JP2001035253A - 電解質組成物、光電変換素子および光電気化学電池 - Google Patents

電解質組成物、光電変換素子および光電気化学電池

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JP2001035253A
JP2001035253A JP11205430A JP20543099A JP2001035253A JP 2001035253 A JP2001035253 A JP 2001035253A JP 11205430 A JP11205430 A JP 11205430A JP 20543099 A JP20543099 A JP 20543099A JP 2001035253 A JP2001035253 A JP 2001035253A
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JP
Japan
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group
dye
layer
electrolyte composition
photoelectric conversion
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JP11205430A
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English (en)
Inventor
Michio Ono
三千夫 小野
Koji Wariishi
幸司 割石
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性および電荷輸送能に優れた電解質組成
物、この電解質組成物を用いたために、優れた耐久性お
よび光電変換特性を示す光電変換素子、ならびにかかる
光電変換素子からなる光電気化学電池を提供する。 【解決手段】 下記一般式(Y): 【化1】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry1
Ry4はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基ま
たはアルケニル基を表し、X1はアニオンを表し、Ry1〜R
y4のうち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族
環を形成してもよく、Ry1〜Ry4を介して多量体を形成し
てもよい。)により表される化合物を含み、溶媒含有量
が全体の10重量%以下である電解質組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性および電荷
輸送能に優れた電解質組成物、かかる電解質組成物を用
いた光電変換素子、ならびにそれからなる光電気化学電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電池、キャパシター、センサ
ー、表示素子、記録素子等の電気化学的素子の電解質と
して電解質塩を溶媒に溶解した液状電解質が用いられて
きた。しかし液状電解質を用いた電気化学的素子は、長
期間の使用または保存の間に液漏れが発生することがあ
り信頼性に欠ける。
【0003】Nature,第353巻,第737〜740頁,1991
年、米国特許4927721号等は色素により増感された半導
体微粒子を用いた光電変換素子およびこれを用いた光電
気化学電池を開示しているが、これらにおいても電荷移
動層に液状電解質を用いているため、長期間の使用また
は保存の間に電解液が漏洩または枯渇し、光電変換効率
が著しく低下したり、素子として機能しなくなることが
懸念されている。
【0004】このような状況下で、国際特許93/20565号
に固体電解質を用いた光電変換素子が提案された。また
日本化学会誌,7,484頁(1997)、特開平7-2881142
号、Solid State Ionics,89,263(1986)および特開
平9-27352号は、架橋ポリエチレンオキサイド系高分子
化合物を用いた固体電解質を含む光電変換素子を提案し
た。しかしながら、これらの固体電解質を用いた光電変
換素子は光電変換特性、特に短絡電流密度が不十分であ
り、加えて耐久性も十分でない。
【0005】また、電解液の漏洩および枯渇を防止し耐
久性を向上させるために、ピリジニウム塩、イミダゾリ
ウム塩、トリアゾニウム塩等を電解質とする方法が開示
されている(WO95/18456号、特開平8-259543号、電気化
学,第65巻,11号,923頁(1997年)等)。これらの塩
は室温において溶融状態にあり、室温溶融塩と呼ばれ
る。この方法では水や有機溶媒等の、電解質を溶解させ
る溶媒が不要あるいは少量で済むため、電池の耐久性が
向上する。しかしながら、これらの室温溶融塩を用いた
光電変換素子は開放電圧が低く、光電変換効率が良くな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、耐久性および電荷輸送能に優れた電解質組成物、こ
の電解質組成物を用いたために、優れた耐久性および光
電変換特性を示す光電変換素子、ならびにかかる光電変
換素子からなる光電気化学電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、下記一般式(Y):
【化3】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry1
Ry4はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基ま
たはアルケニル基を表し、X1はアニオンを表し、Ry1〜R
y4のうち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族
環を形成してもよく、Ry1〜Ry4を介して多量体を形成し
てもよい。)により表される化合物を含み、溶媒含有量
が全体の10重量%以下である電解質組成物は、優れた耐
久性および電荷輸送能を示すことを発見し、本発明に想
到した。
【0008】また本発明の光電変換素子は、導電層、感
光層、電荷移動層および対極を有し、前記電荷移動層が
上記電解質組成物を含有することを特徴とする。
【0009】さらに本発明の光電気化学電池は、上記光
電変換素子からなることを特徴とする。
【0010】本発明はまた下記条件を満たすことによ
り、一層優れた光電変換特性および耐久性を有する電解
質組成物、光電変換素子ならびに光電気化学電池が得ら
れる。
【0011】(1)一般式(Y)により表される化合物
は、さらに下記一般式(Y-A)、(Y-B)または(Y-C):
【化4】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry5
よびRy6はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル
基またはアルケニル基を表し、Qy1およびQy3はそれぞれ
独立に2価連結基を表し、Qy2は3価連結基を表し、X1
はアニオンを表す。)により表されるのが好ましい。
【0012】(2)X1はヨウ化物イオンであるのが好ま
しい。
【0013】(3)電解質組成物は、一般式(Y)によ
り表される化合物以外にヨウ素塩および/またはヨウ素
を含むのが好ましい。
【0014】(4)光電変換素子の感光層は色素によっ
て増感された微粒子半導体を含有するのが好ましく、前
記微粒子半導体は二酸化チタン微粒子半導体であるのが
好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】〔1〕電解質組成物 以下、本発明の電解質組成物の各構成成分および、この
電解質組成物を含む電荷移動層の形成方法について詳述
する。
【0016】(A)一般式(Y)により表わされる化合物 本発明の電解質組成物は下記一般式(Y):
【化5】 により表わされる化合物を含む。この化合物はいわゆる
室温溶融塩と呼ばれる化合物であるか、少量の溶媒を加
えると液状になる化合物である。
【0017】一般式(Y)中、Ay1は窒素原子またはリン
原子を表し、窒素原子であることが好ましい。
【0018】Ry1〜Ry4はそれぞれ独立にアルキル基(直
鎖状であっても分岐鎖状であっても、また環式であって
もよく、好ましくは炭素原子数1〜24、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル
基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチル
ヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テ
トラデシル基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル
基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)またはア
ルケニル基(直鎖状であっても分岐鎖状であってもよ
く、好ましくは炭素原子数2〜24、例えばビニル基、ア
リル基等)を表し、好ましくは炭素原子数3〜18のアル
キル基または炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、
より好ましくは炭素原子数4〜6のアルキル基である。
これらは置換されていても無置換でもよい。
【0019】X1はアニオンを表し、ハロゲン化物イオン
(I-、Cl-、Br-等)、NCS-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3S
O2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CF3SO3 -、CF3COO-、Ph4B-
(CF3CF2SO2)3C-等が好ましい例として挙げられる。より
好ましくはハロゲン化物イオン、(CF3SO2)2N-またはBF4
-である。
【0020】一般式(Y)により表される化合物は、Ry1
〜Ry4を介して多量体を形成してもよく、その場合2〜
4量体を形成するのが好ましい。
【0021】Ry1〜Ry4のうち2つ以上が互いに連結して
Ay1を含む非芳香族環を形成してもよく、その環は単
環、ビシクロ環またはスピロ環であってよい。その場
合、一般式(Y)により表される化合物は、さらに下記
一般式(Y-A)、(Y-B)または(Y-C):
【化6】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry5
よびRy6はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル
基またはアルケニル基を表し、Qy1およびQy3はそれぞれ
独立に2価連結基を表し、Qy2は3価連結基を表し、X1
はアニオンを表す。)により表されるのが好ましい。
【0022】Qy1、Qy2およびQy3を含む非芳香族環は5
〜20員環であるのが好ましく、5〜15員環であるのがよ
り好ましい。
【0023】Qy1およびQy3は、-CH=CH-、-CH=N-、-N=N
-、-ON=N-、-COO-、-COS-、-CONH-、-COCH2-、-OCH2-、
-CH2NH-、-(CH2)n-(-CH2-、-CH2CH2-等)、-(CH2CH2O)
n-、-CO-、-O-、-S-、-NH-、下記一般式(Ya-1):
【化7】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry7
よびRy8はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル
基またはアルケニル基を表し、X1はアニオンを表す。)
により表わされる連結基、あるいはこれら連結基の組み
合わせおよび/または繰り返しからなる連結基であるの
が好ましい。なかでも一般式(Ya-1)により表わされる連
結基と、-(CH2)n-および/または-(CH2CH2O)n-との組み
合わせからなる連結基がより好ましい。なお、nは1〜2
0の整数である。
【0024】Qy2は3価連結基を表し、好ましい例とし
ては下記一般式(Yb-1)または(Yb-2):
【化8】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry9
置換または無置換のアルキル基またはアルケニル基を表
し、Ry10は置換または無置換のアルキル基またはアルケ
ニル基、あるいは水素原子を表し、X1はアニオンを表
す。)により表わされる連結基が挙げられる。
【0025】一般式(Y-A)、(Y-C)中のQy1、Qy3が一般式
(Ya-1)により表される場合および一般式(Y-B)中のQy2
一般式(Yb-1)により表される場合は、化合物中に複数の
Ay1が含まれるが、それらは同じでも異なっていても良
い。
【0026】Ry1〜Ry10およびQy1〜Qy3は置換基を有し
ていてもよい。置換基はハロゲン原子(F、Cl、Br、I
等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ
基、メトキシエトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノ
キシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチ
オ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベ
ンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、
ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキ
シ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基
(メタンスルホニリオキシ基、トルエンスルホニルオキ
シ基等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、
アミド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミド基
等)、カルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル基、
