JP2003193333A - 熱融着性複合繊維、その製造方法、不織布及び壁紙 - Google Patents

熱融着性複合繊維、その製造方法、不織布及び壁紙

Info

Publication number
JP2003193333A
JP2003193333A JP2001389993A JP2001389993A JP2003193333A JP 2003193333 A JP2003193333 A JP 2003193333A JP 2001389993 A JP2001389993 A JP 2001389993A JP 2001389993 A JP2001389993 A JP 2001389993A JP 2003193333 A JP2003193333 A JP 2003193333A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheath
heat
polyester
fiber
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001389993A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisao Nishinaka
久雄 西中
Shinichiro Inatomi
伸一郎 稲富
Yoshihiro Matsui
美弘 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2001389993A priority Critical patent/JP2003193333A/ja
Publication of JP2003193333A publication Critical patent/JP2003193333A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工時の熱により鞘部が均一に流動するとと
もに、工程通過性がよい熱融着性複合繊維、この繊維の
製造方法、この繊維を含む不織布及びこの不織布を含む
壁紙を提供する。 【解決手段】 ポリエステルを主成分とする高融点の
芯部とポリエステルを主成分とする低融点の鞘部とを備
え、鞘部に含まれるポリエステルがMw/Mn≦2.5(Mw:
重量平均分子量、Mn:数平均分子量)を満足する熱融着
性複合繊維。鞘部ポリエステルを連続重合法により重
合し、重合後吐出されるまでのポリエステルの溶融状態
での滞留時間を10分間以下とする方法。この熱融着性
複合繊維を含む不織布。壁紙用基材及びこの不織布を
積層した壁紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、熱融着性複合繊
維、この繊維の製造方法、この繊維を用いた不織布及び
この不織布を用いた壁紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、低融点成分からなる鞘部と高融点
成分からなる芯部とからなる芯鞘型の熱融着性複合繊維
が、短繊維不織布用繊維として用いられている。短繊維
不織布の製造方法としては、接着法、ニードルパンチ
法、ウォーターパンチ法等の種々の方法があるが、熱接
着法による短繊維不織布の製造に熱融着性複合繊維が好
適に用いられる。
【0003】熱融着性複合繊維を用いて熱接着法により
不織布を製造するにあたっては、通常、繊維を紡糸、延
伸して得られるマルチフィラメントに捲縮を付け、さら
に切断してステープルファイバーを得、このステープル
ファイバーからカードウェブを作製する。次いで、カー
ドウェブを複数枚重ねた状態で、低融点成分の融点より
高い温度に加熱することにより低融点成分を融解し、繊
維相互を融着させる。これにより不織布が得られる。加
熱は、加熱空気をウェブ中を通過させるスルーエア法、
加熱ローラによりウェブを圧着し接着させるヒートカレ
ンダ法、彫刻を施したカレンダーローラによりウェブを
圧着し微細な凹凸を付与するポインドボンド法等により
行うことができる。
【0004】また、熱融着性複合繊維からなる不織布
は、壁紙製造に用いられている。不織布を用いて壁紙を
製造するにあたっては、難燃紙などの壁紙用基紙上に1
枚または複数枚の不織布を重ね、通常、その表面上に印
刷を施し、あるいはさらに撥水剤、難燃剤などを塗布す
る。次いで、この積層シートをエンボスローラにより熱
圧接して凹凸を施す。エンボス加工時の熱で熱融着性複
合繊維の低融点成分が融解し、繊維相互が融着する。
【0005】このような用途に用いられる熱融着性複合
繊維は、バッチ重合法または連続重合法により樹脂を合
成した後、一旦チップとしチップを再溶融して紡糸する
チップ紡糸法または重合された溶融状態の樹脂をそのま
ま紡糸する直接紡糸法により紡糸される。
【0006】従来の熱融着性複合繊維は、いずれの方法
で製造されたものも、不織布製造における熱処理時やそ
の後の壁紙製造におけるエンボス加工時に鞘部が均一に
流動し難い傾向にある。そのため、瞬時に効率よく賦形
することが困難であり、またエンボス加工時に際だった
シャープな凹凸を形成することが困難である。
【0007】また、従来の熱融着性複合繊維は、カード
処理時にカードに粘着物が付着したり、エンボスローラ
に汚れが付着するなど工程通過性が悪い傾向にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加工時の熱
により鞘部が均一に流動するとともに、工程通過性がよ
い熱融着性複合繊維、この繊維の製造方法、この繊維を
含む不織布、この不織布を含む壁紙を提供することを主
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために研究を重ね、以下の知見を見出した。 従来の芯鞘型の熱融着性複合繊維は、鞘部の主成分
である低融点高分子の分子量分布が広く、すなわち低分
子量のオリゴマーが多く含まれるために、不織布製造に
おける熱処理時や、壁紙製造におけるエンボス加工時に
鞘部が均一に流動し難い。また、このオリゴマーが不織
