JP4277347B2 - パルプ成型体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用後に焼却処分しても、廃棄物公害等を引き起こさないものであって、電化製品や食品包装の緩衝材や、断熱材や防音材等の建材などに用いることができるパルプビーズ及びそのパルプ成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題への関心が大変高まっており、製品が廃棄されたときの易処理性、あるいはリサイクル性は商品設計において重要なポイントとなっている。ところで、発泡スチロールは、従来、包装緩衝材や建材等に幅広く用いた。この発泡スチロールは、安価であり性能も優れているが、使用後、焼却処理を行うと高熱の発生による炉の損傷等が指摘され、また埋立処理した場合は、分解性がなく嵩ばるため処理場の不足を招く一因とも考えられていた。
【0003】
一方、故紙をリサイクルして用いた商品は、段ボール紙、再生紙等多岐にわたっているが、その中でも緩衝材として用いられるパルプモールドが注目を集めていた。このパルプモールドは、再生パルプを原料として製造され、形状を工夫することで緩衝力、強度を与えられるものであり、焼却、埋立のいずれの処理も容易であった。
【0004】
しかし、パルプモールドは、緩衝強度が十分とは言えず、使用範囲が限定されたものであった。また、緩衝材としての設計と製造のためには、専用の複雑な形状の金型を作製することなどの必要があって時間を要し、新しい形状の試作開発に困難があった。さらに、発泡スチロールのように、緩衝材以外の用途に応用して用いることが難しく、成型性や加工性もなかった。
【0005】
上述のパルプモールド以外には、紙製の造粒物を作製し、これを利用する発明がなされていた。例えば、特公昭64−8976号公報においては、ポリビニルアルコール水溶液を含有する離解または粗砕した繊維素系素材を、リファイナーへ供給して半造粒繊維体を形成し、これを積層して植物育苗培地とする発明がなされていた。しかし、この発明による積層物は、多くの水分を含んだ状態でリファイナーに供給して半造粒物を製造しており、その結果、半造粒物は水と混練され、パルプ繊維間の結合が促されるので、密度の大きい半造粒物となってしまい、これを緩衝材等として利用することは困難であった。
【0006】
また、特公平7−35173号公報においては、パルプや異質の繊維素材を粒状に加工して基材とし、これと接着剤との混合物を成形型内に充填し、加圧して得る包装用緩衝材が提案されていた。しかし、この方法においても、パルプを水中で離解する工程を経て、脱水後、押圧するようにしてパンチボードに設けた孔を通過させて造粒が行われているため、密度が高い造粒物となり、緩衝材として利用する場合、その緩衝対象が制限された。
【0007】
また一方、造粒に当たって、紙やパルプを解繊処理したものを素材として用いる方法も多く提案されていた。例えば、特開平5−246465号公報においては、古紙を解繊して綿状物とし、これに霧状の水分を与えて、湿潤状態部と非・低湿潤状態部を生じさせ、攪拌して湿潤部で非・低湿潤部を覆って粒状物とし、これを糊材を介して、成形する緩衝材等再生物の製造方法の発明がなされていた。
【0008】
また、特開平7−60847号公報では、紙片又は繊維塊からなる種片と、解繊繊維との混合物に水を供給して攪拌、玉を製造し、これを糊材を介して成形した解繊繊維成型体と製造方法が発明されていた。
【0009】
しかしながら、これらの方法では、造粒にあたっての紙繊維等の結合は水分を介した作用のみであり、結合としては弱く、成型体を作製するための接着剤の混合の過程で、粒が崩壊したり、あるいはまた、粒を単独で、バラ緩衝材のような使用環境に提供することは困難であるという恐れがあった。粒の結合を強くするため、水分を多く供給したり、攪拌時間を延長すると、粒の密度が高くなり、緩衝性に影響する問題があった。
【0010】
また、特開平6−179469号公報において、解繊した紙材を毛玉状に結集して形成された粒体を、接着剤を介して接着させた緩衝材が提案されていた。しかし、この発明でも、緩衝材における構成単位であるパルプの粒体自体の強度は弱く、粒体を単独でバラ緩衝材のような用途に用いることは困難であるという問題点があった。
【0011】
さらに、特開平6−247472号公報においては、解繊された古紙と水と弾性接着剤とを添加し、回転力や振動を与えて、団粒化し、接着剤を介在させて団粒を接着した緩衝材が提案されていた。しかし、この発明による方法では、緩衝性や断熱性の機能部材として用いるために有効である低密度の造粒物を得るためには、以下のような点で問題点があった。
