JP4493793B2 - ポリエチレン中空糸状多孔膜 - Google Patents

ポリエチレン中空糸状多孔膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレン樹脂からなり、耐薬品性、濾過性能、機械的強度に優れ、擦傷の受けにくい、かつ成形性が良好で、安価な中空糸状多孔膜に関するもので、種々の濾過用途に用いることができるが、特に、河川水や湖沼水等の濁質成分を含む原水から、飲料水や工業用水等に利用可能な清澄水を得るための浄化用フィルターとして用いられる樹脂性中空糸状多孔膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、河川水、湖沼水や井戸水等の濁質成分を含む原水から懸濁物質等を除去して水道水や工業用水を得るための水の浄化方法としては、凝集沈殿法や凝集濾過法が用いられてきた。しかしながら、これらの方法は、1)原水水質の変動に伴う凝集剤添加操作が煩雑である、2)凝集剤由来の汚泥が発生する、3)フロック形成池、沈殿池、砂濾過設備など、設備の設置スペースが大きい、といった問題を抱えている。
【0003】
これらの課題を解決する方法として、また、最近では原虫類を除去するために、原水を限外濾過膜や精密濾過膜で濾過して除濁し浄化する方法が提案され、一部で実用化されている(例えば、水道公論、1996年4月号、頁86−89 水道技術ジャーナル、1998年10月号、頁13−17)。濾過膜としては、中空糸状濾過膜が多く用いられてる。中空糸状濾過膜は、実際の使用時には、中空糸状濾過膜を多数本束ねて円筒形ケースに挿入し、ケースの両端部で膜とケースを固定したモジュールと呼ばれる形態で使用される場合と(例えば、吉川ら、膜技術第2版、アイピーシー、1997年、頁396−403)、中空糸を平行に多数並べたものを一つの層として、それを何層も重ね、ろ過対象となる水槽に浸漬させて使用する場合が多い。
【0004】
中空糸状濾過膜を用いた濾過方式としては、膜の内表面側から外表面側へ向けて濾過する内圧式と、外表面側から内表面側へ向けて濾過する方式の外圧式の2方式があり、河川水等の濁質成分を含む原水を濾過する場合は、原水と接触する側の表面積が大きく取れ、単位膜表面積当たりの濁質成分の負荷量を小さくできる外圧式が有利である(例えば、松尾育朗、ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム’97、SESSION1、講演要旨集、日本膜学会、頁1−2−1から1−2−8)。外圧式で濾過した場合、濁質成分が膜外表面で濾別されて膜外表面に蓄積し、膜の透水性能が除々に低下するため、適時洗浄操作が必要になる。膜外表面に蓄積した濁質成分等の除去洗浄は、膜外表面に空気を混合させた原水を供給し、エアバブリングの力を利用する方法が有効であり、実際に膜洗浄方法として用いられている(例えば、松尾育朗、ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム’97、SESSION1、講演要旨集、日本膜学会、頁1−2−1から1−2−8)。このように現在、外圧式中空糸状濾過膜モジュールを用い、かつ膜洗浄方法としてエアバブリング洗浄法を用いることにより、濁質成分を含む原水を浄化することが可能になっている。
【0005】
上記のエアバブリング法は、中空糸膜間に蓄積する懸濁物質の排除には有効な手段であり、濾過運転を安定なものとする上で欠かせないものであるが、蓄積する懸濁物質に無機成分が含まれていると、該懸濁物質を介して中空糸膜の外表面が擦れ、膜表面が潰れることにより、表面開孔が閉塞し、濾過運転の安定性が損なわれてしまう場合がある。このため、長期に濾過運転を安定的に行おうとすれば、膜の耐擦傷性が重要な因子となる。
【0006】
この問題を解決するため、膜の強度や形状を改良する方法などが考えられている。膜の形状を変更する方法としては、例えば、特開平7−96152号公報のように傾斜型中空糸膜を提供する方法が開示されているが、このような膜を作製するには糸引取装置の制御等の改造が必要であり、製作も困難なもので、価格も高いものとなる。
膜強度を改良する方法としては、例えば、特開平7−48471号公報に、耐摩耗性、衝撃耐性及び靱性を包含する多孔膜を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法では、超高分子量ポリオレフィンを使用するために、加工が困難となってしまうばかりか、耐擦傷性も充分ではなかった。