布製造中にカードに粘着物となって付着したり、エンボ
ス加工時の熱により炭化してエンボスローラに付着す
る。 ポリエステル系の芯鞘型の熱融着性複合繊維におい
て、鞘部の主成分であるポリエステルの分子量分布(重
量平均分子量/数平均分子量)を2.5以下に設定するこ
とにより、実用上十分な加熱時流動性を有するととも
に、実用上十分に工程通過性のよい繊維が得られる。 鞘部を構成する高分子の分子量分布を狭くするため
には、重合期間中及び紡糸期間中に、高分子材料が熱に
曝される期間をなるべく短くすることが有効である。
【0010】本発明は、前記知見に基づきさらに研究を
重ねて完成されたものであり、以下の熱融着性複合繊
維、その製造方法、不織布及び壁紙を提供する。
【0011】項1. ポリエステルを主成分とする高融
点の芯部とポリエステルを主成分とする低融点の鞘部と
を備え、鞘部に含まれるポリエステルが以下の式を満足
するものである熱融着性複合繊維。
【0012】Mw/Mn≦2.5 Mw:重量平均分子量 Mn:数平均分子量 項2. 鞘部の融点が、芯部の融点より30℃以上低い項
1に記載の熱融着性複合繊維。
【0013】項3. 芯部と鞘部との重量比が3:7〜
7:3である項1に記載の熱融着性複合繊維。
【0014】項4. 繊度が1.1〜6.6dtexである項1に
記載の熱融着性複合繊維。
【0015】項5. 鞘部の固有粘度が0.55〜0.65 dl
/gである項1に記載の熱融着性複合繊維。
【0016】項6. 鞘部に含まれるポリエステルの酸
成分のうち20〜60mol%がイソフタル酸であり、芯部に
含まれるポリエステルがポリエチレンテレフタレートで
ある項1に記載の熱融着性複合繊維。
【0017】項7. 芯部及び鞘部に含まれる各ポリエ
ステルの重合工程、紡糸工程及び延伸工程を含み、鞘部
に含まれるポリエステルを連続重合法により重合し、か
つ、このポリエステルの重合後紡糸口金から吐出される
までの溶融状態での滞留時間を10分間以下とする熱融着
性複合繊維の製造方法。
【0018】項8. 項1〜6のいずれかに記載の熱融
着性複合繊維を含む不織布。
【0019】項9. 壁紙用基材及び項8に記載の不織
布を積層した壁紙。
【0020】
【発明の実施の形態】(1)熱融着性複合繊維 本発明の熱融着性複合繊維は、ポリエステルを主成分と
する高融点の芯部とポリエステルを主成分とする低融点
の鞘部とを備え、鞘部に含まれるポリエステルが以下の
式を満足するものである。
【0021】Mw/Mn≦2.5 Mw:重量平均分子量 Mn:数平均分子量 鞘部に含まれるポリエステルは、Mw/Mn≦2.4であるこ
とが好ましく、Mw/Mn≦2.3であることがより好まし
い。Mw/Mnの下限は2程度である。鞘部ポリエステルのM
w/Mn(分子量分布)は、実施例に記載の方法により測
定した値である。芯部材料 ポリエステル 芯部に含まれるポリエステルとしては、例えば芳香環を
主鎖中に有する芳香族ポリエステル樹脂が挙げられる。
芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸または
そのエステル誘導体とジオ−ルまたはそのエステル誘導
体とを主成分として用いて縮合反応により得られる共重
合体である。
【0022】芳香族ジカルボン酸としては、それには限
定されないが、例えばテレフタル酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸、4,4 ´ジカルボキシジフェニル等が挙
げられる。
【0023】ジオールとしては、それには限定されない
が、例えばエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−
ル、1,3 −プロパンジオ−ル、1,4 −ブタンジオ−ル、
1,4 −シクロヘキサンジオ−ル 、1,4 −シクロヘキサ
ンジメタノ−ル等が挙げられる。
【0024】芯部のポリエステル樹脂の好適な具体例と
しては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシ
クロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリヘキサメ
チレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレートなど
が挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレートが好
ましい。これらのポリエステルは単独でまたは2種以上
混合して用いることができる。
【0025】芯部には、繊維強度を著しく損なわない範
囲内で、前記ポリエステルにおいてイソフタル酸などの
非直線的な芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸が
共重合されたポリエステル、酸成分が非直線的な芳香族
ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸であるポリエステ
ル、ポリオレフィン等が含まれていてもよい。その他の成分 また、芯部には、必要に応じて、無機結晶核剤、顔料、
難燃剤、安定剤、減粘剤、増粘剤などが配合されていて
もよい。但し、これらの配合量は、芯部ポリエステルの
結晶化を阻害しない範囲内とする。<無機結晶核剤> 無機結晶核剤は、従来公知のグラファ
イト、二硫化モリブデン、硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、リン酸ナトリウム、タルク、マイカ、カオリン等を
使用できる。無機結晶核剤は、粒径0.01〜1μm程度のも
のを用いればよい。
【0026】無機結晶核剤の使用量は、結晶性ポリエス
テル樹脂100重量部に対して、通常0.05〜5重量
部程度、特に0.1〜3重量部程度とするのが好まし
い。この範囲内であれば、紡糸時の溶融樹脂の流動性が
低くなりすぎることがなく、また繊維表面に無機結晶核
剤が露出して外観を損ねることがない。<顔料> 芯部には、顔料が含まれていてもよく、含まれ
ていなくてもよい。芯部中に顔料が含まれている場合に
