JP2001300275A - ポリオレフィン中空糸状多孔膜 - Google Patents

ポリオレフィン中空糸状多孔膜

Info

Publication number
JP2001300275A
JP2001300275A JP2000119436A JP2000119436A JP2001300275A JP 2001300275 A JP2001300275 A JP 2001300275A JP 2000119436 A JP2000119436 A JP 2000119436A JP 2000119436 A JP2000119436 A JP 2000119436A JP 2001300275 A JP2001300275 A JP 2001300275A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
membrane
weight
porous membrane
polyethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000119436A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Ikemoto
貴志 池本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2000119436A priority Critical patent/JP2001300275A/ja
Publication of JP2001300275A publication Critical patent/JP2001300275A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性がよく、機械的強度に優れ、耐擦傷性
のあるポリオレフィン中空糸状多孔膜を提供することで
ある。 【解決手段】 重量平均分子量50万以上のポリエチレ
ンを60〜95重量%含み、且つ重量平均分子量1万〜
100万のポリプロピレンを5〜40重量%含むポリオ
レフィン混合物からなり、気孔率30〜90% 、平均
孔径0.03μm〜5μmであることを特徴とするポリ
オレフィン中空糸状多孔膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンとポ
リプロピレンの混合物からなり、耐薬品性、濾過性能、
機械的強度に優れ、擦傷の受けにくい、かつ成形性が良
好で、安価な中空糸状多孔膜に関するもので、種々の濾
過用途に用いることができるが、特に、河川水や湖沼水
等の濁質成分を含む原水から、飲料水や工業用水等に利
用可能な清澄水を得るための浄化用フィルターとして用
いられる樹脂性中空糸状多孔膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、河川水、湖沼水や井戸水等の濁質
成分を含む原水から懸濁物質等を除去して水道水や工業
用水を得るための水の浄化方法としては、凝集沈殿法や
凝集濾過法が用いられてきた。しかしながら、これらの
方法は、1)原水水質の変動に伴う凝集剤添加操作が煩
雑である、2)凝集剤由来の汚泥が発生する、3)フロ
ック形成池、沈殿池、砂濾過設備など、設備の設置スペ
ースが大きい、といった問題を抱えている。
【0003】これらの課題を解決する方法として、ま
た、最近では原虫類を除去するために、原水を限外濾過
膜や精密濾過膜で濾過して除濁し浄化する方法が提案さ
れ、一部で実用化されている(例えば、水道公論、19
96年4月号、頁86−89水道技術ジャーナル、19
98年10月号、頁13−17)。濾過膜としては、中
空糸状濾過膜が多く用いられてる。中空糸状濾過膜は、
実際の使用時には、中空糸状濾過膜を多数本束ねて円筒
形ケースに挿入し、ケースの両端部で膜とケースを固定
したモジュールと呼ばれる形態で使用される場合と(例
えば、吉川ら、膜技術第2版、アイピーシー、1997
年、頁396−403)、中空糸を平行に多数並べた
り、もしくは円筒形に束ねた物を一つのユニットとし、
それをいくつにも重ねたり並べたりして、ろ過対象とな
る水槽に浸漬させて使用する場合が多い。
【0004】中空糸状濾過膜を用いた濾過方式として
は、膜の内表面側から外表面側へ向けて濾過する内圧式
と、外表面側から内表面側へ向けて濾過する方式の外圧
式の2方式があり、河川水等の濁質成分を含む原水を濾
過する場合は、原水と接触する側の表面積が大きく取
