JP2010178663A - 釣り糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い視認性と優れた強力特性を兼ね備えたポリフッ化ビニリデン系モノフィラメントからなる釣り糸の提供。
【解決手段】ポリフッ化ビニリデン系樹脂80〜99重量%とポリエステル系樹脂1〜20重量%との混合物を溶融紡糸してなる合成樹脂モノフィラメントからなる釣り糸であって、前記合成樹脂モノフィラメントは、引張強度が600〜760MPa、結節強度が475〜550MPaであり、かつスライドグラスに隙間無く巻かれた合成樹脂モノフィラメントに36Wの電球から発する照度150〜800lxの光を当てた時に反射した光の輝度をA[mcd/m2]とし、合成樹脂モノフィラメントが巻かれていない状態のスライドグラスに同様の光を当てた時に反射した光の輝度をB[mcd/m2]とした場合の輝度比A/Bが5〜45であることを特徴とする釣り糸。
【選択図】なし
【解決手段】ポリフッ化ビニリデン系樹脂80〜99重量%とポリエステル系樹脂1〜20重量%との混合物を溶融紡糸してなる合成樹脂モノフィラメントからなる釣り糸であって、前記合成樹脂モノフィラメントは、引張強度が600〜760MPa、結節強度が475〜550MPaであり、かつスライドグラスに隙間無く巻かれた合成樹脂モノフィラメントに36Wの電球から発する照度150〜800lxの光を当てた時に反射した光の輝度をA[mcd/m2]とし、合成樹脂モノフィラメントが巻かれていない状態のスライドグラスに同様の光を当てた時に反射した光の輝度をB[mcd/m2]とした場合の輝度比A/Bが5〜45であることを特徴とする釣り糸。
【選択図】なし
Description
本発明は、視認性が高く、かつ優れた強度特性を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を主体とする釣り糸に関するものである。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂(以下、特に指定しない限りPVdFという)を主体とする合成樹脂モノフィラメントは、強靭性、耐摩耗性、感度および耐候性などに優れており、特に、高比重(1.79)で水中に沈みやすく、吸水性が殆どないことから、水産資材用途、特に釣り糸として好適に利用されてきた。
ところで、従来の釣りにおいては、浮きの動きによって魚信を捕らえていたが、浮きは視認性に富む反面、風、波、潮流などの外来因子の影響を受けて動いたり、流されたりすることから、魚信が捕らえにくく、それ故に釣りを難しくしていた。しかるに近年では、釣りの漁法が多様化するに伴い、外来因子の影響を受けやすい浮きを指標とせず、釣り糸、特に道糸の動きを指標として魚信を捕らえる方法が採られるようになった。
また、釣り糸の動きを利用して、釣り糸の先にある仕掛けの位置を変えたり、仕掛けの動きを操作したり、仕掛けにかかった獲物の動きを判断したりすることも盛んに行われるようになり、こうした方法にも、釣り糸への視認性の良さが求められるようになってきている。
そこで、釣り糸の視認性を向上させる方法として、例えばPVdFモノフィラメントを染色することにより、釣り場で目立つ色(例えば、黄色、オレンジ、ピンクなど)を付けて、色のコントラストを強調する方法(例えば、特許文献1参照)などが検討されてきたが、この方法の場合、無着色の釣り糸に比べれば視認性がある程度は向上するものの、糸自体が透明であることから、視認性の改良効果は未だに十分であるとはいえなかった。
こうした問題を解決する技術としては、例えば板状フィラー顔料を含む芯部と透明な鞘部とを有する芯鞘複合モノフィラメントを使用した釣り糸(例えば、特許文献2参照)や、星型断面で2つ以上の中空構造を持つ不透明な芯部と透明な鞘部とを有する芯鞘複合モノフィラメントを使用した釣り糸(例えば、特許文献3参照)などが既に知られている。
しかしながら、これらの釣り糸は、視認性が向上するものの、複合糸であることから製造方法が煩雑で製造コストが高くなるため、産業上利用するには十分満足できるものとはいえなかった。また、これらの釣り糸は板状フィラーや酸化チタンなどの固体が含まれているため、テグスとして重要な特性である強度、特に結節強度を十分得ることができなかった。
一方、種々のポリマーをブレンドして釣り糸を不透明にする方法も検討されており、例えばPVdFにポリオレフィン・アクリル系共重合樹脂を添加したモノフィラメントからなる釣り糸(例えば、特許文献4参照)などが既に知られているが、ポリオレフィン・アクリル系共重合樹脂は特殊なコポリマーであることから、汎用ポリマーとしては使用し難く、またポリオレフィン成分はPVdFとの相溶性が良くないため、ポリオレフィン・アクリル系共重合樹脂が糸中で異物として作用しやすく、得られたモノフィラメントの引張強度が低下するなどの問題があり、釣り糸として使用するには必ずしも十分といえるものではなかった。
