基を有する不飽和単量体由来の構成単位を例示することができ、ハロゲン基(特に塩素基)、カルボキシル基を有する不飽和単量体を有する不飽和単量体由来の構成単位が特に好ましい。
カルボキシ基を有する不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2-ペンテン酸、桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの無水カルボン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn-ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノ2-エチルヘキシル、マレイン酸モノn-ブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシルなどのブテンジオン酸モノ環状アルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノn-ブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノエステル;などが挙げられる。このなかでも、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステルなどが挙げられる。
エポキシ基を有する不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
塩素原子を有する不飽和単量体としては、例えば、2-クロロエチルビニルエーテル、2-クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、モノクロロ酢酸ビニル、アリルクロロアセテートなどが挙げられる。
架橋性基含有アクリル重合体中の架橋基を有する不飽和単量体由来の構成単位の含有割合は、アクリル共重合体の全構成単位において、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以下であることが特に好ましい。架橋基を有する不飽和単量体由来の構成単位が上記の範囲であることにより、強度や圧縮永久歪性等の物性、および加工性の点で好ましい。
さらに本発明の架橋性基含有アクリル共重合体は、上記の構成単位以外に、これらと共重合可能なその他の単量体に由来する構成単位を含有してもよい。その他の構成単位としては、エチレン性不飽和ニトリルに由来する構成単位、(メタ)アクリルアミド系モノマーに由来する構成単位、芳香族ビニル系モノマーに由来する構成単位、共役ジエン系モノマーに由来する構成単位、非共役ジエン類に由来する構成単位、その他のオレフィンに由来する構成単位等が挙げられる。
エチレン性不飽和ニトリルに由来する構成単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等の化合物に由来する構成単位が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系モノマーに由来する構成単位としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド、N-ブトキシエチルアクリルアミド、N-ブトキシエチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-プロピオキシメチルアクリルアミド、N-プロピオキシメチルメタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、エタクリルアミド、クロトンアミド、ケイ皮酸アミド、マレインジアミド、イタコンジアミド、メチルマレインアミド、メチルイタコンアミド、マレインイミド、イタコンイミド等の化合物に由来する構成単位が挙げられる。
芳香族ビニル系モノマーに由来する構成単位としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、p-エチルスチレン、α-フルオロスチレン、p-トリフルオロメチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-アミノスチレン、p-ジメチルアミノスチレン、p-アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸あるいはその塩、α-ビニルナフタレン、1-ビニルナフタレン-4-スルホン酸あるいはその塩、2-ビニルフルオレン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ビニルベンジルクロライド等の化合物に由来する構成単位が挙げられる。
共役ジエン系モノマーに由来する構成単位としては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、1,2-ジクロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-ネオペンチル-1,3-ブタジエン、2-ブロモ-1,3-ブタジエン、2-シアノ-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、クロロプレン、ピぺリレン等の化合物に由来する構成単位が挙げられる。
また、非共役ジエン類に由来する構成単位としては、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン等の非共役ジエン類の化合物に由来する構成単位が挙げられる。
その他のオレフィン系モノマーに由来する構成単位としては、アクリル酸ジシクロペンタジエニル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニルメタクリレート、アクリル酸ジシクロペンタジエニルエチル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニルエチル等のエステル類、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、1,2-ジクロロエチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、1,2-ジフルオロエチレン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、1,2-ジブロモエチレン、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等の化合物に由来する構成単位が挙げられる。
本発明のアクリル共重合体において、これらの共重合可能なその他の単量体に由来する構成単位を含有させる場合には、全構成単位における含有量は0~15質量%であってよく、0~10質量%であってよく、0~5質量%であってよい。
本発明のアクリル共重合体において、その構成単位の含有量については、得られた重合体の核磁気共鳴スペクトルにより決定することができる。
本発明におけるアクリル共重合体の分子量範囲は、加工性の観点から、JIS K 6300に定めるムーニースコーチ試験での100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)表示で、10~100となる分子量の範囲であるが好ましく、15~90となる分子量の範囲であることがより好ましく、20~80となる分子量の範囲であることがさらに好ましい。
<アクリル共重合体の製造方法>
本発明で用いるアクリル共重合体は、それぞれ各種モノマーを重合することにより得ることができる。使用するモノマーはいずれも市販品であってよく、特に制約はない。
