JP2001290295A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2001290295A
JP2001290295A JP2000103628A JP2000103628A JP2001290295A JP 2001290295 A JP2001290295 A JP 2001290295A JP 2000103628 A JP2000103628 A JP 2000103628A JP 2000103628 A JP2000103628 A JP 2000103628A JP 2001290295 A JP2001290295 A JP 2001290295A
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layer
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hardly soluble
abrasion
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Tamotsu Ariga
保 有賀
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性にすぐれた電子写真感光体を提供す
る。 【解決手段】 感光体表面層(感光層、又は感光層上に
保護層が設けられている感光体では保護層)中に耐摩耗
性粒子を含有させる。この耐摩耗性粒子は塗工溶剤に溶
解し難い樹脂で処理されているため比較的残留電位が少
なく静電的安定性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体に関
し、感光体の耐久性にすぐれ、長期にわたって良質の画
像が得られる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式において使用される
感光体は導電性支持体上に感光層を設けた構成からなる
が、この感光層にはセレンないしセレン合金を主体と
するもの、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機系光
導電材料をバインダー中に分散させたもの、ポリ−N
−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオレノンあるい
はアゾ顔料などの有機光導電材料を用いたもの、及び
非晶質シリコン系材料を用いたもの等が一般に知られて
いる。
【0003】ところで、一般に「電子写真方式」とは、
光導電性の感光体をまず暗所で例えばコロナ放電によっ
て帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択
的に散逸せしめて静電潜像を得、この静電潜像を染料、
顔料などの着色剤と高分子物質などの結合剤とから構成
される検電微粒子(トナー)で現像して可視化し、画像
を形成するようにした画像形成法の一つである。
【0004】このような電子写真法において感光体に要
求される基本的な特性としては(1)暗所で適当な電位
に帯電できること、(2)暗所において電荷の散逸が少
ないこと、(3)光照射によって速やかに電荷を散逸で
きること、などが挙げられる。
【0005】その一方で近年、電子写真装置の高速化、
高耐久化、大型化が進むなか、感光体に対して上記特性
以外に長期繰返し使用に際しても高画質を保つことの出
来る信頼性が強く要求される様に成っている。
【0006】一般的に電子写真感光体は、繰返し使用に
より、帯電性低下、画像特性の劣化、感光層と導電性支
持体との接着性の低下等、様々な問題を抱えている。こ
の中でも特に問題となるのが感光体摩耗による画像劣化
である。また、その他に感光体表面にトナーが強固に付
着し転写ベルトあるいは紙面上に転写し難くなり画像に
部分的に白抜けが生ずることがある。
【0007】これらの問題を解決するために、感光層中
に塗工溶媒に溶解し難い滑性をもつ粉体(ステアリン酸
亜鉛などの長鎖脂肪酸粒子等)や比較的硬質な粒子(酸
化チタン、酸化ケイ素などの金属酸化物粒子等)を添加
することが提案されている。これらは感光体の耐摩耗性
に効果があるのみでなく、感光体へトナーが強固に付着
し紙に転写しにくくなるような現象の低減の効果、トナ
ーフィルミング防止効果も有している。
【0008】しかしながら、このような材料を感光層中
に添加すると、しばしば電荷がトラップされ結果として
残留電位が生じ、反転現像方法の場合には濃度低下など
の問題が生じる。
【0009】感光体表面に滑材などを耐摩耗材として付
与すると摩耗その他に効果があることはわかっている
(特開昭62−6994号、特開昭63−191156
号、63−191154号、特開昭10−235261
号等)。しかし感光体に滑材を直接添加するのはこの残
留電位増加の問題から敬遠されていた。
【0010】また、特開昭6−64353号には、酸化
チタンをシアニン色素と脂肪酸で坦持せしめた材料を感
光層に添加したものが記載されている。しかし、これは
感光材としての機能を目的としたものであって耐摩耗を
目的としたものでない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の基本的な特性は勿論のこと、長期繰返し使用において
も高画質が維持できる電子写真感光体を提供することが
できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を達
成するために、いろいろな角度から検討した結果、トラ
ップとなりうる耐摩耗性材料(摩耗防止材)を塗工溶媒
に不溶性ないし難溶性樹脂で処理し、これを感光体表面
層に含有すれば、本来の耐摩耗性材料としての機能を損
ねることなく電気的な悪影響を減ずることができること
を確かめた。本発明はこれに基づいてなされたものであ
