JP3979751B2 - 酸化剤含有水のろ過方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化剤含有水、例えば、オゾン、二酸化塩素、塩素、過酸化水素、次亜塩素酸トリウム等の酸化剤が添加された、河川水、海水、下水、湖沼水、伏流水、工程水等の、徐濁・除菌を目的としたろ過方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川水等の浄化には、従来、ポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を用いて水中の濁質成分を凝集、フロック形成させる凝集沈殿法が行われている。
しかし、上記浄化法は、水質変動に伴う凝集剤の添加量やpHの最適化を行うためのジャーテストと呼ばれる予備試験を必要とし、操作が煩雑である。また、フロック形成池、沈殿池、砂ろ過設備等の大型設備が必要であり、凝集剤添加によって生成する大量のスラッジの処理も問題となっている。
【0003】
このような凝集沈殿法の持つ問題点を克服し、コンパクトな設備でかつ原水変動に大きく左右されない、安定した水質を得る目的で、精密ろ過膜、限外ろ過膜を使用したろ過膜モジュールにより、河川水等の浄化を行う技術が開示されている。
また、ろ過膜モジュールを使用した、より高度な水処理を目的として、原水へ次亜塩素酸、過酸化水素水、オゾン等の酸化剤を添加し、あらかじめ原水の水質を改質した後にろ過膜モジュールでろ過をする技術が開示されている。
【0004】
この中で、オゾンを添加する技術では、オゾンの強力な酸化力によりフミン酸等の有機物を分解、ないし親水性に改質する事により、ろ過膜へのファウリングによる、ろ過安定性をはかっている例がある。[Jour.AWWA、77(8)P.60−65(1985)]
こうした酸化剤による原水の前処理は、膜の目詰まりが有機物質に起因する場合に特に有効であるが、その酸化力により、使用するろ過膜自体の酸化劣化を招くという問題がある。そのため、あらかじめ、酸化剤を除去した後、ろ過膜へ処理原水を供給するか、酸化剤耐性を有するろ過膜を使用する必要がある。
【0005】
ところが、酸化剤を除去した後にろ過膜へ原水を供給する場合では、不必要な工程を増やすこととなり、造水コスト、設置面積の点で不利となる。
また、酸化剤耐性を有するろ過膜は、有機系膜としては、これまでフッ素系樹脂多孔質膜に限られており、例えばポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと記す)系樹脂多孔質膜が知られており、そのPVDF系樹脂からなる多孔質膜の製法としては、以下の3種の製法が知られている。
▲1▼PVDF系樹脂をその良溶媒に溶解させた後、その溶液を貧溶媒中に浸漬し、脱溶媒する事により、多孔質膜とする方法(特開昭59−16503号公報、特開昭60−97001号公報)
▲2▼PVDF系樹脂とフタル酸エステル等の可塑剤及びシリカ等の無機微粉体を混合・混練し、溶融押し出し後、可塑剤、無機微粉体を抽出する事により、多孔質膜とする方法(特開平3−215535号公報)
▲3▼PVDF系樹脂とフタル酸エステル等の可塑剤を混合し、溶融押し出し後、可塑剤を抽出する事により、多孔質膜とする方法(特願平10−065765号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、オゾン、二酸化塩素、過酸化水素、塩素、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤が添加された水を長期間に渡って安定にろ過する方法を提供する事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決したものである。すなわち本発明は、走査型電子顕微鏡で膜の内/外表面及び膜断面のいずれかを観察した時の、倍率5万倍での膜面構造が、幅5nm以上でアスペクト比が2以上であるラメラの集積により形成された、ポリフッ化ビニリデン系樹脂膜を用いて酸化剤含有水をろ過する方法である。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
この発明は、上水道や下水二次処理水の高度処理、工業用水および排水などの処理方法において、原水にオゾン、二酸化塩素、過酸化水素、塩素、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を添加してその水質を改善したのち、ろ過膜を用いて処理する方法に関する。このような、酸化剤を使用する方法においては、ろ過に用いる膜として、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂など(以降、PVDF系樹脂ともいう)の、高度な酸化剤耐性を有する素材からなるものが用いられる。