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって本発明の目的は、高い視認性と優れた強力特性を持つPVdFモノフィラメントからなる釣り糸を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明によれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂80〜99重量%とポリエステル系樹脂1〜20重量%との混合物を溶融紡糸してなる合成樹脂モノフィラメントからなる釣り糸であって、前記合成樹脂モノフィラメントは、引張強度が600〜760MPa、結節強度が475〜550MPaであり、かつスライドグラスに隙間無く巻かれた合成樹脂モノフィラメントに36Wの電球から発する照度150〜800lxの光を当てた時に反射した光の輝度をA[mcd/m2]とし、合成樹脂モノフィラメントが巻かれていない状態のスライドグラスに同様の光を当てた時に反射した光の輝度をB[mcd/m2]とした場合の輝度比A/Bが5〜45であることを特徴とする釣り糸が提供される。
なお、本発明の釣り糸においては、
前記ポリエステル系樹脂の融点が150〜280℃であること、および
前記ポリエステル系樹脂が、(A)ポリブチレンテレフタレート、(B)ポリトリメチレンテレフタレートおよび(C)ブチレンテレフタレート単位および/またはブチレンイソフタレート単位90〜98重量%と脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位2〜10重量%とから構成される共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも一種類であること
が、いずれも好ましい条件であり、これらの条件を満たした場合には、さらに優れた効果を期待することができる。
前記ポリエステル系樹脂の融点が150〜280℃であること、および
前記ポリエステル系樹脂が、(A)ポリブチレンテレフタレート、(B)ポリトリメチレンテレフタレートおよび(C)ブチレンテレフタレート単位および/またはブチレンイソフタレート単位90〜98重量%と脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位2〜10重量%とから構成される共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも一種類であること
が、いずれも好ましい条件であり、これらの条件を満たした場合には、さらに優れた効果を期待することができる。
本発明によれば、高い視認性と優れた強力特性とを同時に兼ね備えたPVdFモノフィラメントからなる釣り糸を得ることができる。したがって、本発明の釣り糸はこれらの優れた特性を活かして、ルアーラインや道糸用途に極めて有用である。
1 測定試料
2 スライドグラス
3 合成樹脂モノフィラメント
4 電球
5 試料台
6 輝度計
7 照射光
8 反射光
W 合成樹脂モノフィラメントの巻き幅[mm]
2 スライドグラス
3 合成樹脂モノフィラメント
4 電球
5 試料台
6 輝度計
7 照射光
8 反射光
W 合成樹脂モノフィラメントの巻き幅[mm]
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の釣り糸は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂80〜99重量%とポリエステル系樹脂1〜20重量%との混合物を溶融紡糸してなる合成樹脂モノフィラメントからなる釣り糸であって、前記合成樹脂モノフィラメントは、引張強度が600〜760MPa、結節強度が475〜550MPaであり、かつスライドグラスに隙間無く巻かれた合成樹脂モノフィラメントに36Wの電球から発する照度150〜800lxの光を当てた時に反射した光の輝度をA[mcd/m2]とし、合成樹脂モノフィラメントが巻かれていない状態のスライドグラスに同様の光を当てた時に反射した光の輝度をB[mcd/m2]とした場合の輝度比A/Bが5〜45であることを特徴とするものである。
まず、本発明で使用するポリフッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデン単位を含む重合体であり、例えばフッ化ビニリデン単独重合体、フッ化ビニリデンを構成単位として70重量%以上含有する共重合体、さらには、これら重合体の混合物が挙げられる。
また、フッ化ビニリデン単位との共重合モノマーとしては、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、3フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、フッ化ビニルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種類を使用することができる。
