JP4468565B2 - 釣糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光による外部刺激により発光し、この外部刺激を取り除いた後でも暗所で残光を持続して自己発光する性能を有する釣糸に関するものであり、さらに詳しくは、暗所での優れた発光特性と明所での優れた視認性とを兼ね備え、特に夜釣り用に適した釣糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光による外部刺激により発光し、この外部刺激を取り除いた後でも暗所で残光を持続して自己発光する性能を有する発光性合成繊維は、従来より主にカーペットや夜釣り用釣糸などの用途において広く利用されている。
【0003】
そうしたなかで、昨今の夜釣り用釣糸には、暗所で自己発光する蓄光性と共に、明所での視認性が同時に要求されるようになってきている。つまり、上記の特性を備えた釣糸によれば、暗闇の中では自己発光によって、また夕まじめや朝まじめのような比較的明るい場所ではその視認性によって釣糸の所在がはっきりと確認することができ、それによって釣りの操作性が飛躍的に向上するからである。
【0004】
そして、発光特性が優れるアルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料を使用した発光繊維および発光釣糸に関しては、(A)特定の蓄光性蛍光体をポリアミドやポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂に配合した樹脂組成物から形成した蓄光性蛍光性能を有する繊維製品(特開平8−127937号)および(B)表面に蓄光塗料を塗布した釣糸(登録実用新案第3024904号公報)などがすでに提案されている。
【0005】
しかしながら、上記(A)の繊維製品および(B)の釣糸は、いずれも長時間の残光特性を有するものの、上述した昨今の夜釣り用釣糸として要求される明所での視認性という面では必ずしも満足すべきものではなかった。
【0006】
すなわち、従来のアルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料は、発光輝度が大きくまた励起光を取り除いた後の残光時間も長いことから、これらアルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料を使用した夜釣り用釣糸は、それ自体が発光して暗所でも釣糸の所在(糸筋)がはっきりするため、夜釣りでの仕掛けの操作性を飛躍的に向上することができるる。しかしながら、このような夜釣り用釣糸を実際に使用した場合には、確かに月明かりのない漆黒の闇夜であれば極めて良く発光し、その所在が明らかとなるが、月明かりのある環境や、夕まじめや朝まじめのような若干でも光のある環境において、釣人が釣糸の所在を感知するには必ずしも十分とはいえない。つまり、夜釣り用釣糸には、暗所で発光する蓄光性と共に、若干でも光がある環境においても釣糸自体が釣人に見やすい視認性を有することが必要条件である。
【0007】
しかるに、アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料は、無機化合物であることから、これを熱可塑性合成樹脂に錬り込んで繊維化された繊維は、不透明な白度を備えて視認性を有するものとなるものの、このような繊維を夜釣り用釣糸として実際に一昼夜程度使用した場合には、不透明な白度が維持されずに透明感を生じてしまい、その結果夕まじめや朝まじめのような比較的明所での視認性が阻害される傾向となり、夜釣りの全般をとうして優れた釣りの操作性を保持することができないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、暗所での長時間持続可能な発光特性と明所での優れた視認性とを兼ね備え、特に夜釣り用に適した釣糸を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、熱可塑性合成樹脂に特定の蓄光性蛍光体を含有させた組成物から形成される繊維からなる釣糸および合成繊維の表面に特定の蓄光性蛍光体を含有する樹脂コーティング層を形成させた釣糸が、上記の目的に合致するものであることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明の第1の釣糸は、熱可塑性樹脂に式Sr 4 Al 14 O 25 で表されるアルミン酸ストロンチウムを含有させた組成物を少なくとも一部の構成成分とする繊維からなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第2の釣糸は、合成繊維の表面に式Sr 4 Al 14 O 25 で表されるアルミン酸ストロンチウムを含有する樹脂コーティング層を形成させたことを特徴とする。
