JP2024042443A - (メタ)アクリル系重合体、(メタ)アクリル系重合体含有組成物及び(メタ)アクリル系重合体架橋物 - Google Patents

(メタ)アクリル系重合体、(メタ)アクリル系重合体含有組成物及び(メタ)アクリル系重合体架橋物 Download PDF

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Abstract

【課題】高温下に曝された後でも破断伸びの変化率が小さい架橋物を提供する。【解決手段】重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体の架橋物が高温下に曝された後でも、当該架橋物の破断伸びの変化率が小さいことを見出した。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系重合体、(メタ)アクリル系重合体含有組成物及びその架橋物に関する。
一般的に(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを主原料とする重合体であり、耐久性に関する諸物性に優れた材料として知られ、エンジンガスケット、オイルホース、エアホース、Oリングなどの工業用ゴム材料や自動車用ゴム材料として広汎に用いられている。
しかしながら、このような自動車用のゴム部材、特にエンジンルーム内で使用されるゴム部材については、エンジンの高出力化に伴う過給機(ターボチャージャー)の高性能化、及び近年の排ガス規制の強化から更なる耐熱性の向上、例えば、長期間高温下の条件においても物性低下が小さいこと、特に破断伸びの物性低下が小さいことが求められるようになった。
このような状況に対して特許文献1には、メタクリル酸エチル単位が20~35重量%、アクリル酸エチル単位が0~20重量%、アクリル酸n-ブチル単位が50~75重量%、及びカルボキシル基含有単量体単位が0.5~4重量%からなるアクリルゴムが耐熱性や耐寒性等にバランスよく良好であることが提案されている。
国際公開番号WO2020/262495号
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位として特定の構成単位を使用する必要があり、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の使用の自由度が高い他の技術も望まれている。
本発明は、高温下に曝された後でも破断伸びの変化率が小さい架橋物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討した結果、重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体の架橋物は、(メタ)アクリル系重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位等の重合性モノマーに由来する構成単位の種類に関わらず、高温下に曝された後でも、当該架橋物の破断伸びの変化率が小さいことを見出し、本発明を完成させたものである。なお、上記架橋物を「(メタ)アクリル系重合体架橋物」と表記することもある。
本発明の態様は次のとおりである。
項1
(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位と架橋性モノマーに由来する構成単位とを含む(メタ)アクリル系共重合体であって、当該共重合体の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体。
項2
前記(メタ)アクリル系重合体が、(A)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、(B)架橋性モノマーに由来する構成単位、(C)カルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位を含む項1に記載の(メタ)アクリル系重合体。
項3
前記(メタ)アクリル系重合体100質量%中、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を50質量%以上含有する項1又は2に記載の(メタ)アクリル系重合体。
項4
(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位が、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び/又は炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位である項3に記載の(メタ)アクリル系重合体。
項5
重量平均分子量が100,000~8,000,000である項1~4のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体。
項6
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が10~100である項1~5のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体。
項7
アゾ系重合開始剤を使用して調製される項1~6のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体。
項8
項1~7のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体と架橋剤を含有する(メタ)アクリル系重合体含有組成物。
項9
項8に記載の(メタ)アクリル系重合体含有組成物を架橋してなる(メタ)アクリル系重合体架橋物。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、高温下に曝された後の、(メタ)アクリル系重合体架橋物の破断伸びが良好に維持され、破断伸びの変化率が小さい(メタ)アクリル系重合体架橋物を提供できる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する。より具体的には、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位と架橋性モノマーに由来する構成単位とを含む(メタ)アクリル系共重合体であって、当該共重合体の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する。本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた(メタ)アクリル系重合体架橋物は、高温下に曝された後の、破断伸びが良好に維持され、破断伸びの変化率が小さい。
本発明において、前記効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。
通常、(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖中に架橋性モノマーに由来する構成単位を有し、この構成単位に含まれる架橋基が架橋剤と反応し、架橋物が形成される。このように、従来の(メタ)アクリル系重合体では、重合体鎖中に存在する架橋基が架橋剤と反応することにより、架橋物が形成される。
本発明の(メタ)アクリル系重合体((メタ)アクリル系ゴム)は、重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有するため、この末端に存在するカルボン酸構造が、架橋の際に反応する。このように、本発明では、従来の重合体鎖中に存在する架橋基に代わって、又は、重合体鎖中に存在する架橋基と共に、重合体鎖の末端に存在するカルボン酸構造が架橋剤と反応することにより、架橋物が形成される。これにより、従来の架橋物と比べて、重合体鎖の末端においても架橋反応が進行し、より分子量の大きい架橋物を形成でき、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた(メタ)アクリル系重合体架橋物は、高温下に曝された後の、破断伸びが良好に維持され、破断伸びの変化率が小さい。また、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた(メタ)アクリル系重合体架橋物は、高温下に曝された後の破断伸びが良好である。
