JP4572531B2 - 分離膜用製膜原液および分離膜 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理、食品工業分野に好適な分離膜の製膜原液に関する。
近年、分離膜は、飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理分野、食品工業分野等様々な方面で利用されている。飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理分野においては、分離膜が従来の砂濾過、凝集沈殿過程の代替として水中の不純物を除去するために用いられるようになってきている。また、食品工業分野においては、発酵に用いた酵母の分離除去や液体の濃縮を目的として、分離膜が用いられている。
上述のように多様に用いられる分離膜は、浄水処理や排水処理などの水処理分野においては処理水量が大きいため、透水性能の向上が求められている。透水性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となり、装置がコンパクトになるため設備費を節約でき、膜交換費や設置面積の点からも有利である。
また、浄水処理では透過水の殺菌や膜のバイオファウリング防止の目的で、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を膜モジュール部分に添加したり、酸、アルカリ、塩素、界面活性剤などで膜そのものを洗浄するため、分離膜には耐薬品性能が求められる。
さらに、水道水製造では、家畜の糞尿などに由来するクリプトスポリジウムなどの塩素に対して耐性のある病原性微生物が浄水場で処理しきれず、処理水に混入する事故が1990年代から顕在化していることから、このような事故を防ぐため、分離膜には、原水が処理水に混入しないよう十分な分離特性と高い物理的強度が要求されている。
このように、分離膜には、優れた分離特性、化学的強度(耐薬品性)、物理的強度、耐汚れ性および透過性能が求められる。そこで、化学的強度(耐薬品性)と物理的強度を併せ有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いた分離膜が使用されるようになってきた。
例えば、特許文献1にはポリフッ化ビニリデン系樹脂と種々の界面活性剤を良溶媒に溶解してポリマー溶液を調製し、ポリマー溶液を口金から押し出したり、ガラス板上にキャストしたりして成形した後、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の非溶媒を含む溶液に接触させて非溶媒誘起相分離により非対称多孔構造を形成させる方法が開示されている。この方法では、安価に分離膜を得ることができるが、十分な表面細孔数と十分大きい表面細孔径を両立するのが困難であり、高透水性と優れた耐汚れ性を両立することは困難であった。特に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は疎水性であるため、水などの非溶媒を含む溶液に接触させて分離膜を製造する方法では、緻密な膜が形成しやすく、十分大きい表面細孔径を達成するのは困難であった。
また、比較的近年では特許文献2にポリフッ化ビニリデン系樹脂に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の融点以上の温度で口金から押し出したり、プレス機でプレスしたりして成形した後、冷却固化し、その後無機微粒子と有機液状体を抽出することにより多孔構造を形成する方法が開示されている。この方法では、空孔性の制御が容易で、マクロボイドが形成せず比較的均質で高強度の膜が得られるものの、無機微粒子の分散性が悪いとピンホールのような欠点を生じる可能性があった。さらに、この方法では、製造コストが極めて高くなる欠点を有していた。
特公平1−22003号公報 特許第2899903号公報
本発明は、従来の技術の上述した問題点に鑑み、耐薬品性の高い熱可塑性樹脂を用いて、高強度、高透水性、高阻止性能および優れた耐汚れ性を有する分離膜を安価かつ容易に製造できる製膜原液を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、下記(1)〜(6)によって特定される。
(1) 熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を溶解する溶媒、界面活性剤、および前記溶媒と非混和性の物質を含有する分離膜用製膜原液であって、前記溶媒のオクタノール/水分配係数がa、前記非混和性物質のオクタノール/水分配係数がbであるときに、不等式log10b−log10a>2.5を満足することを特徴とする分離膜用製膜原液。
(2) 前記非混和性物質が、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸およびエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の分離膜用製膜原液。
(3) 前記非混和性物質が、高級飽和脂肪族炭化水素、高級不飽和脂肪族炭化水素、高級アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の分離膜用製膜原液。
(4) 前記熱可塑性樹脂が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の分離膜用製膜原液。
(5) 粘度が0.01Pa・s〜5Pa・sの範囲内であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の分離膜用製膜原液。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の分離膜用製膜原液を用いて製造されてなる分離膜。
本発明の製膜原液によれば、十分大きい表面細孔数、表面細孔径を有する分離膜を安価かつ容易に製造することができ、フミン酸などの有機物の汚れによる透水量低下の小さい耐汚れ性の高い分離膜を提供することができる。これによって、膜の洗浄間隔が長くなり、ろ過寿命も長くなるため、造水コストの低減が可能になる。
本発明の分離膜用製膜原液は、熱可塑性樹脂と、その熱可塑性樹脂を溶解する溶媒と、界面活性剤と、熱可塑性樹脂を溶解する溶媒と非混和性の物質(以下、非混和性物質という)とを含有するものであって、前記溶媒のオクタノール/水分配係数がa、前記非混和性物質のオクタノール/水分配係数がbであるときに、不等式log 10 b−log 10 a>2.5を満足することを特徴とする。このように、製膜原液に界面活性剤とともに特定の非混和性物質を添加することにより、未添加時に比べて十分大きい表面細孔径を有する分離膜を安価かつ容易に製造することができる。