は、その配合比率は、鞘部より低いことが好ましい。芯
部中の顔料の配合比率は、0.05〜8重量%程度、特に0.1
〜5重量%程度であることが好ましい。
【0027】顔料の種類は特に限定されず、従来繊維に
添加されている公知の顔料を使用できる。無機顔料とし
ては、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、ア
ナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄(鉄黒、べん
がら)、黄色酸化鉄、フェロシアン化鉄(紺青)、紺青
と黄鉛との混合物(ジンクグリーン)、酸化鉛(鉛
丹)、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化コバルトと
酸化アルミニウムとの複合物(コバルトブルー)、酸化
コバルトと酸化錫と酸化マグネシウムとの複合物(セリ
アンブルー)、酸化コバルトと酸化リチウムと五酸化リ
ンとの複合物(コバルトバイオレット)、酸化コバルト
と酸化亜鉛と酸化マグネシウムとの複合物(コバルトグ
リーン)、リン酸コバルト(コバルトバイオレット)、
リン酸マンガン(マンガン紫)等の金属酸化物;硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫化
亜鉛と硫酸バリウムとの複合物(リトポン)、硫化カル
シウム、硫化ストロンチウム、硫化亜鉛、硫化亜鉛カド
ミウム(カドミウムイエロー)、硫化カドミウムと硫化
水銀との複合物(カドミウムマーキュリーレッド)、硫
化水銀(銀朱)、硫化カドミウムとセレニウム−カドミ
ウムの複合物(カドミウムレッド、カドミウムオレン
ジ、カドミウムイエロー)、硫化アンチモンと三酸化ア
ンチモンとの複合物(アンチモン朱)等の金属硫化物;
炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸鉛と水酸化鉛との複合物(鉛白)等の金属炭酸化物;
水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、水酸化アル
ミニウムと硫酸カルシウムとの複合物(チサン白)、水
酸化アルミニウムと硫酸バリウムとの複合物(グロスホ
ワイト)、クロム酸水和物(ビリジアン)等の金属水酸
化物;クロム酸鉛(黄鉛)、クロム酸亜鉛(亜鉛黄)ク
ロム酸バリウム、クロム酸鉛と酸化鉛との複合物(赤口
黄鉛)、クロム酸鉛とモリブデン酸鉛と硫酸鉛との複合
物(クロムバーミリオン)等のクロム酸金属塩;モリブ
デン酸鉛と硫酸鉛との複合物(モリブデンレッド);紺
青と黄鉛との混合物(クロムグリーン);スピネル型
(XY2O4)構造酸化物(例えばXY=Co-Al、Co-Al-Cr、Co-
Mg-Sn、Co-Ni-Ti、Co-Zn-Ni-Ti、Co-Zn-Cr-Ti、Zn-Cr-T
i、Zn-Cr-Fe、Co-Zn-Cr-Fe、Co-Ni-Cr-Fe-Si、Co-Mn-Cr
-Fe、Cu-Mn-Cr、Mn-Fe等);ルチル型(Ti(XY)O2)構
造酸化物(例えばXY=Pb-Sb、Ni-Sb(チタンイエロ
ー)、Ni-W、Fe-Mo、Cr-Sb等);カーボンブラック;チ
タンブラク;アセチレンブラック;黒鉛;シリカ;ホワ
イトカーボン;ケイ藻土;タルク;クレー;アルミニウ
ム粉顔料;ブロンズ粉;ニッケル粉;ステンレス粉;パ
ール顔料等が挙げられる。
【0028】有機顔料としては、例えばスチルベンビス
ベンゾオキサゾール誘導体であるホスタルックスKS(ク
ラリアント社製)OB−1(イーストマンコダック社製)
等が挙げられる。特に、ホスタルックスKSが好ましい。
これは、ホスタルックスKSはポリエステルとの混合溶解
性、溶融装置内での溶融均一性、紡糸作業性及び得られ
る繊維の白度均一性が良好になるためである。ホスタル
ックスKSの商品名を有する製品の中でもメチル基を有す
るタイプのもの、例えば4-(-ベンゾキサゾイル)-4'-(5
-メチル-2-ベンゾキサゾイル)スチルベン、4,4-ビス-
(5-メチル-2-ベンゾキサゾイル)スチルベンなどの4,
4'-ビス(2-ベンゾキサゾイル)スチルベン同族体が好
ましい。鞘部材料 ポリエステル 鞘部に含まれるポリエステルとしては、ジカルボン酸成
分として、テレフタル酸等の直線的な芳香族ジカルボン
酸とフタル酸、イソフタル酸等の非直線的な芳香族ジカ
ルボン酸とを用い、ジオール成分として、例えばエチレ
ングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,2 −プロパン
ジオ−ル、1,3 −プロパンジオ−ル、1,3 −ブタンジオ
−ル、1,4 −ブタンジオ−ル、1,5 −ペンタンジオ−
ル、ネオペンチルグリコール、1,6 −ヘキサンジオ−
ル、1,4 −シクロヘキサンジオ−ル、1,4 −シクロヘキ
サンジメタノ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−
ル、1,3−シクロヘキサンジメタノ−ル、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール等を用いたポリエス
テルが挙げられる。
【0029】フタル酸、イソフタル酸等の非直線的な芳
香族ジカルボン酸の共重合比率は、酸成分の通常20〜60
mol%程度、特に30〜50mol%程度であることが好まし
い。
【0030】また、ジカルボン酸成分として、フタル
酸、イソフタル酸等の非直線的な芳香族ジカルボン酸を
用い、ジオール成分として、例えばエチレングリコ−
ル、プロピレングリコ−ル、1,2 −プロパンジオ−ル、
1,3 −プロパンジオ−ル、1,3 −ブタンジオ−ル、1,4
−ブタンジオ−ル、1,5 −ペンタンジオ−ル、ネオペン
チルグリコール、1,6 −ヘキサンジオ−ル、1,4 −シク
ロヘキサンジオ−ル 、1,4−シクロヘキサンジメタノ−
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3 −シクロ
