JP2007181813A - 中空糸膜の製造方法および中空糸膜 - Google Patents

中空糸膜の製造方法および中空糸膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐薬品性の高い熱可塑性樹脂を用いて、高強伸度性能、高純水透過性能、高阻止性能、高耐圧性能を併せ有する中空糸膜を、安価かつ容易に製造する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂1を溶媒に溶解した溶液1と、熱可塑性樹脂2を溶媒に溶解した溶液2と、内部凝固液とを、それぞれ、三重管構造の口金の外側の環状口、内側の環状口、中心の管から同時に外部凝固液中に吐出し、固化せしめることにより中空糸膜を製造するに際し、前記口金の温度Tsと前記溶液2の結晶化温度Tcとを、Tc+20℃≦Ts≦Tc+70℃ の範囲内とし、前記溶液1の吐出重量W1と前記溶液2の吐出重量W2とを、0.1≦W1/W2≦1 の範囲内とし、前記外部凝固液の温度TをT≦Tc−10℃ とし、かつ、前記外部凝固液として、50重量%以上90重量%以下が前記熱可塑性樹脂1の非溶媒で10重量%以上50重量%以下が前記熱可塑性樹脂1の貧溶媒あるいは良溶媒混合液を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液状混合物の成分を選択分離するための中空糸膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、排水処理、浄水処理、工業用水製造などの水処理に用いられる中空糸精密ろ過膜や中空糸限外ろ過膜の製造方法に関する。
精密ろ過膜や限外ろ過膜などの分離膜は食品工業、医療、用水製造および排水処理分野などをはじめとして様々な方面で利用されている。特に近年では、飲料水製造分野すなわち浄水処理においても分離膜が使われるようになってきている。浄水処理などの水処理用途で用いられる場合、処理しなければならない水量が大きいため、単位体積あたり有効膜面積が大きい中空糸膜が一般的に用いられている。
ここで、水処理用の中空糸膜には次のような性能、即ち、純水透過性能に優れること、耐圧性能が高いこと、耐薬品性が高いこと、病原性微生物等に対する阻止性能が高いこと及び強伸度性能が高いことが求められている。まず第一に、中空糸膜の純水透過性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となり、装置がコンパクトになるため設備費が節約でき、膜交換費や設置面積の点からも有利になってくる。つぎに耐圧性能が高いと長期間運転でも中空糸膜がつぶれて中空部が閉塞することがなかったり、同じ純水透過性能の中空糸膜でも高圧運転により処理水量を増やすことが可能となったりする。また透過水の殺菌や膜のバイオファウリング防止の目的で次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を中空糸膜モジュール部分に添加したり、中空糸膜の薬液洗浄として、塩酸、クエン酸、シュウ酸などの酸、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ、塩素、および界面活性剤などで膜を洗浄したりすることがあるため、中空糸膜の素材としては耐薬品性が高くなければならない。さらに、浄水処理分野では、クリプトスポリジウムなどの耐塩素性を有する病原性微生物が飲料水に混入する問題が20世紀終盤から顕在化してきており、中空糸膜には高い阻止性能と、膜が切れて原水が混入しないような高い強伸度性能が要求されている。
水処理用途に用いられる中空糸膜の多くは、一種類の製膜溶液を中空部を形成する内部凝固液と同時に、二重管構造の口金から吐出し凝固させて製造される、単一の層からなるものである。このような中空糸膜は製造工程が容易であるが、単一の層により前記諸性能を併せ有することは非常に困難である。
そこでこれまでに二種類の製膜溶液を用いて製造される、二層からなる複合中空糸膜が開発されている。中空糸膜が二層からなると、それぞれの層に前記諸性能を分担させることができ、結果的に多くの諸性能を高水準で保持させることができる。
従来よりこのような複合中空糸膜の製造方法としては、高強伸度性能を有する支持層上に高阻止性能を有する機能層としての薄膜を塗布するコーティング法が知られているが、支持層と機能層との界面の剥離、機能層の厚さムラやピンホールの発生などの問題点が指摘されている。また製造工程が複雑となるため、効率よく大量に製造することが難しいという問題がある。
また、上記コーティング法の欠点を解消する方法として、二種類の製膜溶液と内部凝固液を三重管構造の口金から同時に吐出し、凝固液に浸漬させる方法が提案されている。例えば特許文献1には二種類のポリスルホン樹脂溶液をポリスルホン樹脂の非溶媒または貧溶媒の内部凝固液と同時に吐出し、外部凝固液である水に浸漬して固化させ、外層が支持層で内層が機能層からなる複合中空糸膜を製造する方法が開示されている。この方法では、支持層および機能層はともに、良溶媒に溶解された樹脂溶液を非溶媒あるいは貧溶媒に接触させて凝固させる非溶媒誘起相分離法により形成される。一般的に非溶媒誘起相分離法により形成される層は緻密層を有するため阻止性能は高いが、その純水透過性能を高くするためには、その層を形成する樹脂溶液の樹脂濃度を低くする必要があり、そうすると十分な強伸度性能が得られない。すなわちこの方法では高純水透過性能および高強伸度性能を両立することが困難である。