れ、単位膜表面積当たりの濁質成分の負荷量を小さくで
きる外圧式が有利である(例えば、松尾育朗、ニューメ
ンブレンテクノロジーシンポジウム’97、SESSI
ON1、講演要旨集、日本膜学会、頁1−2−1から1
−2−8)。外圧式で濾過した場合、濁質成分が膜外表
面で濾別されて膜外表面に蓄積し、膜の透水性能が除々
に低下するため、適時洗浄操作が必要になる。膜外表面
に蓄積した濁質成分等の除去洗浄は、膜外表面に空気を
混合させた原水を供給し、エアバブリングの力を利用す
る方法が有効であり、実際に膜洗浄方法として用いられ
ている(例えば、松尾育朗、ニューメンブレンテクノロ
ジーシンポジウム’97、SESSION1、講演要旨
集、日本膜学会、頁1−2−1から1−2−8)。この
ように現在、外圧式中空糸状濾過膜モジュールを用い、
かつ膜洗浄方法としてエアバブリング洗浄法を用いるこ
とにより、濁質成分を含む原水を浄化することが可能に
なっている。
【0005】上記のエアバブリング法は、中空糸膜間に
蓄積する懸濁物質の排除には有効な手段であり、濾過運
転を安定なものとする上で欠かせないものであるが、蓄
積する懸濁物質に無機成分が含まれていると、該懸濁物
質を介して中空糸膜の外表面が擦れ、膜表面が潰れるこ
とにより、表面開孔が閉塞し、濾過運転の安定性が損な
われてしまう場合がある。このため、長期に濾過運転を
安定的に行おうとすれば、膜の耐擦傷性が重要な因子と
なる。
【0006】この問題を解決するため、膜の強度や形状
を改良する方法などが考えられている。膜の形状を変更
する方法としては、例えば、特開平7−96152号公
報のように傾斜型中空糸膜を提供する方法が開示されて
いるが、このような膜を作製するには糸引取装置の制御
等の改造が必要であり、製作も困難なもので、価格も高
いものとなる。
【0007】膜強度を改良する方法としては、例えば、
特開平7−48471号公報に、耐摩耗性、衝撃耐性及
び靱性を包含する多孔膜を得る方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、超高分子量ポリオレフィ
ンを使用するために、超高分子量ポリオレフィン、無機
微粉体、有機液状体の混合物を押出成形すると、成型時
の圧力上昇が発生し加工が困難となり、安定な形状を保
った膜が得られないという問題が生じてしまう。以上の
ように、従来技術においては、成形性がよく、機械的強
度に優れ、耐擦傷性のあるポリオレフィン中空糸状多孔
膜を得ることはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点が解決されたポリオレフィン中空糸状多孔膜を提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、膜外表面が
擦傷を受け、膜の透水性能の低下が起こったり、糸切れ
が生じたりするという問題点を解決するために鋭意検討
を行った結果、特定の分子量を持つポリエチレンに、特
定の比率で、特定の分子量をもつポリプロピレンが混合
されたマトリクスからなる中空糸状多孔膜が、これらの
問題に対して優れた性質を示すことがわかり本発明に至
った。すなわち、本発明は下記の通りである。
【0010】重量平均分子量50万以上のポリエチレン
を60〜95重量%含み、且つ重量平均分子量1万〜1
00万のポリプロピレンを5〜40重量%含むポリオレ
フィン混合物からなり、気孔率30〜90% 、平均孔
径0.03μm〜5μmであることを特徴とするポリオ
レフィン中空糸状多孔膜。以下、本発明の詳細について
記述する。本発明の中空糸状多孔膜を構成するマトリク
スは、特定の分子量を持つポリエチレンと特定の分子量
を持つポリプロピレンを包含する。
【0011】本発明の中空糸状多孔膜中のポリエチレン
は重量平均分子量が50万以上であり、好ましくは80
万以上600万以下である。そして、ポリエチレンの比
率は60〜95重量%である。本発明の中空糸状多孔膜
中のポリプロピレンは重量平均分子量が1万〜100万
であり、好ましくは5万〜80万である。そして、ポリ
プロピレンの比率は5〜40重量%である。
【0012】ポリエチレンの重量平均分子量が50万未
満であると、機械的強度の劣る膜となる。また、ポリエ
チレンの比率が60重量%より少ないと機械的強度に劣
る物となってしまう。ポリプロピレンの重量平均分子量
が100万より大きいと、成形性が悪くなる。また、ポ
リプロピレンの比率が5重量%未満であると成形性が悪
くなり、40重量%より大きいと機械的強度の劣る膜と