ヘキサンジメタノ−ル、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール等を用いたポリエステルも用いること
ができる。
【0031】また、鞘部ポリエステルとしては、ジカル
ボン酸成分として、テレフタル酸等の直線的な芳香族ジ
カルボン酸とコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバ
シン酸、ドデカジオン酸、エイコサンジオン酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂肪族または脂環族ジカル
ボン酸とを用い、ジオール成分として、例えばエチレン
グリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,2 −プロパンジ
オ−ル、1,3 −プロパンジオ−ル、1,3 −ブタンジオ−
ル、1,4 −ブタンジオ−ル、1,5 −ペンタンジオ−ル、
ネオペンチルグリコール、1,6 −ヘキサンジオ−ル、1,
4 −シクロヘキサンジオ−ル 、1,4 −シクロヘキサン
ジメタノ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3
−シクロヘキサンジメタノ−ル、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール等を用いたポリエステルも
挙げられる。
【0032】脂肪族または脂環族ジカルボン酸の共重合
比率は、酸成分の通常20〜60mol%程度、特に30〜50mol
%程度であることが好ましい。
【0033】また、鞘部ポリエステルとしては、ジカル
ボン酸成分として、コハク酸、アジピン酸、スベリン
酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、エイコサンジオン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族または脂
環族ジカルボン酸を用い、ジオール成分として、例えば
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,2 −プ
ロパンジオ−ル、1,3 −プロパンジオ−ル、1,3 −ブタ
ンジオ−ル、1,4 −ブタンジオ−ル、1,5 −ペンタンジ
オ−ル、ネオペンチルグリコール、1,6 −ヘキサンジオ
−ル、1,4 −シクロヘキサンジオ−ル 、1,4 −シクロ
ヘキサンジメタノ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ
−ル、1,3 −シクロヘキサンジメタノ−ル、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール等を用いたポリエ
ステルも挙げられる。
【0034】鞘部ポリエステルの好適な具体例として
は、例えばイソフタル酸共重合ポリエステル等が挙げら
れる。
【0035】鞘部には、この他、溶融性を損なわない範
囲で、ポリオレフィンなどの異種樹脂が配合されていて
もよい。
【0036】芯部ポリエステルと鞘部ポリエステルとの
組み合わせとしては、ポリエチレンテレフタレートとイ
ソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートとの組み
合わせ等が好ましい。その他の成分 また、鞘部には、必要に応じて、顔料、難燃剤、安定
剤、減粘剤、増粘剤などが配合されていてもよい。<顔料> 鞘部には顔料を配合することができる。顔料を
配合することにより、繊維の色彩を美しくすることがで
きるのみならず、本発明の繊維を含む不織布を用いた製
品の製造のためのエンボス加工時に繊維相互の接着性が
向上し、また熱エンボスローラの汚れが減少する。
【0037】鞘部中の顔料の配合比率は、通常0.1〜8重
量%程度、特に0.3〜5重量%程度であることが好まし
い。使用可能な顔料の種類は前述したとおりである。融点 <鞘部> 鞘部の融点は、通常100〜180℃程度、特に110
〜160℃程度であるのが好ましい。鞘部の融点は低い方
が融解し易いが、余りに低いと熱処理時に芯部と鞘部と
の溶融粘度差が大きくなって作業性が悪化し易い。ま
た、鞘部の融点が余りに高いと芯部との融点の差が小さ
くなって、芯部を溶融させずに鞘部のみ溶融させるため
の温度コントロールが困難になる。鞘部の融点が前記範
囲内であるときには、このような問題が生じ難い。本明
細書において、鞘部の融点は、実施例に記載の方法で測
定した値である。<芯部> また、芯部の融点は、鞘部の融点より通常30℃
以上、特に50℃以上高いことが好ましい。芯部と鞘部と
の融点差が30℃以上であれば、熱融着時の温度コントロ
ールが容易になる。本明細書において、芯部の融点は、
実施例に記載の方法で測定した値である。固有粘度 結晶性ポリエステルを構成するモノマーの重合度を反映
する値として固有粘度がある。本発明の熱融着性複合繊
維において、鞘部の固有粘度[η]は通常0.55〜0.65dl
/g程度、特に0.57〜0.63dl/g程度であることが好まし
い。固有粘度が0.55dl/g以上である場合には、ポリエス
テルが脆くなりすぎることがなく、熱接着点が外力によ
り容易に剥離することがない。また、固有粘度が0.65 d
l/g以下である場合には、熱接着時に加えるべき熱エネ
ルギーひいてはコストが高くなりすぎることがない。
【0038】本明細書において、固有粘度[η]は、実
施例に記載の方法で測定した値である。繊維形態・諸特性 本発明の熱融着性複合繊維は、繊維の長手方向に垂直な
方向すなわち繊維径方向の断面において、芯部を中心と
して周縁部が完全に鞘部で覆われていてもよく、芯部が
偏心していることにより外周の一部が芯部で占められた
バイメタル型に近いものであってもよい。芯部が偏心し
バイメタル型に近い形態の場合には、前記断面において
外周の少なくとも60%、特に少なくとも80%が鞘部で占
められていることが好ましい。
【0039】また、本発明の熱融着性複合繊維は、芯部
と鞘部との重量比が、通常3:7〜7:3程度、特に4:6〜