重合反応の形態としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、および溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性などの点から、従来公知のアクリル共重合体の製造法として一般的に用いられている常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
乳化重合による重合の場合には、通常の方法を用いればよく、重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤、重合停止剤等は一般的に使用される従来公知のものが使用できる。
本発明で用いられる乳化剤は特に限定されず、乳化重合法おいて一般的に用いられるノニオン性乳化剤およびアニオン性乳化剤等を使用することができる。ノニオン乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルまたはその塩、脂肪酸塩等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いてもよい。
本発明で用いられる乳化剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、仕込みのモノマー量に対して、0.01~10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。モノマー成分として、反応性界面活性剤を用いる場合は、乳化剤の添加は必ずしも必要でない。
本発明で用いられる重合開始剤は特に限定されず、乳化重合法おいて一般的に用いられる重合開始剤を使用することができる。その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩に代表される無機系重合開始剤、2,2-ジ(4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1-ジ-(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)吉草酸n-ブチル、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、t-ヘキシルパーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオキシネオデカネート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物系の重合開始剤、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、4-4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2-2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン、2-2’-アゾビス(プロパン-2-カルボアミジン)2-2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロパンアミド、2-2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}、2-2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)および2-2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロパンアミド}などのアゾ系開始剤等が挙げられる。これら重合開始剤は1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる重合開始剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、仕込みのモノマー量に対して、0.01~5質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
また、重合開始剤としての有機過酸化物および無機過酸化物は、還元剤と組み合わせることにより、レドックス系重合開始剤として使用することができる。組み合わせて用いる還元剤としては、特に限定されないが、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物、メタンスルホン酸ナトリウム等のメタン化合物、ジメチルアニリン等のアミン化合物、アスコルビン酸およびその塩、亜硫酸およびチオ硫酸のアルカリ金属塩などの還元性を有する無機塩などが挙げられる。これらの還元剤は単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。還元剤の使用量は、仕込みモノマー100質量部に対して好ましくは0.0003~10.0質量部である。
連鎖移動剤は、必要に応じて用いることができる。連鎖移動剤の具体例としては、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、t-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α-ベンジルオキシスチレン、α-ベンジルオキシアクリロニトリル、α-ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2-エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いてもよい。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、仕込モノマー量100質量部に対して0~5質量部にて使用される。
重合停止剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムおよびヒドロキノンなどのキノン化合物などが挙げられる。重合停止剤の使用量は、特に限定されないが、通常、全単量体100質量部に対して、0~2質量部である。
さらに上記の方法によって得られた重合体は、必要に応じてpH調整剤として塩基を用いることでpHを調整することができる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、無機アンモニウム化合物、有機アミン化合物等が挙げられる。pHの範囲は、下限として、pH1以上であることが好ましく、pH1.5以上であることがより好ましく、pH2以上であることがさらに好ましい。上限として、pH11が好ましく、pH10.5以下であることがより好ましく、pH10以下であることがさらに好ましい。
これ以外にも必要に応じて、粒径調整剤、キレート化剤、酸素捕捉剤等の重合副資材を使用することができる。
乳化重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合時間および重合温度は特に限定されない。使用する重合開始剤の種類等から適宜選択できるが、一般的に、重合温度は10~100℃であり、重合時間は0.5~100時間である。
上記の方法で得られた重合体を回収する方法については特に制限はなく、一般に行われている方法を採用することができる。その方法の一例として、重合液を、凝固剤を含む水溶液に連続的または回分的に供給する方法が挙げられ、この操作によって凝固スラリーが得られる。その際凝固剤を含む水溶液の温度は、モノマーの種類と使用量、撹拌等による剪断力などの凝固条件の影響を受けるため、これを一律に規定することはできないが、一般的には50℃以上、好ましくは60℃~100℃の範囲である
上記の方法で得られた凝固スラリーは、凝固剤を除去するために水洗洗浄を行うことが好ましい。水洗洗浄を全く行わない、あるいは洗浄が不十分である場合凝固剤に由来するイオン残留物が成形工程で析出されてしまう恐れがある。