この理由の詳細は不明であるが、次の理由によると考えられる。すなわち、本発明の製膜原液中で、非混和性物質は、界面活性剤によって製膜原液中に可溶化または分散している。界面活性剤は非混和性物質を内部に取り込むことによって肥大化しているものと考えられる。界面活性剤は開孔剤としても作用し、該製膜原液を用いて製造される膜の多孔化を促す。従って、界面活性剤が非混和性物質を多く取り込むほどその肥大化が進行し、該原液が固化するときに大きな孔を穿つことになる。
なお、高透水性と優れた耐汚れ性を有する膜を得るためには、十分な表面細孔数と十分大きい表面細孔径を両立する必要があるが、表面細孔径が大きすぎると分離性能が悪くなる。従って、分離対象によって表面細孔径を制御する必要があり、界面活性剤濃度、非混和性物質濃度、界面活性剤と非混和性物質の組み合わせで制御する。界面活性剤と非混和性物質の濃度は特に限定されないが、安価かつ容易に膜を製造するために、界面活性剤濃度が0.1重量%以上15%重量以下で、かつ、非混和性物質濃度が0.01重量%以上10%重量以下であることが好ましく、さらには界面活性剤濃度が1%重量以上10%重量以下で、かつ、非混和性物質濃度が0.1%重量以上5%重量以下であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂、その熱可塑性樹脂を溶解する溶媒、界面活性剤および非混和性物質は、たとえば室温で溶解または加熱溶解して製膜原液となる。
ここで、本発明における熱可塑性樹脂とは、鎖状高分子物質からできており、加熱すると外力によって変形・流動する性質を有する樹脂のことをいう。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変形ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびこれらの混合物や共重合体が挙げられる。そして、これら熱可塑性樹脂の中でも、耐薬品性が高い分離膜を得るためにはポリフッ化ビニリデン系樹脂が好ましい。
本発明におけるポリフッ化ビニリデン系樹脂とは、ポリフッ化ビニリデンホモポリマーおよび/またはポリフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂のことである。複数の種類のポリフッ化ビニリデン共重合体を含有しても構わない。ポリフッ化ビニリデン共重合体としては、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンから選ばれた1種類以上とフッ化ビニリデンとの共重合体が挙げられる。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、要求される分離膜の強度と透水性能によって適宜選択すれば良いが、重量平均分子量が低いと強度が低く、重量平均分子量が高いと透水性が低くなり易いので、高強度と高透水性能を併せ有する分離膜を得るためには5万以上100万以下が好ましい。そして、分離膜への加工性を考慮した場合は10万以上70万以下が好ましく、さらに15万以上60万以下が好ましい。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂には、最大で50重量%の混和可能な樹脂を含んでいてもよい。例えば、アクリル樹脂やセルロースエステル樹脂を最大で50重量%含んだ状態である。アクリル樹脂とは、主としてアクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体、例えばアクリルアミド、アクリロニトリルなどの重合体を包含する高分子化合物をいうが、特にアクリル酸エステル樹脂やメタクリル酸エステル樹脂が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂との混和性が高いことから、好ましく用いられる。また、セルロースエステル樹脂とは、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートなどのセルロースのエステル化体を含有する高分子化合物をいうが、セルロースエステル樹脂のエステル化度はポリフッ化ビニリデン樹脂とともに溶媒に溶解する程度であれば特に限定されない。
また、本発明において熱可塑性樹脂を溶解する溶媒とは、上述の熱可塑性樹脂の融点以下の温度でその熱可塑性樹脂を5〜60重量%溶解できるものであれば特に限定されないが、好ましくは、10〜50重量%溶解できるものである。この熱可塑性樹脂を溶解する溶媒としては、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート等の中鎖長のアルキルケトン、エステル、グリコールエステルおよび有機カーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド等が好ましく用いられる。これらの溶媒は1種類で用いても2種類以上の混合物として用いても良い。
さらに、本発明における界面活性剤としては、上述の熱可塑性樹脂の融点以下の温度でその熱可塑性樹脂を溶解する溶媒に溶解または分散し、後述する非混和性物質を可溶化または分散させることができるものであれば特に限定されるものではなく、非混和性物質を可溶化または分散させうる範囲で任意に添加される。界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコールのエステル体、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド低モル付加物、ノニルフェノールのエチレンオキサイド低モル付加物、プルロニック型エチレンオキサイド低モル付加物等のエチレンオキサイド低モル付加物、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アルキルアミン塩、ポリアクリル酸ソーダ等が好ましく用いられる。
さらにまた、本発明における熱可塑性樹脂を溶解する溶媒と非混和性の物質(非混和性物質)とは、熱可塑性樹脂を溶解する溶媒に対する溶解度が5重量%以下であれば良く、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下が良い。熱可塑性樹脂や後述する開孔剤や非溶媒を溶解すると、熱可塑性樹脂を溶解する溶媒の非混和性物質に対する溶解力は大きく低下する。従って、非混和性物質は、界面活性剤によって可溶化または分散される範囲で任意に添加される。