さらにまた、特許文献2には、二種類のポリフッ化ビニリデン樹脂溶液をポリフッ化ビニリデン樹脂の貧溶媒の内部凝固液と同時に吐出し、外部凝固液である水に浸漬して固化させ、外層が機能層で内層が支持層からなる複合中空糸膜を製造する方法が開示されている。この方法では、支持層は高温で溶解した樹脂溶液を冷却することにより固化せしめる熱誘起相分離法により形成され、機能層は非溶媒誘起相分離法により形成される。熱誘起相分離法により形成される層は、阻止性能は低いが、その層を形成する樹脂溶液の濃度が比較的高くても、高い純水透過性能を有する。従って、このような方法によると、阻止性能、純水透過性能および強伸度性能が高い中空糸膜を得ることができる。
しかしながら、同じ外部凝固液で二層のうちの一層で非溶媒誘起相分離のみを発現させ、かつ、もう一層で熱誘起相分離のみを発現させることは、実際には難しい。特許文献2に示されている外部凝固液として水を用いる方法では、機能層が薄く支持層が厚いと支持層でも非溶媒誘起相分離が起こり透水性能が著しく低下するという問題が生じるので、透水性能を高くするためには機能層を厚く支持層を薄くする必要があり、そうすると耐圧性能が十分ではないという問題が生じ、要求性能を同時に満足する二層中空糸膜は製造困難であった。
特開平4−45830号公報 国際公開第03/106545号パンフレット
本発明では上記した従来技術における問題点に鑑み、耐薬品性の高い熱可塑性樹脂を用いて、高強伸度性能、高純水透過性能、高阻止性能、高耐圧性能を併せ有する、二層からなる複合中空糸膜を、安価かつ容易に製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、
(1)熱可塑性樹脂1を溶媒に溶解した溶液1と、熱可塑性樹脂2を溶媒に溶解した溶液2と、内部凝固液とを、それぞれ、三重管構造の口金の外側の環状口、内側の環状口、中心の管から同時に外部凝固液中に吐出し、固化せしめることにより中空糸膜を製造するに際し、前記口金の温度Tsと前記溶液2の結晶化温度Tcとを、Tc+20℃≦Ts≦Tc+70℃ の範囲内とし、前記溶液1の吐出重量W1と前記溶液2の吐出重量W2とを、0.1≦W1/W2≦1 の範囲内とし、前記外部凝固液の温度TをT≦Tc−10℃とし、かつ、前記外部凝固液として、50重量%以上90重量%以下が前記熱可塑性樹脂1の非溶媒で10重量%以上50重量%以下が前記熱可塑性樹脂1の貧溶媒あるいは良溶媒である混合溶媒を用いる中空糸膜の製造方法。
(2)口金の外側の環状口から吐出した前記溶液1を非溶媒誘起相分離により固化せしめ、かつ、口金の内側の環状口から吐出した前記溶液2を熱誘起相分離により固化せしめる上記(1)記載の中空糸膜の製造方法。
(3)前記溶液1中における熱可塑性樹脂1の濃度が5重量%以上30重量%以下であり、かつ、前記溶液2中における熱可塑性樹脂2の濃度が20重量%以上60重量%以下である上記(1)又は(2)に記載の中空糸膜の製造方法。
(4)前記熱可塑性樹脂1および/または前記熱可塑性樹脂2がポリフッ化ビニリデン系樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法により製造される、外径が1100μm以上2000μm以下の中空糸膜であって、外層が三次元網目構造、内層が球状構造からなり、前記外層の平均厚さをTh1、内層の平均厚さをTh2とした際に、0.2≦Th1/Th2≦0.8であり、50kPa、25℃における純水透過性能が0.5m/m・hr以上であり、破断強度が8MPa以上であり、破断伸度が80%以上であり、かつ耐圧性能が200kPa以上であることを特徴とする中空糸膜。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法により製造される、外径が500μm以上1100μm未満の中空糸膜であって、外層が三次元網目構造、内層が球状構造からなり、前記外層の平均厚さをTh1、内層の平均厚さをTh2とした際に、0.2≦Th1/Th2≦0.8であり、50kPa、25℃における純水透過性能が0.2m/m・hr以上であり、破断強度が10MPa以上であり、破断伸度が20%以上であり、かつ耐圧性能が100kPa以上であることを特徴とする中空糸膜。
により構成される。
本発明では、三重管構造の口金から二種類の熱可塑性樹脂溶液を内部凝固液と同時に吐出し、外部凝固液に浸漬して固化させることにより、機能層である外層と支持層である内層の二層からなる複合中空糸膜を製造するに際し、外部凝固液の非溶媒濃度、および二層を形成する前記二種類の樹脂溶液の吐出重量比等を特定の範囲に制御することにより、外層が非溶媒誘起相分離のみにより、内層が熱誘起相分離のみにより形成させることができるので、外層は高阻止性能および高純水透過性能を、内層は高強伸度性能、高純水透過性能および高耐圧性能を有する複合中空糸膜を製造することができる。