水洗洗浄後の凝固スラリーから水分を除去し乾燥することでアクリル共重合体を得ることができる。乾燥の方法としては特に限定されないが一般的にはフラッシュドライヤーや流動乾燥機などを用いて乾燥される。また、乾燥工程の前に遠心分離機等による脱水工程を経ても良い。
<3級アミン化合物>
本発明の3級アミン化合物は、一般式(1)で表され、置換基Rは直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数6~16の芳香族炭化水素基であり、また、縮合環構造を形成していてもよい。置換基Rを具体的に例示できるものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1~10の直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素数3~10の分枝鎖状炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、キセニル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-メチルベンジル基、9-フルオレニルメチル基等の炭素数6~16の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
Figure 2023151664000002
一般式(1)で表される3級アミン化合物(A)の置換基Rとしては、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~10の炭化水素基であることが好ましく、分枝鎖状の炭素数1~10の炭化水素基であることがより好ましく、置換基Rがtert-ブチル基である一般式(2)で表される3級アミン化合物がさらに好ましい。
Figure 2023151664000003
本発明のアクリル共重合体含有組成物に含まれる3級アミン化合物の含有量は、架橋性基含有アクリル共重合体100質量部に対して、下限は0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが特に好ましい。一方、上限は5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
本発明の3級アミン化合物の示差熱重量分析での重量減少における補外融解開始温度は、下限としては180℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。これらの温度以上であることで、3級アミン化合物の置換基が混練り時や加硫時には脱離することなく、耐熱老化時に置換基が脱離することで水素へと徐々に置換されるため老化防止剤としての作用を発現する。一方、補外融解開始温度の上限として300℃未満であることが好ましく、250℃未満であることがより好ましい。これは300℃以上ではアミン化合物自体が熱分解してしまうため、老化防止剤としての効果が得られない。なお、補外融解開始温度とは、JIS K 7121:2012で規定される、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と,融解ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接線の交点の温度である。
<2級アミン化合物>
本発明における2級アミン化合物はアミン系老化防止剤であり、その具体例としては4,4’-(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’-オクチルジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジー2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンなどが挙げられる。そのなかでも4,4’-(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンを用いることが好ましい。
本発明のアクリル共重合体含有組成物に含まれる2級アミン化合物の含有量は、架橋性基含有アクリル共重合体100質量部に対して、下限は0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが特に好ましい。一方、上限は5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
<架橋剤>
架橋剤としては、多価アミン化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、アジリジン化合物、硫黄化合物、塩基性金属酸化物、有機金属ハロゲン化物、高級脂肪酸金属塩(脂肪酸金属石けん)チオール化合物などのゴムの架橋に通常用いられる従来公知の架橋剤を用いることができる。これらのなかでも、多価アミン化合物が好ましく用いられる。
多価アミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン等の脂肪族多価アミン化合物や、4,4’-メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3,5-ベンゼントリアミン、1,3,5-ベンゼントリアミノメチル、イソフタル酸ジヒドラジド等の芳香族多価アミン化合物が挙げられる。
多価エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA 型エポキシ化合物、ビスフェノールF 型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA 型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF 型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物などのグリシジルエーテル型エポキシ化合物; 脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物などのその他の多価エポキシ化合物が挙げられる。
多価イソシアナート化合物としては、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、p-フェニレンジイソシアナート、m-フェニレンジイソシアナート、1,5-ナフチレンジイソシアナート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアナート、1,6,11- ウンデカントリイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート等が挙げられる。
アジリジン化合物としては、トリス- 2,4,6-(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、トリス〔1-(2-メチル)アジリジニル〕ホスフィノキシド、ヘキサ〔1-(2-メチル) アジリジニル〕トリホスファトリアジン等が挙げられる。
硫黄化合物としては、硫黄、4,4’-ジチオモルホリンやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
塩基性金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
有機金属ハロゲン化物としては、ジシクロペンタジエニル金属ジハロゲン化物が例示され、金属としては、チタン、ジルコニウム等が挙げられる。