なってしまう。
【0013】また、本発明のポリエチレン樹脂について
は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低
密度ポリエチレン等の周知のホモポリマー、コポリマー
のポリエチレン樹脂を用いることができる。また、本発
明に用いられるポリプロピレンは、プロピレンの単独重
合体、及びプロピレンとエチレンとの共重合体を包含
し、また、それらの混合物であっても良い。このような
ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂には、必要に応じ
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキ
ング剤、着色剤、難燃化剤等の添加物を本発明の目的を
損なわない範囲で添加することができる。
【0014】本発明のポリオレフィン中空糸状多孔膜の
構造は、一つの孔が閉塞したり、破損したりしても濾過
信頼性の高い、膜全体が濾過機能を有する、3次元網目
状スポンジ構造であることが好ましい。本発明のポリオ
レフィン中空糸状多孔膜の気孔率は30〜90%の範囲
であることが必要である。気孔率が30%未満になると
濾過性能に劣るものとなり、90%より大きくなると機
械的強度に劣るものとなる。
【0015】本発明のポリオレフィン中空糸状多孔膜の
平均孔径は0.03μm以上5μm以下であることが必
要である。0.03μmより小さくなると濾過性能に劣
るものになり、5μmより大きくなると懸濁物質・原虫
類の除去の信頼性に劣るものとなってしまう。本発明の
濾過方法に用いられるポリオレフィン中空糸状多孔膜の
膜厚は,機械的強度の点から0.25mm以上が、濾過
性能の点から0.8mm以下であることが好ましく、さ
らに好ましくは0.25mm〜0.5mmの範囲であ
る。
【0016】本発明の濾過方法に用いられるポリオレフ
ィン中空糸状多孔膜の最大孔径と平均孔径の比(最大孔
径/平均孔径)は濾過性能と耐擦過性の点から、孔径の
バラツキの少ない2以下であることが好ましい。本発明
の濾過方法に用いられるポリオレフィン中空糸状多孔膜
の内外表面の孔構造は、実質的に円形もしくは、それら
が互いに融合しあった構造である。この膜外表面の孔に
おいて、その糸の長手方向(MD方向)と糸の長手方向
に対して垂直な方向(CMD方向)の外接線間距離の平
均値をそれぞれのフェレ径とし、MD方向のフェレ径と
CMD方向のフェレ径の比(MDフェレ径/CMDフェ
レ径)は、懸濁物質が形状変化する場合の濾過性能を考
えると、0.7以上1.5未満であることが好ましい。
【0017】本発明のポリオレフィン中空糸状多孔膜
は、30分間サンドブラストテスト後のFLUX保持率
は膜の耐擦過性の点から30%以上であることが好まし
く、さらに好ましくは35%以上であり、さらに好まし
くは40%以上である。本発明のポリオレフィン中空糸
状多孔膜の製造方法の一例を説明する。まず、ポリオレ
フィン樹脂、有機液状体及び無機微粉体を混合する。こ
のような混合物の有機液状体として用いられるものは、
溶融成形時に液体であり、かつ、不活性であることが必
要である。例としては、フタル酸ジエチル(DEP)、
フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(D
nOP)、フタル酸ビス(2ーエチルヘキシル)(DO
P)等のフタル酸エステルやリン酸エステル等や、流動
パラフィン等の有機物が挙げられる。これらのうち、特
にDBP、DnOP、DOP及びこれらの混合物が好ま
しい。
【0018】また、混合に用いられる無機微粉体は、有
機液状体を保持する坦体としての機能を持ち、更にミク
ロ相分離の核としての機能を持つものが望ましい。即
ち、溶融成形時に有機液状体の遊離を防止し、成形を容
易にするものであり、ミクロ相分離の核として有機液状
体を高度にミクロ分散させ、有機液状体の凝集を高度に
防止する働きを持つものが望ましく、かつ、抽出されて
空孔を形成することができるものが好ましい。このよう
な無機微粉体としては、シリカが好ましい。特に疎水性
のシリカが成形性の点で好ましい。疎水性シリカとは、
親水性シリカの表面のシラノール基をジメチルシラン、
ジメチルジクロロシラン、モノメチルトリクロロシラン
等の有機ケイ素化合物と化学的に反応させ、親水性シリ
カの表面をメチル基等で置換し疎水化させたシリカをい
う。特に、用いる疎水性シリカは、平均一次粒径が0.
