JP2001273936A - 光電変換素子および太陽電池 - Google Patents

光電変換素子および太陽電池

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JP2001273936A JP2000085616A JP2000085616A JP2001273936A JP 2001273936 A JP2001273936 A JP 2001273936A JP 2000085616 A JP2000085616 A JP 2000085616A JP 2000085616 A JP2000085616 A JP 2000085616A JP 2001273936 A JP2001273936 A JP 2001273936A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光電変換効率を改善した色素増感光電変換素
子およびこれを用いた太陽電池を提供する。 【解決手段】導電性支持体、色素を吸着した半導体微粒
子を含む1層以上の感光層、電荷移動層および対極を有
する色素増感された光電変換素子において、前記感光層
の少なくとも1層が、2種以上のアルキレンオキシドを
構成単位とするブロックコポリマーを含有する半導体微
粒子分散物を焼成することにより形成されることを特徴
とする光電変換素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素で増感された
半導体微粒子を用いた光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、
多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電
池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化
合物太陽電池が実用化もしくは主な研究開発の対象とな
っているが、普及させる上で製造コスト、原材料確保、
エネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服す
る必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有
機材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されて
いるが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があ
った。
【0003】こうした状況の中で、Nature(第353巻、
第737〜740頁、1991年)および米国特許4927721号等
に、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電
変換素子および太陽電池、ならびにこれを作成するため
の材料および製造技術が開示された。提案された電池
は、ルテニウム錯体によって分光増感された二酸化チタ
ン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。こ
の方式の第一の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半
導体を高純度に精製することなく用いることができるた
め、安価な光電変換素子を提供できる点であり、第二の
利点は用いられる色素の吸収がブロードなため、可視光
線のほぼ全波長領域の光を電気に変換できることであ
る。また、この素子の電解液の枯渇による光電変換効率
の低下を回避するため、J. Phys. D: Appl. Phys. 31(1
998) 1492-1496やChem. Mater. 1998, 10, 1501-1509に
はCuIやCuSCNなど無機正孔輸送材料を用いて固体化した
光電変換素子が提案されている。しかし、これらの正孔
輸送材料を用いた光電変換素子は湿式と比べ変換効率が
著しく低いという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、色素
増感型の光電変換素子がもつ上記の欠点を克服し、変換
効率に優れた色素増感光電変換素子およびこれを用いた
太陽電池を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、導電性支持体、色素を吸着した
半導体微粒子を含む1層以上の感光層、電荷移動層およ
び対極を有する色素増感された光電変換素子において、
前記感光層の少なくとも1層を、2種以上のアルキレン
オキシドを構成単位とするブロックコポリマーを含有す
る半導体微粒子分散物を焼成して形成することで、光電
変換効率を向上できることを見出し、本発明に想到し
た。
【0006】すなわち、本発明の光電変換素子は、特定
のブロックポリマーを含有する半導体微粒子分散物を支
持体上に塗布した後、焼成することにより、感光層を形
成したことを特徴とする。焼成により、上記ポリマーが
熱分解して、半導体微粒子の間に電荷輸送材料を保持す
るための空隙構造が形成される。
【0007】また、もう1つの本発明である太陽電池
は、本発明の光電変換素子を用いたものである。
【0008】本発明は下記条件を満たすことにより、一
層優れた光電変換効率を有する光電変換素子及び太陽電
池が得られる。
【0009】(1)前記ブロックコポリマーが、下記一
般式(I)または(II)により表されるブロックコポリ
マーのうち少なくとも1種であることが好ましい。
【化7】 (一般式(I)において、R1およびR2は各々独立に水素原
子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。R1
よびR2が同じであることはない。x1、y1およびz1は各々
独立に1以上1000未満の整数を表す。x1、y1およびz1
同じ整数であってもかまわない。)
【化8】 (一般式(II)において、R3およびR4は各々独立に水素原
子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。R3
よびR4が同じであることはない。x2〜x5及びy2〜y5は各
々独立に1以上1000未満の整数を表す。x2〜x5及びy2
y5は同じ整数であってもかまわない。)
【0010】(2)前記一般式(I)により表されるブ
ロックコポリマーが、下記一般式(III)または(IV)
により表されるブロックコポリマーであることが好まし
い。
【化9】 (一般式(III)において、x6、y6およびz6は各々独立
に1以上1000未満の整数を表す。x6、y6およびz6は同じ
整数であってもかまわない。)
【化10】 (一般式(IV)において、x7、y7およびz7は各々独立に
1以上1000未満の整数を表す。x7、y7およびz7は同じ整
数であってもかまわない。)
【0011】(3)前記一般式(II)により表されるブ
ロックコポリマーが、下記一般式(V)または(VI)に
より表されるブロックコポリマーであることが好まし
い。
【化11】 (一般式(V)において、x8〜x11及びy8〜y11は各々独
立に1以上1000未満の整数を表す。x8〜x11及びy8〜y11
は同じ整数であってもかまわない。)
【化12】 (一般式(VI)において、x12〜x15及びy12〜y15は各々
独立に1以上1000未満の整数を表す。x12〜x15及びy12
〜y15は同じ整数であってもかまわない。)
【0012】(4)前記ブロックコポリマーの添加量
が、当該感光層の半導体微粒子に対して5質量%以上1
00質量%未満であることが好ましい。
【0013】(5)前記色素がルテニウム錯体色素およ
び/またはポリメチン色素であることが好ましい。
【0014】(6)前記半導体微粒子が二酸化チタン微
粒子であることが好ましい。
【0015】(7)前記電荷移動層が、一価の銅を含む
化合物半導体を含有することが好ましく、前記一価の銅
を含む化合物半導体が、CuIであることが好ましい。さ
らにチオシアン酸塩を含有することが好ましい。
【0016】(8)前記電荷移動層が、溶融塩電解質を
含有することが好ましく、ピリジニウム塩、イミダゾリ
ウム塩、アルキルアンモニウム塩から選択される化合物
であることが好ましい。
【0017】(9)前記導電性支持体上に酸化物半導体
からなる下塗り層が設けられていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】〔1〕光電変換素子 本発明の光電変換素子は、好ましくは図1に示すよう
に、導電層10、下塗り層60、感光層20、電荷移動層30、
対極導電層40の順に積層し、前記感光層20を色素22によ
って増感された半導体微粒子21と当該半導体微粒子21の
間の空隙に浸透した電荷輸送材料23とから構成する。感
光層は、1層でも多層構成でもよい。電荷輸送材料23
は、電荷移動層30に用いる材料と同じ成分からなる。ま
た光電変換素子に強度を付与するため、導電層10側およ
び/または対極導電層40側に、基板50を設けてもよい。
以下本発明では、導電層10および任意で設ける基板50か
らなる層を「導電性支持体」、対極導電層40および任意
で設ける基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。この光電
変換素子を外部回路に接続して仕事をさせるようにした
ものが光電池である。なお、図1中の導電層10、対極導
電層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極
導電層40a、透明基板50aであっても良い。
【0019】図1に示す本発明の光電変換素子におい
て、色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光
層20に入射した光は色素22等を励起し、励起された色素
22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21の伝導帯
に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。この
とき色素22等の分子は酸化体となっている。光電池にお
いては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしながら
対極導電層40および電荷移動層30を経て色素22等の酸化
体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極として働
く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20と
の境界、感光層20と電荷移動層30との境界、電荷移動層
30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分同
士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層について
詳細に説明する。
【0020】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導
電層および基板の2層からなる。強度や密封性が十分に
保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必
要でない。
【0021】(1)の場合、導電層として金属のように
十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。
【0022】(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導
電層を有する基板を使用することができる。好ましい導
電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニ
ウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性
金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズに
フッ素をドープしたもの等)が挙げられる。導電層の厚
さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0023】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに
好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特
に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0024】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が
特に好ましい。
【0025】透明導電性支持体としては、ガラスまたは
プラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物か
らなる透明導電層を塗布または蒸着等により形成したも
のが好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化
スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガ
ラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ま
しい。また低コストでフレキシブルな光電変換素子また
は太陽電池とするには、透明ポリマーフィルムに導電層
を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルム
の材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)、シンジオタクチックポリステレン
(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカー
ボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフ
ォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエ
ーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化
フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、
導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチック
の支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0026】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウムおよび銀が好ましい。金属リ
ードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、そ
の上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜から
なる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層
を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設
置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の
低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%と
する。
【0027】(B)感光層 感光層において、半導体はいわゆる感光体として作用
し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ず
る。色素増感された半導体微粒子では、光吸収およびこ
れによる電子および正孔の発生は主として色素において
起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する
役割を担う。本発明で用いる半導体は光励起下で伝導体
電子がキャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半
導体であることが好ましい。
【0028】(1)半導体微粒子 半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウムのよう
な単体半導体、III-V系化合物半導体、金属のカルコゲ
ニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、または
ペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウ
ム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用
することができる。
【0029】好ましい金属のカルコゲニドとして、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタ
ンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモ
ンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレ
ン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の
化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カ
ドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−イン
ジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げ
られる。
【0030】本発明に用いる半導体の好ましい具体例
は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Z
nS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuIn
S2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、Sn
O2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、
CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2また
はNb 2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0031】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、
製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム
等の観点からは多結晶が好ましく、半導体微粒子からな
る多孔質膜が特に好ましい。
【0032】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好
ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好
ましい。
【0033】粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混
合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm
以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率
を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度
の半導体粒子を混合してもよい。
【0034】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018
頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDe
gussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解
により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0035】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)
に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さ
らにゾル−ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ
・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第
12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーン
サイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10
巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0036】(2)半導体微粒子層 本発明は、半導体微粒子を導電性支持体上に塗設するの
に、塗布膜のクラック生成を回避したり、空隙率をコン
トロールする目的で、ブロックコポリマーを分散剤とし
て半導体微粒子に加えた組成物を塗設液として用いるこ
とを特徴とする。
【0037】本発明において使用されるブロックコポリ
マーは下記一般式(I)または(II)により表される。
【化13】
【化14】 一般式(I)及び(II)において、R1〜R4は各々独立に水素
原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表すが、
さらに好ましくは水素原子およびメチル基である。R1
R2 、R3とR4が同じであることはない。x1〜x5及びy1〜y
5は各々独立に1以上1000未満の整数を表すが、さらに
好ましくは10以上500未満の整数である。x1〜x5、y1〜y
5は同じ整数であってもかまわない。
【0038】一般式(I)により表されるブロックコポ
リマーは、より好ましくは下記一般式(III)もしくは
(IV)により表される。
【化15】 一般式(III)において、x6、y6およびz6は各々独立に
1以上1000未満の整数を表すが、さらに好ましくは10以
上500未満の整数である。x6、y6およびz6は同じ整数で
あってもかまわない。
【化16】 一般式(IV)において、x7、y7およびz7は各々独立に1
以上1000未満の整数を表すが、さらに好ましくは10以上
500未満の整数である。x7、y7およびz7は同じ整数であ
ってもかまわない。
【0039】また、一般式(II)により表されるブロッ
クコポリマーは、より好ましくは下記一般式(V)もし
くは(VI)により表される。
【化17】 ここでx8〜x11及びy8〜y11は各々独立に1以上1000未満
の整数を表すが、さらに好ましくは10以上500未満の整
数である。x8〜x11及びy8〜y11は同じ整数であってもか
まわない。
【化18】 ここでx12〜x15及びy12〜y15は各々独立に1以上1000未
満の整数を表すが、さらに好ましくは10以上500未満の
整数である。x12〜x15及びy12〜y15は同じ整数であって
もかまわない。
【0040】本発明に好ましく使用されるブロックコポ
リマーを以下に列挙するが、本発明はこれに限定される
ものではない。なお、表1〜4中のx6〜x15及びy6〜y15
は平均値を表す。
【0041】
【化19】
【表1】
【0042】
【化20】
【表2】
【0043】
【化21】
【表3】
【0044】
【化22】
【表4】
【0045】本発明のブロックコポリマーの添加量は、
同一の感光層の半導体微粒子に対して5質量%以上100質
量%未満であることが好ましい。さらに好ましい添加量
は10質量%以上50質量%未満である
【0046】分散媒としては、水または各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢
酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じて例
えば界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助剤と
して用いてもよい。
【0047】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエ
アーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションと
メータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58
-4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許268
1294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライド
ホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好
ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ま
しい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよび
グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリ
ーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェ
ット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0048】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例え
ば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法、キャス
ト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液
(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイ
ヤーバー法またはスピン法が好ましく、均一な膜にする
ことが可能である。なおある程度の塗布量があれば低粘
度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能
である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗
布速度等に応じて、適宜湿式製膜方法を選択すればよ
い。
【0049】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の
違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が
異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加
剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効
である。多層塗布には、エクストルージョン法またはス
ライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場
合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次
重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスク
リーン印刷法も好ましく使用できる。
【0050】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色
素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは
0.1〜100μmである。太陽電池に用いる場合、半導体微
粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより
好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり塗布量は0.