非混和性物質としては、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸およびエーテル等が挙げられる。飽和脂肪族炭化水素としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素としては、例えば1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。高級アルコールとしては、1−オクタノール、2−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イワシ酸等が挙げられる。エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。
このように、非混和性物質としては、安価である飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸、エーテルなどが好ましく用いられるが、特に高温で用いる場合は、沸点が高い高級飽和脂肪族炭化水素、高級不飽和脂肪族炭化水素、高級アルコールなどが好ましく用いられる。これらの化合物は1種類で用いても2種類以上の混合物として用いても良い。
熱可塑性樹脂を溶解する溶媒と非混和性物質との混和性は、オクタノール/水分配係数(以下、Powという。)を一つの指標にできる。一般に、混和性を考える時には、log10Powのように分配係数の対数を用いて考慮される。熱可塑性樹脂を溶解する溶媒のPowをaとし、非混和性物質のPowをbとした時、log10aおよびlog10bを用いて、log10b−log10aの値を求める。このlog10b−log10aの値が大きいほど、両者の混和性が低下する傾向を示す。本発明の場合、不等式log10b−log10a>2.5を満足するように該樹脂を溶解する溶媒と非混和性物質とを選択する。好ましくはlog10b−log10a>3.0が良く、さらに好ましくはlog10b−log10a>3.5が良い。
なお、本発明におけるオクタノール/水分配係数とは、日本工業規格Z7260−107(2000)「分配係数(1−オクタノール/水)の測定方法−フラスコ振とう法」によって求める。この測定方法の概要は、一定量の被験物質を1−オクタノールに溶解し、1−オクタノールと水の二つの溶媒相中に加えて十分に混合した後、二相に分離し、各相中の被験物質濃度を測定し、分配係数を求めるというものである。
そして、本発明の製膜原液は、熱可塑性樹脂、該樹脂を溶解する溶媒、界面活性剤および非混和性物質の4種を含有するものであるが、必要に応じて開孔剤や非溶媒等の物質を含有していても良い。
開孔剤とは、該製膜原液を用いて製造される膜の多孔化を促すものであれば特に限定されず、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、グリセリンなどの多価アルコール類、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の無機塩が好ましく用いられる。
また、非溶媒とは、上述の熱可塑性樹脂を溶解しない溶媒であって、かつ、熱可塑性樹脂を溶解する溶媒と混和する溶媒であれば特に限定されない。具体的には、熱可塑性樹脂を溶解する溶媒に対する溶解度が5重量%以上であれば良く、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上が良い。
非溶媒の添加によって相分離を制御することは一般によく行われるが、多量に非溶媒を添加するとゲル化が生じたり、成形が困難になるため、熱可塑性樹脂や該樹脂を溶解する溶媒に応じて適宜添加量を調節する必要がある。非溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が安価なため好ましく用いられる。
このように製造される本発明の分離膜は、中空糸膜でも平膜でも良く、その用途によって選択される。本発明の製膜原液は、熱可塑性樹脂、該樹脂を溶解する溶媒、界面活性剤および非混和性物質の4種を含有するが、これらの濃度や組み合わせによって製膜原液の粘度が大きく変化する。製膜原液の粘度は、低すぎると膜が形成されずに欠点が生じたり膜の強度が低下し、高すぎると厚みムラが生じたり膜の透水性が低くなり経済的でない。そこで、中空糸膜の場合、製膜原液の粘度は1Pa・s〜300Pa・sの範囲内とし、平膜の場合、製膜原液の粘度は0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲内とすることが好ましい。より好ましくは中空糸膜の場合、10Pa・s〜200Pa・sの範囲内であり、平膜の場合、0.3Pa・s〜1Pa・sの範囲内である。このような粘度の製膜原液を用いることで、後述する寸法の膜で、透水性能、強度の高い膜を容易に得ることができる。また、後述するように支持材の上にポリマーをコーティングする場合、支持材が強度を補うため、分離膜自体には強度よりも透水性に重点を置いた設計がなされる。この場合、製膜原液の粘度は、平膜の場合でも中空糸膜の場合でも高透水性を発現させるためには、0.01Pa・s〜5Pa・sの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは0.05Pa・s〜3Pa・sの範囲内とすることが好ましい
中空糸膜の場合、内径が150μm〜8mm、さらには100μm〜10mm、外径が200μm〜12mm、さらには120μm〜15mm、膜厚が50μm〜1mm、さらには20μm〜3mmの範囲になるように設計することが好ましい。また、中空糸膜の内外表面の細孔径は、分離対象によって自由に選択できるが、0.005μm(5nm)〜10μm、さらには0.008μm(8nm)〜8μmの範囲になるように設計することが好ましい。本発明の製膜原液で界面活性剤濃度、非混和性物質濃度、界面活性剤と非混和性物質の濃度や組み合わせを適宜選択することにより、十分な表面細孔数を保持しながら表面細孔径を0.005μm〜5μmに制御可能であり、さらに開孔剤を用いれば表面細孔径を0.005μm〜10μmに制御可能である。
また、中空糸膜の内部構造は任意であり、いわゆるマクロボイドが存在していても、膜厚方向に同じような大きさの孔を有する均質構造であっても良い。さらに、ポリエステル、ナイロン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどの中空糸繊維、ガラス繊維、金属繊維などを筒状に編んだものを支持材としてその上にポリマーをコーティングしたものや、その支持材の一部にポリマーを含浸させたものでも良い。