005μm〜0.5μm、比表面積30m2/g〜50
0m2/gの範囲にあり、粉体が完全に濡れるメタノー
ルの容量%(MW値)が30%以上であることが好まし
い。
【0019】その混合割合として、ポリエチレンとポリ
プロピレン樹脂の合計量は、強度・成形性の点から15
重量%以上、気孔率・透水量の点から40重量%以下で
あることが好ましい。有機液状体は、気孔率・透水量の
点から30重量%以上、強度・成形性の点から90重量
%以下であることが好ましい。また、無機微粉体は有機
液状体の吸着、混合物の形状安定性の点から10重量%
以上が好ましく、溶融時の流動性の点から40重量%で
あることが好ましい。有機液状体と無機微粉体の重量比
は有機液状体が混合物全体に行き渡るためには1.0以
上が好ましく、有機液状体が凝集を起こさずに均一に分
散するには2.5未満であることが好ましい。さらに好
ましくは1.0以上1.75未満である。
【0020】これら3成分の混合には、ヘンシェルミキ
サー、V−ブレンダー、プロシェアミキサー、リボンブ
レンダー等の配合機を用いた通常の混合法で充分であ
る。3成分の混合順序としては、3成分を同時に混合す
るよりも、まず無機微粉体と有機液状体を混合して、無
機微粉体に有機液状体を充分に吸着させ、次いでポリマ
ー樹脂を配合して混合するのが、溶融成形性の向上、得
られる多孔物の空孔度及び均一度の向上に有効である。
この混合物は、押出機、バンバリーミキサー、2本ロー
ル、ニーダー等の溶融混練装置により混練される。得ら
れる混練物は、中空のダイスを用いた溶融成形により中
空糸状に成形される。この場合、ギアーポンプを介して
成形するのが、寸法安定性の面で好ましく、特にギアー
ポンプ前圧力を一定に制御して成形するのが、糸寸法安
定性の面で好ましい。又、混合物を押出機、ニーダー等
の混練・押出の両機能を有する装置により直接成形する
事も可能である。
【0021】更に、本発明では、この混練物を溶融押出
しする際の冷却方法としては、空走距離(ダイスと冷却
槽の距離)を設け、冷却媒体に水又は各種の可塑剤を用
いて冷却する方法や、冷却された気体を接触させる方式
を取ることができる。得られた膜は、有機液状体を除い
た無機微粉体を含む親水性多孔膜及び有機液状体と無機
微粉体を除いた疎水性多孔膜の状態でも、モジュール等
に組み込んで濾過等の用途に供することができる。有機
液状体の抽出に用いられる溶剤としては、メタノール、
メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤が挙げられ
るが、特に塩化メチレン等のハロゲン系炭化水素が好ま
しい。無機微粉体の抽出に用いられる溶剤としては、苛
性ソーダ、苛性カリのようなアルカリ水溶液が用いられ
る。又、苛性ソーダのアルコール溶液等を用いて、有機
液状体と無機微粉体を同時に抽出することも可能であ
る。以上のようにして得られた多孔膜は、加工性が良好
で、耐薬品性、機械的強度に優れ、且つ、耐擦傷性のあ
る中空糸である。
【0022】
【発明の実施の形態】次に実施例を示す。本例に示され
る諸物性は、次の測定方法によった。 (1)気孔率(%) 気孔率=空孔容積/多孔膜容積×100 空孔容積=含水容積−絶乾容積 (2)平均孔径(μm)(ハーフドライ法) ASTM F316−86に準拠し、エチルアルコール
を使用して測定した。 (3)最大孔径(μm)(バブルポイント法) ASTM F316−86により測定した。 (4)重量平均分子量(Mw) 中空糸状多孔膜を1,2,4−トリクロロベンゼンに溶
解させ、0.05%溶液を140℃でWATERS A
ssociates Co.社製の150C−GPCを
用いて、インジェクション量500μlで、カラムはS
hodex GPC AT−807/SとTosoh
TSK−GEL GMH6−HTを直列使用した。この
GPCにPERKIN ELMER社製フーリエ変換赤
外分光光度計(FT−IR)1760−Xを接続し、ポ
リエチレンとポリプロピレンの吸収を分離して測定し
た。分子量のキャリブレーションはポリスチレンの標準
試料を用いて行い、得られたポリスチレンの重量平均分
子量(Mw)に、ポリエチレン部、ポリプロピレン部と
もにポリエチレンの換算値0.43をかけて求めた。
【0023】(5)ポリエチレン量(ポリプロピレン
量) ポリエチレンとポリプロピレン量の割合の測定は、中空
糸状多孔膜をフィルム化してFT−IR測定を行い測定
した。 (6)平均膜厚(μm) 剃刀にて中空糸の薄膜を切り出し、拡大鏡にて中空糸の
膜厚を肉眼にて測定した。これを1m間隔で20点測定
し、平均した値を平均膜厚とした。 (7)膜厚の標準偏差(σ) (6)で測定した膜厚のバラツキとして標準偏差(σ)