5〜400gが好ましく、3〜100gがより好ましい。
【0051】半導体微粒子分散物を導電性支持体上に塗
布した後で、添加したブロックコポリマーを分解しそし
て半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、塗
膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために、
焼成する。好ましい焼成温度の範囲は250〜700℃であ
り、より好ましくは300℃〜600℃、特に好ましくは350
〜550℃である。また焼成時間は10分〜10時間程度であ
る。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持
体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くため、
好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温
であるのが好ましい。低温化は、鉱酸の存在下あるいは
紫外線照射下での焼成等により可能となる。
【0052】加熱処理後半導体微粒子の表面積を増大さ
せたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導
体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩
化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン
水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0053】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面
積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、
さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に
制限はないが、通常1000倍程度である。
【0054】(3)色素 感光層に使用する色素は金属錯体色素、フタロシアニン
系の色素またはメチン色素が好ましい。光電変換の波長
域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二
種類以上の色素を混合することができる。また目的とす
る光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する
色素とその割合を選ぶことができる。
【0055】こうした色素は半導体微粒子の表面に対す
る適当な結合基(interlocking group)を有しているの
が好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、OH基、
SO3H基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、ま
たはオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリ
チレートおよびα-ケトエノレートのようなπ伝導性を
有するキレート化基が挙げられる。なかでもCOOH基、-P
(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの
基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分
子内塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場
合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形
成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を
結合基としてもよい。
【0056】以下、感光層に用いる好ましい色素を具体
的に説明する。
【0057】(a)金属錯体色素 色素が金属錯体色素である場合、金属原子はルテニウム
Ruであるのが好ましい。ルテニウム錯体色素としては、
例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365
号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7
-249790号、特表平10-504512号、世界特許98/50393号等
に記載の錯体色素が挙げられる。
【0058】さらに本発明で用いるルテニウム錯体色素
は下記一般式(I): (A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(I) により表されるのが好ましい。一般式(I)中、A1はC
l、SCN、H2O、Br、I、CN、NCOおよびSeCNからなる群か
ら選ばれた配位子を表し、pは0〜3の整数である。B-
a、B-bおよびB-cはそれぞれ独立に下記式B-1〜B-10:
【0059】
【化23】
【0060】(ただし、R11は水素原子または置換基を
表し、置換基としてはたとえば、ハロゲン原子、炭素原
子数1〜12の置換または無置換のアルキル基、炭素原子
数7〜12の置換または無置換のアラルキル基、あるいは
炭素原子数6〜12の置換または無置換のアリール基、カ
ルボン酸基、リン酸基(これらの酸基は塩を形成してい
てもよい)が挙げられ、アルキル基およびアラルキル基
のアルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリ
ール基およびアラルキル基のアリール部分は単環でも多
環(縮合環、環集合)でもよい。)により表される化合
物から選ばれた有機配位子を表す。B-a、B-bおよびB-c
は同一でも異なっていても良い。
【0061】金属錯体色素の好ましい具体例を以下に示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】
【化26】
【0065】(b)メチン色素 本発明で好ましく用いられるメチン色素は、特開平11-3
5836号、特開平11-158395号、特開平11-163378号、特開
平11-214730号、特開平11-214731号、欧州特許892411号
および同911841号の各明細書に記載の色素である。これ
らの色素の合成法については、エフ・エム・ハーマー
(F.M.Hamer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−
シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ
(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related C
ompounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John
Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964
年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテ
ロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピック
ス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heteroc
yclic Compounds-Special topics in heterocyclic che
mistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン
・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley &Sons)社−ニ
ューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミスト
リー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistr
y of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,part B,1977
刊、第15章、第369から422頁、エルセビア・サイエンス
・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science
Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、英国特
許第1,077,611号、Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal,
第40巻、第3号、253〜258頁、Dyes and Pigments, 第2
1巻、227〜234頁およびこれらの文献に引用された文献
になどに記載されている。
【0066】(4)半導体微粒子への色素の吸着 半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素の溶液中に
良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸
漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法
を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ
法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。な
お浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、
特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して
行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤー
バー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、
カーテン法、スピン法、スプレー法等があり、印刷方法
としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印
刷等がある。溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択で
きる。例えば、アルコール類(メタノール、エタノー
ル、t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル
類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプ
ロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水
素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、
クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミ
ド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタ
ミド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾ
リジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢
酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエ
チル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類
(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化
水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン
等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0067】色素の溶液の粘度についても、半導体微粒
子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500Poi
se)ではエクストルージョン法の他に各種印刷法が適当
であり、また低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスラ
イドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン法が適当
であり、いずれも均一な膜にすることが可能である。
【0068】このように色素の塗布液の粘度、塗布量、
導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素の吸着方
法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間
は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0069】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱にな
るため、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好まし
い。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、
アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好
ましい。また色素の吸着量を増大させるため、吸着前に
加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒
子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに
40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
【0070】色素の全使用量は、導電性支持体の単位表
面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また色
素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g
当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このような色
素の吸着量とすることにより、半導体における増感効果
が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増
感効果が不十分となり、また色素が多すぎると、半導体
に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる
原因となる。
【0071】会合のような色素同士の相互作用を低減す
る目的で、無色の化合物を半導体微粒子に共吸着させて
もよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシ
ル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコ
ール酸)等が挙げられる。また紫外線吸収剤を併用する
こともできる。
【0072】余分な色素の除去を促進する目的で、色素
を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を
処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、
4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられ
る。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有
