JP2001240809A - 断熱性層形成用塗料組成物、成形体、及び、成形体の製造方法 - Google Patents

断熱性層形成用塗料組成物、成形体、及び、成形体の製造方法

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JP2001240809A
JP2001240809A JP2000058012A JP2000058012A JP2001240809A JP 2001240809 A JP2001240809 A JP 2001240809A JP 2000058012 A JP2000058012 A JP 2000058012A JP 2000058012 A JP2000058012 A JP 2000058012A JP 2001240809 A JP2001240809 A JP 2001240809A
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Runa Nakamura
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公治 佐藤
Arimichi Ito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断熱性及び可撓性に優れる薄い断熱性層を形
成でき、断熱性能のコントロールが容易な断熱性層形成
用塗料組成物、そのような断熱性層を有する成形体、及
び、そのような成形体の好適な方法を提供する。 【解決手段】 バインダー樹脂、閉鎖された空洞を有す
る中空粒子、及び、繊維を含有する断熱性層形成用塗料
組成物、及び、当該塗料組成物を用いて形成した断熱層
を有する成形体、特にシート状成形体を提供する。当該
塗料組成物を溶剤に溶解、分散した塗工液を通気性シー
ト上に塗布し、形成した塗工層を通気性シートの反対面
側から吸引して溶剤を除去し、その後、固化させること
により断熱性層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の分野におけ
る断熱性層を形成することのできる断熱性層形成用塗料
組成物に関する。本発明の断熱性層形成用塗料組成物
は、建築材料、冷蔵庫、保温庫、衣料、もしくはカップ
ラーメンの容器のような食品包材等の分野において、所
定の空間と環境との間の熱伝導率を抑制し、環境温度よ
りも高いかもしくは低い温度を維持するための断熱性層
を形成する用途に使用する。
【0002】また、本発明は、上記の断熱性層形成用塗
料組成物を用いて断熱性層を形成した成形体、特にシー
ト状成形体に関する。
【0003】さらに本発明は、上記の断熱性層形成用塗
料組成物を用いて、断熱性層を有する成形体、特にシー
ト状成形体を製造する方法に関する。
【0004】
【従来の技術】断熱材を、高温状態や低温状態を維持す
るために使用することは、よく行われており、エネルギ
ーを節約する、高温状態や低温状態が周囲の環境に影響
を与えるのを抑制する、あるいはそれらの状態にあるも
のに直接に接触して火傷や凍傷になるのを防止する等の
目的で使用されている。
【0005】熱伝導は、電熱、輻射、もしくは対流によ
って生じるので、断熱材としては、それらの熱伝導を抑
制するよう、密度が小さく、かさがあるもので構成され
たものを使用し、各種の繊維(絡み合った状態のも
の)、もしくは発泡体等で構成することが多い。
【0006】しかし、各種の繊維は、対象となる部位に
適用するのに手作業の要素が多くなる上、吸湿すると断
熱効果が低下し、また、被覆せずに使用すると繊維が飛
散して、皮膚を刺激する等の欠点がある。
【0007】発泡体は、予め所定の厚みのシートとして
おくことにより、取り扱いが各種の繊維を使用する場合
よりは容易となるものの、適用部位に直接注入して発泡
する現場発泡を除けば、適用部位の形状に合わせること
が難しく、また、接触面積が小さいために、他のフィル
ム等との貼り合わせが難しい等の欠点を有している。
【0008】また、各種の繊維、発泡体のいずれにおい
ても、厚みのごく薄い断熱材を形成するのが難しい。
【0009】そこで、本発明者らは、バインダー樹脂、
発泡剤、および溶剤を主成分とする発泡性塗料組成物を
用いることにより、上記問題点の改善を試みたが、この
ような発泡性塗料組成物を用いて断熱性層を形成する際
には、発泡のための加熱温度もしくは加熱時間の僅かな
違いにより、発泡倍率が異なり、発泡の抑制が難しく、
発泡を完全に行わせようとすると、過度に発泡が生じる
等、所定の発泡倍率で均一に発泡した断熱性層の形成を
行うことが困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、
適用部位の形状に合わせやすく、断熱層を薄く形成して
も十分な断熱効果が得られ、且つ、断熱性能のコントロ
ールが容易な断熱性層形成用塗料組成物を提供すること
にある。
【0011】本発明の第二の目的は、当該塗料組成物を
用いて断熱性層を形成した成形体、特に、薄くても断熱
効果に優れたシート状成形体を提供することにある。
【0012】本発明の第三の目的は、そのような断熱性
層を有する成形体、特にシート状成形体を製造する好適
な方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る断熱性層形
成用塗料組成物は、必須成分として、バインダー樹脂、
閉鎖された空洞を有する中空粒子、及び、繊維を配合し
てなることを特徴とする。
【0014】本発明の断熱性層形成用塗料組成物は閉鎖
された空洞を有する中空粒子を含有している。このよう
な中空粒子を用いることによって、断熱性層内に大量の
独立気泡を形成することができるので高い断熱性が得ら
れ、しかも、樹脂を発泡させた断熱性層と異なり独立気
泡のサイズと量を容易に調節できるので断熱性能のコン
トロールが容易である。そのため、本発明の塗料組成物
を用いて形成した断熱性層は、薄くても優れた断熱性を
示す。
【0015】また、本発明では、中空粒子を含有する断
熱性層の耐破断性、表面強度を高めるために、繊維を塗
料組成物中に配合する。断熱性層形成用塗料組成物に繊
維を配合することによって、特に、当該塗料組成物を用
いて形成した断熱性層を有する単層の又は2層以上から
なる積層体の断熱性シートに優れた可撓性、耐屈曲性を
付与することができ、当該断熱性シートを適用したい部
位の形状に容易に合わせることができるようになる。
【0016】前記バインダー樹脂100質量部に対し
て、前記中空粒子が20〜240質量部、及び、前記繊
維が10〜200質量部、配合されていることが好まし
い。
【0017】前記の中空粒子が、ポリアクリロニトリル
で形成され、密度が0.01〜0.07g/cm3の発
泡済みマイクロカプセルであることが好ましい。
【0018】前記の繊維が、0.3〜5デニールの太
さ、及び、1〜7mmの長さを有することが好ましい。
【0019】前記の繊維が、熱融着性繊維であることが
好ましい。本発明の塗料組成物に熱融着性繊維を配合す
ると、当該塗料組成物を用いて形成した塗工層又は含浸
層のマトリックスに熱融着性繊維が融着し、得られた断
熱性層中に三次元ネットワーク構造が形成されるので、
断熱性層の可撓性、耐屈曲性を、さらに向上させること
ができる。
【0020】前記熱融着性繊維としては、その表面の少
なくとも一部が、熱可塑性樹脂で形成されているものを