以上のように、従来技術においては、成形性がよく、機械的強度に優れ、耐擦傷性のあるポリエチレン中空糸状多孔膜を得ることはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点が解決されたポリエチレン中空糸状多孔膜を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、膜外表面が擦傷を受け、膜の透水性能の低下が起こったり、糸切れが生じたりするという問題点を解決するために鋭意検討を行った結果、ある特定のポリエチレン樹脂を用いることにより、これらの問題を解決することができることがわかり本発明に至った。
以下、本発明の詳細について記述する。
【0009】
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜の粘度平均分子量は10万〜100万であり、さらに好ましくは20万〜70万である。粘度平均分子量が100万を越えると加工性が著しく低下し、10万未満になると機械的強度の劣ったものになる。
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜の分子量分布Mw/Mnは6以下であることが必要であり、さらに好ましくは5以下である。分子量分布が6より大きくなると、耐擦傷性の劣る膜となってしまう。
【0010】
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜を得るためには、元々分子量分布の狭いポリエチレン樹脂が必要となる。近年、メタロセン触媒技術を使用して、分子量分布の狭いポリオレフィンを重合する技術が開発されている(例えば、メタロセンポリマーの技術と製品展開、大阪ケミカルマーケティングセンター版)。また最近では、メタロセン触媒を用いた高密度ポリエチレンを重合する技術も開発されている(例えば、岸本ら、成形加工‘99、B308、講演要旨集、プラスチック成形加工学会編、頁305−306)。このような樹脂を用いることにより、本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜を得ることができる。
【0011】
また、本発明のポリエチレン樹脂については、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等の周知のホモポリマー、コポリマーのポリエチレン樹脂を用いることができるが、特に密度0.9g/cm3〜0.99g/cm3であることが好ましく、0.93g/cm3〜0.98g/cm3のポリエチレン樹脂を用いると、耐擦傷性がさらに良好となる。
また、このようなポリエチレン樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、着色剤、難燃化剤等の添加物を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0012】
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜の構造は、一つの孔が閉塞したり、破損したりしても濾過信頼性の高い、膜全体が濾過機能を有する、3次元網目状スポンジ構造であることが好ましい。
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜の気孔率は30〜90%の範囲であることが必要である。気孔率が30%未満になると濾過性能に劣るものとなり、90%より大きくなると機械的強度に劣るものとなる。
【0013】
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜の平均孔径は0.03μm以上5μm以下であることが必要である。0.03μmより小さくなると濾過性能に劣るものになり、5μmより大きくなると懸濁物質・原虫類の除去の信頼性に劣るものとなってしまう。
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜の膜外表面開孔率は、濾過性能と耐擦過性の点から25%以上であることが好ましく、さらに好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは35%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。
【0014】