N-フェニルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプ
ロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル
基等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複
素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)
またはアルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)で
あるのが好ましく、アルキル基、アルコキシ基またはニ
トリル基であるのがより好ましい。
【0027】以下に本発明の一般式(Y)で表される化
合物の具体例(Y1)〜(Y38)を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】(B)ヨウ素塩および/またはヨウ素 本発明の電解質組成物は、ヨウ素塩および/またはヨウ
素を含有することが好ましい。一般式(Y)により表さ
れる化合物がヨウ素塩でない場合は、WO95/18456号、特
開平8-259543号、電気化学,第65巻,11号,923頁(199
7年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリ
ウム塩、トリアゾニウム塩等の既知ヨウ素塩を併用する
ことが好ましい。一般式(Y)で表される化合物がヨウ
素塩である場合(X1=I-)は、ヨウ素塩以外の塩を併用
してもよい。
【0042】一般式(Y)により表される化合物に併用
して用いる塩の含有量は電解質組成物全体に対して10重
量%以上であるのが好ましく、50重量%以上95重量%以
下であるのがより好ましい。
【0043】電解質組成物にヨウ素を添加する場合、ヨ
ウ素の含有量は、電解質組成物全体に対して0.1重量%
以上20重量%以下であるのが好ましく、0.5重量%以上
5重量%以下であるのがより好ましい。
【0044】一般式(Y)により表される化合物に併用
して用いる塩は、下記一般式(Y-a):
【化22】 (ただし、Ry11は置換または無置換のアルキル基または
アルケニル基を表し、Qy 4は窒素原子とともに5または
6員環の芳香族カチオンを形成しうる原子団を表し、X2
はアニオンを表す。)により表される化合物であるのが
好ましい。このとき、一般式(Y)中のX1および一般式(Y
-a)中のX2の少なくともいずれかがヨウ化物イオンであ
るのが特に好ましい。一般式(Y-a)により表される塩はQ
y4またはRy 11を介して多量体を形成してもよい。
【0045】Qy4は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸
素原子および/または硫黄原子により構成されるのが好
ましい。
【0046】Qy4により形成される6員環は、ピリジン
環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環またはト
リアジン環であるのが好ましく、ピリジン環であるのが
より好ましい。
【0047】Qy4により形成される5員環は、オキサゾ
ール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール
環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジ
アゾール環またはトリアゾール環であるのが好ましく、
オキサゾール環、チアゾール環またはイミダゾール環で
あるのがより好ましく、オキサゾール環またはイミダゾ
ール環であるのが特に好ましい。
【0048】以下、一般式(Y)により表される化合物
に併用して用いる塩の具体例(YD-1)〜(YD-36)を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
【化23】
【0050】
【化24】
【0051】
【化25】
【0052】
【化26】
【0053】
【化27】
【0054】
【化28】
【0055】(C)溶媒 溶媒としては、低粘度でイオン移動度が高いか、高誘電
率で有効キャリアー濃度を高めるか、あるいはその両方
であるために、優れたイオン伝導性を発現できるものが
好ましい。このような溶媒として、カーボネート化合物
(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート
等)、複素環化合物(3-メチル-2-オキサゾリジノン
等)、エーテル化合物(ジオキサン、ジエチルエーテル
等)、鎖状エーテル類(エチレングリコールジアルキル
エーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、
ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール
類(メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
アルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキル
エーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル
等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(ア
セトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニ
トリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、非プ
ロトン性極性溶媒(ジメチルスルフォキシド(DMSO)、
スルフォラン等)、水等が挙げられる。これらの溶媒は
二種以上を混合して用いてもよい。溶媒含量は電解質組
成物全体に対して10重量%以下であるのが好ましい。
【0056】(D)その他 本発明の電解質組成物は、ポリマー添加、オイルゲル化
剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋
反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用するこ
ともできる。
【0057】ポリマー添加によりゲル化させる場合は、
Polymer Electrolyte Reviews-1および2(J. R. MacCal
lumとC. A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENC
E)に記載された化合物を使用することができ、ポリアク
リロニトリルまたはポリフッ化ビニリデンを使用するの
が好ましい。
【0058】オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場
合は、J. Chem. Soc. Japan, Ind.Chem. Soc., 46779
(1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J. Ch
em.Soc., Chem. Commun., 390 (1993)、Angew. Chem. I
nt. Ed. Engl., 35, 1949(1996)、Chem. Lett., 885,
(1996)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 545, (1997)
等に記載された化合物を使用することができ、アミド構
造を有する化合物を用いるのが好ましい。
【0059】ゲル電解質を多官能モノマー類の重合によ
って形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電
解質および溶媒から溶液を調製し、キャスト法、塗布
法、浸漬法、含浸法などの方法により色素を担持した電
極上にゾル状の電解質層を形成し、その後ラジカル重合
することによってゲル化させる方法が好ましい。多官能
モノマー類はエチレン性不飽和基を2個以上有する化合
物であることが好ましく、ジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジメタクリレート、エチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアク
リレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート等が好ましい。
【0060】ゲル電解質は上記多官能モノマー類の他に
単官能モノマーを含む混合物の重合によって形成しても
よい。単官能モノマーとしては、アクリル酸またはα-
アルキルアクリル酸(メタクリル酸等)のエステルまた
はアミド(N-イソプロピルアクリルアミド、アクリルア
ミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン
酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムク
ロライド、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアク
リレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレ
ート、2-メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシル
アクリレート等)、ビニルエステル(酢酸ビニル等)、
マレイン酸またはフマル酸のエステル(マレイン酸ジメ
チル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等)、マ
レイン酸、フマル酸またはp-スチレンスルホン酸のナト
リウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジ
エン類(ブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン
等)、芳香族ビニル化合物(スチレン、p-クロルスチレ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム等)、含窒素複素環
を有するビニル化合物、4級アンモニウム塩を有するビ
ニル化合物、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチ
ルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸
ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロ
ライド、ビニルアルキルエーテル類(メチルビニルエー
テル等)、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテ
ン、N-フェニルマレイミド等を使用することができる。
【0061】モノマー総量に占める多官能モノマーの重
量組成は0.5〜70重量%であることが好ましく、1.0〜50
重量%であることがより好ましい。
【0062】上述のモノマーは、大津隆行・木下雅悦共
著「高分子合成の実験法」(化学同人)や大津隆行「講
座重合反応論1ラジカル重合(I)」(化学同人)に記
載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合によ
って重合することができる。本発明で使用するゲル電解
質用モノマーは加熱、光または電子線によって、あるい
は電気化学的にラジカル重合させることができるが、特
に加熱によってラジカル重合させるのが好ましい。この
場合、好ましく使用される重合開始剤は2,2'-アゾビス
イソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバ
レロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプ
ロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキ
シド等の過酸化物系開始剤等である。重合開始剤の好ま
しい添加量はモノマー総量に対し0.01〜20重量%であ
り、より好ましくは0.1〜10重量%である。
【0063】ゲル電解質に占めるモノマーの重量組成範
囲は0.5〜70重量%であることが好ましく、より好まし
くは1.0〜50重量%である。
【0064】ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化
させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマーお
よび架橋剤を併用することが好ましい。この場合、好ま
しい反応性基は、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾ
ール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン
環、ピペリジン環、ピペラジン環等の含窒素複素環であ
り、好ましい架橋剤は窒素原子が求核攻撃できる官能基
を2つ以上有する化合物(求電子剤)であり、例えば2
官能以上のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキ
ル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イ
ソシアネート等である。
【0065】本発明の電解質には、金属ヨウ化物(Li
I、NaI、KI、CsI、CaI2等)、金属臭化物(LiBr、NaB
r、KBr、CsBr、CaBr2等)、4級アンモニウム臭素塩
(テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウ
ムブロマイド等)、金属錯体(フェロシアン酸塩−フェ
リシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン
等)、イオウ化合物(ポリ硫化ナトリウム、アルキルチ
オール−アルキルジスルフィド等)、ビオロゲン色素、
ヒドロキノン−キノン等を添加することができる。これ
らは混合して用いてもよい。
【0066】また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc.,
