JP2001286582A

JP2001286582A - ゴルフクラブセット

Info

Publication number: JP2001286582A
Application number: JP2000105200A
Authority: JP
Inventors: Norihiko Nakahara; 紀彦中原
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 2000-04-06
Filing date: 2000-04-06
Publication date: 2001-10-16

Abstract

(57)【要約】【課題】特にショートアイアンのコントロール性を向
上することを可能にしたゴルフクラブセットを提供す
る。【解決手段】シャフト１の先端部にヘッド２を装着
し、後端部にグリップ３を設けた複数本のゴルフクラブ
を含み、そのクラブ長さを互いに異ならせたゴルフクラ
ブセットにおいて、少なくともクラブ長さ３５．５〜３
７．０インチの範囲にあるゴルフクラブについて、その
クラブ質量をクラブ長さが短くなるに連れて徐々に大き
くすると共に、グリップ後端からシャフト先端側に向か
って１７０mmの位置Ａを支点とする慣性モーメントをク
ラブ長さが短くなるに連れて徐々に小さくし、かつグリ
ップ後端からシャフト先端側に向かって１７０mmの位置
Ａを支点とする回転モーメントのクラブ間の変動量を
０．０５×１０⁴ｇ・cm以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クラブ長さを互い
に異ならせた複数本のゴルフクラブを含むゴルフクラブ
セットに関し、更に詳しくは、特にショートアイアンの
コントロール性を改善したゴルフクラブセットに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフクラブセットは、クラブ長さを互
いに異ならせた複数本のゴルフクラブを含み、各ゴルフ
クラブのロフト角をクラブ長さが短くなるに連れて徐々
に大きくするように構成されている。

【０００３】ところで、従来のゴルフクラブセットで
は、ロングアイアンからショートアイアンになるに連れ
て、そのクラブ質量が徐々に大きくなると共に、慣性モ
ーメントが徐々に小さくなり、回転モーメントが徐々に
大きくなっている。

【０００４】しかしながら、ショートアイアンの回転モ
ーメントがセット内で相対的に大きくなると、ショート
アイアンをスイングするときにヘッドが重く感じられる
のでボールをコントロールすることが困難であるという
問題があった。そのため、これらクラブ質量、慣性モー
メント、回転モーメントを十分に考慮し、ゴルフクラブ
セットとして最適な関係を設定することが必要であっ
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特に
ショートアイアンのコントロール性を向上することを可
能にしたゴルフクラブセットを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のゴルフクラブセットは、シャフトの先端部に
ヘッドを装着し、後端部にグリップを設けた複数本のゴ
ルフクラブを含み、これらゴルフクラブのクラブ長さを
互いに異ならせたゴルフクラブセットにおいて、少なく
ともクラブ長さ３５．５〜３７．０インチの範囲にある
ゴルフクラブについて、そのクラブ質量をクラブ長さが
短くなるに連れて徐々に大きくすると共に、グリップ後
端からシャフト先端側に向かって１７０mmの位置を支点
とする慣性モーメントをクラブ長さが短くなるに連れて
徐々に小さくし、かつグリップ後端からシャフト先端側
に向かって１７０mmの位置を支点とする回転モーメント
のクラブ間の変動量を０．０５×１０⁴ｇ・cm以下にし
たことを特徴とするものである。

【０００７】このようにクラブ質量と慣性モーメントに
ついては従来と同様の大小関係を維持しながら回転モー
メントだけを略一定にすると、ショートアイアンは従来
に比べて慣性モーメントが同等で、クラブ質量が重くな
り、回転モーメントが小さくなる。ショートアイアンの
回転モーメントが従来に比べて小さくなると、ショート
アイアンをスイングするときにヘッドの重さを感じにく
くなるので、クラブを身体と一体的に振ることができ
る。しかも、上記ショートアイアンはクラブ質量が従来
よりも大きくなるので余分な手首の動きを抑えることが
できる。従って、ショートアイアンのコントロール性を
従来に比べて向上することができる。

【０００８】本発明において、相対的に力強いゴルファ
ーが使用するゴルフクラブセットにおいては、少なくと
もクラブ長さ３５．５〜３７．０インチの範囲にあるゴ
ルフクラブについて、クラブ質量を３５０〜５００ｇの
範囲とし、慣性モーメントを１．７０×１０⁶〜１．９
０×１０⁶ｇ・cm²の範囲とし、回転モーメントを２．
２５０×１０⁴〜２．３００×１０⁴ｇ・cmの範囲とす
ることが好ましい。