さらに、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の少なくとも一方の末端に存在する架橋基がカルボン酸構造であるため、架橋反応後に架橋鎖を形成するカルボン酸構造は、他の架橋基の場合よりも、良好な耐熱性を有するため、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた(メタ)アクリル系重合体架橋物は、架橋鎖が切断されにくく、より良好な耐熱性が付与され、高温下に曝された後の、破断伸びが良好に維持され、破断伸びの変化率が小さい。また、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた(メタ)アクリル系重合体架橋物は、高温下に曝された後の破断伸びが良好である。
以上の通り、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の少なくとも一方の末端に存在する架橋基がカルボン酸構造であるため、(メタ)アクリル系重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位等の重合性モノマーに由来する構成単位の種類に関わらず、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた(メタ)アクリル系重合体架橋物は、高温下に曝された後の、破断伸びが良好に維持され、破断伸びの変化率が小さい。また、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた(メタ)アクリル系重合体架橋物は、高温下に曝された後の破断伸びが良好である。
<(メタ)アクリル系重合体>
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する。より具体的には、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位と架橋性モノマーに由来する構成単位とを含む(メタ)アクリル系共重合体であって、当該共重合体の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する。本明細書において、カルボン酸構造とは、カルボキシル基又はカルボキシル基誘導体を意味する。カルボキシル基誘導体としてはカルボキシル基の誘導体である限り特に限定されないが、例えば、カルボン酸無水物基、カルボキシル基の金属塩基、カルボキシル基のアルキルエステル基、カルボキシル基のアリールエステル基等が挙げられる。中でも、カルボン酸無水物基、カルボキシル基の金属塩基、カルボキシル基のアルキルエステル基が好ましい。カルボン酸構造としては、カルボキシル基が好ましい。本発明の(メタ)アクリル系重合体が、両末端にカルボン酸構造を有する場合、2個のカルボン酸構造は同一であっても異なっていてもよい。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する。すなわち、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の末端にカルボン酸構造を有するが、重合性モノマーに由来する構成単位の末端とカルボン酸構造とが他の原子を介して結合していてもよい。重合性モノマーに由来する構成単位の末端に直接カルボン酸構造を付与することは一般的に困難であるため、通常は、重合性モノマーに由来する構成単位の末端とカルボン酸構造とが他の原子を介して結合している。
本明細書において、重合性モノマーに由来する構成単位とは、後述する(A)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、(B)架橋性モノマーに由来する構成単位等の重合性モノマーに由来する構成単位を意味する。
重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、例えば、カルボン酸構造を有する重合開始剤を使用して、(メタ)アクリル系重合体を重合することにより、カルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位を開始末端に有する(メタ)アクリル系重合体が得られる。ここで、例えば、カルボン酸構造を有する重合開始剤として、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)(ACVA、下記化合物)を使用した場合、N=N部分が開裂して重合が開始する。
Figure 2024042443000001
重合が進行すると、以下の構造の(メタ)アクリル系重合体が得られる。以下の構造の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の末端(重合開始末端)に、カルボン酸構造を有する重合開始剤由来のカルボン酸構造(具体的には、カルボキシル基)を有する。図中の(A)の構造単位は、重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)である。図中の(A)の構造単位では、重合性モノマーに由来する構成単位の末端とカルボン酸構造(具体的には、カルボキシル基)とが3個の炭素原子を介して結合している。
Figure 2024042443000002
一方、例えば、末端にカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体を得る方法として、連鎖移動剤である3-メルカプトプロピオン酸を使用することも可能であり、以下の構造の(メタ)アクリル系重合体が得られる。以下の構造の(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の末端にカルボン酸構造(具体的には、カルボキシル基)を有する。図中の(B)の構造単位は、重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)である。図中の(B)の構造単位では、重合性モノマーに由来する構成単位の末端とカルボン酸構造(具体的には、カルボキシル基)とが3個の炭素原子及び1個の硫黄原子を介して結合している。
Figure 2024042443000003
重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)において、重合性モノマーに由来する構成単位の末端とカルボン酸構造とが他の原子を介して結合していてよいが、他の原子として、硫黄原子、酸素原子を含まないことが好ましい。硫黄原子や酸素原子が関与する結合は、炭素原子が関与する結合に比べて熱によって切断されやすいため、前記他の原子として、硫黄原子、酸素原子を含まない場合の方が、架橋鎖がより切断されにくく、より良好な耐熱性が付与され、高温下に曝された後でも、破断伸びがより良好に維持され、破断伸びの変化率がより小さい傾向がある。よって、前記他の原子として、炭素原子を含むことが好ましく、炭素原子のみを含むことがより好ましい。すなわち、重合性モノマーに由来する構成単位の末端とカルボン酸構造とが2価の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)を介して結合していることが好ましい。2価の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1~10個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~6個、特に好ましくは1~4個である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。なお、前記(A)の構造単位のように、2価の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)は、側鎖を有してもよく、側鎖中に炭素原子、水素原子以外の原子を有してもよい。