高級脂肪酸金属塩としては、アルキル基またはアルケニル基の炭素数が8~18の脂肪酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸バリウム等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いてもよい。
チオール化合物としては、例えば1,3,5-トリアジンジチオールあるいはその誘導体、1,3,5-トリアジントリチオール等が挙げられる。
これらの架橋剤は単独で用いてもよいし、2種類以上の組み合わせで用いてもよい。架橋剤の量は、本発明のアクリル共重合体100質量部に対して、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが特に好ましく、20質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、2.5質量部以下であることが特に好ましい。
また、本発明のアクリル共重合体含有組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば、滑剤、軟化剤、老化防止剤、光安定化剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、顔料、着色剤、架橋促進剤、架橋助剤、架橋遅延剤、帯電防止剤、発泡剤等を任意に配合できる。
軟化剤としては、例えば、潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等を例示することができる。
老化防止剤としては、前記2級アミン系老化防止剤の他、例えば、フォスフェート系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、クレゾール系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジチオカルバメート金属塩系老化防止剤等を例示することができる。
架橋促進剤としては、グアニジン化合物、アミン化合物、チオウレア化合物、チアゾール化合物、スルフェンアミド化合物、チウラム化合物、四級アンモニウム塩等を例示することができ、グアニジン化合物、アミン化合物が好ましい。
グアニジン化合物としては、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。
アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジセチルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、ジオクタデシルアミン等の2級アミン化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-t-ブチルアミン、トリ-sec-ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン等の3級アミン化合物が挙げられる。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、当該技術分野で通常行われているゴム、樹脂等とのブレンドを行うことも可能である。本発明に用いられるゴムを例示すれば、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-イソプレンゴム、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられ、また樹脂を例示すれば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、PUR(ポリウレタン)樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂、EVA(エチレン/酢酸ビニル)樹脂、AS(スチレン/アクリロニトリル)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂等が挙げられる。
上記ゴム、樹脂の合計配合量は、本発明のアクリル共重合体100質量部に対して、50質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
本発明のアクリル共重合体含有組成物の配合方法としては、従来ポリマー加工の分野において利用されている任意の手段、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を利用することができる。
その配合手順としては、ポリマー加工の分野において行われている通常の手順で行うことができる。例えば、最初にポリマーのみを混練りし、次いで架橋剤、架橋促進剤以外の配合剤を投入したA練りコンパウンドを作製し、その後、架橋剤、架橋促進剤を投入するB練りを行う手順で行うことができる。
本発明のアクリル共重合体含有組成物を架橋させることによりゴム材料を作製することができる。架橋時間は温度(通常100~250℃で行われる)によって異なるが、0.5~300分の間で行われるのが普通である。架橋成型は架橋と成型を一体的に行う場合や、先に成型したアクリル共重合体含有組成物に改めて加熱することで架橋物とする場合の他、先に加熱して架橋物を成型のために加工を施す場合のいずれでもよい。架橋成型の具体的な方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線、あるいはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
このようにして得られる本発明のゴム材料は、長時間高温下における伸びや強度などの物性が低下しにくく、耐熱性に優れるものである。
そのため、上記特性を活かして、O-リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウェルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧機器用シール、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケットとして好適に用いられる。
また、自動車用途に用いられる押し出し成型製品および型架橋製品として、燃料ホース、フィラーネックホース、ベントホース、ベーパーホース、オイルホース等の燃料タンクまわりの燃料油系ホース、ターボエアーホース、エミッションコントロールホース等のエアー系ホース、ラジエーターホース、ヒーターホース、ブレーキホース、エアコンホース等の各種ホース類に好適に使用できる。
本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例では、アクリル共重合体含有組成物およびアクリル共重合体含有組成物から作製されるゴム材料の物性を以下の通りに評価した。また、3級アミン化合物、2級アミン化合物の補外融解開始温度については下記の通りに測定を行った。
(ムーニースコーチ試験(t5))
得られた未架橋シートを用い、JIS K 6300に定めるムーニースコーチ試験を、東洋精機社製 Mooney Viscometer AM-3を用いて125℃において測定した。
(常態物性試験(100%モジュラス、強度TB、伸びEB))
得られたアクリルゴム架橋物を用い、島津製作所社製 AGS-5KNYを用いて、引張試験および硬さ試験の評価を行った。引張試験はJIS K 6251に記載の方法に準じて行った。
(耐熱老化試験)
上記架橋物を用い180℃の条件下で、900時間加熱することによって、耐熱老化させた。耐熱老化後に、常態物性の試験と同様にして引張試験の評価を行った。△TB、△EBは、それぞれ常態物性(耐熱老化試験前)に対する、TB、EBの変化率である。また、耐熱老化試験後の強度TBと伸びEBの積(TB×EB)を抗張積とした。この数値が大きいほど、耐熱性が優れることを示す。