【0012】
一つには、解繊物の絡み合いが混合造粒に障害となり、造粒の進行が遅く製造性が悪いという点であり、もう一つには、造粒物形成を進めるため、混合を継続すると、バインダーやあるいは溶媒によって繊維が密着する傾向になり、低比重化が図れなくなる恐れがあるという点であった。
【0013】
また、上述のような、解繊物を造粒に用い、さらに成型するいずれの方法も、成型するために、接着剤を介在させ、圧縮充填し造粒物を接着し成形を行っていた。しかし、接着剤のもつタック性や、粘性により、粒体が型への投入の前に塊を形成してしまう恐れがあり、複雑な形状への均一な充填が困難であるという問題点があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来の問題点に鑑み発明されたものであり、緩衝性、断熱性などに優れた機能を有し、また、易廃棄処理性のパルプビーズ及びそのパルプ成型体を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の発明は、少なくとも紙を含む解繊加工物を主原料とするパルプビーズを接着し集合体としたパルプ成型体であって、前記パルプビーズとしては、解繊物を繊維間の空隙を保持しつつ、繊維同士の一部分をバインダーにより仮接着して得た塊を切断して得た小片化物か、あるいは、解繊物とバインダーを粒状の枠型内で仮接着して得た小片化物、の表面に、表面の接着を行う機能を有する材料から成る少なくとも一層の機能性塗膜が設けられているパルプビーズが用いられ、前記パルプビーズを集合させて前記機能性塗膜を介して接着させた集合体の表面に、樹脂をコーティングするか樹脂フィルムで被覆することで形成した樹脂層を設けて成ることを特徴とするパルプ成型体である。
【0027】
次に、本発明の第2の発明は、表面に設けた樹脂層が、コーティングによって設けられた樹脂層であることを特徴とする第1の発明に記載のパルプ成型体である。
【0028】
次に、本発明の第3の発明は、コーティングされた樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする第2の発明に記載のパルプ成型体である。
【0029】
次に、本発明の第4の発明は、コーティングされた樹脂が、水溶性増粘剤からなる水溶性樹脂であることを特徴とする第2の発明に記載のパルプ成型体である。
【0030】
次に、本発明の第5の発明は、表面に設けた樹脂層が、プラスチックフィルムであることを特徴とする第1の発明に記載のパルプ成型体である。
【0031】
そして、本発明の第6の発明は、表面に設けたプラスチックフィルムが、生分解性プラスチックで構成されることを特徴とする第5の発明に記載のパルプ成型体である。
【0032】
【作用】
本発明のパルプビーズは、紙を主体とする解繊加工物の繊維を部分的にバインダーにより結合し表面に機能性塗膜が設けられた小片物であり、繊維の絡み合いの間に空隙を残し、ビーズ形状を保持しているため、適度な弾性、緩衝性、断熱性などの機能を有している。
【0033】
また、このバルブビーズの表面の機能性塗膜を利用してビーズ同士を接着したものが、本発明のパルプ成型体である。したがって、本発明のパルプ成型体も適度な緩衝性、断熱性などの機能を有している。
【0034】
また、本発明のバルブビーズ及びパルプ成型体は、紙が主原料としており廃棄物を焼却処理しても、発泡スチロールのように高熱による炉の損傷などがなく、また、埋立処理した場合には、分解性があり、環境保全の上で好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まずパルプビーズを構成する主原料のパルプとしては、針葉樹、または広葉樹を用いた晒、または未晒であるクラフトパルプ、ソーダパルプ、スルファイトパルプ、砕木パルプ、レファイナー砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ等のバージンパルプ、あるいは、故紙、古段ボール紙、古雑誌等に由来する再生パルプ等が使用可能であり、これらを単独に、あるいは2種以上併せて用いる。なお、これらに合成樹脂フィルムなどが混入されていても差し支えない。
【0036】
これらのパルプ等の原料を、適当な方法で解繊処理を行う。解繊の方法は、原料を乾燥状態で解繊状態とできる方法であれば、どの様な方法、設備、装置を用いても差し支えない。このようにして用意された解繊加工物の粒状加工を容易なものとするため、解繊加工物にバインダーを供給する。
【0037】
