JP4758317B2 - ポリエステル芯鞘複合繊維 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
(1)芯部がポリ乳酸で構成されたポリエステル芯鞘複合繊維であって、固有粘度が0.41〜0.59のポリエチレンテレフタレートを鞘部とし、かつ鞘部のポリエチレンテレフタレートのみが原料着色化されていることを特徴とするポリエステル芯鞘複合繊維。
(2)芯部を構成するポリ乳酸の数平均分子量が7万〜15万であり、芯部の偏心度が3.0以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル芯鞘複合繊維。
さらに、石油由来の汎用プラスチックに比べ相対的に熱安定性や機械的特性に劣るポリ乳酸を構成成分としながらも、本発明のポリエステル芯鞘複合繊維は、強度、耐湿熱分解性に優れており、衣料、産業資材用途等に幅広く用いることが可能となる。
本発明のポリエステル芯鞘複合繊維(以下、本発明の複合繊維と略す場合がある。)は、ポリエチレンテレフタレートとポリ乳酸とからなる芯鞘複合繊維であって、鞘部がポリエチレンテレフタレート、芯部がポリ乳酸によって構成されるものである。
また、ジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール等を挙げることができる。
通常、複合繊維の原料着色化には、(1)芯部を原料着色化する、(2)鞘部を原料着色化する、(3)芯部と鞘部の両方を原料着色化するという3つの方法があるが、本発明においては、鞘部を原料着色化することが必要である。(1)の芯部を原料着色化、(3)の芯部と鞘部の両方を原料着色化した場合には、ポリ乳酸を原料着色化することになるが、本発明の複合繊維において、ポリ乳酸を原料着色した場合には、紡出時に紡糸ノズルからの複合繊維の押し出し性が著しく悪くなり、ポリマーがノズル面に付着してしまい、紡糸が困難となる。
なお実施例における特性値等の測定法は次の通りである。
(1)ポリエチレンテレフタレートの固有粘度
フェノール/四塩化エタンの等質量混合溶液を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用して20℃下で常法に基づき測定した。
(2)ポリ乳酸の数平均分子量
テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、屈折率計を使用して測定した。
(3)L−乳酸、D−乳酸の含有量(%)
1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液と超純水の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(4)紡糸操業性
2錘で8時間の紡糸を行い、糸切れが0 回を◎、1回以上2回以下を○、3回以上5回以下を△、6回以上を×とした。本発明では糸切れ2回以下を合格とした。
(5)偏心度
前述の式により算出した。なお、鞘部の厚みは、繊維の長さ方向に対して垂直に切断した横断面を、光学顕微鏡(500倍)にて撮影し、顕微鏡写真より測定し、n=20の平均値とした。
(6)単糸強度(cN/dtex)
得られた複合繊維の耐久性の評価にあたっては、複合繊維の単糸強度をもっておこなった。強度測定は、JIS L−1015 8−7−1の方法により行った。
本発明においては、 単糸強度3.0cN/dtex以上を合格とした。
数平均分子量が89500であり、D−乳酸の含有量が1.3質量%であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸を芯部とし、固有粘度が0.42のポリエチレンテレフタレート16.5質量部に、平均の一次粒子径が43μmのカーボンブラックを35質量%混練したマスターペレット(ポリエチレンテレフタレート、固有粘度0.59)を1質量部混合することで、カーボンブラック濃度が2.0質量%となるように原料着色化したポリエチレンレテフタレートを鞘部とし、孔数560孔、丸断面複合紡糸口金を用い、芯鞘比率が溶融容積比として芯:鞘=50:50、偏心度が1.5となるように、紡糸温度280℃、紡糸速度800m/分で溶融紡糸し、ポリエステル芯鞘複合繊維の未延伸糸を得た。次いで、得られた未延伸糸を延伸温度60℃、延伸倍率4.50倍で延伸してから、140℃で緊張熱処理を行うことで、繊度が3.3dtexのポリエステル芯鞘複合繊維を得た。結果を表1に示す。
実施例1におけるポリエチレンテレフタレートの固有粘度および偏心度を表1に示すように変更した以外は、実施例1の方法と同様にして、ポリエステル芯鞘複合繊維を得た。結果を表1に示す。
数平均分子量が89500であり、D−乳酸の含有量が1.3質量%であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸16.5質量部に対し、平均の一次粒子径が43μmのカーボンブラックを35質量%混練したポリ乳酸からなるマスターペレット(数平均分子量85300)を1質量部混合することで、カーボンブラック濃度が2.0質量%となるように原料着色化したポリ乳酸を芯部に用い、鞘部は原料着色化しないエチレンテレフタレート(固有粘度0.56)を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして、ポリエステル芯鞘複合繊維の紡糸を行った。結果を表1に示す。
実施例1で作成したポリエチレンテレフタレートからなるマスターペレットを鞘部用に用い、比較例2で作成したポリ乳酸からなるマスターペレットを芯部用に用い、芯部、鞘部共に顔料濃度1.5質量%で原料着色化した以外は、実施例1の方法と同様にして、ポリエステル芯鞘複合繊維の紡糸を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1におけるポリエチレンテレフタレートの固有粘度を0.38に変更した以外は、実施例1の方法と同様にして、ポリエステル芯鞘複合繊維の紡糸を行った。結果を表1に示す。
また、比較例2、3では、ポリ乳酸を原料着色化したため、紡糸ノズルからの複合繊維の押し出し性が著しく悪くなり、ポリマーがノズル面に付着し、紡糸できなかった。さらに、比較例4では、鞘部のポリエチレンテレフタレートの固有粘度が低いため溶融粘度が低くなり、紡糸操業性が悪く、目的とする芯鞘複合糸は得られなかった。
Claims (2)
- 芯部がポリ乳酸で構成されたポリエステル芯鞘複合繊維であって、固有粘度が0.41〜0.59のポリエチレンテレフタレートを鞘部とし、かつ鞘部のポリエチレンテレフタレートのみが原料着色化されていることを特徴とするポリエステル芯鞘複合繊維。
- 芯部を構成するポリ乳酸の数平均分子量が7万〜15万であり、芯部の偏心度が3.0以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル芯鞘複合繊維。
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