【0009】
本発明者らは、同じPVDF系樹脂という素材を用いた膜であっても、膜内/外表面及び膜断面のいずれかの、いわゆる接液部の膜面が成長したラメラの集積により形成されているものでは、ラメラ成長が進んでいない膜に比べ、酸化剤耐性に優れている事を見出し、本発明にいたった。
すなわち、この発明に適した酸化剤耐性に優れたろ過膜とは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなるろ過膜のうち、走査型電子顕微鏡で膜の内/外表面および膜断面のいずれかを観察した時の、倍率5万倍での膜面構造が幅5nm以上、アスペクト比2以上であるラメラの集積により形成されている、ろ過膜である。
【0010】
本発明でいう、ラメラの集積とは、走査型電子顕微鏡で膜面を観察した時の、無作為に選んだ250,000nm2 の単位面積当たりに、幅5nm以上、アスペクト比が2以上であるラメラが10個以上存在する場合を指し、ラメラ同士が重なり合う様に集積されている方が、非ラメラ部が膜面に露出せず、より好ましい酸化耐性を有するろ過膜となる。
また、アスペクト比とは、縦横の長さの比であり、ここでは、ラメラの長い部分(長手方向の長さ)を短い部分(幅)で割返した値を指す。
【0011】
本発明のろ過膜は、さらに以下の特徴を有する多孔質膜であることが、実使用に供する場合に好ましい態様となる。
(イ)孔径が、平均孔径(ASTM:F316−86によるエアフロー法)で、0.05μm〜1μmの領域にあり、その空孔率が50〜90%である精密濾過膜。
(ロ)シート状の平膜、或いは中空糸状膜であり、平膜である場合には、その膜厚みが0.02mm〜0.50mm、中空糸状膜である場合には、その中空糸膜径が、膜内径で0.2mm〜4.5mm、膜外径で0.5mm〜5.0mm、膜厚みが0.15〜0.75mmの精密濾過膜。
【0012】
本発明に使用されるPVDF系樹脂多孔質膜は、例えば[従来の技術]の項の▲2▼の方法、すなわち、PVDF系樹脂、可塑剤、および疎水性シリカを混練・溶融押し出し成形後、可塑剤と疎水性シリカを抽出・除去する事によって得られる膜から選ぶことができる。以下、この方法について述べる。
(1)この方法に用いられるPVDF系樹脂とは、フッ化ビニリデンホモポリマーまたはフッ化ビニリデン共重合体、あるいはこれらの混合物である。ここで、フッ化ビニリデン共重合体における、フッ化ビニリデンとの共重合モノマーとしては、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、あるいは3フッ化塩化エチレンが挙げられる。
(2)使用されるPVDF系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10万〜50万である。Mwが10万未満のPVDF系樹脂を用いて多孔質膜としても、その引っ張り破断伸度が極端に小さくなり、実用に供するのは困難である。また、Mwが50万を超える場合では、溶融成形時の流動性が小さく、押し出し成形時の成形性が悪くなり、現実的でない。
(3)可塑剤とは、PVDFに対し適度な溶解性を示す不活性の有機液状体を指し、具体的には、SP値(溶解度パラメータ)が8.4〜10.5の範囲、好ましくは、SP値が8.4〜9.9である有機液状体が挙げられる。SP値が8.4〜10.5の可塑剤の例を挙げると、DEP(フタル酸ジエチル)、DBP(フタル酸ジブチル)、DHP(フタル酸ジヘキシル)、DnOP(フタル酸ジオクチル)、DOP(フタル酸ジ−(2−エチル)ヘキシル)等のフタル酸エステルやリン酸エステルが挙げられる。
【0013】
これらのうち、特にDBP、DHP、DOPの単独及び混合物が好ましく使用される。
(4)使用される疎水性シリカとは、親水性シリカ表面のシラノール基をジメチルシランあるいはジメチルジクロロシラン等の有機珪素化合物と化学的に反応させ、親水性シリカ表面をメチル基で置換し、疎水化させたシリカを指す。その平均1次粒子径が0.005〜0.5μm、比表面積30〜500m2 /gの範囲にあり、粉体が完全に濡れるメタノールの容量%(Mw値)が30%以上である疎水性のシリカが好ましく用いられる。
(5)可塑剤及び疎水性シリカの抽出液について例を挙げると、可塑剤の抽出には、PVDFは溶解せず可塑剤のみが溶解する有機溶媒が用いられる。具体的に例を挙げると、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチル−エチルケトン等のケトン類及び、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。また、疎水性シリカの抽出溶媒としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液の様なアルカリ性水溶液が使用できる。