したがって、本発明によれば、高強伸度性能、高純水透過性能、高阻止性能、高耐圧性能を併せ有する中空糸膜を、安価かつ容易に製造することが可能となる。
本発明の製造方法では、三重管構造の口金の外側の環状口から熱可塑性樹脂1の溶液1を、内側の環状口から熱可塑性樹脂2の溶液2を、中心の管から内部凝固液を、同時に外部凝固液中に吐出することにより固化せしめて二層からなる複合中空糸膜を製造するに際し、外部凝固液の非溶媒濃度、二層を形成する前記二種類の樹脂溶液の吐出重量比、及び口金や外部凝固液の温度を特定の範囲に制御することにより、外層が非溶媒誘起相分離のみにより、内層が熱誘起相分離のみにより形成させることができる。この結果、外層は高阻止性能および高純水透過性能を、内層は高強伸度性能、高純水透過性能および高耐圧性能を有する複合中空糸膜を製造することができる。
ここで非溶媒誘起相分離とは樹脂溶液を非溶媒に接触させて固化せしめる相分離であり、熱誘起相分離とは高温で溶解した樹脂溶液を冷却することにより固化せしめる相分離である。
本発明における熱可塑性樹脂とは、鎖状高分子物質からできており、加熱すると、外力によって変形・流動する性質が現れる樹脂のことをいう。この熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変成ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびこれらの混合物や共重合体が挙げられる。これらと混和可能な他の樹脂および多価アルコールや界面活性剤を50重量%以下含んでいてもよい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、耐薬品性の高いポリフッ化ビニリデン系樹脂が好ましい。ポリフッ化ビニリデン系樹脂とはフッ化ビニリデンホモポリマーおよび/またはフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂を意味し、複数の種類のフッ化ビニリデン共重合体を含有しても構わない。フッ化ビニリデン共重合体は、フッ化ビニリデン残基構造を有するポリマーであり、典型的にはフッ化ビニリデンモノマーとそれ以外のフッ素系モノマーなどとの共重合体である。かかる共重合体としては、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンから選ばれた1種類以上とフッ化ビニリデンとの共重合体が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない程度に、前記フッ素系モノマー以外の例えばエチレンなどのモノマーが共重合されていても良い。
また熱可塑性樹脂1および熱可塑性樹脂2は同一の樹脂でも、異なる樹脂でもよい。熱可塑性樹脂1および熱可塑性樹脂2を同一の樹脂で構成した場合は、両者の親和性が高くなり、製造される中空糸膜を構成する外層と内層間の接着性が良くなるので好ましい。一方、異なる樹脂で構成した場合は、製造される中空糸膜の強伸度性能、純水透過性能、阻止性能などの性能をより広い範囲で調整することができる。また熱可塑性樹脂1および熱可塑性樹脂2を他方と同一の樹脂を含むポリマーブレンドで構成することも好ましい。これにより、両者の親和性を高く保ちつつ、中空糸膜の性能を広い範囲で調整することができる。
次に、本発明の製造方法では、口金の外側の環状口から吐出した溶液1を非溶媒誘起相分離により固化せしめ、口金の内側の環状口から吐出した溶液2を熱誘起相分離により固化せしめることが重要である。そのために、溶液1の溶媒としては、熱可塑性樹脂1の良溶媒、あるいは95重量%以上の熱可塑性樹脂1の良溶媒と5重量%以下の熱可塑性樹脂1の非溶媒との混合溶媒が好ましい。また溶液2の溶媒としては、熱可塑性樹脂2の貧溶媒あるいは良溶媒が好ましい。
ここで、貧溶媒とは、樹脂を60℃以下の低温では5重量%以上溶解させることができないが、60℃以上かつ樹脂の融点以下の高温領域で5重量%以上溶解させることができる溶媒と定義する。これに対し、60℃以下の低温でも樹脂を5重量%以上溶解させることが可能な溶媒が良溶媒であり、また、樹脂の融点または液体の沸点まで、樹脂を溶解も膨潤もさせない溶媒が非溶媒である。
ここで、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂の貧溶媒としては、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート等の中鎖長のアルキルケトン、エステル、グリコールエステルおよび有機カーボネート等およびその混合溶媒が挙げられる。また、良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド等およびその混合溶媒が挙げられる。さらにまた、非溶媒としては、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、四塩化炭素、o−ジクロルベンゼン、トリクロルエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、またはその他の塩素化有機液体およびその混合溶媒などが挙げられる。