また、3-メルカプトプロピオン酸のような連鎖移動剤でカルボン酸構造を重合体鎖の末端に導入する場合、連鎖移動剤の添加量が多くなってしまい、重合体自体の分子量が極端に下がってしまい、凝固時に固体として得られなくなる可能性が考えられ、固体として得られたとしても加工時のムーニー粘度として不適となるなどの不具合が起こりやすくなる傾向がある。
重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)において、重合性モノマーに由来する構成単位の末端とカルボン酸構造とを結合する他の原子の数は、特に限定されないが、好ましくは1~10個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~6個、特に好ましくは1~4個である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
本発明の(メタ)アクリル系重合体100質量%中、重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(C)(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)の含有量は、好ましくは0.001質量%以上2.0質量%未満、より好ましくは0.005~1.50質量%、さらに好ましくは0.05~0.50質量%である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、本明細書において「~」の表記は、「~」という記載の前の値以上、「~」という記載の後の値以下を意味する。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、(C)重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)に加えて、従来の(メタ)アクリル系重合体と同様に、(A)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、(B)架橋性モノマーに由来する構成単位を含むことが好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル系重合体」とは、「アクリル系重合体、又はメタクリル系重合体」を意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステル」を意味し、他の類する表現についても同様である。
前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を例示することができ、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位、炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位及び/又は炭素数2~6のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を有することがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位及び/又は炭素数2~4のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を有することが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位は、単独又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位であってよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルを例示することができ、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルであることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステルを例示することができ、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチルであることが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系重合体100質量%中、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(A)の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上であり、上限は、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下、特に好ましくは98質量%以下である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、複数の構成単位を含有する場合は合計含有量を意味する。その他の構成単位についても同様である。
本発明の(メタ)アクリル系重合体において、架橋剤と反応し得る架橋基を有する架橋性モノマーに由来する構成単位(B)を含有することができ、架橋基の種類としては、架橋剤と反応できるものであれば特に限定されないが、架橋基の種類としてはカルボキシル基、エポキシ基、ハロゲン基が挙げられる。架橋剤と反応し得る架橋基を有する架橋性モノマーに由来する構成単位(B)は、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、カルボキシル基を架橋基とする架橋性モノマーに由来する構成単位が好ましい。
カルボキシル基を架橋基とする架橋性モノマーに由来する構成単位としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、2-ペンテン酸、桂皮酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸類に由来する構成単位、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸類に由来する構成単位及びフマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸モノオクチル等のフマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノペンチル、マレイン酸モノデシル等のマレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチル等のイタコン酸モノアルキルエステル、などのエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル類に由来する構成単位等を例示することができる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用でき、エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルに由来する構成単位が好ましく、フマル酸モノアルキルエステルに由来する構成単位がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基を有するフマル酸モノアルキルエステルに由来する構成単位が最も好ましい。