機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0073】(C)電荷移動層 電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有す
る電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いるこ
とのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、イオ
ン輸送材料として、酸化還元対のイオンが溶解した溶液
(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリクスの
ゲルに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対イオン
を含有する溶融塩電解質、さらには固体電解質が挙げら
れる。また、イオンがかかわる電荷輸送材料のほかに、
固体中のキャリアー移動が電気伝導にかかわる材料と
して、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を用いる
こともできる。これらは、併用することができる。
【0074】(1)溶融塩電解質 溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観
点から好ましい。本発明の光電変換素子に溶融塩電解質
を用いる場合は、例えばWO95/18456号、特開平8-259543
号、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記
載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリ
アゾリウム塩等の既知のヨウ素塩を用いることができ
る。
【0075】好ましく用いることのできる溶融塩として
は、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれ
かにより表されるものが挙げられる。
【0076】
【化27】
【0077】一般式(Y-a)中、Qy1は窒素原子と共に5
又は6員環の芳香族カチオンを形成しうる原子団を表
す。Qy1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及
び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子によ
り構成されるのが好ましい。
【0078】Qy1により形成される5員環は、オキサゾ
ール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジ
アゾール環又はトリアゾール環であるのが好ましく、オ
キサゾール環、チアゾール環又はイミダゾール環である
のがより好ましく、オキサゾール環又はイミダゾール環
であるのが特に好ましい。Qy1により形成される6員環
は、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジ
ン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリジン環
であるのがより好ましい。
【0079】一般式(Y-b)中、Ay1は窒素原子又はリン
原子を表す。
【0080】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のR
y1〜Ry6はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基
(好ましくは炭素原子数1〜24、直鎖状であっても分岐
状であっても、また環式であってもよく、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル
基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-
オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、
2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチル基等)、或いは置換又は無置換のア
ルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24、直鎖状であ
っても分岐状であってもよく、例えばビニル基、アリル
基等)を表し、より好ましくは炭素原子数2〜18のアル
キル基又は炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特
に好ましくは炭素原子数2〜6のアルキル基である。
【0081】また、一般式(Y-b)中のRy1〜Ry4のうち
2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成
してもよく、一般式(Y-c)中のRy1〜Ry6のうち2つ以
上が互いに連結して環構造を形成してもよい。
【0082】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のQ
y1及びRy1〜Ry6は置換基を有していてもよく、好ましい
置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I
等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ
基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキル
チオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシ
カルボニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステ
ル基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(ア
セチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホ
ニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基
等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキ
シ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキ
シ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基
(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミ
ノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-
ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピ
ル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基
等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素
環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、
アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)等が挙げ
られる。
【0083】一般式(Y-a)、(Y-b)又は(Y-c)によ
り表される化合物は、Qy1又はRy1〜R y6を介して多量体
を形成してもよい。
【0084】これらの溶融塩は、単独で使用しても、2
種以上混合して使用してもよく、また、ヨウ素アニオン
を他のアニオンで置き換えた溶融塩と併用することもで
きる。ヨウ素アニオンと置き換えるアニオンとしては、
ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-等)、NSC-、BF4 -、P
F6 -、ClO4 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CF3SO3 -
CF3COO-、Ph4B-、(CF3SO2)3C-等が好ましい例として挙
げられ、(CF3SO2)2N-又はBF4 -であるのがより好まし
い。また、LiIなど他のヨウ素塩を添加することもで
きる。
【0085】本発明で好ましく用いられる溶融塩の具体
例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではな
い。
【0086】
【化28】
【0087】
【化29】
【0088】
【化30】
【0089】
【化31】
【0090】
【化32】
【0091】
【化33】
【0092】
【化34】
【0093】上記溶融塩電解質には、溶媒を用いない方
が好ましい。後述する溶媒を添加しても構わないが、溶
融塩の含有量は電解質組成物全体に対して50質量%以上
であるのが好ましい。また、塩のうち、50質量%以上が
ヨウ素塩であることが好ましく、70%以上であることが
さらに好ましい。
【0094】電解質組成物にヨウ素を添加するのが好ま
しく、この場合、ヨウ素の含有量は、電解質組成物全体
に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質
量%であるのがより好ましい。
【0095】(2)電解液 電荷移動層に電解液を使用する場合、電解液は電解質、
溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本
発明の電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物
としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2 など
の金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウム
ヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウム
ヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩な
ど)、Br 2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはL
iBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 など
の金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブ
ロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウ
ム化合物の臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フ
ェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンな
どの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール
−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲ
ン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができ
る。この中でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、
イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物
のヨウ素塩を組み合わせた電解質が本発明では好まし
い。上述した電解質は混合して用いてもよい。
【0096】好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以下
であり、さらに好ましくは0.2M以上10M以下である。ま
た、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の
添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。
【0097】本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン移動度を向上したり、もしくは誘電率が高く
有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝
導性を発現できる化合物であることが望ましい。このよ
うな溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、3-メチル-2-
オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジ
エチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコ
ールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエー
テル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルな
どの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレ
ングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモ
ノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノア
ルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アル
コール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メト
キシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド、ス
ルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用いるこ
とができる。
【0098】また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc .,
80 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなter-ブ
チルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性
化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加す
る場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。
【0099】(3)ゲル電解質 本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添
加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応
等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することも
できる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、“Po
lymer Electrolyte Reviews-1および2”(J.R.MacCallum
とC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に
記載された化合物を使用することができるが、特にポリ
アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使
用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化
させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind. Chem.Sec., 4
6,779(1943), J. Am. Chem. Soc., 111,5542(1989), J.