本発明の濾過方法に用いられるポリエチレン中空糸状多孔膜の膜厚は機械的強度の点から0.25mm以上が、濾過性能の点から0.8mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.25mm〜0.5mmの範囲である。
本発明の濾過方法に用いられるポリエチレン中空糸状多孔膜の最大孔径と平均孔径の比(最大孔径/平均孔径)は濾過性能と耐擦過性の点から、孔径のバラツキの少ない2以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の濾過方法に用いられるポリエチレン中空糸状多孔膜の内外表面の孔構造は実質的に円形もしくは、それらが互いに融合しあった構造である。この膜外表面の孔において、その糸の長手方向(MD方向)と糸の長手方向に対して垂直な方向(CMD方向)の外接線間距離の平均値をそれぞれのフェレ径とし、MD方向のフェレ径とCMD方向のフェレ径の比(MDフェレ径/CMDフェレ径)は、懸濁物質が形状変化する場合の濾過性能を考えると、0.7以上1.5未満であることが好ましい。
【0016】
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜は、30分間サンドブラストテスト後のFLUX保持率は膜の耐擦過性の点から25%以上であることが好ましく、さらに好ましくは35%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。
本発明のポリエチレン中空糸状多孔膜の製造方法の一例を説明する。
まず、ポリエチレン樹脂、有機液状体及び無機微粉体を混合する。
このような混合物の有機液状体として用いられるものは、溶融成形時に液体であり、かつ、不活性であることが必要である。例としては、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DnOP)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)等のフタル酸エステルやリン酸エステル等や、流動パラフィン等の有機物が挙げられる。これらのうち、特にDBP、DnOP、DOP及びこれらの混合物が好ましい。
【0017】
また、混合に用いられる無機微粉体は、有機液状体を保持する坦体としての機能を持ち、更にミクロ相分離の核としての機能を持つものが望ましい。即ち、溶融成形時に有機液状体の遊離を防止し、成形を容易にするものであり、ミクロ相分離の核として有機液状体を高度にミクロ分散させ、有機液状体の凝集を高度に防止する働きを持つものが望ましく、かつ、抽出されて空孔を形成することができるものが好ましい。このような無機微粉体としては、シリカが好ましい。特に疎水性のシリカが成形性の点で好ましい。
【0018】
疎水性シリカとは、親水性シリカの表面のシラノール基をジメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、モノメチルトリクロロシラン等の有機ケイ素化合物と化学的に反応させ、親水性シリカの表面をメチル基等で置換し疎水化させたシリカをいう。特に、用いる疎水性シリカは、平均一次粒径が0.005μm〜0.5μm、比表面積30m2/g〜500m2/gの範囲にあり、粉体が完全に濡れるメタノールの容量%(MW値)が30%以上であることが好ましい。
【0019】
その混合割合として、ポリエチレン樹脂は、強度・成形性の点から15重量%以上、気孔率・透水量の点から40重量%以下であることが好ましい。有機液状体は、気孔率・透水量の点から30重量%以上、強度・成形性の点から90重量%以下であることが好ましい。また、無機微粉体は有機液状体の吸着、混合物の形状安定性の点から10重量%以上が好ましく、溶融時の流動性の点から40重量%であることが好ましい。有機液状体と無機微粉体の重量比は有機液状体が混合物全体に行き渡るためには1.0以上が好ましく、有機液状体が凝集を起こさずに均一に分散するには2.5未満であることが好ましい。さらに好ましくは1.0以上1.75未満である。
【0020】