エポキシ基を架橋基とする架橋性モノマーに由来する構成単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、p-ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有スチレンに由来する構成単位、アリルグリシジルエーテル及びビニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-1-ブテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキセン及びアリルフェニルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有エーテルに由来する構成単位などが挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ハロゲン基を架橋基とする架橋性モノマーに由来する構成単位としては、例えば、2-クロロエチルビニルエーテル、2-クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、モノクロロ酢酸ビニル、アリルクロロアセテートなどに由来する構成単位が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体100質量%中、架橋剤と反応し得る架橋基を有する架橋性モノマーに由来する構成単位(B)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
本発明の(メタ)アクリル系重合体において、さらに共重合性老化防止剤に由来する構成単位(D)を含有することができ、共重合性老化防止剤とは、外部二重結合を有する構造、及び/又は、内部二重結合を有する構造をもつ置換基が結合した老化防止剤のことを意味する。共重合性老化防止剤に由来する構成単位(D)は、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
共重合性老化防止剤に由来する構成単位としては、例えば、N-(4-アニリノフェニル)メタクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)アクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)マレイミド、N-(4-p-トルイジニルフェニル)マレイミド、N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド、4-ヒドロキシフェニルマレイミド、3-ヒドロキシフェニルマレイミドなどの共重合性アミン系老化防止剤に由来する構成単位、アクリル酸2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル、アクリル酸1’-ヒドロキシ[2,2’-エチリデンビス[4,6-ビス(1,1-ジメチルプロピル)ベンゼン]]-1-イル、ヒドロキシ桂皮酸、フェルラ酸、アリルクレゾールなどの共重合性フェノール系老化防止剤に由来する構成単位が挙げられる。本発明においては、共重合性老化防止剤に由来する構成単位としては、共重合性アミン系老化防止剤に由来する構成単位、共重合性フェノール系老化防止剤に由来する構成単位であることが好ましく、共重合性アミン系老化防止剤に由来する構成単位であることがより好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系重合体100質量%中、共重合性老化防止剤に由来する構成単位(D)の含有量は、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
本発明の(メタ)アクリル系重合体において、(A)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、(B)架橋性モノマーに由来する構成単位、(C)重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)の合計含有量は、(メタ)アクリル系重合体100質量%中、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、また100質量%であってもよい。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
本発明の(メタ)アクリル系重合体において、(A)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、(B)架橋性モノマーに由来する構成単位、(C)重合体鎖の末端に位置するカルボン酸構造を有する構成単位(好ましくはカルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位)、(D)共重合性老化防止剤に由来する構成単位の合計含有量は、(メタ)アクリル系重合体100質量%中、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、また100質量%であってもよいが、好ましくは99質量%以下である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
さらに本発明の(メタ)アクリル系重合体は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記のモノマー以外に共重合可能なモノマーを(メタ)アクリル系重合体の構成単位として含有してもよく、その他のモノマーとして、例えば、エチレン性不飽和ニトリル系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、共役ジエン系モノマー、非共役ジエン系モノマー、その他のオレフィン系モノマー等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
エチレン性不飽和ニトリル系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド、N-ブトキシエチルアクリルアミド、N-ブトキシエチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-プロピオキシメチルアクリルアミド、N-プロピオキシメチルメタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、エタクリルアミド、クロトンアミド、ケイ皮酸アミド、マレインジアミド、イタコンジアミド、メチルマレインアミド、メチルイタコンアミド、マレインイミド、イタコンイミド等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
芳香族ビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、p-エチルスチレン、α-フルオロスチレン、p-トリフルオロメチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-アミノスチレン、p-ジメチルアミノスチレン、p-アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸あるいはその塩、α-ビニルナフタレン、1-ビニルナフタレン-4-スルホン酸あるいはその塩、2-ビニルフルオレン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ビニルベンジルクロライド等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