Chem. Soc., Chem. Com mun., 1993, 390, Angew. Che
m. Int. Ed. Engl., 35,1949(1996), Chem. Lett.,199
6, 885, J. Chm. Soc., Chem. Commun., 1997,545に記
載されている化合物を使用することができるが、好まし
い化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物であ
る。
【0100】また、ポリマーの架橋反応により電解質を
ゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリ
マーおよび架橋剤を併用することが望ましい。この場
合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例
えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オ
キサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリ
ジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤
は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試
薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキ
ル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イ
ソシアネートなど)である。
【0101】(4)正孔輸送材料 本発明では、電解質の替わりに有機または無機あるいは
この両者を組み合わせた正孔輸送材料を使用することが
できる。
【0102】(a)有機正孔輸送材料 本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、N,N'-
ジフェニル-N、N'-ビス(4-メトキシフェニル)-(1,
1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(J.Hagen etal.,Synth
etic Metal 89(1997)215-220)、2,2',7,7'-テトラキス
(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9'-スピロビフ
ルオレン(Nature,Vol.395, 8 Oct.1998,p583-585およ
びWO97/10617)、1,1-ビス{4-(ジ-p-トリルアミノ)
フェニル}シクロヘキサンの3級芳香族アミンユニット
を連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号
公報)、4,4,‐ビス[(N-1-ナフチル)‐N-フェニル
アミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミン
を含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳
香族アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニル
ベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族
トリアミン(米国特許第4,923,774号、特開平4−3086
88号公報)、N,N'-ジフエニル-N、N'-ビス(3-メチル
フェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン等の
芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,
α,α',α'-テトラメチル-α,α'-ビス(4-ジ-p-ト
リルアミノフェニル)-p-キシレン(特開平3−269084号
公報)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子全体として
立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4
−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複
数個置換した化合物(特開平4−175395号公報)、エチ
レン基で3級芳香族アミンユニツトを連結した芳香族ジ
アミン(特開平4−264189号公報)、スチリル構造を有
する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報)、ベン
ジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フル
オレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−25473
号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公
報)、ピスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320
634号公報)、N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特
開平6−1972号公報)、フェノキザジン構造を有する芳
香族ジアミン(特開平7-138562号)、ジアミノフエニル
フエナントリジン誘導体(特開平7-252474号)等に示さ
れる芳香族アミン類を好ましく用いることができる。
【0103】また、α-オクチルチオフェンおよびα,ω
-ジヘキシル-α-オクチルチオフェン(Adv. Mater. 199
7,9,N0.7,p557)、ヘキサドデシルドデシチオフェン(An
gew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, No.3,p303-30
7)、2,8-ジヘキシルアンスラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェ
ン(JACS,Vol120, N0.4,1998,p664-672)等のオリゴチオ
フェン化合物、ポリピロール(K. Murakoshi et al.,;C
hem. Lett. 1997, p471)、“Handbook of Organic Con
ductive Molecules and Polymers Vol.1,2,3,4”(NALW
A著、WILEY出版)に記載されているポリアセチレンおよ
びその誘導体、ポリ(p-フェニレン) およびその誘導
体、ポリ(p-フェニレンビニレン) およびその誘導体、
ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフ
ェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導
体、ポリトルイジンおよびその誘導体等の導電性高分子
を好ましく使用することができる。
【0104】正孔(ホール)輸送材料にはNature,Vol.3
95, 8 Oct. 1998,p583-585に記載されているようにドー
パントレベルをコントロールするためにトリス(4-ブロ
モフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートの
ようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加した
り、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層
の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加
しても構わない。
【0105】(b)無機正孔輸送材料 無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用
いることができる。p型無機化合物半導体のバンドギャ
ップは色素吸収を妨げないため大きいことが好ましい。
p型無機化合物半導体のバンドギャップは、2eV以上で
あることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好
ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテン
シャルは色素ホールを還元するためには、色素吸着電極
のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。
本発明の光電変換素子に使用する色素によって電荷移動
層に使用するp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシ
ャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以
上5.5eV以下であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.
3eV以下であることが好ましい。本発明に好ましく使用
されるp型無機化合物半導体は一価の銅を含む化合物半
導体であり、一価の銅を含む化合物半導体としてはCuI,
CuSCN, CuInSe2, Cu(In,Ga)Se2, CuGaSe2, Cu 2O, CuS,
CuGaS2, CuInS2, CuAlSe2などが挙げられる。この中で
もCuIおよび CuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。銅
を含む化合物以外に用いることができるp型無機化合物
半導体としては、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2O3、MoO2、C
r2O3等を挙げることができる。また、本発明のp型無機
化合物半導体を含有する電荷移動層の好ましいホール移
動度は10-4cm2/V・sec以上104cm2/V・sec以下であり、
さらに好ましくは10-3cm2/V・sec以上103cm2/V・sec以
下である。さらに、本発明の電荷移動層の好ましい導電
率は10-8S/cm以上102S/cm以下であり、さらに好ましく
は10-6S/cm以上10S/cm以下である。
【0106】また、本発明のp型無機化合物半導体を塗
布方法によって電極に導入する場合、塗布状態を改善し
たり、電極への浸透を促進する目的で、種々の添加剤を
加えることができるが、好ましい添加剤としては、ラウ
リン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン
酸ナトリウムなど高級脂肪酸のアルカリ金属塩類(セッ
ケン)、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫
酸エステルナトリウム塩などの高級アルコール硫酸エス
テルナトリウム塩類、ラウリルアルコールエチレンオキ
サイド付加物硫酸エステル塩などの高級アルキルエーテ
ル硫酸エステル塩類、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステ
ル、硫酸化脂肪酸類、硫酸化オレフィン、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムなどアルキルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム塩類、アルキルアリールスルホン酸塩、
ホルマリン縮合ナフタレンスルホン酸塩、α-オレフィ
ンスルホン酸塩類、オレイル(N-メチル)タウライドな
どアルキル(N-メチル)タウライド類、スルホコハク酸
ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウムなどスルホ
コハク酸ジエステル型界面活性剤、高級アルコールリン
酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸
ジエステルモノナトリウム塩、高級アルコールエチレン
オキサイド付加物のリン酸エステル塩、ジアルキルジチ
オリン酸亜鉛などの界面活性剤、チオシアン酸塩、後述
する溶融塩、前述の有機正孔輸送材料およびNiI2、Pt
I2、AgI、 AuI3、 ZnI2、TiI4、CoI2・2H2O、PdI2 、GaI