また溶液の熱可塑性樹脂濃度は、高い膜性能を発現させるために次の範囲内とすることが好ましい。溶液1の熱可塑性樹脂1の濃度は5重量%以上30重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以上20重量%以下である。5重量%未満では、溶液1により形成される層の物理的耐久性が低くなり、30重量%を超えると純水透過性能が低くなる。また溶液2の熱可塑性樹脂2の濃度は20重量%以上60重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以上45重量%以下である。20重量%未満では、溶液2により形成される層の強伸度性能が低くなり、60重量%を超えると純水透過性能が低くなる。
以下にこのように調整された溶液1および溶液2を用い、中空糸膜を製造する方法を説明する。
三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を、内側の環状口から溶液2を、中心の管から内部凝固液を、同時に外部凝固液中に吐出することにより固化せしめて中空糸膜を製造する。ここで三重管構造の口金の温度Tsは、溶液2の結晶化温度をTcとした際にTc+20℃≦Ts≦Tc+70℃の範囲内とする。好ましくは、Tc+35℃≦Ts≦Tc+60℃である。Ts<Tc+20℃では溶液2の粘度が高くなりすぎて口金からの吐出が困難となる。Ts>Tc+70℃では吐出された溶液2の凝固が遅く、結果的に中空糸構造が形成できない。
ここで溶液2の結晶化温度Tcは次のように定義する。示差走査熱量測定(DSC測定)装置を用いて、熱可塑性樹脂2と溶媒など溶液2の組成と同組成の混合物を密封式DSC容器に密封し、昇温速度10℃/minで溶解温度まで昇温し30分保持して均一に溶解した後に、降温速度10℃/minで降温する過程で観察される結晶化ピークの立ち上がり温度をTcとする。
内部凝固液に用いることができる溶媒としては、溶液2中の溶媒と同じ溶媒、溶液2中の溶媒と同じ溶媒70重量%以上と熱可塑性樹脂2の非溶媒30重量%以下との混合溶媒、あるいは、溶液2中の溶媒と混和しない溶媒が好ましい。また外部凝固液の温度Tは、口金の内側の環状口から吐出した溶液2を十分な降温速度で冷却し熱誘起相分離させるため、T≦Tc−10℃であることが好ましく、より好ましくはT≦Tc−30℃である。T>Tc−10℃では溶液2が固化せず中空糸構造が形成できない。なお、この外部凝固液は液状であるので、その温度はその融点よりも高い温度である。
次に、本発明では、外部凝固液には、50重量%以上90重量%以下の熱可塑性樹脂1の非溶媒と10重量%以上50重量%以下の熱可塑性樹脂1の貧溶媒あるいは良溶媒とからなる混合溶媒を用いる。さらには、この混合溶媒の組成は、60重量%以上80重量%以下の熱可塑性樹脂1の非溶媒と20重量%以上40重量%以下の熱可塑性樹脂1の貧溶媒あるいは良溶媒とすることが好ましい。外部凝固液中の非溶媒の割合が90重量%より高い場合、外部凝固液から溶液1の層内を多量の非溶媒が拡散し、溶液2の層に非溶媒が接触することとなるので、熱誘起相分離させるべき溶液2が非溶媒誘起相分離させられ、製造される中空糸膜の内層の外側部分に緻密層が形成され、純水透過性能が著しく低下する。また外部凝固液の非溶媒が50重量%未満では、溶液1の層の凝固が遅過ぎるので、溶液1が外部凝固液中に拡散してしまったり、製造される中空糸膜の外層の厚みムラが著しかったり、また、外表面に緻密層が形成されず阻止性能が低下したり、という問題が生じる。
また、本発明では、溶液1の吐出重量をW1、溶液2の吐出重量をW2とした際に0.1≦W1/W2≦1とする。さらには0.2≦W1/W2≦0.8とすることが好ましい。W1/W2<0.1では、溶液2層に対する溶液1層の体積割合が小さく、溶液2が熱誘起相分離する前に、外部凝固液から非溶媒が溶液1層内を拡散して溶液2層に非溶媒が接触し、製造される中空糸膜の内層の外側部分に緻密層が形成され、純水透過性能が著しく低下する。W1/W2>1では製造される中空糸膜の内層が薄くなり過ぎて、強伸度性能または耐圧性能が著しく低下する。
以上の製造方法に加えて、中空糸膜の空隙を拡大し純水透過性能を向上させることおよび破断強度を強化するために延伸を行うことも有用であり好ましい。延伸の方法は好ましくは中空糸膜を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点より高く、融点より低い温度範囲で、好ましくは1.1倍以上4倍以下、より好ましくは1.1倍以上2倍以下の延伸倍率で行う。また延伸は液体中で行う方が温度制御が容易であり好ましいが、スチームなどの気体中で行っても構わない。液体としては水が簡便で好ましいが、90℃程度以上で延伸する場合には、中空糸膜を構成する熱可塑性樹脂を溶解しない高沸点の液体を用いることができる。一方、このような延伸を行わない場合は、延伸を行う場合と比べて、多くの場合、純水透過性能および破断強度は低下するが、破断伸度および阻止性能は向上する。したがって、延伸の有無および延伸倍率は中空糸膜の用途に応じて適宜設定することができる。