を計算した。 (8)外表面フェレ径比(MDフェレ径/CMDフェレ
径) 中空糸膜外表面に金属蒸着を施した後、走査型電子顕微
鏡(SEM)を用いて観察を行い、倍率5000倍で膜
外表面を撮影する。この写真を面積2倍に拡大し、白マ
ジック(登録商標)等でポリマー部と孔部分を色分けし
た後、CCDカメラを用いてコンピューターに取り込
み、Leica社製の画像解析ソフトQuantime
t500(商品名)を用いて、膜外表面の孔のMD方向
の外接線間距離とCMD方向の外接線間距離をそれぞれ
フェレ径とし、MD方向とCMD方向のフェレ径比を求
めた。この時、解析画面内に、200個程度の孔が存在
するように解析範囲の大きさを調節しこれらの平均を膜
外表面フェレ径比とした。
【0024】(9)膜厚換算透水量(FLUX)(L/
2・hr・MPa・25℃) 中空糸を20cmの長さに切り、25℃、差圧0.09
8MPaにて1分間の透水量を測定した。得られた透水
量より次式にて膜厚換算透水量を算出した。 膜厚換算した透水量=透水量×60/0.098/(糸
長×糸内径×π) (10)FLUX保持率 耐擦傷性を示す加速試験として、サンドブラストテスト
を行った。サンドブラストテストとは、微小な砂(Fu
ji Brown FBR#120;粒子径130μ
m)の20%混じった水を、70000Paの圧力下
で、ノズルの先から70cm離れて並べられた中空糸
に、吹き付けることにより膜にダメージを与えるテスト
である(図1参照)。砂水を吹き付ける時間は、片面ず
つ30分間のテストを行った。テスト前後で中空糸の膜
厚換算透水量の変化(FLUX保持率)を、以下の式に
より計算した。 FLUX保持率=テスト後膜厚換算透水量/テスト前膜
厚換算透水量×100 (11)引張破断強度(MPa)、引張破断伸度(%) インストロン型引っ張り試験機により、ASTMD88
2に準じて測定(引っ張り速度200mm/min)し
た。 (12)弾性率(MPa) (株)島津製作所製オートグラフAG−A型を用いて、
中空糸の長さ100mm、標線距離50mm、引っ張り
速度200mm/minで測定した。
【0025】
【実施例1】MW値50%、平均一次粒径16μm、比
表面積110m2/gの疎水性シリカ[日本アエロジル
社製、R−972]25.0重量%、フタル酸ジブチル
50.0重量%をヘンシェルミキサーで混合し、これに
超高分子量ポリエチレン樹脂[旭化成社製、サンファイ
ンUH900、Mv=300万(カタログ値)]を2
2.5重量%、ポリプロピレン樹脂[トクヤマ社製、P
N110G、Mv=30万]を2.5重量%を加え、再
度ヘンシェルミキサーで混合した。この混合物を30m
mφ二軸押出機で混合し、ペレットにした。該ペレット
を30mmφ二軸押出機を用いて、樹脂温度230℃に
て溶融混練し、糸寸法安定性を持たせるため、ギヤーポ
ンプを介してギヤーポンプ前圧力を一定にして溶融押出
し、その後、外径1.4mmφ、内径0.7mmφのダ
イスを取り付けた中空糸製造装置にて樹脂を押し出し、
外径1.3mmφ、内径0.7mmφの中空糸状に成形
した。
【0026】成形された中空糸を塩化メチレン中に1時
間浸漬して、フタル酸ジブチルを抽出した後、乾燥させ
た。次いで、50%エチルアルコール水溶液に30分間
浸漬し中空糸を親水化した。更に、70℃、20%苛性
ソーダ水溶液中に1時間浸漬して疎水性シリカを抽出し
た後、水洗し、乾燥した。こうして得られた中空糸の特
性を表1に示した。
【0027】
【比較例1】疎水性シリカ25.0重量%、フタル酸ジ
ブチル50.0重量%を実施例1と同様に混合した後、
超高分子量ポリエチレン樹脂[サンファインUH90
0]を25.0重量%添加した後、実施例1と同様にし
てペレットを作り、樹脂温度250℃にて溶融混練し、
実施例1と同様に中空糸膜を得た。こうして得られた中
空糸の特性を表1に示した。しかし、ここで得られたペ
レットは成形性が非常に悪く、中空糸状多孔膜の表面は
ざらつき、中空糸状多孔膜の透水量も非常に低いものし
か得られなかった。
【0028】
【比較例2】疎水性シリカ25.0重量%、フタル酸ジ
ブチル50.0重量%を実施例1と同様に混合した後、
超高分子量ポリエチレン樹脂[サンファインUH90
0]を12.5重量%、ポリプロピレン樹脂[PN11
0G]を12.5重量%添加した後、実施例1と同様に
してペレットを作り、樹脂温度230℃にて溶融混練
し、実施例1と同様に中空糸膜を得た。こうして得られ
た中空糸膜の特性を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、成形性が良く、機械的