3 、InI 、InI3 、SnI4、SbI3 、LiI 、KI 、MgI2 、Ba
I2・2H2O、MnI 2 、ScI3 、YI3 、PrI3 、NdI3等の金属ヨ
ウ化物などが挙げられる。この中でも特にチオシアン酸
塩が特に好ましい。以下に本発明でp型半導体と好まし
く組み合わせて使用されるチオシアン酸塩を列挙するが
本発明はこれに限定されるものではない。
【0107】
【化35】
【0108】
【化36】
【0109】(5)電荷移動層の形成 電荷移動層の形成方法に関しては2通りの方法が考えら
れる。1つは増感色素を担持させた半導体微粒子含有層
の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の
電荷移動層を挟み込む方法である。もう1つは半導体微
粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する方法で、対極
はその後付与することになる。
【0110】前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法と
して、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと
常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロ
セスが利用できる。
【0111】後者の場合、湿式の電荷移動層においては
未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置
も施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗
布して重合等の方法により固体化する方法もあり、その
場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもで
きる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質
を付与する方法としては、半導体微粒子含有層や色素の
付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアー
ナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー
法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト
法、各種印刷法等が考えられる。
【0112】固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材
料の場合には真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理
で電荷移動層を形成し、その後対極を付与することもで
きる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法,キャスト法,塗
布法,スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重
合法等の手法により電極内部に導入することができる。
無機固体化合物の場合も、キャスト法,塗布法,スピン
コート法、浸漬法、電解メッキ法等の手法により電極内
部に導入することができる。
【0113】量産化を考える場合、固体化できない電解
液や湿式の正孔輸送材料の場合には、塗設後速やかにエ
ッジ部分を封止することで対応も可能であるが、固体化
可能な正孔輸送材料の場合は湿式付与により正孔輸送層
を膜形成した後、例えば光重合や熱ラジカル重合等の方
法により固体化することがより好ましい。このように膜
付与方式は液物性や工程条件により適宜選択すればよ
い。
【0114】なお、電荷移動層中の水分としては10,000
ppm以下が好ましく、さらに好ましくは2,000ppm以下で
あり、特に好ましくは100ppm以下である。
【0115】(D)対極 対極は、光電変換素子の正極として作用するものであ
る。対極は前記の導電性支持体と同様に、導電性材料か
らなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と
支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用い
る導電材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、ア
ルミニウム、マグネシウム、ロジウム、インジウム
等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−ス
ズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)
が挙げられる。この中でも白金、金、銀、銅、アルミニ
ウム、マグネシウムを対極層として好ましく使用するこ
とができる。対極の好ましい支持基板の例は、ガラスま
たはプラスチックであり、これに上記の導電剤を塗布ま
たは蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限され
ないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属製
である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下であ
り、さらに好ましくは5nm〜3μmの範囲である。対極
層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲と
しては80Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□
以下である。
【0116】導電性支持体と対極のいずれか一方または
両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達する
ためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質
的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、
導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入
射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性
質を有するのが好ましい。このような対極としては、金
属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラス
チック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0117】対極は、電荷移動層上に直接導電材を塗
布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有
する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性
支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対
極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好まし
い。なお、好ましい金属リードの材質および設置方法、
金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体
の場合と同じである。
【0118】(E)その他の層 電荷移動層に電子輸送材料や正孔輸送材料を用いる場
合、対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導
電性支持体と感光層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗
り層として塗設しておくことが好ましい。下塗り層とし
て好ましいのはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5
あり、さらに好ましくはTiO2である。下塗り層はElectr
ochimi. Acta 40, 643-652(1995)に記載されているスプ
レーパイロリシス法により塗設することができる。下塗
り層の好ましい膜厚は5〜1000nm以下であり、10〜500nm
がさらに好ましい。
【0119】また、電極として作用する導電性支持体お
よび対極の一方または両方に、保護層、反射防止層等の
機能性層を設けても良い。このような機能性層を多層に
形成する場合、同時多層塗布法や逐次塗布法を利用でき
るが、生産性の観点からは同時多層塗布法が好ましい。
同時多層塗布法では、生産性および塗膜の均一性を考え
た場合、スライドホッパー法やエクストルージョン法が
適している。これらの機能性層の形成には、その材質に
応じて蒸着法や貼り付け法等を用いることができる。
【0120】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0121】図2は、透明導電層10aと透明対極導電層4
0aとの間に、感光層20と、電荷移動層30とを介在させた
ものであり、両面から光が入射する構造となっている。
図3は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さ
らに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電
荷移動層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに
支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入
射する構造となっている。図4は、支持基板50上にさら
に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、さらに電荷移動層30と透明対極導電層40aとを設
け、一部に金属リード11を設けた透明基板50aを、金属
リード11側を内側にして配置したものであり、対極側か
ら光が入射する構造である。図5は、透明基板50a上に
一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設け
たものの間に下塗り層60と感光層20と電荷移動層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造であ
る。図6は、透明基板50a上に透明導電層10a、感光層2
0、電荷移動層30および対極導電層40を設け、この上に
支持基板50を配置したものであり導電層側から光が入射
する構造である。図7は、支持基板50上に導電層10を有
し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷移
動層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明
基板50aを配置したものであり、対極側から光が入射す
る構造である。図8は、透明基板50a上に透明導電層10a
を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電
荷移動層30および透明対極導電層40aを設け、この上に
透明基板50aを配置したものであり、両面から光が入射
する構造となっている。図9は、支持基板50上に導電層
10を設け、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに
固体の電荷移動層30を設け、この上に一部対極導電層40
または金属リード11を有するものであり、対極側から光
が入射する構造となっている。
【0122】〔2〕太陽電池 本発明の太陽電池は、上記光電変換素子に外部回路で仕
事をさせるようにしたものである。光電池は構成物の劣
化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリマーや
接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体および
対極にリードを介して接続される外部回路自体は公知の
もので良い。本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池