【０００９】一方、相対的に非力なゴルファーが使用す
るゴルフクラブセットにおいては、少なくともクラブ長
さ３５．５〜３７．０インチの範囲にあるゴルフクラブ
について、クラブ質量を３５０〜５００ｇの範囲とし、
慣性モーメントを１．７０×１０⁶〜１．９０×１０⁶
ｇ・cm²の範囲とし、回転モーメントを２．２００×１
０⁴〜２．２５０×１０⁴ｇ・cmの範囲とすることが好
ましい。

【００１０】また、グリップ後端と該グリップ後端から
シャフト先端側に向かって１７０mmの位置との間に、重
量体を挿入することが好ましい。この重量体としては、
比重ρが８以上であるものを用いると良い。ヘッド、シ
ャフト、グリップ等のクラブ構成部材の重量調整を行う
ことに加えて、上記重量体を追加することにより、ゴル
フクラブセット内でクラブ質量、慣性モーメント、回転
モーメントを任意に設定することが可能になる。

【００１１】ショートアイアンのコントロール性を向上
するために、上記構成は少なくともクラブ長さ３５．５
〜３７．０インチの範囲にあるゴルフクラブに適用する
ことが必要であるが、クラブ長さ３７．０インチ以上の
ロングアイアンを含むセット全体に適用しても良い。セ
ット全体に適用した場合、ロングアイアンのクラブ質量
と慣性モーメントを従来と同等にしながら回転モーメン
トを小さくすることができる。そうすると、クラブ質量
が従来と同等であってもロングアイアンをスイングする
ときに軽く感じるのでヘッドスピードが増加し、飛距離
を増大させることができる。

【００１２】本発明では、グリップ後端からシャフト先
端側に向かって１７０mmの位置を支点とする慣性モーメ
ント及び回転モーメントをクラブバランスの指標に用い
ている。即ち、本発明者は、３次元磁気センサを用いて
スイング解析を行ったところ、スイング時におけるゴル
フクラブの回転中心が、グリップの後端からシャフトの
先端側に向かって１７０mmの位置にあることを確認し
た。そこで、グリップ後端からシャフト先端側に向かっ
て１７０mmの位置を支点とする慣性モーメント及び回転
モーメントをクラブバランスの指標とすることにより、
ゴルファーの感覚を正確に反映させることが可能にな
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１４】図１は本発明の実施形態からなるゴルフク
ラブセットを例示するものであり、ゴルフクラブＡ３〜
Ａ９（３番〜９番アイアン）と、ゴルフクラブＰＷ（ピ
ッチングウェッジ）と、ゴルフクラブＳＷ（サンドウェ
ッジ）との９本から構成されている。また、各ゴルフク
ラブは、シャフト１の先端部にヘッド２を装着し、後端
部にグリップ３を装着した構成になっている。

【００１５】これらゴルフクラブＡ３〜Ａ９，ＰＷ，Ｓ
Ｗは、番手が大きくなるほどロフト角Ｘ（°）が大きく
なると共にクラブ長さが短くなるように設定されてい
る。即ち、ゴルフクラブＡ３〜Ａ９，ＰＷ，ＳＷは、番
手が大きくなるほど打球飛距離が短くなるように設定さ
れている。また、ゴルフクラブＡ３〜Ａ６のクラブ長さ
は３７インチ以上であり、ゴルフクラブＡ７〜Ａ９，Ｐ
Ｗ，ＳＷのクラブ長さは３５．５〜３７．０インチであ
る。

【００１６】図２に示すように、各ゴルフクラブのグリ
ップ３の後端３ｅと該後端３ｅからシャフト１の先端側
に向かって１７０mmの位置Ａとの間で、シャフト１の筒
内には、比重ρが８以上である重量体４が挿入されてい
る。この重量体４はゴルフクラブの回転モーメントを小
さくする。そのため、例えば、ヘッド２の質量を小さく
し、その減量分に相当する重量体４を追加すれば、クラ
ブ質量を変更することなく回転モーメントを小さくする
ことができる。

【００１７】上記ゴルフクラブセットは、クラブ質量を
クラブ長さが短くなるに連れて徐々に大きくすると共
に、グリップ後端３ｅから１７０mmの位置Ａを支点とす
る慣性モーメントをクラブ長さが短くなるに連れて徐々
に小さくし、かつグリップ後端３ｅから１７０mmの位置
Ａを支点とする回転モーメントのクラブ間の変動量を
０．０５×１０⁴ｇ・cm以下にするように設定されてい
る。

【００１８】クラブ質量は、シャフト１、ヘッド２、グ
リップ３、重量体４を含むクラブ構成部材の総質量であ
る。

【００１９】回転モーメントは、図３に示すように、グ
リップ３の後端３ｅからシャフト１の先端側に向かって
１７０mmの位置Ａを基準とする一方で、ゴルフクラブの
重心位置Ｇを求め、上記位置Ａからクラブ重心位置Ｇま
での距離Ｌ（cm）とクラブ質量（ｇ）との積から求める
ことができる。