一方、平膜の場合は、厚みが10μm〜1mm、さらには30μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。平膜の場合も、織物、編み物、不織布などの面状の支持材にポリマーをコーティング又は一部含浸させてもよく、その場合、この面状支持材を含む厚みが上述の範囲内にあることが好ましい。また、表面の細孔径は、分離対象によって自由に選択できるが、0.005μm(5nm)〜10μm、さらには0.008μm(8nm)〜8μmの範囲にあることが好ましい。本発明の製膜原液で界面活性剤濃度、非混和性物質濃度、界面活性剤と非混和性物質の組み合わせを適宜選択することにより、十分な表面細孔数を保持しながら表面細孔径を0.005μm〜5μmに制御可能であり、さらに開孔剤を用いれば表面細孔径を0.005μm〜10μmに制御可能である。
平膜の内部構造は任意であり、いわゆるマクロボイドが存在していても、膜厚方向に同じような大きさの孔のあいた均質構造であっても良い。
そして、本発明の製膜原液を用いて得られる分離膜は、例えば次のような方法で製造される。まず、熱可塑性樹脂、該樹脂を溶解する溶媒、界面活性剤および非混和性物質を室温溶解または加熱溶解して製膜原液とする。次に、製膜溶液を、該樹脂の融点よりかなり低い温度で口金から押出したり、中空糸や筒状あるいは面状支持体にコーティングしたり、ガラス板上にキャストしたりして成形した後、該樹脂の非溶媒を含む液体に接触させて非溶媒誘起相分離により分離膜を製造する。また、室温では熱可塑性樹脂を溶解しにくい溶媒を、該樹脂を溶解する溶媒として用いた場合は、熱可塑性樹脂、該樹脂を溶解する溶媒、界面活性剤および非混和性物質を高温溶解して製膜溶液を製造し、製膜溶液を口金から吐出した後、冷却して相分離及び固化せしめる熱誘起相分離法により分離膜を製造する。
このようにして得られた本発明の分離膜は、原液流入口や透過液流出口などを備えたケーシングに収容され膜モジュールとして使用される。膜モジュールは、膜が中空糸膜である場合には、中空糸膜を複数本束ねて円筒状の容器に納め、両端または片端をポリウレタンやエポキシ樹脂等で固定し、透過液を回収できるようにしたり、平板状に中空糸膜の両端を固定して透過液を回収できるようにする。分離膜が平膜である場合には、平膜を集液管の周りに封筒状に折り畳みながらスパイラル状に巻き取り、円筒状の容器に納め、透過液をできるようにしたり、集液板の両面に平膜の配置して周囲を水密に固定し、透過液を回収できるようにする。
そして、膜モジュールは、少なくとも原液側に加圧手段もしくは透過液側に吸引手段を設け、造水を行う液体分離装置として用いられる。加圧手段としてはポンプを用いてもよいし、また水位差による圧力を利用してもよい。また、吸引手段としては、ポンプやサイフォンを利用すればよい。
実施例、比較例における膜の透水性能は、次のように測定した。
膜が中空糸膜の場合には、中空糸膜4本からなる長さ200mmのミニチュアモジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、純水の透水量を測定し圧力(50kPa)換算する(Q0、単位=m3/m2・h)。次に、20ppmのフミン酸(試薬、和光純薬工業株式会社製)水溶液をろ過差圧16kPa、温度25℃の条件下に外圧全ろ過で2m3/m2になるようにろ過する。さらに150kPaの逆洗圧力で透過水を1分間供給し、その直後の純水透水量を測定する(Q1)。耐汚れ性の指標としてA=Q1/Q0を用いる。
膜が平膜の場合には、直径50mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットし、その他は中空糸膜と同様の操作をする。
また、分離膜の表面細孔数は、走査電子顕微鏡を用いて写真を撮り、観察される細孔を数えて求める。走査型電子顕微鏡の写真の倍率は5万倍で撮影する。分離膜の表面細孔径は、同じ走査型電子顕微鏡の写真から、20個の任意の細孔の直径を測定し、平均を求める。細孔が楕円形状の場合、短径aと長径bを測定し、(a×b)0.5を等価円直径とする。この場合、表面細孔径は、20個の任意の細孔の等価円直径の平均とする。
<実施例1>
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを25重量%、ジメチルホルムアミド(log10Pow=−0.87)を64重量%、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(三洋化成株式会社、商品名イオネットT−20C)を5重量%、デカン(log10Pow=5.98)を3重量%および水を3重量%の割合で95℃の温度で混合溶解して製膜原液(粘度:10Pa・s)を調製した。この製膜原液をジメチルホルムアミド50重量%水溶液を中空部形成液体として随伴させながら口金から吐出し、温度20℃のジメチルホルムアミド50重量%水溶液からなる凝固浴中で凝固して中空糸膜を作製した。ジメチルホルムアミドとデカンのlog10Powの差は、6.85であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.05μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は2.45m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、2.30m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。また、中空糸膜の表面細孔径を求めるにあたって撮影した走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
<実施例2>
デカンをヘキサン(log10Pow=3.61)にかえた以外は実施例1と同様にして製膜原液(粘度:10Pa・s)を調製し、同様にして中空糸膜を作製した。ジメチルホルムアミドとヘキサンのlog10Powの差は、4.48であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.05μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は2.22m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、2.15m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例3>
