JP2001271220A - 着色ポリフッ化ビニリデン系モノフィラメント及びその製造方法 - Google Patents
着色ポリフッ化ビニリデン系モノフィラメント及びその製造方法Info
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Abstract
らなる釣り糸の特性を維持し、紡糸中、樹脂の分解に起
因するフッ酸の発生による着色剤の変色が認められず、
鮮明な蛍光色に着色されて、透明で視認性に優れた釣り
糸を形成するモノフィラメント及びその製造方法を提供
すること 【解決手段】 ペリレン系蛍光染料を、好ましくはポリ
フッ化ビニリデン樹脂100重量部に対して0.001
〜0.5重量部含有したポリフッ化ビニリデン樹脂組成
物からなるモノフィラメント、ポリフッ化ビニリデン樹
脂組成物を押出設定温度300℃以下、押出機滞留時間
60分以内で紡糸する該モノフィラメントの製造方法で
あり、該モノフィラメントは釣り糸に用いられる。
Description
デン樹脂組成物からなる着色モノフィラメントに関す
る。より詳しくは、ポリフッ化ビニリデン系モノフィラ
メントからなる釣り糸の優れた特性を維持しながら、特
殊な蛍光染料により鮮明な蛍光色に着色され、透明で視
認性に優れた釣り糸、なかでも道糸に好適なペリレン系
高級染料を含有する光輝性の透明ポリフッ化ビニリデン
系モノフィラメントとその製造方法に関する。
トは、強靱性、耐衝撃性、感度(魚信探知性)、及び耐
光性などが優れ、しかも、1.79という高比重で水中
に沈み易く、水の屈折率(1.33)に近い屈折率
(1.42)を有しているため水中での表面反射が少な
く透明で見え難い。更に、吸水性が無いためそれらの特
性を水中でも長時間維持することができ、特にハリスに
代表されるテグス用途に好んで用いられてきた。一方、
このポリフッ化ビニリデン系モノフィラメントの耐衝撃
性、高比重、高感度を生かし、ルアー用ライン、投げ釣
り用道糸などに使用されてきた。このルアー用ラインや
道糸用途には、釣り人からの視認性が要求され、最近で
は、染色による着色が試みられている。しかしながら、
ポリフッ化ビニリデン系モノフィラメントは、元来その
染色が極めて困難なことから、染色したものは、色調が
薄く、不鮮明である。濃色化を図ろうと熱処理温度を高
め、処理時間を長くすると引張強度等の初期物性が低下
してしまうことから、視認性と強度の両方の点で満足の
いくものが得られていなかった。更に、ポリフッ化ビニ
リデン樹脂は、濃色化が可能な原着法(使用する合成樹
脂自体を押出前に、予め染料、顔料、ピグメントレジン
カラーなどの着色剤で着色し、これを押出・紡糸してモ
ノフィラメントを得る方法)では、ポリフッ化ビニリデ
ン樹脂の押出加工の際の高温、及び溶融時に微量発生す
るフッ酸で、殆どの着色剤が変色・分解を生じる。ま
た、それに耐え得るごく一部の顔料でも、色調は不鮮明
で、また、透明感が低下し、且つ、その顔料の分散粒径
が大きいため、特に釣り糸として最も重要な結節強度を
低下させてしまい、満足な着色が達成されなかった。
ビニリデン系モノフィラメントからなる釣り糸の特性を
維持し、紡糸中、樹脂の分解に起因するフッ酸の発生に
よる着色剤の変色が認められず、鮮明な蛍光色に着色さ
れて、透明で視認性に優れた釣り糸を形成するモノフィ
ラメント及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
の解決を目指して鋭意研究した結果、ペリレン系蛍光染
料を含有したポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなる
モノフィラメントが、かかる課題を解決し得ることを見
い出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、ペリレン系蛍光染料を含有したポリフッ化ビニリデ
ン樹脂組成物からなるモノフィラメントを提供する。前
記発明において、ポリフッ化ビニリデン樹脂100重量
部に対してペリレン系蛍光染料の含有量が0.001〜
0.5重量部であるモノフィラメントを提供する。結節