後述するように本発明によるパルプビーズは、その表面に機能性塗膜を設け、その塗膜によりビーズ形状の保持を図る意図を含んでいるので、ここでのバインダーは、いわば仮造粒・仮接着の機能を果たすものであればよい。すなわち、この後の工程などで解繊加工物の小片化加工にあたって、小片化物がその加工過程で大きく崩壊しない程度に接着できていればよい。
【0038】
言い換えれば、本発明によるパルプビーズや成型体は、緩衝材や断熱材として機能をもたせるため、パルプビーズは低密度造粒物であることが必要と考えている。これを得るために、繊維間の空隙を保持することが不可欠であるが、その上で、造粒加工適性を向上させるためには、繊維同士の一部分が接着される状態であることが望まれる。
【0039】
この条件に適応するようにバインダー量や供給方法が選択されなければならない。そして、後工程で、解繊物とバインダーを混合したものを小片化した際、小片化物の見かけ密度は、0.05から0.25の範囲になることが、機能上好ましい。
【0040】
バインダーの種類としては、上記の状態が得られる材料系であればよい。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンなどのポリアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、またこれらが共重合したもの、例えば、酢酸ビニル−ポリエチレン共重合物、ポリエチレン−アクリル酸共重合物等を用いた熱可塑性接着剤、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性接着剤、合成ゴム、天然ゴム等を用いたゴム系接着剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、寒天などの水溶性高分子、膠、ゼラチン、カゼイン、グルテン等のタンパク質、小麦粉等の植物性結合材が例示でき、これらを単独で、もしくは2種以上を混合して用いることができる。解繊物へのバインダー供給は、適切な溶媒に溶解して噴霧等の方法により供給する方法、あるいは粉末状として供給する方法などが例示できるが、特定されない。
【0041】
そして、バインダーの機能が発揮できる方法、すなわち溶媒の乾燥や、加熱、あるいは適切な水分の供給等により、解繊物繊維の一部を接着して塊状やシート状とする。この時、適切な圧力をかけて加工をおこなってもよい。このように解繊物とバインダーによる得られた一次加工物を、打ち抜きや、押し出し切断、棒状加工後切断等の方法によって小片化物とする。あるいは解繊物にバインダーを供給した後、粒形状となる枠型内に充填して接着し、粒状の小片として得る。
【0042】
次いで、これらの小片化物の表面に少なくとも一層の機能性被膜を設ける。機能性被膜とは、小片化物表面付近に高い濃度で機能性の材料層を設けることで、ここでいう機能性とは、上述のように解繊物繊維間を仮接着して得られた小片化物が崩壊しないように表面を接着して強度を与えることや、あるいは、この被膜を介して接着を行う機能を指している。
【0043】
被膜材料としては、水溶性増粘剤もしくは熱可塑性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂と発泡性中空粒子の混合物が挙げられる。
【0044】
水溶性増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム塩、澱粉、寒天、マンナン等の天然多糖類、カルボキシメチルセルロースなどの天然多糖類の処理物、もしくはポリビニルアルコールなどの合成水溶性ポリマー等が例示できる。
【0045】
また熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンなどのポリアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、またこれらが共重合したもの、例えば、酢酸ビニル−ポリエチレン共重合物、ポリエチレン−アクリル酸共重合物等が例示でき、特に限定されない。また、これらを単独で用いても、あるいは混合して用いてもよい。
【0046】
さらに、熱可塑性樹脂に発泡性粒子を混合して用いてもよく、発泡性粒子としては、マイクロカプセル内に低沸点の溶剤が封入された熱膨張性のマイクロカプセルを使用することができる。すなわち外殻のポリマーが加熱により軟化するとともに内殻の溶剤がガス化し、体積が数十倍に膨張するものである。
【0047】
具体的には、内殻の溶剤としては、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン等の有機溶剤を、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等からなる熱可塑性樹脂で包み込んだ熱膨張性マイクロカプセルを好ましく使用できる。熱可塑性樹脂に対する発泡性粒子の混合比率も特に限定されない。