強度、耐擦傷性(FLUX保持率)に優れ、長期に渡っ
て安定に使用できる中空糸状多孔膜を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】サンドブラストテストの概要を示す模式図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:10) C08L 23:10) Fターム(参考) 4D006 GA02 KA43 KC14 LA06 MA01 MA22 MA27 MA31 MB16 MB19 MC22X MC23X NA22 NA61 PA01 PB04 4J002 BB031 BB051 BB122 BB152 GD05 4L035 AA05 AA09 BB31 CC20 DD03 DD07 DD14 EE08 EE20 FF01 HH02 JJ05 KK01 KK05 LA02 MA01 MA10

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量50万以上のポリエチレ
    ンを60〜95重量%含み、且つ重量平均分子量1万〜
    100万のポリプロピレンを5〜40重量%含むポリオ
    レフィン混合物からなり、気孔率30〜90% 、平均
    孔径0.03μm〜5μmであることを特徴とするポリ
    オレフィン中空糸状多孔膜。
JP2000119436A 2000-04-20 2000-04-20 ポリオレフィン中空糸状多孔膜 Pending JP2001300275A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000119436A JP2001300275A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 ポリオレフィン中空糸状多孔膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000119436A JP2001300275A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 ポリオレフィン中空糸状多孔膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001300275A true JP2001300275A (ja) 2001-10-30

Family

ID=18630411

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000119436A Pending JP2001300275A (ja) 2000-04-20 2000-04-20 ポリオレフィン中空糸状多孔膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001300275A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005530887A (ja) * 2002-06-25 2005-10-13 ダウ・コーニング・コーポレイション サーマルインターフェース材料、並びにその製造方法及び使用
JP2006247607A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Toyobo Co Ltd ポリオレフィン系中空糸状多孔質膜
JP2006255518A (ja) * 2005-03-15 2006-09-28 Toyobo Co Ltd ポリオレフィン系多孔質膜の製造方法
JPWO2009054460A1 (ja) * 2007-10-26 2011-03-10 旭化成ケミカルズ株式会社 気体分離膜
KR101103163B1 (ko) 2008-05-30 2012-01-04 아사히 가세이 이-매터리얼즈 가부시키가이샤 폴리올레핀제 미다공막
JP2016097362A (ja) * 2014-11-21 2016-05-30 旭化成ケミカルズ株式会社 多孔性中空糸膜、多孔性中空糸膜の製造方法、及び浄水方法
JP2019534956A (ja) * 2016-09-26 2019-12-05 ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー ヒト身体冷却のための赤外線−透明のポリマー繊維系織布