80, (12), 3157-3171 (1997)に記載されているようなt-
ブチルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基
性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加
する場合の好ましい濃度範囲は0.05〜2Mである。
【0067】(E)電荷移動層の形成方法 本発明の電解質組成物からなる電荷移動層は、キャスト
法、塗布法、浸漬法、含浸法、浸透法等により形成でき
る。
【0068】塗布法の場合、本発明の一般式(Y)によ
り表される化合物、および任意に用いる溶媒、他の塩等
からなる塗布液に塗布性改良剤(レベリング剤等)等の
添加剤を添加して均一な電解質溶液を調整し、これをス
ピンコート法、ディップコート法、エアーナイフコート
法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバ
ーコート法、グラビアコート法、米国特許第2681294号
記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート
法、米国特許第2761418号、同3508947号、同2761791号
記載の多層同時塗布方法等により塗布し、その後加熱し
て電荷移動層を形成することができる。加熱温度は色素
の耐熱温度等により適当に選択されるが、好ましくは10
〜150℃であり、より好ましくは10〜100℃である。その
加熱時間は加熱温度等にもよるが、5分〜72時間程度で
ある。
【0069】酸化還元対を生成させるために電解質にヨ
ウ素等を導入する場合、前述の電解質溶液に添加する方
法、電荷移動層の形成後、これをヨウ素等と共に密閉容
器内に置き電解質中に拡散させる手法等により導入する
ことができる。また、後述の対極にヨウ素等を塗布ある
いは蒸着し、光電変換素子を組み立てたときに電荷移動
層中に導入することも可能である。
【0070】〔2〕光電変換素子 本発明の光電変換素子は、電荷移動層に上記電解質組成
物を有するものである。好ましくは図1に示すように、
導電層10、感光層20、電荷移動層30、対極導電層40の順
に積層し、前記感光層20を色素22によって増感された半
導体微粒子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に充填さ
れた電解質23とから構成する。電解質23は、電荷移動層
30に用いる材料と同じ成分からなる。また光電変換素子
に強度を付与するため、導電層10側および/または対極
導電層40側に、基板50を設けてもよい。以下本発明で
は、導電層10および任意で設ける基板50からなる層を
「導電性支持体」、対極導電層40および任意で設ける基
板50からなる層を「対極」と呼ぶ。この光電変換素子を
外部回路に接続して仕事をさせるようにしたものが光電
気化学電池である。なお、図1中の導電層10、対極導電
層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導
電層40a、透明基板50aであっても良い。
【0071】図1に示す本発明の光電変換素子におい
て、色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光
層20に入射した光は色素22等を励起し、励起された色素
22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21の伝導帯
に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。この
とき色素22等の分子は酸化体となっている。光電気化学
電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事を
しながら対極導電層40および電荷移動層30を経て色素22
等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極
として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感
光層20との境界、感光層20と電荷移動層30との境界、電
荷移動層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構
成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層
について詳細に説明する。
【0072】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導
電層および基板の2層からなる。強度や密封性が十分に
保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必
要でない。
【0073】(1)の場合、導電層として金属のように
十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。
【0074】(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導
電層を有する基板を使用することができる。好ましい導
電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニ
ウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、導電性金属酸
化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素
をドープしたもの等)等が挙げられる。導電層の厚さは
0.02〜10μm程度が好ましい。
【0075】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに
好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特
に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0076】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が
特に好ましい。
【0077】透明導電性支持体としては、ガラスまたは
プラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物か
らなる透明導電層を塗布または蒸着等により形成したも
のが好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化
スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガ
ラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ま
しい。また低コストでフレキシブルな光電変換素子また
は太陽電池とするには、透明ポリマーフィルムに導電層
を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルム
の材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン
(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカー
ボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフ
ォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエ
ーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化
フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、
導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチック
の支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0078】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウムおよび銀が好ましい。金属リ
ードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、そ
の上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜から
なる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層
を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設
置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の
低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%と
する。
【0079】(B)感光層 色素により増感された半導体微粒子を含む感光層におい
て、半導体微粒子はいわゆる感光体として作用し、光を
吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。色素増
感された半導体微粒子では、光吸収およびこれによる電
子および正孔の発生は主として色素において起こり、半
導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する役割を担
う。
【0080】(1)半導体微粒子 半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウムのよう
な単体半導体、III-V系化合物半導体、金属のカルコゲ
ニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、または
ペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウ
ム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用
することができる。
【0081】好ましい金属のカルコゲニドとして、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタ
ンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモ
ンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレ
ン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の
化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カ
ドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−イン
ジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げ
られる。
【0082】本発明に用いる半導体の好ましい具体例
は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Z
nS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuIn
S2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、Sn
O2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、
CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2また
はNb 2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0083】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、
製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム
等の観点からは多結晶が好ましい。
【0084】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好
ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好
ましい。
【0085】粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混
合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm
以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率
を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度
の半導体粒子を混合してもよい。
【0086】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018
頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDe
gussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解
により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0087】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)
に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さ
らにゾル-ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ
・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第
12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーン
サイドらのケミカル・マテリアルズ,第10巻,第9号,