共役ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、1,2-ジクロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-ネオペンチル-1,3-ブタジエン、2-ブロモ-1,3-ブタジエン、2-シアノ-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、クロロプレン、ピペリレン等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
非共役ジエン系モノマーとしては、例えば、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
その他のオレフィン系モノマーとしては、例えば、アクリル酸ジシクロペンタジエニル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニル、アクリル酸ジシクロペンタジエニルエチル、メタクリル酸ジシクロペンタジエニルエチル等のエステル類、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、1,2-ジクロロエチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、1,2-ジフルオロエチレン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、1,2-ジブロモエチレン、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体において、その構成単位の含有量については、得られた重合体の核磁気共鳴スペクトルにより決定することができる。
<(メタ)アクリル系重合体の製造方法>
本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、それぞれ各種モノマーを重合することで製造することができ、使用するモノマーはいずれも市販品であってよく、特に制約はない。本発明で用いる(メタ)アクリル系重合体は、重合体鎖の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する。このような(メタ)アクリル系重合体は、例えば、前述の通り、カルボン酸構造を有する重合開始剤を使用して、(メタ)アクリル系重合体を重合することにより、重合体鎖の重合開始末端に、重合開始剤由来のカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体が得られる。
重合反応の形態としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、及び溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性などの点から、従来公知の(メタ)アクリル系重合体の製造法として一般的に用いられている常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
乳化重合による重合の場合には、通常の方法を用いればよく、重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤、重合停止剤等は一般的に使用される従来公知のものが使用できる。ここで、重合開始剤については、前述の通り、カルボン酸構造を有する重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明で用いられる乳化剤は特に限定されず、乳化重合法おいて一般的に用いられるノニオン性乳化剤及びアニオン性乳化剤等を使用することができる。ノニオン乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等があげられ、アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル又はその塩、脂肪酸塩等があげられ、これらを1種又は2種以上用いてもよい。アニオン性乳化剤の代表例としてはドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸トリエタノールアミンが挙げられる。
本発明で用いられる乳化剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、(メタ)アクリル系重合体を構成するモノマー100質量部に対して、0.01質量部~10質量部の範囲であり、好ましくは0.03質量部~7質量部、さらに好ましくは0.05質量部~5質量部である。モノマー成分として、反応性界面活性剤を用いる場合は、乳化剤の添加は必ずしも必要でない。
本発明で用いられる重合開始剤はカルボン酸構造を有する重合開始剤であれば特に限定されない。その具体例としては、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2-2’-アゾビス(プロパン-2-カルボアミジン)2-2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロパンアミドなどのアゾ系重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、カルボン酸構造を有さない重合開始剤を使用してもよい。中でも、カルボン酸構造を有するアゾ系重合開始剤が好ましく、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)がより好ましい。
本発明で用いられる重合開始剤の使用量は乳化重合法おいて一般的に用いられる量であればよい。具体的には、(メタ)アクリル系重合体を構成するモノマー100質量部に対して、0.01質量部~5質量部の範囲であり、好ましくは0.015質量部~4質量部、さらに好ましくは0.02質量部~3質量部である。
また、重合開始剤としての有機過酸化物及び無機過酸化物は、還元剤と組み合わせることにより、レドックス系重合開始剤として使用することができる。組み合わせて用いる還元剤としては、特に限定されないが、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物、メタンスルホン酸ナトリウム等のメタン化合物、ジメチルアニリン等のアミン化合物、アスコルビン酸及びその塩、亜硫酸及びチオ硫酸のアルカリ金属塩などの還元性を有する無機塩などが挙げられる。これらの還元剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。還元剤の使用量は、(メタ)アクリル系重合体を構成するモノマー100質量部に対して好ましくは0.0003~10.0質量部である。
連鎖移動剤は、必要に応じて用いることができる。連鎖移動剤の具体例としては、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、t-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α-ベンジルオキシスチレン、α-ベンジルオキシアクリロニトリル、α-ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2-エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いてもよい。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、(メタ)アクリル系重合体を構成するモノマー100質量部に対して0質量部~5質量部にて使用される。
重合停止剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム及びヒドロキノンなどのキノン化合物などが挙げられる。これらを1種又は2種以上用いてもよい。重合停止剤の使用量は、特に限定されないが、通常、(メタ)アクリル系重合体を構成するモノマー100質量部に対して、0質量部~2質量部である。ここで、重合停止剤として、重合鎖のラジカルと反応可能な官能基及びカルボン酸構造を有する重合停止剤を使用することにより、重合停止末端にカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体が得られる。