用いることができ、具体的には、芯鞘構造や組み合わせ
構造を有するものを例示できる。その中でも、芯部分が
ポリエチレンテレフタレートで形成され、且つ、鞘部分
がポリエチレン又はポリエチレンテレフタレートで形成
されている芯鞘構造の複合繊維が好ましい。
【0021】前記の繊維が、軸方向に空洞を有する中空
繊維であってもよい。繊維として中空繊維を用いると、
断熱性層の気泡量を増加させることができるので、断熱
性をさらに向上させることができる。
【0022】前記繊維として、温度20℃、相対湿度9
5%における吸湿度が10%未満のものを用いると、結
露を生じる部分に適用した場合に繊維の吸湿を避けるこ
とができ、吸湿による耐熱性の低下を防止できる。
【0023】本発明の断熱性層塗料組成物を塗工液の状
態に調製する場合には、中空粒子が非常に分離しやすい
ので、塗工液中に増粘剤を溶解又は分散させるのが好ま
しい。水系の塗工液を調製する場合には、増粘剤とし
て、アルカリ共存型のアクリル樹脂系増粘剤を用いるの
が好ましい。
【0024】次に、本発明に係る成形体は、必須成分と
して閉鎖された空洞を有する中空粒子、及び、繊維をバ
インダー樹脂に配合し固化させてなる断熱性層を備えて
いることを特徴とする。この成形体の断熱性層は、本発
明の上記塗料組成物を用いて形成できる。このような本
発明の成形体は、各分野における断熱材として好適に使
用できる。
【0025】本発明の好ましい一態様によれば、シート
状に成形体が提供される。シート状成形体は、断熱性層
の少なくとも一面側に、通気性シートを積層してなるシ
ート状積層体とすることができる。前記断熱性層の両面
に、通気性シートを積層してもよい。
【0026】前記断熱性層の一部が、前記通気性シート
の表面から当該通気性シートの内部空隙に入り込んでい
る場合には、通気性シートと断熱性層の接着性が向上す
る。
【0027】前記の通気性シートとしては、不織布、特
に、太さ0.5〜7デニール、長さ10〜60mmの繊
維からなる不織布が好ましく用いられる。
【0028】また、不織布に熱融着性繊維が含有されて
いる場合には、成形体に熱プレスなどの加熱処理を行う
ことにより、不織布と断熱性層を熱接着することができ
る。
【0029】不織布として、軸方向に空洞を有する中空
繊維からなるものを用いると、成形体の断熱性が更に向
上する。
【0030】本発明によれば、断熱性及び可撓性に優れ
る薄いシート状の断熱性成形体を得ることができる。例
えば、前記断熱性層の熱伝導率が、0.01〜0.5W
/m・Kのものを得ることが可能であり、また、JIS
K7203に規定する曲げ試験において、屈曲部分の
曲率半径5.0mmで1.0Nの荷重を加えても破損し
ないものを得ることが可能である。
【0031】次に、本発明に係る成形体の製造方法は、
必須成分として、バインダー樹脂、閉鎖された空洞を有
する中空粒子、及び、繊維を溶剤に配合してなる断熱性
層形成用塗工液を、通気性シート上に塗布し、形成した
塗工層を通気性シートの反対面側から吸引して溶剤を除
去し、その後、固化させることにより断熱性層を形成す
ることを特徴とする。
【0032】この方法によれば、基材としての通気性シ
ート上に形成した塗工液の層から、短時間のうちに大部
分の液体成分を除去できるので、バインダー樹脂の配合
割合が少なくても、塗工層のパターン崩れを防止でき、
乾燥時間を短縮でき、さらには、中空粒子の分離を防止
できる。この方法は、断熱性層の有する単層の又は積層
体のシート状成形体を製造するのに適している。
【0033】前記の繊維として熱融着性繊維を使用し、
且つ、前記の塗工層を乾燥後に加熱することにより前記
熱融着性繊維を、前記の塗工層のマトリックスに熱融着
させることができる。
【0034】前記塗工層の露出面側に、当該塗工層の乾
燥前又は乾燥後に第二の通気性シートを重ね、当該塗工
層を乾燥させた後に熱プレスすることにより、断熱性層
の両面に通気性シートが積層した3層構造の成形体が得
られる。
【0035】前記断熱性層の形成後、当該断熱性層から
前記通気性シートを除去することにより、断熱性層のみ
からなる単層の成形体を得ることが可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】(1)断熱性層形成用塗料組成物 本発明の断熱性層形成用塗料組成物は、必須成分とし
て、バインダー樹脂、閉鎖された空洞を有する中空粒
子、及び、繊維を配合してなることを特徴とする。当該
塗料組成物を何らかの基材シートや基体に適用したり、
あるいは断熱性を付与したい場所に直接適用する場合に
は、通常、当該塗料組成物を溶剤に溶解又は分散させて
塗工液を調製し、使用する。また、塗工液には、中空粒
子を均一に分散させるために、増粘剤を添加するのが好
ましい。
【0037】バインダー樹脂としては、次に挙げるよう
な樹脂が使用できる。例えば、ニトロセルロース、酢酸
セルロース、酪酢酸セルロース、エチルセルロース、ポ
リアミド樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリ塩化ビニル樹
脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/酢
酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン、もしくは
アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、ユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン
樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベン
ツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、もしくはポリ
ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができ、
これらの樹脂は、水または有機溶剤に溶解した樹脂溶液
とすることができる。
【0038】また、バインダー樹脂としては、スチレン
マレイン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂、
もしくはポリウレタン系樹脂のエマルジョンを使用する
ことができる。
【0039】さらにバインダー樹脂としては、天然ゴ
ム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴ
ム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタ
ンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロ
ピレンゴム、もしくはブロックコポリマーゴム(SB
S、SIS、SEBS等)の有機溶剤溶液またはラテッ
クスを使用することができる。
【0040】本発明では、閉鎖された空洞を有する中空
粒子を塗料組成物中に配合する。本発明において閉鎖さ
れた空洞を有する中空粒子とは、外壁により完全に閉鎖
された空洞を有するか、又は、完全に閉鎖されていない
としてもバインダー等の他の成分が実質的に侵入できな
いように外壁により取り囲まれた空洞を有する中空粒子
を指す。このような中空粒子を用いることによって、断