2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0088】(2)半導体微粒子層 半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体
微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に
塗布する方法の他に、前述のゾル-ゲル法等を使用する
こともできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液
の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式
の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法として
は、塗布法、印刷法が代表的である。
【0089】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル-ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは
半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそ
のまま使用する方法等が挙げられる。
【0090】分散媒としては、水または各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢
酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポ
リマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助
剤として用いてもよい。
【0091】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエ
アーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションと
メータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58
-4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許268
1294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライド
ホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ま
しい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好まし
い。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグ
ラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリー
ン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェッ
ト厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0092】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例え
ば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法、キャス
ト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液
(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイ
ヤーバー法またはスピン法が好ましく、均一な膜にする
ことが可能である。なおある程度の塗布量があれば低粘
度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能
である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗
布速度等に応じて、適宜湿式製膜方法を選択すればよ
い。
【0093】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の
違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が
異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加
剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効
である。多層塗布には、エクストルージョン法またはス
ライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場
合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次
重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスク
リーン印刷法も好ましく使用できる。
【0094】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色
素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは
0.1〜100μmである。光電気化学電池に用いる場合、半
導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μm
がより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり塗布
量は0.5〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
【0095】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、
塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるため
に、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以
上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度
である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い
支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くた
め、好ましくない。またコストの観点からもできる限り
低温であるのが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以
下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱
処理等により可能となる。
【0096】加熱処理後半導体微粒子の表面積を増大さ
せたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導
体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化
チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液
を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0097】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面
積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、
さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に
制限はないが、通常1000倍程度である。
【0098】(3)色素 感光層に使用する色素は金属錯体色素、フタロシアニン
系の色素またはメチン色素が好ましい。光電変換の波長
域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二
種類以上の色素を混合することができる。また目的とす
る光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する
色素とその割合を選ぶことができる。
【0099】こうした色素は半導体微粒子の表面に対す
る適当な結合基(interlocking group)を有しているの
が好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、SO3H
基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、または
オキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレ
ートおよびα-ケトエノレートのようなπ伝導性を有す
るキレート化基が挙げられる。なかでもCOOH基、-P(O)
(OH)2基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基は
アルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内
塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場合、
メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成す
る場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合
基としてもよい。
【0100】以下、感光層に用いる好ましい色素を具体
的に説明する。
【0101】(a)金属錯体色素 色素が金属錯体色素である場合、金属原子はルテニウム
Ruであるのが好ましい。ルテニウム錯体色素としては、
例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365
号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7
-249790号等に記載の錯体色素が挙げられる。
【0102】さらに本発明で用いるルテニウム錯体色素
は下記一般式(I): (A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(I) により表されるのが好ましい。一般式(I)中、A1はC
l、SCN、H2O、Br、I、CN、NCOおよびSeCNからなる群か
ら選ばれた配位子を表し、pは0〜2の整数であり、好
ましくは2である。B-a、B-bおよびB-cはそれぞれ独立
に下記式B-1〜B-8:
【化29】 (ただし、R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数
1〜12の置換または無置換のアルキル基、炭素原子数7
〜12の置換または無置換のアラルキル基、あるいは炭素
原子数6〜12の置換または無置換のアリール基を表し、
アルキル基およびアラルキル基のアルキル部分は直鎖状
でも分岐状でもよく、またアリール基およびアラルキル
基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集合)で
もよい。)により表される化合物から選ばれた有機配位
子を表す。B-a、B-bおよびB-cは同一でも異なっていて
も良い。
【0103】金属錯体色素の好ましい具体例を以下に示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
【化30】
【0105】
【化31】
【0106】
【化32】
【0107】(b)メチン色素 本発明で感光層に使用するメチン色素としては、下記一
般式(II)、(III)、(IV)または(V)により表さ
れる色素が好ましい。
【0108】1.一般式(II)により表される色素
【化33】 一般式(II)中、R21およびR25はそれぞれ独立に水素原
子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、R
22〜R24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表
し、R21〜R25は互いに結合して環を形成してもよく、L
11およびL12はそれぞれ独立に窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、セレン原子またはテルル原子を表し、n1および
n3はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、n2は1〜6の
整数を表す。この色素は分子全体の電荷に応じて対イオ
ンを有してもよい。
【0109】上記アルキル基、アリール基および複素環
基は置換基を有していてもよい。アルキル基は直鎖であ
っても分岐鎖であってもよく、またアリール基および複
素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)でもよ
い。またR21〜R25により形成される環は置換基を有して
いてもよく、また単環でも縮合環でもよい。
【0110】2.一般式(III)により表される色素
【化34】 一般式(III)中、Zaは含窒素複素環を形成するために
必要な非金属原子群を表し、R31はアルキル基またはア
リール基を表す。Qaは一般式(III)で表される化合物
がメチン色素として機能するために必要なメチン基また
はポリメチン基を表し、Qaを介して多量体を形成しても
よい。X3は対イオンを表し、n4は0〜10の整数である。
【0111】上記Zaで形成される含窒素複素環は置換基
を有していてもよく、単環であっても縮合環であっても
よい。またアルキル基およびアリール基は置換基を有し
ていてもよく、アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、
またアリール基は単環でも多環(縮合環、環集合)でも
よい。
【0112】一般式(III)により表される色素のう
ち、下記一般式(III-a)〜(III-d):