さらに上記の方法によって得られた重合体は、必要に応じてpH調整剤として塩基を用いることでpHを調整することができる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、無機アンモニウム化合物、有機アミン化合物等が挙げられる。pHの範囲はpH1~11、好ましくはpH1.5~10.5、さらに好ましくはpH2~10の範囲である。
これ以外にも必要に応じて、粒径調整剤、キレート化剤、酸素捕捉剤等の重合副資材を使用することができる。
乳化重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合時間及び重合温度は特に限定されない。使用する重合開始剤の種類等から適宜選択できるが、一般的に、重合温度は10℃~100℃であり、重合時間は0.5時間~100時間である。
上記の方法で得られた重合体を回収する方法については特に制限はなく、一般に行われている方法を採用することができる。その方法の一例として、重合液を凝固剤含有水溶液に連続的又は回分的に供給する方法が挙げられ、この操作によって含水クラムが得られる。その際凝固剤を含む水溶液の温度は、モノマーの種類と使用量、撹拌等による剪断力などの凝固条件の影響を受けるため、これを一律に規定することはできないが、一般的には50℃~100℃であり、60℃~100℃の範囲であることが好ましい。
さらに上記の凝固工程中に老化防止剤を添加することができる。老化防止剤の具体例としてはフェノール系の酸化防止剤、アミン系の酸化防止剤、フォスファイト系の酸化防止剤、ヒンダートアミン系の老化防止剤などが挙げられる。
さらに上記の方法によって得られた含水クラムは、必要に応じてpH調整剤として塩基を用いることでpHを調整することができる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、無機アンモニウム化合物、有機アミン化合物等が挙げられる。pHの範囲はpH1~11、好ましくはpH2~10、さらに好ましくはpH4~8の範囲である。
上記の方法で得られた含水クラムは、凝固剤を除去するために水洗洗浄を行なうことが好ましい。水洗洗浄を全く行わないあるいは洗浄が不十分である場合、凝固剤に由来するイオン残留物が成形工程で析出してしまう恐れがある。
水洗洗浄後の含水クラムから水分を除去し乾燥することで(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。乾燥の方法としては特に限定されないが一般的にはフラッシュドライヤー、二軸押出機や流動乾燥機などを用いて乾燥される。また、乾燥工程の前に遠心分離機等による脱水工程を経ても良い。
このようにして製造される本発明の(メタ)アクリル系重合体の分子量範囲は、加工性の観点から、JIS K 6300に定めるムーニースコーチ試験での100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)表示で、10~100であることが好ましく、15~90であることがより好ましく、20~80であることがさらに好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリル系重合体のムーニー粘度は、実施例に記載の方法により測定される値である。
本発明の(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100,000~8,000,000、より好ましくは950,000~7,500,000、さらに好ましくは1,000,000~7,000,000である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
本明細書において、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、実施例に記載の方法により測定される値である。
<(メタ)アクリル系重合体含有組成物>
本発明の(メタ)アクリル系重合体含有組成物は、上記の(メタ)アクリル系重合体及び少なくとも架橋剤とを含有することで得ることができる。
架橋剤としては、多価アミン化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、アジリジン化合物、硫黄化合物、金属石鹸、塩基性金属酸化物及び有機金属ハロゲン化物などのゴムの架橋に通常用いられる従来公知の架橋剤を用いることができる。これらのなかでも、多価アミン化合物が好適に使用できる。
多価アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン等の脂肪族多価アミン化合物や、4,4’-メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3,5-ベンゼントリアミン、1,3,5-ベンゼントリアミノメチル、イソフタル酸ジヒドラジド等の芳香族多価アミン化合物が挙げられる。
多価エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物などのグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物などのその他の多価エポキシ化合物が挙げられる。
多価イソシアナート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、p-フェニレンジイソシアナート、m-フェニレンジイソシアナート、1,5-ナフチレンジイソシアナート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアナート、1,6,11- ウンデカントリイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート等が挙げられる。
アジリジン化合物としては、例えば、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、トリス〔1-(2-メチル)アジリジニル〕ホスフィノキシド、ヘキサ〔1-(2-メチル)アジリジニル〕トリホスファトリアジン等が挙げられる。
硫黄化合物としては、例えば、硫黄、4,4’-ジチオモルホリンやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
塩基性金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
有機金属ハロゲン化物としては、例えば、ジシクロペンタジエニル金属ジハロゲン化物が例示され、金属としては、チタン、ジルコニウム等が挙げられる。
これらの架橋剤は単独、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。架橋剤の量は、本発明の(メタ)アクリル系重合体100質量部に対してそれぞれ0.05質量部~20質量部、好ましくは0.1質量部~10質量部である。
また、本発明の(メタ)アクリル系重合体含有組成物は、当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば滑剤、老化防止剤、光安定化剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、顔料、着色剤、架橋促進剤、架橋助剤、架橋遅延剤、帯電防止剤、発泡剤等を任意に配合できる。これらは、単独、又は2種以上を併用してもよい。
補強剤としては、カーボンブラック等を例示することができ、その含有量は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましく、120質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましい。