【0013】
なお、本発明の第1の釣糸においては、前記熱可塑性合成樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリエチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが望ましい。
【0014】
また、本発明の第2の釣糸においては、前記合成繊維が、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリエチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなることが望ましい。
【0015】
さらに、本発明の第1の釣糸および第2の釣糸においては、下記(1)〜(4)が好ましい条件であり、これらの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0016】
(1)前記アルミン酸ストロンチウムが、さらに賦活剤としてEu(ユウロピウム)および/またはDy(ジスプロシウム)を、Sr(ストロンチウム)に対するモル比で0.001%以上10%以下添加されていること、(2)前記アルミン酸ストロンチウムのレーザー回折散乱法により測定した平均粒径(累積粒度分布率50%(D50))が1.0〜3.5μmの範囲にあること、(3)前記アルミン酸ストロンチウムの釣糸全体に対する配合率が、2〜20重量%の範囲にあること。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明において蓄光顔料として使用する式Sr 4 Al 14 O 25 で表されるアルミン酸ストロンチウムとは、蓄光性蛍光体の1種であり、光による外部刺激により発光し、この外部刺激を取り除いた後でも暗所でかなりの時間にわたって残光を肉眼で認めることができる性能を有するものであり、公知のアルミン酸ストロンチウムの中でも発光輝度や製造コストの面で最も好ましいものである。
【0019】
なお、上記式Sr 4 Al 14 O 25 で表されるアルミン酸ストロンチウムには、さらに賦活剤としてEu(ユウロピウム)および/またはDy(ジスプロシウム)を、Sr(ストロンチウム)に対しモル比で0.001%以上10%以下添加されているものが、発光輝度が高いことから特に好ましく使用される。
【0020】
さらに、上記の式Sr 4 Al 14 O 25 で表されるアルミン酸ストロンチウムは、これをエタノール中に分散させてレーザー回折散乱法により測定した平均粒径(累積粒度粒径分布率50%(D50)が1.0〜3.5μmの範囲の微粒子であることが、釣糸が必要とする強度を保持する面でより好ましい条件である。
【0022】
このような式Sr4 Al14O25で表されるアルミン酸ストロンチウムの具体例としては、例えば根本特殊化学(株)製N夜光ルミノーバ(登録商標)BG300FFなどが該当するが、これに限定されるものではない。
【0023】
ここで、上記の式Sr 4 Al 14 O 25 を構成するSr(ストロンチウム)の一部をCa(カルシウム)、Ba(バリウム)から選ばれた少なくとも一種の金属元素に置き換えること、およびAl(アルミニウム)の一部をB(ホウ素)に置き換えることなどは、通常行われている範囲内で可能である。
【0025】
次に、本発明の第1の釣糸を構成する熱可塑性合成樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、およびポリエチレン樹脂などが挙げられる。
【0026】
ここで、ポリアミド系樹脂の具体例としては、例えばポリカプラミドであるナイロン6、ポリヘキサメチレンアジパミドであるナイロン66、ポリメタキシレンアジパミドであるナイロンMXD6、ポリヘキサメチレンセバカミドであるナイロン610、ポリウンデカナミドであるナイロン11、ポリドデカミドであるナイロン12およびカプラミドとヘキサメチレンアジパミドの共重合体であるナイロン6/66などを代表とする各種共重合ポリマーが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でもナイロン6/66が特に好ましく使用される。