【化35】 (ただし、R41〜R45、R51〜R54、R61〜R63、およびR71
〜R73はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリー
ル基または複素環基を表し、L21、L22、L31、L32、L41
〜L45およびL51〜L56はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄
原子、セレン原子、テルル原子、-CRR'-または-NR-(R
およびR'は水素原子、アルキル基、アリール基または複
素環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよ
い。)を表し、L3 3はO-、S-、Se-、Te-または-N-Rを表
す。Y11、Y12、Y21、Y22、Y31およびY41はそれぞれ独立
に置換基を表し、n5、n6およびn7はそれぞれ独立に1〜
6の整数を表す。)により表される色素がより好まし
い。
【0113】一般式(III-a)〜(III-d)により表され
る化合物は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有して
いてもよく、上記アルキル基、アリール基および複素環
基は置換基を有していてもよく、またアルキル基は直鎖
でも分岐鎖でもよく、さらにアリール基および複素環基
は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。
【0114】以上のようなポリメチン色素の具体例は、
M.Okawara,T. Kitao,T.Hirasima, M.Matuoka著のOrgani
c Colorants(Elsevier)等に詳しく記載されている。
【0115】3.一般式(IV)により表される色素
【化36】 一般式(IV)中、Qbは5または6員の含窒素ヘテロ環を
形成するために必要な原子団を表し、Zbは3〜9員環の
いずれかを形成するために必要な原子団を表し、L61、L
62、L63、L64およびL65はそれぞれ独立に任意に置換基
を有するメチン基を表し、n8は0〜4の整数であり、n9
は0または1であり、R81は置換基を表し、X4は電荷を
中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表
す。
【0116】Qbにより形成される環は縮環していてもよ
く、また置換基を有していてもよい。含窒素ヘテロ環の
好ましい例としては、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキ
サゾール環、ベンゾセレナゾール環、ベンゾテルラゾー
ル環、2-キノリン環、4-キノリン環、ベンゾイミダゾー
ル環、チアゾリン環、インドレニン環、オキサジアゾー
ル環、チアゾール環、イミダゾール環が挙げられる、さ
らに好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾー
ル環、ベンズイミダゾール環、ベンゾセレナゾール環、
2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環であり、
特に好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾー
ル環、2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環で
ある。
【0117】含窒素ヘテロ環上の置換基の例としては、
カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、ハロゲ
ン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基
(メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、
アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキル基(メチ
ル基、エチル基、シクロプロピル基、シクロへキシル
基、トリフルオロメチル基、メトキシエチル基、アリル
基、ベンジル等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エ
チルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニ
ル基等)、アリール基、複素環基(フェニル基、チエニ
ル基、トルイル基、クロロフェニル基等)等が挙げられ
る。
【0118】Zbは炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄
原子および水素原子から選ばれる原子により構成され
る。Zbにより形成される環は、好ましくは4〜6個の炭
素により骨格が形成される環であり、より好ましくは以
下(ア)〜(オ):
【化37】 のいずれかであり、最も好ましくは(ア)である。
【0119】L61、L62、L63、L64およびL65がそれぞれ
独立に任意に有する置換基としては、置換または無置換
のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜12、さらに好
ましくは炭素原子数1〜7であり、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル
基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基
等)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素
原子数6、8ないし10、より好ましくは炭素原子数6な
いし8のものであり、例えばフェニル基、トルイル基、
クロロフェニル基、o-カルボキシフェニル基等)、複素
環基(例えばピリジル基、チエニル基、フラニル基、バ
ルビツール酸等)、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭
素原子等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキ
シ基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数1〜12、よ
り好ましくは炭素原子数6〜12のものであり、例えばジ
フェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、4-アセチ
ルピペラジン-1-イル基等)、オキソ基等が挙げられ
る。これらの置換基は互いに連結してシクロペンテン
環、シクロヘキセン環、スクアリリウム環等の環を形成
してもよく、助色団と環を形成してもよい。なおn8は0
〜4の整数であり、好ましくは0〜3である。またn9は
0または1である。
【0120】置換基R81は好ましくは芳香族基(置換基
を有してもよい)または脂肪族基(置換基を有してもよ
い)である。芳香族基の炭素原子数は好ましくは1〜1
6、より好ましくは5〜6である。脂肪族基の炭素原子
数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。
無置換の脂肪族基および芳香族基としては、メチル基、
エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ナ
フチル基等が挙げられる。
【0121】色素が陽イオンまたは陰イオンであるか、
あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その助色
団および置換基に依存し、分子全体の電荷は対イオンX4
により中和される。対イオンX4として典型的な陽イオン
は無機または有機のアンモニウムイオン(テトラアルキ
ルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)および
アルカリ金属イオンであり、一方、陰イオンは無機また
は有機の陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン化
物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオ
ン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオ
ン(p-トルエンスルホン酸イオン、p-クロロベンゼンス
ルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(1,
3-ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5-ナフタレンジスル
ホン酸イオン、2,6-ナフタレンジスルホン酸イオン
等)、アルキル硫酸イオン(メチル硫酸イオン等)、硫
酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テト
ラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオ
ン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等である。
【0122】さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性
ポリマー、あるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用
いてもよいし、例えばビスベンゼン-1,2-ジチオラトニ
ッケル(III)のような金属錯イオンを使用してもよい。
【0123】4.一般式(V)により表される色素
【化38】 一般式(V)中、Qcは少なくとも4官能以上の芳香族基
を表し、L71およびL72はそれぞれ独立に硫黄原子、セレ
ン原子またはCRR'(ただし、RおよびR'はそれぞれ独立
に水素原子またはアルキル基であり、同じでも異なって
いてもよい。)を表し、同一でも異なっていも良く、好
ましくはそれぞれ独立に硫黄原子またはCRR'であり、よ
り好ましくはCRR'である。またR91およびR92はそれぞれ
独立にアルキル基または芳香族基を表し、Y51およびY52
はそれぞれ独立にポリメチン色素を形成するのに必要な
非金属原子群を表す。X5は対イオンを表す。
【0124】芳香族基Qcの例としては、ベンゼン、ナフ
タレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化
水素から誘導されるものや、アントラキノン、カルバゾ
ール、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、キサ
ンテン、チアントレン等の芳香族へテロ環から誘導され
るものが挙げられ、これらは連結部分以外に置換基を有
していても良い。Qcは好ましくは芳香族炭化水素の誘導
基であり、より好ましくはベンゼンまたはナフタレンの
誘導基である。
【0125】Y51およびY52によりいかなるメチン色素を
形成することも可能であるが、好ましくはシアニン色
素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシ
アニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、ス
チリル色素等が挙げられる。シアニン色素には色素を形
成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環やクロコニ
ウム環を形成したものも含まれる。これらの色素の詳細
については、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-C
yanine Dyes and Related Compounds」,John Wiley &
Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Stur
mer著「Heterocyclic Compounds-Special Topics in He
terocyclic Chemistry」,第18章,第14節,482〜515頁
等に記載されている。またシアニン色素、メロシアニン
色素およびロダシアニン色素は、米国特許第5,340,694
号,第21〜22頁の(XI)、(XII)および(XIII)に示
されているものが好ましい。またY51およびY5により形
成されるポリメチン色素の少なくともいずれか一方のメ
チン鎖部分にスクアリリウム環を有するものが好まし
く、両方に有するものがさらに好ましい。
【0126】R91およびR92は芳香族基または脂肪族基で
あり、これらは置換基を有していてもよい。芳香族基の
炭素原子数は好ましくは5〜16、より好ましくは5〜6
である。脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1〜10、よ
り好ましくは1〜6である。無置換の脂肪族基、芳香族
基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブ
チル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0127】R91、R92、Y51およびY52のうち少なくとも
一つは酸性基を有するのが好ましい。ここで酸性基とは
解離性のプロトンを有する置換基であり、例としてはカ
ルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ホウ酸基等
が挙げられ、好ましくはカルボン酸基である。またこの
ような酸性基上のプロトンは解離していても良い。
【0128】一般式(II)〜(V)により表されるポリ
メチン色素の具体例(1)〜(43)およびS-1〜S-42を
以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0129】
【化39】
【0130】
【化40】
【0131】
【化41】
【0132】
【化42】
【0133】
【化43】
【0134】
【化44】
【0135】
【化45】
【0136】
【化46】
【0137】
【化47】
【0138】
【化48】
【0139】
【化49】
【0140】
【化50】
【0141】
【化51】
【0142】
【化52】
【0143】
【化53】
【0144】
【化54】
【0145】
【化55】
【0146】