6:4程度であることが好ましい。
【0040】本発明の熱融着性複合繊維は、繊度が通常
1.1〜6.6dtex程度、特に1.7〜5.5dtex程度であることが
好ましい。本明細書において、繊度は、JIS L1015A法
に準拠して測定された値である。用途 本発明の熱融着性複合繊維は、不織布、特にサーマルボ
ンド不織布の製造に好適に用いられる。(2)製造方法 本発明の熱融着性複合繊維の製造方法は、鞘部の分子量
分布(Mw/Mn)が2.5以下のポリエステル系複合繊維が
得られる限り特に制限されず、種々の方法を採用できる
が、例えば以下の本発明方法で製造することができる。
【0041】本発明の熱融着性複合繊維の製造方法は、
芯部及び鞘部に含まれる各ポリエステルの重合工程、紡
糸工程及び延伸工程を含み、鞘部に含まれるポリエステ
ルを連続重合法により重合し、かつ、このポリエステル
の重合後紡糸口金から吐出されるまでの溶融状態での滞
留時間を10分間以下とする方法である。この方法を以下
に詳しく説明する。重合工程 芯部及び鞘部の各ポリエステルは、ポリエステルの合成
反応として従来公知の重縮合反応により合成することが
できる。原料モノマーの重合方法にはバッチ重合法と連
続重合法とがあるが、鞘部モノマーの重合にあたっては
連続重合法を採用する。これは、バッチ重合法では、重
合完了後に溶融樹脂を重合釜から徐々に流出させる間に
樹脂が熱を受け続けるために、滞留時間が長い樹脂部分
は分解されて低分子量化し、その結果、得られる複合繊
維の鞘部の分子量分布(Mw/Mn)が大きくなるからであ
る。
【0042】また、連続重合法で鞘部モノマーを重合さ
せるにあたり、始めは低重合度の樹脂部分が流出するた
め、この低重合度部分は採取せず、固有粘度が0.55dl/g
以上、特に0.58dl/g以上となった時点で採取を始めるこ
とが好ましい。紡糸工程 得られた樹脂を用いて紡糸を行うにあたっては、一旦チ
ップ化した後再溶融して紡糸するチップ紡糸法または溶
融状態の樹脂をそのまま紡糸原液として用いる直接紡糸
法等を採用できる。チップ紡糸法の場合には、顔料など
の添加剤は、ポリエステルチップと同時に又は多段階に
添加して押出機、ロールミル、バンバリーミキサー等を
用いて混練すればよい。また、連続紡糸法の場合には、
通常紡糸時にポリエステルに添加剤を添加すればよい。
【0043】いずれの場合にも、重合後の加熱溶融時間
すなわち重合機の押し出し機から押し出された後、紡糸
口金から吐出されるまでの樹脂の溶融状態での滞留時間
は、通常10分間以下とする。特に7分間以下、さらに特
に5分間以下であることが好ましい。この範囲内であれ
ば、通常、得られる複合繊維における鞘部の分子量分布
(Mw/Mn)が2.5以下となる。
【0044】また、紡糸後の繊維の加工容易性、接着性
等を考慮して、繊維が吐出された後トウが収納されるま
での間に、通常油剤が付与される。油剤の種類は特に制
限されず、アルキルリン酸エステル、ポリエーテルエス
テル、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリ
コール共重合体などの公知の油剤を組み合わせて用いる
ことができる。延伸工程 また、延伸は紡糸後に別途行ってもよいが、紡出された
繊維を高速で引き取ることにより紡糸と同時に延伸を行
うこともできる。延伸倍率は、通常1.5〜4倍程度、特に
2〜3.5倍程度とすることが好ましい。後処理 さらに、本発明の熱融着性複合繊維には、通常捲縮が付
けられる。捲縮は例えばクリンパを用いて付与すること
ができる。捲縮数は10〜20個/25mm程度、特に12〜15個
/25mm程度、捲縮率は8〜20%程度、特に10〜16%程度
とすることが好ましい。この際、クリンパの圧力を1〜4
kgf/cm2程度、クリンパの温度を30〜50℃程度に設定す
ることが好ましく、これらの範囲内で適宜クリンパの圧
力及び温度を調節することにより、前記範囲の捲縮数及
び捲縮率が得られる。本明細書において、捲縮数及び捲
縮率は、JIS L1015法に準拠して測定された値である。(3)不織布 構成繊維 本発明の不織布は、構成繊維として本発明の熱融着性複
合繊維を含むものである。また、本発明の不織布は、本
発明の熱融着性複合繊維の他に、ポリエステル系繊維、
レーヨン、綿などの異種繊維を含んでいてもよい。この
ような異種繊維は、全繊維の70重量%以下、特に50重量
%以下であれば混ぜることができる。構成繊維として本
発明の熱融着性複合繊維のみ用いることも勿論可能であ
る。本発明の熱融着性複合繊維を含む不織布は、エンボ
ス加工時に効率よく凹凸を付与することができるととも
に、際だったすなわちシャープな凹凸を付与することが
できるものである。
【0045】また、構成繊維の繊維長は、特に制限され
ないが、通常32〜76mm程度、特に38〜51mm程度であるこ
とが好ましい。本明細書において、繊維長さは、JIS L
1015A法に準拠して測定された値である。
【0046】また、構成繊維は、通常捲縮が付与された
ものである。この場合には、捲縮数が10〜20個/25mm程
度、特に12〜15個/25mm程度、捲縮率が8〜20%程度、
特に10〜16%程度であることが好ましい。製造方法 本発明の短繊維不織布は、例えば熱接着法、バインダ接
着法、ニードルパンチ法、ウオーターパンチ法等の方法
で製造することができる。
【0047】特に、熱接着法が好適に用いられる。熱接
着法による本発明不織布の製造方法の1例を以下に述べ
る。先ず、本発明の熱融着性複合繊維に捲縮を付与した
ものを、通常32〜76mm程度、特に38〜64mm程度の繊維長
に切断してステープルを作製する。次いで、このステー
プルファイバーをカードにかけてカードウェブを得る
か、開繊されたステープルファイバーを気流で飛ばして
ランダムウェブを得る。次いで、ウェブを2〜10枚程度
重ねた状態で、スルーエアボンド装置または熱カレンダ
等に通すことにより、鞘部の融点より高く、芯部の融点
より低い温度で、1秒間〜5分間程度加熱する。これによ
り鞘部が融解して繊維相互が融着した不織布が得られ