【0048】
これらの材料を被膜化するに当たっては、これらの樹脂が水を含めた適当な溶媒に溶解されたもの、エマルジョンとしたもの等、あるいはさらに発泡性粒子を混合したものを準備し、スプレーコーティング、含浸等の方法により、塗布する。
【0049】
あるいは、粉末化された樹脂をディスパージョンとし、噴霧、あるいはさらにここに発泡性粒子を混合して用意し、噴霧等により塗工してもよい。塗布後は適当な温度で乾燥して溶媒を蒸発させ、塗膜とする。
【0050】
パルプビーズに塗膜される樹脂量は、例えばバラの緩衝材として利用される際に要求される緩衝性等の条件や、あるいは結合して成型体として用いる場合等に要求される接着強度や、膨張した発泡性粒子によりもたらされる弾性等によって付加される緩衝性等の状態により、適宜選択すればよく、特に限定されない。
【0051】
またコーティング後のパルプビーズの見かけ比重としては、0.05から0.2の範囲であることが望ましい。この範囲外では、特に家電製品等の緩衝包装において、十分な緩衝性を得ることが困難と考えられる。
【0052】
このようにして得られたパルプビーズを適当な方法により結合し、集合させた成型体として利用することも可能である。
【0053】
結合に当たっての方法としては、ビーズ表面に設けた塗膜最外層を接着に利用する方法が挙げられる。パルプビーズにあらかじめ設けた塗膜を利用する場合には、その塗膜の性質に応じて接着のための操作を行えばよい。例えば、水溶性高分子の塗膜であれば、適当な型内に充填し、適量の水分を与えて被膜を軟化させた後、乾燥させ水溶性高分子を固化させて成型体とする。
【0054】
あるいは、コーティング層が、熱可塑性樹脂や発泡性粒子を混合した熱可塑性樹脂である場合は、希望する形状に用意した枠型内に投入し、樹脂の溶融温度に応じた適当な温度、適当な方法で加熱し、樹脂を溶融、あるいは発泡性粒子を膨張させ、その後冷却して固化させ、パルプビーズ同士を接着し、成型体として得る。
【0055】
またさらに、パルプ成型体からのパルプビーズの脱落や成型体の割れを抑制する目的で、パルプ成型体に樹脂層を設けてもよい。樹脂層を設けるに当たっては、コーティングによってパルプ成型体の表面に樹脂層を設ける方法と、パルプ成型体を樹脂フィルムで被覆する方法が挙げられる。
【0056】
コーティングによる方法の場合、コーティングされる樹脂としては、水溶性増粘剤からなる水溶性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0057】
水溶性増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム塩、澱粉、寒天、マンナン等の天然多糖類、カルボキシメチルセルロースなどの天然多糖類の処理物、もしくはポリビニルアルコールなどの合成水溶性ポリマー等が例示できる。
【0058】
また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ナイロンなどのポリアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、またこれらが共重合したもの、例えば、酢酸ビニル−ポリエチレン共重合物、ポリエチレン−アクリル酸共重合物等が例示でき、特に限定されない。また、これらを単独で用いても、あるいは混合して用いてもよいこれらを、水を含めた適当な溶剤に溶解されたもの、エマルジョンとしたもの等準備し、スプレーコーティング、含浸等の方法により、塗布、乾燥する。あるいは、粉末化された樹脂をディスパージョンとし、噴霧等行ってもよい。
【0059】
また、樹脂フィルムで被覆する方法も、限定されないが、スキンパック包装等の方法が例示できる。すなわち、スキンパック包装あれば、適当な径の有孔台紙上にパルプ成型体をのせ、熱可塑性フィルムを被せて、加熱しつつ台紙側より減圧脱気し、パルプ成型体とフィルムを密着させる。フィルムの種類としては、ポリエチレン、ナイロン、アイオノマー等の樹脂フィルムが例示できるが、生分解性樹脂のフィルムを用いることが、処理性等を考慮すると一層好ましい。生分解性樹脂としてはポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等が例示できる。
【0060】