熱性層内に大量の独立気泡を形成することができるので
高い断熱性が得られ、しかも、樹脂を発泡させた断熱性
層と異なり独立気泡のサイズと量を容易に調節できるの
で断熱性能のコントロールが容易である。そのため、本
発明の塗料組成物を用いて形成した断熱性層は、薄くて
も優れた断熱性を示す。独立気泡を確実に得るために
は、完全に閉鎖された空洞を有する中空粒子を用いるの
が好ましい。
【0041】中空粒子としては、種々のものを使用する
ことができる。例えば、有機質の中空粒子としては、ア
クリル、もしくはアクリルニトリル等のアクリル樹脂、
またはポリスチレン樹脂等の合成樹脂を素材とするもの
が使用できる。また、無機質の中空粒子としては、例え
ば、工業的に得られるシリカ、アルミナ等を主成分とす
るもののほか、天然品である火山性のシラスバルーンの
ようなものを使用できる。また、後述する親水性や疎水
性の中空粒子も使用できる。
【0042】また、中空粒子としては、マイクロカプセ
ル型の発泡剤を予め発泡させた発泡済みのものを使用す
ることができる。マイクロカプセル型の発泡剤自体は、
アクリルニトリル等の樹脂で外壁が構成され、内容物と
してイソブタンもしくはネオペンタン等の低沸点炭化水
素を含んだものである。
【0043】ポリアクリロニトリルを用いてマイクロカ
プセルを形成すると、マイクロカプセルの外壁を薄く形
成でき、密度を非常に小さくできるので好ましい。ポリ
アクリロニトリルのマイクロカプセル型発泡剤の発泡済
みのものとしては、例えば、松本油脂製薬(株)製の中
空粒子(品番で、F−80ED、もしくはF−80E)
は、外壁がごく薄く、自身の密度が0.01g/cm3
〜0.07g/cm3と小さいので、断熱性層形成用塗
料組成物に配合した際に、熱伝導性の抑制に効果的であ
り、好ましい。
【0044】一般的に入手が可能で、利用できる中空粒
子の粒径は、0.3〜300μmの範囲であり、これら
の中から選択して1種類、または2種類以上を使用す
る。
【0045】中空粒子は比較的丈夫なため、圧縮等の外
力にも耐えるが、中空粒子を断熱性層形成用塗料組成
物、特にエマルジョン系の塗料組成物に分散させる場合
には、攪拌操作の際に塗料組成物中に気泡が入り込みや
すい。
【0046】気泡は、断熱性を向上させる意味で役立つ
ので、意図的に気泡を発生させたり、もしくは、マイク
ロカプセル型や分解型等の化学発泡剤等を使用して発泡
させ、気泡を発生させてもよい。中空粒子を伴わず、気
泡のみでも断熱性を与えることは可能だが、制御の困難
性があるので、気泡の過度な発生を起こさせないように
することが好ましい。
【0047】本発明では、中空粒子を含有する断熱性層
の耐破断性、表面強度を高めるために、繊維を塗料組成
物中に配合する。断熱性層形成用塗料組成物に繊維を配
合することによって、特に、当該塗料組成物を用いて形
成した断熱性層を有する単層の又は2層以上からなる積
層体の断熱性シートに優れた可撓性、耐屈曲性を付与す
ることができ、当該断熱性シートを適用したい部位の形
状に容易に合わせることができるようになる。
【0048】本発明によれば、熱伝導率が0.01〜
0.5W/m・Kで、しかも、JISK7203に規定
する曲げ試験において、屈曲部分の曲率半径5.0mm
で1.0Nの荷重を加えても破損しないような、断熱性
と屈曲性に優れた薄い断熱性層を形成することも可能で
ある。
【0049】断熱性層形成用塗料組成物に配合する繊維
は、0.3〜5デニールの太さ、及び、1〜7mmの長
さを有しているものが好ましい。また、断熱性層形成用
塗料組成物中に上記の繊維として熱融着性繊維を配合
し、当該塗料組成物を何らかの基体又は適用部位に塗布
し、乾燥し、加熱すると、塗工層又は含浸層のマトリッ
クスに熱融着性繊維が融着し、得られた断熱性層中に三
次元ネットワーク構造が形成されるので、断熱性層の可
撓性、耐屈曲性を、さらに向上させることができる。
【0050】熱融着性繊維としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコ
ール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロ
ン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹
脂、または、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂
などの熱硬化性樹脂からなる単繊維を使用することがで
きる。また、熱融着性繊維の表面の少なくとも一部が熱
溶融しさえすれば周囲のマトリックスに融着できるの
で、表面の一部が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂で、好
ましくは熱可塑性樹脂で、形成されている複合繊維を熱
融着性繊維として使用してもよい。
【0051】また、複合繊維の中でも、当該繊維の表面
の一部が比較的溶融しやすい熱融着性樹脂からなる融着
性部位を構成すると共に、当該繊維の軸方向に沿って、
比較的溶融し難い又は溶融しない材料で形成された非融
着性部分を備えたものは、周囲のマトリックスに容易に
融着する部分と、加熱によっても溶融又は変形しにくい
軸の部分が存在するため、良好な三次元ネットワーク構
造を形成することができて好ましい。
【0052】そのような複合繊維としては、例えば、加
熱処理によって溶融可能な材料で形成された鞘部分と、
同じ加熱処理によって鞘部分と比べて溶融し難いか又は
溶融しない材料で形成された芯部分とを備える芯鞘構造
の複合繊維を例示することができる。より具体的には、
溶融温度又は軟化温度が互いに異なる2種の熱可塑性樹
脂を用いて、相対的に溶融温度又は軟化温度が高い樹脂
で芯部分を形成し、相対的に溶融温度又は軟化温度が低
い樹脂で鞘部分を形成した芯鞘構造の複合繊維を用いる
ことができ、その中では、鞘部分がポリエチレン又はポ
リエチレンテレフタレートで形成され、芯部分がポリエ
チレンテレフタレートで形成された芯鞘構造の複合繊維
が好ましく、鞘部分と芯部分が両方ともポリエチレンテ
レフタレート(PET)で形成されたものが特に好まし
い。
【0053】また、加熱処理によって溶融可能な材料で
形成された第一の部分と、同じ加熱処理によって第一の
部分と比べて溶融し難いか又は溶融しない材料で形成さ
れた第二の部分からなる組み合わせ構造または海島構造
の複合繊維を用いることもできる。例えば、加熱処理に
よって溶融可能な材料で形成された第一の部分と、同じ
加熱処理によって第一の部分と比べて溶融し難いか又は
溶融しない材料で形成された第二の部分とを、繊維の軸
方向に沿って並行に配列し一体化したサイドバイサイド
構造の複合繊維を例示できる。より具体的には、溶融温
度又は軟化温度が互いに異なる2種の熱可塑性樹脂を用
いて、第一の部分と第二の部分とを形成したサイドバイ
サイド構造の複合繊維を用いることができ、その中で
は、ポリエチレンで形成された第一の部分とポリエチレ
ンテレフタレートで形成された第二の部分とを備えるハ
ーフハーフ構造の複合繊維が好ましい。
【0054】断熱性層形成用塗料組成物には、軸方向に
空洞を有する中空繊維を配合してもよい。繊維として中
空繊維を用いると、断熱性層の気泡量を増加させること
ができるので、断熱性をさらに向上させることができ
る。
【0055】断熱性層または断熱性層を有する積層体を