る。
【0013】本発明によれば、導電性支持体上に直接又
は中間層を介して感光層を設けた電子写真感光体におい
て、該感光体最表面層中に、摩耗防止材を塗工溶剤に不
溶ないし難溶の樹脂と共に処理した耐摩耗性粒子を含有
したことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0014】本発明のような処理をすると残留電位が減
少する理由は定かではないが、耐摩耗性粒子はある程度
は樹脂でおおわれているのではないかと思われる。ま
た、樹脂自体は電荷が注入しにくいため耐摩耗性粒子表
面のホールトラップに起因する残留電位が減少したので
はないかと思われる。理想的には耐摩耗性粒子が核物質
でそのまわりを樹脂で覆ったマイクロカプセル状態のも
のが好ましい。
【0015】一方、感光体表面においてはブレード等に
より耐摩耗性粒子の皮膜樹脂が削れて摩耗防止材が露出
してくるが、ここでは本来の目的である摩耗防止材とし
ての機能が発揮される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に沿ってさら
に詳細に説明する。図1は本発明の電子写真感光体の一
例の層構成を表わした図であり、導電性基体1上に中間
層2、感光層3を順次設けた構成のものである。図2は
本発明の電子写真感光体の他の例の層構成を表わした図
であり、感光層3が電荷発生層(CGL)3aと電荷輸
送層(CTL)3bより構成される機能分離型タイプの
ものである。図3は図2の電子写真感光体の電荷輸送層
3b上に保護層4を設けたものである。
【0017】本発明の耐摩耗性粒子は図1では感光層3
に含有され、図2では電荷輸送層3bに含有され、図3
では保護層4に含有されている。
【0018】本発明における耐摩耗性粒子の機能が発揮
されるのは感光体表面のところである。本発明において
は、図3に示したように保護層4の中のみに耐摩耗性粒
子が含まれた方がよいが、この場合は感光体作製で層が
1層増加するための塗工コスト増大が欠点となるもの
の、少なくとも電荷輸送層よりも保護層の方が薄膜のた
め残留電位などの副作用が減少するという利点も生じ
る。
【0019】ここではまず図2の構成の電子写真感光体
について述べる。導電性支持体1としては、アルミニウ
ム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金な
どの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、
蒸着またはスパッタリングによりエンドレスベルト状の
プラスチック、紙等に被覆したものなどを使用すること
ができる。エンドレスベルト状とは、シート状の支持体
の端部同士を接着した円筒の形状、および継ぎ目のない
可撓性のある円筒の形状を指す。またドラム形状での使
用も可能である。
【0020】次に、機能分散型電子写真感光体の電荷発
生層3aについて説明する。電荷発生層3aは電荷発生
物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂
を用いることができる。バインダー樹脂としては、ポリ
アミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポ
リカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニル
ケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾー
ル、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバ
インダー樹脂は、単独または2種類以上の混合物として
用いることができる。
【0021】電荷発生物質としては、公知の材料を用い
ることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属
フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニ
ウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾー
ル骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有
するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔
料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオ
レノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を
有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペ
リレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔
料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリ
フェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノ
ン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴ
イド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げ
られる。これらの電荷発生物質は、単独で又は2種類以
上の混合物として用いることができる。
【0022】なお、電荷発生層中に電荷輸送物質を含有
させても良い。
【0023】続いて、電荷輸送層3bについて説明す
る。電荷輸送層3bは、電荷輸送物質およびバインダー
樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾
燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔
輸送物質と電子輸送物質とがある。
【0024】電子輸送物質としては、例えばクロルアニ
ル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシア
ノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオ
レノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレ
ノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,
4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリ
ニトロ−4H−インデノ(1,2−b)チオフェン−4
オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−
5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられ
る。これらの電子輸送物質は本発明の電子写真感光体に
単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】正孔輸送物質としては、以下に表される電
子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、
ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ
−γ−カルバゾリルエチルグルメタートおよびその誘導
体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導
体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オ
キサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾ
ール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジ
エチルアミノスチリル)アントラセン、スチリルピラゾ
リン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン
誘導体、各種トリフェニルアミン類、チアゾール誘導
体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジ
ン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘
導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正
孔搬送物質は、単独で又は2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0026】電荷輸送層3bに用いられるバインダー樹
脂としては、ポリカーボネート(ビスフェノールA型、
ビスフェノールZ型など)、ポリエステル、メタクリル
樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキ
ッド樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアク
リレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが
用いられる。これらのバインダー樹脂は単独で又は2種
以上の混合物として用いることができる。
【0027】本発明での特定の機能を有した耐摩耗性物
質(摩耗防止材)を塗工溶剤に溶解し難い樹脂で処理し
た粒子は、図2の場合、特にこの電荷輸送層3bに添加
される。添加量としては0.1から50重量%、好まし
くは1から10重量%である。
【0028】耐摩耗性粒子の核物質となる摩耗防止材と
しては、電荷輸送層塗布溶媒に溶解しにくく、かつ硬質
で耐摩耗に効果がある粒子であればよい。例として長鎖
脂肪酸の金属塩、金属酸化物粒子がある。
【0029】長鎖脂肪酸の炭素数は11〜25、好まし
くは16〜20であり、代表的にはステアリン酸であ
る。長鎖脂肪酸金属塩の金属としては、亜鉛、アルミニ
ウムなどが望ましい。一方、金属酸化物にはTiO2
他、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム
などがあげられる。
【0030】そのほかフッ素原子含有物例えば4フッ化
エチレン樹脂粉体、またはフッ化ビニリデン樹脂粉体で
もよい。すなわち耐摩耗性のある滑材、フィラー、有機
樹脂のどれに応用してもよい。
【0031】これら核物質である摩耗防止材を樹脂で処
理する方法としては、樹脂と核物質を混合してミリング
する方法、核物質の分散した溶液に樹脂を溶解させそこ
に貧溶媒を加えたり温度を低下させるなどして樹脂を摩
耗防止材粒子の周りに析出させる方法の他、マイクロカ
プセル作成方法として知られる層分離法、界面重合法、
融解分散冷却法、スプレードライ法等も応用できる。
【0032】なお、上記の処理方法のうち特に好ましい
ものとしては、下記(a)(b)(c)の方法があげら
れる。 (a)塗工溶剤に不溶又は難溶の樹脂を溶解した溶液に
摩耗防止材を分散させ、そこに該樹脂が不溶又は難溶の
溶液を添加して、樹脂を摩耗防止材とともに再沈させ
る。 (b)塗工溶剤に不溶または難溶の樹脂を摩耗防止材と
ともにミリング分散させる。 (c)常温では難溶性の樹脂を加熱溶解させ摩耗防止材
分散液に添加し、冷却、再沈させる。
【0033】一般に電荷輸送層の塗工溶媒としては、ハ
ロゲン系溶媒あるいはテトラヒドロフランなどのエーテ
ル系溶媒が使用されるため、その溶媒に溶けにくい樹脂