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを25重量%、ジメチルホルムアミドを61重量%、T−20Cを5重量%、デカンを3重量%、塩化リチウムを3重量%および水を3重量%の割合で95℃の温度で混合溶解して製膜原液(粘度:20Pa・s)を調製した。この製膜原液をジメチルホルムアミド50重量%水溶液を中空部形成液体として随伴させながら口金から吐出し、温度20℃のジメチルホルムアミド50重量%水溶液からなる凝固浴中で凝固して中空糸膜を作製した。ジメチルホルムアミドとデカンのlog10Powの差は、6.85であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.2μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は2.60m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、2.45m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<比較例1>
デカンを製膜原液に加えず、その重量%分をジメチルホルムアミドとした以外は実施例1と同様にして製膜原液(粘度:10Pa・s)を調製し、同様にして中空糸膜を作製した。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.023μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は2.20m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、1.55m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。また、中空糸膜の表面細孔径を求めるにあたって撮影した走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
<比較例2>
デカンを製膜原液に加えず、その重量%分をジメチルホルムアミドとした以外は実施例3と同様にして製膜原液(粘度:20Pa・s)を調製し、同様にして中空糸膜を作製した。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.03μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は2.30m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、1.60m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例4>
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを13重量%、ジメチルアセトアミド(log10Pow=0.77)を76重量%、T−20Cを5重量%、デカンを3重量%および水を3重量%の割合で95℃の温度で混合溶解して製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製した。ジメチルアセトアミドとデカンのlog10Powの差は、5.21であった。
次に、製膜原液を25℃に冷却した後、外径1730μm、内径900μmのポリエステル製筒状支持体に塗布し、塗布後、直ちに25℃の純水中に5分間浸漬し、さらに80℃の熱水に3回浸漬して洗浄し、ポリエステル製筒状支持体表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。
得られた中空糸膜は、外径1.8mm、内径0.9mm、平均細孔径0.05μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.12m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、1.03m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例5>
デカンをヘキサンにかえた以外は実施例4と同様にして製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製し、同様にして中空糸膜を作製した。ジメチルアセトアミドとヘキサンのlog10Powの差は、2.84であった。
得られた中空糸膜は、外径1.8mm、内径0.9mm、平均細孔径0.05μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.04m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、0.94m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<比較例3>
デカンをヘキサノールにかえた以外は実施例4と同様にして製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製し、同様にして中空糸膜を作製した。ジメチルアセトアミドとヘキサノールのlog10Powの差は、1.26であった。
得られた中空糸膜は、外径1.8mm、内径0.9mm、平均細孔径0.02μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.03m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、0.80m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
log10b−log10a=1.26<2.5の条件では、フミン酸水溶液に対する耐汚れ性を向上させることができなかった。
<比較例4>
デカンを製膜原液に加えず、その重量%分をジメチルアセトアミドとした以外は実施例4と同様にして製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製し、同様にして中空糸膜を作製した。
得られた中空糸膜は、外径1.8mm、内径0.9mm、平均細孔径0.02μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.00m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、0.74m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例6>