適用したい部位が、結露を生じ易い場合には、断熱性層
の吸湿性が低いほど断熱性能が安定する。そのため、結
露を生じ易い部分に断熱性層を適用したい場合には、結
露による繊維の吸湿を避けるべく、温度20℃、相対湿
度95%における吸湿度が10%未満の繊維を選択して
用いるのが好ましい。
【0056】溶剤としては、バインダー樹脂を溶解し、
中空粒子を分散させるうえで支障がなく、塗料組成物を
塗布もしくは含浸などの方法で適用する際に適用対象物
を損傷させず、適用後の乾燥や加熱等によって除去が容
易なものであれば制約はない。
【0057】溶剤もしくは分散剤としては、例えば、ネ
オペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭
化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、トリ
クロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭
化水素、イソプロパノール、n−ブタノール等の脂肪族
アルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエ
ステル類、もしくはこれら以外の有機溶剤、または水が
使用でき、単独もしくは混合して使用される。
【0058】増粘剤は、本発明の断熱性層形成用塗料組
成物中での中空粒子の浮上または沈降による分離を防止
し、中空粒子を均一に分散させる目的で配合するもので
ある。
【0059】特に中空粒子として、マイクロカプセル型
発泡剤の発泡済みのものを使用する時は、このものの密
度が小さいために、塗料組成物中に分散しても浮上して
しまうが、増粘剤の配合により分散状態を安定に維持す
ることが可能になる。
【0060】水又は水溶性溶剤を用いる溶剤分散系の増
粘剤としては、金属石鹸、珪酸質増粘剤、もしくは重合
油等が使用でき、前二者は、具体的にはアルミニウムス
テアレート、ジンクステアレート、もしくはアルミニウ
ムオクテート等の金属石鹸、シリカゲル、ベントナイ
ト、特に有機ベントナイト等の珪酸質増粘剤である。
【0061】水分散系の増粘剤としては、珪酸系やベン
トナイト等の無機質増粘剤、セルロース誘導体、蛋白質
系、ポリアクリル酸塩系、もしくはビニル系等の有機質
増粘剤が使用でき、有機質増粘剤は、具体的にはメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、もしくはヒ
ドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼ
イン、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸アンモニウ
ム、もしくはアルギン酸ナトリウム等の蛋白質系、ポリ
アクリル酸ナトリウム、もしくはポリアクリル酸アンモ
ニウム等のポリアクリル酸塩系、またはポリビニルアル
コール等のビニル系である。また、アルカリ共存型のア
クリル樹脂系増粘剤は、アクリル樹脂溶液として供給さ
れ、アルカリ(アンモニア)添加により樹脂が膨潤して
増粘効果を生じるもので、塗布後の乾燥でアルカリ(ア
ンモニア)が除かれるため、塗膜となった状態で、増粘
剤に起因する影響が残らず、好ましい。
【0062】このほかの増粘剤としては、体質顔料と呼
ばれる沈降性炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミ
ナ、クレー、炭酸マグネシウム、石膏、カオリン、もし
くは水酸化アルミニウム等の体質顔料も使用できる。
【0063】以上の増粘剤は、1種または2種以上を選
択して使用することができる。
【0064】以上に説明した成分を混合することによっ
て、本発明の断熱性層形成用塗料組成物が調製される。
各成分の配合割合は、バインダー樹脂100重量部に対
して、中空粒子を通常は20〜240質量部、より好ま
しくは50〜120質量部配合し、繊維を通常は10〜
200質量部、より好ましくは20〜100質量部配合
する。溶剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、
通常は500〜5000質量部、より好ましくは100
0〜2000質量部配合し、当該溶剤に各成分を均一に
溶解または分散させる。また、増粘剤は、バインダー樹
脂100重量部に対して、通常は5〜50質量部、より
好ましくは5〜20質量部配合する。
【0065】上記の配合比において、中空粒子が20質
量部未満であると、本発明の塗料組成物を適用して得ら
れる断熱性層の空隙率が低いため、十分な断熱性能が得
られないことが多く、一方、240質量部を超えると、
相対的にバインダー樹脂の割合が少なくなりすぎ、得ら
れる断熱性層の強度が低下することが多い。
【0066】また、繊維が10質量部未満であると、機
械的強度が十分に得られないことが多いし、通気性シー
ト上に本発明の断熱性層形成用塗料組成物を塗布して吸
引する後述の方法によって断熱性層を形成することも困
難である。一方、繊維が200質量部を超えると、断熱
性能が極端に悪化するので、所望の断熱性能が得られな
いことがある。
【0067】また、溶剤が500質量部未満であると、
塗料組成物の流動性が乏しくて塗布や含浸が円滑に行え
ず、5000質量部を超えると、塗料組成物の粘度が低
くなり、中空粒子が分離しやすいので、塗布若しくは含
浸が困難になることが多い。
【0068】さらに、増粘剤が5質量部未満であると、
増粘効果が不十分なため、中空粒子の浮上または沈降が
避けられず、50質量部を超えると、増粘が過度になっ
て塗布や含浸等に支障が生じる上、相対的にバインダ樹
脂の割合が少なくなりすぎ、得られる断熱性層の強度が
低下するほか、使用する増粘剤の種類にもよるが、得ら
れる断熱性層中において、中空粒子を取り囲むバインダ
ー樹脂及び増粘剤からなる部分の熱伝導性が上がるた
め、断熱性能が低下し、好ましくない。
【0069】(2)断熱性層を有する成形体、及び、そ
の製造方法 本発明の断熱性層形成用塗料組成物は種々の対象に対し
て適用可能であるが、工業的には、種々の基材上に塗布
するか、含浸性基材に塗布もしくは含浸させ、乾燥等に
より固化させ、断熱性層を形成する目的で使用するのに
適している。断熱性層は、基材上に塗工層の形に形成さ
れたものであってもよいし、含浸性基材に含浸して一体
化した含浸層の形に形成されたものであってもよい。断
熱性層形成用塗料組成物もしくは含浸性基材の種類によ
っては、含浸性基材に適用された断熱性層形成用塗料組
成物の一部が含浸性基材中に含浸し、残りが含浸性基材
の表面に塗膜として残留するような使い方もできる。
【0070】本発明の断熱性層形成用塗料組成物の適用
対象のうち、塗布により基材上に塗工層を形成し得る基
材としては、紙、プラスチック、金属等を素材とするフ
ィルム、シートもしくは板等が挙げられる。
【0071】ここで言う「塗工層を形成し得る基材」と
は、断熱性層形成用塗料組成物中の溶剤や水等の液体成
分が浸透可能であってもよいが、実質的に、断熱性層形
成用塗料組成物全体が浸透せず、当該塗料組成物中の固
形分が基材上に残留するものを指す。
【0072】また、本発明の断熱性層形成用塗料組成物
の適用対象のうち、基材内部に含浸層を形成し得る含浸
性基材としては、天然繊維、合成繊維、ロックウール、
ガラス繊維、炭素繊維等の繊維を原料として製造された