強度が下記式(1)で示される前記発明のモノフィラメ
ントを提供する。 結節強度[GPa]の数値≧{(25/(糸径[μm]の数値)}1/3 (1) また、ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を押出設定温度
300℃以下、押出機滞留時間60分以内で紡糸する前
記発明のモノフィラメントの製造方法を提供する。前記
発明のモノフィラメントからなる釣り糸を提供する。
する。本発明において用いられるポリフッ化ビニリデン
樹脂(PVDF)とは、好ましくは、フッ化ビニリデン
単独重合体、フッ化ビニリデンを構成単位として70モ
ル%以上を含有する共重合体、更にはこれら重合体の混
合物が挙げられる。フッ化ビニリデンと共重合されるモ
ノマーとしては、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレ
ン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化
ビニル等が挙げられる。また、これらの少なくとも一種
を用いることができる。フッ化ビニリデン樹脂のインヒ
レント粘度(ηinh)は、好ましくは0.8〜2.0d
l/g、さらに好ましくは1.0〜1.7dl/gの範囲
である。
リフッ化ビニリデン樹脂には、その性質を損なわない範
囲で、ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑
剤、フラバントロンで代表される核剤、あるいはポリメ
タクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、アクリル酸
メチル/イソブチレン共重合体等のフッ化ビニリデン樹
脂との相溶性の良好な樹脂を混合した組成物が含まれ
る。特に可塑剤としては、繰り返し単位組成が炭素数2
〜4のジアルコールと炭素数4〜6のジカルボン酸との
エステルよりなり、末端基が炭素数1〜3の一価の酸も
しくは一価のアルコール残基よりなり、分子量が150
0〜4000のポリエステルが好しく用いられる。ま
た、ポリフッ化ビニリデン樹脂に加えることができる前
記樹脂のうち、ポリメタクリル酸メチルが好ましく、ポ
リフッ化ビニリデン樹脂100重量%に対して5重量%
程度含まれていてもよい。特にポリメタクリル酸メチル
をポリマーブレンドした場合、ポリメタクリル酸メチル
が非結晶樹脂であるため、ポリフッ化ビニリデン樹脂よ
りペリレン系染料との相溶性に優れ、染料の発色性や耐
光性の向上が期待できる。但し、ポリメタクリル酸メチ
ルの混合量が多くなった場合には、モノフィラメントの
柔軟性や引張強度の低下を招くおそれがあるため10重
量%以上の添加は好ましくない。
染料としては、特開昭57−125260号公報、特開
昭58−40359号公報及び特開昭60−20365
0号公報に開示されているようなペリレン骨格を有する
化合物を総称して含める。それらのうち、例えば、ルモ
ゲンTR F イエロー083(BASFジャパン(株)
社製)、ルモゲンTR F オレンジ240(BASFジ
ャパン(株)社製)、ルモゲンTR F レッド300
(BASFジャパン(株)社製)などのペリレン系蛍光
染料及びこれらと同等品を挙げることができる。
するものではないが、通常ポリフッ化ビニリデン樹脂1
00重量部に対して0.001〜0.5重量部、更には
0.005〜0.1重量部、特には0.01〜0.05
重量部が好ましい。含有量が0.001重量部〜0.5
重量部の範囲にあることにより、光輝性が発現するとと
もに視認性を得ることができ、更に、ポリフッ化ビニリ
デン系モノフィラメントの特性(例えば、高い比重、水
に近い屈折率、及び吸水性がないこと)を維持すること
ができる。染料の含有量が0.001重量部以下では、
色調が薄く光輝性が発現しないと共に、充分な視認性を
得難くなる。また、含有量が0.5重量部を越えると、
濃色になりすぎ、光の吸収が大きくなり逆に光輝性、視
認性が低下することがあるので好ましくない。