る。用途 本発明の不織布の用途は特に制限されず、例えばインテ
リア用品(壁紙、カーテン、カーペット等)、衣料用品
(衣料用芯地、衣料用中入れ綿、使い捨て下着等)、寝
具類、靴・鞄材料(補強剤、甲皮、裏皮、鞄用裏張り、
パッキング等)、産業用資材(フィルター、ワイピング
クロス、フレキシブルディスクケースや電池セパレータ
のような絶縁材、油吸収材等)、土木資材(コンクリー
ト養生シート、アスファルトオーバーレイ等)、生活関
連資材(紙おむつ、お絞り、封筒、ティーバッグ等)、
医療用資材(手術用キャップ、手術用マスク、包帯、サ
ージカルテープ、サニタリーナプキン、紙おむつ等)な
どの多くの用途に広く用いることができる。(4)本発明の壁紙 本発明の壁紙は、壁紙用基材及び本発明の不織布を積層
したものである。不織布は1枚であってもよく、2枚以
上であってもよい。また、不織布層の位置は特に制限さ
れず、基材上に直接積層されていてもよく、または基材
と不織布層との間にフィルム等の異種層が挟まれていて
もよい。さらに、表面部分には、印刷層等が設けられて
いてもよい。また、撥水剤、難燃剤等が塗布されていて
もよい。表面形状は平滑でもよく、凹凸が設けられてい
てもよい。
【0048】本発明の壁紙の製造方法の1例を以下に示
す。壁紙用基材の一方の面に接着剤を塗布し、その上に
不織布を1枚又は2〜3枚程度重ねる。次いで、通常不
織布表面に印刷を施す。さらにその表面に、必要に応じ
て、難燃剤、撥水剤等を塗布する。この後、エンボス加
工により表面に凹凸を付し、プリント(染色)すること
により壁紙が完成する。
【0049】エンボス加工時の温度は、鞘部の融点以上
で芯部の融点より低い温度とすればよい。熱融着性複合
繊維を用いて熱接着法で製造された不織布の場合には、
エンボス加工時に鞘部が再溶融し、フィルムに近い形態
の不織布層が形成される。一方、ウェブを機械的に交絡
させる等により不織布製造時に鞘部が溶融していない場
合には、エンボス加工時に繊維相互が融着されるため
に、不織布層中に繊維形態が保持され、柔らかい風合い
の壁紙が得られる。
【0050】
【発明の効果】本発明によると、加工時の熱により鞘部
が均一に流動するとともに、工程通過性がよい熱融着性
複合繊維、この繊維の製造方法、この繊維で構成される
不織布、この不織布を含む壁紙が提供される。
【0051】詳述すると、本発明の熱融着性複合繊維
は、鞘部の主成分であるポリエステルの分子量分布(Mw
/Mn)が2.5以下と小さく、すなわち低分子量のオリゴ
マーの混在量が少ないために、不織布製造における熱処
理時や、壁紙製造におけるエンボス加工時に鞘部が均一
に流動し易い。これにより、不織布製造やその後の壁紙
製造時に瞬時に所望の形状を付与することができ、また
エンボス加工の際に際だったすなわちシャープな凹凸を
付けることができる。
【0052】また、オリゴマーが不織布製造中にカード
等に粘着物となって付着したり、エンボス加工時の熱に
より炭化してエンボスローラに付着することがなく又は
少なく、工程通過性のよい繊維となる。
【0053】
【実施例】以下、実施例及び試験例を示して、本発明を
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。<分子量分布> 重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(M
n)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)の結果から算出した。GPCは、Shodex GPC sys
tem 24H(昭和電工社製)において、Shodex KF-606Mカラ
ムの2本とShodex602.5 カラムの1本とを直列に接続し
たものを用いて行った。また、温度40℃において、ク
ロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(96重
量%/4重量%)の混合溶媒を0.5ml/分の流量で通液し
た。<融点> 芯部の融点は、試料を示差走査熱量計(DSC-5
0、島津製作所社製)を用いて昇温速度10℃/分で昇温
させ、吸熱曲線のピーク温度を融点とした。
【0054】鞘部の融点は、JIS L1015(2000)A法に準
拠し、微量融点測定装置(ヤナコ機器開発研究所社製)
を用いて、試料をスライドグラスに載せた状態で50℃か
ら、昇温速度1℃/分で昇温させ、試料の流動が始まっ
た時の温度を融点とした。<固有粘度> 固有粘度(IV)は、フェノール:1,
1,2,2−テトラクロルエタンの1:1混合溶媒(重
量比)で1g/dlの濃度の試料を調製し、ウベローデ
型粘度計にて30℃での落下時間を求め、次式により求
めた。
【0055】
【式1】
【0056】[η]:固有粘度(dl/g) ηSp: 比粘度 K’ : ハギンスの恒数(0.33) C : 濃度 (1(g/dl)) τ : 試料の落下時間(秒) τ0 : 溶媒の落下時間(秒)<繊度・繊維長> 繊度及び繊維長は、JIS L1015A法に
準拠して測定した。<捲縮数・捲縮率> 捲縮数及び捲縮率は、JIS L1015法
に準拠して測定した。実施例1 <芯部組成物の調製> 攪拌機つきのオートクレーブにエ
チレングリコール200gを導入して90℃に保ち、テレフタ
ル酸ジメチル300gを系内に添加してエステル交換反応
を行った後、常法に従い220℃で90分間、連続重合法で
重合反応を進行させて、固有粘度0.62dl/gのポリエチレ
ンテレフタレートチップを得た。<鞘部組成物の調製> 酸成分としてイソフタル酸120g
(酸成分として40mol%)及びテレフタル酸180g(酸成
分として60mol%)、ジオール成分としてエチレングリ
コール200gを混合し、常法に従い、245℃で100分間、連
続重合法で重合反応を行ってイソフタル酸変性ポリエチ
レンテレフタレートチップを得た。得られたイソフタル
酸変性ポリエチレンテレフタレートチップは、融点120
℃、固有粘度0.60dl/g、Mw/Mn=2.15であった。<紡糸> 各チップを真空乾燥機を用いて水分が30ppmに