本発明の釣り糸において、上記のポリフッ化ビニリデン系樹脂80〜99重量%とポリエステル系樹脂1〜20重量%との混合物を溶融紡糸して得られた合成樹脂モノフィラメントからなることが必要であり、さらに、ポリフッ化ビニリデン系樹脂90〜99重量%とポリエステル系樹脂が1〜10重量%からなることが好ましい。
これは、ポリエステル系樹脂が上記範囲を下回ると、糸の透明性が十分に下がらないため、視認性が得られにくく、逆に上記範囲を上回ると、高い強度が得られにくくなるからである。
また、ポリエステル系樹脂は、融点が150〜280℃であることが好ましく、さらには160〜250℃であることが好ましい。
これは、ポリエステル系樹脂の融点がPVdFの融点(175℃)に近いほど、両方のポリマーが溶融紡糸機内で安定な溶融状態となって、PVdFとポリエステル系樹脂との混練状態がより均一になるからであり、これにより、吐出安定性や延伸安定性が得られ、紡糸トラブルが発生しにくくなる。
特に延伸過程では、ポリエステル系樹脂が均一に分散されるため、PVdFとポリエステル系樹脂とがよく似た延伸挙動を示し、PVdFとポリエステル系樹脂との相溶性は低いものの、ポリエステル系樹脂が異物として作用しにくくなって、引張強力を高く保つことができる。
こうした観点から言えば、PVdFに含有せしめるポリエステル系樹脂としては、(A)ポリブチレンテレフタレート、(B)ポリトリメチレンテレフタレート、(C)ブチレンテレフタレート単位および/またはブチレンイソフタレート単位90〜98重量%と脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位2〜10重量%とから構成される共重合ポリエステルの中から選ばれた少なくとも一種類であることが好ましい。
ここで、(C)の共重合ポリエステルは、ブチレンテレフタレート単位および/またはブチレンイソフタレート単位90〜98重量%、特に97〜93重量%と、脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位2〜10重量%、特に3〜7重量%とから構成される共重合ポリエステルであることが好ましい。
これは、脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位の共重合比率が上記範囲を下回ると、流動性が不足して紡糸不調を起こしやすく、逆に上記範囲を下回ると、溶融紡糸の際に紡糸口金の吐出孔周辺に汚れが付着しやすくなるばかりか、合成樹脂モノフィラメントの線径斑が増大しやすくなるからである。
また、共重合ポリエステル中の脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位としては、メチレン数が3〜10個のジカルボン酸のジブチルエステル単位が好ましく、特にジブチルアジペート単位が好ましい。
なお、共重合ポリエステルは、25℃の下、フェノール/テトラクロルエタン=1/1の溶液中に溶かして測定した極限粘度[η]が0.3以上のものを使用するのが好ましい。
次に、本発明の釣り糸を構成する合成樹脂モノフィラメントは、引張強度が600〜760MPa、結節強度が475〜550MPaであることが必要であり、さらには引張強度が650〜760MPa、結節強度が500〜550MPaであることが好ましい。
これは、引張強度が上記範囲を下回ると、直線部の強度が低いために、釣り糸に適用しにくくなり、逆に引張強度が上記範囲を上回ると、繊維表層部のポリマーが高配向化するため結節強度が低下しやすくなるからである。
また、結節強度が上記範囲を下回ると、糸同士または糸と仕掛け金具との結び目が弱くなるために、釣り糸に適用しにくくなり、逆に上記範囲を上回る結節強度を得ることは、引張強度との関係上、技術的に難しくなるからである。
さらに、本発明の目的の一つである釣り糸の視認性は、反射光の強さと色のコントラストに影響される。
そこで、反射光の強さの指標を輝度とし、本発明においては、スライドグラスに隙間無く巻きつけた合成樹脂モノフィラメントに36Wの電球から発する照度150〜800lxの光を当てた時に反射した光の輝度をA[mcd/m2]、合成樹脂モノフィラメントが巻かれていない状態のスライドグラスに同様の光を当てた時に反射した光の輝度をB[mcd/m2]とした場合の輝度比A/Bが5〜45であることが必要であり、さらに10〜45であることが好ましい。
これは、輝度比が上記範囲を下回ると、反射光が弱いために、十分な視認性が得られにくくなり、逆に上記範囲を上回る輝度比を得るためには、ポリエステル系樹脂の代わりに反射材の役割をする固体を添加しなければならず、このような固体は合成樹脂モノフィラメント内で異物として作用するために、強度を下げる原因となりやすいからである。