これら3成分の混合には、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、プロシェアミキサー、リボンブレンダー等の配合機を用いた通常の混合法で充分である。3成分の混合順序としては、3成分を同時に混合するよりも、まず無機微粉体と有機液状体を混合して、無機微粉体に有機液状体を充分に吸着させ、次いでポリエチレン樹脂を配合して混合するのが、溶融成形性の向上、得られる多孔物の空孔度及び均一度の向上に有効である。この混合物は、押出機、バンバリーミキサー、2本ロール、ニーダー等の溶融混練装置により混練される。得られる混練物は、中空のダイスを用いた溶融成形により中空糸状に成形される。この場合、ギアーポンプを介して成形するのが、寸法安定性の面で好ましく、特にギアーポンプ前圧力を一定に制御して成形するのが、糸寸法安定性の面で好ましい。又、混合物を押出機、ニーダー等の混練・押出の両機能を有する装置により直接成形する事も可能である。
【0021】
更に、本発明では、この混練物を溶融押出しする際の冷却方法としては、空走距離(ダイスと冷却槽の距離)を設け、冷却媒体に水又は各種の可塑剤を用いて冷却する方法や、冷却された気体を接触させる方式を取ることができる。
得られた膜は、有機液状体を除いた無機微粉体を含む親水性多孔膜及び有機液状体と無機微粉体を除いた疎水性多孔膜の状態でも、モジュール等に組み込んで濾過等の用途に供することができる。有機液状体の抽出に用いられる溶剤としては、メタノール、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤が挙げられるが、特に塩化メチレン等のハロゲン系炭化水素が好ましい。無機微粉体の抽出に用いられる溶剤としては、苛性ソーダ、苛性カリのようなアルカリ水溶液が用いられる。又、苛性ソーダのアルコール溶液等を用いて、有機液状体と無機微粉体を同時に抽出することも可能である。
以上のようにして得られた多孔膜は、加工性が良好で、耐薬品性、機械的強度に優れ、且つ、耐擦傷性のある中空糸である。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に実施例を示す。本例に示される諸物性は、次の測定方法によった。
(1)粘度平均分子量(Mv)
溶剤(デカリン)に中空糸状多孔膜を溶解させ、測定温度135℃における極限粘度[η]を測定し、次式より算出した。
[η]=6.2×10(-4)*Mv0.7(Chiangの式)
(2)分子量分布(Mw/Mn)
中空糸状多孔膜を溶解し、GPCにて測定した。
GPC測定装置:WATERS 150−GPC
温度:140℃
溶媒:1、2、4−トリクロロベンゼン
濃度:0.05%(インジェクション量:500マイクロリットル)
カラム:Shodex GPC AT−807/S 1本、Tosoh TSK−GEL GMH6−HT 2本
溶解条件:160℃、2.5時間
キャリブレーションカーブ:ポリスチレンの標準試料を測定し、ポリエチレン換算定数(0.48)を使用し、3次で計算した。
(3)平均孔径(μm)(ハーフドライ法)
ASTM F316−86に準拠し、エチルアルコールを使用して測定した。
(4)最大孔径(μm)(バブルポイント法)
ASTM F316−86により測定した。
(5)膜厚換算透水量(FLUX)(L/m2・hr・MPa・25℃)
中空糸を20cmの長さに切り、25℃、差圧0.098MPaにて1分間の透水量を測定した。
【0023】
得られた透水量より次式にて膜厚換算透水量を算出した。
膜厚換算した透水量=透水量×60/0.098/(糸長×糸内径×π)
(6)密度(g/cm3
冷間プレスにて糸を透明にし、エアーが糸内に含まれない状態にした後、密度勾配管を用いて測定した。
(7)膜厚(mm)
剃刀にて中空糸の薄膜を切り出し、拡大鏡にて中空糸の膜厚を肉眼にて測定した。
(8)気孔率(%)
気孔率=空孔容積/多孔膜容積×100
空孔容積=含水容積−絶乾容積
【0024】
(9)外表面開孔率(%)
中空糸膜外表面に金属蒸着を施した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行い、倍率5000倍で膜外表面を撮影する。この写真を面積2倍に拡大し、白マジック等でポリマー部と孔部分を色分けした後、CCDカメラを用いてコンピューターに取り込み、Leica社製の画像解析ソフトQuantimet500(商品名)を用いて、膜外表面中の孔面積を計算した。この時、解析画面内に、200個程度の孔が存在するように解析範囲の大きさを調節する。
これを一つのサンプルに対し3回行い、その平均を外表面開孔率とした。
(10)外表面フェレ径比(MDフェレ径/CMDフェレ径)
(9)と同様の処理を行った後、同様のソフトを用い、膜外表面の孔のMD方向の外接線間距離とCMD方向の外接線間距離をそれぞれフェレ径とし、MD方向とCMD方向のフェレ径比を求めた。これを上記解析範囲内のすべての孔に対して行い、その平均を膜外表面フェレ径比とした。