であるポリアミド系樹脂、ポリエチレン等が摩耗防止材
粒子と一緒に処理する樹脂として適当である。 また、
被覆樹脂にはユリア樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹
脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられてもよ
い。
【0034】導電性支持体1と電荷発生層3aとの間に
必要に応じて設けられる中間層2は、接着性向上、電荷
注入阻止の目的で設けられ、その材料はSiO2、Al2
3、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、
クロムカップリング剤などの無機材料やポリアミド樹
脂、アルコール可溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアル
コールなどの接着性の良いバインダー樹脂などが使用さ
れる。その他、前記接着性の良いバインダー樹脂に、Z
nO、TiO2、ZnSなどを分散したものも使用でき
る。
【0035】中間層の形成法としては、無機材料単独の
場合はスパッタリング、蒸着などの方法が採用され、ま
た有機材料を用いた場合は、通常の塗布法が採用され
る。中間層の膜厚は5μm以下が適当である。
【0036】なお、導電性支持体に金属の酸化層が存在
する場合はこのような中間層は設けなくてもよい。また
陽極酸化法により、導電性支持体表面に強制的に酸化皮
膜を設けた物でも良い。
【0037】図3に示した保護層4は感光層保護の目的
で設けられるが、これの形成は、浸漬塗布方法によるの
が好ましい。この場合、保護層の塗工溶媒はできれば下
層の電荷輸送層を溶解しにくいものがよいが、それが可
能でない場合は保護層はスプレー塗工あるいはリング塗
工など下層に影響を与えにくい方法で塗布乾燥して作成
する。
【0038】保護層4中の材料には、本発明の樹脂で処
理した耐摩耗性粒子の他に、電荷輸送材及び樹脂バイン
ダー及び酸化防止材など各種添加材が用いられる。保護
層4には本発明の樹脂で処理した耐摩耗性粒子が含有さ
れるが、この粒子の添加量は0.1〜50重量%、好ま
しくは1〜30重量%である。なお、高解像度を狙うた
めには電荷輸送層と保護層の膜厚は小さい方が好まし
い。
【0039】次に、図1に示す感光層3が単層構成の場
合について述べる。キャスティング法で単層感光層を設
ける場合、多くは電荷発生物質と低分子ならびに高分子
電荷輸送物質及び樹脂で処理した耐摩耗性粒子を適当な
溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することに
より形成できる。電荷発生物質ならびに電荷輸送物質に
は、前記の材料を用いることができる。
【0040】また、必要により可塑剤を添加することも
できる。更に、必要に応じて用いることのできるバイン
ダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー
樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層で挙げたバイン
ダー樹脂を混合して用いてもよい。
【0041】単層感光層の膜厚は、5〜100μm程
度、好ましくは10〜22μm程度が適当であり、また
単層感光層に添加される耐摩耗性物質の添加量は0.1
〜50重量%程度、好ましくは1〜10重量%である。
【0042】さらに、図1に示す感光体においては、単
層感光層自体に樹脂で処理した耐摩耗性物質を含有させ
ることなく、この単層感光層上に前記の樹脂で処理した
耐摩耗性物質含有の保護層を形成してもよい。
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0044】(樹脂で処理した摩耗防止材の製造例1)
ステアリン酸アルミ1重量部とポリアミドの溶液(ポリ
アミド2重量%、溶媒:メタノール/n−ブタノール=
6/4)10重量部とを混合して攪拌し、これにアセト
ン25重量部を徐々に添加しポリアミド樹脂を析出させ
る。これをG3ガラスフィルターで濾過、乾燥する。
【0045】(樹脂で処理した摩耗防止材の製造例2)
3mm径の酸化ジルコニウム製ボールと共にステアリン
酸亜鉛1.25重量部と低分子量(分子量約5000)
のポリエチレン0.35重量部を10日間ミリングを行
う。その後酸化ジルコニウム製ボールを分離除去し、ス
テアリン酸亜鉛をポリエチレンで処理した耐摩耗性粒子
を作成した。
【0046】(樹脂で処理した摩耗防止材の製造例3)
ステアリン酸亜鉛2.5重量部とトルエン50重量部と
を混合し攪拌する。別の容器で低分子量(分子量約50
00)のポリエチレン0.25重量部とトルエン20重
量部とを混合し、攪拌加熱しポリエチレンを溶解させ
る。これを前記ステアリン酸亜鉛を分散したトルエン溶
液に約30分かけて徐々に滴下する。これを冷却後G3
ガラスフィルターで濾過分離する。
【0047】実施例1 15cm硬質ガラスポットに、その容積の1/2量の1
cmアルミナ焼結ボールと、酸化チタン(石原産業社
製,商品名CREL)500重量部と、固形分濃度50
重量%のオイルフリーアルキド樹脂(商品名:ベッコラ
イトM6401−50,大日本インキ化学社製)120
重量部と、固形分濃度60重量%のブチルメラミン樹脂
(商品名:スーパーベッカミンG821−60,大日本
インキ化学社製)70重量部とをメチルエチルケトン4
00重量部で希釈し、100時間、80RPMでミリン
グして中間層塗布液を調製した。これをアルミニウム平
板上に浸漬塗布し130℃で20分間、加熱乾燥硬化さ
せ厚さ約3.5ミクロンの酸化チタンを分散した中間層
を設けた。
【0048】電荷発生物質としてオキシチタニウムフタ
ロシアニン1重量部とポリビニルブチラール(商品名:
XYHL,ユニオンカーバイドプラスチック社製)1.