老化防止剤としては、例えば、アミン系、フォスフェート系、キノリン系、クレゾール系、フェノール系、ジチオカルバメート金属塩等が挙げられる。本発明においては、アミン系、フェノール系の老化防止剤を使用することが好ましい。これらは、単独、又は2種以上を併用してもよい。
アミン系老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)-ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物などが挙げられる。
フェノール系老化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2’-メチレン-ビス(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-6-メチルフェノール、2,2’-チオビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス-(6-t-ブチル-o-クレゾール)、2,6-ジ-t-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールなどが挙げられる。
老化防止剤の含有量は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.3~3質量部であることが特に好ましい。
架橋促進剤としては、グアニジン化合物、アミン化合物、チオウレア化合物、チアゾール化合物、スルフェンアミド化合物、チウラム化合物、四級アンモニウム塩等が挙げられ、グアニジン化合物、アミン化合物が好ましい。これらは、単独、又は2種以上を併用してもよい。
架橋促進剤の含有量は、(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、0.1~15質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることが特に好ましい。
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当該技術分野で通常使用されているゴム、樹脂等とのブレンドを行うことも可能である。本発明に用いることのできる通常使用されているゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-イソプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられ、また樹脂としては、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、PUR(ポリウレタン)樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂、EVA(エチレン/酢酸ビニル)樹脂、AS(スチレン/アクリロニトリル)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記ゴム、樹脂の合計配合量は、本発明の(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、50質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
<(メタ)アクリル系重合体架橋物(アクリルゴム架橋物)>
本発明の(メタ)アクリル系重合体架橋物は、上記(メタ)アクリル系重合体含有組成物を架橋させることで、(メタ)アクリル系重合体架橋物を得ることができる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体架橋物を得るための(メタ)アクリル系重合体含有組成物の配合方法としては、従来ゴム加工の分野において利用されている任意の手段、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を利用することができる。その配合手順としては、ゴム加工の分野において行われている通常の手順で行うことができる。例えば、最初にゴムのみを混練りし、次いで架橋剤、架橋促進剤以外の配合剤を投入したA練りコンパウンドを作製し、その後、架橋剤、架橋促進剤を投入するB練りを行う手順で行うことができる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体架橋物は、上記(メタ)アクリル系重合体含有組成物を、通常100℃~250℃に加熱することで(メタ)アクリル系重合体架橋物(アクリルゴム架橋物)とすることができる。架橋時間は温度によって異なるが、0.5分~300分の間で行われるのが普通である。架橋成形は架橋と成形を一体的に行う場合や、先に成形した(メタ)アクリル系重合体含有組成物を再度加熱することで(メタ)アクリル系重合体架橋物とする場合のほか、先に加熱して(メタ)アクリル系重合体架橋物を成形のために加工を施す場合のいずれでもよい。架橋成形の具体的な方法としては、金型による圧縮成形、射出成形、スチーム缶、エアーバス、赤外線、あるいはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
このようにして得られる本発明の(メタ)アクリル系重合体含有組成物は、加工時においては、ロール加工性に優れ、本発明の(メタ)アクリル系重合体架橋物は、破断伸び等の常態物性及び長期高温下での耐熱性に優れるものである。
そのため、本発明の(メタ)アクリル系重合体架橋物(アクリルゴム架橋物)は、上記特性を活かして、O-リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウェルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧機器用シール、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板及び負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケットとして好適に用いられる。
また、本発明における(メタ)アクリル系重合体架橋物は、自動車用途に用いられる押し出し成形製品及び型架橋製品として、例えば、燃料ホース、フィラーネックホース、ベントホース、ベーパーホース、オイルホース等の燃料タンクまわりの燃料油系ホース、ターボエアーホース、エミッションコントロールホース等のエアー系ホース、ラジエーターホース、ヒーターホース、ブレーキホース、エアコンホース等の各種ホース類に好適に使用される。
本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例及び比較例では、(メタ)アクリル系重合体の製造及び得られた(メタ)アクリル系重合体と架橋剤を含有する(メタ)アクリル系重合体含有組成物を架橋してなる(メタ)アクリル系重合体架橋物の物性を評価した。
〔実施例1〕((メタ)アクリル系重合体Aの製造)
温度計、攪拌装置、窒素導入管及び減圧装置を備えた重合反応器に、水200質量部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル2.0質量部、アクリル酸エチル75.0質量部、アクリル酸n-ブチル17.0質量部、アクリル酸2-メトキシエチル8.0質量部、フマル酸モノブチル1.0質量部を仕込み、減圧による脱気及び窒素置換を繰り返して酸素を十分除去した後、アスコルビン酸ナトリウム0.1質量部及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)0.1質量部を加えて常圧、常温下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が所定値に達するまで反応を継続し、ヒドロキノンを0.0075質量部添加して重合を停止した。得られた乳化重合液を1.0質量%の硫酸マグネシウム水溶液で凝固させ、水洗、乾燥して(メタ)アクリル系重合体Aを得た。得られた(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量(Mw)、ムーニー粘度を下記に示す方法に従い、測定を行った。その結果を表1に示す。