なお、本発明の目的と要求性能を阻害しない範囲であれば、合成樹脂モノフィラメントに可塑剤、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、結晶化抑制剤などの添加剤を含有せしめることができる。
本発明の釣り糸を構成する合成樹脂モノフィラメントは、以下に説明する方法により効率的に製造することができる。
まず、合成樹脂モノフィラメントを溶融紡糸するに際しては、例えばエクストルダー型溶融紡糸機を使用して、ポリマー温度、押出圧力、口金口径、紡糸速度などの各条件を適宜選択することができる。
なお、PVdFとポリエステル系樹脂とを混合する場合には、粉末状の両ポリマーを所定の重量比率で混合した後、2軸混練押出機やドウミキサーなどへ供給し、加熱下で混練して樹脂ペレット化する方法、またはペレット状の両ポリマーをドライブレンドする方法などを使用することも可能である。
次に、溶融紡糸機から紡出されたポリマー溶融物は、短い気体ゾーンを通過した後、例えば水、グリセリン、ポリエチレングリコールなどの冷却媒体中で冷却固化されて、未延伸糸となる。
冷却固化された未延伸糸は、引き続き1段乃至多段延伸される。この際、未延伸糸は、温水、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびシリコーンオイルなどの熱媒体浴、熱気体浴、または水蒸気浴中で、全延伸倍率5.0倍以上、好ましくは5.5倍以上に延伸される。
さらに、延伸された合成樹脂モノフィラメントは、延伸歪みの除去を目的として、適宜定長および/または弛緩熱処理を行なってもよい。
なお、本発明においては、輝度比が5〜45の範囲であれば、既存の着色・染色方法を利用して、黄色、オレンジ、ピンクなどの色を合成樹脂モノフィラメントに施してもよく、こうすることで、色のコントラストが強調されて、視認性がさらに向上する。
また、本発明の釣り糸の断面形状は、必ずしも円形断面だけに限定はされず、その目的に応じて、三角断面、四角断面などの多角形断面や多葉断面などの異形断面であってもよく、さらには合成樹脂モノフィラメント同士を撚り合わせたり、単糸に縒りを掛けたりするなどの2次加工したものであってもよい。
さらに、本発明の釣り糸の直径についても特に限定はされないが、釣り糸としては通常0.05mm〜1mmが好ましく、視認性および強度特性の点から言えば、さらに0.1mm〜0.7mmが好ましい。
こうして得られた合成樹脂モノフィラメントを釣り糸として使用した場合には、従来のPVdFモノフィラメントからなる釣り糸に比べて高い視認性と優れた強度特性とを兼ね備えた釣り糸となることから、特にルアーラインや道糸用途に有用である。
以下に、本発明の釣り糸を実施例に基づいて説明するが、合成樹脂モノフィラメントの各物性測定と釣り糸の評価は以下の方法に準じて行った。
[引張強度および結節強度]
JIS L1013の規定に準じて測定した。
JIS L1013の規定に準じて測定した。
[輝度比]
図1に示すように、スライドグラス2(松浪ガラス工業製S−1111)に測定対象の合成樹脂モノフィラメント3を幅Wが10mmになるように均一に隙間なく巻き、測定試料1を作成した。
図1に示すように、スライドグラス2(松浪ガラス工業製S−1111)に測定対象の合成樹脂モノフィラメント3を幅Wが10mmになるように均一に隙間なく巻き、測定試料1を作成した。
そして、図2に示すように、暗室内で、36W(40形)の電球4(National製 LW100V36WL/1P)を使用して、測定試料1に照度150〜800lxの照射光7を当て、反射光8の輝度A[mcd/m2]を輝度計6(コニカミノルタ センシング社製 LS−100)で測定した。
なお、測定位置は、巻きつけられた合成樹脂モノフィラメント3のほぼ中央部分とし、背景に反射のない黒布を使用した。
また、合成樹脂モノフィラメントが巻かれていないスライドグラス2にも同じように照射光7を当て、反射光8の輝度B[mcd/m2]を輝度計6で測定した。
そして、測定した2つの輝度AおよびBから、輝度比A/B[−]を求めた。
[視認性]
複数の釣り人に実釣評価してもらい、次の二段階で評価した。
○…釣り場で十分視認可能であった、
×…釣り場で視認不可能であった。
複数の釣り人に実釣評価してもらい、次の二段階で評価した。
○…釣り場で十分視認可能であった、
×…釣り場で視認不可能であった。
[実釣評価]
複数の釣り人に実釣評価してもらい、次の三段階で評価した。
◎…特に問題はなく、従来の釣り糸より使いやすかった、
○…特に問題はなかったが、従来の釣り糸と同等であった、
×…糸の抵抗や強度などに問題があり、釣りを続けることができなくなったか、もしくは釣りに適さなかった。
複数の釣り人に実釣評価してもらい、次の三段階で評価した。
◎…特に問題はなく、従来の釣り糸より使いやすかった、
○…特に問題はなかったが、従来の釣り糸と同等であった、
×…糸の抵抗や強度などに問題があり、釣りを続けることができなくなったか、もしくは釣りに適さなかった。
[実施例1]