不織布、フェルト、布、もしくはこれらの前記繊維を原
料として抄造された紙(特に低密度紙)、またはセラミ
ックスシート等が使用できる。
【0073】ここで言う「含浸性基材」とは、断熱性層
形成用塗料組成物全体が浸透可能なものを指す。ただ
し、基材の片面側から含浸を行った際に、断熱性層形成
用塗料組成物が反対側の面まで到達しないような、厚み
の全部には含浸せず、厚みの一部に含浸するものも含め
る。
【0074】本発明の断熱性層形成用塗料組成物を、上
記のような適用対象に適用する方法としては、公知の塗
布方法もしくは含浸方法を利用する。
【0075】塗布方法としては、粘度範囲、塗布量範囲
が広いロールコーティング、もしくはバーコーティング
が適しているが、その他の方法によってもよい。
【0076】含浸方法としては、断熱性層形成用塗料組
成物を満たした槽の中に、含浸性基材を浸す方法(いわ
ゆるディッピング)によるか、公知の塗布手段により、
含浸性基材の片側もしくは両側から塗布する方法によ
る。断熱性層形成用塗料組成物が基材に十分浸透してか
ら、基材上に残った余分の含浸用塗料を適宜なかき取り
装置または除去装置、例えば、サクションドクター、ド
クターロール、もしくは丸棒にワイヤーを巻き付けたワ
イヤーバー等により、余剰分をかき取るか、もしくは除
去し、所定の量の断熱性層形成用塗料組成物を含浸性基
材に含浸させる。
【0077】断熱性層形成用塗料組成物を基材に適用
後、塗工層または含浸層を乾燥することによって固化さ
せると、断熱性層が得られる。断熱性層形成用塗料組成
物に配合される成分の素材、特にバインダー樹脂の素材
によっては、一旦、比較的低温で乾燥させた後に比較的
高温で乾燥させて固化したり、比較的低温で乾燥させた
後に又は全く乾燥せずに紫外線や電子線の照射により固
化してもよい。
【0078】また、断熱性層形成用塗料組成物中に熱融
着性繊維を配合している場合には、塗工層または含浸層
を乾燥等により固化させた後、加熱処理することによっ
て熱融着性繊維を周囲のマトリックスに融着させ、断熱
性層に優れた耐破断性、可撓性、耐屈曲性を付与するこ
とができる。
【0079】本発明の断熱性層形成用塗料組成物は、断
熱効果を高めるために可能な限り中空粒子の配合割合を
大きくし、バインダー樹脂の配合割合を相対的に少なく
するのが望ましいが、バインダー樹脂の量が少ない断熱
性層形成用塗料組成物を溶剤に溶解、分散すると、溶剤
の配合割合が大きくなるので、流動性が大きくなって塗
工層のパターン又は形状のコントロールが困難になり、
且つ、乾燥に時間がかかるようになる。従って、断熱性
層を形成する際の生産性が悪くなる。また、断熱性層形
成用塗料組成物の塗工液の乾燥時間が長いと、乾燥中に
中空粒子が塗膜内で分離しやすいので、断熱性層の均一
性が悪くなる。本発明の断熱性層形成用塗料組成物の塗
工液を用いて含浸層の形の断熱性層を形成する場合に
は、このような問題は生じないが、塗工層の形の断熱性
層を形成したい場合には、このような問題が生じる。
【0080】このような問題を避けるために、本発明の
断熱性層形成用塗料組成物の塗工液を、通気性シート上
に塗布し、形成した塗工層を、通気性シートの反対面側
から吸引して溶剤を除去し、その後、乾燥させることに
より塗工層の形の断熱性層を形成するのが好ましい。こ
の方法によれば、基材としての通気性シート上に形成し
た塗工液の層から、短時間のうちに大部分の液体成分を
除去できるので、バインダー樹脂の配合割合が少なくて
も、塗工層のパターン崩れを防止でき、乾燥時間を短縮
でき、さらには、中空粒子の分離を防止できる。また、
この方法は、断熱性層の有する単層の又は積層体のシー
ト状成形体を製造するのに適している。
【0081】この方法で用いられる通気性シートは、当
該シートの上に断熱性層形成用塗料組成物の塗工液を塗
布して、塗工層の形成面とは反対側の面から吸引処理し
た時に、塗工層内の溶剤が吸引により除去されると共
に、塗工層の全ての或いはほとんどの固形分が当該シー
ト上に残留するものであれば、いかなるものを使用して
もよい。
【0082】通気性シートの塗工層を乾燥等により固化
して断熱性層を形成後、当該断熱性層を剥離して単層の
成形体、特にシート状成形体として使用したい場合に
は、通気性シートと断熱性シートの接着力が弱い方が望
ましい。そこで、上述した「塗工層を形成し得る基材」
の中から、塗工液の層に含まれている液体成分は吸引に
より容易に通過できるが、塗工液の層に含まれている実
質的に全ての固形分が基材上に残留するものを使用する
と、通気性シートの繊維と断熱性層の絡み合いが少ない
ので、接着力は小さく、剥離しやすい。
【0083】一方、通気性シートと断熱性層の積層体
を、そのまま断熱性の成形体、特にシート状成形体とし
て使用したい場合には、基材としての通気性シートと断
熱性シートの接着力が大きい方が望ましい。そこで、上
述した「含浸性基材」の中から、塗工液中の液体成分は
吸引により容易に通過できると共に、塗工液の層に含ま
れている固形成分は、その一部だけが含浸するが、大部
分が基材上に塗工層の形で残存するものを使用すると、
断熱性層の一部が通気性シートの表面から当該通気性シ
ートの内部空隙に入り込んで、通気性シートの繊維と断
熱性層の絡み合いが多くなり、剥離しにくくなる。
【0084】断熱性層が剥離し難い通気性シートとして
は、具体的には、不織布や合成紙などの中から、目の詰
まりすぎていない適度な通気性を有するものを選んで用
いるのが好ましい。不織布は、スパンボンド法、カード
法、エアーレイ法、湿式法など、いろいろな方法で製造
されるが、如何なる方法で製造されたものも用いること
ができる。
【0085】特に、太さ0.5〜7デニールで且つ長さ
10〜60mmの繊維からなる不織布は、断熱性層形成
用塗料組成物の塗工液の液体成分を容易に吸引できると
共に、固形成分が適度に含浸して不織布の繊維と断熱性
層が十分に絡み合うが、固形成分の大部分は不織布上に
残存して塗工層を厚く形成できる。さらに、太さ0.5
〜7デニールで且つ長さ10〜60mmの繊維からなる
不織布は、強度も十分あり、当該不織布上に断熱性層を
積層してなるシート状成形体を断熱性を付与したい部位
に適用する際に、適用部位の形状に合わせやすい。
【0086】熱融着性繊維を含有する不織布の上に本発
明の断熱性層形成用塗料組成物を塗布して断熱性層を形
成した後で熱プレスなどの加熱処理を行うと、不織布表
面の熱融着性繊維が断熱性層に融着し、不織布と断熱性
層の接着力が強くなる。熱融着性繊維としては、本発明
の断熱性層形成用塗料組成物に配合し得る熱融着性繊維
と同じ素材のもの、すなわち各種の熱可塑性樹脂又は熱
硬化性樹脂の単繊維、芯鞘構造、組み合わせ構造、海島
構造などの複合繊維を用いることができる。その中で
も、鞘部分がポリエチレン又はポリエチレンテレフタレ
ートで形成され、芯部分がポリエチレンテレフタレート
で形成された芯鞘構造の複合繊維が好ましく、鞘部分と
芯部分が両方ともポリエチレンテレフタレート(PE
T)で形成されたものが特に好ましい。
【0087】通気性シートとして、軸方向に空洞を有す
る中空繊維からなる不織布を用いてもよい。中空繊維か
らなる不織布を断熱性層の基材として用いると、断熱性
層の断熱性に不織布による断熱効果が加わるので、成形
体の断熱性が向上する。
【0088】断熱性層形成用塗料組成物の塗工液を、上