に適用する場合、そのセル内部の構造は基本的に上述し
た光電変換素子の構造と同じである。以下、本発明の光
電変換素子を用いた太陽電池のモジュール構造について
説明する。
【0123】本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太
陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造を
とりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セ
ラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を
充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から
光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の
透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支
持基板側から光を取り込む構造とすることも可能であ
る。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブスト
レートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュー
ル構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられ
る基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明
の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境
により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0124】代表的なスーパーストレートタイプあるい
はサブストレートタイプのモジュールは、片側または両
側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定
間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード
またはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に
集電電極が配置されており、発生した電力が外部に取り
出される構造となっている。基板とセルの間には、セル
の保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニ
ルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料
をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、
外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆
う必要のない場所において使用する場合には、表面保護
層を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充
填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片
側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周
囲は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するた
め金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基
板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、
セルそのものや支持基板、充填材料および封止材料に可
撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成する
こともできる。
【0125】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロ
ント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上に
セルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料
等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを
乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することがで
きる。
【0126】一方、サブストレートタイプの場合、基板
供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等
で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード
線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバー
を乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することが
できる。
【0127】本発明の光電変換素子を基板一体型モジュ
ール化した構造の一例を図10に示す。図10は、透明な基
板50aの一方の面上に透明な導電層10aを設けた後、下塗
り層60を設置し、この上にさらに色素吸着半導体を含有
した感光層20、電荷移動層30および金属対極導電層40を
設けたセルがモジュール化されており、基板50aの他方
の面には反射防止層70が設けられている構造を表す。こ
のような構造とする場合、入射光の利用効率を高めるた
めに、感光層20の面積比率(光の入射面である基板50a
側から見たときの面積比率)を大きくした方が好まし
い。
【0128】図10に示した構造のモジュールの場合、基
板上に透明導電層、感光層、電荷移動層、対極等が立体
的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択
エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、あるい
はパターン塗布または広幅塗布後のレーザースクライビ
ング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Sola
r Cells, 48, p373-381等に記載)、研削等の機械的手
法等によりパターニングすることで所望のモジュール構
造を得ることができる。
【0129】以下にその他の部材や工程について詳述す
る。封止材料としては、耐候性付与、電気絶縁性付与、
集光効率向上、セル保護性(耐衝撃性)向上等の目的に
応じ液状EVA(エチレンビニルアセテート)、フィルム
状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂の混
合物等、様々な材料が使用可能である。モジュール外縁
と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性および防湿性が
高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透明フィラ
ーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げることが
できる。
【0130】封止材料をセル上に固定するときは、材料
の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合
はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液ま
たはペースト状の材料の場合はロールコート、バーコー
ト、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が
可能である。
【0131】支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を
用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上に
セルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層
することができ、生産性が高い。
【0132】発電効率を上げるために、モジュールの光
取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には
反射防止処理が施される。反射防止処理方法としては、
反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコーテ
ィングする方法がある。
【0133】また、セルの表面をグルービングまたはテ
クスチャリング等の方法で処理することによって、入射
した光の利用効率を高めることが可能である。
【0134】発電効率を上げるためには、光を損失なく
モジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変
換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光
電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射
率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した
後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下
層にAl−MgまたはAl−Tiなどの合金層を反射層として設
ける方法、アニール処理によって最下層にテクスチャー
構造を作る方法等がある。
【0135】また、発電効率を上げるためにはセル間接
続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味
で重要である。セル同士を接続する方法としては、ワイ
ヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接
続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤
を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方
法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布す
る方法等もある。
【0136】ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体
を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出し
ながら前述の方法によって順次セルを形成し、所望のサ
イズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のあ
る素材でシールすることにより電池本体を作製できる。
また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,
p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とす
ることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太
陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもで
きる。
【0137】以上詳述したように、使用目的や使用環境
に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作する
ことができる。
【0138】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。1.二酸化チタン分散液の調製 SOLARONIX製ナノ結晶二酸化チタンペースト Ti-Nanoxid
e D 5g(二酸化チタン質量0.7g)に表5に示される
ポリマーを加え、スターラーで24時間攪拌して分散物を
調製した。
【0139】
【表5】