PVdFペレット(ダイキン社製 VP835)95重量%とポリブチレンテレフタレートペレット(東レ社製 1100S、融点224℃、以下PBTと言う)5重量%との混合物をドライブレンドした後、エクストルダー型紡糸機に供給し、260℃の紡糸温度で溶融混練して、紡糸口金からポリマー溶融物を紡出した。
PVdFペレット(ダイキン社製 VP835)95重量%とポリブチレンテレフタレートペレット(東レ社製 1100S、融点224℃、以下PBTと言う)5重量%との混合物をドライブレンドした後、エクストルダー型紡糸機に供給し、260℃の紡糸温度で溶融混練して、紡糸口金からポリマー溶融物を紡出した。
そして、このポリマー溶融物を20℃のポリエチレングリコール液中で冷却固化して未延伸糸とし、さらにこの未延伸糸を165℃のポリエチレングリコール浴中で3.5倍の一段目延伸を行い、次に155℃のポリエチレングリコール浴中で0.95倍の中間熱処理を行った。
さらに、180℃の乾熱浴中で全延伸倍率が6.4倍となるように二段目延伸を行い、引き続いて155℃の乾熱浴中で0.90倍の熱処理を施すことにより、直径約0.22mmの合成樹脂モノフィラメントを得た。
[実施例2]
実施例1で使用したPVdFペレット85重量%と共重合ポリエステルペレット(ブチレンテレフタレート単位:65.3重量%、ブチレンイソフタレート単位:30.1重量%、ブチレンアジペート単位:4.6重量%から構成)15重量%との混合物を原料に使用し、延伸後に染色を施したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
実施例1で使用したPVdFペレット85重量%と共重合ポリエステルペレット(ブチレンテレフタレート単位:65.3重量%、ブチレンイソフタレート単位:30.1重量%、ブチレンアジペート単位:4.6重量%から構成)15重量%との混合物を原料に使用し、延伸後に染色を施したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
なお、染色液は、水性分散液92重量%に黄色分散染料(三菱化成ヘキスト社製 ダイヤニックスACEイエロー)を8重量%分散配合したものを使用し、特許第3366967号に記載の方法で染色を施した。
[実施例3]
実施例1で使用したPVdFペレット95重量%、実施例2で使用した共重合ポリエステルペレット2.5重量%、およびポリトリメチレンテレフタレートペレット(Dupont社製 MN−126、融点220℃、以下PTTと言う)2.5重量%の混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
実施例1で使用したPVdFペレット95重量%、実施例2で使用した共重合ポリエステルペレット2.5重量%、およびポリトリメチレンテレフタレートペレット(Dupont社製 MN−126、融点220℃、以下PTTと言う)2.5重量%の混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
[実施例4]
PVdFペレット98重量%とポリエチレンテレフタレートペレット(東レ社製 T200、融点255℃、以下PETと言う)2重量%の混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
PVdFペレット98重量%とポリエチレンテレフタレートペレット(東レ社製 T200、融点255℃、以下PETと言う)2重量%の混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
[実施例5]
PVdFペレット99重量%と共重合ポリエステルペレット(東レ製 ケミットR248、融点113℃)1重量%の混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
PVdFペレット99重量%と共重合ポリエステルペレット(東レ製 ケミットR248、融点113℃)1重量%の混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
[比較例1]
PVdFペレットのみ(100重量%)を使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
PVdFペレットのみ(100重量%)を使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
[比較例2]
比較例1において、延伸後に実施例2と同じ方法で染色を施したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
比較例1において、延伸後に実施例2と同じ方法で染色を施したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
[比較例3]