述したような通気性シートのいずれかに塗布して塗工層
を形成した後、当該塗工層から液体成分を除去し、さら
に乾燥等の手段により固化して断熱性層を形成する。バ
インダー樹脂の種類によっては、塗工層を乾燥した後で
或いは乾燥処理は行わないで、紫外線等の照射により固
化する場合もある。
【0089】また、断熱性層形成用塗料組成物に熱融着
性繊維を配合している場合には、塗工層を乾燥した後で
熱プレスすると、熱融着性繊維が周囲のマトリックスに
熱融着して3次元ネットワーク構造を形成すると共に、
成形体の厚みを調節できる。
【0090】このようにして、断熱性層の片面側に通気
性シートが積層された成形体が得られる。この成形体
は、そのまま断熱性を付与したい場所に貼付等の手段に
より適用することができる。また、この成形体から通気
性シートを剥離して、断熱性層の単層シートを得ること
もできる。
【0091】さらに、断熱性層の表面強度が足りない場
合には、断熱性層の両面に基材シートを積層してもよ
い。例えば、第一の通気性シートとしての不織布の上に
断熱性層形成用塗料組成物の塗工液を塗布して塗工液の
層を形成し、第一の通気性シートの反対面側から吸引を
行って塗工層の液体成分を除去し、吸引後の塗工層の露
出面側に、当該塗工層の乾燥前又は乾燥後に第二の通気
性シートとして不織布を重ね、当該塗工層の乾燥後に積
層体を熱プレスすることにより、断熱性層の両面に不織
布が接合した成形体が得られる。別の方法としては、第
一の通気性シートである不織布の上に断熱性層形成用塗
料組成物の塗工液を塗布して塗工液の層を形成し、当該
塗工液の層の上に第二の通気性シートとして不織布を重
ね、両面から吸引処理を行い、乾燥等により固化させ、
必要に応じて熱プレスを行うと、断熱性層の両面に不織
布が強く接合した成形体が得られる。
【0092】
【実施例】以下において本発明を、実施例を通じてさら
に詳述する。
【0093】(実施例1) (1)塗料組成物の調製 先ず、水93重量部を攪拌しながら、ポリアクリロニト
リル中空粒子(松本油脂製薬製、品番F−80E)を固
形分として2.3重量部、バインダー樹脂としてのアク
リル樹脂(中央理化工業製、品番ET−84)を固形分
として3.8重量部、アルカリ樹脂系増粘剤(中央理化
工業製、品番FK−610)を固形分として0.7重量
部、及び、25%アンモニア水0.8重量部を、この順
序で投入して、中間調製液を調製した。なお、上記配合
割合は、水を除いて固形分ベースである。
【0094】この中間調製液(固形分7重量%)に、さ
らに、当該混合液の固形分4.5gに対して、PET−
PET芯鞘構造を有し、太さ1.5デニール、長さ5m
mの繊維を1.35gを加え、ミキサーにて攪拌混合
し、さらに水を加えて固形分濃度1重量%の水系の断熱
性層形成用塗料組成物を得た。
【0095】(2)断熱性層を有する成形体の製造 網状シートの上に、坪量20g/m2で且つPET−P
ET芯鞘構造のバインダー繊維を含む不織布を固定し、
当該不織布の表面に上記の断熱性層形成用塗料組成物を
(塗工量93.6g/m2)塗布し、同様の不織布を塗
工層の上にかぶせた後、得られた積層体の下側から吸引
して液体成分を除去した。吸引後、積層体をプレス成形
し、110℃にてドラム乾燥機で乾燥した。乾燥後、積
層体を150℃で10秒間ヒートプレス処理を行った。
こうして、断熱性層の両面に不織布を積層した3層構造
の成形体を得た。
【0096】(実施例2)網状シートの上に、実施例1
で用いたものと同様の不織布を固定し、当該不織布の表
面に実施例1で用いたものと同様の断熱性層形成用塗料
組成物を同量塗工した後、得られた2層構造の積層体の
不織紙側から吸引して液体成分を除去した。吸引後、積
層体をプレス成形し、110℃にてドラム乾燥機で乾燥
した。乾燥後、積層体を150℃で10秒間ヒートプレ
ス処理を行った。こうして、断熱性層の片面に不織布を
積層した2層構造の成形体を得た。その後、この成形体
から不織紙を剥離し、断熱性層のみからなる単層の成形
体を得た。
【0097】(実施例3)実施例2において不織紙を剥
離する前の2層構造の成形体についても、下記の試験を
行った。
【0098】(実施例4)網状シートの上に、実施例1
で用いたものと同様の不織布を固定し、当該不織布の表
面に実施例1で用いたものと同様の断熱性層形成用塗料
組成物を同量塗工した後、得られた2層構造の積層体の
不織紙側から吸引して液体成分を除去した。吸引後、積
層体をプレス成形し、110℃にてドラム乾燥機で乾燥
した。乾燥後、積層体を150℃で20秒間ヒートプレ
ス処理を行った。こうして、断熱性層の片面に不織布を
積層した2層構造の成形体を得た。
【0099】(実施例5)断熱性層形成用塗料組成物の
塗工量を倍量の187.2g/m2に変更したほかは、
実施例1と同様にして、断熱性層の両面に不織布を積層
した3層構造の成形体を得た。
【0100】(実施例6)断熱性層形成用塗料組成物の
塗工量を倍量の187.2g/m2に変更したほかは、
実施例2と同様にして、断熱性層のみからなる単層の成
形体を得た。
【0101】(実施例7)網状シートの上に、実施例1
で用いたものと同様の不織布を固定し、当該不織布の表
面に実施例1で用いたものと同様の断熱性層形成用塗料
組成物を倍量の187.2g/m2塗工した後、得られ
た2層構造の積層体の不織紙側から吸引して液体成分を
除去した。吸引後、積層体をプレス成形し、110℃に
てドラム乾燥機で乾燥した。乾燥後、積層体を150℃
で20秒間ヒートプレス処理を行った。こうして、断熱
性層の片面に不織布を積層した2層構造の成形体を得
た。その後、この成形体から不織紙を剥離し、断熱性層
のみからなる単層の成形体を得た。
【0102】(比較例1)硬質ポリウレタン(東洋ゴム
工業製、品番ソフランRボード(W30)をスライスし
た断熱性シートについて、上記の各実施例で得られた成
形体と共に、下記の試験を行った。
【0103】(試験項目)下記の試験を行った。結果を
下記の表に示す。
【0104】(1)成形体の平均厚さ(mm) 成形体全体の平均厚さを測定した。すなわち、不織布が
積層されている場合には不織布の厚さを含めた平均厚さ
を測定した。
【0105】(2)密度(g/cm3) 不織布を含めた成形体の密度を測定した。
【0106】(3)断熱性能(温度差℃)
【0107】先ず、図1に示すように厚さ1.0mmの
アルミニウム板(1)の周囲に発泡スチロールの枠
(2)を取り付け、アルミニウム板の上に、実施例又は
比較例で得られた成形体を20mm×20mmに切り出
したサンプル(3)を置いた。それから、アルミニウム
板を氷水(4)の上に浮かべ、23℃、50Rhの環境
下で35分間放置した。放置後、アルミニウム板の上面
(5)の温度と、成形体サンプルの上面の中央部(6)
の温度を測定し、温度差の大きいほど断熱性能に優れる
と評価をした。
【0108】また、実施例1乃至7のサンプルについて
熱伝導率を測定したところ、いずれも0.03〜0.2
W/m・Kの範囲であった。
【0109】(4)可撓性 JIS K7203に規定する曲げ試験を行い、屈曲部
分の曲率半径5.0mmで1.0Nの荷重を加えても破
損しない場合を合格(○)、破損する場合を不合格
(×)と評価した。
【0110】
【表1】
【0111】
【発明の効果】本発明の断熱性層形成用塗料組成物は、
閉鎖された空洞を有する中空粒子を含有しているので、