以上のようなものであり、紙を主体とする解繊加工物にバインダーを供給し、繊維を部分的に結合しつつ、繊維の絡み合いの間の空隙を残した弾性のある構造物を小片化、さらに機能性塗膜を設けることで、適度な弾性、緩衝性、あるいは断熱性などの機能を持つ新規なパルプビーズとなる。なお、表面に設けられた機能性塗膜は、ビーズとしての構造を保持する機能と同時にビーズ間を接着し成型体とする機能も保持するものである。
【0061】
ビーズ状態で、緩衝用途などに利用する以外にも、表面の機能性塗膜を利用してビーズ同士を接着し容易に成型体とすることも可能であり、その成型体も、緩衝性や断熱性利用分野に幅広く利用することができ、また、多様な形状へも対応できる。
【0062】
そして紙を主体とする構成であるので、易廃棄処理性であることはいうまでもない。さらに、パルプ成型体に対しては、表面に、樹脂層を設けることにより、成型体としての強度が加えられ、またビーズの脱落が低減され、より利用性を優れたものとすることもできる。
【0063】
【実施例】
以下に本発明を実施例をもって説明するが、ここに用いられた材料に限定されるものではない。
【0064】
<実施例1>
段ボール解繊加工品(ターボ工業 (株) 製ターボミル使用)100重量部を攪拌しつつPVA5%水溶液:20重量部をスプレーして供給した。これを、直径5mmの棒状にまとめ、さらに5mmの長さにカットして、見かけ密度約0.07の粒状とした。このパルプ粒の表面に、ポリビニルアルコール5%水溶液を噴霧した。噴霧量は、乾燥後のパルプビーズの見かけ密度が約0.08となるように調整した。そして乾燥し、ポリビニルアルコールの塗膜層が形成されたパルプビーズを得た。
【0065】
<実施例2>
実施例1で用いた段ボール解繊加工品100重量部を攪拌しつつ、合成ゴムエマルジョン(固形分10%)を10重量部スプレーして供給し、その後実施例1と同様の操作を行い、見かけ密度0.09のパルプビーズを得た。
【0066】
<実施例3>
実施例1で用いた段ボール解繊加工品100重量部に、粉末ポリエチレン10重量部を混合し、これを120℃で熱プレス加工し、厚さ約5mm、見かけ密度0.08のシート状物を得た。これを直径5mmで打ち抜き、その表面に、熱可塑性樹脂:エチレン−酢酸ビニル共重合物エマルジョン(固形分25%溶液)を噴霧した。噴霧量は、乾燥後のパルプビーズの見かけ比重が約0.09となるように調製した。そして乾燥し、エチレン−酢酸ビニル共重合塗膜が形成されたパルプビーズを得た。
【0067】
<実施例4>
実施例3で得たパルプビーズ表面に、熱可塑性樹脂:エチレン酢酸ビニル共重合物エマルジョン(固形分25%溶液)100重量部に、発泡性粒子:熱膨張性マイクロカプセル(マイクロスフィアF1400、松本油脂 (株) 製、固形分70%)35重量部を混合したものを噴霧した。噴霧量は、乾燥後のパルプビーズの見かけ比重が約0.09となるように調製した。そして乾燥し、発泡性粒子を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合物塗膜が形成されたパルプビーズを得た。
【0068】
<実施例5>
内寸100mm×100mm×50mmのアルミニウム製枠型内に、実施例1で作製されたパルプビーズを、型体積の1.2倍量用意し、圧縮充填した。型内に加圧蒸気を導入し、投入ビーズ重量の約半分の水分を与え、ポリビニルアルコールを再湿させた。その後120℃に加熱し、水分を除去、ビーズを接着して枠より取り出し、パルプ成型体として得た。見かけ密度は約0.1であった。
【0069】
<実施例6>
実施例5で用意された枠型に、実施例2で作製されたパルプビーズを、型体積の1.2倍量用意し、圧縮充填した。そして実施例1と同様の操作により、成型体を作製した。見かけ密度は約0.1であった。
【0070】
<実施例7>
実施例5で用意された枠型に、実施例2で作製されたパルプビーズを、型体積の1.2倍量用意し、圧縮充填した。型を130℃のオーブンに入れて加熱してビーズ表面のエチレン−酢酸ビニル共重合物塗膜を溶融した。その後、オーブンより取り出して室温で放冷して樹脂を固化させ、枠型より取り出してパルプ発泡体を得た。見かけ比重は約0.095であった。
【0071】
<実施例8>
実施例5で用意された枠型に、実施例3で作製されたパルプビーズを、型体積の1.1倍量用意し、圧縮充填した。型を130℃のオーブンに入れて加熱してコーティングされた樹脂を溶融し、発泡粒子を膨張させた。その後、オーブンより取り出して室温で放冷して樹脂を固化させ、枠型より取り出してパルプ発泡体を得た。見かけ比重は約0.9であった。
【0072】
<実施例9>
実施例8で得られた成型体の表面に、酢酸ビニルエマルジョンを、パルプ発泡体表面に、噴霧量が1cm2 あたり0.0065gとなるように噴霧した後、乾燥させ、パルプ成型体として得た。