なるまで乾燥後、芯鞘型複合紡糸機に充填し、各チップ
を280℃で溶融し、複合紡糸した。芯部組成物及び鞘部
組成物の溶融状態での滞留時間は5分間とした。さらに
短繊維用延伸機を用いて2.8倍に延伸し、クリンパを用
いて捲縮数12個/25mm、捲縮率11%になるように捲縮を
付与し、51mm長さに切断した。
【0057】得られた複合繊維は、繊度2.2dtex、芯/
鞘重量比が50/50の芯鞘型複合繊維であった。また、繊
維長手方向に垂直な断面における外周の100%が鞘部で
占められていた。また、鞘部の分子量分布Mw/Mn=2.2
5、鞘部の固有粘度(IVs)=0.58dl/g、芯部の固有粘度
(IVc)=0.61 dl/g、融点は芯部261℃、鞘部120℃であ
った。比較例1 実施例1において、紡糸時の鞘部組成物及び芯部組成物
の溶融状態での滞留時間を15分間とした他は、実施例1
と同様にして芯鞘型複合繊維を得た。得られた繊維は、
鞘部ポリエステルの分子量分布Mw/Mn=2.7、鞘部の固
有粘度=0.56 dl/g、芯部の固有粘度(IVc)=0.60 dl/
g、融点は芯部260℃、鞘部118℃であった。
【0058】本発明実施例1及び比較例1により得られ
た芯鞘型複合繊維の鞘部Mw/Mn、鞘部及び芯部の固有粘
度、鞘部及び芯部の融点、繊度、繊維長さ、捲縮数、捲
縮率を以下の表1にまとめて示す。
【0059】
【表1】
【0060】不織布の作製例 次に、構成繊維として前記の各例の複合繊維を100%用
いてカードウェブを作成し、このカードウェブを130℃
で60秒間熱処理することにより、目付量80g/m2の不織布
を得た。壁紙の作製例 上記各例の複合繊維を用いて前述したようにして作製し
た不織布を、基紙上に1枚重ね、255℃のエンボスローラ
で、1秒間圧着した。
【0061】各不織布の製造工程におけるカード付着
性、エンボスローラの汚れ性及びエンボス加工による凹
凸の明確さ(凹凸賦形性)を評価した。
【0062】カード付着物は、カード停止後のシリンダ
ーロール及びドッファーロールの汚れ付着物を目視によ
り、なし(5級)〜多い(1級)の5段階で評価した。
エンボスローラの汚れは、エンボス加工後のエンボスロ
ーラの汚れ付着物を目視により、なし(5級)〜多い
(1級)の5段階で評価した。エンボス加工による凹凸
賦形性は、目視により、凹凸がシャープで鮮明(5級)
〜凹凸が極めて不明確(1級)の5段階で評価した。結
果を以下の表2にまとめて示す。
【0063】
【表2】
【0064】表1及び表2から明らかなように、鞘部の
Mw/Mnが2.5以下である本発明実施例1の複合繊維で
は、カードの汚れ付着物及びエンボスローラの汚れ付着
物がなく、しかもエンボス加工による凹凸がシャープで
鮮明であった。これに対して、鞘部Mw/Mnが2.5より大
きい比較例1の複合繊維では、カードの汚れ付着物及び
エンボスローラの汚れ付着物が多く、しかもエンボス加
工による凹凸が不明確であった。
フロントページの続き (72)発明者 松井 美弘 大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号 東洋紡績株式会社内 Fターム(参考) 4F055 AA17 DA02 EA04 EA14 EA15 EA24 EA38 GA34 HA06 HA12 4L041 AA07 BA21 BC04 BD11 CA06 CA11 DD05 4L047 AA21 AA27 AB02 AB07 AB10 BA09 CC10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルを主成分とする高融点の芯
    部とポリエステルを主成分とする低融点の鞘部とを備
    え、鞘部に含まれるポリエステルが以下の式を満足する
    ものであることを特徴とする熱融着性複合繊維。 Mw/Mn≦2.5 Mw:重量平均分子量 Mn:数平均分子量
  2. 【請求項2】 鞘部の融点が、芯部の融点より30℃以上
    低い請求項1に記載の熱融着性複合繊維。
  3. 【請求項3】 芯部と鞘部との重量比が3:7〜7:3
    である請求項1に記載の熱融着性複合繊維。
  4. 【請求項4】 繊度が1.1〜6.6dtexである請求項1に記
    載の熱融着性複合繊維。
  5. 【請求項5】 鞘部の固有粘度が0.55〜0.65 dl/gであ
    る請求項1に記載の熱融着性複合繊維。
  6. 【請求項6】 鞘部に含まれるポリエステルの酸成分の
    うち20〜60mol%がイソフタル酸であり、芯部に含まれ
    るポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請
    求項1に記載の熱融着性複合繊維。
  7. 【請求項7】 芯部及び鞘部に含まれる各ポリエステル
    の重合工程、紡糸工程及び延伸工程を含み、鞘部に含ま
    れるポリエステルを連続重合法により重合し、かつ、こ
    のポリエステルの重合後紡糸口金から吐出されるまでの
    溶融状態での滞留時間を10分間以下とすることを特徴と
    する熱融着性複合繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の熱融着
    性複合繊維を含むことを特徴とする不織布。
  9. 【請求項9】 壁紙用基材及び請求項8に記載の不織布
    を積層したことを特徴とする壁紙。
JP2001389993A 2001-12-21 2001-12-21 熱融着性複合繊維、その製造方法、不織布及び壁紙 Pending JP2003193333A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001389993A JP2003193333A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 熱融着性複合繊維、その製造方法、不織布及び壁紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001389993A JP2003193333A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 熱融着性複合繊維、その製造方法、不織布及び壁紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003193333A true JP2003193333A (ja) 2003-07-09