【００２０】慣性モーメントについては、図３に示すよ
うに、グリップ３の後端３ｅからシャフト１の先端側に
向かって１７０mmの位置Ａを基準とする一方で、ゴルフ
クラブの重心位置Ｇを求め、該重心位置Ｇでの慣性モー
メントを求める。また、上記位置Ａからクラブ重心位置
Ｇまでの距離Ｌ（cm）の二乗とクラブ質量（ｇ）との積
から慣性モーメントの補正値を求める。そして、この補
正値を重心位置Ｇでの慣性モーメントに加えることによ
り、位置Ａでの慣性モーメントを求めることができる。

【００２１】上記ゴルフクラブセットにおいて、ゴルフ
クラブＡ７〜Ａ９，ＰＷ，ＳＷのショートアイアンは従
来に比べて慣性モーメントが同等で、クラブ質量が重く
なり、回転モーメントが小さくなる。このようにショー
トアイアンの回転モーメントが小さくなると、ショート
アイアンをスイングするときにヘッドの重さを感じにく
くなるので、クラブを身体と一体的に振ることができ
る。しかも、上記ショートアイアンはクラブ質量が従来
よりも大きくなるので余分な手首の動きを抑えることが
できる。従って、ゴルフクラブＡ７〜Ａ９，ＰＷ，ＳＷ
を含むショートアイアンのコントロール性を従来に比べ
て向上することができる。

【００２２】また、上記ゴルフクラブセットにおいて、
ゴルフクラブＡ７〜Ａ９のロングアイアンはクラブ質量
と慣性モーメントを従来と同等にしながら回転モーメン
トを小さくすることができる。そのため、クラブ質量が
従来と同等であってもロングアイアンをスイングすると
きに軽く感じるのでヘッドスピードが増加し、飛距離を
増大させることができる。

【００２３】例えば、クラブ質量を３５０〜５００ｇの
範囲とし、慣性モーメントを１．７０×１０⁶〜１．９
０×１０⁶ｇ・cm²の範囲とし、回転モーメントを２．
２５０×１０⁴〜２．３００×１０⁴ｇ・cmの範囲とし
たゴルフクラブセットを構成することができる。このよ
うなゴルフクラブセットは、相対的に力強いゴルファー
にとって好適である。

【００２４】また、クラブ質量を３５０〜５００ｇの範
囲とし、慣性モーメントを１．７０×１０⁶〜１．９０
×１０⁶ｇ・cm²の範囲とし、回転モーメントを２．２
００×１０⁴〜２．２５０×１０⁴ｇ・cmの範囲とした
ゴルフクラブセットを構成することができる。このよう
なゴルフクラブセットは、相対的に非力なゴルファーに
とって好適である。

【００２５】即ち、力強いゴルファー用のゴルフクラブ
セットと非力なゴルファー用のゴルフクラブセットとで
回転モーメントの変動範囲を互いに異ならせることによ
り、力強いゴルファーであっても、非力なゴルファーで
あっても、飛距離とコントロール性との両立が可能にな
る。

【００２６】本発明によれば、ショートアイアンのコン
トロール性を向上する一方で、ロングアイアンの飛距離
を増大させることができ、番手毎のクラブ性能を十分に
発揮することができる。

【００２７】

【実施例】クラブ長さが種々異なる複数本のゴルフクラ
ブを含むゴルフクラブセットにおいて、クラブ質量、慣
性モーメント、回転モーメントを表１〜表３のように設
定した従来セット及び本発明セット１，２をそれぞれ製
作した。本発明セット１は力強いゴルファー（例えば、
５０歳未満）用であり、本発明セット２は非力なゴルフ
ァー（例えば、５０歳以上）用である。表１〜表３にお
いて、慣性モーメント及び回転モーメントはグリップ後
端からシャフト先端側に向かって１７０mmの位置を支点
として測定したものである。また、本発明の理解を容易
にするために、従来セット及び本発明セット１につい
て、クラブ長さとクラブ質量との関係を図４に示し、ク
ラブ長さと慣性モーメントとの関係を図５に示し、クラ
ブ長さと回転モーメントとの関係を図６に示した。

【００２８】これらゴルフクラブセットについて、下記
の測定方法により、飛距離と方向性を評価し、その結果
を表１〜表３に示した。

【００２９】飛距離：５名のテストゴルファーにより各
５回の試打を実施して飛距離を測定し、その平均値を求
めた。評価結果は、従来セットの測定値をクラブ毎に１
００とする指数にて示した。この指数値が大きいほど飛
距離が大きいことを意味する。但し、本発明セット１の
試打には３０歳のテストゴルファーを採用し、本発明セ
ット２の試打には６０歳のテストゴルファーを採用し、
従来セットの試打には両方のテストゴルファーを採用し
て基準となるデータをそれぞれ求めた。