【0027】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデン成分を80重量%以上含有するポリフッ化ビニリデン単独重合体または共重合体である。ここで20重量%未満を占める場合の共重合成分としては、テトラフロロエチレン、トリフロロモノクロロエチレン、トリフロロエチレン、モノフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレンおよびこれらの混合物が挙げられるが、なかでもヘキサフロロプロピレンが好ましい。さらに、フッ化ビニリデン成分が80重量%以上であるポリフッ化ビニリデンホモポリマおよび/またはコポリマをブレンドして用いることもできる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂のなかではポリフッ化ビニリデン単独重合体が特に好ましく使用される。
【0028】
ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルが挙げられるが、なかでもポリプロピレンテレフタレートが特に好ましく使用される。そのほかポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートおよびポリブチレン(サクシネート/アジペート)共重合体などの生分解性ポリエステル樹脂も含まれる。
【0029】
ポリエチレン樹脂としては、通常の高密度ポリエチレン樹脂などで特に限定されないが、JIS−6760に従って測定したメルトフローレートが0.1〜15の範囲のものであればよい。
【0030】
また、本発明の第2の釣糸を構成する合成繊維としては、上述した熱可塑性樹脂から溶融紡糸で造られた合成繊維以外にも、例えば超高分子量ポリエチレンのゲル紡糸で造られた高強力ポリエチレンマルチ糸(東洋紡績(株)製ダイニーマ(登録商標))なども含まれる。
【0031】
なお、本発明の第1の釣糸は、熱可塑性樹脂に上記アルミン酸ストロンチウムを含有させた組成物を少なくとも一部の構成成分とする繊維であり、例えば芯鞘構造や海島構造を有する繊維の芯部、鞘部または海部、島部のどちらか一方に上記アルミン酸ストロンチウムを含有させた繊維であってもよく、また、上記アルミン酸ストロンチウムを含有する繊維と含有しない繊維を組み合わせて混撚または混編した繊維であってもよい。
【0032】
一方、本発明の第2の釣糸は、合成繊維の表面に上記アルミン酸ストロンチウムを含有する樹脂コーティング層を形成させたものであるが、ここで使用する樹脂としては、無色透明であって、透光性が良く、耐久性(耐光性、耐候性など)に優れるアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が好ましく使用されるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本発明の第1の釣糸および第2の釣糸における上記アルミン酸ストロンチウムの繊維に占める含有率は、2〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%の範囲である。上記アルミン酸ストロンチウムの含有率を2〜20重要%の範囲にすることによって、釣糸の強度と発光性の両立を図ることが可能となる。
【0034】
本発明の第1の釣糸は、例えば、以下に説明する方法により効率的に製造することができる。
【0035】
まず、繊維を溶融紡糸するに際しては、通常のエクストルーダー型押出機を採用することができ、ポリマー温度200〜350℃、押出圧力10〜500Kg/cm2 、口金孔径0.1〜5mm、紡糸速度0.3〜100m/分などの条件を適宜選択することができる。
【0036】
エクストルーダー型押出機から紡出された繊維は、短い気体ゾーンを通過した後、冷却浴中で冷却されるが、ここでの冷却媒体としては、ポリマーに不活性な液体通常は水やポリエチレングリコールなどが用いられる。
【0037】
冷却固化された繊維は、引き続き1段目の延伸行程に送られるが、延伸および熱固定の雰囲気(浴)としては、温水、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびシリコーンオイルなどの加熱した熱媒体浴、乾熱気体浴および水蒸気浴などが用いられる。
【0038】
次いで、1段乃至多段延伸を行うが、全延伸倍率は繊維を構成する熱可塑性樹脂によって異なり、通常は4.0倍以上、好ましくは5.0倍以上である。
【0039】
1段乃至多段延伸後には、必要に応じて延伸歪みを除去することなどを目的として、適度な定長または弛緩熱処理を行うこともできる。
【0040】
次に、本発明の第2の釣糸は、例えば、以下に説明する方法により効率的に製造することができる。
【0041】
上記の溶融紡糸して得られた繊維など(溶融紡糸に限らずゲル紡糸繊維なども含む)の表面に、上記アルミン酸ストロンチウムを含有する溶融したアクリル樹脂またはエポキシ樹脂を、通常のエクストルーダー型押出機からなる溶融樹脂コーティング装置を用いて、厚さ5μ〜100μのコーティングを施す。樹脂コーティング層の厚さが5μを下回ると発光性が乏しく、また厚さが100μを越えると釣糸としての強度が損なわれる傾向となる。但し、樹脂コーティングの方法はこのような溶融樹脂コーティング法に限定されるものではなく、その他溶液樹脂コーティング法でも可能である。