【化56】
【0147】
【化57】
【0148】
【化58】
【0149】
【化59】
【0150】一般式(II)、(III)で表される化合物
は、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine D
yes and Related Compounds」,John Wiley & Sons社,
ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Sturmer著「H
eterocyclic Compounds-Special Topics in Heterocycl
ic Chemistry」,第18章,第14節,第482〜515頁,John
Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1977年
刊、「Rodd's Chemistryof Carbon Compounds」,2nd.E
d., vol.IV, part B,第15章,第369〜422頁,Elsevier
Science Publishing Company Inc.社,ニューヨーク,
1977年刊、英国特許第1,077,611号等に記載の方法によ
り合成することができる。
【0151】一般式(IV)により表される化合物は、Dy
es and Pigments,第21巻,227〜234頁等の記載を参考
にして合成することができる。また一般式(V)により
表される化合物は、Ukrainskii Khimicheskii Zhurna
l,第40巻,第3号,第253〜258頁、Dyes and Pigment
s,第21巻,第227〜234頁およびこれらの文献中に引用
された文献の記載を参考にして合成することができる。
【0152】(4)半導体微粒子への色素の吸着 半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素の溶液中に
良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸
漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法
を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ
法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。な
お浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、
特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して
行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤー
バー法、スライドホッパ法、エクストルージョン法、カ
ーテン法、スピン法、スプレー法等があり、印刷方法と
しては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷
等がある。溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択でき
る。例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、
t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類
(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロ
ピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素
(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ク
ロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド
類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミ
ド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリ
ジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸
エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチ
ル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(ア
セトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素
(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)や
これらの混合溶媒が挙げられる。
【0153】色素の溶液の粘度についても、半導体微粒
子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500Poi
se)ではエクストルージョン法の他に各種印刷法が適当
であり、また低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスラ
イドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン法が適当
であり、いずれも均一な膜にすることが可能である。
【0154】このように色素の塗布液の粘度、塗布量、
導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素の吸着方
法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間
は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0155】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱にな
るため、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好まし
い。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、
アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好
ましい。また色素の吸着量を増大させるため、吸着前に
加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒
子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに
40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
【0156】色素の全使用量は、導電性支持体の単位表
面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また色
素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g
当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このような色
素の吸着量とすることにより、半導体における増感効果
が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増
感効果が不十分となり、また色素が多すぎると、半導体
に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる
原因となる。
【0157】光電変換の波長域をできるだけ広くすると
ともに変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合
することもできる。この場合、光源の波長域と強度分布
に合わせるように、混合する色素およびその割合を選ぶ
のが好ましい。
【0158】会合のような色素同士の相互作用を低減す
る目的で、無色の化合物を半導体微粒子に共吸着させて
もよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシ
ル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコ
ール酸)等が挙げられる。また紫外線吸収剤を併用する
こともできる。
【0159】余分な色素の除去を促進する目的で、色素
を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を
処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、
4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられ
る。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有
機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0160】(C)電荷移動層 電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有す
る層である。電荷移動層に本発明の電解質組成物を用い
るが、さらに固体電解質や正孔(ホール)輸送材料を併
用することもできる。
【0161】電荷移動層を形成するには、上記と同様
に、キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法等により感光
層上に電解質溶液を塗布し、次いで加熱反応により架橋
すればよい。好ましい態様によれば、図1に示すよう
に、感光層20中の空隙を完全に埋める量より多い電解質
を含有する溶液を塗布するので、得られる電解質層は実
質的に導電性支持体の導電層10との境界から対極導電層
40との境界までの間に存在すると言える。ここで色素増
感半導体を含む感光層20との境界から対極40との境界ま
での間に存在する電解質層を電荷移動層30とすると、そ
の厚さは0.001〜200μmであるのが好ましく、0.1〜100
μmであるのがより好ましく、0.1〜50μmであるのが特
に好ましい。電荷移動層30が0.001μmより薄いと感光層
中の半導体微粒子21が対極導電層40に接触するおそれが
あり、また200μmより厚いと電荷の移動距離が大きくな
りすぎ、素子の抵抗が大きくなる。なお感光層20+電荷
移動層30の厚さ(実質的に電解質組成物の厚さに等し
い)については、0.1〜300μmが好ましく、1〜130μm
がより好ましく、2〜75μmが特に好ましい。
【0162】(D)対極 対極は、光電変換素子を光電気化学電池としたとき、光
電気化学電池の正極として作用するものである。対極は
前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極
導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板か
ら構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材と
しては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウ
ム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性金
属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフ
ッ素をドープしたもの等)が挙げられる。対極の好まし
い支持基板の例は、ガラスまたはプラスチックであり、
これに上記の導電剤を塗布または蒸着して用いる。対極
導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好
ましい。対極導電層が金属製である場合は、その厚さは
好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは5nm〜
3μmの範囲である。
【0163】導電性支持体と対極のいずれか一方または
両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達する
ためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質
的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、
導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入
射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性
質を有するのが好ましい。このような対極としては、金
属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラス
チック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0164】対極を設ける手順としては、(イ)電荷移動
層を形成した後でその上に設ける場合と、(ロ)色素増感
半導体微粒子の層の上にスペーサーを介して対極を配置
した後でその空隙に電解質溶液を充填する場合の2通り
ある。(イ)の場合、電荷移動層上に直接導電材を塗布、
メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する
基板の導電層側を貼り付ける。また(ロ)の場合、色素増
感半導体微粒子層の上にスペーサーを介して対極を組み
立てて固定し、得られた組立体の開放端を電解質溶液に
浸漬し、毛細管現象または減圧を利用して色素増感半導
体微粒子層と対極との空隙に電解質溶液を浸透させる。
また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の
場合には、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用い
るのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質およ