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマーとγ−ブチロラクトンとを、それぞれ38重量%と62重量%の割合で170℃の温度で溶解した。この樹脂溶液をγ−ブチロラクトンを中空部形成液体として随伴させながら口金から吐出し、温度20℃のγ−ブチロラクトン80重量%水溶液からなる冷却浴中で固化してベース中空糸を作製した。
次いで、重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを13重量%、N−メチル−2−ピロリドン(log10Pow=−0.11)を76重量%、T−20Cを5重量%、デカンを3重量%および水を3重量%の割合で95℃の温度で混合溶解して製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製した。この製膜原液をベース中空糸表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させてベース中空糸表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。N−メチル−2−ピロリドンとデカンのlog10Powの差は、6.09であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.05μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.05m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、0.99m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例7>
実施例6と同様にしてベース中空糸を作製した。
デカンをオレイルアルコール(log10Pow=3.5)にかえた以外は実施例4と同様にして製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製し、この製膜原液をベース中空糸表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させてベース中空糸表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。N−メチル−2−ピロリドンとオレイルアルコールのlog10Powの差は、3.61であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.08μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.10m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、1.05m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例8>
実施例6と同様にしてベース中空糸を作製した。
次いで、重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを13重量%、N−メチル−2−ピロリドンを73重量%、T−20Cを5重量%、デカンを3重量%、塩化リチウムを3重量%および水を3重量%の割合で95℃の温度で混合溶解して製膜原液(粘度:5Pa・s)を調製した。この製膜原液をベース中空糸表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させてベース中空糸表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。N−メチル−2−ピロリドンとデカンのlog10Powの差は、6.09であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.2μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.26m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、1.17m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例9>
実施例6と同様にしてベース中空糸を作製した。
次いで、重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを13重量%、N−メチル−2−ピロリドンを73重量%、T−20Cを5重量%、デカンを3重量%、重量平均分子量2万のポリエチレングリコールを3重量%および水を3重量%の割合で95℃の温度で混合溶解して製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製した。この製膜原液をベース中空糸表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させてベース中空糸表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。N−メチル−2−ピロリドンとデカンのlog10Powの差は、6.09であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.1μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.22m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、1.10m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例10>
実施例6と同様にしてベース中空糸を作製した。
T−20Cをモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(三洋化成株式会社、商品名イオネットT−60C)にかえた以外は実施例1と同様にして製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製し、この製膜原液をベース中空糸表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させてベース中空糸表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。N−メチル−2−ピロリドンとデカンのlog10Powの差は、6.09であった。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.05μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は1.16m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、1.05m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<比較例5>