PVdFペレット99.98重量%と粉末状の酸化チタン(富士チタン工業製TA−300)0.02重量%との混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
PVdFペレット99.98重量%と粉末状の酸化チタン(富士チタン工業製TA−300)0.02重量%との混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
[比較例4]
PVdFペレット60重量%とPBTペレット40重量%との混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
PVdFペレット60重量%とPBTペレット40重量%との混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
[比較例5]
PVdFペレット99.8重量%とPBTペレット0.2重量%との混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
PVdFペレット99.8重量%とPBTペレット0.2重量%との混合物を原料に使用したこと以外は、実施例1と同じ製造方法で合成樹脂モノフィラメントを得た。
以上、各合成樹脂モノフィラメントの原料組成および各種物性を表1、2に示し、これら合成樹脂モノフィラメントを釣り糸に使用した場合の評価結果を表2に併せて示す。
表2の結果から明らかなように、本発明の釣り糸(実施例1〜5)は、高い視認性と優れた強度特性とを同時に兼ね備えており、釣り糸として従来のものよりも優れていることが分かる。
一方、PVdFのみからなる釣り糸(比較例1)は、強度が優れるものの視認性が悪く、目印となる浮きを使用しなければならなかった。
また、PVdFモノフィラメントに染色を施した釣り糸(比較例2)は、釣り場との色のコントラストにより視認性がやや改善されたものの、透明な糸であるため、天候によって見えにくいことがあった。
PVdFに酸化チタンを添加した釣り糸(比較例3)は、視認性が向上したものの、強度低下が著しく、十分な実釣成果が得られなかった。
さらに、ポリエステル系樹脂の添加量が多い釣り糸(比較例4)も、視認性が向上したものの、強度低下が著しく、十分な実釣成果が得られず、逆に、ポリエステル系樹脂の添加量が少ない釣り糸(比較例5)は、強度が優れているものの視認性が悪く、改善効果が得られなかった。
以上説明したように、本発明の釣り糸は、従来のPVdFモノフィラメントからなる釣り糸に比べて視認性が高く、優れた強度特性を有するため、特にルアーラインや道糸としてその性能を遺憾なく発揮する。
Claims (3)
- ポリフッ化ビニリデン系樹脂80〜99重量%とポリエステル系樹脂1〜20重量%との混合物を溶融紡糸してなる合成樹脂モノフィラメントからなる釣り糸であって、前記合成樹脂モノフィラメントは、引張強度が600〜760MPa、結節強度が475〜550MPaであり、かつスライドグラスに隙間無く巻かれた合成樹脂モノフィラメントに36Wの電球から発する照度150〜800lxの光を当てた時に反射した光の輝度をA[mcd/m2]とし、合成樹脂モノフィラメントが巻かれていない状態のスライドグラスに同様の光を当てた時に反射した光の輝度をB[mcd/m2]とした場合の輝度比A/Bが5〜45であることを特徴とする釣り糸。
- 前記ポリエステル系樹脂の融点が150〜280℃であることを特徴とする請求項1に記載の釣り糸。
- 前記ポリエステル系樹脂が、(A)ポリブチレンテレフタレート、(B)ポリトリメチレンテレフタレートおよび(C)ブチレンテレフタレート単位および/またはブチレンイソフタレート単位90〜98重量%と脂肪族ジカルボン酸のジブチルエステル単位2〜10重量%とから構成される共重合ポリエステルから選ばれた少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1または2に記載の釣り糸。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012100551A (ja) * | 2010-11-08 | 2012-05-31 | Toray Monofilament Co Ltd | 釣糸およびその製造方法 |
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2009
- 2009-02-05 JP JP2009024432A patent/JP2010178663A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012100551A (ja) * | 2010-11-08 | 2012-05-31 | Toray Monofilament Co Ltd | 釣糸およびその製造方法 |
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