【0073】
<実施例10>
実施例8で得られた、成型体に、ポリビニルアルコール5%水溶液を、パルプ発泡体表面に、噴霧量が1cm2 あたり0.05gとなるように噴霧した後、乾燥させ、パルプ成型体として得た。
【0074】
<実施例11>
実施例8で得られた、成型体に、予めTダイ溶融押し出し法により、100μの厚さで作製したポリ乳酸を主成分とするシートを既知の方法により、スキン包装した。すなわち、直径約0.15mmの細孔を1cm2 あたり3個あけた厚紙に、ヒートシール剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(昭和高分子 AD901)をプレコーティングして予備乾燥した。この上に前述のパルプ成型体をのせ、120℃で予備加熱し軟化させたポリ乳酸フィルムをかぶせ、真空脱気し密着させ、パルプ成型体として得た。
【0075】
<比較例1>
実施例1で用いた段ボール解繊加工品100重量部に、同量のPVA5%水溶液を加え、混合した後、5mm径の小孔より押し出し、5mmの長さにカットし、造粒物とした。乾燥後のビーズの見かけ密度は0.3であった。
【0076】
<比較例2>
比較例1で得られたビーズ100重量部に、接着剤としてカルボキシメチルセルロース5%水溶液100重量部を混合し、実施例5で用意された型に、型体積の1.5倍量を投入し圧縮充填した。これをオーブンで乾燥し、接着剤を固化させビーズを接着して成型体として得た。見かけ密度は約0.45であった。
【0077】
<機能の比較>
各実施例、比較例において得られたビーズ及び成型体の圧縮試験(JIS0235)を行った。その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示すように、本発明による実施例は、ビーズ及び成型体において、比較例に比較して、小さい応力で同じ歪み量が得られ、すなわち衝撃吸収の能力が良好であった。
【0080】
【発明の効果】
本発明は以上のようなものであり、本発明によれば、紙を主体とする解繊加工物にバインダーを供給し、繊維を部分的に結合しつつ、繊維の絡み合いの間の空隙を残した弾性のある構造物を小片化、さらに機能性塗膜を設けたパルプビーズであり、適度な弾性、緩衝性、あるいは断熱性などの機能を持つビーズが、容易に得られる。
【0081】
また、その表面に機能性塗膜を設けたことにより、ビーズとしての構造を保持する機能と同時にビーズ間を接着し成型体とする機能も保持したものとなる。ビーズとして、緩衝用途などに利用することができ、さらには、表面の機能性塗膜を利用してビーズ同士を接着して集合し、容易に成型体とすることも可能であり、その成型体も、緩衝性や断熱性利用分野に幅広く利用することができ、また、多様な形状へも対応できる。
【0082】
そして、紙を主体とする構成であるので、易廃棄処理性であることはいうまでもない。 さらに、パルプ成型体に対しては、表面に、樹脂層を設けることにより、成型体としての強度が加えられ、またビーズの脱落が低減され、より利用性を優れたものとすることもできる。
Claims (6)
- 少なくとも紙を含む解繊加工物を主原料とするパルプビーズを接着し集合体としたパルプ成型体であって、前記パルプビーズとしては、解繊物を繊維間の空隙を保持しつつ、繊維同士の一部分をバインダーにより仮接着して得た塊を切断して得た小片化物か、あるいは、解繊物とバインダーを粒状の枠型内で仮接着して得た小片化物、の表面に、表面の接着を行う機能を有する材料から成る少なくとも一層の機能性塗膜が設けられているパルプビーズが用いられ、前記パルプビーズを集合させて前記機能性塗膜を介して接着させた集合体の表面に、樹脂をコーティングするか樹脂フィルムで被覆することで形成した樹脂層を設けて成ることを特徴とするパルプ成型体。
- 表面に設けた樹脂層が、コーティングによって設けられた樹脂層であることを特徴とする請求項1記載のパルプ成型体。
- コーティングされた樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項2記載のパルプ成型体。
- コーティングされた樹脂が、水溶性増粘剤からなる水溶性樹脂であることを特徴とする請求項2記載のパルプ成型体。
- 表面に設けた樹脂層が、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1記載のパルプ成型体。
- 表面に設けたプラスチックフィルムが、生分解性プラスチックで構成されることを特徴とする請求項5記載のパルプ成型体。
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