【００３０】方向性：５名の上級ゴルファーにより各５
回の試打を実施して目標に対する左右方向のずれ量を測
定し、その平均値を求めた。評価結果は、測定値の逆数
を用い、従来セットの測定値をクラブ毎に１００とする
指数にて示した。この指数値が大きいほど方向性が優れ
ていることを意味する。但し、本発明セット１の試打に
は３０歳のテストゴルファーを採用し、本発明セット２
の試打には６０歳のテストゴルファーを採用し、従来セ
ットの試打には両方のテストゴルファーを採用して基準
となるデータをそれぞれ求めた。

【００３１】

【表１】

【００３２】

【表２】

【００３３】

【表３】

【００３４】この表１〜表３から明らかなように、本発
明セット１，２はいずれもショートアイアンの方向性が
優れており、しかもロングアイアンについては飛距離が
増大していた。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ャフトの先端部にヘッドを装着し、後端部にグリップを
設けた複数本のゴルフクラブを含み、これらゴルフクラ
ブのクラブ長さを互いに異ならせたゴルフクラブセット
において、少なくともクラブ長さ３５．５〜３７．０イ
ンチの範囲にあるゴルフクラブについて、そのクラブ質
量をクラブ長さが短くなるに連れて徐々に大きくすると
共に、グリップ後端からシャフト先端側に向かって１７
０mmの位置を支点とする慣性モーメントをクラブ長さが
短くなるに連れて徐々に小さくし、かつグリップ後端か
らシャフト先端側に向かって１７０mmの位置を支点とす
る回転モーメントのクラブ間の変動量を０．０５×１０
⁴ｇ・cm以下にしたから、特にショートアイアンのコン
トロール性を向上することができ、更にはロングアイア
ンの飛距離を増大させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態からなるゴルフクラブセット
を構成する複数本のゴルフクラブをそれぞれ一部省略し
て示す側面図である。

【図２】本発明におけるゴルフクラブの要部を示す拡大
断面図である。

【図３】本発明における慣性モーメントと回転モーメン
トの測定方法を説明するためのゴルフクラブの側面図で
ある。

【図４】クラブ長さとクラブ質量との関係を示すグラフ
である。

【図５】クラブ長さと慣性モーメントとの関係を示すグ
ラフである。

【図６】クラブ長さと回転モーメントとの関係を示すグ
ラフである。

【符号の説明】

１シャフト２ヘッド３グリップ３ｅグリップの後端４重量体Ａ３〜Ａ９，ＰＷ，ＳＷゴルフクラブＡグリップの後端から１７０mmの位置Ｇ重心位置

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シャフトの先端部にヘッドを装着し、後
端部にグリップを設けた複数本のゴルフクラブを含み、
これらゴルフクラブのクラブ長さを互いに異ならせたゴ
ルフクラブセットにおいて、少なくともクラブ長さ３
５．５〜３７．０インチの範囲にあるゴルフクラブにつ
いて、そのクラブ質量をクラブ長さが短くなるに連れて
徐々に大きくすると共に、グリップ後端からシャフト先
端側に向かって１７０mmの位置を支点とする慣性モーメ
ントをクラブ長さが短くなるに連れて徐々に小さくし、
かつグリップ後端からシャフト先端側に向かって１７０
mmの位置を支点とする回転モーメントのクラブ間の変動
量を０．０５×１０⁴ｇ・cm以下にしたゴルフクラブセ
ット。
【請求項２】少なくともクラブ長さ３５．５〜３７．
０インチの範囲にあるゴルフクラブについて、前記クラ
ブ質量を３５０〜５００ｇの範囲とし、前記慣性モーメ
ントを１．７０×１０⁶〜１．９０×１０⁶ｇ・cm²の
範囲とし、前記回転モーメントを２．２５０×１０⁴〜
２．３００×１０⁴ｇ・cmの範囲とした請求項１に記載
のゴルフクラブセット。
【請求項３】少なくともクラブ長さ３５．５〜３７．
０インチの範囲にあるゴルフクラブについて、前記クラ
ブ質量を３５０〜５００ｇの範囲とし、前記慣性モーメ
ントを１．７０×１０⁶〜１．９０×１０⁶ｇ・cm²の
範囲とし、前記回転モーメントを２．２００×１０⁴〜
２．２５０×１０⁴ｇ・cmの範囲とした請求項１に記載
のゴルフクラブセット。
【請求項４】前記グリップ後端と該グリップ後端から
シャフト先端側に向かって１７０mmの位置との間に、重
量体を挿入した請求項１乃至請求項３のいずれかに記載
のゴルフクラブセット。