本発明の製造方法の条件をとることにより、口金の外側の環状口から吐出した溶液1を非溶媒誘起相分離により、かつ、口金の内側の環状口から吐出した溶液2を熱誘起相分離により固化せしめることができる。この方法により製造された中空糸膜は、外層が三次元網目構造となり、内層が球状構造となる。このとき、外層は高阻止性能および高純水透過性能を担う機能層であり、内層は高強伸度性能と高純水透過性能を担う支持層である。
外層を構成する三次元網目構造とは、固形分が三次元的に網目状に広がっている構造のことをいう。三次元網目構造は、網を形成する固形分に仕切られた細孔およびボイドを有する。また外表面には内部の細孔よりも小さい細孔を有する緻密層が形成されることが好ましく、これにより阻止性能が高くなる。外表面の平均孔径は用途によって異なるが、0.005μm以上0.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.007μm以上0.2μm以下である。平均孔径がこの範囲にあると、高純水透過性能および高阻止性能を両立できる。また孔径分布も狭い方が好ましい。さらには水中の汚れ物質が細孔に詰まりにくく、また詰まった場合でも、いわゆる逆洗や空洗によって汚れ物質を容易に除去でき中空糸膜をより長時間連続して使用できる。
次に、内層を構成する球状構造とは多数の球状あるいは略球状の固形分が直接もしくは筋状の固形分を介して連結している構造のことをいう。球状構造の平均直径は、0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.5μm以上2μm以下である。0.1μm未満では球状構造間の空隙が小さくなり、強伸度性能は高くなるが純水透過性能が低下する。また5μmより大きいと球状構造間の空隙が大きくなり純水透過性能は高くなるが、強伸度性能が低下する。
本発明の製造方法により得られる中空糸膜は、外層の平均厚さをTh1、内層の平均厚さをTh2とした際に0.2≦Th1/Th2≦0.8であることが好ましく、より好ましくは0.25≦Th1/Th2≦0.7である。さらに強伸度性能、耐圧性能、および純水透過性能の観点から40μm≦Th1≦150μmかつ70μm≦Th2≦300μmが好ましく、より好ましくは50μm≦Th1≦120μmかつ100μm≦Th2≦250μmである。ここで各層の平均厚さは、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡を用いて写真を撮り、10箇所以上、好ましくは20箇所以上の任意の箇所で層の厚さを測定し、数平均して求めることができる。
また中空糸膜の外径は、水処理の運転方法に応じて選択される必要がある。まず、100kPa以上の高圧運転に用いられる場合、耐圧性能を高くするために、外径は1100μm以上2000μm以下が好ましい。1100μm未満では耐圧性能が不十分で、運転時に中空部が閉塞してしまい、2000μmより大きいと、単位体積あたりの有効膜面積が小さくなり、純水透過性能が低下してしまう。次に、100kPa未満の低圧運転に用いられる場合、単位体積あたりの有効膜面積を大きくするために、外径は500μm以上1100μm未満が好ましい。500μm未満では耐圧性能が不十分で、さらに中空部が小さいために流動抵抗が高くなり、純水透過性能が低下してしまう。1100μm以上では、単位体積あたりの有効膜面積が小さくなり、純水透過性能が低下してしまう。
ここで中空糸膜の外径は、10本の中空糸膜の外径の短径と長径を測定し、数平均して求める。
本発明の製造方法により得られる中空糸膜は、水処理用途に好適な高純水透過性能、高強伸度性能、および高耐圧性能を併せ持たせるという観点から、外径に応じて次の特性を具備することが望ましい。即ち、外径が1100μm以上2000μm以下の場合、50kPa、25℃における純水透過性能が0.5m/m・hr以上であり、破断強度が8MPa以上であり、破断伸度が80%以上であり、かつ耐圧が200kPa以上であることが望ましい。さらに、50kPa、25℃における純水透過性能が0.5m/m・hr以上10m/m・hr以下であり、破断強度が8MPa以上30MPa以下であり、破断伸度が80%以上1000%以下であり、かつ耐圧性能が200kPa以上1000kPa以下であることが好ましい。
また、外径が500μm以上1100μm未満の場合、50kPa、25℃における純水透過性能が0.2m/m・hr以上であり、破断強度が10MPa以上であり、破断伸度が20%以上であり、かつ耐圧性能が100kPa以上であることが好ましく、より好ましくは、50kPa、25℃における純水透過性能が0.2m/m・hr以上5m/m・hr以下であり、破断強度が10MPa以上30MPa以下であり、破断伸度が20%以上400%以下であり、かつ耐圧性能が100kPa以上500kPa以下である。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。ここで本発明に関連する物性値は以下の方法で測定した。
(1)熱可塑性樹脂溶液の結晶化温度Tc