【0014】
また、アルカリ水溶液による疎水性シリカの抽出の前に、アルコール或いはアルコール水溶液を用いて、膜とアルカリ水溶液との親和性を高める手法を取る事もでき、さらに、アルカリ性水溶液とアルコールの混合溶液を使用する事により、可塑剤とシリカを同時に抽出する事も可能である。
以上の製造例により成膜されるろ過膜は、均質な連通孔からなる3次元網状構造を有している。また、その平均孔径(ASTM:F316−86によるエアフロー法による)が、0.05μm〜1μmの領域にあり、空孔率が50〜90%の精密濾過膜である。
【0015】
本発明に使用されるろ過膜は、倍率5万倍の走査型電子顕微鏡で膜の内/外表面および膜断面のいずれかを観察した時の膜面構造が幅5nm以上、アスペクト比2以上であるラメラの集積により形成されている、ポリフッ化ビニリデン系樹脂ろ過膜であれば、上記以外の方法で製造されたものであってもかまわない。
本発明において、PVDF系樹脂ろ過膜の観察は、以下の様に実施した。
観察装置:S−900(日立製作所製)
加速電圧:1.0KV
倍率:50,000倍
酸化剤含有水とは、オゾン、二酸化塩素、塩素、過酸化水素水、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤が添加された、河川水、海水、下水、湖沼水、伏流水、工程水などである。酸化剤含有水中の酸化剤添加濃度は特に限定されない。
【0016】
本発明のろ過膜によるろ過は、例えば多孔質膜を内蔵した濾過モジュールを用いて行う。酸化剤含有水処理に適した膜モジュールは、例えば国際公開WO97/10893号公報に開示されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に用いられるろ過膜の製法の例と、酸化剤含有水のろ過方法の例を説明する。また、本実施例では、酸化剤含有水として、オゾン含有水を使用した。
例中の引っ張り破断強・伸度は、下記の方法により測定し、オゾン含有水へ浸漬する前の値を100%として、保持率で記載した。
【0018】
測定装置:島津オートグラフ AGS−5D(島津製作所製)
チャック間距離:50mm
引っ張り速度:200mm/分
標本数:10(表−1中の値は、平均値で示している)
また、純水透水性能は、25℃の純水を有効長50mmの中空糸多孔質膜サンプルの内表面側から外表面側へ透過させ、単位時間、単位圧力(単位膜差圧)あたりの透水量を算出し、初期の値を100%として、保持率で記載した。
【0019】
【例1】
(膜の製造例)
PVDFパウダー(SOLVAY社製、SOLEF 6010)、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R−972[平均1次粒径0.016μm、比表面積110m2 /g、Mw値=50%])、DOP(チッソ社製、CSサイザー)、DBP(チッソ社製)をそれぞれ40.0/23.0/30.8/6.2重量部取り分け、ヘンシェルミキサーにより混合した後、2軸押し出し機により、ペレットを作成した。
【0020】
上記ペレットを、バレル温度260℃、ヘッド温度235℃、紡口温度230℃の温度条件の2軸押し出し機から、寸法が1.70mmφ/0.90mmφ/0.50mmφの2重紡口を経て溶融押し出しした。押し出し機に取り付けられた紡口から30cm下方の水温40℃の温水浴により、半溶融状態の中空糸を固化させ、ワインダーにより巻き取った。
該中空糸束をジクロロメタンを使用し、以下の抽出条件で中空糸束中の可塑剤を抽出した。
【0021】
抽出条件は、温度が室温(25〜27℃)で、中空糸束の単純体積(内/外径、長さより算出)に対する該ジクロロメタンの体積を20倍量、処理時間を5時間とした。
次に50%エタノール水溶液に上記中空糸束を30分浸漬し、次いで、重量パーセント濃度20%の水酸化ナトリウム水溶液を使用し、以下の抽出条件で中空糸束中のシリカを抽出した。
【0022】
抽出条件は、温度が60℃で、中空糸束の単純体積(内/外径、長さより算出)に対する該水溶液の体積を20倍量(疎水性シリカに対する当量比で8倍当量)、処理時間を2時間とした。
その後、該水酸化ナトリウム水溶液と同一体積の60℃温水での温水洗浄を1時間行い、この温水洗浄を合計10回繰り返した。
以上により、内/外径が0.70/1.25mmφで、空孔率が70%、平均孔径0.18μmである中空糸多孔質膜を得た。