び設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は
導電性支持体の場合と同じである。
【0165】(E)その他の層 電極として作用する導電性支持体および対極の一方また
は両方に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けても
良い。このような機能性層を多層に形成する場合、同時
多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点
からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法で
は、生産性および塗膜の均一性を考えた場合、スライド
ホッパー法やエクストルージョン法が適している。これ
らの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼
り付け法等を用いることができる。
【0166】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図8に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0167】図2は、透明導電層10aと透明対極導電層4
0aとの間に、感光層20と、電荷移動層30とを介在させた
ものであり、両面から光が入射する構造となっている。
図3は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さ
らに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電
荷移動層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに
支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入
射する構造となっている。図4は、支持基板50上にさら
に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、さらに電荷移動層30と透明対極導電層40aとを設
け、一部に金属リード11を設けた透明基板50aを、金属
リード11側を内側にして配置したものであり、対極側か
ら光が入射する構造である。図5は、透明基板50a上に
一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設け
たものの間に下塗り層60と感光層20と電荷移動層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造であ
る。図6は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下
塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷移動層30
および対極導電層40を設け、この上に支持基板50を配置
したものであり導電層側から光が入射する構造である。
図7は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60を
介して感光層20を設け、さらに電荷移動層30および透明
対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置した
ものであり、対極側から光が入射する構造である。図8
は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60
を介して感光層20を設け、さらに電荷移動層30および透
明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置し
たものであり、両面から光が入射する構造となってい
る。
【0168】〔3〕光電気化学電池 本発明の光電気化学電池は、上記光電変換素子に外部回
路で仕事をさせるようにしたものである。光電気化学電
池は構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側
面をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電
性支持体および対極にリードを介して接続される外部回
路自体は公知のもので良い。
【0169】〔4〕色素増感型太陽電池 本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池に適用する場
合、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素
子の構造と同じである。以下、本発明の光電変換素子を
用いた太陽電池のモジュール構造について説明する。
【0170】本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太
陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造を
とりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セ
ラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を
充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から
光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の
透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支
持基板側から光を取り込む構造とすることも可能であ
る。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブスト
レートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュー
ル構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられ
る基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明
の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境
により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0171】代表的なスーパーストレートタイプあるい
はサブストレートタイプのモジュールは、片側または両
側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定
間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード
またはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に
集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り
出される構造となっている。基板とセルの間には、セル
の保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニ
ルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料
をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、
外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆
う必要のない場所において使用する場合には、表面保護
層を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充
填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片
側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周
囲は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するた
め金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基
板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、
セルそのものや支持基板、充填材料および封止材料に可
撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成する
こともできる。
【0172】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロ
ント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上に
セルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料
等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを
乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することがで
きる。
【0173】一方、サブストレートタイプの場合、基板
供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等
で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード
線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバー
を乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することが
できる。
【0174】本発明の光電変換素子を基板一体型モジュ
ール化した構造の一例を図10に示す。図9は、透明な基
板50aの一方の面上に透明な導電層10aを有し、この上に
さらに色素吸着TiO2を含有した感光層20、電荷移動層30
および金属対極導電層40を設けたセルがモジュール化さ
れており、基板50aの他方の面には反射防止層70が設け
られている構造を表す。このような構造とする場合、入
射光の利用効率を高めるために、感光層20の面積比率
(光の入射面である基板50a側から見たときの面積比
率)を大きくした方が好ましい。
【0175】図10に示した構造のモジュールの場合、基
板上に透明導電層、感光層、電荷移動層、対極等が立体
的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択
エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、あるい
はパターン塗布または広幅塗布後のレーザースクライビ
ング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Sola
r Cells, 48, p373-381等に記載)、研削等の機械的手
法等によりパターニングすることで所望のモジュール構
造を得ることができる。
【0176】以下にその他の部材や工程について詳述す
る。
【0177】封止材料としては、耐候性付与、電気絶縁
性付与、集光効率向上、セル保護性(耐衝撃性)向上等
の目的に応じ液状EVA(エチレンビニルアセテート)、
フィルム状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル
樹脂の混合物等、様々な材料が使用可能である。モジュ
ール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性および
防湿性が高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透
明フィラーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げ
ることができる。
【0178】封止材料をセル上に固定するときは、材料
の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合
はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液ま
たはペースト状の材料の場合はロールコート、バーコー
ト、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が
可能である。
【0179】支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を
用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上に
セルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層
することができ、生産性が高い。
【0180】発電効率を上げるために、モジュールの光
取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には
反射防止処理が施される。反射防止処理方法としては、
反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコーテ
ィングする方法がある。
【0181】また、セルの表面をグルービングまたはテ
クスチャリング等の方法で処理することによって、入射
した光の利用効率を高めることが可能である。
【0182】発電効率を上げるためには、光を損失なく
モジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変
換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光
電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射
率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した
後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下