【0042】
このようにして得られる本発明の釣糸は、光による外部刺激により発光し、この外部刺激を取り除いた後でも暗所で残光を持続して自己発光すると共に、夕まじめ、朝まじめのような比較的明るい環境での視認性もが極めて優れていることから、仕掛けの操作性が飛躍的に向上し、夜釣り用釣糸として極めて有用である。
【0043】
【作用】
従来からアルミン酸ストロンチウム系顔料は、発光輝度が大きくまた励起光を取り除いた後の残光時間も長いため、最近特に改良された蓄光繊維として夜釣り用の釣糸にも使用されるようになった。これらアルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料を使用した夜釣り用釣糸はそれ自体が発光するため、暗所でも釣糸の所在(糸筋)がはっきりすることから、夜釣りでの仕掛けの操作性を飛躍的に向上させる。しかしながら、このような夜光性釣糸を実際に使用した場合、確かに月明かりのない漆黒の闇夜であれば極めて良く発光し、その所在が明らかとなるが、月明かりのある環境や、夕まじめ朝まじめのような若干でも光のある環境では釣人が釣糸の所在を感知するには必ずしも十分とは言えない、つまり夜釣り用釣糸には、暗所で発光する蓄光性と共に、若干でも光がある環境では釣糸自体が釣人に見やすい視認性を有することが必要条件なのである。
【0044】
また、例えば、アルミン酸ストロンチウム系顔料は無機化合物であることから、熱可塑性合成樹脂に錬り込まれて繊維化された場合、通常その繊維は不透明な白度を備えて視認性を有するものとなる。しかしながら、このような繊維を夜釣り用釣糸として実際に一昼夜程度使用した場合、不透明な白度が維持されずに透明感がでてきて視認性が悪くなるのが実状であることが判明した。
【0045】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、実施例における釣糸の評価は以下の方法に準じて行った。
【0046】
(1)発光性:
JIS−Z8720の規定に準じて、釣糸をD65常用光源400lxの光で20分間照射した後、その光源を取り除き60分間経過した時点での釣糸の残光輝度(mcd/m2 )を測定した。残光輝度(mcd/m2 )の数値が大きいほど発光性が優れる。
【0047】
注:通常肉眼の視感度は残光輝度が0.3mcd/m2 までといわれる。
【0048】
(2)視認性:
釣糸を23℃の純水に24時間浸漬した後、温度20℃、相対湿度65%RH下で24時間風乾した後の視認性を評価した。視認性は水浸漬前後の釣糸の白度を肉眼で相対比較することによって次のように評価した。
【0049】
○:水浸漬前後の変化がなく、初期(水浸漬前)の不透明な白度が保たれていた。
【0050】
×:水浸漬後透明感がでてきて、初期(水浸漬前)の不透明な白度が失われた。
[実施例1]
相対粘度4.2のナイロン6/66共重合ポリマー(融点195℃)に対し、根本特殊化学製N夜光ルミノーバBG300FF(Sr4 Al14O25:Eu、Dy)を10重量%含有させた樹脂組成物を、エクストルーダー型押出機で280℃で溶融し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さらに10℃の水浴中で冷却することにより未延伸糸を得た。
【0051】
次に、この未延伸糸を100℃の蒸気延伸浴中で3.5倍に一段目延伸し、さらに200℃の乾熱浴中で1.71倍に二段目延伸(全延伸倍率6.0倍)した。
【0052】
引き続いて、180℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させて熱処理を施すことにより、直径0.285mmのモノフィラメントからなる釣糸を得た。
【0053】
この釣糸の引張強度は706MPa、発光性を表す残光輝度は19mcd/m2 であり、一方視認性の評価は○であった。
【0054】
また、実際にこの釣糸をリールに巻き一晩中夜釣りに使用したところ、夜間において遠投した時の糸筋がはっきり認識でき、また一晩中使用した後でも釣糸は不透明な白度が保たれ比較的明るい環境での視認性も良好であった。
[比較例1]
相対粘度4.2のナイロン6/66共重合ポリマー(融点195℃)に対し、根本特殊化学製N夜光ルミノーバG300FF(SrAl2 O4 :Eu、Dy)を10重量%含有させた樹脂組成物を、エクストルーダー型押出機で280℃で溶融し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さらに10℃の水浴中で冷却することにより未延伸糸を得た。
【0055】