セイコー電子製DSC−6200を用いて、熱可塑性樹脂と溶媒など製膜樹脂溶液組成と同組成の混合物を密封式DSC容器に密封し、昇温速度10℃/minで溶解温度まで昇温し30分保持して均一に溶解した後に、降温速度10℃/minで降温する過程で観察される結晶化ピークの立ち上がり温度を結晶化温度Tcとした。
(2)中空糸膜の外径
10本の中空糸膜の外径の短径と長径を測定し、数平均して求めた。
(3)層の平均厚さTh1およびTh2
層の平均厚さは、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡を用いて写真を撮り、20箇所の任意の層の厚さを測定し、数平均して求めた。
(4)中空糸膜の純水透過性能
純水透過性能の測定方法は、中空糸膜1〜10本程度からなる長さ約20cmの小型モジュールを作製し、温度25℃、ろ過差圧16kPaの条件で逆浸透膜処理水を送液し、一定時間の透過水量(m)を測定して得た値を、単位時間(hr)、単位有効膜面積(m)、50kPa当たりに換算して算出した。
(5)中空糸膜の破断強度、破断伸度
引張試験機((株)東洋ボールドウィン製TENSILON/RTM―100)を用いて、逆浸透膜処理水で湿潤させた中空糸膜を試験長50mm、フルスケール5kgの加重でクロスヘッドスピード50mm/分にて測定し求めた。
(6)中空糸膜の耐圧性能(ろ過差圧150kPaでの耐圧性能)
長さ200mmの中空糸膜1本からなる、内径10mmの金属管ミニチュアモジュールを作成し、所定水準のろ過差圧にて逆浸透膜処理水の外圧全ろ過を5分間行ない、その後の中空糸膜について、50mm間隔で外径の短径と長径を測定し、それぞれの(短径)/(長径)を算出し数平均し真円率を求めた。これを10回繰り返して得られた真円率を数平均し平均真円率を求めた。
ここで、外径が1100μm以上2000μm以下の中空糸膜を用いた場合には、ろ過差圧を200kPaとした。そして、得られた平均真円率が0.5以上であった場合を、200kPa以上の耐圧性能を有する(○)と判定し、その平均真円率が0.5未満であった場合は、耐圧性能が200kPa未満(×)と判定した。
また、外径が500μm以上1100μm未満の中空糸膜を用いた場合には、ろ過差圧を100kPaとした。そして、得られた平均真円率が0.5以上であった場合を、100kPa以上の耐圧性能を有する(○)と判定し、その平均真円率が0.5未満であった場合は、耐圧性能が100kPa未満(×)と判定した。
(実施例1)
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー13重量%、重量平均分子量2万のポリエチレングリコール5重量%、ジメチルホルムアミド79重量%、および水3重量%を混合して溶解し溶液1とした。また重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38重量%とγ−ブチロラクトン62重量%を150℃で溶解し溶液2とした。溶液2のTcは51℃であった。
104℃(=Ts)で三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を3.5g(=W1)、内側の環状口から溶液2(=W2)を15.5g、中心の管からγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を、同時に、13℃(=T)のγ−ブチロラクトン30重量%水溶液中に吐出して固化させた。その後、85℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(実施例2)
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー13重量%、重量平均分子量2万のポリエチレングリコール5重量%、ジメチルホルムアミド79重量%、および水3重量%を混合して溶解し溶液1とした。また重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38重量%とγ−ブチロラクトン62重量%を150℃で溶解し溶液2とした。溶液2のTcは51℃であった。
104℃(=Ts)の三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を5g(=W1)、内側の環状口から溶液2を14g(=W2)、中心の管からγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を、同時に12℃(=T)のγ−ブチロラクトン32重量%水溶液中に吐出して固化させた。その後80℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(実施例3)
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー14重量%、セルロースアセテート(イーストマンケミカル社製、CA435−75S:三酢酸セルロース)1重量%、N−メチル−2−ピロリドン77重量%、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(三洋化成株式会社、商品名イオネットT−20C)5重量%、および水3重量%を混合して溶解し溶液1とした。また、重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー36重量%とγ−ブチロラクトン64重量%を150℃で溶解し溶液2とした。溶液2のTcは48℃であった。