【0140】2.色素を吸着したTiO2電極の作製 素子構造が図1の態様となるようフッ素をドープした酸
化スズをコーティングした導電性ガラス(日本板硝子
製;25mm×100mm、面積抵抗10Ω/□)の導電面側の一部
(端から5mm)をガラスで覆って保護した後、Electroch
imi. Acta 40, 643-652(1995)に記載されているスプレ
ーパイロリシス法により二酸化チタン薄膜(膜厚60n
m)を形成した。導電面側の一部(端から3mm)に粘着
テープを張ってスペーサーとし、この上にガラス棒を用
いて1.で調製した二酸化チタン分散液を塗布した。塗
布後、粘着テープを剥離し、室温で1時間風乾した。次
に、塗布済みの電極を電気炉(ヤマト科学製マッフル炉
FP-32型)に入れ、550℃にて60分間焼成した。焼成後の
二酸化チタン層の厚さは表5に記載した。焼成の終了し
た電極を電気炉から取り出し、7分間冷却した後、表5
に示す色素のエタノール溶液(3×10-4mol/L)に室温
で12時間浸漬した。色素吸着済みガラスをアセトニトリ
ルで洗浄し自然乾燥し、25mm×10mm幅に切断加工して色
素を吸着したTiO2電極を得た。
【0141】3.電荷移動層および光電変換素子の作製 CuI、有機正孔輸送材料、溶融塩電解質、湿式電解質と
いう異なる4タイプの電荷移動層を有する光電変換素子
を作製した。
【0142】(1)CuI(光電変換素子A) CuIのアセトニトリル溶液(3.2質量%)に、表5に記載
されたSCN塩を添加、溶解して塗布液を作製した(塗布
液A)。2.で作製した電極の導電面露出部分およびセル
の周辺1mm幅を粘着テープで保護し、100℃に過熱したホ
ットプレートに載せて2分間放置した。0.2mlの塗布液A
をエッペンドルフを用いて10分程度で、アセトニトリ
ルを揮発させながらゆっくりに加えた。塗布後、2分間
ホットプレート上に放置し、白金を前述の導電性ガラス
上に蒸着した基板でサンドイッチし、光電変換素子を作
製した。
【0143】(2)有機正孔輸送材料(光電変換素子B) 2.で作製した電極上に、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-
ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9'-スピロフルオレン
0.17M、 トリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサ
クロロアンチモネート0.33mM、Li[(CF3SO2)2N] 15mMの
クロロベンゼン/アセニトリル=100/5(体積比)溶液を
30μLに加え、スピンコート(1000rpm、60秒)した。こ
の後、80℃で減圧乾燥し、さらに金蒸着し光電変換素子
を得た。
【0144】(3)溶融塩電解質(光電変換素子C) 2.で作製した電極をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラ
スと重ねあわせた。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象
を利用して以下に示されるY-AおよびY-Bを質量比で70:
30となるよう混合し、さらに、この混合溶融塩に対し2
質量%のヨウ素を加えた溶融塩電解質をを染み込ませて
光電変換素子を作製した。
【0145】
【化37】
【0146】(4)湿式電解質(光電変換素子D) 2.で作製した電極をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラ
スと重ねあわせた。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象
を利用して電解液(アセトニトリルと3-メチル-2-オキ
サゾリジノンの体積比90対10の混合物を溶媒とした沃素
0.05mol/L、沃化リチウム0.5mol/Lの溶液)を染み込
ませて光電変換素子を作製した。
【0147】これにより、図1に示したとおり、ガラス
50a、導電層10 a、TiO2下塗り層60、色素の吸着したTiO
2電極層20、正孔輸送層30、対極層40が順に積層された
太陽電池が作製された。
【0148】4.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルタ
ー(Oriel社製AM1.5D)を通すこと により模擬太陽光
を発生させた。この光の強度は100mW/cm2であった。
【0149】前述の光電変換素子の導電性ガラスと対向
電極層にそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、模擬太陽
光を照射し、発生した電流を電流電圧測定装置(ケース
レーSMU238型)にて測定した。このときNo.14〜18の
セルは70℃に加熱して、これら以外のセルは室温で測定
を行なった。これにより求められた太陽電池の短絡電流
密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、形状因子(FF)、および変換
効率(η)を一括して表6に記載した。
【0150】
【表6】
【0151】表6中の実施例2と比較例1、実施例10と
比較例3、実施例12と比較例4、実施例15と比較例5を
比較すると、本発明の光電変換素子が比較用光電変換素
子と比べ光電変換効率、特に短絡電流密度が大きいこと
が明らかである。
【0152】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の光電変換
素子は、光電変換効率、特に短絡電流密度が大きい。し
たがって、かかる光電変換素子からなる太陽電池は、太
陽電池として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図10】 本発明の光電変換素子を用いた基板一体型太
陽電池モジュールの構造の一例を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷移動層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層 70・・・反射防止層

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体、色素を吸着した半導体微
    粒子を含む1層以上の感光層、電荷移動層および対極を
    有する色素増感された光電変換素子において、前記感光
    層の少なくとも1層が、2種以上のアルキレンオキシド
    を構成単位とするブロックコポリマーを含有する半導体
    微粒子分散物を焼成することにより形成されることを特
    徴とする光電変換素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光電変換素子におい
    て、前記ブロックコポリマーが、下記一般式(I)又は
    (II)により表されるブロックコポリマーのうち少なく
    とも1種であることを特徴とする光電変換素子。 【化1】 (一般式(I)において、R1およびR2は各々独立に水素原
    子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。R1
    よびR2が同じであることはない。x1、y1およびz1は各々
    独立に1以上1000未満の整数を表す。x1、y1およびz1
    同じ整数であってもかまわない。) 【化2】 (一般式(II)において、R3およびR4は各々独立に水素原
    子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。R3
    よびR4が同じであることはない。x2〜x5及びy2〜y5は各
    々独立に1以上1000未満の整数を表す。x2〜x5及びy2
    y5は同じ整数であってもかまわない。)
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の光電変換素子
    において、前記一般式(I)により表されるブロックコ
    ポリマーが、下記一般式(III)または(IV)により表
    されるブロックコポリマーであることを特徴とする光電
    変換素子。 【化3】 (一般式(III)において、x6、y6およびz6は各々独立
    に1以上1000未満の整数を表す。x6、y6およびz6は同じ
    整数であってもかまわない。) 【化4】 (一般式(IV)において、x7、y7およびz7は各々独立に
    1以上1000未満の整数を表す。x7、y7およびz7は同じ整
    数であってもかまわない。)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記一般式(II)により表されるブロ
    ックコポリマーが、下記一般式(V)または(VI)によ
    り表されるブロックコポリマーであることを特徴とする
    光電変換素子。 【化5】 (一般式(V)において、x8〜x11及びy8〜y11は各々独
    立に1以上1000未満の整数を表す。x8〜x11及びy8〜y11
    は同じ整数であってもかまわない。) 【化6】 (一般式(VI)において、x12〜x15及びy12〜y15は各々
    独立に1以上1000未満の整数を表す。x12〜x15及びy12
    〜y15は同じ整数であってもかまわない。)
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光電
    変換素子において、前記ブロックコポリマーの添加量
    が、当該感光層の半導体微粒子に対して5質量%以上1
    00質量%未満であることを特徴とする光電変換素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光電
    変換素子において、前記色素がルテニウム錯体色素およ
    び/またはポリメチン色素であることを特徴とする光電
    変換素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光電
    変換素子において、前記半導体微粒子が二酸化チタン微
    粒子を含むことを特徴とする光電変換素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電
    変換素子において、前記電荷移動層が、一価の銅を含む
    化合物半導体を含有することを特徴とする光電変換素
    子。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の光電変換素子におい
    て、前記一価の銅を含む化合物半導体が、CuIであるこ
    とを特徴とする光電変換素子。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の光電変換素子にお
    いて、前記電荷移動層が、チオシアン酸塩を含有するこ
    とを特徴とする光電変換素子。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の
    光電変換素子において、前記電荷移動層が溶融塩電解質
    を含有することを特徴とする光電変換素子。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の光電変換素子に
    おいて、前記溶融塩電解質がピリジニウム塩、イミダゾ
    リウム塩、アルキルアンモニウム塩から選択される化合
    物を含有することを特徴とする光電変換素子。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかに記載の
    光電変換素子において、前記導電性支持体上に酸化物半
    導体からなる下塗り層が設けられていることを特徴とす
    る光電変換素子。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかに記載の
    光電変換素子を用いる事を特徴とする太陽電池。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載の
    光電変換素子から構成されることを特徴とする太陽電池
    モジュール。
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