(補外溶融開始温度)
本発明で用いる2級アミン化合物および3級アミン化合物を示差熱熱重量同時測定装置((株)日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA6300)を用いて、空気流量200ml/分で試料約10mgを35℃から900℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、35℃から900℃の温度範囲での重量減少を測定し、補外溶融開始温度を評価した。補外溶融開始温度とは、低温側のベースラインを高温側へ延長した直線と重量減少における最大勾配となる点で引いた接線の交点の温度のことを指す。
[重合例1]
温度計、攪拌装置、窒素導入管および減圧装置を備えた重合反応器に、水200質量部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル1.7質量部、モノマーとしてアクリル酸エチル49.3質量部、アクリル酸n-ブチル49.3質量部、およびフマル酸モノエチル1.4質量部を仕込み、減圧による脱気および窒素置換を繰り返して酸素を十分除去した後、アスコルビン酸ナトリウム0.1質量部および過硫酸カリウム0.1質量部を加えて常温、常圧下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が95%に達するまで反応を継続し、ヒドロキノン0.0075質量部添加して重合を停止した。得られた乳化重合液を硫酸ナトリウム水溶液で凝固させ、水洗、乾燥して架橋性基含有アクリル共重合体Aを得た。
[実施例1]
架橋性基含有アクリル共重合体Aを100質量部とA練りコンパウンド用原料であるカーボンブラックN550を60質量部、ステアリン酸2質量部、3級アミン化合物として4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-N-(tert-ブトキシカルボキシ)-ジフェニルアミン1質量部、2級アミン化合物として4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン1質量部を配合し、100℃で混練を行い、A練りコンパウンドを作製した。オープンロールを用いて、A練りコンパウンドをシート状に加工し、B練りコンパウンド用原料であるヘキサメチレンジアミンカーバメイト0.6質量部、ジ-o-トリルグアニジン2質量部を配合して、混練を行い、シート化することでアクリル共重合体含有組成物の未架橋ゴムシートを得た。得られた未架橋ゴムシートを180℃で10分プレス処理し、さらにこれをエアオーブン180℃で3時間加熱し、アクリルゴム材料を得た。アクリル共重合体含有組成物のムーニースコーチ試験、アクリルゴム材料の常態物性試験および耐熱老化試験を上記の通りに行い、評価結果を表1に示す。なお、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-N-(tert-ブトキシカルボキシ)-ジフェニルアミンの補外融解開始温度は224℃であり、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンの補外融解開始は335℃であった。重量減少のグラフを図1に、補外融解開始温度と重量減少の関係性を表すグラフを図2に示す。
[比較例1]
4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-N-(tert-ブトキシカルボキシ)-ジフェニルアミンを0質量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、得られたアクリル共重合体含有組成物の未架橋ゴムシート、およびアクリルゴム材料の評価を上記の通りに行い、評価結果を表1に示す。
[比較例2]
4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-N-(tert-ブトキシカルボキシ)-ジフェニルアミンを0質量部、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンを2質量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、得られたアクリル共重合体含有組成物の未架橋ゴムシート、およびアクリルゴム材料の評価を上記の通りに行い、評価結果を表1に示す。
[比較例3]
4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-N-(tert-ブトキシカルボキシ)-ジフェニルアミンを0質量部、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンを3質量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、得られたアクリル共重合体含有組成物の未架橋ゴムシート、およびアクリルゴム材料の評価を上記の通りに行い、評価結果を表1に示す。
Figure 2023151664000004
表1で示すように、実施例1および2に示される本発明のアクリル共重合体含有組成物を架橋してなるゴム材料は、比較例1~3に対して、耐熱老化試験において、耐熱老化後の強度変化率(△TB)および伸び変化率(△EB)の両物性におけるバランスが良好、かつ、抗張積も最も大きい結果となり、耐熱性に優れていることが分かった。また、図2に示すように、本発明の3級アミン化合物の示差熱重量分析による重量減少の補外開始温度が180℃以上300℃未満の範囲であるために、耐熱試験中に3級アミン化合物の置換基が脱離し、水素へと置換されることで2級アミン化合物として再生したため、長期に渡って老化防止作用が継続したと考えられる。これらの結果から、本発明のアクリル共重合体含有組成物を架橋してなるゴム材料は、長時間高温下にさらされても、伸びを損なうことなく、強度変化率が小さく耐熱性に優れていることが分かる。
本発明のアクリル共重合体含有組成物は、優れた耐熱性、耐候性、耐オゾン性、耐磨耗性を活かしたゴム製品や樹脂製品の材料としてあるいは接着剤原料や塗料原料として幅広く用いることが可能である。特に、本発明のアクリル共重合体を用いて作製されたゴム材料は、燃料系ホースやエアー系ホース、チューブ材料などの自動車用途として極めて有効である。

Claims (5)

  1. 架橋性基含有アクリル共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)で表される3級アミン化合物0.1~5質量部、2級アミン化合物0.1~5質量部、および、架橋剤0.1~20質量部を少なくとも含有するアクリル共重合体含有組成物。
    Figure 2023151664000005
    (一般式(1)中、置換基Rは直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~10の炭化水素基、または、炭素数6~16の芳香族炭化水素基(縮合環構造を形成してもよい))
  2. 示差熱重量分析による重量減少の補外融解開始温度が180℃以上300℃未満である一般式(1)で表される3級アミン化合物を含有する請求項1に記載のアクリル共重合体含有組成物。
  3. 前記一般式(1)で示される3級アミン化合物の置換基Rがtert-ブチル基である請求項1または2に記載のアクリル共重合体含有組成物。
  4. 前記2級アミン化合物がアミン系老化防止剤である請求項1~3に記載のアクリル共重合体含有組成物
  5. 請求項1~4に記載のアクリル共重合体含有組成物より作製されるゴム材料。
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