【0025】
(11)引張破断強度(MPa)、引張破断伸度(%)
インストロン型引っ張り試験機により、ASTMD882に準じて測定(引っ張り速度200mm/min)した。
(12)弾性率(MPa)
(株)島津製作所製オートグラフAG−A型を用いて、中空糸の長さ100mm、標線距離50mm、引っ張り速度200mm/minで測定した。
(13)FLUX保持率
耐擦傷性を示す加速試験として、サンドブラストテストを行った。サンドブラストテストとは、微小な砂(Fuji Brown FBR#120;粒子径130μm)の20%混じった水を、70000Paの圧力下で、ノズルの先から70cm離れて並べられた中空糸に、吹き付けることにより膜にダメージを与えるテストである(図1参照)。砂水を吹き付ける時間は、片面ずつ30分間のテストを行った。
テスト前後で中空糸の膜厚換算透水量の変化(FLUX保持率)を、以下の式により計算した。
FLUX保持率=テスト後膜厚換算透水量/テスト前膜厚換算透水量×100
【0026】
【実施例1】
メタロセン触媒を用いて以下の特性を持つポリエチレンを重合した。
Mw=400000、Mw/Mn=4.1
MW値50%、平均一次粒径16μm、比表面積110m2/gの疎水性シリカ[日本アエロジル社製、R−972]27.7重量%、フタル酸ジブチル46.7重量%をヘンシェルミキサーで混合し、これにメタロセン触媒を用いて重合した上記ポリエチレンを25.6重量%添加し、再度ヘンシェルミキサーで混合した。この混合物を30mmφ二軸押出機で混合し、ペレットにした。該ペレットを30mmφ二軸押出機を用いて、樹脂温度210℃にて溶融混練し、糸寸法安定性を持たせるため、ギヤーポンプを介してギヤーポンプ前圧力を一定にして溶融押出し、その後、外径1.4mmφ、内径0.7mmφのダイスを取り付けた中空糸製造装置にて樹脂を押し出し、水中にて冷却を行うことで、外径1.3mmφ、内径0.7mmφの中空糸状に成形した。
【0027】
成形された中空糸を塩化メチレン中に1時間浸漬して、フタル酸ジブチルを抽出した後、乾燥させた。次いで、50%エチルアルコール水溶液に30分間浸漬し中空糸を親水化した。更に、70℃、20%苛性ソーダ水溶液中に1時間浸漬して疎水性シリカを抽出した後、水洗し、乾燥した。
こうして得られた中空糸の特性を表1に示した。
【0028】
【比較例1】
チーグラナッタ触媒を用いて重合したポリマーである、ポリエチレン樹脂「旭化成工業社製、サンファインSH−800」(MI値:13.6g/10min、21.6kg荷重)を用いた。
疎水性シリカ25.4重量%、フタル酸ジオクチル50.8重量%を実施例1と同様に混合した後、ポリエチレンを23.8重量%添加した後、実施例1と同様にして中空糸膜を得た。
こうして得られた中空糸の特性を表1に示した。
【0029】
【比較例2】
チーグラナッタ触媒を用いて重合したポリマーである、ポリエチレン樹脂「三井化学社製、ハイゼックスミリオン145M」(MI値:0.28g/10min、21.6kg荷重)を用いた。
このポリエチレンを用いて、ペレットを30mmφ二軸押出機を用いて、溶融混練するときの樹脂温度を240℃にし、実施例1と同様にして中空糸膜を得た。
こうして得られた中空糸の特性を表1に示した。
しかし、ここで得られたペレットは成形性が非常に悪く、中空糸状多孔膜の透水量も非常に低いものしか得られなかった。
【0030】
【表1】
Figure 0004493793
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、成形性が良く、耐擦傷性(FLUX保持率)に優れ、高い透水量を示す、長期に渡って安定に使用できる中空糸状多孔膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はサンドブラストテストの模式図を示したものである。

Claims (2)

  1. 粘度平均分子量10万〜100万、分子量分布Mw/Mnが6以下、気孔率30〜90%、平均孔径0.03μm〜5μmであり、メタロセン触媒により得られたポリエチレンを用いたことを特徴とするポリエチレン中空糸状多孔膜。
  2. 粘度平均分子量20万〜70万である請求項1に記載のポリエチレン中空糸状多孔膜。
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