リン酸カルシウム(Ca−St)、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛等の金属石
鹸類を用いるとよい。これらのうち、ステアリン酸カル
シウムが溶融紡糸時の溶融体の紡糸性を向上させ、糸表
面のスラブの発生を抑える効果を発揮する。特に、ポリ
フッ化ビニリデン樹脂にペリレン系染料を添加した場
合、ノズル等の金属内壁との樹脂の流動性が低下し接着
性が増すためか、スラブが発生する傾向がみられる。こ
れを防止する手段として、金属石鹸類の添加が効果的で
ある。金属石鹸類の添加量はポリフッ化ビニリデン樹脂
100重量部に対して0.001〜0.1重量部、更に
は0.05〜0.5重量部程度が好ましい。なお、本発
明の効果を阻害しない範囲で紫外線吸収剤、光安定剤、
熱安定剤、酸化防止剤等の添加剤を含んでもよい。
の添加剤を配合するには、各々、単独に加えてもよい
が、糸の構成素材として使用するポリフッ化ビニリデン
樹脂又は、その他の樹脂で希釈した所謂、マスターバッ
チを調製しておき、これを所定量使用することが通常行
われる。
リフッ化ビニリデン樹脂と少なくともペリレン系蛍光染
料とからなる樹脂組成物である。この樹脂組成物は、ポ
リフッ化ビニリデン樹脂及びペリレン系蛍光染料の混合
物であっても、以下のようなドライブレンド物であって
も、ペレットであってもよい。ポリフッ化ビニリデン樹
脂組成物は、公知の方法で調製することができる。例え
ば、予めポリフッ化ビニリデン樹脂で希釈して調製して
おいたペリレン系蛍光染料及び随意に加える金属石鹸の
マスターバッチをポリフッ化ビニリデン樹脂に所定量加
えてドライブレンドして粉状体の樹脂組成物とする方
法、又は原料のポリフッ化ビニリデン樹脂単体と前記の
ペリレン系蛍光染料とを単に混合する方法、又は樹脂組
成物をペレット状にしておく方法などがある。
を押出機に投入し、押出設定温度を300℃以下、好ま
しくは230〜280℃で押出し、30〜80℃の水中
などで急冷する。次いで、150〜180℃のグリセリ
ンなどの熱媒中で4.5〜6.5倍に延伸(場合によ
り、延伸を2段階以上で行うこともある)し、その後、
70〜98℃の温水中で2〜12%の緩和処理を行う。
このとき溶融樹脂組成物の押出機滞留時間は、好ましく
は60分以内、更に好ましくは10〜40分とする。押
出機での滞留時間が60分を越えると樹脂組成物、特に
ペリレン系染料の分解が始まり、紡糸した糸の変色、糸
表面の発泡などが発生することがあるので好ましくな
い。更に、このポリフッ化ビニリデン樹脂とペリレン系
染料を組み合わせた場合、濃色化を図ろうとペリレン系
染料の添加量を多くした場合、樹脂への染料の分散性・
相溶性が低下してくるのか、押出機での滞留時間によっ
て容易にペリレン系染料が分解し変色する傾向がみられ
るので、押出機での樹脂の滞留時間が重要である。特
に、釣り糸では0.1号糸(糸径50μm)などの細号
柄になってくると押出量が減少する分、押出機内の滞留
時間が極めて長くなってくるので、殊に注意を要する。
モノフィラメントの糸径は、特に制限はないが、通常5
0μm〜2.5mmである。
て用いられる。また、モノフィラメントの結節強度は、
式(1)で示す条件を満たすことが道糸としての強靱性
の観点から好ましい。ポリフッ化ビニリデン樹脂のモノ
フィラメントは、釣り糸として糸径が細くなる程、結節
強度の高さが重要視され、逆に太くなる程、その性質上
結節強度が出難くなってくる。本発明のモノフィラメン
トは、ペリレン系蛍光染料により鮮明な蛍光色に着色さ
れ、透明で視認性に優れた釣り糸、なかでも道糸に好適
な光輝性の透明ポリフッ化ビニリデンモノフィラメント
となる。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、評価方法は以下のように行った。 結節強伸度:東洋精機製作所(株)製ストログラフRII
型引張試験機を用い、23℃65RH%の室内で、試長
300mm、引張速度300mm/分、測定数n=5
で、試料の中央に結節点を設け結節強伸度を測定した。
(株)製、融点174℃、ηinh=1.3)。 着色染顔料:ルモゲン F イエロー 083(BAS