この塗料組成物を用いて断熱性層を形成すると、断熱性
層に大量の独立気泡を形成することができて高い断熱性
が得られ、しかも、独立気泡のサイズと量を容易に調節
できるので、断熱性能のコントロールが容易である。
【0112】また、本発明の断熱性層形成用塗料組成物
は、繊維、好ましくは太さが0.3〜5デニールで且つ
長さが1〜7mmの繊維を含有しているので、この塗料
組成物を用いて断熱性層を形成すると、断熱性層に優れ
た耐破断性、表面強度を付与することができる。断熱性
層形成用塗料組成物に繊維として熱融着性繊維を配合
し、当該塗料組成物の塗工層又は含浸層を加熱処理する
と、熱融着性繊維が断熱性層のマトリックスに熱融着し
て3次元ネットワーク構造を形成するので、断熱性層の
耐破断性、表面強度が特に向上する。
【0113】本発明の断熱性層形成用塗料組成物を用い
れば、断熱性を付与したい様々な場所に断熱性層を形成
することができ、例えば、壁紙等の内装用又は外装用の
化粧紙、家電製品の断熱材として利用される。
【0114】特に、本発明の断熱性層形成用塗料組成物
は上記したような特性があるので、断熱性層を有する単
層の又は積層体のシート状成形体を形成することができ
る。このシート状成形体は、薄くても断熱性に優れ、し
かも、可撓性、耐屈曲性に優れていて、断熱性を付与し
たい場所の形状に合わせやすい断熱シートとして利用で
きるので、例えば、窓枠用の化粧紙のように表面に細か
い凹凸がある部材を被覆する断熱性化粧紙として好適に
利用できる。
【0115】本発明によれば、熱伝導率が0.01〜
0.5W/m・Kで、しかも、JISK7203に規定
する曲げ試験において、屈曲部分の曲率半径5.0mm
で1.0Nの荷重を加えても破損しないような、断熱性
と屈曲性に優れた薄い断熱性層を形成できる。
【0116】本発明の断熱性層に、温度20℃、相対湿
度95%における吸湿度が10%未満の繊維を用い、断
熱性層の吸湿性を小さくすることにより、アルミサッシ
のような金属製の窓枠は結露を生じる場所に適用する場
合でも、断熱性層の吸湿による断熱性の低下が起き難
い。
【0117】本発明の断熱性層形成用塗料組成物の塗工
液を通気性シートの一面に塗布し、塗工液の層を通気性
シートの反対側から吸引して液体成分を除去し、通気性
シートの上に残った固形分の塗工層を固化させることに
よって、断熱性層に通気性シートが積層されたシート状
成形体が得られる。
【0118】この方法によれば、基材としての通気性シ
ート上に形成した塗工液の層から、短時間のうちに大部
分の液体成分を除去できるので、バインダー樹脂の配合
割合が少なくても、塗工層のパターン崩れを防止でき、
乾燥時間を短縮でき、さらには、塗工層中の中空粒子の
分離を防止できる。
【0119】この方法により得られる断熱性層と通気性
シートの積層体を、そのまま断熱材として使用してもよ
いし、この積層体から通気性シートを剥離して単層の断
熱性層を得ることもできる。
【0120】断熱性層と通気性シートの積層体のまま断
熱材として使用する場合には、通気性シートとして不織
紙、好ましくは太さ0.5〜7デニール、長さ10〜6
0mmの繊維からなる不織布、を使用し、上記方法で断
熱性層を形成すると、断熱性層の一部が不織布の内部空
隙に入り込んで絡み合うので剥離し難くなるが、塗工液
の浸透は少ないので、不織布の上に塗工層を厚く形成で
きる。また、不織布は強度も十分で耐屈曲性に優れてい
る。
【0121】また、断熱性層を有する成形体の断熱効果
を向上させるために、本発明の断熱性層形成用塗料組成
物の繊維として中空繊維を用い、或いは、断熱性層に積
層する不織布として中空繊維からなる不織布を用いるの
が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート状断熱性成形体の断熱性能を評価する試
験装置の概要を説明する図である。
【符号の説明】
1…アルミニウム板 2…発泡スチロールの枠 3…成形体サンプル 4…氷水 5…アルミニウム板の上面 6…成形体サンプルの上面の中央部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 宏介 静岡県駿東郡長泉町本宿501 特種製紙株 式会社内 (72)発明者 永田 良平 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 中村 瑠奈 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 佐藤 公治 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 伊東 有道 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 4J038 BA021 BA022 BA172 BA182 CA011 CA021 CA081 CA101 CA131 CB022 CB051 CB081 CB101 CB131 CB171 CC021 CD021 CE022 CF021 CG071 CG092 CG141 CG161 CG162 CQ011 DA041 DA071 DA141 DA161 DB001 DD072 DD181 DG001 DH001 DJ001 DJ021 DK001 DL031 DN011 HA156 HA216 HA286 HA376 HA456 HA526 HA556 JA02 JA04 JA09 JA19 JA33 JA43 JA56 KA06 KA07 KA08 KA19 KA21 MA07 MA08 MA09 MA10 MA13 NA16

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須成分として、バインダー樹脂、閉鎖
    された空洞を有する中空粒子、及び、繊維を配合してな
    ることを特徴とする、断熱性層形成用塗料組成物。
  2. 【請求項2】 前記バインダー樹脂100質量部に対し
    て、前記中空粒子が20〜240質量部、及び、前記繊
    維が10〜200質量部、配合されていることを特徴と
    する、請求項1記載の断熱性層形成用塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記の中空粒子が、ポリアクリロニトリ
    ルで形成され、密度が0.01〜0.07g/cm3
    発泡済みマイクロカプセルであることを特徴とする、請
    求項1記載の断熱性層形成用塗料組成物。
  4. 【請求項4】 前記の繊維が、0.3〜5デニールの太
    さ、及び、1〜7mmの長さを有することを特徴とす
    る、請求項1記載の断熱性層形成用塗料組成物。
  5. 【請求項5】 前記の繊維が、熱融着性繊維であること
    を特徴とする、請求項1記載の断熱性層形成用塗料組成
    物。
  6. 【請求項6】 前記熱融着性繊維の表面の少なくとも一
    部が、熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とす
    る、請求項5記載の断熱性層形成用塗料組成物。
  7. 【請求項7】 前記の熱融着性繊維は、相対的に溶融温
    度又は軟化温度が高い樹脂で芯部分を形成し、相対的に
    溶融温度又は軟化温度が低い樹脂で鞘部分を形成した芯