Family

ID=27598046

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001389993A Pending JP2003193333A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 熱融着性複合繊維、その製造方法、不織布及び壁紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003193333A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008088570A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル芯鞘複合繊維
JP2008221052A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Unitika Ltd 遮水シートのための保護マットの敷設方法
JP2009183878A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Osaka Prefecture キャッピングシートの敷設方法およびその方法に用いられるキャッピングシート
KR101920161B1 (ko) * 2017-07-17 2018-11-19 한국섬유개발연구원 저융점 시스-코어 복합원사의 제조방법
CN109281061A (zh) * 2018-10-23 2019-01-29 杭州金百合非织造布有限公司 新型窗帘用非织造基布及其制作方法
KR20200065643A (ko) * 2018-11-30 2020-06-09 주식회사 휴비스 공정성이 향상된 바인더용 폴리에스테르 섬유

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008088570A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル芯鞘複合繊維
JP2008221052A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Unitika Ltd 遮水シートのための保護マットの敷設方法
JP2009183878A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Osaka Prefecture キャッピングシートの敷設方法およびその方法に用いられるキャッピングシート
KR101920161B1 (ko) * 2017-07-17 2018-11-19 한국섬유개발연구원 저융점 시스-코어 복합원사의 제조방법
CN109281061A (zh) * 2018-10-23 2019-01-29 杭州金百合非织造布有限公司 新型窗帘用非织造基布及其制作方法
KR20200065643A (ko) * 2018-11-30 2020-06-09 주식회사 휴비스 공정성이 향상된 바인더용 폴리에스테르 섬유
KR102148956B1 (ko) 2018-11-30 2020-08-28 주식회사 휴비스 공정성이 향상된 바인더용 폴리에스테르 섬유

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW211029B (ja)
CA2081886A1 (en) Polyesters and their use in compostable products such as disposable diapers
JPH06505040A (ja) 新規なポリエステル類および使い捨て可能おむつの如き堆肥化可能製品におけるそれらの使用
JPH06505513A (ja) 新規なポリエステル類および使い捨て可能おむつの如き堆肥化可能製品におけるそれらの使用
DE69921487T2 (de) Copolyester-binderfasern
TWI784249B (zh) 具超高流動性和優異穩定性之聚酯及其熔噴纖維
JP2003138430A (ja) 熱融着性複合繊維、不織布及び壁紙
JP2003193333A (ja) 熱融着性複合繊維、その製造方法、不織布及び壁紙
JP2006207105A (ja) ポリ乳酸系長繊維不織布およびその製造方法
JP2003328261A (ja) 短繊維不織布及び壁紙
JP4338557B2 (ja) ポリ乳酸系長繊維不織布およびその製造方法
JP2008069466A (ja) 接着シート
JP2004107860A (ja) 熱接着性芯鞘型複合短繊維及び短繊維不織布
JP2013237956A (ja) 冷感に優れた遮熱性複合繊維
JP3966768B2 (ja) ポリ乳酸系長繊維不織布およびその製造方法
JP4463933B2 (ja) フィルター用不織布
JP2004052144A (ja) 短繊維不織布及び壁紙
JP2003113536A (ja) 壁紙用バインダー繊維
JP2014077214A (ja) 冷感に優れた遮熱性複合繊維
JPH10298828A (ja) 熱接着性複合バインダー繊維と不織布及び固綿
JP2009263847A (ja) 短繊維不織布
JP5704875B2 (ja) 熱接着性ポリエステル系長繊維不織布の製造方法およびそれにより構成される熱接着シート材
JP4988484B2 (ja) 短繊維不織布
JP2003171862A (ja) 長繊維不織布およびポリオレフィン系フィルム複合体
JP2009114610A (ja) ポリエステル複合短繊維及び短繊維不織布