【0023】
得られた中空糸多孔質膜を、倍率5万倍の走査型電子顕微鏡により観察した。その結果を図1に示す。
図1によれば、250,000nm2 当たりに幅が10〜20nmであり、アスペクト比が3〜27のラメラが55個観察された。
得られた多孔質膜の耐オゾン性を評価するために、多孔質膜を平均濃度33mg/リットルのオゾン含有水に室温(20.5±0.5℃)で10日間浸漬し、その物性変化(引っ張り破断強・伸度の保持率)を測定し、結果を表1に記載した。ここで、実際に膜ろ過時に使用するオゾン濃度を1mg/リットルと仮定すると、11ヶ月分の試験に相当する。
さらに、上記多孔質膜のオゾン含有水浸漬後の純水透水量の変化を、オゾン含有水浸漬前の値を100%として、保持率で表2に記載した。
【0024】
【例2】
(膜の製造例)
PVDFパウダー(呉羽化学社製、#KF1000)、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R−972[平均1次粒径0.016μm、比表面積110m2 /g、Mw値=50%])、DOP(チッソ社製、CSサイザー)、DBP(チッソ社製)をそれぞれ40.0/23.0/32.9/4.1重量部取り分け、ヘンシェルミキサーにより混合した後、2軸押し出し機により、ペレットを作成した。
【0025】
上記ペレットを、バレル温度260℃、ヘッド温度215℃、紡口温度210℃の温度条件の2軸押し出し機から、寸法が1.70mmφ/0.90mmφ/0.50mmφの2重紡口を経て溶融押し出しを行った。押し出し機に取り付けられた紡口から40cm下方の水温40℃の温水浴により、半溶融状態の中空糸を固化させ、ワインダーにより巻き取った。
該中空糸束をジクロロメタンを使用し、以下の抽出条件で中空糸束中の可塑剤を抽出した。
【0026】
抽出条件は、温度が室温(26〜28℃)で、中空糸束の単純体積(内/外径、長さより算出)に対する該ジクロロメタンの体積を20倍量、処理時間を5時間とした。
次に重量パーセント濃度20%の水酸化ナトリウム水溶液を使用し、以下の抽出条件で中空糸中のシリカを抽出した。
抽出条件は、温度が60℃で、中空糸束の単純体積(内/外径、長さより算出)に対する該水溶液の体積を20倍量(疎水性シリカに対する当量比で8倍当量)、処理時間を2時間とした。
【0027】
その後、該水酸化ナトリウム水溶液と同一体積の60℃温水での温水洗浄を1時間行い、この温水洗浄を合計10回繰り返した。
以上により、内/外径が0.70/1.25mmφで、空孔率が70%、平均孔径0.40μmである中空糸多孔質膜を得た。
得られた中空糸多孔質膜を、倍率5万倍の走査型電子顕微鏡により観察した。その結果を図2に示す。
【0028】
図2によれば、250,000nm2 当たりに幅が15〜25nmであり、アスペクト比が2〜20である、ラメラが36個観察された。
また、実施例1と同一条件でオゾン含有水に浸漬し、その物性変化(引っ張り破断強・伸度の保持率)を測定した結果を表1に記載した。
さらに、上記多孔質膜のオゾン含有水浸漬後の純水透水量の変化を、オゾン含有水浸漬前の値を100%として、保持率で表2に記載した。
【0029】
【例3】
(膜の製造例)
実施例1のペレットを、バレル温度240℃、ヘッド温度230℃、紡口温度220℃の温度条件の2軸押し出し機から、寸法が1.70mmφ/0.90mmφ/0.50mmφの2重紡口を経て溶融押し出しを行った。押し出し機に取り付けられた紡口から40cm下方の水温40℃の温水浴により、半溶融状態の中空糸を固化させ、ワインダーにより巻き取った。
【0030】
該中空糸束を実施例1と同様に可塑剤及び、シリカの抽出及び温水洗浄を行った。
以上により、内/外径が0.70/1.25mmφで、空孔率が70%、平均孔径0.22μmである中空糸多孔質膜を得た。
得られた中空糸多孔質膜を、倍率5万倍の走査型電子顕微鏡により観察したところ、250,000nm2 当たりに幅が30〜60nmであり、アスペクト比が2〜6である、ラメラが12個観察された。
【0031】
また、実施例1と同一条件でオゾン含有水に浸漬し、その物性変化(引っ張り破断強・伸度の保持率)を測定した結果を表1に記載した。
さらに、上記多孔質膜のオゾン含有水浸漬後の純水透水量の変化を、オゾン含有水浸漬前の値を100%として、保持率で表2に記載した。
【0032】
【例4】
(実施例)
例1で作成した中空糸多孔質膜を200本用意し、外径38mmのPVC製モジュールケースに挿入し、両側端部をシリコーン系ポッティング剤(東芝シリコーン社製、TSE−3337)により、接着固定した。その後、中空糸膜の中空部が開口する様に、ポッティング部の両側端部を切断し、さらに液密的にシールできるように、両側にPVC製のキャップを取り付けた。