〔実施例2、比較例1~3〕((メタ)アクリル系重合体B~Eの製造)
実施例1より、モノマーや仕込み量等を表1に示すものに変更した点以外は、実施例1と同様の方法で行い、(メタ)アクリル系重合体B~Eを得た。実施例1と同様に(メタ)アクリル系重合体B~Eの重量平均分子量(Mw)、ムーニー粘度を測定した。その結果を表1に示す。
<重量平均分子量(Mw)>
(メタ)アクリル系重合体を溶剤であるテトラヒドロフラン(THF)に溶解させてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算により分子量を測定した。測定結果を基に重量平均分子量(Mw)を算出した。測定においては、Waters Corp.社製GPC装置Alliance HPLCシステム、東ソー株式会社製カラムTSK gel HM-2を2本連結したもの用いて、流量0.6mL/min、濃度を(メタ)アクリル系重合体10mg/THF8mLとし、注入量40μL、カラム温度50℃で測定を行った。
<ムーニー粘度(ML1+4、100℃)>
(メタ)アクリル系重合体を、JIS K6300の未架橋ゴム物理試験方法のムーニー粘度試験に従って、東洋精機社製 Mooney Viscometer AM-3を用いて、測定温度100℃においてムーニー粘度(ML1+4)を測定した。
(アクリル系重合体含有組成物、(メタ)アクリル系重合体架橋物の製造)
(メタ)アクリル系重合体A~Eをそれぞれ100質量部、カーボンブラック(ASTM D1765による分類;N550)60質量部、ステアリン酸(カーボンブラックの分散剤、軟化剤)2質量部及び4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(老化防止剤)2質量部を120℃にてニーダーで混練し、その後ヘキサメチレンジアミンカーバメート(脂肪族ジアミン架橋剤)0.6質量部、ジ-o-トリルグアニジン(架橋促進剤)2質量部を加えて、室温にて混練用ロールで混練した。次いで、得られた混合物をニーダー及びオープンロールで混練し、厚さ2~2.5mmのシート状の(メタ)アクリル系重合体含有組成物を得た。得られた未架橋シートを180℃で10分プレス処理し、さらにこれをエアオーブン180℃で3時間加熱し、(メタ)アクリル系重合体架橋物(アクリルゴム架橋物)を得た。得られた架橋物を下記方法に従って、常態物性の試験及び耐熱試験を行った。その結果を表1~3に示す。
(常態物性試験)
得られた架橋物を用い、引張試験及び硬さ試験を実施した。各実施例、比較例により得られたシート状の(メタ)アクリル系重合体架橋物を、JIS K6251に記載の方法に準じ、3号形ダンベルに打ち抜いて試験片を作製し、島津製作所社製AGS-5KNYを用いて破断伸びの測定を行った。引張試験はJIS K 6251、硬さ試験はJIS K6253に記載の方法に準じて行った。その結果を表1に示す。
<耐熱試験>
耐熱性試験は、常態物性試験と同様にして、試験片を作製し、実施例1、比較例1については、試験片をギヤー式オーブン中で、温度190℃、336時間静置した後の試験片(長期間高温に曝した試験片)の破断伸び(試験後の破断伸び)を測定し、実施例2、比較例2、3については、試験片をギヤー式オーブン中で、温度190℃、504時間静置した後の試験片(長期間高温に曝した試験片)の破断伸び(試験後の破断伸び)を測定した。
試験前後(試験前は常態物性の結果)で得られた破断伸びの結果を対比することにより、耐熱老化性の評価を行った。試験前後の破断伸びの変化率の絶対値(以下、変化率とする)が小さいものが高温環境下での使用に適している。一方、試験後の破断伸びの変化率が小さい場合であっても、破断伸びが100%未満であれば、架橋物自体が硬くなっており、振動や衝撃によりクラックなどが生じやすくなるなど、高温環境下での使用には適さないといえる。なお、変化率は以下の式より算出し、結果を表2、3に示す。
変化率(%)=|(試験後の破断伸び)-(試験前の破断伸び)|/(試験前の破断伸び)×100
Figure 2024042443000004
Figure 2024042443000005
Figure 2024042443000006
表2、3の結果より、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いた実施例は、高温下に曝された後の、(メタ)アクリル系重合体架橋物の破断伸びが良好に維持され、破断伸びの変化率が小さい(メタ)アクリル系重合体架橋物を提供できることが分かった。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、優れた耐熱性を活かしたゴム製品や樹脂製品の材料として或いは接着剤原料や塗料原料として幅広く用いることが可能である。特に、本発明の(メタ)アクリル系重合体を用いて作製された架橋物は、エンジンガスケット、オイルホース、エアホース、Oリングなどの工業用ゴム材料や自動車用ゴム材料等の用途としてきわめて有効である。


Claims (9)

  1. (メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位と架橋性モノマーに由来する構成単位とを含む(メタ)アクリル系共重合体であって、当該共重合体の少なくとも一方の末端にカルボン酸構造を有する(メタ)アクリル系重合体。
  2. 前記(メタ)アクリル系重合体が、(A)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、(B)架橋性モノマーに由来する構成単位、(C)カルボン酸構造を有する重合開始剤に由来する構成単位を含む請求項1に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  3. 前記(メタ)アクリル系重合体100質量%中、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を50質量%以上含有する請求項1に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  4. (メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位が、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び/又は炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位である請求項3に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  5. 重量平均分子量が100,000~8,000,000である請求項1に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  6. ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が10~100である請求項1に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  7. アゾ系重合開始剤を使用して調製される請求項1に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体と架橋剤を含有する(メタ)アクリル系重合体含有組成物。
  9. 請求項8に記載の(メタ)アクリル系重合体含有組成物を架橋してなる(メタ)アクリル系重合体架橋物。

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