層にAl−MgまたはAl−Tiなどの合金層を反射層として設
ける方法、アニール処理によって最下層にテクスチャー
構造を作る方法等がある。
【0183】また、発電効率を上げるためにはセル間接
続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味
で重要である。セル同士を接続する方法としては、ワイ
ヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接
続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤
を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方
法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布す
る方法等もある。
【0184】ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体
を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出し
ながら前述の方法によって順次セルを形成し、所望のサ
イズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のあ
る素材でシールすることにより電池本体を作製できる。
また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,
p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とす
ることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太
陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもで
きる。
【0185】以上詳述したように、使用目的や使用環境
に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作する
ことができる。
【0186】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明はそれらに限定されるものではない。
【0187】1.一般式(Y)により表される化合物の
合成例 (A)Y1-1の合成 10.1g(100mmol)のトリエチルアミンおよび20.2g(100
mmol)のヨウ化n-ブチルを100mlの酢酸エチル中で2時
間還流した。これを室温に冷却し、析出した結晶を濾集
し、29gのY1-1を得た(融点212℃)。
【0188】(B)Y1-2の合成 4g(14mmol)のY1-1および2.73g(14mmol)のテトラフ
ルオロ硼酸銀を25mlの水中で混合し、濾紙で濾過した濾
液中の水を濃縮し、3.3gのY1-2を油状物として得た。
【0189】(C)Y1-3の合成 3.36g(11.8mmol)のY1-1とN-リチオトリフルオロメタ
ンスルホンイミド3.38g(11.8mmol)を25mlの水に分散
し室温で30分間攪拌した。反応物を塩化メチレンで抽出
し、これを濃縮して6.7gのY1-3を油状物として得た。
【0190】(D)Y4-1の合成 3.24g(10mmol)のトリス[2-(2-メトキシエトキシ)
エチル]アミンと3.12g(20mmol)のヨウ化エチルを20m
lの酢酸エチル中で7時間還流した。これを濃縮し、4.8
gのY4-1を油状物として得た。
【0191】(E)Y4-3の合成 3.3g(6.8mmol)のY4-1と2.0g(6.8mmol)のN-リチオト
リフルオロメタンスルホンイミドを20mlの水中に分散
し、室温で30分間攪拌した。反応物を塩化メチレンで抽
出、濃縮して4.1gのY4-3を油状物として得た。
【0192】(F)Y38-1の合成 25ml(100mmol)のトリ-n-ブチルホスフィンと7ml(11
0mmol)のヨウ化メチルをアセトン中、室温で3日間放置
した。析出した結晶を濾集し32gのY38-1を得た。
【0193】(G)Y38-3の合成 3.44g(10mmol)のY38-1と2.87g(10mmol)のN-リチオ
トリフルオロメタンスルホンイミドを20mlの水中に分散
し、室温で30分間攪拌した。反応物を塩化メチレンで抽
出、濃縮して4.91gのY38-3を油状物として得た。
【0194】(H)その他の一般式(Y)により表される
化合物 上記以外の、本発明の一般式(Y)により表される化合
物も上記化合物と同様に、容易に合成できる。
【0195】2.光電気化学電池の作製 (A)二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステン
レス製容器に二酸化チタン微粒子(日本アエロジル
(株)製、Degussa P-25)15g、水45g、分散剤(アルド
リッチ社製、Triton X-100)1g、直径0.5mmのジルコニ
アビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグライ
ンダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmで2
時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビー
ズをろ過により除去した。得られた分散液中の二酸化チ
タン微粒子の平均粒径は2.5?μmであった。なお粒径は
MALVERN社製のマスターサイザーにて測定した。
【0196】(B)色素を吸着したTiO2電極の作製 フッ素をドープした酸化スズ層を有する導電性ガラス
(旭硝子(株)製TCOガラス-Uを20mm×20mmの大きさに
切断加工したもの、表面抵抗約30Ω/□)の導電面側に
ガラス棒を用いて上記分散液を塗布した。半導体微粒子
の塗布量は13g/m2とした。その際、導電面側の一部(端
から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着
テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ず
つ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日
間風乾した。次にこのガラスを電気炉(ヤマト科学
(株)製マッフル炉FP-32型)に入れ、450℃にて30分間
焼成し、TiO2電極を得た。この電極を取り出し冷却した
後、色素のエタノール溶液(3×10?4mol/l)に3時間
浸漬した。色素の染着したTiO2電極を4-t-ブチルピリジ
ンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥し
た。得られた感光層の厚さは表1に示すとおりであっ
た。色素の塗布量は、色素の種類に応じ、適宜0.1〜10m
モル/m2の範囲から選択した。
【0197】(C)光電気化学電池の作成 上述のように作製した色素増感TiO2電極基板(20mm×20
mm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせ
た。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解
質組成物を染み込ませ、電解質をTiO2電極中に導入し、
図1に示す導電性ガラスからなる導電性支持体層(ガラ
スの透明基板50a上に導電層10aが設層されたもの)、色
素増感TiO2の感光層20、電荷移動層30、白金からなる対
極導電層40およびガラスの透明基板50aを順に積層しエ
ポキシ系封止剤で封止した光電気化学電池を作製した。
ただし、電解質組成物の粘度が高く、毛細管現象を利用
して電解質組成物を染み込ませることが困難な場合は、
電解質組成物を50℃に加温し、これをTiO2電極に塗布し
た後、この電極を減圧下に置いた。電解質組成物が十分
浸透し、電極中の空気が抜けた後、白金蒸着ガラス(対
極)を重ね合わせて、同様に光電気化学電池を作製し
た。
【0198】電解質組成物と色素を変更して上述の工程
を行い、実施例1〜実施例20および比較例1〜比較例7
の光電気化学電池を作製した。各光電気化学電池に用い
た電解質組成物の組成、得られた感光層の厚さ、および
色素をあわせて表1に示す。なお、表1中のBCEはビス
シアノエチルエーテルを表す。
【0199】
【表1】
【0200】3.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ電気(株)製)の光をAM
1.5フィルター(Oriel社製)およびシャープカットフィ
ルター(Kenko L-42)を通すことにより紫外線を含まな
い模擬太陽光を発生させた。この光の強度は87mW/cm2
であった。この模擬太陽光を、45℃にて作製した実施例
および比較例の各光電気化学電池に照射し、発生した電
気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて測定
した。これにより求められた各光電気化学電池の開放電
圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、形状因子(FF)、変
換効率(η)および60℃で50時間、暗所保存後の短絡電
流密度の低下率を表2に示す。
【0201】
【表2】
【0202】表2より、電解質に有機溶媒を多く含む光
電気化学電池(比較例1〜比較例4および比較例6)で
は暗所保存後の劣化が著しく、変換効率の低下率を10%
以内に抑えるためには溶媒含有量は10重量%が限度であ
り、使用しないことが更に好ましいことが分かる。溶媒
含有量10重量%の光電気化学電池および溶媒を含まない
光電気化学電池において、既存のイミダゾリウム塩を電
解質として用いた光電気化学電池(比較例5および比較
例7)では開放電圧が低く、これが低い光電変換効率の
原因となっている。一方、一般式(Y)で示される4級
アンモニウム塩を含有する本発明の電解質組成物を用い
た光電気化学電池(実施例1〜実施例16)では開放電圧
が高く、それに伴い変換効率が向上していることが判
る。さらに、感光層を薄くすると、それに伴い短絡電流
密度の低下が見られる(実施例8:6.5μm、実施例17:
4.8μm、実施例18:3.3μm)が、光吸収率の高い色素を
組み合わせることにより光電変換効率が向上することが
実施例19および実施例20の結果からわかる。
【0203】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の電解質組
成物は耐久性および電荷輸送能に優れ、この電解質組成
物を用いた光電変換素子は優れた光電変換特性を有し、
経時での特性劣化が少ない。かかる光電変換素子からな
る光電気化学電池は太陽電池として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の光電変換素子を用いた基板一体型太
陽電池モジュールの構造の一例を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・色素 23・・・電解質 30・・・電荷移動層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層 70・・・反射防止層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(Y): 【化1】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry1
    Ry4はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル基ま
    たはアルケニル基を表し、X1はアニオンを表し、Ry1〜R
    y4のうち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族
    環を形成してもよく、Ry1〜Ry4を介して多量体を形成し
    てもよい。)により表される化合物を含み、溶媒含有量
    が全体の10重量%以下であることを特徴とする電解質組
    成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電解質組成物におい
    て、前記化合物は下記一般式(Y-A)、(Y-B)または(Y-
    C): 【化2】 (ただし、Ay1は窒素原子またはリン原子を表し、Ry5
    よびRy6はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル
    基またはアルケニル基を表し、Qy1およびQy3はそれぞれ
    独立に2価連結基を表し、Qy2は3価連結基を表し、X1
    はアニオンを表す。)により表されることを特徴とする
    電解質組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の電解質組成物
    において、前記X1はヨウ化物イオンであることを特徴と
    する電解質組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質
    組成物において、前記化合物以外にヨウ素塩および/ま
    たはヨウ素を含むことを特徴とする電解質組成物。
  5. 【請求項5】 導電層、感光層、電荷移動層および対極
    を有する光電変換素子において、前記電荷移動層は請求
    項1〜4のいずれかに記載の電解質組成物を含有するこ
    とを特徴とする光電変換素子。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の光電変換素子におい
    て、前記感光層は色素によって増感された微粒子半導体
    を含有することを特徴とする光電変換素子。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光電変換素子におい
    て、前記微粒子半導体は二酸化チタン微粒子半導体であ
    ることを特徴とする光電変換素子。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の光電変
    換素子からなることを特徴とする光電気化学電池。
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