5重量部とをテトラヒドロフランに加え、固形分濃度4
重量%とした電荷発生物質の分散溶液(電荷発生層形成
液)を調製した。これを中間層上に浸漬塗布により約
0.3μmの厚さとなるように塗工して電荷発生層を形
成した。
【0049】一方、ジクロロメタンを2500重量部、
ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(帝人化成社
製)300重量部、シリコンオイル0.05重量部を混
合し、攪拌溶解させ、さらに下記化1で示された構造の
電荷輸送物質(H−1)210重量部を溶解させた液を
調製した。これに製造例1で作成した樹脂で処理した耐
摩耗性粒子6重量部をジクロロメタン50重量部に攪拌
分散した液を添加して、樹脂で処理した耐摩耗性粒子を
含む電荷輸送層形成液を調製した。
【化1】 この液を使用して浸漬塗工法により前記電荷発生層上に
厚さ約28ミクロンの電荷輸送層を形成して電子写真感
光体を作成した。
【0050】実施例2、3および比較例1、2 実施例1において製造例1で作成した耐摩耗性粒子の代
わりに表1の耐摩耗性粒子を使用して実施例2および3
の電子写真感光体を作成し、また樹脂被覆を行なわない
粒子を用いて、比較例1および2の電子写真感光体を作
成した。
【0051】
【表1】
【0052】次に、こうして得られた感光体の感度を調
べるため、これらの感光体に静電複写試験装置(川口電
気製作所社製,SP428型)を用いて暗所で−6KV
のコロナ放電を20秒間行って帯電させた後、20秒間
暗所に放置した時の、表面電位V0(v)を測定した。
ついで780nmの単色を感光体表面の照度が1μW/
cm2となるように照射してV0が1/2になるまでの露
光量E1/2(μJ/cm2)を測定した。また光照射後3
0秒後の電位(V30)を測定した。これを表2に示す。
また、帯電電位800Vを保ったまま感光体に0.2μ
A/cm2流れるような光量の白色光を照射した条件で
2時間疲労させた後の測定値も表3に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】表2および表3にみられるように本発明の
感光体は残留電位を低減することができる。またリコー
社製電子写真複写機MF250にて画像出しを行ったと
ころ、比較例1、2のものは画像濃度が低いが、実施例
1、2、3のものは相対的に画像濃度が高く細線での白
抜けも認められない。
【0056】実施例4 まず実施例1と同様に導電性支持体上に中間層、電荷発
生層を設けた。
【0057】一方、ジクロロメタン2500重量部、ビ
スフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(帝人化成社
製)300重量部、シリコンオイル0.05重量部を混
合し、攪拌溶解させ、さらに電荷輸送物質(H−1)2
10重量部を溶解させて電荷輸送層形成液を調製した。
この液を使用して浸漬塗工法により前記電荷発生層上に
厚さ約25ミクロンの電荷輸送層を作成した。
【0058】さらにこの上にコーテイング塗工により厚
さ約2ミクロンの製造例1の樹脂で処理した耐摩耗性粒
子含有の保護層を設けて電子写真感光体を作成した。な
お、保護層の組成はビスフェノールZ型ポリカーボネー
ト樹脂(帝人化成社製)150重量部、シリコンオイル
0.05重量部、電荷輸送物質(H−1)100重量
部、製造例1で作成した耐摩耗性粒子50重量部であ
る。
【0059】この感光体を使用して実施例1と同様の試
験を行った結果を表4、表5(疲労後)に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】表4および表5から判るように、保護層を
設けその保護層のみに本発明の耐摩耗性粒子を添加する
ことにより残留電位は低下する。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、本発明の電子写真感光
体は表面層に、摩耗防止材粒子を塗工溶剤に溶解し難い
樹脂で処理した耐摩耗性粒子を含有させているため、感
光体表面の摩耗が著しく抑えられる上、長期にわたって
帯電特性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真感光体の一例の層構成を示した図。
【図2】電子写真感光体の他の例の層構成を示した図。
【図3】電子写真感光体のさらに他の例の層構成を示し
た図。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 中間層 3 感光層 3a 電荷発生層 3b 電荷輸送層 4 保護層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に直接又は中間層を介し
    て感光層を設けた電子写真感光体において、最表層に、
    少なくとも塗工溶剤に不溶ないし難溶の樹脂で処理した
    摩耗防止材を含有したことを特徴とする電子写真感光
    体。
  2. 【請求項2】 前記不溶ないし難溶の樹脂で処理した摩
    耗防止材が、塗工溶剤に不溶または難溶の樹脂を溶解し
    た溶液に摩耗防止材を分散させ、そこに該樹脂が不溶な
    いし難溶の溶液を添加して樹脂を摩耗防止材とともに再
    沈させたものであることを特徴とする請求項1記載の電
    子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記不溶ないし難溶の樹脂で処理した摩
    耗防止材が、塗工溶剤に不溶または難溶の樹脂を摩耗防
    止材とともにミリング分散させたものあることを特徴と
    する請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記不溶ないし難溶の樹脂で処理した摩
    耗防止材が、常温では難溶性の樹脂を加熱溶解させ摩耗
    防止材分散液に添加し、冷却、再沈したものであること
    を特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記摩耗防止材が長鎖脂肪酸の金属塩で
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記塗工溶剤に不溶ないし難溶の樹脂が
    ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写
    真感光体。
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