CN114307691A (zh) * 2021-12-28 2022-04-12 上海普利特复合材料股份有限公司 一种中空纳米银/石墨烯/pe超滤膜及其制备方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005530887A (ja) * 2002-06-25 2005-10-13 ダウ・コーニング・コーポレイション サーマルインターフェース材料、並びにその製造方法及び使用
JP2006247607A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Toyobo Co Ltd ポリオレフィン系中空糸状多孔質膜
JP2006255518A (ja) * 2005-03-15 2006-09-28 Toyobo Co Ltd ポリオレフィン系多孔質膜の製造方法
JPWO2009054460A1 (ja) * 2007-10-26 2011-03-10 旭化成ケミカルズ株式会社 気体分離膜
JP2015037791A (ja) * 2007-10-26 2015-02-26 旭化成ケミカルズ株式会社 気体分離膜
KR101103163B1 (ko) 2008-05-30 2012-01-04 아사히 가세이 이-매터리얼즈 가부시키가이샤 폴리올레핀제 미다공막
JP2016097362A (ja) * 2014-11-21 2016-05-30 旭化成ケミカルズ株式会社 多孔性中空糸膜、多孔性中空糸膜の製造方法、及び浄水方法
JP2019534956A (ja) * 2016-09-26 2019-12-05 ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー ヒト身体冷却のための赤外線−透明のポリマー繊維系織布
CN114307691A (zh) * 2021-12-28 2022-04-12 上海普利特复合材料股份有限公司 一种中空纳米银/石墨烯/pe超滤膜及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5717987B2 (ja) 多孔性多層中空糸膜
JP2899903B2 (ja) ポリフツ化ビニリデン多孔膜及びその製造方法
JPH0775622B2 (ja) 人工肺用中空糸膜、その製造方法およびその中空糸膜を用いた人工肺
WO1999067013A1 (fr) Film poreux d'une resine de fluorure de polyvinylidene et son procede de production
US20080067126A1 (en) Method for membrane filtration purification of suspended water
JP4869272B2 (ja) 多孔性多層中空糸膜
BR112016000698B1 (pt) Membrana de fibra oca porosa de fluoreto de vinilideno hidrofilizada, e seu método de produção e de uso
EP3689445A1 (en) Porous hollow fiber membrane and method for producing same
JPWO2006087963A1 (ja) フッ化ビニリデン系樹脂中空糸多孔膜、それを用いる水の濾過方法およびその製造方法
JP3026493B2 (ja) ポリスルホン系中空糸膜の製造方法及びポリスルホン系中空糸膜
JP2001300275A (ja) ポリオレフィン中空糸状多孔膜
JP5879161B2 (ja) 水蒸気分離膜及びその製造方法
JP4493793B2 (ja) ポリエチレン中空糸状多孔膜
KR20140081366A (ko) 신규한 구조를 가지는 중공사막 및 그 제조 방법
JPH10168218A (ja) フッ化ビニリデン系樹脂多孔膜
JP7115309B2 (ja) 分離膜及び分離膜の製造方法
JPH0342025A (ja) ポリオレフィン多孔膜の製造方法
JP2012040462A (ja) 異形多孔性中空糸膜の製造方法、異形多孔性中空糸膜、異形多孔性中空糸膜を用いたモジュール、異形多孔性中空糸膜を用いたろ過装置及び異形多孔性中空糸膜を用いたろ過方法
JP2019111476A (ja) 分離膜及び分離膜の製造方法
JP4572531B2 (ja) 分離膜用製膜原液および分離膜
JP2004344871A (ja) 多孔質フィルターの製造方法
JP3979751B2 (ja) 酸化剤含有水のろ過方法
KR20160079354A (ko) 친수성이 향상된 pvdf 중공사막 조성물 및 이를 이용한 pvdf 중공사막
WO2018021545A1 (ja) 分離膜およびその製造方法
JPH1024224A (ja) 積層多孔膜及びその用途