104℃(=Ts)の三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を4g(=W1)、内側の環状口から溶液2を15g(=W2)、中心の管からγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を、同時に7℃(=T)のγ−ブチロラクトン30重量%水溶液中に吐出して固化させた。その後80℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(実施例4)
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー13重量%、重量平均分子量2万のポリエチレングリコール5重量%、およびジメチルホルムアミド82重量%を混合して溶解し溶液1とした。また重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38重量%とγ−ブチロラクトン62重量%を150℃で溶解し溶液2とした。溶液2のTcは51℃であった。
104℃(=Ts)の三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を3.5g(=W1)、内側の環状口から溶液2を15.5g(=W2)、中心の管からγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を、同時に6℃(=T)のγ−ブチロラクトン30重量%水溶液中に吐出して固化させた。その後80℃の水中で1.6倍に延伸した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(実施例5)
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー14重量%、セルロースアセテート(イーストマンケミカル社製、CA435−75S:三酢酸セルロース)1重量%、N−メチル−2−ピロリドン77重量%、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(三洋化成株式会社、商品名イオネットT−20C)5重量%、および水3重量%を混合して溶解し溶液1とした。また、重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー36重量%とγ−ブチロラクトン64重量%を150℃で溶解し溶液2とした。溶液2のTcは48℃であった。
104℃(=Ts)の三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を4.0g(=W1)、内側の環状口から溶液2を5.5g(=W2)、中心の管からγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を、同時に10℃(=T)のγ−ブチロラクトン26重量%水溶液中に吐出して固化させた。その後80℃の水中で1.5倍に延伸した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(実施例6)
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー12重量%、セルロースアセテート(イーストマンケミカル社、CA435−75S:三酢酸セルロース)5重量%、N−メチル−2−ピロリドン83重量%を混合して溶解し溶液1とした。また重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー36重量%とγ−ブチロラクトン64重量%を150℃で溶解し溶液2とした。溶液2のTcは48℃であった。
104℃(=Ts)の三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を3.5g(=W1)、内側の環状口から溶液2を5.0g(=W2)、中心の管からγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を、同時に10℃(=T)のγ−ブチロラクトン28重量%水溶液中に吐出して固化させた。その後80℃の水中で1.4倍に延伸した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(実施例7)
重量平均分子量28.4万のフッ化ビニリデンホモポリマー13.5重量%、セルロースアセテート(イーストマンケミカル社、CA435−75S:三酢酸セルロース)9重量%、N−メチル−2−ピロリドン76.5重量%を混合して溶解し溶液1とした。また重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー38重量%とγ−ブチロラクトン62重量%を150℃で溶解し溶液2とした。溶液2のTcは51℃であった。