次に、この未延伸糸を100℃の蒸気浴中で3.5倍一段目に延伸し、さらに200℃の乾熱浴中で1.71倍に二段目延伸(全延伸倍率6.0倍)した。引き続いて、180℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通過させて熱処理を施すことにより、直径0.285mmのモノフィラメントからなる釣糸を得た。
【0056】
この釣糸の引張強度は686MPa、発光性を表す残光輝度は12mcd/m2 であり、一方視認性の評価は×であった。
【0057】
また、実際にこの釣糸をリールに巻き一晩中夜釣りに使用したところ、夜間において遠投した時の糸筋がはっきり認識できたものの、一晩中使用した後の釣糸を観察したところ、初期の不透明な白度が失われ比較的明るい環境での視認性は劣るものであった。
[比較例2]
蓄光性蛍光体を根本特殊化学製GSS(ZnS/Cu)に変更したこと以外は、実施例1および比較例1と同一の条件で直径0.285mmのモノフィラメントからなる釣糸を得た。
【0058】
この釣糸の引張強度は686MPa、発光性を表す残光輝度はほとんどゼロであり、一方視認性の評価は○であった。
【0059】
また、この釣糸をリールに巻き一晩中夜釣りに使用したところ、一晩中使用した後の釣糸は不透明な白度が保たれてはいるものの、肝心の夜間において遠投した時の糸筋は顕著には認識できなかった。
[実施例2]
東洋紡績(株)製ダイニーマ(高強力ポリエチレンマルチ糸)を使用した3号相当(750デニール)の釣糸の表面に、根本特殊化学製N夜光ルミノーバBG300FF(Sr4 Al14O25:Eu、Dy)を釣糸全体に対する比率で10重量%となるように含有させたアクリル樹脂をコーティングさせることにより釣糸を得た。
【0060】
この釣糸は、残光輝度20mcd/m2 と優れた発光性を有し、また視認性の評価も○であった。
[比較例3]
蓄光性蛍光体を、根本特殊化学製N夜光ルミノーバG300FF(SrAl2 O4 :Eu、Dy)に変更した以外は、実施例2と同一の条件で釣糸を得た。
【0061】
この釣糸は残光輝度15と優れた発光性を有したが、視認性の評価は×であった。
[比較例4]
蓄光性蛍光体を根本特殊化学製GSS(ZnS/Cu)に変更した以外は、実施例2と同一の条件で釣糸を得た。
【0062】
この釣糸は視認性の評価は○であったが、残光輝度がほとんどゼロであり、発光性に乏しいものであった。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の釣糸は、光による外部刺激により発光し、この外部刺激を取り除いた後でも暗所で残光を持続して自己発光すると共に、夕まじめ、朝まじめのような比較的明るい環境での視認性もが極めて優れていることから、仕掛けの操作性が飛躍的に向上し、夜釣り用釣糸として極めて有用である。
Claims (7)
- 熱可塑性合成樹脂に式Sr 4 Al 14 O 25 で表されるアルミン酸ストロンチウムを含有させた組成物を少なくとも一部の構成成分とする繊維からなることを特徴とする釣糸。
- 前記熱可塑性合成樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリエチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の釣糸。
- 合成繊維の表面に式Sr 4 Al 14 O 25 で表されるアルミン酸ストロンチウムを含有する樹脂コーティング層を形成させたことを特徴とする釣糸。
- 前記合成繊維が、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリエチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の釣糸。
- 前記アルミン酸ストロンチウムが、さらに賦活剤としてEu(ユウロピウム)および/またはDy(ジスプロシウム)を、Sr(ストロンチウム)に対するモル比で0.001%以上10%以下添加されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の釣糸。
- 前記アルミン酸ストロンチウムのレーザー回折散乱法により測定した平均粒径(累積粒度分布率50%(D50))が1.0〜3.5μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の釣糸。
- 前記アルミン酸ストロンチウムの釣糸全体に対する配合率が、2〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の釣糸。
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