    鞘構造を有する複合繊維であることを特徴とする、請求
    項6記載の断熱性層形成用塗料組成物。
  8. 【請求項8】 前記の芯鞘構造において、芯部分がポリ
    エチレンテレフタレートで形成され、且つ、鞘部分がポ
    リエチレン又はポリエチレンテレフタレートで形成され
    ていることを特徴とする、請求項7記載の断熱性層形成
    用塗料組成物。
  9. 【請求項9】 前記の熱融着性繊維が、溶融温度又は軟
    化温度が互いに異なる熱可塑性樹脂でそれぞれ形成され
    た2以上の部分からなる組み合わせ構造を有する複合繊
    維であることを特徴とする、請求項6記載の断熱性層形
    成用塗料組成物。
  10. 【請求項10】 前記の繊維が、軸方向に空洞を有する
    中空繊維であることを特徴とする、請求項1記載の断熱
    性層形成用塗料組成物。
  11. 【請求項11】 温度20℃、相対湿度95%における
    前記繊維の吸湿度が10%未満であることを特徴とす
    る、請求項1記載の断熱性層形成用塗料組成物。
  12. 【請求項12】 前記の各必須成分と共に増粘剤を溶剤
    に溶解又は分散させて塗工液に調製されていることを特
    徴とする、請求項1記載の断熱性層形成用塗料組成物。
  13. 【請求項13】 前記の溶剤が水又は水溶性溶剤であ
    り、前記の増粘剤がアルカリ共存型のアクリル樹脂系増
    粘剤であることを特徴とする、請求項12記載の断熱性
    層形成用塗料組成物。
  14. 【請求項14】 必須成分として閉鎖された空洞を有す
    る中空粒子、及び、繊維をバインダー樹脂に配合し固化
    させてなる断熱性層を備えていることを特徴とする成形
    体。
  15. 【請求項15】 前記断熱性層のバインダー樹脂100
    質量部に対して、前記中空粒子が20〜240質量部、
    及び、前記繊維が10〜200質量部、配合されている
    ことを特徴とする、請求項14記載の成形体。
  16. 【請求項16】 前記の中空粒子が、ポリアクリロニト
    リルで形成され、密度が0.01〜0.07g/cm3
    の発泡済みマイクロカプセルであることを特徴とする、
    請求項14記載の成形体。
  17. 【請求項17】 前記の繊維が、0.3〜5デニールの
    太さ、及び、1〜7mmの長さを有することを特徴とす
    る、請求項14記載の成形体。
  18. 【請求項18】 前記の繊維が熱融着性繊維であり、当
    該繊維の熱融着により前記断熱性層内に3次元ネットワ
    ークが形成されていることを特徴とする、請求項14記
    載の成形体。
  19. 【請求項19】 前記熱融着性繊維の表面の少なくとも
    一部が、熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とす
    る、請求項18記載の成形体。
  20. 【請求項20】 前記の繊維が、軸方向に空洞を有する
    中空繊維であることを特徴とする、請求項14記載の成
    形体。
  21. 【請求項21】 温度20℃、相対湿度95%における
    前記繊維の吸湿度が10%未満であることを特徴とす
    る、請求項14記載の成形体。
  22. 【請求項22】 シート状に成形されていることを特徴
    とする、請求項14記載の成形体。
  23. 【請求項23】 前記断熱性層の少なくとも一面側に、
    通気性シートを積層してなるシート状積層体であること
    を特徴とする、請求項22記載の成形体。
  24. 【請求項24】 前記断熱性層の両面に、通気性シート
    を積層してなることを特徴とする、請求項23記載の成
    形体。
  25. 【請求項25】 前記断熱性層の一部が、前記通気性シ
    ートの表面から当該通気性シートの内部空隙に入り込ん
    でいることを特徴とする、請求項23記載の成形体。
  26. 【請求項26】 前記の通気性シートが不織布であるこ
    とを特徴とする、請求項23記載の成形体。
  27. 【請求項27】 前記の不織布が、太さ0.5〜7デニ
    ール、長さ10〜60mmの繊維からなることを特徴と
    する、請求項26記載の成形体。
  28. 【請求項28】 前記の不織布が、熱融着性繊維を含有
    していることを特徴とする、請求項26記載の成形体。
  29. 【請求項29】 前記の不織布が、軸方向に空洞を有す
    る中空繊維からなることを特徴とする、請求項26記載
    の成形体。
  30. 【請求項30】 前記断熱性層の熱伝導率が、0.01
    〜0.5W/m・Kであることを特徴とする、請求項1
    4記載の成形体。
  31. 【請求項31】 前記の断熱性層が、JIS K720
    3に規定する曲げ試験において、屈曲部分の曲率半径
    5.0mmで1.0Nの荷重を加えても破損しないこと
    を特徴とする、請求項30記載の成形体。
  32. 【請求項32】 断熱材であることを特徴とする、請求
    項14乃至31いずれかに記載の成形体。
  33. 【請求項33】 必須成分として、バインダー樹脂、閉
    鎖された空洞を有する中空粒子、及び、繊維を溶剤に配
    合してなる断熱性層形成用塗工液を、通気性シート上に
    塗布し、形成した塗工層を通気性シートの反対面側から
    吸引して溶剤を除去し、その後、固化させることにより
    断熱性層を形成することを特徴とする、成形体の製造方
    法。
  34. 【請求項34】 前記の繊維として熱融着性繊維を使用
    し、且つ、前記の塗工層を乾燥後に加熱することにより
    前記熱融着性繊維を、前記の塗工層のマトリックスに熱
    融着させることを特徴とする、請求項33記載の成形体
    の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記塗工層の露出面側に、当該塗工層
    の乾燥前又は乾燥後に第二の通気性シートを重ね、当該
    塗工層を乾燥させた後に熱プレスすることを特徴とす
    る、請求項33記載の成形体の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記の通気性シートとして不織布を使
    用することを特徴とする、請求項33記載の成形体の製
    造方法。
  37. 【請求項37】 前記の不織布として、太さ0.5〜7
    デニール、長さ10〜60mmの繊維からなる不織布を
    使用することを特徴とする、請求項36記載の成形体の
    製造方法。
  38. 【請求項38】 前記の不織布が、熱融着性繊維を含有
    していることを特徴とする、請求項36記載の成形体の
    製造方法。
  39. 【請求項39】 前記断熱性層の形成後、当該断熱性層
    から前記通気性シートを除去することにより、断熱性層
    のみからなる単層の成形体を得ることを特徴とする、請
    求項33記載の成形体の製造方法。
  40. 【請求項40】 シート状の成形体を形成することを特
    徴とする、請求項33乃至39いずれかに記載の成形体
    の製造方法。
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