104℃(=Ts)の三重管構造の口金の外側の環状口から溶液1を2.5g(=W1)、内側の環状口から溶液2を4.0g(=W2)、中心の管からγ−ブチロラクトン85重量%水溶液を、同時に8℃(=T)のγ−ブチロラクトン25重量%水溶液中に吐出して固化させた。固化させて得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(比較例1)
Tsを65℃にした以外は実施例1と同様の条件にして中空糸膜製造を試みたが、口金からの吐出が困難で、中空糸膜は得られなかった。
(比較例2)
Tsを125℃にした以外は実施例1と同様の条件にして中空糸膜製造を試みたが、吐出された溶液の凝固が遅く、中空糸膜は得られなかった。
(比較例3)
T=50℃にした以外は実施例1と同様の条件にして中空糸膜製造を試みたが、吐出された溶液の凝固が遅く、中空糸膜は得られなかった。
(比較例4)
外部凝固液をγ−ブチロラクトン60重量%水溶液にした以外は実施例1と同様の条件にして中空糸膜を製造したところ、溶液1が外部凝固液中に拡散し、得られた中空糸膜は外層をほとんど有していなかった。
(比較例5)
外部凝固液を水にした以外は実施例1と同様の条件にして中空糸膜を製造した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(比較例6)
W1=1.0、W2=15.5gにした以外は実施例1と同様の条件にして中空糸膜を製造した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(比較例7)
W1=12、W2=5gにした以外は実施例1と同様の条件にして中空糸膜を製造した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
(比較例8)
W1=12、W2=6gにした以外は実施例4と同様の条件にして中空糸膜を製造した。得られた中空糸膜は外層が三次元網目構造で内層が球状構造からなり、表1にその性能を示す。
Figure 2007181813
本発明による中空糸膜は、耐薬品性が高く、高強伸度性能、高純水透過性能、高阻止性能、高耐圧性能を併せ有することから、水処理用等の分野において有効に利用できる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂1を溶媒に溶解した溶液1と、熱可塑性樹脂2を溶媒に溶解した溶液2と、内部凝固液とを、それぞれ、三重管構造の口金の外側の環状口、内側の環状口、中心の管から同時に外部凝固液中に吐出し、固化せしめることにより中空糸膜を製造するに際し、前記口金の温度Tsと前記溶液2の結晶化温度Tcとを、Tc+20℃≦Ts≦Tc+70℃ の範囲内とし、前記溶液1の吐出重量W1と前記溶液2の吐出重量W2とを、0.1≦W1/W2≦1 の範囲内とし、前記外部凝固液の温度TをT≦Tc−10℃ とし、かつ、前記外部凝固液として、50重量%以上90重量%以下が前記熱可塑性樹脂1の非溶媒で10重量%以上50重量%以下が前記熱可塑性樹脂1の貧溶媒あるいは良溶媒である混合溶媒を用いることを特徴とする中空糸膜の製造方法。
  2. 口金の外側の環状口から吐出した前記溶液1を非溶媒誘起相分離により固化せしめ、かつ、口金の内側の環状口から吐出した前記溶液2を熱誘起相分離により固化せしめることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜の製造方法。
  3. 前記溶液1中における熱可塑性樹脂1の濃度が5重量%以上30重量%以下であり、かつ、前記溶液2中における熱可塑性樹脂2の濃度が20重量%以上60重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空糸膜の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂1および/または前記熱可塑性樹脂2がポリフッ化ビニリデン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造される、外径が1100μm以上2000μm以下の中空糸膜であって、外層が三次元網目構造、内層が球状構造からなり、前記外層の平均厚さをTh1、内層の平均厚さをTh2とした際に、0.2≦Th1/Th2≦0.8であり、50kPa、25℃における純水透過性能が0.5m/m・hr以上であり、破断強度が8MPa以上であり、破断伸度が80%以上であり、かつ耐圧性能が200kPa以上であることを特徴とする中空糸膜。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造される、外径が500μm以上1100μm未満の中空糸膜であって、外層が三次元網目構造、内層が球状構造からなり、前記外層の平均厚さをTh1、内層の平均厚さをTh2とした際に、0.2≦Th1/Th2≦0.8であり、50kPa、25℃における純水透過性能が0.2m/m・hr以上であり、破断強度が10MPa以上であり、破断伸度が20%以上であり、かつ耐圧性能が100kPa以上であることを特徴とする中空糸膜。
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