実施例6と同様にしてベース中空糸を作製した。
デカンを製膜原液に加えず、その重量%分をN−メチル−2−ピロリドンとした以外は実施例6と同様にして製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製し、この製膜原液をベース中空糸表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させてベース中空糸表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.02μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は0.75m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、0.51m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<比較例6>
実施例10と同様にしてベース中空糸を作製した。
デカンを製膜原液に加えず、その重量%分をN−メチル−2−ピロリドンとした以外は実施例10と同様にして製膜原液(粘度:1Pa・s)を調製し、この製膜原液をベース中空糸表面に均一に塗布し、すぐに水浴中で凝固させてベース中空糸表面に多孔質膜を形成させた中空糸膜を作製した。
得られた中空糸膜は、外径1.4mm、内径0.8mm、平均細孔径0.02μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は0.70m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、0.47m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例11>
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマーを13重量%、ジメチルアセトアミドを76重量%、T−20Cを5重量%、デカンを3重量%および水を3重量%の割合で95℃の温度で混合溶解して製膜原液(粘度:0.3Pa・s)を調製した。
次に、製膜原液を25℃に冷却した後、密度が0.48g/cm3、厚みが220μmのポリエステル繊維製不織布に塗布し、塗布後、直ちに25℃の純水中に5分間浸漬し、さらに80℃の熱水に3回浸漬して洗浄し、平膜を得た。ジメチルアセトアミドとデカンのlog10Powの差は、5.21であった
得られた平膜の平均細孔径は、0.05μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は6.66m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、6.20m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<実施例12>
デカンをヘプタン(log10Pow=4.66)にかえた以外は実施例11と同様にして製膜原液(粘度:0.3Pa・s)を調製し、同様にして平膜を作製した。ジメチルアセトアミドとヘプタンのlog10Powの差は、3.89であった
得られた平膜の平均細孔径は、0.04μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は6.48m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、6.10m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
<比較例7>
デカンを製膜原液に加えず、その重量%分をジメチルアセトアミドとした以外は実施例11と同様にして製膜原液(粘度:0.3Pa・s)を調製し、同様にして平膜を作製した。
得られた平膜の平均細孔径は、0.02μmであった。50kPa、25℃における純水透水量は6.35m3/m2・hであった(Q0)。
フミン酸水溶液を温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件下に、2m3/m2になるようにろ過し、逆洗した。純水透水量は、5.35m3/m2・hであった(Q1)。なお、評価結果を表1にまとめた。
本発明の製膜原液によって製造される分離膜は、水処理分野であれば浄水処理、上水処理、排水処理、工業用水製造などで利用でき、河川水、湖沼水、地下水、海水、下水、排水などを被処理水とすることができる。
実施例1の方法により製造した中空糸膜の外表面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1の方法により製造した中空糸膜の外表面の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を溶解する溶媒、界面活性剤、および前記溶媒と非混和性の物質を含有する分離膜用製膜原液であって、前記溶媒のオクタノール/水分配係数がa、前記非混和性物質のオクタノール/水分配係数がbであるときに、不等式log 10 b−log 10 a>2.5を満足することを特徴とする分離膜用製膜原液。
  2. 記非混和性物質が、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸およびエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜用製膜原液。
  3. 前記非混和性物質が、高級飽和脂肪族炭化水素、高級不飽和脂肪族炭化水素、高級アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜用製膜原液。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜用製膜原液。
  5. 粘度が0.01Pa・s〜5Pa・sの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜用製膜原液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の分離膜用製膜原液を用いて製造されてなる分離膜。
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