Fジャパン(株)製、ペリレン系蛍光染料)。ルモゲン
F オレンジ 240(BASFジャパン(株)製、
ペリレン系蛍光染料)。ルモゲン F レッド 300
(BASFジャパン(株)製、ペリレン系蛍光染料)。
エポカラーFP−1007 イエローグリーン(日本触
媒(株)製、ピグメントレジンカラー)。ヌビアン ブ
ラック PC−0850(オリエント化学工業(株)
製、アジン系染料)。 金属石鹸系滑剤:ステアリン酸カルシウム(Ca−S
t)(関東化学(株)製)。
ノフィラメントの原料樹脂として、PVDF(商品グレ
ードKF#1300)を用い、この樹脂に表1に示した
着色剤及び金属石鹸を所定量添加し、ドライブレンドし
て各々の樹脂組成物とした。次いで、この組成物を35
mmφの押出機、孔径1.3mmφ×6ホールノズルを
使用し、押出樹脂温度250〜280℃、押出機ギヤー
ポンプ回転数6.1rpmの条件で紡糸した後、冷却温
度50℃の水中で急冷した。次いで、167℃のグリセ
リン浴中で5.5倍に延伸し、その後、85℃の温水中
で5%緩和熱処理し、直径0.3mmのモノフィラメン
トを得た。
以外は実施例1と同様に行った。 (比較例2)蛍光着色剤として、ナイロン用途に開発さ
れた耐熱温度280℃のピグメントレジンカラーを使用
した以外は実施例1と同様に行った。得られたモノフィ
ラメントはくすんだ黄緑色に色飛び、変色を起こし、強
度も低下していた。 (比較例3)着色剤として、アジン系染料を使用した以
外は、実施例1と同様に行った。ポリカーボネートやポ
リエチレンテレフタレートなどのエンジニアリングプラ
スチック樹脂用途に開発された耐熱温度300℃の染料
を用いたが、得られたモノフィラメントは、表面に分
解、発泡による膨らみが発生し、又、強度も低下してい
た。 (比較例4)細号柄のモノフィラメントを得るために、
ギアポンプの回転数を3.2rpmに低下させ、直径
0.22mmのモノフィラメントを得た以外は、原料処
方とも実施例1と同様に行った。得られたモノフィラメ
ントは、色調が橙色がかり、表面に分解、発泡による膨
らみが発生し、強度も低下していた。押出機内の溶融樹
脂の滞留時間を測定したところ98分かかっており、こ
れが原因と考えられる。
細号柄のモノフィラメントを得るべく、ノズルを2mm
φ×24ホールのものに切り替え、押出温度255〜2
90℃にて、ギアポンプ回転数を13rpmに設定し、
吐出量を増やして紡糸し、実施例1と同様の急冷、延
伸、緩和条件で直径0.22mmのモノフィラメントを
得た。得られたモノフィラメントは、表面に分解、発泡
による膨らみは認められず、鮮明な蛍光黄色に着色さ
れ、また、強度も充分であった。押出しの際、押出機内
の樹脂の滞留時間を測定したところ、25分と短く、こ
れにより染料の分解を抑えることができたと考え得られ
る。実施例及び比較例で得た試料の評価結果を表2に示
した。
含有したポリフッ化ビニリデン樹脂組成物からなるモノ
フィラメントにより、ポリフッ化ビニリデン系モノフィ
ラメントからなる釣り糸の特性を維持し、着色剤の変色
が認められず、鮮明な蛍光色に着色され、視認性に優れ
た釣り糸を形成するモノフィラメント及びその製造方法
を提供することができた。
Claims (5)
- 【請求項1】ペリレン系蛍光染料を含有したポリフッ化
ビニリデン樹脂組成物からなるモノフィラメント。 - 【請求項2】ポリフッ化ビニリデン樹脂100重量部に
対してペリレン系蛍光染料の含有量が0.001〜0.
5重量部である請求項1記載のモノフィラメント。 - 【請求項3】結節強度が下記式(1)で示される請求項
1又は2に記載のモノフィラメント。 結節強度[GPa]の数値≧{(25/(糸径[μm]の数値)}1/3 (1) - 【請求項4】ポリフッ化ビニリデン樹脂組成物を押出設
定温度300℃以下、押出機滞留時間60分以内で紡糸
する請求項1〜3のいずれかに記載のモノフィラメント
の製造方法。 - 【請求項5】請求項1〜3のいずれかに記載のモノフィ
ラメントからなる釣り糸。
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