【0033】
以上の様にして作成した、中空糸膜モジュールを使用して、オゾン添加した、濁度1〜4の河川水で膜差圧20KPaの定圧ろ過試験を3ヶ月間行った。
その時の濾水採水量は、初期の採水量を100%として94%であり、ほとんど採水量の低下は、認められなかった。
この間の、河川水中のオゾンの濃度は、供給側で7〜20mg/リットル、濾水側で0.3〜2mg/リットルであった。
ろ過試験終了後、この中空糸膜モジュールを解体し、その中空糸膜の物性変化(引っ張り破断強・伸度の保持率)を表1に記載した。
【0034】
【例5】
(比較例)
PVDFパウダー(SOLVAY社製、SOLEF 6010)、DEP(チッソ社製)、DBP(チッソ社製)をそれぞれ45.0/55.0重量部取り分け、ヘンシェルミキサーにより混合した後、2軸押し出し機により、バレル温度145℃、紡口温度140℃の温度条件の2軸押し出し機から、寸法が1.70mmφ/0.90mmφ/0.50mmφの2重紡口を経て溶融押し出しした。押し出し機に取り付けられた紡口から30cm下方の液温10℃のDOP浴により、半溶融状態の中空糸を固化させ、ワインダーにより巻き取った。
【0035】
該中空糸束をジクロロメタンを使用し、以下の抽出条件で中空糸束中の可塑剤を抽出した。
抽出条件は、温度が室温(25〜27℃)で、中空糸束の単純体積(内/外径、長さより算出)に対する該ジクロロメタンの体積を20倍量、処理時間を5時間とした。
以上により、内/外径が0.75/1.30mmφであり、空孔率55%、平均孔径0.25μmである中空糸多孔質膜を得た。
【0036】
得られた中空糸多孔質膜を、倍率5万倍の走査型電子顕微鏡により観察した。その結果を図3に示す。
図3によれば、250,000nm2 当たりに直径5〜20nmであり、アスペクト比がほぼ1である、球状の小さなラメラが多数、観察された。
また、実施例1と同一条件でオゾン含有水に浸漬し、その物性変化(引っ張り破断強・伸度の保持率)を測定した結果を表1に記載した。
【0037】
表1によれば、実際の条件で1年に相当する間に、引っ張り強度及び伸度の大幅な低下が確認され、実使用には適さないと判断される。
さらに、上記多孔質膜のオゾン含有水浸漬後の純水透水量の変化を、オゾン含有水浸漬前の値を100%として、保持率で表2に記載した。
表2によれば、実際の条件で1年に相当する間に、透過水量の増加が認められ、膜表面及び内部の開孔の拡大が推定される。
【0038】
【表1】
Figure 0003979751
【0039】
【表2】
Figure 0003979751
【0040】
【発明の効果】
本発明に記載されたような、酸化剤含有水へ浸漬した後の引っ張り破断強・伸度の保持率が極めて高い特定のPVDF系樹脂ろ過膜を用いれば、オゾン、二酸化塩素、塩素、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を含有した水を長期間にわたって安定にろ過することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるろ過膜の一態様(例1)の内表面を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率5万倍)である。
【図2】本発明に用いられるろ過膜の一態様(例2)の内表面を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率5万倍)である。
【図3】例5(比較例)のろ過膜の内表面を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率5万倍)である。

Claims (3)

  1. 走査型電子顕微鏡で膜の内/外表面及び膜断面のいずれかの接液部の膜面を観察した時の、倍率5万倍での接液部の膜面構造が、幅5nm以上でアスペクト比が2以上であるラメラの、250,000nm の単位面積あたり、10個以上の集積により形成された、ポリフッ化ビニリデン系樹脂膜を用いて酸化剤含有水をろ過する方法。
  2. 使用される膜が、溶融押し出し時のバレル温度が240〜260℃の条件で製膜したことを特徴とする、請求項1記載の酸化剤含有水をろ過する方法。
  3. 使用される膜が、溶融押し出し時の紡口温度が210〜230℃であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の酸化剤含有水をろ過する方法。
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